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1、食

: 食べること。又は、食べ物や食事のこと。受精卵の発生が口と肛門の位置の定義から始まるように、動物が生きる上で最も基本的な行為といえる。

料理: 食材を調理する(切る、混ぜる、加熱調理する等)こと。又は調理の結果、出来上がった食べ物。

食通(食道楽、グルメ): 食や味への興味が深く、食についてよく知っている人々のこと。「グルメ」はフランス語。

ラクト・ベジタリアン(乳菜食者): 乳製品や蜂蜜は食べるが、卵や肉・魚は食べない人。ラクトは「乳」を指すラテン語。

食事(御飯): まとまった量の食べ物を食べること。現代では一般に朝・昼・夕(晩)の1日3食が推奨され、習慣とする人が多い。主食と主食以外のものを組み合わせることが多い。
ちなみに力士は昔から、1日2食を習慣とする。食事間隔が長い方が体がエネルギーを貯めようとするため、栄養を脂肪に換える力が働きやすくなる。

朝食(朝餉(あさげ)、朝飯、朝御飯、ブレックファスト): 朝の食事。手のかかる調理の要らない、パン、シリアル、ハムやソーセージ、果物、ヨーグルト等は朝食の定番とされる。
ちなみに、米国では19cまで朝食を摂る人が少なかったという。エジソンが発明品のトースターと電力(エジソンは電力会社も経営していた)を人々に売るため、〈自分が頭が良いのは朝食を食べているからだ〉と公言し、朝食キャンペーンを張ったという。
なお、現代の米国では、朝食といえばトースターを使うパン派よりも、シリアル派が多いらしい。

間食: 食事以外の時間に、少量の食べ物を食べること。成長や運動のために必要と判断して行う間食は「補食(ほしょく)」とも。

おやつ: (特に午後3時頃の)間食や、間食向きの菓子類のこと。昔の時刻の呼び方で「八つ時」(現代の午後1~3時)に食べたことから。

夜食: 夕食後、夜遅い時間に摂る軽食や間食。

献立: 食事における、料理の組合せや提供の順序のこと。

主食: エネルギー源として重要な、お腹を満たす食べ物。穀物由来の食品(ご飯、パン、麺等)を指すことが多いが、食文化によっては芋や果物、肉、魚等も主食となる。

おかず: 食事において、主食と食べ合わせる料理。和食では、肉や魚をメインに使ったおかずを「主菜」、野菜等をメインに使ったおかずを「副菜」として組み合わせ、汁物は、主食と食べ合わせるものでもおかずと呼ばないことも多い。

デザート: 食事の最後に食べる果物や菓子等。

一汁三菜: 和食の献立の代表的な形式。主食(ご飯)、汁物、主菜1品、副菜2品から成る。

軽食: 手間をかけず短時間で食べられる食事のこと。

ファストフード(ファーストフード): 短時間で調理できる、又は注文してから短時間で供される、軽食のこと。米国から世界に広まったハンバーガーやホットドッグ、日本の蕎麦や牛丼が代表例。

コース料理: 最初から全ての料理を配膳するのではなく、決まった順序で料理を提供する食事のこと。

ベジファースト: 食事の中で、最初に食物繊維の多い野菜や海藻を食べ、それから蛋白質の多い食品、糖質の多い食品という順番で食べる健康法。食後血糖値が上がりにくく、太りにくくなるという。

お茶する: お茶やコーヒーを飲みながら休憩したりお喋りしたりすること。日本特有の傾向として、なぜか女性の方が圧倒的に「お茶する」頻度が高い。
関西では「茶をしばく」ともいう。スウェーデンでは、コーヒーを意味する言葉の倒語で「フィーカ」という。

日本料理和食): 和風の料理、食事。出汁や醤油を使いながらも食材自体の味を引き立て、季節感を大切にする料理が多い。

割烹(かっぽう): 和食における調理のこと(肉を割(さ)き、烹(に)ることから)。又は会席料理や懐石で出て来るような上等な和食を、カウンター席やテーブル席で気軽に食べさせる料理店のこと。

会席料理: 和食における、宴席用の料理。主に宿泊施設や料亭で供される。武家の儀礼食だった「本膳料理」を簡略化したもの。読み方が同じ「懐石料理」とは内容が異なる。
最初から配膳された形式のものと、コース形式のものがある。コース形式の場合は懐石と違い、ご飯と汁物が最後に出てくる。

懐石(茶懐石、懐石料理): 和食で、ご飯と一汁三菜から始まる、お茶の前にお腹を満たすためのコース料理。元々は茶道で定式化された。かつて「会席」と書いたが、今では酒を楽しむための「会席料理」とは違うものになっている。

吸い物(羹(あつもの)): 和食で、酒の肴としたり、懐石の口直し(箸洗い)としたりする、出汁ベースのスープ料理。物自体は同じでも、ご飯の供である「汁物」とは位置付けによって呼び分ける。
塩や醤油による澄まし仕立てのもの(お澄まし)が多いが、味噌仕立てのものもある。

止椀/留椀(とめわん): 会席料理等の和食のコース料理で、ご飯や香の物と共に最後に出す汁物のこと。味噌汁であることが多い。

精進料理: 仏教の戒に基づき、動物性食材や、葱・ニンニク等のネギ属の香味野菜を避けて作った料理。なお、逆に肉や魚を使った料理は「生臭料理」という。

普茶料理: 江戸時代初期に隠元が中国からもたらした精進料理。植物油と葛をふんだんに使った濃厚な味や、卓を囲んで大皿から取り分ける形式が特徴。代表例に胡麻豆腐がある。

皿鉢料理(さわち-): 高知県の料理。来客をもてなすため、大皿に寿司・刺身等の旬の料理を盛り合わせ、取り分けて食べる。

茶道(さどう/ちゃどう)(茶の湯): 抹茶を点て、客に振る舞いもてなす日本の芸道。亭主と客の心の交流や一体感を重んじる。安土桃山時代に千利休が大成した。茶事における濃茶の回し飲み等の作法には、カトリックのミサの影響もあるという。
江戸時代、町人階級には千家の「わび茶」が流行し、武家では古田織部(利休の門人)を祖とする織部流、小堀遠州(織部の門人)を祖とする遠州流等が流行した。
近代には女性の教養としての性格も加わり、今では美しい着物姿での華やかな茶会が当たり前になっている。

点前(てまえ/たてまえ): 茶道で、お茶を点てる作法のこと。

同物同治: 薬膳の考え方で、目の調子が悪い時は魚の目を、肝臓が悪い時はレバーを食べる等、体の不調な部分を治すには対応する部位の物を食うべしというもの。

ヌーベル・シノワ: 80sの香港で始まった、味付けや盛付けに西洋の技法を取り入れた中華のコース料理のこと。「新しい中華」を意味するフランス語。

イタリア料理(イタリアン): イタリアの料理、食事。世界で最も好まれる各国料理の1つ。パスタ、ピザが代表例。オリーブオイルとトマトを多用する南イタリアの調味法が特に知られる。
イタリア料理店を表す言葉に、主に高級店を指す「リストランテ」、主に大衆店を指す「トラットリア」「タヴェルナ」がある。

アミューズ: フレンチのコースで前菜の前に出される一口サイズのおつまみ。「お楽しみ」を意味するフランス語。

オードブル: フレンチ等のコースの前菜のこと。日本では、仕切りのある大皿等に複数の料理を載せ、取り分けて食べるパーティー料理のことも指す。

ブッシュフード: 豪州先住民が古くから狩猟・採集し、現在は先住民以外にも広まっている食材の総称。カンガルーやエミューの肉、昆虫、野生の植物等。

(しお)(ソルト): 塩化ナトリウムを主成分とする調味料。海水の乾燥や、岩塩の採掘によって生産する。沖縄では「マース」という。
主要な食品の中で、水と塩だけが生物由来でない(かつ、生命活動維持に欠かせない食品)。このことは生命の源が海であることに関係すると考えられる。

クレイジーソルト: 米国で製造する、岩塩にハーブをブレンドした調味料。

グラニュー糖: ザラメ糖の1種で、結晶の粒が最も細かいもの。世界で最も一般的な砂糖で、コーヒーや紅茶にはグラニュー糖を使う。

フロストシュガー: グラニュー糖に空気を含ませ顆粒にしたもの。日本で開発された。冷水でも早く溶けるため、ヨーグルトやアイスコーヒーに使う。

和三盆: 香川県や徳島県で生産される砂糖。粉砂糖に近いきめ細やかさをもち、甘さがくどくなく後味が良いため、固めて干菓子とすることが多い。

マヌカハニー: ニュージーランド原産の花・マヌカの蜜から作る蜂蜜。抗菌、整腸、美容の効果が高いという。

山田養蜂場: 蜂蜜等を製造・販売する岡山県北部の企業。

ステビア: キク科の植物。砂糖の数百倍の甘味をもつ甘味料が抽出できる。

スクラロース: 90sから世界的に広まっている人工甘味料。砂糖と似た甘さで、600倍甘い。

果実酢: 果物を発酵させて作った酢。又は醸造酢に果汁を加えたもの。薄めて健康ドリンクとして飲むことが多い。韓国には「美酢(ミチョ)」や「紅酢(ホンチョ)」等のブランドがある。

三杯酢: 酢、醤油、砂糖(又は味醂)を1:1:1で合わせた調味料。酢の物等に使う。

二杯酢: 酢と醤油を1:1で合わせた調味料。酢の物等に使う。

ヒガシマル醬油: 兵庫県たつの市の食品会社。薄口醤油の代表的メーカーである他、「うどんスープ」等の商品で知られる。

八丁味噌: 愛知県岡崎市・旧八丁村名産の豆味噌。カクキューまるやの2社が製造する。

マルコメ: 長野市の味噌メーカー。'82.「だし入り味噌・料亭の味」発売。

コーレーグス(高麗草): 沖縄の辛味調味料。島唐辛子を泡盛に漬け込んだもの。

タバスコ: マキルヘニー(米)が19cから販売する辛味調味料。元々、香水の空き瓶に詰めて売っており、現在の瓶の形も当時の香水の瓶のものを受け継いでいる。

デスソース: 米国発の激辛調味料。容器におまけで髑髏のキーチェーンが付いている。

チリソース: トマトとスパイスをベースにしたソースのこと。

シラチャーソース: タイや米国で定番のチリソース。タイのシーラーチャー郡に由来する。

デミグラスソース(ドミグラスソース): ブラウンルーとフォン・ド・ヴォーを半量ほどになるまで煮詰め、ワイン等で風味を付けたソース。日本の洋食やフランス料理でよく使う。

ベシャメルソース: ホワイトルーを牛乳やブイヨンで伸ばし、煮詰めたソース。フランス料理で使う。

フレンチドレッシング: 米国生まれの、油と酢又はレモン汁を混ぜて乳化させたドレッシング。砂糖を加えた白いもの、ケチャップを加えた赤いものがある。

マキシマム: 宮崎県の精肉会社が販売する、食塩入りミックススパイス。

ほりにし: 和歌山県のアウトドアショップが販売する、食塩入りミックススパイス(アウトドアスパイス)。'19.発売。

出汁(だし): 旨味をもつ食品を煮出した汁。和食では昆布、鰹節、煮干し等、油分が少ない食材から煮出すのが特徴。

澱粉(でんぷん): 植物が光合成によって体内(種子や球根等)に貯蔵するブドウ糖。工業上はそれを精製した製品(コーンスターチ、片栗粉、葛粉、蕨粉等)をいう。
分子構造によってアミロペクチンアミロースに分けられる。もち米のようにアミロペクチン100%の穀物もあれば、インディカ米のようにアミロースを多く含む穀物もある。

片栗粉: カタクリの地下茎、又はジャガイモを精製した澱粉。現在ではほぼジャガイモから作られる。日本では多くの家庭の台所にある一般的な澱粉で、揚げ衣の材料にしたり、水で溶いて食べ物にとろみを出したりする。

パーム油: アブラヤシ(油椰子、オイルパーム)の実から得る油。世界で最も多く生産される植物油の1つで、マーガリンやショートニングの材料となる他、石鹸の原料、燃料としても使う。
アブラヤシは、インドネシアやマレーシアで大規模なプランテーション栽培が行われている。

アルガン油: アルガンの種子から得る油。食用油でもあるが、世界的には化粧品用の高級油として知られる。アルガンはモロッコで栽培される木で「ヤギが登る木」として有名。

マーガリン: 主に植物油から作る、バターの代用品。JAS規格で油脂含有率80%未満のものは「ファストスプレッド」という。

穀物: イネ科の作物の種子。澱粉質が主体。広義にはソバやキヌア等の擬穀類、豆類等を含めることもある。世界三大穀物は米、小麦、トウモロコシで、現代の世界で3品目の生産量(重量ベース)はほぼ拮抗している。

イネ(稲): イネ科の作物。湿性植物で、水田で栽培することが多い。長江流域原産。

(ライス): 稲の種子。日本の主食。炊いたものは「飯(めし)」「御飯/ご飯」ともいい、食事そのものを指す言葉でもある。餅、煎餅、酒等に加工されるものもある。
世界の生産量トップ3は中国、インド、インドネシア。国内生産量トップ3は新潟、北海道、秋田。日本の農業では最大の生産品目で、生産額ベースで農業総産出額の約2割(約2兆円)を占める。
主要穀物の中でも、一定の栽培面積から収穫できる可食部のカロリー量が大きいため、米を主食とする東・東南・南アジアは人口密度が高い。

新米: その年に収穫された米。まだ貯蔵期間が短く水分が多いため、炊く時は水を少し減らすと良い。

ジャポニカ米: 米の品種群で、日本を含む東アジア北部で一般的なもの。粒が短く、炊くと粘りとツヤが出る。世界の米の生産量の約2割を占める。

インディカ米: 米の品種群で、中国南部や東南アジアの大部分、南アジア等で一般的なもの。粒が細長く、炊いてもジャポニカ米ほど粘りが出ずややパサパサしている。世界の米の生産量の約8割を占める。

ジャバニカ米: 米の品種群で、ジャワ島周辺で一般的なもの。大粒であっさりした味が特徴。

古代米: 古代から日本で栽培されていた品種の米。特に赤米、黒米、緑米等の、玄米が独特な色をした米を指すことが多い。なお、これらの米は玄米で食べることが多いが、精米してしまえば白米と近い色になる。

赤米: 古代米の1つ。日本に最初に伝来した米で、奈良時代以降に白米の生産量が増えるまでは最も一般的な米だったという。そもそも、白米は赤米の遺伝子欠損から生まれた突然変異種で、人が選別・育種したものと考えられている。

ふっくりんこ: 北海道・道南で開発された米の品種。

ひとめぼれ: 宮城県で開発された米の品種。冷害等に強く、90sにササニシキからの作付け転換が進んだ。'03年以降、コシヒカリに次ぐ全国2位の作付面積を誇る。

ヒノヒカリ: 宮崎県で開発された米の品種。西日本では最もメジャーな米の品種の1つ。

アルファ化米(アルファ米、糒(ほしい)、餉(かれい)): 炊飯等で米の澱粉をアルファ化(糊化)させた後、乾燥処理を行った米飯。水を注ぐと食べられる。可食化の過程でエネルギーを使わないため、生米やレトルト米に比べ非常用の備蓄に向く。

重湯(おもゆ): お粥の上澄み液。古くから病人食や離乳食とされてきた。

上新粉: 米粉の1つ。粳米から作られ、歯切れが良くもっちりとした食感に仕上がる。柏餅、粽、外郎等に向く。

だんご粉: 米粉の1つ。粳米と糯米から作られ、両者の中間的な特徴をもつ。串団子等に向く。

もち粉(求肥粉): 米粉の1つ。糯米から作られ、きめの細かいもちもちとした食感に仕上がる。求肥の他、どら焼き等の生地に混ぜることが多い。

白玉粉: 米粉の1つ。糯米から作られるが、もち粉とは製粉方法が違う。つるっとなめらかな食感に仕上がり、冷やしても固くならない。

グルテン(麩質): 小麦粉に水を加えることで得られる、粘り気の多い蛋白質の混合物。食物アレルギーの原因。

トウモロコシ(玉蜀黍)(とうきび、コーン): イネ科の作物。穀物としてはもちろん、家畜飼料や、澱粉(コーンスターチ)・油(コーン油)・バイオエタノールの原料としても重要。
米や麦と違って雌花と雄花がある。自家受粉を行わないため、ある程度の面積でまとまった数を栽培しないと十分な数の種子ができず、歯抜けになってしまう。
可食部のあるひとかたまりは雌花の集まりで、雌穂(しすい)という。「髭」と呼ばれる部分が雌蕊で、粒(種子)と髭の数は必ず同じになる。又、雌花は2つ1組で咲くため、粒や髭の数は必ず偶数になる。
中米のメソアメリカ地域原産で、旧大陸には16c以降に広まった。世界の生産量トップ3は米国、中国、ブラジル。国内生産量1位は北海道。北海道では「とうきび」と呼ぶことが多い。

緑黄色野菜: カロテンが多く、色が濃い野菜のこと。かぼちゃ、人参、ほうれん草等。対義語は「淡色野菜」。

ジャガイモ(馬鈴薯、ポテト): ナス科の地下茎を食べる茎野菜。澱粉質が主体で、欧州等では主食とする国も多い。米、麦、トウモロコシの三大穀物と並べて世界四大作物に数えられる。ビタミンC、カリウムも豊富。
南米のアンデス地域原産で、旧大陸には16c以降に広まった。世界の生産量トップ3は中国、インド、ロシア又はウクライナ。国内生産量トップ3は北海道(全体の70%以上)、長崎、鹿児島。

男爵いも: ジャガイモの代表的な品種の1つ。デンプンに富み、ホクホクした食感が特徴。明治期の北海道で農業近代化に貢献した男爵・川田龍吉(りょうきち)が米国から移入した。

メイクイーン: ジャガイモの代表的な品種の1つ。細長い形で、煮崩れのしにくさに定評がある。焦げ色が付きすぎるため、フライドポテト等にはあまり好まれない。

キヌア: ヒユ科の擬穀類。南米(インカ)原産。栄養価が高い「スーパーフード」の代名詞であり、サラダやスープに入れたり、米と一緒に炊いて食べられる。

アマランサス: ヒユ科の擬穀類。中米(アステカ)原産。キヌアよりも更に小粒。

枝豆: 大豆の未熟果。さや付きのまま塩水で茹でたものはビールのつまみの定番。

丸大豆: 醤油等に加工する大豆で、脂肪分を絞らず丸のまま使うもの。対義語は「脱脂加工大豆」。

だだちゃ豆: 枝豆用の大豆の1系統。山形県庄内地方の特産品。甘味と独特の濃厚な風味がある。

大納言: 小豆の大粒品種。煮ても腹切れしにくいため、切腹することが無い公卿の官位名が付いたという。

エンドウ(豌豆)(ピー): マメ科の野菜。中央アジア原産。様々な成長段階で食べられ、若菜は豆苗、若いさやは絹さやさやえんどう)、未熟果はグリーンピースと呼ぶ。
青豌豆の熟果を甘く煮詰めたものは鶯豆といい、鶯餡の材料にする。赤豌豆はみつまめや豆大福に使う。

インゲン(隠元): マメ科の野菜。中南米原産。江戸時代、隠元が黄檗宗と共に持ち込んだという。若いさやはさやいんげんと呼ぶ。金時豆キドニービーンズ等の赤豆、うずら豆虎豆等の斑入り豆、手亡(てぼう)等の白豆がある。

ササゲ(大角豆): マメ科の野菜。さやが非常に細長い。関東では小豆の代わりに赤飯に入れる。

賀茂なす: 茄子の品種。京野菜。大型の丸茄子。

トマティーヨ: ナス科ホオズキ属の野菜。メキシコ料理に欠かせない食材で、グリーンサルサに使われる。

トウガン(冬瓜): ウリ科の野菜。旬は夏だが、常温で冬までもつことから名付けられた。

ユウガオ(夕顔): ウリ科の野菜。瓢箪の食用の変種で、干瓢の材料。沖縄では干瓢にせず、「チブル」と呼んでそのまま煮物や炒め物、和え物にする。

干瓢(かんぴょう): 夕顔の果実を紐状に剥き、乾燥させた食品。水で戻して煮て、巻き寿司の具材等に使う。主な産地は中国。栃木県(壬生町等)が国内生産量の大半を占める。

サツマイモ(薩摩芋)(甘藷、十三里): ヒルガオ科の芋。江戸時代に日本に伝わり、〈栗より(九里四里)旨い十三里〉というキャッチコピーで人気を博した。十三里は、江戸から当時の名産地・川越までの距離でもある。

紅あずま: サツマイモの品種。関東で多く栽培される。

紅はるか: サツマイモの品種。'10年に登録された新品種。非常に甘い。

シルクスイート: サツマイモの品種。シルクのような食感が特徴。

鳴門金時: 徳島県産のサツマイモのブランド。

安納芋: 種子島産のサツマイモのブランド。甘味が強く、水分があり、焼くとねっとりした食感になる。

衣被(きぬかつぎ): 里芋を皮ごと蒸した料理。

海老芋: サトイモ科の芋。京野菜の1つ。縞模様と曲がった形から「海老」の名が付いた。

コンニャク(蒟蒻): サトイモ科の植物、又はその地下茎(蒟蒻芋)から作るプルプルした加工食品。「悪魔の舌」と呼ばれる独特すぎる花が咲く。

キャッサバ: 熱帯地域で生産する芋。タピオカの原料。作付面積あたりのカロリー生産量はあらゆる穀類・芋類の中で最も大きいが、食用とするには毒抜きが必要で、毒抜き後はすぐに製粉しなければ腐ってしまう。

ペコロス(小玉葱): 直径3-4cmの小さな玉葱。専用品種もあるが、一般的な玉葱の品種を通常の10倍程度に密植して作る場合もある。表皮が白いものは「パールオニオン」、赤いものは「ルビーオニオン」という。

ラッキョウ(辣韮): 地下茎を食べるヒガンバナ科の野菜。甘酢漬けはカレーの付け合わせの定番。

コールラビ: 茎を食べるアブラナ科の野菜。コールは「キャベツ」、ラビは「カブ」を意味するドイツ語。

セロリ: 茎や葉を食べるセリ科の野菜。独特の強い香りがある。加藤清正が朝鮮から持ち帰ったとされ「清正人参」という別名がある。

ブロッコリー: 花蕾と茎を食べるアブラナ科の野菜。キャベツの品種改良で生まれた。

ミョウガ(茗荷): 花を食べるショウガ科の野菜。東アジアの大陸部から生姜と共に持ち込まれた際、香りの強い方を「兄香(せのか)」と呼んだのが「ショウガ」、弱い方を「妹香(めのか)」と呼んだのが「ミョウガ」になったという。

食用菊: 花を食べる菊の総称。黄色や紫等、様々な花色がある。刺身やちらし寿司につまとして添える他、山形や新潟ではおひたしや胡麻和えにして食べることも多い。山形では「もってのほか」、新潟の中越地方では「おもいのほか」と呼ぶ。

キャベツ(甘藍(かんらん)): 葉を食べるアブラナ科の野菜。欧州原産で、明治期に日本に伝来。冬キャベツは葉が固く結球し、色が薄い。春キャベツは葉の巻きがゆるく、緑色が濃い。

壬生菜(みぶな): 水菜の品種。葉は丸みを帯び、普通の水菜のようなギザギザした切れ込みがない。千枚漬けの添え物に使う。

かき菜: 両毛地域のアブラナの在来種。葉野菜としての栄養価がとても高い。足が早いのが欠点。

エンダイブ: 葉を食べるキク科の野菜。非結球レタスに似ている。チコリーと近縁で、特有の苦みがあり、サラダのアクセントとして優秀。

九条葱: 薬味用の青葱の品種。京都の地名から。

黄ニラ: 光量を制限して栽培する黄色いニラ。中華料理の高級食材。

ホウレンソウ(菠薐草): 葉を食べるヒユ科の野菜。鉄分や葉酸(ビタミンの一種)が豊富。葉酸はホウレンソウから発見された。

タケノコ(筍): 竹の若芽。夏の季語。

姫皮: 筍の穂先近くにある、何枚も重なった薄く柔らかい皮。十二単を纏った女性貴族の姿になぞらえて名付けられた。

細竹(根曲がり竹): チシマザサの筍。一般的な筍より細い。輪切りにしたものが山菜水煮に入っている。

メンマ(麺麻)(シナチク(支那竹)): マチク(麻竹)(マダケ(真竹)とは別物の柔らかい竹)を発酵させた食品。中国・台湾で一般的な食材で、日本ではラーメンの具として知られる。

穂先メンマ: 筍の穂先の柔らかい部分を使ったメンマのこと。

ウルイ(ギボウシ(擬宝珠)): キジカクシ科の山菜。味は癖がなく、噛むと少しぬめりがある。

ブナシメジ(橅占地): シメジ科の茸。人工栽培に適して広く流通し、現在一般的にシメジといえばこれを指す。

ヒラタケ(平茸): ヒラタケ科の茸。日本の広葉樹林で最も一般的な食用キノコ。使い勝手や保存性で勝るブナシメジやエリンギの栽培が普及して流通量は減ったが、ヒラタケも癖がなくどんな料理にも合う。

エリンギ: ヒラタケ科の茸。日本では90sに栽培・流通が始まったためそれまで通称がなく、学名の「エリンギ」が通称となった。

マッシュルーム: ハラタケ科の茸。世界的に最も一般的な食用茸。ブラウン、ホワイト等の種類がある。「セイヨウマツタケ」「ツクリタケ」とも。

ポルチーニ: イグチ科の茸。香りが強い。マツタケやトリュフと同じく栽培は困難。丸々とした見た目から「子豚」を意味するイタリア語の名が付いた。

レモングラス: イネ科のハーブ。レモンに近い香りをもつ。トムヤムクン等の香り付けに使う。

カモミール: キク科のハーブ。白と黄色の小花を咲かせる。リンゴに近い香りをもつ。ハーブティーやアロマに使う。

セージ: シソ科のハーブ。ソーセージの語源という説がある。「治す」を意味するラテン語に由来する。

レモンバーム: シソ科のハーブ。レモンに近い香りをもつ。ハーブティー等に使う。蜜蜂を引き付けるため「メリッサ」ともいう。

パクチーコリアンダー香菜(シャンツァイ)): セリ科のハーブ。独特の香りはカメムシに喩えられることがある。

イタリアンパセリ: パセリの品種。葉が縮れず平たくなっており、味や香りの癖が少ない。

ローズヒップ: バラの果実。ビタミンCが非常に豊富。ハーブティーに使う他、食用・スキンケア用のローズヒップオイルの原料となる。

針生姜: 生姜を繊維に沿って細切りにした薬味。

ホースラディッシュ西洋わさび山わさび): アブラナ科の香味野菜。白い根には強い辛味があり、すりおろしたものがローストビーフ等の薬味に使われる。北海道では「山わさび」の名で栽培する。

五香粉(ウーシャンフェン): 中華料理で使うミックススパイス。主に肉桂(シナモン)、丁子(クローブ)、花椒、八角(スターアニス)、茴香(フェンネル)から成る。八角か茴香の代わりに陳皮を加えるものもある。

ガラムマサラ: インド料理で使うミックススパイス。主にシナモン、クローブ、ナツメグから成る。

ケッパー: 地中海原産の低木。蕾をピクルスにし、薬味にする。薄切りの玉葱と共にスモークサーモンの基本的な付け合わせとされる。刻んで、ハーブやニンニクと共にバターに混ぜたものを「モンペリエ・バター」という。

クリ(栗)(チェスナッツ、マロン): ブナ科の落葉樹。1~3個ずついがに包まれた堅果を加熱して食べる。国内生産量1位は茨城県。「銀寄(ぎんよせ)」「丹沢」「筑波」等の品種がある。

勝栗: 干し栗。干すことで甘味が増し、栗ご飯や煮物にすると絶品。

ギンナン(銀杏): イチョウの実。アルカロイドによる苦味がある。興奮作用があり、大量に食べるのは良くない。戦後の食糧難の時期には、子どもが食べ過ぎて死に至ることもあった。

ピスタチオ: ウルシ科のナッツ。種子は緑色。成熟すると殻果の一辺が裂けた独特の形状になる。

ペカンナッツピーカンナッツ): クルミ科のナッツ。クルミに似た味だが、より苦みが少なく、油脂由来の旨味が多い。米国が世界の生産量の大半を占める。ペカンはテキサス州の州木。

ブラジルナッツ: サガリバナ科のナッツ。マカダミアナッツのように味が濃く、粒が大きい(アーモンドの約2倍)。ブラジルナッツ効果(ミックスナッツ等の粉粒体を振ると、大きな粒が表面に浮き上がってくる現象)の語源。

コーラナッツ: アオイ科のナッツ。アフリカの熱帯地域に植生する。カフェインに富み、炭酸飲料のコーラは元々はコーラナッツのエキスを使うことから名付けられた。現在はコーラナッツを使わないコーラが多い。

アンデスメロン: メロンの品種。アンデス山脈とは関係ない日本の品種で、「安心です」が由来。

デラウェア: ブドウの品種。小粒で、種無しブドウとして流通することが多い。デラウェア州ではなく、オハイオ州のコロンバス近郊の町・デラウェアが由来。

柑橘類シトラス): ミカン科ミカン属・キンカン属・カラタチ属の総称。実は爽やかな香りと甘酸っぱい味をもつ。花は白色。

瓤嚢(じょうのう): 柑橘類の果肉を包む、房の薄皮のこと。

アルベド: 柑橘類の果皮の内側にある、繊維状又は綿状の白い部分。

ユズ(柚子): 柑橘類。果肉・果汁も好まれるが量は少なく、むしろ果皮を(主に和食で)香り付けに使う。高知県等で栽培が盛ん。

スダチ(酢橘): 柑橘類。果皮は緑色で酸味が強い。徳島県特産。

カボス: 柑橘類。果皮は緑色で酸味が強く、スダチより一回り大きい。大分県特産。

三ヶ日みかん(みっかび-): 浜松市三ヶ日地区周辺で生産する温州みかん。

グレープフルーツ: 柑橘類。バルバドス原産。果肉が白く酸っぱい「マーシュ」、果肉が赤く甘い「ルビー」の二大系統がある。実が葡萄の房のように実るため、名前に「グレープ」が付いた。

ブンタン(文旦)(ザボン、ポメロ): 柑橘類。東南アジア~中国南部原産で、現在の日本では高知県等で栽培が盛ん。
品種によるが、大きな実は2kgほどになる。黄色の皮は非常に分厚く、外皮はマーマレードに、アルベド(ワタ)は砂糖漬け等にすることが多い。

バンペイユ(晩白柚): 世界最大の柑橘類。ザボン類の1品種。日本では熊本県八代市周辺が産地。ギネス認定されている果実も熊本県産で5kg超。

スウィーティー: 柑橘類。グレープフルーツと文旦の交配種の1つ。皮は緑色で、甘味が強い。

メロゴールド: 柑橘類。グレープフルーツと文旦の交配種の1つ。大玉で甘い。

ナツミカン(夏蜜柑): 柑橘類。山口県長門地方の名物で、花は山口県の県花となっている。江戸時代に、南方から漂着した文旦系の柑橘の種を元に栽培が始まった。原木も現存する。

ダイダイ(橙、代々): 柑橘類。鏡餅に乗せる風習がある。生食にはあまり適さない。「代々」の名は、果実を付けたまま冬を越し、1本の木に数代の実が同居することから。

カラタチ(枳殻、枸橘): 柑橘類。果実酒や漢方薬の材料になる。柑橘類で最も耐寒性が強く、東北地方でも育つ。鋭い刺があり、かつては生垣によく使われた。名は「唐橘(からたちばな)」の略から。

モモ(桃)(ピーチ): バラ科の果樹。中国原産。山梨県と福島県で国内生産量の過半を占める。

スモモ(李)(プラム): バラ科の果樹。中国原産。「酸っぱい桃」が由来。プラムともいうが、英語の「プラム」は梅、杏、プルーン等、他のスモモ亜属の果実を含めた総称。
ちなみに、球形でない縦長のミニトマトを「プラム型」、略して「プラム」と呼ぶことがある。

ウメ(梅): バラ科の果樹。中国原産。和歌山県が国内生産量の過半を占める。実は古代から酸味料として使われたほど酸味が強く、青梅は梅酒に、完熟梅は梅干し等に加工することが多い。
鑑賞用の花木としても人気で、平安時代初期まで「花見」と言えば桜ではなく梅だった。「春告草(はるつげぐさ)」「好文木(こうぶんぼく)」等の別名がある。

南高梅(なんこううめ/なんこうばい): 梅の品種。和歌山県のブランド品種として知られる。品種認定に尽力した教員を讃え、和歌山県立南部高校(みなべ-)の通称から名付けられた。

ビワ(枇杷): バラ科の果樹。中国原産。国内生産量1位は長崎県。実が卵型で楽器の琵琶に似ていることから名付けられた。

リンゴ(林檎)(アップル): バラ科の果樹。コーカサス地方原産。日本には古代からワリンゴ(和林檎)があったが、現在一般的なセイヨウリンゴ(西洋林檎)は幕末に移入された。青森県が国内生産量の過半を占める。
実は野菜や果物を追熟させるエチレンガスを出し、キウイフルーツは一緒に置いておくと甘くなる。ジャガイモは芽が出にくくなる。

ル・レクチエ: 洋梨の品種。新潟県の特産品。甘みが強い。

ドレンチェリー: サクランボを砂糖漬けにして着色し、水分を飛ばした食品。クッキーの具材によく使う。

マルメロ(セイヨウカリン): バラ科の果樹。「マーマレード」という言葉の由来になったという説がある。

とちおとめ: 苺の品種。'95.出荷開始。女峰(にょほう)に代わり、栃木県の代表品種となった。

あまおう: 苺の品種。品種名は「甘い」「丸い」「大きい」「旨い」の頭文字から。'02.出荷開始。とよのかに代わり、福岡県の代表品種となった。

クコ(枸杞)(ゴジベリー): 赤いベリーの1種。杏仁豆腐のトッピングや薬用酒の材料として使う。

ミラクルフルーツ(ミラクルベリー): 赤いベリーの1種。実自体は甘くないが、次に食べた物を甘く感じさせる特徴をもつ。

熱帯果樹トロピカルフルーツ): 専ら熱帯・亜熱帯地域で生産される果樹の総称。果実が大きい傾向がある。

キャベンディッシュ: バナナの品種。50s以来、最も流通量が多い品種で、国際取引されるバナナの大半を占める。

アボカドワニナシ(鰐梨)): クスノキ科の熱帯果樹。メキシコ原産。栄養価が高い果実は「森のバター」とも。人間以外のほとんどの動物にとっては毒。ナワトル語で「睾丸」を意味する。

アップルマンゴー: マンゴーの種類。果実が大きく、オレンジ色の果肉と濃厚な甘みが特徴。メキシコ生まれの系統で、宮崎や沖縄でも栽培する。

ペリカンマンゴー(フィリピンマンゴー): マンゴーの種類。黄色く扁平な果実がペリカンの嘴に似る。

タマリンド: マメ科の熱帯果樹。黒褐色の果肉はペースト状で酸味がある。ジュースは赤っぽい色合いになる。

ノニ(ヤエヤマアオキ): 熱帯果樹。インドネシアで多く産する。ノニジュースが健康食品として知られる。

パッションフルーツ: 熱帯果樹。果実は直径約5cmで、濃い紫色や赤色の表皮、小さくて堅い種を多く含む黄色いゼリー状の果肉が特徴。花の形が十字架に架けられたイエス・キリストの受難(パッション)を思わせることから名付けられた。

パラミツ(波羅蜜)(ジャックフルーツ): 熱帯果樹。皮は緑色、果肉は黄色。世界最大の果実で、長さ70cmに達することもある。

千疋屋: 東京に本店をもつ果物専門店、フルーツパーラー。日本橋の千疋屋総本店と、のれん分けされた京橋の京橋千疋屋、銀座の銀座千疋屋がある。江戸時代創業。

新宿高野: 新宿3丁目に本店をもつ果物専門店、フルーツパーラー。明治期創業。

渋谷西村: 渋谷駅前に本店をもつ果物専門店、フルーツパーラー。明治期創業。

牛乳: 牛の乳(生乳)を加熱殺菌した液体。栄養価が高く、直接飲んだり、様々な乳製品や料理・菓子の材料にしたりする。色が白いのは、乳脂肪分やカゼインの微粒子が光を散乱するチンダル現象のため。
温めると、表面近くの水分が蒸発し、乳脂肪分とカゼインが固まって膜が出来る。生乳の国内生産量は北海道が過半を占め、2位以下に栃木、熊本…と続く。

ホルスタイン: 世界中で主に乳牛として利用する牛の品種。黒白斑が特徴。1日の搾乳で牛乳約30ℓが得られる。ドイツ北端・ホルシュタイン州等で古代から飼育される在来種だが、ホルスタイン以上の乳量の牛種は今もいない。

ミルメーク: 牛乳用調味料の商品名。'67.発売。コーヒー味、いちご味、ココア味等がある。牛乳が苦手でもミルメークを混ぜると飲める子が多いため、学校給食で普及した。

加糖練乳コンデンスミルク): 糖分を加えて牛乳を濃縮したもの。

無糖練乳エバミルク): 糖分を加えずに牛乳を濃縮したもの。

バター: 牛乳から分離したクリームを練って固めた油脂。中世までの欧州では「野蛮人の食べ物」とされ、塗り薬や化粧品に使ったという。

ナチュラルチーズ: 生乳を乳酸菌や凝乳酵素で固め、熟成させたもの。世界中に1000以上の種類があり、フレッシュ、白カビ、青カビ、ウォッシュ、シェーブル、セミハード、ハード等の分類がある。

プロセスチーズ: ナチュラルチーズを加熱して溶かし、再成形したもの。加熱処理で乳酸菌が死滅し熟成が止まるため、保存性に優れる。
日本ではスライスチーズや6Pチーズ等、身近なチーズの多くがプロセスチーズだが、チーズの本場・欧州では存在感が薄い。

フレッシュチーズ: ナチュラルチーズの分類の1つ。熟成を少ししか行わない、又は全く行わないチーズ。

ウォッシュチーズ: ナチュラルチーズの分類の1つ。液体(塩水、ワイン、ブランデー等)を吹き付けながら熟成させたチーズ。

フェタ: ギリシャのフレッシュチーズ。主に羊の乳が原料。

カマンベール: フランス・ノルマンディー地方発祥の軟質白カビチーズ。18c末にカマンベール村の農家の女性が発明した。

グリュイエール: スイスのハードチーズ。チーズフォンデュやラクレットに使う。

ペコリーノ: イタリアのハードチーズ。羊の乳が原料。羊を意味するイタリア語から。

リコッタ: ホエイを煮詰めて作る乳清チーズ。「再び煮た」を意味するイタリア語。

乳清ホエイ): 乳から乳脂肪分やカゼインを除いた水溶液。ヨーグルトの上に溜まる液体はこれ。チーズの生産過程で大量に発生し、加工食品に使われたり家畜飼料になったりする。

クロテッドクリーム: 牛乳を煮詰めて表面で固まった脂肪分から作るクリーム。ジャムと共にスコーンに付けて食べる。

明治: 日本の大手食品会社。'09年に明治乳業と明治製菓が経営統合し、グループ再編を経て、牛乳・乳製品、菓子、市販薬を主要分野とする食品・医薬品メーカーとなっている。
旧乳業・旧製菓ともに大正期創業だが、共に(今は亡き)明治製糖の傘下に入って発展したことから「明治」を名乗るようになった経緯がある。

鶏卵(卵、玉子、エッグ): 鶏の無精卵。栄養価が高く、黄身(卵黄)、白身(卵白)とも蛋白質に富む。日本は鶏卵消費大国で、国内生産量トップ3は茨城、鹿児島、千葉。
保管する際は、気室がある滑らかな面を上に、尖った面を下に置く。気室は長く置くほど拡張するため、古い卵は水に浮く。冷凍保存すると、解凍後に黄身がねっとりする利点があるが、かえって足は早くなる。
殻には目に見えない細かい穴が空いており、二酸化炭素を出し酸素を摂り入れる「呼吸」をしている。生みたての卵は二酸化炭素が多く、1週間ほど置いた方が美味しいという。
殻の色は鶏の品種によって違うが、卵黄の色は鶏が食べた餌のカロテンの量で決まる。紫のトウモロコシ等を餌に使って育てることで、赤みの強い黄身ができる。

卵殻膜: 卵の殻の内側にある薄い膜。茹で卵にすると「薄皮」としてにわかに存在感を発揮する。昔は力士が怪我をした時、傷口に卵殻膜を貼り、傷を治したという。現在では廃棄するだけでなく、化粧品等に再利用することがある。

ぷよぷよ卵: 卵を数日間酢に浸し、殻を溶かしてプヨプヨにしたもの。浸透圧の関係で卵殻膜の内側に水分が移動し、元の卵よりサイズが大きくなる。味はとても食べられたものではない。子どもの自由研究の題材の定番。

ピータン(皮蛋): 中華料理の食品で、アヒルの卵を強いアルカリ性の条件で熟成させたもの。

鶏肉かしわ、チキン): 鶏の肉。国内生産量トップ3は宮崎、鹿児島、岩手。50sにブロイラーの生産効率が大きく上がり、比較的安価な肉となって、日本では焼き鳥屋が、米国ではKFCの店舗が大量に誕生した。
ちなみに、鶏肉に電流を流すと熟成が進み、旨味が増え肉もほぐれて美味しくなる。実際にやっている業者もあるとか。

ブロイラー: 短期間で大きく育つように改良された肉用の若鶏の総称。品種名ではない。

地鶏: 日本在来種、又は親鶏のどちらかが日本在来種である、平飼いの国産鶏の総称。

烏骨鶏(うこっけい): 鶏の品種。日本在来種。皮膚・骨・内臓が黒い。羽色は白、褐色、黒のものがある。全ての個体が多指症で、鳥類は普通4本指であるところが5本指である。
卵は栄養に富むとされるが産卵数が少なく、1個500円ほどで売られる。

手羽元: 鶏の翼の付け根(二の腕に当たる部分)の肉。程良い弾力で食べ応えがある。手羽先よりも脂肪分が少ない。食べやすくするために、肉を骨から剥がし、めくるようにして片側に寄せ、骨の部分を持ち手にする「チューリップ」という調理法がある。

手羽中: 鶏の翼の中央部(前腕部分)の肉。肉と共にゼラチン質部分が多い。縦2分割した「手羽中ハーフ」の形で、尺骨(太い骨)周りの肉、橈骨(細い骨)周りの肉を2種類混ぜて売ることが多い。

手羽先: 鶏の翼の先の部分(手に当たる部分)の肉。肉は少なく、多くがゼラチン質と脂肪。

やげん軟骨: 鶏の胸骨の、コリコリした先端部分。おつまみの素材になる。薬研(やげん)に似ていることから。

三元豚(さんげんとん): 3つの品種を掛け合わせた一代雑種の豚。国内で生産される豚肉の大部分を占める。

マンガリッツァ: ハンガリーの豚の品種。羊のような体毛をもつ。かつて絶滅の危機に瀕したためハンガリーの国宝となり、「食べられる国宝」として知られる。
動物の品種が「国宝」なのは変な感じだが、日本でいうところの特別天然記念物と考えれば良かろう。

スペアリブ: 豚の骨(肋骨)付きバラ肉。

ハモン・セラーノ: スペインで白豚から作られる、鮮やかなピンク色の生ハム。「山のハム」を意味する。

グアンチャーレ: 豚の頬肉の塩漬け。カルボナーラ等に使う。

ウィンナー: 羊の腸、又は直径2cm未満のケーシングに詰めたソーセージ。主なブランドに、日本ハム「シャウエッセン」、伊藤ハム「アルトバイエルン」、プリマハム「香薫」、丸大食品「燻製屋」等。

サルシッチャ: 腸詰め肉で、ソーセージと違い燻製を行っていないもの。イタリア料理でよく使う。

和牛: 黒毛和種・褐毛和種・日本短角種・無角和種の4品種の牛、又はそれらの交雑種で、日本国内で生育したもののこと。飼育頭数の約95%を黒毛和種が占める。

アンガス牛: スコットランドのアンガス地方等を原産地とする肉牛。肉が柔らかく、アンガス牛の出現によってステーキが普及したという。

カイノミ: 牛肉の部位。バラ肉の中で背中に近い側にある。切り出した形が貝に似ているとされたことから。

ハラミ/サガリ: 牛や豚の横隔膜の周囲の肉。ジューシーで弾力がある。厳密には別の部位だが、関東では区別せずにどちらもハラミ、北海道ではどちらもサガリと呼ぶことが多い。

ミノ: 牛の第1胃(反芻胃)の肉。

ハチノス: 牛の第2胃(反芻胃)の肉。蜂の巣のような網の目がついており、食感に特徴がある。

センマイ: 牛の第3胃(栄養を吸収する胃)の肉。何枚ものヒダが付いた独特の見た目で、コリコリとしている。茹でたものを「センマイ刺し」として食べる。

ギアラ: 牛の第4胃(胃液を分泌する胃)の肉。

レバー: 肝臓のこと。牛レバーの料理の定番に、ニラと合わせて炒める中華風のレバニラ炒めがある。一般にどんな動物でも肝臓は栄養価が高く、肉食獣は獲物を手に入れると、まず肝臓から食べることが多い。

牛フワ: 牛の肺の部分の肉。癖が少なく淡泊。

スッポン: 淡水生の亀の一種。角質化していない柔らかい甲羅や、豚のような鼻が特徴。滋養強壮の食材・薬材として知られ、肉質はコラーゲンを豊富に含む。
東日本全域に生息し、古代からポピュラーな食材だった。現代では専ら養殖され、高級な和食ではスッポンの出汁や吸い物、鍋物(まる鍋)が珍重される。

培養肉: 動物の可食部の細胞を組織培養して得られる肉。動物の犠牲を減らすことができ、衛生的であり、将来的に環境負荷や生産効率の面でもメリットが見込まれるため、大きく注目されている。'23.イタリアが食文化保護のため生産・販売を禁止。

シラス: 鰯やイカナゴの白い稚魚。釜で塩茹でしたものを「釜揚げシラス」、それを干して水分量を7割ほどにしたものを「シラス干し」、更に干して水分量を5割以下にしたものを「ちりめんじゃこ(縮緬雑魚)」という。

チリメンモンスター: シラスに混じった小さなイカやタコ、タツノオトシゴのこと。

畳鰯(たたみいわし): シラスを漉いて薄い板状に広げ、天日干しした食品。

時知らず: 春~夏に北海道沿岸で獲れる若い鮭。脂がのっていて美味。呼び名は秋の漁獲期に外れていることから。

氷頭(ひず): 鮭の頭部の軟骨。なます等にして食べる。呼び名は氷のように透明なことから。

山漬け: 北海道の伝統的な発酵食品。鮭を山のように積み上げ、上下を入れ替えながら数日かけて塩漬けにする。

イクラ: サケ・マス類の魚卵。卵巣膜に包まれたままのものを筋子というのに対し、膜を取り除いて1粒ずつに分けたものをいう。甘口の醤油漬けにして食べることが多い。
ロシア語由来の言葉だが、ロシア語では魚卵全般を指す言葉で、筋子はもちろん、鱈子も数の子もキャビアも「イクラ」と呼ばれる。

モルディブフィッシュ: モルディブの特産品として知られる、マグロを固く乾燥させた食品。日本の鰹節に似ている。南インドでも定番の食材。

鰹節: 鰹の身を煮たものを燻乾させ、更にカビ付けして水分や油分を少なくしたもの。又はそれをカンナで薄く削った削り節のこと。

追い鰹: 鰹出汁を使う料理で、調理の最後に改めて鰹節を入れ、香りと旨味を加えること。

どんちっちアジ: 島根県浜田市名産の鯵。脂の乗りが良い。石見神楽の囃子を表した言葉から。

ヒラマサ(平政): アジ科の海水魚。成魚は全長1mを超えるアジ科の最大種。ブリと交雑することがある。高級魚として知られ、ブリより脂肪が少なく歯ごたえがある。

マナガツオ(真魚鰹): マナガツオ科の海水魚。平たい菱形の体型が特徴的。西日本では多く獲れるが東日本ではあまり知られていない。
鰹には似ていないが、鰹の獲れない瀬戸内海で、夏に獲れるマナガツオを鰹に見立て「真似ガツオ」と呼んだのが由来という。

クエ(垢穢、九絵): ハタ科の海水魚。沿岸部の岩礁等に生息する。脂がのった白身魚。釣り人が憧れる高級魚で「クエ釣り名人」と呼ばれる人々もいる。

ハタハタ(鰰): ハタハタ科の海水魚。秋田県の県魚。様々な食べ方があり、しょっつると呼ぶ魚醤にも加工する。

ブリコ: ハタハタの卵。秋田県では、海藻に産み付けられたブリコが、荒波で浜を覆い尽くすほど大量に打ち上がることがある。

ホウボウ(魴鮄): ホウボウ科の海水魚。胸鰭を翼のように開くことができ、開いた鰭は半円形で大きく、鮮やかな青緑色をしている。刺身や煮付けで食べる。

タチウオ(太刀魚): タチウオ科の海水魚。平たく長い体型(2m以上に達するものも)、鱗がなく銀色に輝く体色、獰猛そうな鋭い歯、水面の獲物を狙い垂直に立って泳ぐ習性が特徴的。身は柔らかく美味。

ウルメイワシ(潤目鰯): 鰯の1種。マイワシやカタクチイワシより大型。傷みが早いため主に干物として流通する。

ニシン(鰊): ニシン科の海水魚。北海道では春、産卵のために沿岸に現れることから「春告魚(はるつげうお)」ともいう。

シュールストレミング: スウェーデンの鰊の缶詰。「世界一臭い食べ物」と名高い。発酵してガスが溜まり缶が破裂する恐れから、空輸が禁じられている。

コノシロ(鰶、鮗): ニシン科の海水魚。出世魚で小さいものはコハダといい、酢〆は寿司ネタとして不動の人気がある。有明海での漁獲量が多い。音にデリケートなため、船のエンジンを止め、静かに網を投げ入れて漁をする。

サンマ(秋刀魚): サンマ科の海水魚。一昔前は日本で最もメジャーな焼き魚だったが、近年、水揚量が激減。栄養価が高く「秋刀魚が出ると按摩が引っ込む」という言葉がある。
胃をもたない魚で、食べた餌は数十分で消化・排出する。漁はサンマが食事をしない夜に行うため、内臓には内容物が残っておらず、肝の部分も胆汁の仄かな苦みが付いているだけで雑味が無く、美味となる。

コマイ(氷下魚): タラ科の魚。北海道等で干物にして食べることが多い。冬に氷を割って漁獲(氷下待ち網漁)したことから名付けられた。

ボラ(鯔): ボラ科の海水魚。出世魚で幼魚はイナという。内湾に多く棲息し、街中の水路や運河でも見かける。時に大挙して河口に押し寄せ、ニュースになる。白身魚で、水質が良い所で釣れば美味しい。

カサゴ(笠子): メバル科の海水魚。沿岸部の岩礁等に生息する。脂がのった白身魚で様々な料理に使う。

ウッカリカサゴ: メバル科の海水魚。カサゴとほぼ区別がつかないことから名付けられた。カサゴと区別されず流通している。

トクビレ(特鰭)(ハッカク(八角)): トクビレ科の海水魚。体の断面が八角形をした、可食部の少ない白身魚。北日本沿岸に生息する。小樽名物(北海道では「八角」という)。

フグ(河豚): フグ科の魚(マフグ、トラフグ等)の総称。日本のフグは海水魚だが、中国では川に住むメフグが身近なため、漢字に「河」が入る。
体の様々な部位に毒(テトロドトキシン)が濃縮しており、フグの調理には免許(ふぐ調理師)が必要。フグは多くの脊椎動物にとって有毒な貝類やヒトデも食べるため、生物濃縮が起こるのであり、無毒な餌しか食べない養殖フグは無毒である。

城下かれい(しろした-): 大分県日出町(ひじまち)特産のカレイ。江戸時代からの名で、別府湾に面した高台に建つ日出城の近くで獲れたことから。

ヒラメ(鮃、平目): ヒラメ科の海水魚。白身魚。海底から常に上を向いている目は体の左側にあり〈左ヒラメに右カレイ〉といってカレイと区別する。カレイより大型。
常に上層部の機嫌ばかり窺う人を「ヒラメ人間」と喩えることがある。

アカヤガラ(赤矢柄): ヤガラ科の海水魚。体の半分が口で出来ているように見えるほど細長い筒状の口を使い、岩や珊瑚の間に潜む獲物を吸い込む。白身の高級魚。

ハモ(鱧): ハモ科の海水魚。鰻と近縁で円筒形。鱧の湯引きは夏の味覚として京料理に欠かせない。
骨格が複雑で調理には技術が要るが、生命力が強く、輸送技術が未発達の時代でも、夏に大阪湾や瀬戸内海から京都まで生きたまま運べる数少ない魚だった。

ウツボ(鱓): ウツボ科の海水魚。鰻と近縁で円筒形。鋭い歯をもつ「海のギャング」。ゼラチン質や旨味に富み、四国等で食べられる。

ガニ: 蟹のえら。腹にある三日月形の部分。格言で〈蟹は食うともガニ食うな〉という。

タラバガニ(鱈場蟹): タラバガニ科の甲殻類。水産物の統計ではカニとして扱うが、生物学的にはカニではなくヤドカリ。
外から見える脚の数も他の蟹のように10本ではなく、8本しかない(本当の脚の数はタラバも10本だが、2本は鰓の中にあり鰓のゴミを外に出すために使われている)。
脚を広げると1mを超える大きさに成長する。全身が棘状の突起で覆われている。 他の蟹と違い、蟹みそは食用に適さない。

タコ(蛸)(オクトパス): タコ目の軟体動物の総称。8本足の海洋生物で、危険を感じると墨を吹く。
敵に襲われた際、捕らえられた足を切り離して逃げることができ、後に足は再生するが、切り口によって2本に分かれて生えることもある。日本で96本足のタコが捕獲されたことがある。
心臓が3つあり、脳は9つもある。1本1本の足に小さな脳があり、独立して味や触感を確かめ、動くことができる。足のうち1本の先端に生殖器がある。
道具を使うこともでき、最も賢い無脊椎動物だという。〈このタコ!〉は使い古された罵倒語だが、最新の知見を踏まえれば褒め言葉なのかもしれない。

イイダコ(飯蛸): 浅瀬に住む小型のタコ。大型のマダコやミズダコの旬が夏なのに対し、イイダコの旬は冬から春。

サンナッチ: 韓国料理として知られる、蛸のぶつ切りの踊り食い。胡麻油と塩で味付けすることが多い。よく噛んで食べないと活きた吸盤が喉に吸い付くことがあり、危険な食べ物としても知られる。

ハマグリ(蛤): 東アジアの浅瀬に住む二枚貝。かつて「ハマグリ」が二枚貝の総称だったほど一般的な食材だったが、埋立や護岸工事の影響もあり、日本では九州沿岸を除き絶滅に近い状態にある。
同一個体の殻でなければぴったり噛み合わないため貞節の象徴とされ、結婚式でハマグリの吸い物が出ることがある。古くからの遊戯「貝合わせ」にもハマグリを使うことが多かった。

バカガイ(馬鹿貝)(青柳(あおやぎ)): 東アジアの浅瀬に住む二枚貝。伝統的に関東で一般的な食材。初期の深川めしにはアサリでなくバカガイを使った。

カキ(牡蠣)(オイスター): カキ目の二枚貝。海の岩から「掻き落とす」ことから名付けられたという。「海のミルク」の異名がある。
カキフライや鍋の具にする他、生牡蠣も人気だが、「あたる」リスクが高い食品として知られる。一般に冬から初春が旬で、英語名にRが付かない月(5-8月)のマガキの生食は特にリスクが高い。
独特の風味は貝類の内臓の味に由来するという。TV番組で、多くの人が「ハマグリの内臓を寄せ集めたもののフライ」とカキフライを区別できないことが検証された。

ムール貝(ムラサキイガイ(紫貽貝)): 地中海沿岸原産の二枚貝。あっさりした味で柔らかい。繁殖力が強く、海水でも淡水でも生きることができ、船底等に付着して世界中の温帯域に広がっている。

ホヤ: 脊椎動物に近縁な海の動物。「海のパイナップル」と呼ばれ、三陸地方等ではよく食べる。「ホヤ貝」と呼ばれることもあるが貝ではない。
ホヤの卵(らん)は「モザイク卵」と呼ばれ、ある部分が体のどの部分になるかが早い段階で決まっており、一部が失われると対応する部分が欠損した胚に成長する。

莫久来(ばくらい): ホヤとコノワタを一緒に塩辛にした珍味。

海苔: 食用の紅藻、緑藻、藍藻の総称。江戸時代に養殖が始まった。

板海苔: 海苔を紙状に漉いて乾かした食品。一般に、火で炙ったものは焼き海苔、砂糖醤油等で味付けしたものは味付け海苔という。江戸時代に流通が始まり、おにぎりや海苔巻きが登場した。

海ぶどう: クビレズタという海藻の、食用の際の名称。日本では南西諸島に分布する。プチプチとした食感があり、三杯酢や醤油をタレのように浸けて食べる。

ゆかり: 三島食品が販売する、赤じそを使った紫色のふりかけ。姉妹品に青じそを使った「かおり」、ピリ辛たらこを使った「あかり」、カリカリ梅を使った「うめこ」等。

天むす: 海老天のおにぎり。津市の定食屋で発祥し、発祥店は現在は天むす専門店になっている。おにぎりの上の方に天ぷらが見えるタイプは名古屋流。80sに名古屋で人気となり、笑福亭鶴瓶がメディアで全国に紹介した。

おむすび権兵衛: 首都圏を中心に展開するおむすび専門店。おむすびのサイズが大きめ。

茶漬け(ぶぶ漬け): 米飯に茶や出汁をかけた料理。京都弁で「ぶぶ漬け」。'52.永谷園が海苔と粒あられ(ぶぶあられ)を使ったインスタント茶漬けを発売。
京都人の回りくどいコミュニケーションを表す例で、「客人に〈ぶぶ漬けでもどうどすか〉と勧めるのは、暗に帰宅を促す合図」という話が有名。但し、この話はあまりに擦られすぎて、今どき実際にやる人はいないかもしれない。

奈良茶飯(-ちゃめし): 炊き込みご飯の一種。米に炒り豆や焼栗、季節の野菜等を加え、塩や醤油、山椒で味付けしたお茶で炊き込んだもの。
奈良発祥だが、江戸時代前期の浅草でブームになった。当時の奈良茶飯屋は「定食屋の原点」「日本の外食文化の始まり」ともいわれる。

天丼: 天ぷらを載せた丼物。醤油・味醂・砂糖等を合わせて煮切った濃い目の丼つゆをかけることが多い。
単に「天丼」という場合、近年では海老、かぼちゃ、いんげん等様々な天ぷらが載ったものも多いが、昔から蕎麦屋では「大きめの海老天が2本だけ」という定型的な様式がある。
お笑いで、同じボケを2回以上被せる手法を「天丼」というが、これは海老天が2本乗った天丼に由来するという説がある。

木の葉丼: 薄切りの蒲鉾と青葱を卵で綴じた丼物。

タンポポオムライス: オムレツに包丁を入れると半熟の中身が全体に広がるオムライス。伊丹十三監督の映画『タンポポ』('85)から。

バッテラ: 〆鯖の押し寿司。小舟(ボート)を意味するポルトガル語から。代表的な大阪寿司。

かぶら寿司: かぶら(蕪)に切り込みを入れ、鰤等の魚を挟んで発酵させたなれずし。石川県・富山県の郷土料理。

バンズ: 甘味や塩味が少ない丸パン。ハンバーガーの上部用のものはクラウン、下部用のものはヒールという。

パン・ド・カンパーニュ: フランスパンの一種。ライ麦粉や精製度の低い小麦粉を使い、大振りに作られる。直訳は「田舎パン」。

クープ: フランスパンを綺麗に膨らませるために入れる、斜めの切れ込みのこと。

チャパティ: 南アジアの平焼きパン。全粒粉を原料とし、生地を発酵させずに鉄板で焼く。

フォカッチャ: イタリアの平焼きパン。ピザ生地の原型。「火で焼いたもの」を指すイタリア語から。

イングリッシュマフィン: 英国発祥の、コーンミールをまぶした丸いパン。普通のパンよりも水分が多くカビやすい。

メロンパン: 甘いビスケット生地を乗せて焼いた菓子パン。西日本の一部では「サンライズ」、広島県呉市では「コッペパン」と呼ぶことがある。

シュトーレン: ドイツ発祥の菓子パン。クリスマスに食べる。生地にドライフルーツやナッツを練り込んで焼き上げ、粉砂糖をまぶす。

パネトーネ: イタリア発祥の菓子パン。クリスマスに食べる。ブリオッシュ生地の中にドライフルーツなどを混ぜ、ドーム型に焼き上げる。

マリトッツォ: イタリア発祥の菓子パン。生クリームをたっぷり挟む。「夫」を意味するイタリア語から。

スコーン: スコットランド発祥の菓子パン。側面の腹割れ線(狼の口)が大きいほど美味しいという。

サブマリン・サンドイッチ: 棒状のパンを縦に2つにスライスし、具材を挟んだサンドイッチ。サブウェイのサンドイッチが代表例。潜水艦に見立てた名称。

パニーニ: イタリア発祥のホットサンド。波型の鉄板で焼き目を付ける。「小さなパン」を意味するイタリア語。

クロックムッシュ: ハムやチーズを挟み、ホワイトソース等を塗ったホットサンド。目玉焼きを載せたものは「クロックマダム」という。

ツナメルト: ツナとチーズを入れたホットサンド。

カナッペ: 薄切りのパンやクラッカーの上に具材を乗せた前菜料理。

ブルスケッタ: イタリア発祥の、ニンニクをすり込ませてトーストしたパンの上に具材を乗せた前菜料理。

イギリストースト: 青森県を中心に販売されるご当地ロングセラー商品。食パンにマーガリンと砂糖が練り込んである。パッケージのユニオンジャックが印象的。

ドンク: 神戸市の製パン企業。ベーカリー「DONQ」や、ミニクロワッサン等を計量販売する「Mini One」を全国展開する。

ビスマルクピザ: 中央に半熟卵を乗せたピザ。ドイツの政治家・ビスマルクが好んだことから。

ピザハット: 米国に本社を置く宅配ピザチェーン。「ハット(hut)」は小屋の意味で、ロゴに描かれた赤い帽子のようなものは帽子ではなく小屋の屋根。

へぎそば: 新潟県魚沼地方発祥の蕎麦。つなぎに小麦粉ではなく布海苔を使い、ツルツルした食感が特徴。「へぎ」という木製の器に盛り付ける。

戸隠そば(とがくし-): 長野市戸隠のご当地蕎麦。円形のざるに「ぼっち盛り」で、大根おろしを薬味に供する。わんこそば、出雲そばと共に日本三大蕎麦に数える。

出雲そば: 島根県出雲地方のご当地蕎麦。円形の重箱に盛り、上の段からだし汁をかけて食べていく「割子そば(わりご-)」、蕎麦湯ごと供する「釜揚げそば」等の食べ方がある。わんこそば、戸隠そばと共に日本三大蕎麦に数える。

きしめん(棊子麺): 平たい形状のうどん。名古屋名物。「棊子」は碁石の別称で、元々は生地を碁石のような丸い形にくり抜くものだったという説がある。

釜揚げうどん: 茹でたうどんを、水で締めずに食べる料理。通常のうどんのようなコシやエッジがなく、表面にはぬめりがある。
讃岐うどんの店で「つけ出汁」と共に提供することが多い。特に丸亀製麺では看板メニューであり、かけうどんやぶっかけうどんよりも安い価格で提供する。

ひっぱりうどん: 山形県のご当地うどん。納豆やサバ缶を混ぜたタレに付けて食べる。

肉吸い: 大阪の名物料理。80sに難波のうどん屋「千とせ」で、吉本新喜劇の花紀京が〈肉うどん、うどん抜きで〉と注文したことから生まれた。

揖保乃糸(いぼのいと): 兵庫県南西部産の手延べ素麺のブランド。

サンマーメン: 神奈川県(横浜中華街発祥)のご当地ラーメン。麺の上に、炒めたモヤシ入りの餡をかける。

富山ブラック: 富山市のご当地ラーメン。醤油を濃くした黒っぽいスープが特徴。

徳島ラーメン: 徳島県のご当地ラーメン。茶・白・黄の3系統がある豚骨スープと、茹でた豚バラ肉や生卵のトッピングが特徴。

担々麺: 辛く味付けした挽肉やザーサイの細切りを載せた中華麺。四川料理。かつて天秤棒で担いで売り歩いたことから名付けられた。

横手焼きそば: 秋田県横手市のご当地焼きそば。甘めのソース焼きそばで、目玉焼きをトッピングし、紅生姜ではなく福神漬を付け合わせる。

イタリアン: 新潟県のご当地焼きそば。トマトソースやミートソースをかけた洋風焼きそばで、新潟市を中心とするカフェテリアチェーン「みかづき」で発祥した。

キリマルラーメン: 愛知県西三河地方のご当地インスタントラーメン。「カピバララーメン」「ハローキティラーメン」等、多数の派生商品やコラボ商品がある。'65.キリンラーメンとして発売。'18.名称変更。

ペヤング: まるか食品のカップ焼きそばのブランド。'73.発売。カップ麺が高価だった時代、ヤングでもペアで分け合って食べてほしいとの願いで名付けられた。

リガトーニ: 太い円筒状(マカロニやペンネよりかなり太い)で、縦の筋が入ったショートパスタ。

アラビアータ: 唐辛子の利いたトマトソースを使うパスタ料理。食べると辛さのせいで怒ったような顔になるため「怒ったような」を意味するイタリア語の名が付いた。アラビアとは無関係。

ビーフン(米粉): 中国発祥のライスヌードル。素麺のように細長い。

クイッティアオ(クイティアオ、クイッティオ、クイティオ、クァイティオ): タイのライスヌードル。タイの国民的軽食の1つ。

粉物料理粉もん): たこ焼き、お好み焼き等の、小麦粉と水から成るシンプルな生地を使った料理。戦中・戦後の米不足の中で安価な軽食として広まり、特に関西で郷土食となったものが多い。

たこ焼き: 蛸と薬味を入れて球形に焼き上げた粉物料理。ソース、マヨネーズ、青海苔等をかけて食べることが多い。
ルーツは明石焼きだが、戦後のとんかつソース発明により現在に近い味付けが広まり、50sの関西で爆発的に普及。今では日本を代表するファストフードとなっている。

築地銀だこ: たこ焼き屋。実演販売を行う全国チェーン。たこ焼きの本場・関西人には〈たこ焼きではなく、たこ揚げ〉と評されるほどの揚げ焼きが特徴。'97.群馬県でスーパーのテナントとして創業。'98.中野区に初の路面店出店。築地にも出店している。

捨て漬け: 糠床を作る時に欠かせない、乳酸菌を増やすために野菜くずを漬け込む作業。

いぶりがっこ: 秋田県(湯沢市・横手市周辺)名物の漬物。大根等の野菜をいぶって(燻製にして)から沢庵のように漬ける。

おみ漬け: 山形県名物の漬物。山形県特産の青菜(せいさい)(高菜の仲間)等の野菜を細かく刻み、塩に漬けたもの。

キムチ: 韓国の漬物。唐辛子、魚介塩辛、ニンニク等を使い乳酸発酵させたもの。「ペチュキムチ」は白菜、「オイキムチ」は胡瓜、「カクテキ」は大根のキムチを指す。
韓国の家庭では冬の初めに大量のキムチを作る伝統があり、キムチボーナスが出る会社もある。

水キムチムルキムチ): 唐辛子をあまり使わず、水を加えて漬け込んだ汁気の多いキムチ。

アチャール: 南アジアの漬物。塩、スパイス、油、酢又はレモン汁等を使う。

豆腐餻(-よう): 沖縄県の発酵食品。小さく切った島豆腐を、麹や泡盛を混ぜたものに漬け込んで作る。

籠淸(かごせい): 神奈川県小田原市の蒲鉾メーカー。江戸時代創業。

鈴廣(すずひろ): 神奈川県小田原市の蒲鉾メーカー。江戸時代創業。

茹で卵: 生卵を茹でたもの。茹で加減により、黄身に火が半分通った「半熟卵」、完全に火が通った「固茹で卵」に分類できる。生卵と違い冷凍には向かない(白身がスポンジ状になってしまう)。
固茹で卵は消化にエネルギーを使うため、優秀なダイエット食である。生卵をストッキングに入れ、何度もねじって戻して高速回転させると、黄身が白身の外側に行き、これを茹でると「逆転茹で卵」が作れる。

目玉焼き: 鉄板に卵を割り入れて焼いたもの。片面焼きのものを英語で「サニーサイドアップ」、両面焼きのものを「ターンオーバー」という。

ポーチドエッグ(落とし卵): 酢を混ぜた熱湯に生卵を割り入れ、半熟にしたもの。ただの熱湯だと熱で固まるまで時間がかかり、白身が流れて形が崩れてしまうため、蛋白質を固める酢の効果を利用する。

焼き鳥: 一口大に切った鶏肉を串に刺し、直火焼きしたもの。タレと塩の2つの味が選べることが多い。かつては焼き鳥といえばタレというほどタレの人気が高かったが、健康志向・薄味志向の高まりで現在は塩も並び立つ存在となった。
鶏が高かった戦前は高級料理だった。ちなみに、北海道函館市や室蘭市では豚肉を使う。

いかだ: 焼き鳥のメニューで、葱だけを串に刺して焼いたもののこと。丸太を組んだ筏に似ていることから。

サテ・アヤム: インドネシアの焼き鳥。甘辛いピーナッツソースで食べることが多い。竹串ではなく椰子の木の串に刺す。

シシカバブ: 中東やインドで食べられる肉の串焼き。羊肉を使うことが多い。

シュラスコ: ブラジルの肉の串焼き。大ぶりに切った牛肉や羊肉を鉄串に刺し、岩塩を振って食べるのが一般的。

ステーキ: 牛肉の上質な部位を厚切りにし、塩・胡椒等の少ない味付けで焼いたもの。焼き加減に、ヴェリーウェルダン、ウェルダン、ミディアムウェル、ミディアム、ミディアムレア、レア、ブルー、ロー(生)といった種類がある。

大和煮: 牛肉等を、醤油・砂糖・生姜で甘辛く煮た料理。

洗い: 刺身の調理法で、薄切りにした魚を氷水で冷やし、身を締まらせること。

幽庵焼き: 魚を数日間、醤油・酒・味醂に柚子で風味を付けた合わせ調味料に漬け込んだ後、焼き上げる料理。

もみじの天ぷら: 大阪府箕面市の名物となっている、もみじの葉の天ぷら。衣は甘く味付けされており、油を切って菓子として食べる。

翡翠餃子: ほうれん草を練り込んだ緑色の皮の餃子。

おだまき蒸し: うどんが入った茶碗蒸し。うどんを糸の玉に見立てた呼び名。

空也蒸し: 豆腐入りの茶碗蒸しに餡をかけた料理。

ぬた(饅): 野菜(ワケギや葱をよく使う)や魚介類を酢味噌で和えた料理。

呉汁(ごじる): 大豆をふやかし、すり潰したものを入れた味噌汁。

常夜鍋(じょうや-): 豚肉やほうれん草をだし汁で煮て、ポン酢等で味わう鍋料理。毎晩食べても飽きないという意味で名付けられた。

石狩鍋: 鮭をメインの具材とし、味噌仕立てにした北海道の鍋料理。

柳川鍋: ドジョウと笹掻き牛蒡を割下で煮て、卵で綴じた江戸の鍋料理。「柳川」の由来には諸説ある。

スープカレー: 札幌市発祥のカレー料理。スパイスの香り・刺激・辛みのきいたスープと、チキンレッグ等の大振りの具が特徴。焦がしバジルもよく使われる。00sの札幌でブームとなり、全国に広まった。
「スープカレー」という商品名とブームの源流になったのは、札幌市白石区に本店をもつ「マジックスパイス(マジスパ)」。

タイカレー: タイのカレーの総称。複数のスパイスを使うことにインド発祥のカレーとの類似性があるが、グリーンカレーやレッドカレー等のスープ状のものは、元々「ゲーン」と呼ばれる別の料理で、インドのカレーから発展したものではない。
ゲーンには生のスパイスやハーブ、ナンプラーを使い、ココナッツミルクで煮込む。メジャーな具は鶏肉、海老、茄子、筍等。

グリーンカレー: タイカレー(ゲーン)の一種。キダチトウガラシの未熟果、パクチー等、緑色のスパイスやハーブを中心に使う。

レッドカレー: タイカレー(ゲーン)の一種。赤いキダチトウガラシにより赤っぽい色合いとなる。

イエローカレー: タイカレー(ゲーン)の一種。ターメリックにより黄色っぽい色合いとなる。

マッサマンカレー: タイカレー(ゲーン)の一種。マッサマンは「ムスリム」を意味する言葉。レッドカレーよりも濃い赤色で、具にジャガイモやカシューナッツを入れることが多い。

プーパッポンカリー: タイカレーの一種。ソフトシェルクラブ等の蟹をカレー粉(ポンカリー)等で炒め、卵とじにしたもの。

インドカレー: カレーの発祥地であるインド(南アジア)のカレーの総称。北インドのものは、とろみやコクが豊富で、ナンやチャパティをつけて食べることが多い。南インドのものは、サラサラしていてご飯と一緒に食べることが多い。

キーマカレー: 挽肉(キーマ)を使ったインドカレー。現地では宗教上の理由から羊やヤギの挽肉が好まれる。

バターチキンカレー: 北インドのカレーの一種。トマトやバター、ヨーグルトがベース。歴史は新しいが、インド料理を代表する人気カレーとなっている。

パラク・パニール: 北インドのカレーの一種。ほうれん草やパニールチーズを使う。

サンバル: 南インドのカレー。様々な豆や野菜を煮込んだサラサラとしたカレーで、現地では、日本でいう味噌汁のようなノリで様々な食事にサイドディッシュとして付けられる。

ククレカレー: ハウス食品のレトルトカレー。「調理いらず」を意味する「クックレス」が語源。'71.発売。

鏡餅: 正月に年神へ供える餅。大小の丸餅を2段に重ね、橙を載せるのが一般的。年末に飾り始め、松の内が終わった後に(1/11とする地域が多い)下げて食べる(鏡開き)。

伊達巻: 魚のすり身に卵を混ぜ、甘く味付けして焼き、すだれで渦巻状に巻いた正月料理。

酢蛸: マダコやミズダコを酢に浸けた、関東で知られる正月料理。

七草粥: 人日(じんじつ)(1/7)に食べる風習がある、春の七草を使った粥。春の七草はセリナズナ(ぺんぺん草)、ゴギョウハコベラ(ハコベ)、ホトケノザスズナ(蕪)、スズシロ(大根)。

エスカロップ: 北海道根室市の料理。筍入りバターライスにトンカツを乗せ、デミグラスソースをかける。

しもつかれ: 栃木県の料理。鮭の頭、大豆、根菜、酒粕を煮込んだもの。

焼きまんじゅう: 群馬県の料理。蒸した饅頭を竹串に刺し、黒砂糖や水飴で甘くした味噌だれを塗って火に掛け、焦げ目を付けたもの。焼きたてのうちは柔らかいが、冷めると水分が抜け、噛みちぎれないほど固くなる。

ゼリーフライ: 埼玉県行田市の料理。おからやジャガイモを主原料にした野菜コロッケ。小判型であることから「銭フライ」と呼ばれたものが訛ったという。

くさや: 伊豆諸島特産の魚の干物。魚を「くさや液」という発酵液に漬けてから天日干しする。焼くとかなり臭い。

五平餅: 中部地方山間部の料理。粳米を潰して串に巻き、味噌や醤油のタレを付けて焼いたもの。

東京コロッケ: 大阪の縁日の屋台等で売られるB級グルメ。小さなコロッケを団子のように串刺しし、ソースをかけて食べるもの。

明石焼: 兵庫県明石市の料理。地元では「玉子焼」と呼ぶ。たこ焼きのルーツ。たこ焼きとの違いは、出汁に浸して食べること、薬味や揚げ玉を入れないこと、卵の分量が多く色味が黄色いこと、焦がさないこと等。

ぼてぼて茶: 島根県の料理。茶の花を入れて煮出した番茶を茶筅で泡立て、ご飯や漬物を入れて食べる。

カキオコ: 岡山県備前市日生(ひなせ)の料理。牡蠣が入ったお好み焼き。

太平燕(タイピーエン): 中国・福建省にルーツを持つ熊本県の料理。野菜、海老、いか、茹で卵等を入れた春雨スープ。

いきなり団子: 熊本県の料理。サツマイモの輪切りと小豆餡を、小麦粉の生地で包んで蒸したもの。

やせうま: 大分県の料理。幅広く切った平麺に、砂糖を混ぜたきな粉をまぶしたもの。

ヤンニョム: 韓国の甘辛いソース。コチュジャン、胡麻、ニンニク、砂糖等、様々な材料を合わせたもの。フライドチキンにこの味をつけたものは「ヤンニョムチキン」という。

ケジャン: 韓国料理。生のワタリガニをたれに漬け込んで熟成させたもの。

ユッケジャン: 韓国料理。牛肉の入った辛いスープ。歴史的には、民衆のスタミナ料理だった狗肉のスープが元になっているという。

ポシンタン(補身湯): 韓国料理。犬の肉を使った鍋料理。近年、犬食禁止の動きで危機に瀕している。

生春巻き: ベトナム料理。ライスペーパーで材料を巻き、ヌクマムベースのたれやスイートチリソースを付けて食べる。中国の春巻き(スプリングロール)に対して、中国語では「夏巻」、英語では「サマーロール」という。

フムス: アラブ料理。茹でたひよこ豆に、ニンニク、胡麻、オリーブオイル、レモン汁、塩等を加え、ペースト状にすり潰したもの。パンに付けたりして食べる。

アクアパッツァ: イタリア料理。魚介類をトマトとオリーブオイルで煮込んだスープ料理。イタリア語で「狂った水」を意味する。

カポナータ: イタリア料理。揚げ茄子等の野菜の甘酢煮。

カルパッチョ: イタリア料理。日本では刺身にオリーブオイル等をかけて食べる料理として親しまれるが、本家イタリアでは生の薄切り牛肉を使う。

キッシュ: フランスのアルザス・ロレーヌ地方の料理。溶き卵、生クリーム、チーズ、野菜等をパイ生地に入れて焼く。「ケーキ」を意味するドイツ語から。

ラタトゥイユ: フランスのプロヴァンス地方・ニースの料理。夏野菜の煮込み。フランス語で「ごった煮」を意味する言葉に由来し、今でも粗末な食べ物というニュアンスもある。

ガスパチョ: スペイン料理・ポルトガル料理の、パンが入った冷製スープ。トマト味のものが有名。

スターゲイジー・パイ: 英国の料理。ニシンの頭がパイに刺さっており、ニシンが星空を見上げているさまから名付けられた。

ガンボ: 米国南部の料理。ルイジアナ州を起源とする。濃いスープストック、甲殻類又は肉類、玉葱・ピーマン・セロリ(ケイジャンの「聖なる三位一体野菜」)を使ったシチューで、米にかけて食べる。

キビヤック: エスキモーの伝統的な発酵食品。肉と内臓を抜いたアザラシの中に海鳥を詰めこみ、地中で長期間発酵させる。

サンクゼール: 長野県飯綱町の食品製造小売企業。「久世福商店」「サンクゼール」等のブランドを展開する。80sにジャムの製造から出発した。

キューサイ: 福岡市の食品会社。青汁で知られる。

フォション(FAUCHON): フランスの食品ブランド。フレーバーティーやジャムで有名。

キャンベル・スープ: 米国の食品会社。アンディ・ウォーホルも描いたスープ缶で知られる。

峠の釜めし: 荻野屋が販売するJR横川駅(群馬県安中市)の駅弁。東京駅等の他の駅、北陸新幹線の車内、高速道路のSA、直営店等でも売っている。器は益子焼の土釜で、再利用できる。

シウマイ弁当: 崎陽軒が販売する横浜駅の駅弁。神奈川県内の他の主要駅でも売っている、日本一売れている駅弁。シウマイ5個等、様々なおかずが入っている。箸休めになるアンズも特徴。

わせだの弁当屋(わせ弁): 新宿区早稲田にある弁当屋。安くて量が多い。早大生のソウルフードとして知られる。

スモア: 焼いたマシュマロとチョコレートをクラッカーに挟んだ菓子。キャンプで食べられることが多い。英語の「some more」が由来。

UHA味覚糖(ユーハ-): 大阪市のキャンディメーカー。主な製品に「e-maのど飴」「ぷっちょ」「シゲキックス」「コロロ」「コグミ」「水グミ」。

ノーベル製菓: 大阪市のキャンディメーカー。主な製品に「男梅キャンデー」「はちみつきんかんのど飴」「VC-3000のど飴」。社名は、創業者が湯川秀樹と知り合いだったことに由来する。

サクマ製菓: キャンディメーカー。主な製品に「サクマドロップス」(缶が緑色)、「いちごみるく」。

佐久間製菓: かつて存在したキャンディメーカー。主な製品に「サクマ式ドロップス」(缶が赤色、1908年発売)。'23.廃業。

どんぐりガム: (株)パインの駄菓子。ガムを飴でコーティングしている。

FRISK(フリスク): ファン・メレ(オランダ)のタブレット菓子。日本ではクラシエが90sから販売し、タブレット菓子の代表的存在となった。名前は北欧の言葉で「新鮮な」を意味し、英語のfreshと同根。

クールミント: ロッテのガム。パッケージにはペンギンが描かれている。ロッテが'56年、第1次南極観測隊にビタミンC配合の栄養ガムを提供したことを背景に生まれた。

丸川製菓: 名古屋市のガムメーカー。「マルカワのフーセンガム」で知られる。

チョコレート(チョコ、ショコラ): カカオの種子を発酵・焙煎したカカオマスを主原料に、ココアバター、粉乳、砂糖等を混ぜて固めた菓子。固形チョコレートは19cの欧州で成立した。
日本でも明治期に本格的な生産が始まったが、当初は「牛の血が混ざっている」という噂が立ち、売れ行きが悪かった。

テンパリング: チョコレートを固める段階で行う温度調整のこと。カカオバターの結晶構造を安定させ、口当たりをよくしたり光沢を出したりする。

クーベルチュール: カカオバターを豊富に含む、製菓用のチョコレート。加熱して使うのが前提のため、包装前にテンパリングを行っていない物も多い。

ガナッシュ: チョコレートに生クリーム等を混ぜて柔らかくした製菓材料。

生チョコレート: ガナッシュを冷やし固め、ココアパウダー等をまぶした菓子。洋酒等、様々なフレーバーを練り込んだものがある。

トリュフチョコレート: ガナッシュをクーベルチュールでコーティングし、ココアパウダー等をまぶした菓子。高級食材のトリュフに似ていることから。

ロッキーロード: 豪州のチョコレート菓子。マシュマロとナッツを混ぜ込み、雪解けのごつごつした岩道を表現する。アイスクリームのフレーバー名としても知られる。

DARS(ダース): 森永製菓のチョコレート。1箱にチョコレートが12個入っているのが商品名の由来だが、12個を意味するダースの綴りは「Dozen」で、「DARS」は謎の造語。
'93.「DOZEN」として発売。'00.「DARS」に改称。'22.新フレーバー「クランチカーニバル」発売。

きのこの山: 明治のチョコレートスナック。軸はクラッカー。'75.発売。アポロの生産ラインを活用するアイディアから生まれ、新発売の菓子の販売記録を塗り替える大ヒット商品となった。

たけのこの里: 明治のチョコレートスナック。軸はクッキー。'79.発売。先行姉妹品「きのこの山」よりも内容量がやや少ないが、売上では上回る。きのこの山との優劣を巡る論争は「きのこたけのこ戦争」と呼ばれ、公式もネタにしている。

ロイズコンフェクト(ROYCE'): 札幌市のチョコレートメーカー。'95.生チョコレートを通年販売開始、生チョコブームの火付け役に。社名は創業者の下の名前を倒語にした「ロヒスヤ」から。

デルレイ(DelReY): ベルギー(アントワープ)のチョコレートブランド。

おっとっと: 森永製菓のスナック。魚介類の形をしている。'82.発売。ある社員が酒席で酒を零しそうになり「おっとっと」と発したのが商品名の由来という。魚の幼児語「おとと」にも掛けている。

うまい棒: リスカ(常総市)が製造し、やおきん(墨田区)が販売するスナック菓子。棒状のコーンパフ菓子で、1本当たり税込12円という安値を維持している。
コーンポタージュ味、めんたい味等が有名だが、非常に多彩な限定味が発売される。

カルビーポテトチップス: カルビーのスタンダードな薄いポテトチップス。'75.発売。「うすしお」「のりしお」「コンソメパンチ」「しあわせバタ~」等の味が定番。
コンソメパンチの「パンチ」は「パンチが効いている」の意味。しあわせバタ~の「しあわせ」はバター・蜂蜜・パセリ・マスカルポーネの4素材を合わせた「4合わせ」の意味。

堅あげポテト: カルビーの堅揚げポテトチップス。'05年まで北海道・東北地方限定の商品だった。

ア・ラ・ポテト: カルビーのポテトチップス。新じゃがを使った秋限定商品。同社のスタンダードなポテトチップスよりやや厚い。

わさビーフ: 山芳製菓(やまよし-)のポテトチップス。山葵と牛肉をブレンドした特徴的な味。'87.発売。

じゃがりこ: カルビーのポテトスナック。'95.発売。ルーズソックス姿の女子高生達が「カバンに入れて持ち歩けるお菓子」をイメージして開発され、袋ではなくカップ容器を使っている。
開発チームが「友人のリカコさんに試食させたら美味しそうだった」という話で盛り上がり、「じゃがいもりかこ⇒じゃがりこ」という商品名になった。パッケージに書かれた駄洒落〈食べだしたらキリンがない〉。

雛霰(ひなあられ): 雛祭りで食べる、砂糖がけした軽い食感の霰餅。色とりどりに色付けされていることが多い。ピンクは春、緑は夏、黄色は秋、白は冬を表し、1年を通して女の子の幸せを願う意味が込められている。

八ツ橋: 米粉・砂糖・シナモンを混ぜた生地を蒸してから焼く、堅焼き煎餅。京都名物。短辺が湾曲した長方形で、箏か橋を象っているという。
名称は、筝曲の開祖・八橋検校に由来するという説と、『伊勢物語』の「かきつばた」の舞台・三河国の八橋に由来するという説がある。

アイスクリーム: 牛乳等を冷やしながら空気を含むように攪拌してクリーム状にし、凍らせた菓子。乳固形分や乳脂肪分が低いものはアイスミルクラクトアイス氷菓に分類される。融点が水より低く、約-10℃以上で溶け始める。
日本では明治期に登場し、戦後、家庭用冷凍庫の普及に伴って需要が拡大した。氷菓等も含めた近年の市場規模は約5000億円。

かき氷: 氷を細かく削るか砕き、シロップ等をかけた氷菓。多くの店が、かつての販売許可証を元にした「氷旗(こおりばた)」を掲げる。製氷業が登場した明治期には大衆的な夏の食べ物となった。当時は屋台等で氷を鉋で削り、提供した。

宇治金時: 抹茶のシロップをかけ、小豆餡か金時餡を載せたかき氷。

ババヘラ: 秋田県で露店販売されるアイスクリーム。高齢の女性店員(ババ)が、金属製の「ヘラ」で苺味とバナナ味のアイスを薔薇のような形にコーンに盛り付ける。

ちりんちりんあいす: 長崎県で露店販売されるアイスクリーム。ババヘラと似た薔薇のような盛り付けが有名。

パッピンス: 韓国のかき氷。小豆餡やきな粉、フルーツ等を盛り付け、ビビンバのようにかき混ぜて食べる。ピンスは「氷水」の音読。

ハロハロ: フィリピンのデザート。他国のパフェやサンデーに相当するもの。タガログ語で「ごちゃ混ぜ」を意味する。日本ではミニストップがアレンジしたものを販売している。

ドンドゥルマ(トルコアイス): 粘り気の強いトルコ風のアイスクリーム。

カッサータ: イタリアのスイーツ。リコッタチーズ等を原料にし、ドライフルーツやナッツを混ぜたアイスケーキ。

あずきバー: 井村屋の氷菓。「善哉をそのまま凍らせる」がコンセプトで、乳製品が一切使われていないため異様に硬い。'73.発売。

ピノ(pino): 森永乳業の、周りをチョコレートでコーティングした一口大のアイスクリーム。レギュラー商品は6個入りのバニラと、マルチパックのチョコアソート(バニラ、チョコ、アーモンドの3種入り)。商品名は松ぼっくりを指すイタリア語から。'76.発売。

たい焼き: 和菓子。材料や製法は今川焼と同じで、鯛を象った焼き型を使うもの。明治期発祥で、港区麻布十番に現在もある「浪花家総本店」から広まったという。

栗饅頭: 饅頭の表面に卵黄を塗り焼き、栗のような色・照り・形をした饅頭。又は、餡に栗を使った饅頭。一般的には両方の特徴を兼ね備えたものが多い。

水饅頭: 葛粉と蕨粉を使った透き通った生地の饅頭。岐阜県大垣市の名物。

蕨餅: 和菓子。蕨粉に水や砂糖を混ぜて固めたもの。透き通ってプルプルしており、きな粉や抹茶、黒蜜をかけて食べる。1000年以上の歴史があるが、20sに入って「誕生以来最大のブーム」が到来し、専門店が続々と生まれている。
「蕨餅ドリンク」「飲む蕨餅」等といって、小さく切ったり粒状にした蕨餅を入れた、もちっととろける食感を楽しむ飲み物もある。

練り切り: 代表的な上生菓子(花鳥風月等を表現する上等な生菓子)。漉した白餡に求肥や山芋等のつなぎを練り合わせたもの。上品な甘さで、繊細な成形がしやすい。

こなし: 上生菓子の1つ。漉した白餡に小麦粉を混ぜて蒸したもの。あっさりした味わい。練り切りより歴史が古く、現在でも関西を中心に練り切りと並ぶ上生菓子の素材となっている。

茶通(ちゃつう): 和菓子。抹茶を混ぜた生地に餡を包み、鉄板に押し付けて焼いたもの。

桃山(ももやま): 和菓子。白餡や卵黄で作った生地を焼いたもの。白餡ベースの生地の中に、更に白餡が入ったものも多い。

軽羹(かるかん): 和菓子。山芋のすりおろしに、米粉や砂糖を練り合わせて蒸したもの。鹿児島県の名物。

石衣(いしごろも)(松露(しょうろ)): 和菓子。漉し餡ベースの生地を丸め、糖衣をかけて固めたもの。

琥珀羹(こはくかん): 和菓子。寒天に甘味を加えたもの。元々はクチナシの実で染めた琥珀色の寒天を指したが、今では様々な色の寒天菓子を琥珀羹と呼ぶ。

のし梅: 和菓子。寒天に梅をすり潰して練り込み、薄く伸したもの。山形県の名物。

善哉(ぜんざい): 日本のデザート。関東では餅や栗に小豆餡を添えたもの(関西でいう「亀山」又は「小倉」)、関西では粒餡を使った汁粉、沖縄では黒糖で煮た金時餡にかき氷をかけたものを指す。

柚餅子(ゆべし): 柚子を使った和菓子や加工食品。地域によって様々な形態の菓子や食品を指す。柚子の産地から離れた東日本では、柚子でなく胡桃を使った「くるみゆべし」も知られる。

くるみゆべし: 胡桃を使った餅菓子。柚子は入らない場合が多く「柚餅子」ではなく「油餅子」の字を当てることもある。

言問団子(こととい-): 墨田区向島の和菓子店、及び同店名物の団子。江戸時代創業。小豆餡・白餡・味噌餡の3色団子だが、串には刺さない。
店名は、隅田川沿いが舞台と伝わる在原業平の和歌〈名にし負はばいざ言問はん都鳥 我が思ふ人はありやなしやと〉から。この店が有名店となり、言問橋や言問通りの名が付いた。

羽二重団子: 荒川区日暮里の和菓子店、及び同店名物の串団子。江戸時代創業。粒は球形でなく、厚みのある円盤状。きめが細かく羽二重のようだと絶賛されたことから名付けられた。

亀屋万年堂: 横浜市の製菓会社。和洋折衷菓子を展開する。現在はシャトレーゼ傘下。'63.看板商品のブッセ・ナボナ発売。王貞治による〈ナボナはお菓子のホームラン王です〉というCMコピーで知られた。

たねや: 滋賀県近江八幡市の製菓会社。和菓子の他、バウムクーヘンのブランド「クラブハリエ」でも有名。

メレンゲ: 卵白を泡立て、砂糖等を加えた食材。マシュマロやメレンゲドール(メレンゲを成形し硬く焼き上げたもので、ケーキの飾りつけに使う)の材料になる。

マジパン(マルチパン): すり潰したアーモンドと砂糖を練った餡のようなもので、様々な形に成形する菓子。

コンポート: 果物の砂糖煮。シロップやワインで煮込むこともある。又は、果物や洋菓子を飾る脚付きの皿のこと。

ティラミス: エスプレッソが染み込んだ生地や、マスカルポーネをベースにしたクリームの層を重ね、表面にココアパウダーを振りかけた菓子。20c後半生まれの新しいデザートで、日本では90sにブームが起き、定着した。
名称は「私を元気づけて」を意味するイタリア語。イタリアではマスカルポーネは精力が付く食べ物として知られ、ティラミスは夜しか出さない店もあるという。

パンナコッタ: 生クリームベースの材料をゼラチンで固めた菓子。「煮た生クリーム」を意味するイタリア語。日本では90s半ばにブームとなった(ナタデココと同時期)。

カタラーナ: スペイン・カタルーニャ地方の洋菓子。クレームブリュレと似ているが、湯煎ではなく、コーンスターチのとろみで生地を固める。

GOUTER de ROI(グーテ・デ・ロワ): ガトーフェスタ・ハラダ(群馬県高崎市)が販売するラスク。「王様のおやつ」を意味するフランス語。

ワッフル: 焼菓子の一種。ベルギーのものが有名。「蜂の巣」を意味するオランダ語から。

ピエ: マカロンを焼くと生地の中に出来る、レース状の膨らみ。「足」を意味するフランス語。

フロランタン: フランスの焼き菓子。クッキー生地にキャラメルでコーティングしたナッツを載せ、焼き上げたもの。

パウンドケーキ: 小麦粉・砂糖・卵・バターを1ポンド(1パウンド)ずつ使って作るケーキ。

バウムクーヘン: 樹木の年輪のような同心円状の模様が付き、中心に穴があるケーキ。「木のケーキ」を意味するドイツ語。
特殊なオーブンが必要で、どこでも気軽に作れる菓子ではないが、日本ではユーハイム等が普及させ、日常の菓子としても、贈答品や引き出物としても好まれるようになり、今では非常に多くのメーカーがある。ドイツでは日本ほど一般的に知られていない。

ショートケーキ: ケーキの一種。日本のショートケーキはコロンバンが考案したもので、スポンジ生地とクリームの層から成り、苺を乗せる。
名称の由来は諸説あるが、ショートには英語で「サクサクした」「脆い」という意味があり、そこから来た説が有力(米国等ではスポンジでなく、ショートニングを使ったビスケット生地を使う)。
毎月22日は「ショートケーキの日」とされる(カレンダーで、上に「15(いちご)」が乗っているため)。

ナポレオンパイ: 苺をクリームと共に挟んだり、乗せたりしたミルフィーユのこと。

ガレット・デ・ロワ: フランスのパイ菓子。「王の菓子」を意味する。新年に家族で切り分けて食べる伝統がある。アーモンドクリームと共に陶製の小さな人形が1つ入っており、人形が当たった人は1年間幸運が続くという。

クロカンブッシュ: フランスの祝い菓子。小さなシュークリームを、飴やカラメルなどの糖衣で貼り付けながら円錐状に積み上げたもの。

トゥンカロン: 韓国風マカロン。カラフルなデコレーションが施されたり、クリームやフルーツが入ってボリューミーだったりする。

センイルケーキ: 韓国風「誕生日ケーキ」。バタークリームを使い、カラフルにデコレーションする。

台湾カステラ: 台湾のフワフワしたケーキ。日本のカステラとはかなり食感が違い、キメの細かさや溶けるような口溶けは、むしろスフレやシフォンケーキに近い。

銀座コージーコーナー: 東京・銀座の洋菓子メーカー。現在はロッテ系列。「ジャンボシュークリーム」等が有名。「コージー」は「居心地が良い」を意味する英語。

コロンバン: 東京の洋菓子メーカー。1924.創業。ショートケーキを考案した老舗で、洋菓子界唯一の宮内庁御用達として知られた。

シャノワール: 大阪府の洋菓子メーカー。店舗は大阪府周辺に集中している。店名は黒猫を意味するフランス語。

モロゾフ: 神戸市の洋菓子メーカー。ガラス瓶に入ったプリンが有名で、空き瓶は家庭等でガラスコップの代用品として使われることも多い。
1931.創業。1932.日本で初めて「バレンタインデーにチョコレートを贈る」というコンセプトの商品を発売。

ケーニヒスクローネ: 神戸市の洋菓子メーカー。栗入りのケーキ「はちみつアルテナ」等が有名。

マーロウ: 「葉山ビーカープリン」の専売店を展開する企業。レイモンド・チャンドラーの小説に登場する探偵フィリップ・マーロウをデザインしたビーカーを、プリンの容器にしている。

ピエール・エルメ・パリ: パリに本店を置くパティスリー。日本にも店舗が多い。ピエール・エルメは「パティシエ界のピカソ」と呼ばれる人物。

パティスリー・サダハル・アオキ・パリ: パリに本店を置くパティスリー。日本にも店舗が多い。

石屋製菓: 札幌市の製菓会社。'76.北海道銘菓「白い恋人」発売。

日本一きびだんご: 北海道の駄菓子。栗山町の谷田製菓等、数社が販売する。岡山の黍団子とは全く違い、黍は使わないし、形も団子状ではなく板状である。

喜久福: 仙台銘菓。クリームをずんだ餡と餅で包んでいる。

旅がらす: 群馬県銘菓。クリームを挟んだ小麦せんべい。定住せず放浪の旅を続ける人を指す言葉から。

阿闍梨餅: 京都銘菓。餡を包んだ焼菓子。「阿闍梨」は高僧を意味する梵語で、形は比叡山の修行僧が被る網代笠を象っているという。

ざびえる: 大分県銘菓。ビスケット生地の皮に、白餡やラムレーズン入り餡を包んだもの。

いちゃがりがり: 沖縄の駄菓子。スルメを衣で包んで揚げたもの。死ぬほど硬いことで有名。

グラブ・ジャムン: インドの菓子。濃縮乳を使った生地をボール状にし、揚げて砂糖漬けしたもの。世界一甘い菓子といわれる。

新茶: その年最初の茶の収穫期に摘んだ茶。日本では5月初旬の八十八夜前後が、新茶の茶摘みの時期として知られる。アミノ酸(テアニン)が豊富。
なお、茶葉は摘んでも生えてくるので、年4回前後収穫することが多い。2回目以降の収穫期に摘んだ茶は、二番茶、三番茶、四番茶…という。

やぶきた: 茶の品種。日本産の茶の約8割を占める。明治期に静岡県で育種された。

緑茶: 茶葉を発酵させないお茶。煎茶、焙じ茶、抹茶等の種類がある。

煎茶: 一般的な緑茶。茶葉を揉みながら乾燥させる。

焙じ茶: 緑茶の一種だが、緑ではなく茶色のお茶。茶葉を揉みながら乾燥させ、さらに焙煎する。焙煎によって独特の香ばしさが生まれ、緑茶本来の苦みや渋みが消える。

抹茶: 粉末にした緑茶の一種。収穫前に被覆した茶葉を蒸し、粉末にする。

番茶: 三番茶、四番茶、規格外の大きな茶葉等を混ぜた、安価なお茶。地域で製法が違い、関東や静岡では煎茶だが、多くの地域では焙じ茶にする。

玉露: 旨味を高めるために、収穫前に被覆した茶葉を使う高級煎茶。福岡県八女市等が産地として知られる(八女茶)。

宇治茶: 京都府周辺で生産し、京都府宇治市に由来する製法で加工した緑茶。

喜撰: 宇治茶の銘柄名。特に上等なものを「上喜撰」という。〈わが庵は都のたつみしかぞすむ 世をうぢ山と人はいふなり〉を詠んだ喜撰法師に由来する。
ペリー率いる黒船(蒸気船)4隻の浦賀来航(1853)を詠んだ狂歌〈泰平の眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で夜も寝られず〉で有名。

知覧茶: 鹿児島県南九州市で生産した緑茶。

茶柱: 番茶を淹れる時に茶漉しをすり抜けてしまう、茶葉に混入した茶の茎。湯呑みの中でこれが立つと縁起が良いという。

ウバ: スリランカの紅茶の産地、銘柄。世界三大銘茶の1つ。

アールグレイ: ベルガモットの爽やかな風味を付けたフレーバーティー。19cの英国の首相・グレイの名から(「アール」は伯爵の意)。

烏龍茶: 中国茶(青茶)の一種。半発酵茶。茶葉が烏のように黒く、龍のように曲がっていることから名付けられた。

プーアル茶(普洱茶): 中国茶(黒茶)の一種。緑茶をコウジカビで数ヶ月以上発酵させて作る。ダイエット飲料としても人気。中国・雲南省にある原産地名から。

甘茶: 紫陽花の若葉で作る飲み物。花祭りで仏像に注ぎかける習慣がある。

ルイボス茶: ルイボス(南アフリカの植物)の葉で作る飲み物。色は紅茶のような赤。

マテ茶: イェルバ・マテ(南米の植物)の葉で作る飲み物。ビタミン・ミネラルに富み「飲むサラダ」とも呼ばれる。

コナ: ハワイのコーヒーの産地、銘柄。強い酸味をもつ。世界三大コーヒーの1つ。

コピ・ルアク: インドネシアの高級コーヒー。ジャコウネコの糞から取り出した未消化の豆を使う。世界一高価なコーヒーの1つ。

ブラック・アイボリー: タイの高級コーヒー。象の糞から取り出した未消化の豆を使う。コピ・ルアクを参考にしたもの。

クレマ: コーヒー豆が含む二酸化炭素等に由来する、エスプレッソの表面に浮かぶ細かい泡のこと。「クリーム」を意味するイタリア語。

サルタナコーヒー: コーヒーチェリーを果肉と皮が付いたまま煮出して飲む原始的なコーヒー。又は、果肉と皮だけを煮出して飲む「コーヒーチェリーティー」のこと(ボリビアではサルタナ、イエメンではギシルと呼び、よく飲まれる)。

ダルゴナコーヒー: コーヒーと砂糖を混ぜてミキサーで泡立たクリームを、牛乳の上に乗せた甘い飲み物。韓国のカルメ焼きのような型抜き菓子「ダルゴナ」に、色と味が似ていることから。

サードウェーブコーヒー: '00年前後の米国で始まった、高品質コーヒーのブームのこと。ブルーボトルコーヒーが代表格。

ジュース: 果汁や野菜の汁のこと。現在の食品表示基準では果汁100%の飲料を指すが、俗語としては果汁の比率が低いものや無果汁の清涼飲料水を指す場合もある。
ちなみに、景品表示法では、パッケージにリアルな果実の断面のイラストを描けるのは果汁100%のジュースだけ、リアルな果実(断面以外)を描けるのは果汁5%以上のもの、といった決まりがある。

コークロア: 「コーラを飲むと骨が溶ける」「コーラは避妊に効果がある」等の、コーラにまつわる根も葉もない噂のこと。フォークロア(民俗伝承)をもじって。

ジンジャーエール: 生姜入りの炭酸飲料。現在ではノンアルコールのものを指すが、元々はエール(酒)だった。

シュウェップス: 18cのスイスに起源をもつ炭酸飲料のブランド。トニックウォーターで有名。日本ではコカ・コーラが販売する。

カルピス: 乳酸菌飲料の商品名。現在はアサヒグループ傘下のカルピス株式会社が販売。コーポレート・スローガンは「カラダにピース」。原液の他、カルピスウォーター、カルピスソーダ、カルピスサワー、カルピスバター等の商品がある。
パッケージの水玉模様は、発売日の七夕(1919/7/7)にちなんで天の川をイメージしたもの。戦前は青地に白い水玉だったが、後に白地に青い水玉となった。英語ではcow piss(牛の尿)とも聞こえるため、米国ではCALPICO(カルピコ)の名で販売する。

Yakult1000: 乳酸菌シロタ株が1本(100ml)に1000億個入ったヤクルト。ストレス緩和、睡眠の質向上の効果が高いという。'19.発売。'22.大ブームで入手困難に。

シンデレラ: オレンジ、レモン、パイナップルのジュースを混ぜたノンアルコールカクテル。

シャーリー・テンプル: ジンジャーエールにグレナデン・シロップを加えたノンアルコールカクテル。1930年代の米国の人気子役の名から。

フラッペ: クラッシュドアイスを使ったフローズンドリンク。

フラペチーノ: スターバックスコーヒーのフローズンドリンク。フラッペとカプチーノを合わせた造語。「ダークモカチップフラペチーノ」「抹茶クリームフラペチーノ」等のレギュラーメニューがある。

シェイク(シェーキ): アイスクリーム等を撹拌した、ミルク系のドロッとしたフローズンドリンク。マクドナルドのマックシェイク、タリーズコーヒーのリスタ等が知られる。

セーキ: 牛乳と卵、砂糖、バニラエッセンスを撹拌したドロッとした飲料。欧米の言葉ではシェイクと区別されないが、日本では通常、シェイクは米国風のフローズンドリンク、セーキはフランス風の凍っていないドリンクを指す。

エッグノッグ: 牛乳と卵、砂糖を混ぜ、ナツメグを振りかけた飲み物。ブランデーやラム酒を加えてカクテルにもする。

オロポ: オロナミンCとポカリスエットを混ぜた飲み物。サウナ上がりの定番。

精米歩合: 米の精白の程度を示す比率。比率が低いほど、精米して残った部分が小さいことを示し、クリアで雑味が少なくなる。「本醸造酒」は精米歩合70%以下、「吟醸酒」は60%以下、「大吟醸酒」は50%以下の日本酒を指す。

杜氏(とうじ): 日本酒造りにおける職人の長のこと。

獺祭(だっさい): 旭酒造(山口県岩国市)の日本酒の銘柄。純米大吟醸のみのブランド。'12年頃から全国的にブームとなり、今や最も有名で人気のある地酒の1つ。銘柄名はカワウソが獲った魚を並べる習性を指す言葉から。

ビール(麦酒): 醸造酒の1種。古代から飲まれる、ワインと並んで世界中で一般的な醸造酒。主に大麦を発芽させた麦芽を、酵母によりアルコール発酵させて作る。風味付けにはホップの花を使う。
冷蔵との相性がよく、冷蔵技術の普及で消費量が増えた。中欧で特に好まれ、1人当たり消費量の世界一はチェコ。日本でも、宴会の慣用句として長らく〈とりあえずビール(とりビー)〉という言葉が使われてきた。
ちなみに、国産瓶ビールの容量は、大瓶633ml、中瓶500ml、小瓶334mlと決まっている。

ラガー: 発酵温度を低く(下面発酵)、発酵期間や貯蔵期間を長くしたビール。対義語はエール。「貯蔵」を意味するドイツ語から。
国内ビール大手の主力ブランド(一番搾り、スーパードライ、ヱビス、黒ラベル、ザ・プレミアム・モルツ)は全てラガーだが、近年はエールの人気も上がっている。

アサヒ生ビールマルエフ): アサヒビールのラガービール。'21.復刻発売。CMのキャッチ〈おつかれ生です〉で話題に。

ビール純粋令: ドイツの法令。「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」という内容。16cのバイエルン公国で発布され、現在でも有効な食品関係の法律として世界最古とされる。

レーベンブロイ: ドイツ・ミュンヘンのラガーの銘柄。ドイツ語で「獅子のビール」を意味する。

ハイネケン: オランダのビール会社。世界シェアはアンハイザー・ブッシュ・インベブに次ぐ2位。

カールスバーグ: デンマークのビール会社。1842.創業。1913.社長がコペンハーゲンの「人魚姫の像」を寄贈。

ワイン(葡萄酒): 醸造酒の1種。古代から飲まれ、ビールと並んで世界中で一般的な醸造酒。赤、白、ロゼの3色がある。瓶に詰められた後でも熟成が進み、風味は変化を続ける。
主な産地・消費地はフランス・南欧、米国(カリフォルニア)、豪州、チリ、アルゼンチン等。日本では山梨が有名。ワインボトルの容量は一般に750ml。1500mlのマグナムボトルもある。

スプリッツァ: 白ワインの炭酸水割りのこと。

ロゼワイン: 黒ブドウを使い、圧搾後等に果皮を取り除いてから発酵させた、薔薇色(ピンク色)のワイン。シャンパン等では、赤ワインと白ワインを混ぜて「ロゼ」の色にする場合もある。
一般に長期熟成を行わず、新鮮なフルーツの香りを立たせるものが多い。

オレンジワイン: 白ブドウを使い、果皮を取り除かずに発酵させた、オレンジ色のワイン。伝統的な製造国にジョージアがある。最近では赤、白、ロゼに次ぐ第4のワインに位置付けられる。

スパークリングワイン: 発泡性のワイン。フランス・シャンパーニュ地方のシャンパン等が有名。対義語(非発泡性ワインの総称)は「スティルワイン」。

貴腐ワイン: 葡萄の果皮をボトリティス菌に感染させて作る極甘口の白ワイン。デザートワインや食前酒として飲まれる。「世界三大貴腐ワイン」はハンガリーのトカイ、フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ

酒精強化ワイン: 醸造過程でアルコール(酒精)を加えた、アルコール度数が概ね18度前後の保存性が良いワイン。スペイン・アンダルシア地方のシェリー、ポルトガルのポートワイン等が有名。
酒精を発酵途中で加えると発酵による糖の分解が途中で止まり、甘口となる。

サングリア: 赤ワインに果物や甘味料、スパイス、ブランデー等を漬けたフレーバードワイン。炭酸水や水で割って飲むことも多い。スペインやポルトガルで特に人気がある。

ワインの涙: アルコール度数が高いワインが入ったグラスの液面近くの内側に、液滴が絶え間なく作られ、一定の大きさになると涙のように再びワインの中に零れてくる現象。水の表面張力がエタノールより大きいために起こる。
毛細管現象でグラス壁面を昇るワインの液からは、エタノールも水分も蒸発するが、蒸気圧が高いエタノールの方がより速く蒸発する。エタノールが薄まったグラス内壁面の液はより大きな表面張力をもち、上方への流れが作られて液滴が出来る。

カベルネ・ソーヴィニヨン: 世界最大の栽培面積を誇る赤ワイン用ブドウの品種。フランス・ボルドー地方原産。

リースリング: 白ワイン用ブドウの品種。ライン川流域原産。豊富な酸味と芳香がある。

シャンパン: フランス・シャンパーニュ地方産のスパークリングワイン。特別な日に供する文化があり、イベントでシャンパンタワーシャンパンファイトに用いられる。

モエ・エ・シャンドン: LVMHグループに属するシャンパンメーカー、ブランド名。傘下ブランドに、1本数万円~100万円以上で取引される最高級シャンパン「ドン・ペリニヨン(ドンペリ)」もある。

(ひびき): サントリーの国産ウイスキーのブランド名。ブラームスの交響曲第1番第4楽章をイメージして作られた。

バーボン・ウイスキー: 米国・ケンタッキー州を中心に作られるウイスキー。主原料の50%以上がトウモロコシであることや、熟成に使うオーク樽の内側を焦がすことが特徴。
主要ブランドに「ジム・ビーム」「メーカーズマーク」「アーリータイムズ」「ワイルドターキー」等。

ジム・ビーム: バーボン・ウイスキーの銘柄。18c末から作られている。販売元はビーム・サントリー(現在はサントリー傘下)。

メーカーズマーク: バーボン・ウイスキーの銘柄。販売元はビーム・サントリー。

ワイルドターキー: バーボン・ウイスキーの銘柄。ラベルに七面鳥が描かれている。

ジャックダニエル: 米国・テネシー州のウイスキーの銘柄。主原料の80%がトウモロコシ。

コニャック: フランス西部・コニャック周辺で産する高級ブランデー。

ヘネシー: LVMHグループに属するコニャックメーカー、ブランド名。

カルヴァドス: フランス・ノルマンディー地方産のアップルブランデー(林檎の蒸留酒)。

グロッグ: ラムの水割りのこと。泥酔を意味する「グロッキー」の語源。

アクアビット: 北欧原産の蒸留酒。ジャガイモを主原料とし、スパイスで香りを付ける。

コアントロー: フランスのホワイトキュラソー。良質なオレンジの香りとまろやかな甘さをもつ。1875.発売。

アブサン: ニガヨモギ等を主体とするハーブやスパイスのリキュール。角砂糖に垂らす独特な飲み方が知られる。太宰治『人間失格』では喪失感の比喩となっている。

ドランブイ: スコットランド伝統の、ウイスキーに蜂蜜、ハーブ、スパイス等を配合したリキュール。

オールデイカクテル: 食前や食後を問わず楽しめるとされるカクテル。モスコミュールが代表例。

檸檬堂: 日本コカ・コーラのレモンサワー。日本コカ・コーラ初のアルコール飲料。'19.発売。

ステア: カクテルを作る手法の1つで、シェイカーを使わず、バースプーンで円を描くように材料を優しくかき混ぜること。

スノースタイル: カクテルのソルティ・ドッグ、マルガリータ等で見られる、グラスの縁に塩や砂糖をまぶしつける技法。

ラスティ・ネイル: スコッチ・ウイスキーとドランブイから成るカクテル。「錆びた釘」を意味する英語。

ソルティ・ドッグ: ウォッカにグレープフルーツジュースを加え、スノースタイルにしたカクテル。船の甲板員を指すスラングから。

ジン・バック: ジンにレモンジュースとジンジャーエールを加えたカクテル。

マティーニ: ジンにベルモットを加え、オリーブを飾ったカクテル。「カクテルの王様」。

ダイキリ: ラムにライムジュースと砂糖を加えたカクテル。

ピニャ・コラーダ: ラム、ココナッツミルク、パイナップルジュースをシェイクしたカクテル。スペイン語で「漉したパイナップル」を意味する。

XYZ: ラム、ホワイトキュラソー、レモンジュースから成るカクテル。「これ以上のものは無い」という意味で名付けられた。

スプモーニ: カンパリにグレープフルーツジュースとトニックウォーターを加えたカクテル。

角打ち(かく-): 酒屋で買った酒を、店内や店先に設けられたスペースで飲むこと。

ハンドルキーパー: 食事や飲み会で、帰路で車を運転するため酒を飲まない人のこと。

羽化登仙: 酒に酔って良い気分になること。羽が生え、仙人となって天に登ることに喩えて。

賞味期限: 品質劣化が比較的遅い食品について、未開封の所定の状況においては味・風味等の品質が保たれると、製造者が保証する期間。消費期限と違い、少し過ぎたからといって食べない方が良いというわけではない。
ちなみに、アイスクリームや冷凍食品には賞味期限がないが、品質が劣化しないわけではない。家庭用冷凍庫の開け閉め頻度を考えると、大体のものは数ヶ月くらいで消費するのがベスト。

(おり): ストレートジュースや年代物の赤ワインに見られる、ポリフェノールやタンニン等、様々な成分が結晶化した沈殿物。

酒石: 葡萄ジュースやワインに特有の、大きく固形化した澱のこと。冷蔵庫や寒冷地で保管すると生じやすい。

(す): ①収穫が遅れ、水分が少なくなった大根や牛蒡の芯に入っている細かい隙間。②茶碗蒸しやプリン、鋳物等を作る時に入ってしまう気泡。「鬆が入る」「鬆が立つ」等の表現で使う。

(とう): フキやホウレンソウ等の花茎。固くなり食べ頃を過ぎることを意味する表現「薹が立つ」は、盛りを過ぎた人の喩えにも使われる。

カロリー(cal): 食品業界で使うエネルギー量の単位。1gの水の温度を標準大気圧下で1℃上げる熱量。100g(飲料なら100ml)当り5kcal以下の食品は「カロリーゼロ」「0kcal」、100g当り20kcal以下の食品は「低カロリー」と表示できる。

炭水化物糖質): 三大栄養素の1つ。単糖を成分とする有機化合物の総称。穀物を加工したご飯・パン・麺、芋類等、主食とされる食品は炭水化物を多く含む。グラムあたり約4kcalのエネルギーがある。
従来、摂取カロリーの6-7割を炭水化物とすることが推奨されたが、近年は血糖値の上昇を抑えるため、「低炭水化物(低糖質、ローカーボ、ロカボ)・高蛋白」な食事法が流行っている。特に糖尿病や肥満の治療には効果的。

単糖: 加水分解によってそれ以上分けられない糖。

ブドウ糖グルコース): 自然界に最も多く存在する単糖。細胞呼吸の最重要なエネルギー源。炭水化物の大部分は体内でブドウ糖に分解され、血糖として血液内を循環する。18cに干しブドウ(レーズン)から発見された。

オリゴ糖(少糖類): 単糖が数個結合した糖類の総称。スクロース、トレハロース等。単体を安価に高純度化することが難しく、液体で流通する。

グリコーゲン動物澱粉): 動物の肝臓や筋肉で合成される、ブドウ糖が重合した多糖類。

DHA(ドコサヘキサエン酸): 必須脂肪酸の1つ。サバやイワシの油が多く含む。

EPA(エイコサペンタエン酸): 必須脂肪酸の1つ。サバやイワシの油が多く含む。

カゼイン: 酸を加えると凝固する蛋白質。牛乳が含む蛋白質の約8割を占める。

GABA(ギャバ): アミノ酸の1種。ストレス緩和や睡眠の質向上に効果がある。

グルタミン酸: 旨味成分の1種。昆布、海老、チーズ、玉葱等に多く含まれる。

イノシン酸: 旨味成分の1種。鰹節、煮干し、肉類等に多く含まれる。

グアニル酸: 旨味成分の1種。干し椎茸に多く含まれる。

ビタミンCアスコルビン酸): ビタミンの1種。特に含有量が多い食品に柑橘類、トマト、柿、キウイフルーツ等がある。コラーゲンの合成に深く関わっており、欠乏すると壊血病を発症する。

タウリン: インスリン分泌の促進、眼精疲労の抑制等の効用がある栄養素。イカやタコ等の軟体動物、魚の血合いや内臓、リポビタンD等が多く含む。

ポリフェノール: フェノール性水酸基を多数持つ栄養素の俗称。アントシアニン、イソフラボン、カテキン、タンニン等。

抗酸化作用: 動脈硬化や老化を防ぐとされる作用。ポリフェノールやカロテノイドが豊富な食品の効果を説明する際、よく使う言葉。

アントシアニン: 花や果実に赤・青・紫等の色を示す色素群。ブドウやブルーベリーが多く含む。

アルカロイド: 窒素を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称。カフェイン、ニコチン、モルヒネ、コカイン等。神経伝達物質と類似しており神経系に作用する。

アセトアルデヒド: 有機化合物。人体においてはアルコール(エタノール)の代謝で生成される(エタノール→アセトアルデヒド→酢酸)。二日酔いの原因物質。発癌物質。
アセトアルデヒドの分解が遅い体質の人は、少量の飲酒で顔の紅潮等の「フラッシング反応」が起こる。

プロバイオティクス: 宿主の腸内で健康に好影響を与える微生物(乳酸菌、ビフィズス菌等)や、それらを含む食品・薬品のこと。アンチバイオティクス(抗生物質)との対比で作られた言葉。

発酵: 微生物(カビ、酵母、細菌等)の働きで、有益な有機物(アルコール、乳酸等)が生成されること。又、茶葉から紅茶や烏龍茶が出来る時の酸化酵素の働きによる酸化も、歴史的経緯から「発酵」と呼ぶ。

コウジカビ(麹黴): 酒、醤油、味噌等の発酵食品製造に使うカビ。

酵母イースト): ビール、パン等の発酵食品製造に使う菌類。

乳酸菌: 漬物、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料等の発酵食品製造に使う細菌類。糖類から乳酸を生成する。植物や動物の乳に自然に生育している。

: 東アジアを中心に広く使われる食器。俗に「おてもと」とも。

利休箸: 両端が細くなった杉の箸。千利休が懐石用に考案したという。

(どんぶり): 麺類や丼物を食べる時に使う、深みのある厚手の鉢皿。物を無造作に放り込むさまを表す擬音語(「どぶん」「どぼん」と同系)から。「丼」という字も元々、井戸に物を投げ込む音を表す漢字である。

糸底(いとぞこ)(高台(こうだい)): 茶碗やお椀の底の、環状の脚の部分。濡れた糸底と机の間で密閉された空気が味噌汁等の熱で膨張すると、お椀が机の上をスーッと動くことがある。

黒文字: 茶菓子に添える角型の高級楊枝。材料となる木の名から。

クロッシュ: 食べ物の鮮度を保つために被せる、金属製の釣鐘型の蓋のこと。「鐘」を意味するフランス語。

マドラー: カクテル等の飲み物をかき混ぜるための棒状の食器。

デミタス: エスプレッソ等を入れる小型のコーヒーカップ。

ちろり: 日本酒を温めるための、銅製やアルミ製の筒型の容器。

デキャンタ: 澱の除去等のためワインをボトルから移し替えて食卓に出す時に使う、ガラス製の水差し。

マイセン: ドイツの陶磁器メーカー。18c創業(欧州初の硬質磁器窯)。代表的な柄に「ブルーオニオン」等がある。

ウェッジウッド: 英国の陶磁器メーカー。18c創業。代表的な柄に「フロレンティーンターコイズ」や「ワイルドストロベリー」がある。

ロイヤル・コペンハーゲン: デンマークの陶磁器メーカー。18c創業。代表的な柄に「ブルーフルーテッド」や、超高級食器の「フローラ・ダニカ」がある。

ヘレンド: ハンガリーの磁器メーカー。19c創業。代表的な柄に「インドの華」や「ウィーンの薔薇」がある。

バカラ: フランスのグラスブランド。18c創業。

イッタラ(iittala): フィンランドの食器ブランド。多くのデザイナーが関わっている。

王冠: ビール瓶等の栓のこと。栓抜きを使って開ける。周りのギザギザした部分はスカートという。

プルタブ: 缶の飲み口を開ける時に指をかけて引く、つまみの部分。
正確には、飲み口ごと缶から切り離すタイプを「プルタブ」、80s以降一般的になった飲み口が切り離されないタイプを「ステイオンタブ」というが、ステイオンタブもプルタブと呼ぶ人が多い。

枕缶: 巻き取り鍵と呼ばれる道具を使い、缶側面を帯状にくるくると剥がし取って開封する台形型の缶。かつてコンビーフの缶に使われた。

ペコらくボトル: 日本コカ・コーラが'15年から採用している大型ペットボトル(2ℓボトル等)。潰しやすさ・握りやすさ・注ぎやすさを追求した軽量ボトル。

ミールキット: 料理用の食材一式やレシピがセットになった商品。Oisix、タイヘイ等のメーカーが知られる。

シズル感: 食品等の広告における、食欲や購買意欲を刺激するような瑞々しい感覚。「シズル」は英語で肉を焼く時の擬音語。

サランラップ: ダウ・ケミカル社の食品用ラップ。日本では旭化成が権利を共有し製造・販売する。一般名詞化し、俗に類似製品全般を指す。元々は戦場で銃弾や火薬を湿気から守るために使われた。商品名は発案者2人の妻、サラとアンから。

タッパー: 米国のマルチ商法企業・タッパーウェア社の、密閉保存用プラスチック容器。類似製品と比べてかなり高価。一般名詞化し、俗に類似製品全般を指す。

冷凍庫: 食品を冷凍状態で保存する装置。JIS規格では、庫内の温度は-18℃以下(微生物が増殖できない温度)と決まっている。

射込み: くり抜いたり切れ込みを入れたりした野菜等の食材に、すり身やひき肉を詰めること。主に和食で使う言葉で、射込みの後は煮物や揚げ物にすることが多い。

板摺り: 胡瓜や蕗等の青物に鮮やかな色を出すため、塩をまぶし、まな板に押し付けながら転がすこと。

たたき: ①胡瓜や牛蒡を棒で叩き割って組織を崩し、柔らかくすること。②ブロック状の生魚や生肉の表面を炙ること。メジャーなものに鰹のたたきがある。③生魚や生肉を細かく切り刻むこと。「鮪のたたき」は②③両方の意味でよく使う。

骨切り: 魚に対し、開いた身の方から皮を切らないように細かく包丁を入れる下処理。ハモやアイナメ等、小骨が多い魚の調理時に必要。

化粧塩: 魚を丸ごと塩焼きにする際、焼き上がりを美しくするために焼く直前にまぶす塩。特に尾やひれに多くまぶし、焦げを防ぐ。

ピケ: パイやタルトを焼く時に、空気が膨らんで浮き上がってしまうのを防ぐため、生地の表面に細かい穴を開けること。

バーミキュラ: 名古屋市の鋳造メーカーが販売するホーロー鍋。気密性が高く、無水調理に最適。'10.発売。

IH(誘導加熱): Induction Heating。電磁誘導の原理で金属等を加熱すること。

五徳: ガスコンロや囲炉裏で使う、鍋を乗せるための支持具。

羽釜(はがま): 炊飯用の釜で、かまどにかけるため、周りにつばが付いたもの。吹きこぼれを防ぐため、厚く重い木製の蓋を使うことが多い。

たわし(束子): 洗浄用具の一種。針金にヤシやシュロの繊維を巻き付けて作る固いブラシ。棒状のたわしを卵円形に曲げて固定したものは「亀の子たわし」という。和歌山県海南市に生産者が集積する。

HACCP(ハサップ): 食品製造工程で汚染リスクを分析・管理し、食品衛生を保つ手法。

グランドメニュー: 飲食店の用語で、どの期間や時間帯にも提供する定番メニューのこと。

ギャルソン: フランス料理店のウェイターのこと。「少年」を意味するフランス語。

バッシング: 飲食業界の用語で、食後の食器をテーブルから下げること。

喫茶店カフェ): コーヒーや紅茶等の飲み物、菓子、軽食等を主体とする飲食店。特徴ごとに「茶屋」「茶房」「茶寮」「茶館」「ティールーム」「コーヒーハウス」等、様々な類似の名称がある。
かつてはフルサービス形式が主流だったが、平成期にドトールやスターバックス等、セルフサービス形式のチェーン店が激増し、様相が変わっている。
モーニングサービスが発祥した中京圏では、昔から飲食店に占める喫茶店の店舗数が多く、文化として根付いている。

純喫茶: 酒類や、ホステスによる接客等を扱わない、いわゆる普通の喫茶店のこと。特に、昭和的なフルサービス形式の喫茶店を指す。
関東大震災後から昭和1桁台にかけ、現在のスナックやクラブのような業態で「カフェー」「喫茶」を名乗る店が多かったため、区別するために生まれた名称。

ミルクホール: 明治・大正期に流行した、牛乳や軽食を供する店。コーヒー・紅茶の一般化に伴い、喫茶店に取って代わられていった。

ドトールコーヒーショップ(DOUTOR): ドトールコーヒーが展開するセルフサービス形式の喫茶店。店舗数は喫茶店業界でスタバに次ぐ国内2位(1000店超)。「ミラノサンド」等のメニューがある。'80.原宿に1号店開業。

日本レストランシステム: 外食企業。ドトール・日レスHD傘下。'76-.お箸で食べるパスタ専門店「洋麺屋五右衛門」展開。'92-.オムライス専門店「卵と私」展開。'11-.喫茶店「星乃珈琲店」展開。

コメダ珈琲店: 喫茶店。名古屋発の全国チェーン。店舗数は喫茶店業界でスタバ、ドトールに次ぐ国内3位(フルサービス業態では1位)。
食事の量が多いことで有名。メニューの写真から想像するよりサイズの大きな商品が出てくるため「逆写真詐欺」と呼ばれる。ドリンクのサイズは「ふつう」「たっぷり(1.5倍)」の2種類。
午前11時までは、ドリンクを注文すると追加料金無しでトーストとゆで卵(又は玉子サラダ、小倉餡)が付く中京式のモーニングサービスを行う。

カフェ・ベローチェ: C-Unitedが展開するセルフサービス形式の喫茶店。店名は「速い」を意味するイタリア語。

スターバックス(スタバ): 米国・シアトル発のセルフサービス形式の喫茶店。「シアトル系コーヒー」の元祖。店名は『白鯨』に登場する航海士・スターバックに由来し、ロゴにはギリシャ神話のセイレーンが描かれている。
飲み物のサイズは小さい順にショート(S)(240ml)、トール(T)(350ml)、グランデ(G)(470ml)、ヴェンティ(V)(590ml)。米国等の店舗にはトレンタ(890ml)もある。「グランデ」「ヴェンティ」「トレンタ」はイタリア語。

カフェーパウリスタ: 東京・銀座の喫茶店。店名は「サンパウロっ子」の意味。1911.創業(現存する日本最古の喫茶店という説がある)。
銀座をぶらぶら散歩することを意味する「銀ブラ」の語源は、元々「銀座パウリスタにブラジルコーヒーを飲みに行くこと」だったとカフェーパウリスタは主張している。

マウンテン: 名古屋市の喫茶店。「甘口抹茶小倉スパ」「イカスミかき氷」等の変わったメニューがある。

ケンタッキー・フライド・チキンKFC): 米国発のファーストフードチェーン。フランチャイズ・ビジネスの元祖。1930年代にカーネル・サンダースがケンタッキー州で創業した。
ブロイラーの生産効率が上がった50sには、フランチャイズ・ビジネスとして大きな成功を収めた。'70.日本1号店が名古屋でオープン。

ネイサンズ: 米国発のホットドッグ店。NYの1号店は、毎年行う国際ホットドッグ早食い選手権の会場。

すかいらーく: 外食企業。社名はヒバリを意味する英語で、ひばりが丘(東京都西東京市)の食品スーパーを源流とすることから。
'70.日本の郊外型ファミレスの先駆け・スカイラーク国立店(現ガスト国立店。実際には国立・府中市境の府中市側にある)開業。'80-.「ジョナサン」展開。'86-.「バーミヤン」展開。'92-.「ガスト」展開。'17-.「から好し」展開。

ガスト: ファミレス。すかいらーくが90sから展開する全国チェーン。セルフサービスのドリンクバーや呼び出しベルを他社に先駆けて導入し、定着させた。店名は「味」を意味するイタリア語・スペイン語の英語読みから。

びっくりドンキー: ハンバーグレストラン。盛岡市発祥で、札幌市に本社を置く全国チェーン。

吉呑み: 吉野家が一部店舗で展開する、店舗の2階等を使った居酒屋スペース。

大戸屋: 定食屋。全国チェーン。'57.池袋で創業。'20.敵対的TOBでコロワイド傘下となる。

やよい軒: 定食屋。プレナスが00sから展開する全国チェーン。ご飯のおかわりがセルフサービスで無料となっている。

びっくり亭: 福岡県を中心に展開する大衆食堂。メニューは焼肉(豚ハラミとキャベツのニンニク炒め)とご飯、味噌汁、キムチのみ。辛味噌を付けて食べるのがびっくり亭流。

料亭: 懐石、会席料理、精進料理等を出す高級和食店のこと。一般に予約必須で、座敷席が中心。企業の接待、要人や政治家の会食等に使われることが多い。芸妓を呼ぶこともできる。
料理に加え、器や調度品、美術品、建築、庭園、もてなしや芸事にもこだわる店が多い。かつては縁故や紹介が無いと利用できないのが普通だったが、近年は官民共に料亭での接待が激減し、多くの店は生き残りのためオープンな経営となっている。

スシロー: 回転寿司店。大阪発の全国チェーン。'10-.業界首位。1皿100円又は120円(税別)を基本価格とする。

はま寿司: 回転寿司店。ゼンショーグループの全国チェーン。4種類の醤油やポン酢を用意している。

すしざんまい: 寿司店。築地に本店をもつ全国チェーン。創業社長は木村清で、店頭に腕を広げた人形が立っている。コロナ禍以前は、築地・豊洲市場の初競りでクロマグロを例年最高値で落札しており、'19年には3億円以上の値を付けた。

すきやばし次郎: 銀座の高級寿司店。創業者の小野二郎は、ミシュラン史上最高齢の三つ星シェフとしてギネス認定された。

山田うどん: うどん等を主力とする外食チェーン。埼玉県を中心に関東のロードサイドで展開する。FC店舗ごとのメニュー等の差異が大きい。看板には、かかしをモチーフとする赤いやじろべえが描かれる。

ラーメン山岡家: ラーメン店(豚骨系)。札幌市に本社を置く全国チェーン。屋号に「家」が付き、具材の構成も似ているが、「家系ラーメン」ではない。

一風堂: ラーメン店。福岡発の全国チェーン。豚骨ラーメン「白丸」「赤丸」等のメニューがある。店名は創業者がバンド・一風堂のファンだったことから。

道とん堀: お好み焼き屋。東京都福生市発の全国チェーン。郊外を中心に200店舗以上を展開。店名の由来である大阪・道頓堀にも出店している。

焼肉きんぐ: 食べ放題形式の焼肉店。物語コーポレーション(愛知県豊橋市)が00sから展開する全国チェーン。

つばめグリル: 東京都・神奈川県に展開する洋食レストラン。看板メニューは「つばめ風ハンブルグステーキ」。1930.新橋で創業。

自由軒: 大阪・難波センター街の洋食(?)店。ルーとライスをグルグルに混ぜ、卵を載せたカレーライスやハヤシライスが名物。1910.大阪初の洋食店として開業。

円居(まどい): 京都の外食企業。東大・都立大の構内に「ルヴェ ソン ヴェール」、京大の構内に「ラ トゥール」というフランス料理店がある。

キャンティ: 東京・麻布台のイタリア料理店。'60.川添夫妻が創業。良家出身で社交的な夫妻は芸能プロデューサー的な活動もしており、各界の著名人・文化人や、60s前半の「六本木族」の若者達が交流する高級レストランとなった。
夫妻の長男である川添象郎(-しょうろう)は音楽プロデューサーとして、村井邦彦と共にアルファレコードを主宰し、荒井由実(当時最年少のキャンティ常連客でもあった)やYMOを世に送り出した。

インデアン: カレー店の屋号。戦後、全国各地で創業した「インデアン」のうち、大阪市、金沢市、北海道帯広市をそれぞれ中心とする3つの老舗チェーンが現在も人気を博す。
最も古い大阪のインデアンは、牛肉をふんだんに使った甘辛のルーが有名。金沢のインデアンは「金沢カレー」のチェーンの1つ。帯広のインデアンは十勝管内だけでも10店舗を構える地域のソウルフード。鍋を持参しルーだけ購入する地元民も多いという。

上等カレー: カレー店。大阪発のチェーン店。甘辛のルーが特徴。

エリックサウス(ERICK SOUTH): 南インド料理(カレー、ビリヤニ等)店。'11.東京駅の八重洲地下街に1号店開業。

きのこ王国: 北海道伊達市大滝に本店をもつ農産物販売所、きのこ料理店。廉価な「きのこ汁」が名物。

ホイリゲ: オーストリアのワイン酒場で、厳密には郊外のワイナリーに併設されたワインの新酒(ホイリゲ)を提供する酒場のこと。英国のパブのように社交場として機能してきた。

鳥貴族: 焼き鳥を中心にした低価格帯の居酒屋。'24現在、日本一店舗数の多い居酒屋チェーン(600店舗超)。'85.大阪府で創業。創業社長は大倉忠義(SUPER EIGHT)の父。
ロゴには「TORIKIZOKU∞」とあるが、この「∞」はSUPER EIGHTの旧名「関ジャニ∞」よりも歴史が古く、関係は無い。店舗の入口には「営業中」の代わりに「うぬぼれ中」と書いた看板を掲げる。「今、世の中を明るくしている最中です」という意味を込めているという。

モンテローザ: 外食企業。居酒屋「新御三家」の1つ。'83-.居酒屋「白木屋」展開。その後「魚民」「笑笑」等のブランドを展開する。
同業他社の業態を店名含めて臆面もなく丸パクりすることで悪名高い(「和民」→「魚民」、「月の雫」→「月の宴」、「塚田農場」→「山内農場」、「すしざんまい」→「すしざむらい」、「いきなりステーキ」→「カミナリステーキ」等)。

Uber Eats(ウーバーイーツ): Uber(米国)の出前注文・配達プラットフォーム。'16.日本でのサービス開始。'20.コロナ禍で店内飲食が制限され、出前利用が急増。'21.全都道府県に進出。'24.東京で自立型ロボットによる商品配送を開始。
サービス開始時に革新的だった特徴として、多くの配達パートナー(個人請負型ギグワーカー)によって大規模なサービスを成り立たせたことや、ユーザーが注文後に配達状況を追跡できることが挙げられる。

栄養士: 医療機関や学校、給食センター、老人ホーム、企業等で栄養指導に携わる国家資格。栄養士になるには、大学や短大、専門学校で必要単位の修得が必須。

管理栄養士: 医療機関等で療養上の栄養指導に携わる国家資格。管理栄養士になるには、栄養士免許を得た上で国家試験合格が必要。
栄養士が管理栄養士のような業務を行っても違法ではないが、栄養指導を行って診療報酬や介護報酬を申請できるのは管理栄養士に限られる。

グラシエ: アイスクリーム等の冷菓を専門にするパティシエのこと。

道場六三郎: 和食の料理人。'93-96.『料理の鉄人』に初代「和の鉄人」としてレギュラー出演。

笠原将弘: 和食の料理人。恵比寿の和食店「賛否両論」オーナー。

陳建民: 四川料理の料理人。四川省出身。戦後、日本で「四川飯店」を開きTVにも積極的に出演し、四川料理を日本風にアレンジして広めた。日本における麻婆豆腐、回鍋肉、エビチリ、担々麺等の一般的なレシピは陳から始まっている。

陳建一: 四川料理の料理人。父・陳建民を継ぎ「四川飯店」を経営した。'93-99.『料理の鉄人』にレギュラー出演。

陳建太郎: 四川料理の料理人。父・陳建一を継ぎ「四川飯店」を経営する。TV出演も多数。

周富徳(しゅうとみとく): 広東料理の料理人。在日中国人二世。90sにTV(『浅草橋ヤング洋品店』等)でブレイクした「炎の料理人」。

金萬福(きんまんぷく): 広東料理の料理人。香港出身。周富徳の誘いで来日。ホテルの料理長等を務める傍ら、90sに『浅ヤン』の目玉コーナー「中華大戦争」で富徳のライバルとしてブレイク。
番組では、逆さ吊りで野菜を切ったり、水槽に顔を突っ込んで金魚を咥えたりしていた。決め台詞は〈戦争だよ〜ん〉。当時共演していた江頭2:50とは現在も親友。

坂井宏行: フランス料理のシェフ。通称・ムッシュ。「ラ・ロシェル」オーナー。'94-99.『料理の鉄人』に「フレンチの鉄人」としてレギュラー出演。

三國清三(-きよみ): フランス料理のシェフ。北海道出身。「ミクニ」の名で全国各地にレストランをプロデュースする。

George(吉田能(たかし)): フランス料理のシェフ。YouTubeで有名。

アントナン・カレーム: 19cのフランスのシェフ。タレーランのお付きのシェフとして、ウィーン会議(1814-15)で度々開催された夕食会で腕を振るい、欧州各国の上流階級に近代的なフランス料理を広めた。コック帽や、菓子のババロアを考案した。

ジョエル・ロブション: フランスのシェフ。世界史上最も多くの「ミシュランガイドの星」を獲得したシェフ。最後の妻は日本人で、息子は福岡で日本酒やワインを扱う商社を経営する。
東京にはロブションがプロデュースしたレストランが今も多く、恵比寿の洋館にある「ガストロノミー・ジョエル・ロブション」は17年連続でミシュランガイドの三ツ星を獲得中('24年版発表時点。かんだ、カンテサンスと並ぶ東京版の最長記録)。

岸本拓也: ベーカリープロデューサー。高級食パンブームの仕掛け人の1人で、'18年頃から「考えた人すごいわ」「どんだけ自己中」等、変な名前の高級食パン専門店を全国に展開している。

モンドセレクション: 食品等を対象とするベルギーの審査機関。最高金賞、金賞、銀賞、銅賞の4つの賞がある。大阪市の水道水、くら寿司のお寿司セット等も金賞を受賞し話題になった。

◆『キユーピー3分クッキング』('62-): CBCテレビと日テレが制作する長寿料理番組。「3分」といいながら放送時間は10分。

◆『サラメシ』('11-): NHKの番組。働く大人達の昼食がテーマ。ナレーターは中井貴一。

◆『グレーテルのかまど』('11-): Eテレの番組。スイーツにまつわるエピソードや作り方を紹介する。MCは瀬戸康史(ヘンゼル役)。グレーテルは常に留守中の設定で登場しない。

岸朝子: 食生活ジャーナリスト。'93-99.『料理の鉄人』に審査員で出演。〈おいしゅうございます〉という表現はブームとなった。

大西哲也: 料理人、料理研究家。北海道出身。東京・西調布「料理うまいBAR COCOCORO」シェフ。YouTubeで有名。

バヤシ: 飯テロ動画クリエイター。TikTokのフォロワーは4000万人超。低糖質料理を作って食べることをコンセプトに料理動画を投稿する。

須藤美貴: 日系米国人のフードファイター。国際ホットドッグ早食い選手権で、女性の最高記録や女性部門の最多優勝記録をもつ。


2、暮らし・ファッション

サード・プレイス: 自宅と職場以外のくつろげる場所。スターバックスが企業コンセプトの1つに挙げている。

メゾネット: 集合住宅で、1つの住戸の中に内階段があり、2つ以上のフロアに跨っている物件。フランス語で「小さな家」を意味する。

コレクティブハウス: 各居室の他に共用スペースがある、生活の一部を共同化した住まいのこと。
一般的な「シェアハウス」よりも個々の住宅としての独立度が高く、居室にトイレ・浴室・キッチンが完備されたものを指すことが多い。

宅地建物取引士宅建士宅建): 不動産取引法務の国家資格。人気資格で門戸も広いが、合格率は10%台で、合格者は年に数万人程度。

不動産鑑定士: 不動産の鑑定評価に携わる国家資格。合格率は10-30%台で、合格者は年500-1000人程度。

土地家屋調査士: 不動産登記に携わる国家資格。合格率は約1割で、合格者は年400人程度。

マンション管理士: マンション管理組合等に対して、マンションの修繕や運営についてのコンサルティング業務を行う国家資格。合格率は約1割で、合格者は年に千数百人程度。

住宅供給公社(JKK): 各都道府県や政令指定都市が設立する法人。「公社住宅」を自ら展開する他、各自治体の公営住宅の管理や入居募集等を受託する。

同潤会アパート: 関東大震災の義援金で設立された財団法人・同潤会が、1920~30年代に東京・横浜の各地に建設した、鉄筋コンクリート造の集合住宅。
近代日本で最初期の鉄筋コンクリート造集合住宅として、住宅史・文化史上、重要とされる。現在は全て解体された。表参道のアパートの跡地は表参道ヒルズとなっている。

サービスルーム: 狭くて窓がない等、居室としてはカウントできない物置用の部屋。間取り図では「S」と表す。「納戸(N)」「ウォークインクローゼット(WIC)」とも。

茶室(数寄屋): 茶事の主催者が客を招き、茶を出してもてなすための施設。千利休らによる「わび茶(草庵の茶)」の広まりで、書院造の建物の一角を離れ、山里の風情を取り込んだ庭付きの独立した建物として造られることが増えた。
広さは方丈(四畳半)を標準として、より狭いものを小間の茶室、広いものを広間の茶室という。

フランス落とし: 主に両開きの扉の片側を固定する時に使う鍵の1種。棒状のものが上下の枠に飛び出て固定される仕組みになっている。

ブラインド: 窓の内側に付ける、採光量を調節できる覆い。金属やプラスチックの細長い板(スラット)を糸で繋ぎ、ポールや紐でスラットの角度を調節する。

換気扇: プロペラ等を使ったファンで空気の流れを作り、室内外の空気の入れ替え(換気)を行う機器。一般に、部屋の壁に埋め込まれる他、水や火を使う場所の天井にダクト(風導管)と共に設置される。窓に取り付けるタイプもある。

天袋(てんぶくろ): 和室に備えられた、押入れや床の間の上の収納スペース。

にじり口: 屈まないと入れないように小さく作られた、茶室の出入り口のこと。茶室の中では誰もが対等だということを示すため、千利休が導入したという。

サニタリー: トイレ、洗面所、浴室等の総称。「衛生的な」という意味の英語。

蛇口カラン): 流量を調整する栓(バルブ)が付いた、水道管の出口部分。「カラン」は鶴を意味するオランダ語(英語では「クレーン(crane)」)から。

トラップ: 下水から悪臭が湧き上がるのを防ぐための、排水管の湾曲部分。流し台の下にS字やU字で設けられているアレ。

便所開き: 愛知県稲沢市に伝わる謎の風習。家を新築した際に知人や近所の人を招き、トイレで順番に抹茶を飲む。その場でもよおしてはいけない。

エコキュート: フロンを使わない電気給湯器の愛称。

タカラスタンダード: 大阪府の住宅設備機器メーカー。システムキッチンや洗面台の国内大手。ホーロー(エナメル)の技術はトップクラスで、ステンレス指向の業界の中で独自の存在感をもつ。1912.日本エナメルとして創業。

簀の子: 板や竹を少しずつ間を空けて並べ、横板に打ちつけたもの。押入れやベッドの土台、玄関の踏み台等に使って通気性を良くしたり、流しや風呂場に敷いて水はけを良くしたりする。

ブラケット: 壁に取り付けるタイプの棚受け金具。又は同様に張り出したものを支える構造のこと。壁に取り付けるタイプの照明器具を「ブラケットライト」という。

オットマン(フットスツール): ソファや椅子の前に置く足乗せ用ソファ。名称はオスマン帝国に由来する。

イナバ物置: 稲葉製作所の物置・ガレージ等のブランド。〈やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫!〉のキャッチを使ったCMが、コロナ禍前まで毎年録り直されていた。
物置に乗る100人はイナバ物置を取り扱う建材業者等の代理店の社長らで、前年の営業成績が良い順に前から座ることになっている。

打ち直し: 使い古して硬くなった布団の中の古い綿を、機械でほぐして汚れを除き、弾力を戻す作業。

パラマウントベッド: 医療・介護用ベッドで国内シェアの過半を占めるメーカー。

湯治(とうじ): 病気を治すために温泉や薬湯に浸かること。

湯屋: 公衆浴場(銭湯)の古称。家庭に入浴設備が無い時代、重要なインフラだった。江戸時代前期には蒸し風呂(風呂屋)が大多数で、後期になって湯を張るタイプ(湯屋)も一般化した。
江戸時代までは混浴が普通だったが、薄暗い空間であり、現代人がイメージするほど裸が丸見えだったわけではない。湯冷めを防ぐため、洗い場と浴槽の間は壁や戸板で仕切られ、石榴口(ざくろぐち)という小さな出入口から屈んで出入りした。
当時は鏡を石榴で磨いており、「屈み→鏡→石榴」という連想から「石榴口」の名が付いた。

サーマルルーム: 室温を人間の体温とほぼ同じ37度前後に設定した岩盤浴ルーム。岩盤浴室としては低温の部類。

源泉かけ流し: 循環濾過設備を使った再利用をせず、天然の温泉水を絶えず浴槽に注ぎ続ける浴場のこと。

入湯税: 温泉施設の維持や振興のために、自治体が温泉利用客から徴収する地方税。1人30-150円程度で児童は免除される。

◆『サ道』('11): タナカカツキのサウナに関するエッセイ。本人による漫画化、ドラマ化を経て、昨今のサウナブームの火付け役となった。

うるるとさらら: ダイキン工業の家庭用エアコンのブランド。公式キャラクターはぴちょんくん

ダルマストーブ: 石炭やコークス、薪を使う、鋳鉄製の大型ストーブ。昭和中期まで北海道等では最もよく使われた暖房器具。

ネッククーラー(冷却ネックリング): 首元を冷やし暑さを和らげる道具。近年、PCM(相変化材料)製のものが流行している。概ね凝固点は18-28℃で、凝固が早く融解が遅い特徴があり、融解の間、凝固点の温度を維持する。

懐炉(カイロ): 蓄熱・発熱する素材を使った、懐に入れて暖をとる道具。古くは滑石や塩を加熱して使った。
現代では主に、鉄粉の酸化作用等を利用した使い捨てカイロ(貼るタイプ/貼らないタイプ)、オイル式のもの(白金カイロ等)、充電式のもの等がある。
世界初の使い捨てカイロはロッテの「ホカロン」('78-)。他のブランドに、現在は興和が販売する「ホッカイロ」('79-)、エステー「オンパックス」、小林製薬「桐灰カイロ」、アイリスオーヤマ「ぽかぽか家族」等。

プラズマクラスター: 電機メーカー・シャープの空中浄化技術。自然界と同じプラスとマイナスのイオンをプラズマ放電で作り出し、浮遊ウイルスの作用を抑え、浮遊カビ菌を分解・除去する。

(ハウスダスト): 人の生活圏で飛散する微細な繊維や塵が、床や地面に落ちて纏まり、風下や空気の流れが少ない場所を中心に溜まっていくもの。
衣類等の繊維屑の他、人の皮膚片やフケや毛、それらを餌とするダニの死骸や糞、砂塵、花粉、カビの胞子等が混ざっている。

断捨離: 不要な物を「断ち」「捨て」、物への執着から「離れる」ことにより、「もったいない」という固定観念に凝り固まってしまった心を開放し、身軽で快適な生活と人生を手に入れようとする思想。
'10年頃に流行語となる。商標登録された概念だが、すっかり一般名詞として定着した。

(ブルーム): 棒の先に植物の枝や繊維を束ねた道具で、床や地面の塵やごみを掃くもの。欧州では、魔女や魔法使いが跨って空を飛ぶ道具だとも考えられてきた。

スクイージー: ワイパーの一種で、ゴム製のブレードで水気を取り除くもの。窓や水回りの床の掃除で使う。

花王: 化学・日用品メーカー。洗剤、トイレタリーの国内シェア1位。傘下にカネボウ化粧品。主な製品に花王石鹼、「キュキュット」(台所用洗剤)、「アタック」(洗濯洗剤)、「ハイター」(漂白剤)、「クイックル」(ワイパー等)、「ビオレ」(洗顔料等)、「メリット」「エッセンシャル」「アジエンス」(ヘアケア製品)、「バブ」(入浴剤)、「ヘルシア」(飲料・特定保健用食品)。
明治・大正期に石鹸で成長。当時は化粧石鹸を洗濯石鹸と区別するために「顔石鹸」と呼び、顔石鹸をもじった「花王石鹼」という商品名が社名になった。

アース製薬: 日用品メーカー。主な製品に「ごきぶりホイホイ」(ゴキブリ駆除剤)、「モンダミン」(洗口液)、「バスロマン」(入浴剤)。

小林製薬: 薬品・日用品メーカー。主な製品に「ブルーレット」(水洗トイレ用芳香洗浄剤)、「熱さまシート」(冷却シート)、「アンメルツ」「のどぬ~るスプレー」「チクナイン」(市販薬)。
コーポレートスローガン「あったらいいなをカタチにする」。サウンドロゴ「あっ!小林製薬」。

大日本除虫菊: 「金鳥(きんちょう)」のブランド名で知られる殺虫剤メーカー。主な製品に「金鳥の渦巻」(蚊取り線香)、「キンチョール」(液体噴霧殺虫剤)。
かつては除虫菊(シロバナムシヨケギク)を製粉した殺虫剤の世界的メーカーで、明治期から世界に殺虫剤を輸出した。WWIIでは、米国で日本の除虫菊の供給が途絶えたためにDDTが開発され、除虫菊から化学合成系殺虫剤の時代へ変わっていった。

フマキラー: 殺虫剤メーカー。'63.世界初の電気式蚊取り器「ベープ」発売。

スクラビングバブル: SCジョンソンのバス・トイレクリーナーのブランド。「トイレスタンプ」や「流せるトイレブラシ」で知られる。

: 筆記、印刷、包装等に適する、植物繊維を膠着させた薄い素材。繊維を編み合わせた布と違い、容易に破くことができる。

和紙: 日本古来の製法で作る紙。洋紙よりも繊維が長く、薄くとも強靭で長持ちし、独特の風合いがある。楮(コウゾ)(梶)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)等の樹皮繊維を使う。

グラシン: 紙の一種。耐水性・耐油性に優れ、中華まんの底紙や紙風船に使われる。

マルマン: 日本の文具メーカー。スケッチブック、ルーズリーフ等で知られる。

ミドリ: 日本の文具メーカー。紙製品等で知られる。

ロルバーン(Rollbahn): 日本のメモ帳のブランド。黄みがかった方眼罫の紙、巻末のクリアポケット等が特徴。

ロディア(Rhodia): フランスの文具ブランド。オレンジ色の厚紙カバーが付いたブロックメモ帳で有名。

鉛筆(ペンシル): 黒鉛等の顔料を固めた「芯」を、木の「軸」で固めた筆記具。日本では軸に北米産のインセンスシダーという針葉樹を使う。1本のシダーが80万本もの鉛筆になる。
ちなみに、英語の「ペンシル」は、ラテン語で尾を意味する「ペニス」が由来で、「ペン」との語源的な繋がりはない。

メタシル: サンスター文具が販売する金属鉛筆。芯が黒鉛を含む合金から成り、摩耗がとても少ない。'22.発売。

ボールペン: 筆記具の一種。先端のボールの回転と重力によって軸内のインクが滲み出る。1930年代にハンガリーのビーロー・ラースローが発明した(英国ではボールペンをbiro(バイロー)と呼ぶ)。

フリクション(Frixion): パイロットの筆記具シリーズ。ペンの後ろのラバーで擦ることで、摩擦熱により筆跡を消すことができる。ボールペン、サインペン、蛍光ペン等の種類がある。

烏口: 2枚の金属板の間にインクを染み込ませて使うペン。細く均一な線が引けるため製図に使う。ペン先が烏の嘴に似る。

コピック(Copic): 日本のアルコールマーカーのブランド。色数が豊富(300色以上)で発色が良く、ブラシの精度が高いため、イラストやデザインで広く活用される。'87.発売。

三文判: 文具店やホームセンター、100円ショップ等で売っている、大量生産された安価な印鑑。二束三文の「三文」から。

シーリングワックス(封蝋(ふうろう)): 手紙に封をしたり、酒瓶等の容器を閉じ、中身を誰も開けていないことを表すために使う蝋。固める前にシーリングスタンプ(璽(じ))や指輪印章を捺し、装飾することが多い。

モンブラン(Montblanc): ドイツの高級筆記具メーカー。万年筆で知られる。製品には白い星型のシンボルマーク(「ホワイトスター」)が付いている。

ブックマッチ: 二つ折りの厚紙に何本も綴じられており、1本ずつ切り離して使うマッチ。かつて飲食店でよく置いていた。

青雲(せいうん): 日本香堂(演芸番組『笑点』のスポンサーに長年名を連ねる)の線香のブランド。'65.発売。'81.CMソング誕生。歌唱者は森田公一(作曲者でもある)→尾崎紀世彦→錦織健→林家たい平。
CMソングの歌詞〈青雲 それは 君がみた光 ぼくがみた希望 青雲 それは ふれあいの心 幸せの青い雲 青雲〉。

プリザーブドフラワー: 花色を長く保つために、生花や葉を特殊な液の中に沈めて作る加工花のこと。「保存する」を意味する英語から。

ハーバリウム: プリザーブドフラワーやドライフラワーを保存用オイルに漬け、瓶詰めした飾り物。元々は植物標本全般を指す言葉。

とんぼ玉: 色ガラスで様々な模様を溶かしつけた、ガラス製のビーズ。神戸市に専門の美術館がある。

印籠: 常備薬等を持ち運ぶための、伝統的な小さな容器。平たい長方形で、3~5段に分割できる。漆を塗り、蒔絵や螺鈿、象嵌等を施したものもある。

北一硝子(きたいちガラス): 北海道小樽市のガラスメーカー。市内で「北一ホール」等のレストランやカフェ、美術館も運営する。
元々、石油ランプや浮き玉を手掛けていたが、プラスチック等による代替品の開発が進んだ80s以降は、小樽運河地区の再開発に合わせ、観光客向けの工芸品を主力としている。

中川政七商店(-まさしち-): 雑貨・工芸品の製造小売企業。江戸時代創業。本社は奈良市。21cに入ってから、製造卸売から製造小売に業態転換し成功した。

ヴィレッジヴァンガード(Village Vanguard)(ヴィレヴァン、ビレバン): 名古屋市に本店をもつ、雑貨・本・CD/DVD等の店。コンセプトは「遊べる本屋」。店名の由来はNYの同名ジャズクラブ。
'86.個人商店として創業。今では国内数百店舗を展開するが、何かが一通り揃うような利便性は欠片も無く、趣味性の高い商品ばかりが脈絡なく陳列されるさまは、これほど成功した大規模チェーン店としては他に類を見ないものとなっている。

ハンズ(HANDS): 雑貨・DIY用品の専門店。都市部の駅前等にビル型の大型店を展開する。雑貨・化粧品中心の小型店「ハンズ ビー」もある。
'76.東急グループ傘下の「東急ハンズ」として創業。'78.旗艦店・渋谷店開業。'23.ホームセンター大手のカインズが買収し、店名を「ハンズ」に変更。

ロフト(LOFT): 雑貨店。'87.西武百貨店が経営する雑貨店として誕生(1号店は西武渋谷店隣の渋谷ロフト)。現在はセブン&アイHD傘下。

プラザ(PLAZA): 輸入物中心の雑貨店。かつてはソニー傘下で「ソニープラザ」という店名だった。

鳩居堂(きゅうきょどう): 書画用品・香の専門店。江戸時代創業。京都の本店、東京の銀座本店等がある。
銀座5丁目にある銀座本店は中央通りに面し、「鳩居堂前」は30年以上連続で路線価日本一を記録している('23現在、1m2あたり4000万円以上)。

世界堂: 新宿3丁目に本店をもつ画材・文房具専門店。キャッチコピーは「モナリザもびっくり」。看板やポイントカードに、『モナ・リザ』が大きく口を開けて驚くイラストを使っている。

スリング: リング状にして使う紐や布。抱っこ紐(ベビースリング)や、アウトドア用の強固なリング状の紐を指すことが多い。又、Y字型の投石器を「スリングショット」と呼んだり、被介護者・被介助者を吊り上げるシートを「スリングシート」と呼んだりする。

堅結び(固結び、本結び、横結び): 紐の端同士の結び方の1つ。ひと結びを2回、向きを逆にして行う。簡単で強度が高いが、きつく結ぶと解くのは難しい。

舫結び(もやい-): 紐の先端に輪を作る結び方の1つ。簡単で強度がある一方、結び目が固くならないため解きやすく、使い勝手の良さから「結び目の王」といわれる。

玉結び: 糸の先端や途中に瘤を作る結び方の1つ。裁縫の基本。先端に作る場合、指に糸を1回巻き付けて先端を指の腹に置き、先端部を一定の方向に何回か捩ってから、捩れた部分を集めるように糸を引っ張ると簡単に作れる。

まつり縫い: ズボンやスカートの裾上げでよく使う、縫い目が服の表側から見えないようにする縫い方。

線ファスナージッパーチャック): エレメントと呼ばれる歯をテープ状の基材に並べて取り付け、左右対になった一組の間でスライダーを動かすことで自在に開閉できるファスナー。
「ジッパー」「チャック」は元々登録商標(現在の日本では登録されていない)。「チャック」の語源は日本語の巾着から来ている。

面ファスナー: 2枚の布からなり、簡単に張り合わせたり引き離したりできる留め具。クラレの商標「マジックテープ」が一般名詞化している。

マニラ麻(-あさ): 繊維植物。日本の紙幣や船舶係留用ロープに使われている。

ジャガード織: 織技術によって、プリントのようなデザイン性のある柄を織り込んだ生地。

コール天(コーデュロイ): 縦方向に畝ができるように織られた綿製のパイル織。黒板消しにも使われる。

今治タオル: 愛媛県今治市や周辺自治体で作る、ジャガード織のタオル。一帯は国産タオルの半分以上を生産するタオル産地で、多くの中小メーカーがひしめく。

伊織: 今治タオルのセレクトショップ。タオル以外の愛媛県の物産を扱う店舗もある。

友禅: 日本の伝統的な布の染色法の1つ。曲線的にデフォルメした植物等の文様を手書きするもので、輪郭に防染剤として米澱粉の糊を使う。京友禅加賀友禅が有名。元禄時代の絵師・宮崎友禅斎に由来する。

印伝: 漆等で模様をつけた、羊や鹿のなめし革。インドから伝わったことに由来する。

経木(きょうぎ): 杉や檜等の木材を紙のように薄く削ったもの。おにぎり等の食品包装でよく使う。

寄木細工: 色合いの違う木片を組み合わせて模様を作る、神奈川県・箱根の伝統工芸。箱根駅伝の往路優勝校には寄木細工のトロフィーが贈られる。

春慶塗(しゅんけいぬり): 紅色等で彩色した木地に透明の漆を重ね、木目の美しさを際立たせた漆器。飛騨春慶や能代春慶が有名。

ガラス(硝子)(グラス): ケイ酸塩を主成分とする、固く透明な非晶質固体。高温で溶融して鋳造する。
一般に脆く、強い衝撃を与えると割れてしまうが、水中では性質が変化し、ハサミ等を使って、割らずに刃を当てた部分だけを切ることができる(ケモメカニカル効果)。

強化ガラス: フロートガラスの3~5倍の強度をもつガラス。フロートガラスを約700℃まで熱し、急冷して作る。もし割れても、破片が細かい粒状になるため二次災害になりにくい。

砂子(すなご): 金箔や銀箔を細かい粉にしたもの。

真珠パール): 貝の体内で作られる宝石。成分は貝殻と等しい。日本ではアコヤガイの白い真珠が有名。
天然では球体の真珠は稀にしか産出されないが、現在は養殖で大量に生産できる。20c初期に御木本幸吉らの研究で養殖技術が確立。これにより、天然真珠を重要産業としていたクウェートは餓死者を出すほどの恐慌となった。

ダイヤモンド(ダイヤ、金剛石): 炭素の同素体の1つ。天然に存在する物質としては最も硬度が高く、一般に無色透明で美しい光沢をもつ。マントルの深部で高温高圧にさらされ、多くは10億年以上前に生成された。
ダイヤモンドより硬い物質が無いため、ダイヤモンドの研磨剤には粉末ダイヤモンドを使う。現在の主な産出国はロシア、ボツワナ等。中世以来の取引・研磨・カットの中心地としてベルギーのアントワープがある。4月の誕生石。

エメラルド(翠玉): 宝石の一種。鮮やかな緑色の象徴。主な産出国はコロンビア。5月の誕生石。

アレキサンドライト: 宝石の一種。太陽光の下では青緑色、白熱灯の下では赤色に変化する。6月の誕生石。

七宝(しっぽう)(七宝焼): 金属にガラス質の釉(つや)を焼きつけ、装飾する技法。ブローチから壺まで、様々な工芸品がある。

靴下: 足に直接履く衣類。編み物の起源と考えられている。日本の靴下の生産額の過半を奈良県が占めている。

ガーター: 衣服のずり落ちを防ぐもの。日本では専ら女性用のストッキング止めを指し、ぶら下げるタイプの「ガーターベルト」、押さえるタイプの「ガーターリング」がある。

地下足袋: 厚い布とゴム底から成る、作業労働用の足袋。「直(じか)に」土の上を歩くための「足袋」を意味し、「地下」は当て字。

オートクチュール: フランス語で、オーダーメイドの高級服のこと。

ワイシャツ(Yシャツ): 背広の下に着るのに適した、前開きでボタン・襟・カフスが付いたシャツ。「white shirt」が語源で、元々は白いものだけを指す。
左右に比べ、前後の真ん中だけ裾が長いのは下着を兼ねていた名残。欧米の男性は1930年代までノーパンが一般的だった。

かりゆしウェア: 近年の沖縄県でホワイトカラーの服装として定着している、アロハシャツに似た半袖開襟シャツ。00s後半のクールビズ推進以降、日本の内閣でも6月の閣議をかりゆしウェアを着て行う慣例がある。

デコルテ: 鎖骨周りのこと。又は、その部分を露出させる、大きく開いた襟ぐりのこと。

キュロット: 裾が広がっていてスカートのように見える半ズボン。

ニッカポッカ(ニッカボッカーズ): ズボンの一種。丈は膝下までのダボっとした形で、裾はくくられており、足袋の中に入れて履く。鳶職の作業着として知られるが、近年は採用が減っている。

レジメンタルタイ: 斜めにストライプが入ったネクタイ。レジメンタルは「連隊の」を意味する英語で、英国陸軍では柄によって所属連隊を表した。
英国では出身大学等も柄によって表す文化が残っているため、誤解を招くのを避けるため国際政治等の場では付けない人が多い。

ダッフルコート: 毛製の厚手の生地で、フード付きのコート。「トグル」と呼ばれる浮き型の留め具が付いており、通常のボタンとは違って手袋をしたまま着替えやすい。

作務衣(さむえ/さむい): 現代の和装の1つで、元々は禅僧の作業着。身体を締め付けず着用しやすいため、温浴施設やホテルの館内着として、浴衣等に代わり主流となっている。
似た服に甚平があるが、こちらは現在では夏向けの裾が短いものをいう。

襦袢(じゅばん): 和服用の下着の1つ。肌の上に直接着る「肌襦袢」、肌襦袢と着物の間に着る「長襦袢」「半襦袢」がある。

ちゃんちゃんこ: 袖が無く、綿入りで暖かい、上着として羽織る和服。還暦祝いで赤いちゃんちゃんこを着る文化がある。

半纏(はんてん): 五分袖~長袖で、襟を折り返さないで上着として羽織る和服。最近は祭等の際に着用する薄いものは「法被(はっぴ)」と呼び、綿入りの防寒用の物を半纏と呼ぶことが多い。

どてら(丹前(たんぜん)): 広袖・長袖で、綿を入れ、半纏よりも長い丈でゆったり仕立てた和服。旅館で冬場の湯上りに防寒着として着ることがある。

留袖(とめそで): 女性の礼装で、振袖の袖を短くしたもの。結婚式で新郎新婦の女性親族が着ることが多い。地色が黒のもの(黒留袖)は既婚者用とされる。

小袖: 日本の伝統衣装。平面的な構成をもつ男女両用の衣服で、現代の着物の原型となった。

ロンジー: ミャンマーの民族衣装。下半身に着用する筒状の衣類で、性別に関わらず日常的に着る。

サリー: 南アジアの女性の民族衣装。5m以上の長さの布を、体を包み込むように纏う。

ビキニ: ブラジャーに似たトップスと、短いボトムを組み合わせたセパレート型の女性用水着。'46.その小ささと周囲に与える破壊的威力を原爆に喩え、米国による戦後初の核実験地(マーシャル諸島のビキニ環礁)の名を冠して発表された。

パレオ: 水着の上に巻き付けて着用する長方形の布。元々はタヒチの民族衣装。

レオタード: ダンス、体操・新体操等で主に女性が着る、全身にフィットする衣服。

ユニタード: レオタードを、脚まで覆うような形にしたもの。ボディスーツとも呼ぶ。女性アスリートに対するセクハラ対策の観点から、レオタードの代用とすることがある。

(シューズ): 靴底(ソール)を備え、足を包みこむ履き物の総称。

インソール: 靴の中敷きのこと。

スニーカー: ゴム底の運動靴。足音が目立たないため「忍び寄るもの」を意味する英語の名が付いた。

脚絆(きゃはん)(ゲートル): 脛に巻く被服。障害物に絡まないよう裾を纏めたり、長時間歩行時の疲労を抑えたりするために使う。

ハンチング帽(鳥打帽): 平らな頭頂部と短めのつばが特徴的な帽子。元々は狩猟用だった。

バラクラバ(目出し帽): 両目の周りだけを開けて顔全体を覆う防寒用の帽子。クリミア半島・セヴァストポリ市内の地名から。

サンバイザー: 太陽の直射を防ぎ、視界を確保するための日除け。頭に装着する帽子のひさし部分のみでできたものや、自動車のフロントガラスに付ける可動性のひさしをいう。

三度笠: 顔を深く覆うタイプの笠。江戸時代に三度飛脚(月に三度出発する、三都=江戸・京・大坂を巡る飛脚)が身に着けたことに由来する。

トートバッグ: 持ち手が2本あり、口が開いた手提げ鞄。トートは「運ぶ」を意味する米国の俗語で、元々はキャンプの際に氷等を運ぶ大きな手提げ袋を指した。

ポシェット: マチが付いた小型のショルダーバッグ。

サコッシュ(サコシェ): マチが無い小型のショルダーバッグ。

頭陀袋(ずだ-): 四角い簡素な布袋のこと。托鉢僧が首から下げる袋が由来。「ズタ袋」は頭陀袋から派生している。

信玄袋: 底があり、口を紐で結ぶ形式の、手提げ袋の一種。袋口に織り込むように紐を通す巾着袋とは違い、袋口の上に紐通しが付いている。

ペンダント: チェーンや首紐で、胸に吊り下げるタイプのアクセサリー。

コサージュ: 胸元、肩、帽子等に付ける花飾りのこと。

ハーネス: 工事現場や登山、ロッククライミングで使う安全ベルト。犬や馬に装着する胴輪。

ココ・シャネル: フランスのファッションデザイナー。女性の社会進出が進んだ戦間期に、女性をコルセットから解放し、カジュアルでスポーティーな現代の女性ファッションを形作った。
名言〈20歳の顔は自然の贈り物。50歳の顔はあなたの功績〉〈かけがえのない人間になるためには、常に人と違っていなければならない〉。

ローラ・アシュレイ: 英国のデザイナー、ブランド。花柄のワンピースや寝具で知られる。

ヴィヴィアン・ウエストウッド: 英国のデザイナー、ブランド。セックス・ピストルズのプロデューサーの1人で「パンクの女王」と呼ばれた。

ミナ・ペルホネン(minä perhonen): デザイナー・皆川明のブランド。動植物等をモチーフにした柄が特徴。

ジェラート・ピケ(gelato pique): 日本のルームウェアブランド。

フェンディ(FENDI): イタリアのファッションブランド。アルファベットのFを2つ合わせたモノグラムをあしらった革製品等で有名。1925.創業。

ラコステ(LACOSTE): フランスのアパレルブランド。ポロシャツが有名。シンボルマークはワニ。1933.プロのテニス選手が創業。

バーバリー(BURBERRY): 英国のファッションブランド。ベージュに黒・白・赤のラインを組み合わせたチェック柄が有名。1856.創業。WWI(1914-18)時代にトレンチコートを生み出した。

アーノルド・パーマー(Arnold Palmer): 往年の米国のプロゴルファーの名に由来するアパレルブランド。ロゴマークは赤・黄・白・緑の4色で彩られた開いた傘。

ステューシー(Stüssy): 米国のアパレルブランド。80sのカリフォルニアのサーフシーンで生まれた。

モンクレール(Moncler): フランスのダウンジャケットメーカー。

アスビー(ASBee): イオン傘下の靴販売店。

パロマ・ピカソ: フランスの宝飾デザイナー。'80.ティファニーのデザイナーに就任。「ラビング・ハート・ペンダント」のデザイン等で知られる。父はパブロ・ピカソで、ファーストネームは「鳩」を意味するスペイン語。

ミスターミニット(MISTER MINIT): ベルギー発の修理サービスチェーン。靴やバッグの修繕、合鍵の作成等を業務とする。

ブランディア: ブランド品の買取専門店。

なんぼや: ブランド品、宝石、貴金属等の買取専門店。

耳掻き: 耳の穴の内側をこすって掃除すること。又はそのための道具。非常に細い匙のようなもので、匙の反対外に水鳥の羽毛(梵天)が付いていることが多い。
東アジア人に多い乾いた耳垢の除去に適しており、粘性の耳垢の除去には向いていないため、欧米ではあまり売られていない。

ワセリン: 石油から精製する保湿剤。

SPF: Sun Protection Factor。日焼け止め化粧品のパッケージに表示する紫外線防御指数。

タナカ: ミャンマーの伝統的な日焼け止め化粧品。「タナカの木」の樹液で出来ている。

トップコート: ネイルアートで、マニキュアの上から塗る仕上げ剤。

バニティ: 箱型でファスナーの付いた化粧道具入れのこと。「うぬぼれ」を意味する英語から。

シャンソン化粧品: 静岡市の化粧品メーカー。'85.「十六茶」開発。

シュウ・ウエムラ: メイクアップアーティスト・植村秀が60sに立ち上げた化粧品ブランド。'03.ロレアル傘下となる。

よーじや: 京都市の化粧雑貨メーカー。あぶらとり紙で知られる。シンボルマークは女性が映った手鏡。

純欲メイク: ツヤ感、血色感、透明感のある、フレッシュさを強調したメイク。「少女っぽさ」「あどけなさ」を意味する中国語から。

麝香(じゃこう)(ムスク、マスク): ジャコウジカの腹にある「香嚢」から得られる分泌物を乾燥した香料、生薬。ジャコウネコやジャコウネズミ等、似た香りをもつ動物はジャコウジカ以外にもいるが、ジャコウネコの分泌物はシベットと呼び区別する。
単に強い香りにも「ジャコウ」「マスク」等の名を冠することがあり、マスクメロンはこの例。

海狸香(かいりこう)(カストリウム): ビーバーの「香嚢」から得られる分泌物を乾燥した香料。

アトマイザー: 香水等を入れて使う、小型の霧吹き容器。

アフロ: パーマで細かく髪を縮らせ、丸く膨らませた髪型。「アフリカの」を意味するラテン語。

セシルカット: 50s後半から流行した女性のショートヘア。映画『悲しみよこんにちは』('57)でジーン・セバーグが演じた役名から。

ツーブロック: 頭頂部以外を刈り上げる等して、頭頂部とそれ以外で段差をつける髪型。80s中盤から若い男性の間で第1次流行、10s初頭から第2次流行している。

トンスラ: いわゆるザビエル頭。カトリックの修道士の髪型。

ブレイズヘア: 細かい三つ編みや四つ編みを沢山作る髪型。

ポンパドゥール: 前髪を上げて膨らませた髪型。ポンパドゥール夫人に由来する。

リーゼント: 主に男性の髪型で、両側頭部から髪を整髪料で撫でつけIの字型にぴったり合わせる後頭部の髪型と、前髪を前方と上方に膨らませるポンパドゥールの組合せ。
元々は後頭部の髪型を指したが、次第にそれとよく組み合わせられる男性のポンパドゥールを指すようになったという。

ポマード: オールバックやリーゼントに適した整髪料。お菓子作り等で、バターを常温で混ぜて滑らかな軟膏状にすることを「ポマード状にする」という。

後れ毛: 長髪をヘアゴム等でまとめた時に、耳の横や襟足に残って短く垂れた毛のこと。

(こうがい): 中国由来の髪飾りの一種。元々は髪を掻き上げて結う道具だが、次第に結った髪を飾るものとしての要素が大きくなった。棒形のものが一般的。語源は「髪掻き」の訛り。

カイゼル髭: 左右の端を上に跳ね上げた口髭。ヴィルヘルム2世が生やしたことから「皇帝」を意味するドイツ語で呼ばれる。

サインポール有平棒(アルヘイ-)): 床屋が店先に掲げる、赤・白・青の螺旋模様の円柱。「有平棒」の名は有平糖のような見た目から。

トドラーファッション: 幼児(およそ3-7歳)をターゲットとしたファッションのこと。「よちよち歩きの子供」を意味する英語から。

流行色: 単に流行りの色をいう場合もあるが、ファッション業界では、日本の業界団体も加盟する国際流行色委員会が決めた色をいうことが多い。

DCブランド: 80sの日本でブームとなった、主に国内アパレルメーカーによる高級ブランドの総称。「デザイナーズ&キャラクターズ・ブランド」の略。ラフォーレ原宿、新宿マルイ、渋谷パルコ等が流行の発信地となった。
主なブランドに、コムサ・デ・モード、タケオキクチ、ニコル、コム・デ・ギャルソン、ケンゾー等。

ハイカラ: 明治期に生まれた言葉で、(当時の)洋風のファッション・生活のスタイル。high collar(高襟)が由来。

バンカラ(蛮カラ): 明治期に「ハイカラ」へのアンチテーゼとして、旧制高等学校から生まれたスタイル。弊衣破帽(傷んだ衣服・破れた帽子)や高下駄が特徴。

Y2Kファッション: 20sに入ってZ世代の女性を中心にリバイバルしている、短い丈のトップスや厚底ブーツ等、'00年頃の流行を取り入れたファッションのこと。「Y2K」は「Year 2000」の略語。

◆『non-no』: 集英社の女性ファッション誌。対象は女子大生~20代。'71.平凡出版の『an・an』への対抗誌として創刊(『平凡パンチ』に対する同社の『週刊プレイボーイ』と同じパターン)。
70sには『an・an』と共に旅行特集を掲載し、アンノン族と呼ばれる、ファッション雑誌を片手に一人又は少人数で旅行する若い女性を生み出した。

◆『JJ』: 光文社の女性ファッション誌。対象は女子大生等~20代。コンサバ系(赤文字系)。'75.『女性自身』別冊として創刊。現在は不定期刊で、Webでの情報発信に力点を移している。

◆『CanCam』: 小学館の女性ファッション誌。対象は女子大生等~20代。コンサバ系(赤文字系)。00sに専属モデル(蛯原友里、押切もえ)の人気が社会現象となった。

メットガラ: 毎年5月にNYのメトロポリタン美術館で開かれるファッションの祭典。世界各国のセレブが参加する。


3、社会

人間: 社会の中で生きる人のこと。元々は、人と人との間柄を指した。

ゲマインシャフト: 人間が血縁・地縁・人間関係等により、自然発生的に形成した集団。家族、村落等。

ゲゼルシャフト: 人間が特定の目的や利害のために、作為的に形成した集団。国家、会社、組合等。

組織団体機関): 複数の人々がある目的のために協働するシステム。一般的にはゲゼルシャフトを指す。「団体」は私的なニュアンス、「機関」は公的なニュアンスが強い。

社会(ソサエティ): 何らかの関係性(直接やり取りする関係性ではなく、経済的・文化的にどこかで繋がっているという程度の関係性)をもって暮らす人々の集まり。「地域社会」や「部族社会」から「国際社会」まで、様々なレベル感で使う言葉。

民族(エスニシティ): 言語や文化(習慣、宗教等)を共有する、歴史的一体性や同族意識をもった人々の集まり。
「○○民族」「○○人」等とカテゴライズする。現在の日本語では、「○○人」の「○○」に国名を入れると、民族ではなく国籍を表すことになるので注意が必要。

部族(トライブ): 近代化されておらず、人々の行動や情報の範囲が狭い社会における、細分化された民族単位のこと。国際社会から本当の意味で隔絶された地域が少なくなった近年では「民族」「少数民族」等の語に統一されつつある。

文化(カルチャー): 社会における人々の様々な営み。特に、単純な物質的必要性を超えた次元にある営み(習慣・価値観・ルールの共有、宗教、学問、芸術等)を指す。

文明(シヴィライゼーション): 高度な社会が作り出す文化の総体。
黄河文明、インダス文明、メソポタミア文明、エジプト文明等のいわゆる古代文明の他、「近代文明」「西洋文明」「東洋文明」「地球文明」のように、文化の大枠を指す言葉であり、「○○文化」のように狭い範囲の文化を指す使い方はしない。

常識(社会通念、コモンセンス): 社会において「大体みんな分かっているもの」とされる習慣・価値観・ルール、知識等。対義語は非常識。アインシュタイン曰く〈18歳までに身に付けた偏見のコレクション〉。
ある社会(コミュニティ、世代)の常識が、ある社会(コミュニティ、世代)の非常識であることは多い。このギャップは必ずしも無理やり埋めたり、すり合わせる必要はない。〈自分の常識は相手の非常識〉の心構えで、相互を認め合うのも大切なこと。

価値(バリュー): 人間の様々な欲を満たす性質や、社会にとって「よい」ものと考えられる性質(真・善・美)、又はそれらの多寡のこと。

芸術(アート): 実用性や物質的価値、学問・思想的価値(正しさ)によって測れない、美しさ、趣き、作者・演者の内的世界の表出といった「内的価値」によって人の心を動かす表現や作品。文学、美術、音楽、芸能等の分野が代表的。

娯楽(エンターテインメント、アミューズメント): 人を楽しませる、あるいは面白がらせる表現や活動。芸術との線引きは難しいが、資本主義大衆社会の現代では、芸術性の強い表現より娯楽性の強い表現の方が経済的需要が大きい傾向にある。
様々な表現ジャンルの中でも、20c以降に大きく発展したもの(映像、漫画、ポピュラー音楽、お笑い等)は娯楽性の強い分野と見なされることが多い。

EGOT: 米国の大衆文化/娯楽の賞である、TVやインターネット番組のエミー賞、音楽のグラミー賞、映画のアカデミー賞(オスカー)、演劇のトニー賞の総称。
4賞全てを獲得することを「グランドスラム」と表現する。初のグランドスラム達成者は『サウンド・オブ・ミュージック』の作曲家として有名なリチャード・ロジャース。彼はピュリッツァー賞も受賞した。

世代(ジェネレーション): 親、子、孫と続く各々の代。又は、誕生した時期が近い(人間、生物、製品、規格等の)一群。

局所最適(部分最適): ある範囲・ある時点に着目すると最適化されているが、組織や社会全体を大局的に捉えると非効率的である状態のこと。対義語は「全体最適」「大域的最適」。
一旦、局所最適状態が実現すると、その状態から抜け出すコストやリスクは大きく、全体最適化には困難が伴う。例えば、日本語話者が多数を占め、日本語が最適言語となっているコミュニティで、公用語を英語にするには困難が伴う。
歴史上、全く異なる多様な生物種、多様な言語、多様なローカルルール等が生まれたのは、様々な地域や社会において局所最適化が繰り返されてきた結果といえる。

クリティカル・マス: 決定的な変化に必要な量のこと。意思決定に大きな変化を及ぼすために必要な女性役員・議員の比率(一般に3割とされる)や、商品やサービスの普及率が一気に跳ね上がる分岐点を指す。

SDGs持続可能な開発目標): Sustainable Development Goals。'15.国連総会で採択。「貧困をなくす」「気候変動への具体的な対策」等の17の目標に対して、多くのターゲット(達成基準)を設けた。
日本でも各界でこの目標が広まっており、17の目標を表す17色のカラーホイールのバッジ(SDGsバッジ)も流通している。

キャンセルカルチャー: 過去の言行等を理由に人物・商品・番組等をボイコットしようとする文化。SNSの隆盛の中で顕著となっている。
10s後半から欧米では、現代の著名人だけでなく、数十年・数百年前の軍人や政治家も現代の価値基準でキャンセルの対象となり、銅像や記念碑への抗議や撤去といった事例が増えた。

世界終末時計: 米国の雑誌『原子力科学者会報』の表紙絵に描かれる時計。核戦争等による人類絶滅を「午前0時」になぞらえ、終末までの残り時間を「0時まであと何分」という形で象徴的に示す。
'20.INF全廃条約失効や米・イラン関係の悪化を受け、過去最悪の「あと1分40秒(100秒)」に。'22現在もこの数字となっている。

グローバリゼーション(グローバル化): 市場主義経済が世界規模で展開し、人、物、金、情報が国境を越えて自由に行き交うようになること。これを推進する思想を「グローバリズム」という。

南北問題: 先進国発展途上国の経済格差の問題。豊かな国々が世界地図の北側、貧しい国々が南側に偏っていることから、それぞれを「グローバル・ノース」「グローバル・サウス」とも呼ぶ。
中世まで、南北世界でこのような貧富の著しい差は無かった。原因の大部分は近代以降、フェアな貿易が行われなかったことで、先進国が発展途上国から一次産品を安く輸入し、工業製品を高い価格で流通させたために生じた。
途上国では安い物しか買われず、高い物を売られ続けた結果、ますます工業化が遅れ、格差が拡大することになった。

格差社会: 収入や財産による階層化が生じ、階層間の移動が容易でない状態の社会。小泉政権時代にメジャーな言葉となり、'06年の新語・流行語大賞でトップ10入りした。

マル金(-きん)/マルビ: 「マル金」は金持ち、「マルビ」は貧乏人のこと。'84.第1回新語・流行語大賞を「オシンドローム」と共に受賞。

デジタルデバイド: インターネット等のITを駆使できる人と使えない人の間に生じる格差。国や地域の状況、教育・家庭環境、年齢、知的水準、所得等によって生じる。

スティグマ: 特定の事柄や属性に対する、根拠のない否定的な認識・偏見。

優生思想: 人間集団の遺伝的な「質」を改良するため、「悪質」な遺伝的要素を人為的に淘汰することを是とする思想。
19c末から20c半ばの各国では、進化論や遺伝学の広まりを受けて「優生学」なる学問として研究され、障害者らに対する差別政策や社会的排除が正当化された。
20c前半のドイツでは優生学が盛んであり、ナチスが人々や人種に優劣をつけて人口調整・民族浄化政策を行い、ホロコーストをはじめとする多くの人道的問題を引き起こす背景となった。
20c後半に入っても暫くは、日本('96年まで優生保護法があった)をはじめ、米国や北欧等で、障害者に対する強制不妊手術の断種政策が「福祉政策」の名で行われた。
ナチスのイメージ等から、優生思想は独裁や軍事政権との親和性が高いと思われがちだが、むしろ当初は、民主主義社会を中心に支持を広げた。又、戦争は健康な若者を多数犠牲にする「逆淘汰」だとして反戦運動を展開した優生学者も多い。

マイクロアグレッション: 侮蔑的な意図がなくとも、日常の言動の中にさり気なく現れる、ある種の人々に対する偏見や差別的態度のこと。「アグレッション」は攻撃を意味する英語。

パターナリズム父権主義): 強者が弱者に対し、相手のためだとして、相手の意思を問わずに介入・干渉・支援すること。かつての医療や福祉のあり方として批判的に論じられることが多い。

ジェンダー: 人間の性差のうち、社会的又は文化的に作り出される傾向が強いもの。周りから期待される性格・役割の違い、賃金格差等。

シスジェンダー: 性自認が、生まれ持った体の性と一致していること。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツ: 生殖(Reproduction、リプロ)に関する健康と権利のこと。特に、女性が妊娠・出産・中絶等について十分な情報を得て、生殖に関することを自ら判断・決定できる状態やその権利をいう。
性のあり方や性生活の分野も含めた、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツSRHR)という言葉もよく使う。

OBN: Old Boy's Network。男性中心の組織・派閥・人脈のこと。

ガラスの天井: 資質や実績があっても女性やマイノリティを一定の職位以上に昇進させようとしない、組織内の見えない障壁のこと。

インセル: 恋愛相手を欲しているが叶わず、その原因が女の側にあると考えるインターネットコミュニティ内の女性蔑視主義者。北米を中心に、インセルを標榜する者による女性を狙ったテロが問題となっている。

ロハス(LOHAS): Lifestyles of Health and Sustainability。健康と地球環境を大切にするライフスタイル。

ヒュッゲ: 人とのふれあい、家族、健康等を大切にする、デンマーク流の幸福を表す概念。近年、世界的に注目されている。

MBTI: 性格診断の1つ。4つの二分法を掛け合わせた16の性格類型を示す。近年、SNSで若者の間で診断や相性判断等が流行している。

やりらふぃー: テンションが高い人、パリピ。主に男性を指す。'20年にTikTokで生まれた新語。ファッションの系統(スキニージーンズ、蛍光色のスニーカー等)を指すことも。

アサーション: 互いが自己主張を円滑に行うためのコミュニケーションスキル。相手の気持ちも尊重した自己表現が重要。

アビリーンのパラドックス: 自分は反対だが他の人は賛成だろうと全員が思い込んだ結果、誰も望まない結論に至ってしまうこと。テキサス州の街の名から。
わざわざ遠いアビリーンに夜食を食べに行こうなんて、誰が言い出したんだっけ? いや、皆が行きたそうだったから…。

ストローマン(藁人形論法): 相手の主張を一部だけ引用したり、極端な形に言い換えたりしてから反論する手法のこと。

モラルハラスメント(モラハラ): 一般的な道徳に反した言動・態度による嫌がらせ。

ランチメイト症候群: 学校や職場で一緒に食事する相手がいないことに恐怖を覚える、コミュニケーション上の葛藤のこと。

ダンバー数: 人間が安定的に親しい交友関係を維持できる人数の上限。100から250の間といい、概ね150とされることが多い。霊長類研究では、脳の大きさと維持できる群れの大きさに相関関係があるという。

ブロマンス: 男性同士の親密な友情。brotherとromanceを合わせた造語。

エコーチェンバー現象: SNSやネット掲示板の基本的な性質ともいえる、似た関心や近い意見をもつユーザー同士が繋がるため、何か意見を発信すると似た意見ばかりが返ってくるという現象。エコーチェンバーは「反響室」を意味する英語。

サイバーカスケード: ネット上でエコーチェンバー現象の結果として、異なる意見が排斥され、閉鎖的で過激なコミュニティが作られる現象。

失恋: 恋する相手への気持ちが成就しないこと。又は、恋愛に終止符が打たれること。対義語は「得恋」。現代のポップソングで最も多い歌詞のテーマは失恋に関するもの。

デートDV: 未婚のカップル間、又は元交際相手との間で起こる暴力のこと。

シンデレラ症候群(シンデレラ・コンプレックス): 女性が男性に高い理想を求め、依存的願望を持ち続けること。

クロワッサン症候群: あえて結婚を選ばずに生きてきた女性が、「結婚適齢期」を過ぎてから「やっぱり結婚しておけばよかったのではないか」と感じること。

世帯: 住居と生計を共にする集まり。日本では世帯平均人数が年々減り、現在の総世帯数は5000万戸を超える。'20年国勢調査で、東京都は全国初の世帯平均人数「2未満」となった。

DINKs: Double Income No Kids。子どもをもたない共働き夫婦のこと。

濡れ落ち葉: 友人や趣味に乏しく、妻に頼り切って離れようとしない定年退職後の男性のこと。手で払おうとしてもなかなか離れないことから。

: 子をもつ人のこと。実親、育ての親、義理の親(配偶者の親)等の種類がある。

親権: 親が未成年の子に対して負う、養育・財産管理の責任。

特別養子縁組: 特に保護を必要とする子どもが、安定した家庭を得るための制度。普通養子縁組や里親制度と違い、実親との戸籍上の関係は切れ、育ての親のみが親権者となる。

令嬢: 上流階級の家庭の未婚女性を指す言葉。特に、俗世間との接触を控え目に育てた無垢な令嬢を「箱入り娘」「深窓の令嬢」等と表現する。

総領の甚六: 大事に育てられ、弟や妹に比べおっとりして世間知らずになりがちな長子のこと。割とどの子も大事に育てられる少子時代の現在では使用頻度が下がっている言葉。

ヘリコプター・ペアレント: 我が子に付きまとったり、我が子の周りの人を監視したりといった、過干渉な行為が目立つ親のこと。

白雪姫症候群: 虐待を受けて育った女性が、母親になって自分の子を虐待してしまうこと。

シックスポケット: 1人の子に両親2人・祖父母4人の計6人から経済的なサポートがなされるという、少子社会で子ども向け市場の活発な消費活動のベースになる経済構造。

8050問題: 高年齢の引きこもり(50代)と、それを支える親(80代)についての社会問題。20sになって、不登校や就職難を経験した就職氷河期世代が50代に突入し始めた。
無収入・低収入となり社会から孤立する親子が増え、問題となっている。親の死体遺棄、介護殺人・無理心中、更には親子揃っての孤立死といった例にすら繋がっている。

居候: 他人の家に住んで食わせてもらっている人。公助が未発達な高度成長期前の日本では、このような人は今以上に多かった。
よく知られる「居候あるある川柳」に、〈居候三杯目にはそっと出し〉(食事のおかわり等で遠慮がちになる)、〈居候角な座敷を丸く掃き〉(居候はとかく横着者である)というものがある。

よだれかけ(前掛け、スタイ): 赤ちゃんの首に掛け、よだれや嘔吐物、零した食べ物で衣服を汚さないために使うシート。

平均寿命: 各年齢の死亡率が今後も維持されると仮定した場合の、0歳児の平均余命。なお、平均余命は年齢によって異なり、平均寿命が85歳だとして、82歳の人の平均余命は3年ではない。
現在、世界平均は70代前半でありながら、主要先進国は概ね80歳を超えている。日本は約85歳で、モナコ等の小国を除き主要国では最も長い。男性は約82歳、女性は約88歳と女性の方が長い。

青年: 人間が社会的自立を獲得していく時期。 一般的に10代後半から20代を指す。

成人(成年、成年者): 社会的には、心身が一人前に成熟したと見なされる年齢になった者、法的には、単独で法律行為が行える年齢になった者のこと。成人になることを「成人する(成年する)」という。
日本の成人年齢は、近世以前は明確な決まりは無かったが概ね15歳頃とされていた。明治期に民法で当時の欧米に近い20歳とされ、'22年の民法改正で18歳となった。
欧米ではかつて21歳が一般的だったが、60s-70sに徴兵年齢や学生運動との関係で18歳への引き下げが進んだ。現在は世界の過半数の国で18歳となっている。
口語では「大人(おとな)」ともいう。なお、公共交通機関の運賃や施設の入場料の区分は「大人(だいにん)」と読み、中高生を含む場合が多い(小学生は「小人(しょうにん)」)。

お七夜: 赤ちゃんが生まれて7日目の夜に、健やかな成長を願って行うお祝い。伝統的には、ここで赤ちゃんの名前をお披露目する。

一升米: 1升の米。約1.5kg。子どもの1歳のお祝いに、風呂敷やリュックに入れた一升米、一升餅等を背負わせるしきたりがある。
赤ちゃんにとっては背中の荷物が重すぎ、大抵は立てなかったり転んだり、泣いてグズグズしたりするが、何が起こっても「元気に育って喜ばしいこと」と受け止める。

高砂: 結婚披露宴で新郎新婦が座る、一段高くなった席。夫婦が末永く共に過ごすことを願って謡う、能の演目の名から。

結婚記念日: 結婚したことを年ごとに記念する日。入籍日や結婚式挙行日を記念日とするカップルが多い。節目の年の結婚記念日には結婚記念式を行うことがある。
結婚記念式には、欧州の習慣で贈ると良いとされる贈り物の名前がついている。例えば結婚1周年の記念日は「紙婚式」で、アルバムや手帳を送る。25周年の「銀婚式」、50周年の「金婚式」は日本でも一般的。

成田離婚: 新婚旅行でのトラブルを原因とする離婚。草彅剛と瀬戸朝香が主演したドラマ('97)のタイトルにもなった。

火葬荼毘(だび)): 遺体を焼き、残った骨を葬ること。

鬼籍(過去帳): 故人の名前や命日を記す帳面。「鬼籍に入る」は死を意味する慣用句。

四十九日(忌明け(いみあけ/きあけ)): 死後49日目。僧を招いて経をあげ、成仏を祈る法事の習慣がある。故人はこの日まで現世と来世の中間を彷徨うという。

カタコンベ: 都市や教会にある地下墓所のこと。

グレゴリオ暦: ローマ教皇グレゴリウス13世がユリウス暦の改良を命じ、1582年から使っている太陽暦。400年に100回だった閏年を400年に97回とした。日本は1873(明治6)/1/1から導入。

太陰暦: 約29.5日周期の月の満ち欠けを基準に、「29日の小の月」と「30日の大の月」を交互に6回ずつ繰り返して1年とする暦。太陽暦より1年が約11日短く、約33年で季節が一巡する(太陽暦の32年≒太陰暦の33年)。
何月であるかと季節が関係ないため、農事暦には不向き。

ヒジュラ暦(イスラム暦): イスラム社会で使われてきた太陰暦。ムハンマドがメッカからメディナに聖遷(ヒジュラ)した西暦622年を元年とする。

太陰太陽暦旧暦): 近代化以前の東アジア等で使われた暦。日本では六曜や十五夜くらいになってしまったが、中華圏、韓国、ベトナム等では今でも旧暦に基づく祝日や行事が多い。
太陰暦の1種だが、太陽の動きも参考にして約3年に1度の閏月(うるうづき)を入れる(1年が13ヶ月となる)。

貞享暦(じょうきょう-): 江戸時代中期の日本で使った太陰太陽暦の暦法。渋川春海(-はるみ)が、日本人として初めて編纂した暦。

金曜日(フライデー): 週の曜日の1つ。七曜の金星に因む。
週末(土日)の前日のため「仕事が終わったら、遅くまで飲んだり遊んだりできる日」という認識が強く、日本語では「花の金曜日(花金)」、英語では「Thank God It's Friday(TGIF)」という言い回しがある。
イスラム教では集団礼拝の日で、イラン、サウジアラビア、エジプト等では今も金曜が休日(週休2日の場合は「金・土」か「木・金」が休日)。
キリスト教ではイエスが処刑された日とされ、伝統的に断食の日だった。今も敬虔な信者は肉料理を避ける場合があり、西欧の大学では金曜の食堂のメニューは魚料理だという。

雑節(ざっせつ): 日本の暦で、五節句と二十四節気以外に、季節の移り変りをより適確に掴むために設けられた暦日。

彼岸: 雑節の1つで、春分・秋分を中心に、前後各3日を合わせた各7日間。「至彼岸」(仏教で悟りの境地に至ること)の期間とされ、お盆と並んで、墓参り等の先祖供養をする習慣がある。

土用: 雑節の1つで、立春・立夏・立秋・立冬の直前18日間。特に立秋前の期間(夏の土用)をいい、夏の土用の丑の日に鰻を食べる習慣がある。

節分: 雑節の1つで、立春・立夏・立秋・立冬の前日。特に立春の前日をいい、21cでは全ての年で2/3又は2/2となる。
風習としては「鬼は外、福は内」と声を出しながら福豆(煎り大豆)や落花生を撒き、年齢の数だけ(もしくは1つ多く)豆を食べる厄除けを行う。平成以降、行事食として恵方巻も急速に広まった。

一富士二鷹三茄子(いちふじにたかさんなすび): 初夢に見ると縁起が良いとされるものの順。元は、駿河の名物を順に挙げた言葉という説が有力。江戸時代の辞書では「一富士、二鷹、三茄子、四扇、五煙草、六座頭」と続く。
富士は日本一高く「不死」「無事」とも掛かっている。鷹は「高く飛ぶ」「掴み取る」等の要素で縁起が良いという。茄子は「成す」に掛かっている。扇は末広がり。煙草は煙が上に昇っていく。座頭は頭の毛が無いので「怪我無い」に掛かる。

ヴァレンタイン・デー: 2/14。元はキリスト教の風習で、カップルが愛を祝う日。日本では昭和半ば頃から「女性が男性にチョコレートを贈る日」として定着したが、近年は少しずつ多様化している。
3cのローマ帝国では、妻子を故郷に残すと士気が下がるとして兵士の婚姻を禁じた。ローマの司祭・ウァレンティヌス(ヴァレンタイン)は兵士達を憐れみ、隠れて結婚式を執り行い続け、皇帝によって2/14に処刑されたという。

雛人形: 雛祭りに飾る人形。元々は単に「ミニチュア人形」という意味。
皇后を模した女雛だけを指し「お雛様」とも呼ぶが、雛に女性の意味はない。この呼び方は童謡「うれしいひなまつり」の歌詞〈お内裏様とお雛様〉から広まったという。作詞者のサトウハチローは誤用だったと恥じ、後年まで気にしていた。

鯉幟(こいのぼり): 端午の節句に飾るのぼり。上から順に、五色の吹流し、大きな真鯉(黒い鯉)、中くらいの緋鯉、小さな青鯉を並べて揚げるのが一般的だが、家族の人数分の鯉を揚げる家もある。

母の日: 5月第2日曜。1907年の米国で、南北戦争時に負傷兵の看護活動に尽くしたアン・ジャーヴィスを偲び、アンの娘が教会で行った記念会が始まり。この会では白いカーネーションが使われた。

芒種(ぼうしゅ): 6月上旬にある二十四節気の1つ。田植えの時期。

父の日: 6月第3日曜。1909年の米国で、男手一つで自分達を育てた南北戦争帰りの父を偲び、その娘が母の日に倣って教会で行った記念会が始まり。

お盆(盂蘭盆会(うらぼんえ)): 先祖・故人の霊を迎え入れて供養する、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事。中元節を中心とする期間(一般に8/13-16)に行うことが多いが、東日本の一部地域等では旧暦の中元節に近い7月中旬に行う。
四十九日の法事の後、初めて迎えるお盆は新盆(にいぼん)と呼び、特に厚く供養する。

盆棚: お盆の期間中に仏壇の前や玄関に飾る、供え物をして故人の霊を迎え入れる祭壇。水や精霊馬を供えたり、ほおずきを吊るして飾るのが伝統的。

精霊馬(しょうりょううま): 胡瓜と茄子に棒を刺し、馬と牛に見立てた盆棚飾り。馬には「故人の霊に早く帰ってきてほしい」、牛には「あの世へゆっくり戻ってほしい」という意味がある。

二百十日(にひゃくとおか): 立春から210日目(9/1頃)。台風襲来の厄日とされる。

重陽(ちょうよう)(菊の節句): 9/9五節句の1つ。陰陽道で最も陽の強い、縁起の良い数である「9」が重なる日。行事食として栗ご飯が知られる。

十五夜中秋節): 旧暦8月15日。年によって9月上旬から10月上旬となる。月見の日として知られ、満月が見える場所に月見団子・里芋・栗等を盛り、酒を供えて月を眺める。中華圏では祝日で、行事食に月餅がある。

ジャック・オー・ランタン: ケルト文化圏(スコットランドやアイルランド)で、故人の魂が彷徨っているものと解されていた怪火(日本における鬼火と同じ)、又は実際にランタンを作って故人を偲んだ風習。
古くは故人の頭蓋骨の中に蝋燭を灯し、故人を生き返ったものとして家族で囲み、偲んだ。いつしか、本物の頭蓋骨ではなく白い蕪を頭蓋骨風にくり抜いて使うようになり、北米ではカボチャをくり抜くようになった。現在ではハロウィンのキャラクターとして知られている。

クリスマス・イヴ: 12/24の夜。「クリスマス・イヴニング」の略。『創世記』の〈夕べがあり、朝があった。第一の日である〉という記述から、教会暦では日没を日付の変わり目とし、12/24の日没から12/25の日没までがクリスマスとなる。

ボクシング・デー: 12/26。英国等で祝日。「クリスマスプレゼントの箱を開ける日」を意味する。

六曜: 江戸時代頃から流行し、今でもカレンダーや手帳によく記載される、日々の運勢の指標。6種類ある。
先勝→友引→先負→仏滅→大安→赤口→先勝…の順で繰り返すが、旧暦の月ごとにリセットされる。各月の1日目の曜は決まっている(例えば、旧暦1/1、旧暦7/1は必ず先勝)。

先勝: 六曜の1つ。午前は吉、午後は凶とされる。

友引: 六曜の1つ。良くも悪くもない日。葬儀を行うと友が冥土に引き寄せられるとの迷信から、宗派によっては葬儀を避ける場合がある。

先負(せんぶ): 六曜の1つ。午前は凶、午後は吉とされる。

仏滅: 六曜の1つ。大凶とされる。結婚式等を避ける習慣がある。

大安: 六曜の1つ。大吉とされる。結婚式等の日程として選ばれやすい。

赤口(しゃっこう): 六曜の1つ。11-13時(牛の刻)は吉、他の時間は凶とされる。

一粒万倍日(いちりゅうまんばいび): 干支の組合せによる吉日。12日に2回の割合で訪れる。一粒の籾が万倍にも実る稲穂になるという意味で、何事を始めるにも良い日とされる。

13日の金曜日: 西洋の多くの国で不吉とされる日。13は「イエス・キリストの最後の晩餐の人数」、金曜日は「イエス・キリストの処刑の日」だとする説がある。

賃金(給与、給料): 労働力を提供する労働者が、使用者から報酬として受け取るお金。
なお、労働力も一種の商品と考えられるが、通常の商品と違い、後払いが一般的である。このことは使用者と労働者の力関係に起因している。

正社員: 日本の雇用慣行で、直接雇用・無期・フルタイムの労働者のこと。対義語は非正規社員。

フリーター: 「フリー・アルバイター」の略称。厚労省の定義では15-34歳(学生を除く)の非正規労働者のこと。

完全失業者: 労働統計の用語で、働く意思や能力があるにも関わらず、調査期間内に収入を伴う仕事に就いていなかった人のこと。

有期雇用: 企業と労働者が期間を決めて労働契約を結ぶこと。労基法では、契約期間は原則3年以内。有期契約を繰り返し累計5年に達すると、企業は労働者の希望に応じ無期契約に切り替えなければいけない。
国によっては、雇用は無期雇用が原則とされ、有期雇用は特定の業務内容や、繁忙期の補充、特定の不在労働者の代替等でしか認められない場合もある。
日本にはそのような有期雇用の入口規制は無く、特にサービス業では、店舗に1人しか正社員がいない、酷い場合は数店舗合わせて1人しか正社員がいない、といったケースがざらにある。

メンバーシップ型雇用(日本型雇用、職能型雇用): 業務内容や勤務地を限定せずに採用し、人に仕事を割り当てる雇用形態。労働者にとっては解雇のリスクが少ない一方で、異動のリスクが大きい。
年功賃金との親和性が強く、このシステムの元では終身雇用が強く期待される。日本企業の正社員は従来この形が多い。

ジョブ型雇用(職務型雇用): 業務内容や勤務地を限定して採用し、仕事に人を割り当てる雇用形態。世界のほとんどの国の労働市場で主流。

時間外労働(残業): 所定労働日の、所定労働時間(就業時間)を超えた分の仕事。時間外労働のうち法定労働時間(1日8時間)を超えた分について、使用者は25%の割増賃金を支払わなければならない。

36協定: 労基法第36条で定められた、使用者と労働者代表が結ぶ協定のこと。結んでいない場合、使用者は労働者に対して、法定労働時間を超える時間外労働や、法定休日の休日労働を命じることはできない。
協定では、法定労働時間を超える時間外労働の上限時間を決める。この上限には、原則は月45時間年360時間以内、特別条項を適用する場合には年720時間以内等の制限がある。

有給休暇(有休): 労働者が所定労働日に使える有給の休暇。日本の労基法は使用者に対し、ある労働者を6ヶ月以上雇用した場合に、年に1度与えなければならない年次有給休暇(2年間有効)の最低基準を設けている。
週の所定労働日数が5日以上又は所定労働時間が30時間以上の場合、6ヶ月目で10日、1年6ヶ月目で11日、…、6年6ヶ月目以降は20日の有休を与えなければならない。
週の所定労働日数が1日のアルバイトであっても、6ヶ月目で1日、1年6ヶ月目以降は2日、4年6ヶ月目以降は3日の有休を与えなければならない。
ちなみに、有休日の賃金の保障の仕方には幾つかのパターンがある。通常の契約通り勤務したと見なすパターン等の他に、「直近3ヶ月間の賃金総額/直近3ヶ月間の総暦日数」と「(直近3ヶ月間の賃金総額/直近3ヶ月間の労働日数)×60%」のいずれか高い方で支給することもできるため、労働日数が少ないパート・アルバイトに対しては、通常の労働日の平均賃金の60%しか保障しない企業も多い。
なお、EUでは全ての労働者に4週間以上(フルタイム労働者なら20日以上)の有休を保障することになっており、夏にまとめてバカンスとして休む文化が一般化している。

育児休業(育休): 労働者が0~1歳児の子育てのために取得できる休業。休業中の給付金は、雇用保険で育休開始前の賃金の67%(180日経過後は50%)となっている。
日本では母親・父親とも同じ期間取得でき、法的には男性労働者の取得可能期間は世界一長いともいうが、実際の取得率は女性に比べるとまだまだ低い。

サバティカル: 長期休暇の一種。一般的に数ヶ月以上の休暇で、大学教員の在外研究休暇や、一定以上勤続した労働者に対する特別長期休暇をそう呼ぶことが多い。

搾取工場(スウェットショップ): 非常に低賃金で、社会的に容認しがたい違法な労働条件の作業場のこと。

デスマーチ(デスマ): IT業界のシステム開発プロジェクトの現場等で、適切なマネジメントが行われず、無理な過重労働が強いられる状況を指す言葉。直訳は「死の行進」。

結婚退職制: 結婚、又は結婚適齢期に達したことを理由に女性の雇用を打ち切る制度。日本国憲法や男女雇用機会均等法に違反する。
かつては、出産を理由とする出産退職制と共に多くの企業が制度化し、「終身雇用制は男性だけ、女性は家庭に入るべきもの」とされた。
60sに初めて東京地裁が違憲判決を出し、労働省の指導によって減少。代わりに男女で定年に差を設ける「定年差別」を導入する企業が増えた。定年差別も'81年に最高裁が違憲判決を出し、多くの大企業がほぼ一斉に廃止している。

安全第一: 安全を最重視するという意味のスローガン。工事現場のバリケードやヘルメットに、「安全」と「第一」の間に緑十字を配置した表記でよく掲げられる。
20c初頭に、米国の製鉄会社・USスチールが〈生産第一、品質第二、安全第三〉という従来の経営方針を〈安全第一、品質第二、生産第三〉に転換し、労災を減らしたことで広まった。

ハインリッヒの法則: 1つの重大な労働災害の背後には29の小さな事故があり、その背景には300の事故に至らない異常があるという経験則。

気積: 「床面積×高さ」で求められる、室内の空気の総量のこと。労働安全衛生規則で、労働者1人当たり10m3以上確保しなければいけないとされる。

受任者払い: 労災の給付金を、会社が先に立て替えて従業員に支給し、後日、会社の口座に労災から給付金を振り込んでもらう制度。

不当労働行為: 使用者が労働者の団結権を侵す行為。労働組合法で禁じられている。労働者の労働組合加入やストライキ参加を理由にした差別的な扱い、団体交渉の拒否等。

ロックアウト: 使用者が労働者のストライキ等に対抗して工場等を一時閉鎖し、労働者の就業を拒否すること。

地位確認請求: 解雇を通告された労働者が、解雇無効を主張し、まだ雇用契約上の地位があるかどうかを裁判所に確認する、労働審判又は訴訟のこと。

労働委員会: 国と都道府県が設置する、労働者の擁護、労使紛争の調整のための行政委員会。労働局の紛争調整委員会と違い、公益委員・労働者委員・使用者委員を同数置くのが特徴。
労使紛争の調整には「あっせん」「調停」「仲裁」の3種類ある。「あっせん」が最も申請しやすく、「仲裁」が最も効力が強い。

ジョブカフェ: 都道府県が設置する、若者を対象に職業紹介や就職セミナーを行う施設。

給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法): 公立学校の教員の賃金について定める法律。'71.制定。
教員に月給の4%を固定残業代として支払い、実残業代は支給しないと定めている。近年、教員の業務量が制定時に比べて大幅に増えており、時代遅れとの指摘が相次いでいる。
日本の公立校教員の無賃労働に全て実残業代を支払うと1兆円に及ぶという調査もあり、巨大な問題となっている。

労働権法: 戦後の米国で各州が導入している、ユニオンショップ制を非合法化する等、労働組合の力を弱める法律の通称。20s現在も約半数の州が導入している。
歴史的に、工場をもつ製造業の企業が、労働運動が起こりづらく、賃金を抑えやすい労働権法のある州に移転する等して、米国内の産業立地や人口構造にも変化をもたらしてきた。

日本労働組合総連合会連合): 日本最大の労働組合のナショナルセンター。組合員数約700万人。立憲民主党や国民民主党の支持母体。資本側と馴れ合う「御用組合」との批判もある。メーデーは毎年4月末の休日に代々木公園で行う。
'89.「総評」「同盟」等4つのナショナルセンターの解散・再編で設立。

全国労働組合総連合全労連): 日本の労働組合のナショナルセンター。組合員数約55万人。日本共産党との親和性が高い。メーデーは毎年5/1に代々木公園で行う。
'89.連合結成を「労働界の右寄り再編」と批判し、元「総評」の非主流派官公労等が結成した単産等が集まって誕生。

全国労働組合連絡協議会全労協): 日本の労働組合のナショナルセンター。組合員数約10万人。社会民主党や新社会党、新左翼諸派との親和性が高い。メーデーは毎年5/1に日比谷野外音楽堂で行う。
'89.連合も全労連もよしとしない組合が、「たたかう、まともな労働運動」をスローガンに掲げ結成。

全国民主労働組合総連盟民主労総): 韓国最大の労働組合のナショナルセンター。世界有数の「戦う(戦闘的な)労組」として知られる。

レイバー・ノーツ: 米国のNPO法人。ワークショップや労働学校の運営、世界の労働運動家が集まる大会の開催、Webメディアの運営等を行い、現代の労働界で大きな影響力をもつ。

レイバーネット: 国内外の労働運動等に関するWebメディア。各国版があり、日本版はジャーナリストの安田浩一や全港湾(全労協系)の活動家が設立した。

スタッフサービス: リクルート系列の人材派遣会社。'97.フリーダイヤル番号「0120-022-022」をもじった〈オー人事、オー人事〉のTVCMを開始。

エイジェックグループ: 人材派遣やBPO等、多角的な分野を手掛ける企業グループ。栃木ゴールデンブレーブスや、栃木県の社会人野球チーム・エイジェック硬式野球部の運営母体。

タイミー(Timee): 日本のスキマバイト(ギグワーク)紹介サービス、及びそれを運営する企業。面接無しでスキマ時間に働き、賃金は原則即日受け取れる。飲食店等の求人が多い。'18.サービス開始。

ライトニングトーク(LT): カンファレンスやフォーラムで行う、5分程度の短いプレゼンテーションのこと。

グラフィックレコーディング(グラレコ): 会議や講演の内容を、単なる箇条書きだけでなく、紙やホワイトボードいっぱいに図やイラストも駆使してリアルタイムに描くこと。

グラフィックファシリテーション(グラファシ): 対話をグラレコしながら、相互理解や、話し合いの場の活性化を促す技術。

5S(ごエス): 職場環境の維持・改善のためのスローガン。整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)を意味する。

タスクフォース: ある組織や企業の中で、緊急性の高い問題に取り組むため、一時的に構成するチームのこと。類語に「プロジェクトチーム」があるが、より短期的なものを指すことが多い。

MBO: Management By Objective(目標による管理)。各個人に業務目標を設定させ、その進捗や実行を主体的に管理させるマネジメント手法。ドラッカーが提唱した。

訓告: 公務員の義務違反等に対して責任を確認し、戒める処分。懲戒処分には当たらず、1度では昇給や出世に影響しないとされるが、3度累積すると戒告1回分相当となる。

ピーター・ドラッカー: オーストリア出身の経営学者。ユダヤ人。非営利組織から巨大企業、政治・社会まで研究対象とした。MBO(目標による管理)の提唱者。'73.『マネジメント』。
名言〈マネジメントは権力ではない、人を活かす責任だ〉〈凡人が非凡な働きをできる組織が目指すべき組織〉〈可・否の二案だけでは不足だ。決定しないという決定もある〉。

免税: 税を免除すること。特に、旅行者が海外に持ち出す商品を購入する場合に、輸出扱いとして消費税を免除すること。市中の免税店では消費税が、空港型免税店では消費税に加え関税・酒税・たばこ税等も免除される。

仕入税額控除: 事業者が、売上に応じて得た消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引いて国に納めること。流通の各段階で消費税の累積が発生するのを防ぐ意義がある。

インボイス制度: 消費税の仕入税額控除の方式の1つ。仕入れにかかった消費税を計算する際、一般的な請求書や帳簿の保存だけでなく、仕入元から、仕入元が課税事業者だと証明するインボイス(適格請求書)の発行を受けることを必須とするもの。
制度導入前は、仕入元が免税事業者であっても、免税事業者が消費税を上乗せした金額で請求書を発行すれば、本来生じた消費税の一部が国に納税されず免税事業者の利益となる問題があった。
制度導入にあたっては、仕入れを行う事業者が、インボイスが発行できない免税事業者ではなく、課税事業者を取引先に選ぶ方向に誘導されるため、売上1000万円以下の個人事業主の事業に深刻な影響が出ることが問題となっている。
'23.10月.日本国内の取引にも導入予定。

所得税: 個人の所得に課される国税。国の税収の中で消費税に次ぐ大きさを占める。現在の最高税率は45%(年間所得が4000万円以上の場合)、最低税率は5%

所得: 個人の収入から基礎控除や「必要経費」を引いて残った額。所得税が課される。給与所得、事業所得、不動産所得といった種類ごとに計算方法がある。

基礎控除: 所得を計算する際、収入総額に応じて一定額を控除すること。収入が2400万円以下の場合、48万円。

給与所得控除: 給与所得を計算する際、給与収入に応じた「必要経費」を一律の計算式に当てはめて便宜的に決め、控除すること。最低基準は55万円。

103万円の壁: 現在の日本で意識される、個人の収入ラインの1つ。基礎控除の下限額(48万円)と給与所得控除の下限額(55万円)の合計であり、この壁を超えると所得税の負担が生じる。
家族内に別に「主たる生計者」がいる場合、この壁を超えると「主たる生計者」の配偶者控除や扶養控除の対象外となるため、世帯当たりの手取り額がかえって下がる場合があり、仕事量を調整して年収を103万円以内に抑えるケースがある。
又、複数の収入がある場合には、103万円を境に確定申告等の手間が生じるという負担もある。

N分N乗方式: 所得税の課税方式の1つ。フランスが採用している。個人ではなく世帯単位で課税するのが特徴で、世帯の所得を家族の人数で割って(N分)納税額を算出し、その納税額を世帯の人数分(N乗)収めるもの。
累進課税制度と組み合わせることで、世帯人数が多い子育て世代等の負担を抑えられる。

ふるさと納税: 地方創生を目的とする寄付金税制。個人が任意の地方自治体に寄付した金額の一部(所得に応じた上限額以内で、寄付金総額から一律2000円を除いた額)が、住民税や所得税から控除される。'08.制度開始。
制度設計時には想定されていなかったというが、寄付金額に応じた返礼品を送る自治体が現れ、全国の自治体が返礼品の内容をアピールして実質的に住民税を取り合う様相となったため、返礼品は「寄付額の30%以下の市場価格の地場産品」というルールができ、地場産業と関係のない高額なギフト券等は認められなくなった。
なお、控除の上限額は所得に応じて大きく異なり、高所得者は実質自己負担2000円のまま寄付額や納付先を増やし、多くの返礼品を受け取れるため、高所得者に有利な節税制度としても作用している。
'16.企業版ふるさと納税開始。法人も自治体への寄付によって税負担が軽減できるようになった。

旅先納税: ふるさと納税の一形態。旅行等で訪れた自治体に現地で寄付することで、返礼品として自治体内で使える電子ギフトが受け取れるというもの。

ワンストップ特例制度: ふるさと納税をした後に、確定申告を行わなくても住民税の控除が受けられる仕組み。

ふるさとチョイス: ふるさと納税の最大手ポータルサイト。ガバメントクラウドファンディング(GCF)や災害支援など、返礼品にとらわれない寄付のあり方も提案している。'12.設立。

固定資産税: 固定資産(土地・家屋・有形償却資産)の所有者が払う地方税。賦課日は毎年1/1。
多くの市区町村では税率1.4%。家屋は基本的に評価額=課税標準額だが、土地は課税標準額が抑えられており、小規模住宅用地(住宅一戸あたり200m2までの部分)は評価額の6分の1とされている。

不動産取得税: 固定資産の取得者が取得時に払う地方税。

e-Tax: 国税の申告や納付をネットで行えるシステム。

130万円の壁: 現在の日本で意識される、個人の収入ラインの1つ。収入が130万円を超えると社会保険上の扶養家族の対象外となり、誰でも個別に社会保険料の負担が生じる。
そのため、家族内に別に「主たる生計者」がいる場合、仕事量を調整して年収を130万円以内に抑えるケースがよくある。
なお、106万円以上130万円未満の場合も、一定以上の規模の企業で「週の所定労働時間が20時間以上」「学生でない」等の条件を満たせば勤め先の社会保険に加入するため、扶養家族にはなれない(106万円の壁)。

国民年金: 日本の公的年金で、国民皆年金制度の基礎部分(1階部分)。財源は社会保険料と国庫負担(2分の1)。日本に住む20-59歳が加入し、自営業者や無職者等は第1号被保険者、厚生年金や共済組合の加入者は第2号被保険者という。
'22年度の第1号被保険者の保険料は月16,590円。

年金手帳: 公的年金制度の加入者に交付された、年金についての情報を記した手帳。'22.マイナンバー制度に統合され新規発行停止。

イカ、ソーセージ 生協産: 生活保護の8種類の扶助の語呂合わせ。イ=医療扶助、カ=介護扶助(以上、現物給付)、ソー=葬祭扶助、セー=生活扶助、ジ=住宅扶助、生=生業扶助、協=教育扶助、産=出産扶助(以上、金銭給付)。

生業扶助: 生活保護の扶助の区分の1つ。技能習得・就労準備の費用(高校就学費や運転免許取得費を含む)、生業に必要な資材の購入費等を、実費で支給する。

児童相談所(児相): 都道府県や一部の市・特別区が設置する機関。全国共通ダイヤルは189(いちはやく)。家庭や学校、近隣住民からの相談・通報に応じ、子どもや保護者の調査、指導・支援、子どもの一時保護等を行う。

ケアリーバー: 児童養護施設や里親から自立した成人のこと。孤立や生活苦に陥るケースの多さが問題となっている。

ゴールドプラン('89): 日本政府が策定した「高齢者保健福祉推進10か年戦略」。高齢社会が迫る中、介護施設の拡充やホームヘルパーの増員を図った。

オレンジプラン('12): 日本政府が策定した「認知症施策推進5か年計画」。認知症患者の地域生活を支えるサービスの構築等を図った。

困難女性支援法(困難な問題を抱える女性支援法): '24年施行予定の、DVや性被害、貧困等を抱える女性の支援についての法律。売春防止法('57.施行)中心の女性支援の枠組みを改めるもの。
都道府県に対し、相談やアウトリーチ、一時保護等の活動を行う「女性相談支援センター」の設置を義務付ける。

障害者総合支援法: 障害者福祉について定める法律。'12.「障害者自立支援法」から改正・改題。

近江学園: 滋賀県湖南市の、孤児・知的障害児を養育する児童福祉施設。'46.戦災孤児・知的障害児の福祉と教育に生涯を捧げた糸賀一雄らが創設。

ベーシックインカム(BI): 既存の複雑な福祉制度に代わって、最低限の生活を保障するため、政府が全国民に一律の金額を定期支給する政策。大規模に実現した例は世界でも無いが、少子化対策等で度々議論に上る。
年金・雇用保険・生活保護等の既存の福祉を廃止しBIに切り替えても生み出せる財源は国民1人当り月5万円に満たないが、月10万円以上のBIと累進性の強い増税を組み合わせれば福祉の効果を維持できるという議論もないわけではないらしい…?

ロータリークラブ: 国際的な社会奉仕団体。シンボルマークは歯車。日本には約8万人の会員がいる。1905.米国・シカゴで設立。最初のクラブが例会場所をローテーションで提供しあったことから「ロータリー」の名が付いた。

ライオンズクラブ: 国際的な社会奉仕団体。シンボルマークは「L」の字に左右のライオン。日本には約10万人の会員がいる。1917.米国・シカゴで設立。

人間の鎖: 抗議や要求のために多くの人が手を繋ぎ、施設を取り囲んだり、2つの地点を繋いだりする行為。'89年にバルト3国で行ったものが有名。

レスポンスタイム: 通報から、現場に救急車(消防車、パトカー)が到着するまでの時間のこと。

Lアラート: 災害時に必要な情報を、自治体やライフライン事業者と各種メディアが効率的に共有する日本のシステム。Lはローカルを指す。

防災の日: 9月1日。1923年に関東大震災が起きた日。台風の襲来が一年で最も多い時期でもある。

いかのおすし: 子ども向けの防犯標語。「知らない人についていかない」「他人の車にらない」「おごえを出す」「ぐ逃げる」「何かあったらすぐらせる」の5か条。

割れ窓理論: 1枚の割られた窓ガラスを放置すると、更に割られる窓ガラスが増え、いずれ街全体が荒廃するという犯罪学の理論。軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする。

村木厚子: 元厚生労働事務次官('13-15)。'09年に虚偽公文書作成容疑で起訴されたが無罪。退官後も女性支援や居住支援等、様々な社会問題に取り組む。

eri: 米国生れ・東京育ちの環境・平和アクティビスト、古着バイヤー、デザイナー、ミュージシャン。


4、政治・法

政治(ポリティクス): 人が幸せに暮らせるよう、社会を共同体(ポリス)として統合し、内外の対立や利害の調整のために意思決定し、意思決定に基づく公的な行為を行うこと。
類義語に「統治」がある。違いの定義は難しいが、どちらかといえば「政治」は意思決定のプロセス、「統治」は意思決定に基づく行為を行き届かせるプロセスに重きを置いた言葉。

権力: 人を従わせる力。現代の多くの社会では、「法」の正当性や「暴力/実力装置(軍・警察・徴税機関等)」を国家がほぼ独占しているため、権力は国家に集中していると考えられる。
但し近年では、圧倒的な資本や情報発信力を握った巨大な私企業が人々や国家に及ぼす影響があまりに大きく、巨大企業も国家と並ぶ権力主体と見なすことがある。

国家(国): 永続的な住民(=国民)、統治する土地(=領土/国土)、広く独立性を認められた政治的権力(=主権)の3つを備えた政治的共同体のこと。
権力が強力に集中した最も重要な政治的共同体だが、近現代の価値観においては単に強力であれば良い訳でもなく、「法の支配」と「民主主義」によって国民多数の望みに従うことが基本となる。
国家が弱かったり機能しなかったりして苦しむ社会もあれば、国家が強すぎて苦しむ社会も多く、バランスをとることが重要といえる。

行政: 法に基づいて内政・外交を行うこと。行政権は国家の三権の1つとされる。

政府(中央政府): 国家の統治機構のこと。三権が分立している国では、特に行政機構のこと。国によっては、自治体を「地方政府」「州政府」等と呼ぶこともある。

立法: 法を制定すること。立法権は国家の三権の1つとされ、多くの国では議会(国会)がこれを行使する。

司法: 法に基づいて、訴訟に対し裁きを下すこと。司法権は国家の三権の1つとされ、多くの国では裁判所がこれを行使する。

自治体地方公共団体): 国内の一部地域を統治(自治)する機関。

憲法: 各国の法体系の頂点に位置する、国家の体制等を定めた法。近代国家では、人権に対して国家権力が制約できる範囲を憲法で定め、国家権力をコントロールする役割を果たす。

人権(基本権、基本的人権、ヒューマンライツ): 人間であることに基づく普遍的権利。近代民主主義革命以降、各国の法体系の不可欠な原理となった。元々は平等権と自由権を指したが、参政権、社会権等、時代が下るごとに概念が拡張している。

形式的平等: 全て個人を均等に取り扱い、様々な機会を等しく保障すること。

実質的平等: 人の現実の差異に着目して格差是正を行い、「結果の平等」を目指すこと。

自由権: 人間の思考や行動は国家権力から自由であり、他害性等の理由で法律に定められた行為を除けば制約されないという権利。
「身体的自由」「信教の自由」「学問の自由」「表現の自由」「集会の自由」「結社の自由」「職業選択の自由」「居住移転の自由」「財産権」等を含む。

債権: 財産権の1種で、契約等に基づいて発生する、相手に金銭の支払いを求めたり、物を受け取ったりする権利。
債権の行使には時効があり、日本の民法では一般に、「債権者が権利の発生を知った時から5年」又は「発生から10年」が経過した債権は、債務者が時効を主張すれば無効となる。
例外として、労働者の未払い賃金請求権等の、賃金債権については「当分の間、3年で時効」と定められている。

著作権コピーライト): 知的財産権の1種で、著作物(文章・美術・音楽等)をその創作者(著作者)が独占的に利用できる権利。著作者を明示する著作権マークは「」。
特許権や商標権と違い、著作物を登録しなくても創作した時点で権利が発生する、基本的人権的な性格をもつ。

コピーレフト: 著作物の自由なコピー・再配布・翻案を、「二次的著作物についてもコピー・再配布・翻案を制限せず、著作物をより共有・発展させる」という条件付きで認めること。コンピュータプログラムのソースコードについての分野で始まった考え方。
無断転載を禁止する決まり文句〈Copyright — all rights reserved(著作権―全ての権利は留保される)〉を、〈Copyleft — all rights reversed」(コピーレフト―全てのrightは反転される〉ともじって使う。

特許権パテント): 知的財産権の1種で、特許を受けた発明を権利者が独占的に実施できる権利。日本では原則として出願日から20年間有効。

商標権: 知的財産権の1種で、商品やサービスを提供する事業者が、付随する商品名やデザイン等の標識(商標)を独占利用する権利。
登録された商標を明示する登録商標マークは「」(Registered)。登録済・申請中・未登録を問わず商標であることを主張するマークは、商品の場合「」(Trade Mark)、サービスの場合「」(Service Mark)。
登録商標マークを明示しなければ保護が受けられない国もあるが、日本では任意。商品に「Ⓡ」マークや登録商標である旨が書かれていなくても、実際には登録されている商品名やデザインは無数にあるため、類似品を販売する際は注意が必要。

パブリックドメイン: 知的財産権が誰にも属さず、社会全体の共有財産として誰でも使える状態。

直接請求権: 参政権の1つで、住民の発意で自治体に一定の行動をとらせるもの。首長や議員の解職を問う住民投票請求には有権者の3分の1以上、条例の制定・改廃審議の請求には50分の1以上の署名が必要。

日本国憲法第20条: 信教の自由、国の宗教活動の禁止を定めた条文。〈いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない〉という記載がある。

日本国憲法第103条: 日本国憲法最後の条文。最終章「補則」の最後で、施行前後の公務員の地位について経過規定を定めた。

排他的経済水域EEZ): 国際条約上、ある国が資源利用等の「主権的権利」や、環境保全・調査等の「管轄権」をもつ水域のこと。各国は沿岸から約200海里(≒370km)の範囲で設定できる。

レジーム: 政治体制を意味するフランス語。「アンシャン・レジーム」は古くなった体制を意味し、特にフランス革命以前の王政を指す言葉として使われてきた。

共和政(共和制、リパブリック): 君主がいない政体。日本語で国名に付ける場合は共和国という。

元首: 国の対外的代表権をもつ者。君主、大統領、首相等。日本では明確な規定がなく、一般に首相(内閣総理大臣)を元首と見なすが、国際慣行上は天皇も元首相当の待遇を受ける。

大統領(プレジデント): 共和制国家の元首の通称の1つ。presidentという英語を最初に採用したのは米国。日韓では「大統領」、中華圏では「総統」と訳す。
米国、韓国、フィリピン、ロシア、フランス、ブラジル等の大統領、台湾の総統は、議会からは独立した選挙で選出され、国家元首として強い権限をもつ。インド、ドイツ、イタリア等では儀礼的な役割に留まり、実際の行政は議会が選ぶ首相が担う。

ポピュリズム: 政治や学問の場で蓄積された思想がなく、単に多数派の支持を得やすい政策のみに基づいた政治的主張や政治手法。ナショナリズムや排外主義に繋がりやすい等、批判的な文脈でよく使う言葉。

ナショナリズム国家主義国粋主義): 政治的な単位と文化的・民族的な単位を一致させようとする思想や運動。近代以降の国家の役割増大に伴い、土俗的な自己愛・地域愛・民族愛が国家単位にまで及んだものといえる。

エスノセントリズム(自民族中心主義): 自民族を美化し、他民族を劣ったものと見なしたり排斥したりする思想や運動。

ユーロコミュニズム: 70s以降のフランス、スペイン、イタリアの共産党の思想。プロレタリア独裁の方針や民主集中制を放棄する等、ソ連型共産主義とは違う路線を選んだ。

ミュニシパリズム: 地方政治において、大資本が支配するシステムに抗い、地域の公共財や、地域に根差した自治的な合意形成を重んじる運動。

国民負担率: 国民所得に対する公的負担(租税負担・社会保障負担)の比率。福祉国家で高く、「小さな政府」の国で低くなる。
'23現在の日本では50%弱、財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は60%弱。欧州の高福祉国家よりは低いが、決して小さくない。

二院制: 下院と上院、衆議院と参議院等、国会を2つの議院で構成すること。2つの本会議を通すことで議案を慎重に審議するのが目的。G7の国は全て二院制を採用している。中国や韓国は一院制。

コンセンサス方式: 投票を省略し、異議の表明が無いことを議長が確認して合意成立と見なす議決方式。国連総会等で使われる。

議員立法: 政府ではなく国会議員が国会で発議した法案、又はそれによって成立した法律。議院内閣制の下では、政府が与党との協議を経て提出する法案(内閣立法)に比べて成立率が低い。

衆議院: 日本の下院。大日本帝国憲法下では貴族院と共に、日本国憲法下では参議院と共に国会を構成する。'23現在、定数は465、議長は細田博之(自民)、副議長は海江田万里(立憲)。
少なくとも4年ごとに総選挙を行うが、大抵、4年の任期を待たずに解散がある(日本国憲法施行後、衆議院が任期満了を迎えたのは1回のみ)。
任期の短さと解散により忠実に民意を反映できると解され、参議院に対して優越的地位が認められている。

国勢調査権: 憲法62条に基づく国会の機能。記録提出を求めたり、証人喚問・参考人招致を行ったりして、国政を調査すること。

弾劾: 特別な地位の官職者(日本では裁判官・人事官)を、義務違反や非行等の理由で議会等が処分すること。憲法64条には衆参両院議員から成る弾劾裁判所が裁判官を裁判できる規定があり、現憲法下で過去に7人の裁判官が罷免された。
'23現在、Twitterでの奔放すぎるツイートで知られた高裁判事・岡口基一の罷免訴追の審理が進行中。高裁以上の判事の罷免訴追は現憲法下で初。

議員特権: 憲法49-51条に基づく国会議員の特権。不逮捕特権、免責特権、経済的特権がある。

不逮捕特権: 国会議員は、現行犯の場合と所属議院が認めた場合を除き、会期中は逮捕されず、会期前に逮捕されても議院の要求があれば会期中釈放されるという規定。
行政権・司法権に対して立法権が独立を保つために必要な規定となっている。

国会の委員会: 衆議院・参議院それぞれで本会議の前に、議案の審査、国勢調査等を専門に行う委員会。予算・厚生労働・国土交通・議院運営・国家基本政策等の常任委員会と、災害対策等で必要時に置く特別委員会がある。
各委員会の委員数は10-50名程度。全ての国会議員は、少なくとも1つの常任委員会に所属する。

国家基本政策委員会: 首相と野党党首の党首討論のために置かれ、主に各政党幹部が委員に名を連ねる名目上の常任委員会。'00.国会活性化のために設置。
会期中、原則的には毎週、水曜15:00-15:45に衆参合同で開催するものとされるが、法案審議を優先する等の理由でしばしば見送られ、近年は1回も開催しない年もある。

国会議事堂: 千代田区永田町にある、日本の国会の議事堂。1936.竣工。戦中は空襲の標的になりにくいよう、黒っぽく塗装された。中央塔の高さは約65m。'64年にホテルニューオータニに抜かれるまで日本一高い建物だった。
中央塔の真下の吹き抜けの中央広間には、四隅に板垣退助・大隈重信・伊藤博文の銅像と、空の台座が置かれている。空の台座が存在する理由として、誰の銅像を置くか決まらなかったという説、政治は常に未完であることの象徴だという説等がある。

憲政記念館: 千代田区永田町1-1-1(国会前庭内)にある、衆議院付属の資料館。尾崎行雄を記念する民間施設だったものが寄贈された。敷地内に「三権分立の時計塔」等がある。'23現在は工事中で、近隣の建物に機能が移転している。

議員バッジ(議員記章): 国会議員・地方議員が身分証明のために着用するバッジ。国会議員のバッジの図柄は菊。

フィリバスター: 議会で議員が審議の引き延ばしを狙い、長時間演説すること。米国上院の文化として有名。日本では牛歩戦術をもじった「牛タン戦術」とも。

金帰火来(きんきからい): 国会議員が会期中、東京(火~金)と地元選挙区(週末)を往復しながら政治活動をすること。

供託金: 公職選挙の立候補に際して、立候補者が選挙管理委員会に寄託しなければいけないお金。衆参の選挙区選挙や知事選では300万円、市区長選では100万円、市区議選では30万円。
売名や泡沫候補乱立を防ぐ制度とされ、法定得票数(首長選挙や小選挙区選挙では有効投票数の1割)に達しない場合、全額没収される。
日本の選挙では供託金や各種選挙費用のため、一定の資金力があるか、既存政党等の団体がバックに無ければ活動が難しいことが問題となっている。
欧米では、候補乱立を防ぐために数百人の有権者の署名を立候補要件とする国が多く、日本のような高額な供託金を要件とする国は無い。
カナダの裁判所は'17年に供託金制度が憲法の参政権保障に違反すると結論付け、カナダも供託金制度(といっても日本のような高額ではなく約10万円だったが)を廃止した。

選挙運動: 日本の公職選挙法で、一般的な政治活動と区別して規定される、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」。
選挙運動期間は「選挙の公示日又は告示日に候補者が立候補の届出をした時」から「投票日の前日」まで。電話やネットを使った露骨な投票依頼等は選挙運動と見なされ、期間前に行うと「事前運動」として違反となる。
又、未成年による選挙運動も禁止されている。

コスタリカ方式: 同じ政党の小選挙区と比例区の候補者が、選挙毎に後退して立候補する方式のこと。

平成研究会茂木派(もてぎ-)): 自民党の派閥。旧称は経世会。佐藤栄作・田中角栄の派閥を前身として竹下登が設立し、小渕恵三、橋本龍太郎らが会長を務めた。現在は茂木敏充会長。
小泉政権以前の自民党においては主流派と見なされてきた。「保守本流」に属し、親中派が多いとされる。

宏池会: 自民党に存在した派閥。池田勇人が設立し、宮澤喜一、加藤紘一、古賀誠、岸田文雄らが会長を務めた。「保守本流」に属し、官僚出身者、ハト派が多かった。'24.政治資金パーティーに関わる裏金が問題化し解散。

しんぶん赤旗: 日本共産党中央委員会が発行する政党機関紙。日刊紙と「日曜版」がある。1928.創刊。初代編集長は、後に転向してフジテレビ社長等を務めた水野成夫(しげお)。

裁判所: 司法権を行使する国家機関。日本では最高裁、高裁、地裁、家裁、簡裁の5種類がある。

裁判官(ジャッジ): 裁判所で裁判を担う官職。最高裁長官、高裁長官、判事判事補、簡裁判事の総称。簡裁判事以外は、司法試験・司法修習修了試験の合格者の中から任官される。

弁護士(ロイヤー): 法律事務全般に携わる国家資格。日本の弁護士数は4万人余。弁護士バッジの図柄はひまわり天秤。司法試験・司法修習修了試験に合格し、弁護士会に登録すると弁護士になれる。
一般に、様々な法律相談を受け、必要な事務を行う。民事訴訟では、原告や被告の代理人として主張や立証活動等を行う。刑事訴訟では、被告人の弁護人として無罪を主張、又は適切な量刑が得られるよう検察官と争う。
就業形態としては、法律事務所の他、企業や官庁に雇われて働く弁護士も増えている。

弁理士: 知的財産権に関わる業務を扱う国家資格。資格取得の難易度はかなり高く、理系出身者が大半を占める。所管は特許庁。

裁判: トラブルや法律を犯した疑いのある事実について、裁判所で正確に審理し、裁判官が判決を示すこと。
事件の内容により、地裁・家裁・簡裁のいずれかで裁判を行う。審理や判決に不服があれば上級の裁判所に控訴を、控訴審にも不服があれば更に上級の裁判所に上告を行うことができる(三審制)。

即時抗告: 裁判所の決定のうち、法律に明示された幾つかの場合(家事事件の審判等)に当てはまるものに対し、決められた期間内に行う不服申立てのこと。

留置場: 各警察署にある、事件の被疑者の身柄を、逮捕後に留め置く場所。逮捕後3日間と、検察・裁判所が勾留(こうりゅう)の必要性を認めた場合は起訴期限まで更に20日間の最大23日間、留置を行うことがある。

拘置所: 法務省の収容施設。証拠隠滅の可能性等から起訴後も勾留が必要な被告人や、死刑確定者を収容する。

保釈: 勾留中の被告人について、住居限定や保釈金(保証金)の納付を条件に、身柄の拘束を一時的に解く制度。保釈金の額は、裁判所が犯罪の性質や被告人の収入・資産状況等を考慮して決める。

仮釈放: 懲役・禁錮刑の受刑者のうち一定の要件を満たした者を、社会復帰を円滑に進めさせるため、制度刑期満了前に仮に釈放する制度。

保護司: 犯罪や非行をした人の更生・社会復帰を地域で支えるボランティア(無給の非常勤国家公務員)。

執行猶予: 被告人の犯情を考慮し、一定期間(上限は5年)、事件を起こさずに経過した場合は刑罰を消滅させる制度。
執行猶予期間を設けずに懲役・禁錮・拘留刑を与えることを実刑という。

推定無罪: 近代法の基本原則で、有罪の確定までは、容疑者を無罪として扱うということ。

不能犯: 犯罪的結果の発生を意図しているものの、現実にその結果が発生することが有り得ないために刑罰の対象とならない行為のこと。呪術等。

政策形成訴訟: 個別の紛争を解決するだけでなく、判例が新しい政策を提起・形成するという側面をもつ訴訟。日本では特に公害訴訟の分野でこの言葉が使われてきた。違憲審査が争点となる訴訟もこれに該当する。

事情判決: 行政事件訴訟において、行政庁の処分や裁決自体は違法だが、これを取り消すと公の利益に著しい障害を生む場合に、裁判所が違法を宣言した上で請求を棄却する判決のこと。

統治行為論: 政府の行為のうち、「国家統治の基本に関する高度な政治性」をもつ行為については、裁判所は審査すべきでないという理論。
極めて政治的な領域においては、誤った判断の責任を国民に対して負えない裁判所よりも、選挙で選ばれている政府の立場を尊重するという考え方から来ている。
これまでに日米同盟や自衛隊の合憲性が問われた訴訟で、最高裁はこの理論を採用している。但し徹底した「法の支配」を是とする日本国憲法下では、いかなる問題でも統治行為論を採るべきではないという法学者もいる。

クラスアクション: 米国等が導入している集団訴訟制度。ある1つの行為や事件から多数の被害が出た時に、一部の被害者が全体を代表して訴訟を起こすことができ、和解内容が全ての利害関係者に適用される。

殺人罪: 日本の刑法における、故意による殺人の罪。法定刑は死刑又は5年以上の懲役。
なお、殺人の故意はなかったが、暴行・傷害により人を死なせた場合は傷害致死罪、殺人の故意も暴行・傷害の故意も無いが過失によって人を死なせた場合は過失致死罪が適用される。

善きサマリア人の法: 英米法で一般的な、「緊急時の救助活動において、救護者は失敗しても責任を問われない」という原則。新約聖書に登場する喩え話から。

相続放棄: 相続人が、死亡した被相続人の権利・義務を一切受け継がないことを家裁に申し立て、相続権を放棄する制度。一般に、被相続人の財産よりも借金が多い場合、相続人が借金の支払いを免れるために使う。
民法の規定により、相続放棄は相続を知った時から原則3ヶ月以内にしなければならない。

商法: 六法の1つで、商取引等の企業活動について定めた法律。

製造物責任法PL法): 製造物の欠陥で損害が生じた場合の、製造者の損害賠償責任等を定めた法律。'95.施行。

皇室典範: 皇室制度の基本法。'47.施行。

新型インフルエンザ等対策特別措置法: '12.成立。'20.COVID-19が適用され、本法に基づく「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置(まん防)」の発出が'22年まで繰り返された。

内閣: 行政権を行使する国家機関。日本の内閣は首相と10数名の国務大臣から成り、日本政府を運営する。憲法7条の定めにより(学説上は実は解釈が分かれるところなのだが)任意のタイミングで衆議院を解散する権力ももつ。

内閣総理大臣首相、総理): 日本の行政権の長、政府の長。日本国憲法下では(明確な定めは無いものの)一般に元首と見なされる。英語では「Prime Minister」。
1885.内閣制度が発足し、伊藤博文が初代首相となる。当時は天皇が任命し「宰相」とも呼ばれた。
1947.日本国憲法施行に伴い、国会の指名(首班指名選挙)で国会議員の中から選ぶことが定められ、片山哲が国会の指名で選ばれた初の首相となる。
与党は与党第一党の党首を首相に指名することが多く、特に自民党中心の政権下で行われる自民党総裁選は、「自民党の長を選ぶ」という以上に「首相を選ぶ」という意味合いが濃くなっている。
現憲法下での権力は非常に強く、他の全ての国務大臣の任免権をもつため、最悪、全ての大臣を罷免し自らが兼務してでも強権的に事を進められる。特に衆議院の解散権は「首相の専権事項」「首相の伝家の宝刀」と呼ばれる。

国務大臣閣僚): 首相が任命する、首相以外の内閣の正式構成員。内閣官房長官、11省3庁の長(総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、防衛大臣、デジタル大臣、復興大臣、国家公安委員長)、内閣府の特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当、金融担当、消費者及び食品安全担当、少子化対策担当、他に必要に応じて任命)から成る。
憲法で、過半数は国会議員でなければならないと定められている。兼務等により法律で定めた定数に余裕があれば、いずれにも当たらない無任所大臣を置くこともできるが、近年そうした任命はほとんどない。

政令: 内閣が法律の範囲内で制定する命令。

みなし公務員: 職務の内容が公共性を有するため、一部の刑法の適用において公務員と同等の扱いを受ける役職のこと。国立大学や日本銀行の職員等。

外務省: 中央省庁(1府11省3庁)の1つ。外交を所管する。明治初期に設置され、一度も改称せずに現存する最古の行政機関。

査察部: 国税局の部署で、悪質な大口脱税に対し、内偵・臨検・捜索・差押えを行う権限をもつ。通称「マルサ」。

労働局: 厚労省の地方支分部局。労使紛争の調整等を行う。下部機関に労働基準監督署、公共職業安定所、紛争調整委員会等がある。

医薬品医療機器総合機構PMDA): 厚労省所管の独立行政法人。医薬品・医療機器・再生医療等製品の承認審査、安全対策、健康被害救済を行う。

特許庁: 経産省の外局。産業財産権に関する事務を行う。

日本貿易振興機構JETRO): 経産省所管の独立行政法人。海外市場調査や貿易促進を行う。

気象台: 気象庁が全国各地に設置する、気象・地震・火山・海洋等を観測する機関。気象台よりも補助的な観測所は「測候所」や「気象観測所」と呼ぶ。

国土地理院: 国交省の特別機関。つくば市に所在し、測量行政を管轄する。地形図の発行元。

国家公安委員会: 警察庁を管理する国の委員会。委員長は閣僚に列する。

内閣府: 中央省庁(1府11省3庁)の1つ。'01年の中央省庁再編で誕生。首相が直接担当すべき省庁横断的な政策課題を扱うとされ、公正取引委員会、金融庁、消費者庁、こども家庭庁、宮内庁等を所管する。

日本学術会議: 内閣府の機関。日本の国立アカデミーとして高度な独立性が与えられる。政府への勧告で多くのセンターや研究所の設立を実現したり、原子力研究三原則(公開、民主、自主)を提言したりしてきた。
3年ごとに、210名の正会員のうち半数を改選する。現会長は梶田隆章('20-)。'20.菅義偉首相が、同会議の推薦する新会員105人のうち6人の任命を拒否。多くの学会や世界的学術誌『ネイチャー』が学問の独立を損なうとして批判する事態となった。

宮内庁: 内閣府の機関。皇室関係の事務を行う。前身は宮内省。古代の律令制、近代の太政官制・内閣制において、宮廷の庶務、皇室の財産管理等を担った。

皇室: 天皇と皇族の総称。'23現在、天皇・皇后、上皇・上皇后、愛子内親王、秋篠宮家4名、常陸宮家2名、三笠宮家4名、高円宮家2名の計17名となっている。

皇室会議: 皇室典範で定められた、皇位継承順位の変更、皇族男子の結婚、皇籍離脱等を審議する会議。皇族2人、衆参両院議長・副議長、首相、宮内庁長官、最高裁長官、最高裁判事の10名から成る。

皇族の陵墓: 明治天皇夫妻は桃山陵墓地(京都市伏見区・伏見城跡)、大正天皇夫妻・昭和天皇夫妻は武蔵陵墓地(八王子市・高尾駅近く)に眠る。

徳仁天皇: 令和期('19-)の天皇。1960/2/23生れ。明仁上皇と美智子上皇后の長男。称号は浩宮(ひろのみや)。学習院大学やオックスフォード大学で史学(日本中世史、交通・水運史)を専攻していた。

雅子皇后: 令和期の皇后('19-)。ハーバード大卒、元外交官。父は外務事務次官、国連大使、国際司法裁判所所長(日本人初)を歴任した小和田恆(おわだひさし)。
'93.皇太子徳仁親王と結婚。成婚パレードは沿道に20万人近い市民を集め、「結婚の儀」のTV中継の最高視聴率は70%を超えた。'01.愛子内親王を出産。'04.適応障害の診断を受け、10年間ほど公務をセーブする。'19.皇后に就任。

明仁上皇: 平成期('89-'19)の天皇。昭和天皇と香淳皇后の長男。ハゼの分類を専門とする魚類学者。
'16.皇室典範に規定のない譲位を希望する「おことば」を表明。'17.退位特例法が成立。'19.85歳で徳仁天皇に譲位。202年ぶりの譲位となった。

都道府県: 日本の広域自治体。1都1道2府43県がある。行政機関としての長は知事。議決機関は都道府県議会。条例の制定、地方税の徴収、地方債の発行等の自治権をもち、警察本部、教育委員会等の組織を置く。
」は特別区に対する一定の調整権限をもつ。「」は地方自治法上は府県と同じだが、警察法・河川法・道路法上の特例がある。「」「」は今では単に歴史的な名称の違い。
1868.明治政府が直轄地に府・県を設置し始める。1871.廃藩置県。北海道・沖縄を除く地域を3府302県、年内に3府72県に整理。1876.同地域を3府34県に整理。
1888.香川県の愛媛県からの分県をもって、現在と同様の1庁(北海道庁)3府(東京・京都・大阪)43県となる。1943.東京府が東京都となる。'47.地方自治法成立。北海道庁が北海道となる。

市区町村: 日本の基礎自治体。'23現在、1741市区町村(792市23区743町183村)がある。行政機関としての長は市区町村長。議決機関は市区町村議会。福祉や義務教育等の身近な行政を担う。
」は原則、人口5万人に達すると名乗ることができる。「」は特別区のこと(政令指定都市の行政区のような「市の中にある区」は自治体ではない)。
1878.郡区町村制施行(区は現在の市に近いもの)。1889.市制・町村制施行。「明治の大合併」で7万余の区町村を1万5000余の市町村に整理。1943.東京市解体で特別区が誕生。
'47.地方自治法成立。50s.「昭和の大合併」で約1万あった市町村数が約3分の1になる。00s.「平成の大合併」で市町村数が更に約半分になる。

マイナンバーカード: 市区町村が住民に交付する、マイナンバーや顔写真を載せたICチップ付きのカード。デザインは全国共通。
各種自治体サービスに使える他、顔認証を利用した「マイナ保険証機能」等があり、'23年春には概ね全ての医療機関で利用できるよう、導入が進んでいる。

パトロールカー(パトカー): 警察官が乗車し、巡回を行う自動車。日本では'50年の初登場時は白い車だったが、当時は白い車が多かったため、見分けやすいよう白黒のツートンカラーとなった。

刑事(けいじ、デカ): 犯罪捜査や犯人の逮捕に従事する警察官の通称。私服での活動が多い。「デカ」の名は、かつて制服ではなく角袖の着物を着ており、「カクソデ」「クソデカ」等の隠語で呼ばれたのが由来。

DJポリス: 雑踏警備でマイク・拡声器を駆使し、巧みな話術でユーモアを交えながら誘導を行う警察官の通称。
'13年(特に、サッカー日本代表がW杯ブラジル大会出場を決めた際の、渋谷スクランブル交差点での雑踏警備)頃から注目されるようになり、音楽を流す訳でもないのに、なぜか「MCポリス」ではなく「DJポリス」という名称が定着した。

ダーティ・ハリー症候群: 緊張状態にある新人警官が自らを逞しく見せようとして、過度の暴力をふるってしまうこと。映画『ダーティ・ハリー』('71)から。

水陸両用消防車: 無限軌道付で、水場や瓦礫の上も走れる全地形対応の消防車。近年の豪雨災害の増加のため、全都道府県に配備されている。
特に大型のものとして、消防庁が'13年に愛知県に配備した「レッドサラマンダー」、'22年に大阪市に配備した「レッドヒッポ」がある。

出初式(でぞめしき): 年初に消防関係者が集まり、一斉放水やはしご乗りを行う儀式。

岸田文雄: 首相('21-)、自民党総裁('21-)、衆議院議員('93-)。宏池会(岸田派)元会長。3世議員。東京出身だが、ルーツをもつ広島1区を地盤とする。早大法学部卒、元銀行員。'12-17.外相(安倍内閣)。
コロナ禍の自民党総裁選で、新自由主義からの脱却による「新しい資本主義」を唱え、河野太郎、高市早苗、野田聖子を破って当選した。
しかし、就任後の「新しい資本主義」実行計画案ではむしろ個人の資産所得増による資産形成を推進し、格差是正の具体策が見られなくなっている。
ロシアがウクライナ侵略を始めた'22年には、NATOと歩調を合わせると共に安保3文書を改定し、敵基地攻撃能力の保有防衛費の倍増(NATO基準のGDP比2%へ)を方針とした。

林芳正: 内閣官房長官('23-)、衆議院議員('21-)。選挙区は山口3区。東大法学部卒。'95-'21.参議院議員。'21-23.外相(岸田内閣)。

上川陽子: 外相('23-)、衆議院議員('00-09,12-)。宏池会(岸田派)所属。選挙区は静岡1区。'18.安倍内閣の法相として、麻原彰晃らオウム真理教の元幹部死刑囚13名の死刑執行を(うち10名が再審請求中だったにも関わらず)命じ執行させた。

高市早苗: 経済安全保障担当相('22-)、衆議院議員('93-03,05-)。選挙区は奈良2区。'14-17,19-20.総務大臣。'21.自民党総裁選出馬。

野田聖子: 衆議院議員('93-)。自民党所属。選挙区は岐阜1区。'98-99.郵政大臣(当時史上最年少閣僚)。'21.自民党総裁選出馬。党内ではリベラル派で、選択的夫婦別姓制度や同性婚制度に賛成する。

松野博一: 衆議院議員('00-)。自民党所属。選挙区は千葉3区。文科相、内閣官房長官等を歴任。

馬淵澄夫: 衆議院議員('03-17,19-)。立憲民主党所属。選挙区は奈良1区。名前の似ている馬渕睦夫とは無関係。

浜田聡: 参議院議員('19-)、医師。NHK党所属。立花孝志の補選出馬に伴い、繰り上げ当選した。

嘉田由紀子: 元滋賀県知事('06-14)、参議院議員('19-)。野党系無所属(院内会派「碧水会」所属)。京大農学部卒、農学博士。京大時代、まだ女性部員がいなかった探検部に口論の末に入部した。
'12.脱原発等を掲げる日本未来の党を結成し代表に就任。「国民の生活が第一」からの合流組等、多くの国会議員が参加したが、同年の衆院選では埋没し議席の8割を失う大敗を喫した。小沢一郎と対立し、離党に追い込まれた。

アディーレ法律事務所: 全国に事務所をもつ法律事務所。債務整理を中心に、個人向けの案件を幅広く扱う。

紀藤正樹: 弁護士。消費者問題の第一人者で、オウム真理教や統一教会等のカルトによる霊感商法等、多くの詐欺事件の被害対策弁護団を率いてきた。
X JAPAN・Toshlの洗脳騒動の際も被害対策弁護団長を勤め、後に本人をカルトから脱会させることに成功した。

国の数: 国連加盟国は193ヶ国。国連オブザーバー国を加えると195ヶ国。日本の外務省のデータにおける国の数は196ヶ国
国連オブザーバー国はパレスチナバチカン。日本は、国連加盟国・オブザーバー国のうち北朝鮮とパレスチナを国家承認していない一方、コソボニウエクック諸島を承認している。

国の英語名: 国連加盟国で、W、Xが頭文字の国はない(非加盟地域を入れればWestern Sahara=西サハラがある)。Oはオマーン、Qはカタール、Yはイエメンのみで、アラビア半島に珍しい綴りの国名が集中する。

国際連合(国連、UN): United Nations。'45年に発足し、現代の国際政治で中心的な役割を果たす国際機関。193ヶ国が加盟し、他にパレスチナ、バチカン、約50の恒久的国際組織をオブザーバーとする。NYに本部を置く。
国連旗は、淡青の背景に、北極を中心とした正距方位図法の世界地図とオリーブの枝が白で描かれている。

国連総会: 国連の主要機関。全加盟国が参加し、国連の運営について決定する。国連の機構外についての決議は加盟国への拘束力をもたず、安保理に比べると国際政治上の権限は弱い。
通常会期は毎年9月から。開幕時に各国首脳による一般討論演説を行う。演説順は最初がブラジル、2番目が米国というのが慣例。最初がブラジルである理由として、安保理常任理事国の地位を断念した代償という説がある。

国連安全保障理事会安保理): 国連の主要機関。国際紛争の予防と解決を任務とする。常任理事国5ヶ国(米国英国フランス中国ロシア)、非常任理事国10ヶ国(任期は2年)の計15ヶ国から成る。
常任理事国は国連発足当初に選ばれた戦勝国又はその後継国家で、決議に対し拒否権をもつ(紛争当事国を除く全ての常任理事国が賛成しなければ決議が採択されない)。非常任理事国をこれまでに最も多く務めた国は日本。

国際司法裁判所: 国連の主要機関。オランダのハーグに本部を置く。国際法一般を扱い、国家間の法的紛争について裁判を行う。

国連児童基金UNICEF(ユニセフ)): 国連の補助機関。発展途上国や戦災を受けている国の子どもの支援、「子どもの権利条約」普及等を行う。

国際開発協会IDA): 国連の専門機関。「第二世界銀行」「世界銀行最貧国向け基金」等とも呼ばれる。

国連教育科学文化機関UNESCO(ユネスコ)): 国連の専門機関。教育・科学・文化分野の活動を行う。世界遺産はユネスコが認定している。

世界保健機関WHO): 国連の専門機関。医学研究、感染症対策、薬品流通等、保健・衛生分野の活動を行う。'20.COVID-19対応で中国寄りの姿勢をとったとして、米国・トランプ政権はWHO脱退を通知した(バイデン政権で撤回)。

気候変動に関する政府間パネルIPCC): 気候変動の科学的な評価を行う政府間組織。'88.国連が設立。

中満泉: 国連事務次長・軍縮担当上級代表('17-)。

ノン・ルフールマン原則: 難民条約に規定された、難民を迫害を受けかねない地域に追放することを禁止する原則。

ジュネーヴ条約(赤十字条約): 戦時の傷病者・捕虜の待遇を定めた国際条約。1864.赤十字国際委員会の提唱で締結された。

国際課税制度: グローバル企業に対する課税の新たな国際ルール。OECD主導で議論され、'25年に発効予定。対象は売上約3兆円以上、利益率10%以上の企業グループで、世界で100社程度が該当する見込み。
第1の柱は、企業の事業所が無くてもICTサービス等の利用者が存在する市場国に、課税権を配分するルール。
第2の柱はグローバル・ミニマム課税と呼ばれ、グループ会社がどの国で活動しても最低15%の法人税を負担させる(15%より少ない法人税率しか課税しない国があれば、差額を親会社のある国等が課税できる)ルール。

TRIPS協定: 知的所有権の貿易関連の側面に関する国際協定。'95.発効。既に開発力を持っている先進国の利権を守るための条約という批判がある。

国際標準化機構ISO): 各国の標準化団体で構成するNGO。工業規格から文字の使い方に至るまで、あらゆる分野の国際標準規格を定め、世界貿易を推進する。日本からは経産省の審議会が加盟している。

主要国首脳会議サミットG7): 日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダによる首脳会議の枠組み。G7は「Group of Seven」の略。'75年から年1回、各国が持ち回りで開催している。
元々、西側諸国が石油危機後の世界経済再建を議論するために行い、当初は経済問題を扱ったが、近年は政治問題や環境問題も重要な議題としている。
'97-'13年にはロシアも参加しG8と呼んでいたが、G7がクリミア併合('14)に反発し、ロシアの参加資格は停止されている。

G20: G7に韓国、中国、インドネシア、インド、サウジアラビア、トルコ、ロシア、南アフリカ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、豪州、EUを加えた主要20ヶ国・地域による、首脳会議、財務相・中央銀行総裁会議の枠組み。

BRICS: ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカによる首脳会議の枠組み。21cの新興国によるG7への対抗軸として注目される。
'24年から、イラン、サウジアラビア、UAE、エジプト、エチオピア、アルゼンチンの加入が決まっている。

東アジアサミット(EAS): ASEAN10ヶ国、日本、韓国、中国、インド、ロシア、米国、豪州、ニュージーランドによる首脳会議の枠組み。'05.初回開催。ASEAN各国を会場に毎年開催される。

東南アジア諸国連合ASEAN): 東南アジア10ヶ国による連合体。ジャカルタに本部を置く。'67.設立。

ASEANインド太平洋構想(AOIP): '19年にASEAN首脳会議が採択した構想。東アジアサミットを強化してTACを土台に対話・協力を推進し、東アジア規模の友好協力条約締結を展望する。

欧州連合EU): European Union。欧州27ヶ国による経済的・政治的に強く結びついた連合体。ブリュッセルに本部を置く。'93.マーストリヒト条約発効で設立。'02.共通通貨「ユーロ」流通開始。'20.英国が脱退(ブレグジット)。

円滑化協定(RAA): 国同士が、部隊を派遣して共同訓練や災害対応を行う場合の手続や、相手国内での法的地位等をあらかじめ取り決めておく協定。'22.日豪円滑化協定(日米地位協定を除けば日本にとって初のRAA)。'23.日英円滑化協定

日米密約('60): 安保条約改定時の日米間の密約。核兵器を搭載した米艦艇の日本への寄港や、米軍の部隊・装備の日本からの移動を、政府間の事前協議の対象外とした。
実際に、ベトナム戦争やイラク戦争において米軍の在日基地からの出動は「部隊・装備の移動」と解釈され、一度も事前協議が行われたことはない。
このことと、日米安保条約第5条における共同防衛義務を組み合わせて考えると、現在の日米安保体制の下では、日本は米国の対外戦争に参加するかどうかを自国だけで決められない状態にある。

北大西洋条約機構NATO(ナトー)): 米国、カナダ、欧州29ヶ国による軍事同盟。加盟国は、国防費をGDPの2%以上とする目標に合意している。'49.設立。冷戦時代にはソ連を中心とするワルシャワ条約機構と欧州を二分した。
EUとNATOの共通加盟国は22ヶ国ある。EUのみ加盟はキプロス、オーストリア、マルタ、アイルランド、スウェーデン。NATOのみ加盟はトルコ、アルバニア、北マケドニア、モンテネグロ、英国、ノルウェー、アイスランド、カナダ、米国。

AUKUS(オーカス): 豪州(A)・英国(UK)・米国(US)による軍事同盟。'21.発足。

上海協力機構(SCO): 中国、インド、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、ロシアによる軍事協力機構。イラン等が加盟手続き中。国際的なテロへの対抗等で協力を行う。

自由貿易協定FTA): Free Trade Agreement。複数国間で関税を削減しあい、自由貿易を進める協定。日米間にもFTAに近い「日米貿易協定」('19)がある。

経済連携協定EPA): Economic Partnership Agreement。FTAの進化版で、関税だけでなく知的財産保護や投資ルールの整備も含む協定。
'02.日本初のEPA「日本・シンガポール新時代EPA」締結。その後「日印」「日英」等の2国間EPA、近年は「環太平洋11か国(TPP11)」「日・EU」「東・東南アジア15か国(RCEP)」等のメガEPAも結ばれている。

インド太平洋経済枠組みIPEF): 米国が呼びかけ、日本を含むインド・太平洋地域の10数ヶ国が参加する経済圏。関税の引き下げや撤廃は扱わず、諸課題別に参加できる。'22.発足。

尹錫悦(ユン・ソギョル/ユン・ソンニョル): 韓国の大統領('22-)。保守系。検察官出身。

主体思想(しゅたい-/チュチェ-): 北朝鮮及び朝鮮労働党の政治思想。50s以来の中ソ対立の狭間で「自主・自立・自衛」を掲げたことに始まるが、次第に金日成一族の独裁や個人崇拝を正当化する思想となった。

ボンボン・マルコス: フィリピンの大統領('22-)。フェルディナンド・マルコス元大統領の息子。

インド人民党: インドの保守政党。現在の最大与党。党員数は1億人を超え、近年、中国共産党を上回る世界最大の政党となっている。
支持基盤の1つに、ガンジーの暗殺者を輩出し、ナチスを賛美する、ヒンドゥー至上主義の極右団体・RSSがある。

ナレンドラ・モディ: インドの首相('14-)。インド人民党所属。ヒンドゥー至上主義の極右団体・RSSの元活動家、元グジャラート州首相。
モディ政権下では、民族主義的・原理主義的なヒンドゥー教団体が密かに力を増しており、中学生の教科書から進化論の内容が無くなったり、ムガル帝国やガンジーの業績に関する記述が限定的なものになったりしている。
外交面では全方位外交を基本としつつ、インド伝統の「非同盟」の概念に縛られず、日米豪との関係を緊密化させている。

モサド: イスラエルの諜報機関。世界有数の諜報機関とされるが、活動の根拠となる法律は存在せず、人数も不明。

ウラジーミル・プーチン: ロシアの大統領('00-08,12-)。KGB出身。プーチン政権下で、ロシアでは経済成長と裏腹に、公正な選挙や報道の自由が失われているという。
拡張主義を採り、'08.ジョージアに軍事介入して南オセチアを事実上独立させ、'14.ウクライナに軍事介入しクリミア半島を併合した。'22.2月-.ウクライナに侵攻し、国際的な非難を浴びている。

ドイツ社会民主党SPD): ドイツの社会民主主義政党。現在の最大与党。CDUと並ぶ二大政党の1つ。

ドイツキリスト教民主同盟CDU): ドイツの中道右派政党。SPDと並ぶ二大政党の1つ。歴代首相にヘルムート・コール('82-98)、アンゲラ・メルケル('05-21)等。

オラフ・ショルツ: ドイツの首相('21-)。SPD所属。

ランツゲマインデ: スイスで中世から行われてきた直接投票の青空議会。 広場に全有権者を集め、挙手によって票決をとる。現在でも2つの州で続けられている。

エリゼ宮殿: パリにあるフランス大統領官邸。18cに建てられ、王政・帝政時代にはポンパドゥール夫人やジョゼフィーヌが住居とした。

社会党(フランス): フランスの社会民主主義政党。現在は野党。歴代大統領はフランソワ・ミッテラン('81-95)、フランソワ・オランド('12-17)。マクロン大統領も出身者。

DBS(前歴開示および前歴者就業制限機構): 英国の公的機関。雇用者に対し求職者の前歴照会を行う他、性犯罪歴がある者の教育職や福祉職への就業禁止決定を行う。'24現在、日本政府は「日本版DBS」法案の提出を目指している。

ウィンザー朝: 英国、英連邦王国の王朝。1901年にヴィクトリア女王とザクセン公の子(エドワード7世)が王位を継承して事実上始まったが、1917年にWWI中の反独感情から家名を王宮・ウィンザー城に因んで改め、創設した。
歴代君主は、ジョージ5世(1910-36)、エドワード8世(1936)、ジョージ6世(1936-52)、エリザベス2世('52-'22)、チャールズ3世('22-)。

チャールズ3世: 英国と英連邦王国(カナダ、豪州等)の国王('22-)、イングランド国教会の首長。エリザベス2世の長男。'81.ダイアナ妃と結婚。'96.離婚。'05.カミラ妃と再婚。
カミラに対し「君のタンポンになりたい」と発言したプライベートな会話のテープが、メディアで暴露放送されたことがある。

リシ・スナク: 英国の首相('22-)。保守党所属。英国初の非白人系首相であり、初のヒンドゥー教徒の首相。

ジャスティン・トルドー: カナダの首相('15-)。自由党(中道左派政党)所属。ピエール・トルドー元首相の息子。

米国大統領選挙: 米国は日本の同盟国かつ世界政治を左右する超大国であるため、日本での注目度はとても高い。4年に1度、西暦で4の倍数年(オリンピックイヤー)に行う。形式的には間接選挙だが、実質的には直接選挙。
前段として、2-3月頃に各州で、民主党・共和党の予備選挙や党員集会を行う。夏の両党の全国大会で大統領候補を各1名に決定し、その後は両者によるTV討論等を行う。
11月の選挙の日に、一般有権者の投票で各州の選挙人団を選ぶ。通常、選挙人団の確定をもって選挙結果の確定と見なす。実際には12月に選挙人による投票を行う。新大統領の就任は翌年1月。

スイング・ステート(パープル・ステート): 米大統領選で、選挙のたびに結果が揺れ動く州。民主(青)・共和(赤)両党の支持率が拮抗する激戦区・注目区。

中間選挙: 米国の選挙で、西暦で4の倍数ではない偶数年(大統領選挙の中間年)の選挙の日に行うもの。下院議員全員、上院議員の3分の1、過半数の州知事等が改選となる。政権運営の批判を受け、与党が議席を減らすことが多い。

選挙の日: 米国で国政選挙や州知事選挙を行う、11月の第1月曜日の翌日の火曜日のこと。
米国では伝統的に選挙といえば火曜日で、11月の選挙の日以外にも、各党の予備選挙や党員集会は火曜日に集中する(オリンピックイヤーの3月のスーパー・チューズデー等)。
これは、敬虔なキリスト教徒が多かった米国では安息日の日曜日が大切にされたため。国土も広いため、遠方の人も日曜日は休み、月曜日に1日かけて投票所を目指し、火曜日に投票を行えるようにした。

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス: 米国の下院議員('19-)。民主党所属、ニューヨーク州選出。米国史上最年少の女性下院議員で、ヒスパニック系の社会主義者・進歩主義者・MMT論者。

ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァルラ、ルーラ): ブラジルの大統領('03-11,23-)。学歴は小卒(貧しい農家出身で、働きながら10代半ばでようやく小学校の課程を修了)で、務めていた工場の労働組合から政治家に転身した。
左派政党・労働者党の創立メンバー。大規模な社会保障制度を導入し、支持率90%のまま'11年に勇退(ブラジル史上最も人気のある政治家とされる)。'22.ボルソナロを破り大統領に再選。

ジャシンダ・アーダーン: ニュージーランドの首相('17-)。労働党所属。30代の若さで首相となり、世界で初めて首相在任中に産休を取得した。

◆『君主論』(1532): マキャヴェリの政治思想書。国家の利益のためには非道徳的な手段も許されるとする「マキャヴェリズム(権謀術数主義)」の端緒となった。イタリア統一の必要性とその方策についても述べている。

有斐閣(ゆうひかく): 社会科学系の出版社。現在、日本唯一の『六法全書』の発行元。公式マスコットは『ポケット六法』をもじったろけっとぽっぽー


5、経済

経済: 物やサービスを生産・分配・消費する行為についての、一切の社会的・金銭的関係。

産業: 物やサービスを生産・分配する経済活動。又はそれを様々な側面から分類した単位。「第一次産業」「建設業」「小売業」等。

資本主義: 営利目的の資本所有者が、産業や貿易の多くを制御する経済システム。産業革命以降、社会主義・共産主義と対立しながらも、近現代世界の基本構造となっている。
18c後半の英国で始まった産業革命では、工業生産力が飛躍的に拡大し、社会の富の多くを少数の資本家が賃金労働者を雇って生産する社会(資本主義社会)が成立した。
資本主義がグローバルに行き渡った世界では様々な財・サービスが商品化され、どれだけお金があるかが生きる上で決定的に重要となる。
資本主義の基本的な特徴として、大資本を持っている者ほど資本を増やしやすく、通常は格差が拡大し続けるという事実がある。そのため、政治による再分配等の修正が重要となる。
資本主義社会の商取引や労働契約は通常、自由契約で行われるため「実力主義(才能主義)」と誤解されることがあるが、才能の多寡よりも元々の資本の多寡の方が社会的成功や地位に直結しやすい。
それどころか、TvL実験(Talent VS Luck)の研究では、才能よりも運の方が資本の増減に関係しやすいという結果になることが多い。

新自由主義ネオリベラリズム): 様々な公共サービスの民営化(「小さな政府」化)、規制緩和、市場原理主義を特徴とする経済思想。特に80s以降、財界の後押しによって資本主義各国で実践されている。
自己責任で競わせることを経済の原動力とするため、格差を急速に拡大させる特徴がある。

マネタリズム: 物価や国民所得の変動の主要因を貨幣量に求める考え方。ミルトン・フリードマンが主な提唱者。

リセッション: 景気が後退している局面のこと。

キチンの波: 景気循環論における、企業の在庫投資のサイクルによる景気の波。平均周期は約4年とされる。

ジュグラーの波: 景気循環論における、企業の設備投資のサイクルによる景気の波。平均周期は約10年とされる。

クズネッツの波: 景気循環論における、建設需要のサイクルによる景気の波。平均周期は約20年とされる。

コンドラチェフの波: 景気循環論における、技術革新のサイクルによる景気の波。平均周期は約50年とされる。

ナッシュ均衡: ゲーム理論で、非協力ゲームにおいて個々人がそれぞれ自らにとっての最適戦略をとり合っている状態。

囚人のジレンマ: ゲーム理論のモデルで、個々人が協力せずに利益を最大化しようとすると、全体の利益が小さくなるジレンマのこと。
由来になったモデルは、2人の囚人に対する司法取引で、「2人とも自白したら、判決通り共に懲役5年」「2人とも黙秘したら証拠不十分として減刑し、共に懲役2年」「片方が自白したら、自白した方は釈放、黙秘した方は懲役10年」というもの。
この場合、囚人個人にとっては、もう1人の囚人がどちらの選択を取る場合でも自白した方が得なので、自白が促される。全体の利益としては協力して黙秘した方が良いのにそれが出来ない状況に陥ってしまう。

パレート最適(パレート効率的): 資源配分の概念で、既に全体の利益が最大化されており、誰かの満足度を犠牲にしなければ、他の誰かの満足度を高められない状態。

パレートの法則: 全体の数値の8割が、全体を構成する要素の内の2割に集中するという経験則。例えば「社会全体の8割の富を、2割の高額所得者が得る」「売上の8割を、2割の客(又は2割の営業担当者)がもたらす」といった状態。

時間選好率: 将来の利得よりも現在の利得を好む程度のこと。一般に、これが高いほど所得は消費に結びつきやすく、貯蓄には結びつきにくい。

プロセスエコノミー: 完成品を売るだけでなく、商品や作品を生み出すプロセスを公開して収益化すること。

サプライチェーン: 原材料・部品の調達から、生産、在庫管理、流通、販売に至るまでの一連の流れのこと。

トレーサビリティ: 物品の流通経路を、生産段階から消費段階まで追跡できるようにすること。

コモディティ化(汎用品化): 機能や品質に大差のない商品が多く流通し、消費者が生産者を意識せず価格と買いやすさだけで商品を選択するようになること。例えば灯油、小麦粉、コピー用紙等は、コモディティ化の度合いが高い商品といえる。

ロングテール: ネット販売等で特に有効な、売上の少ない商品でも、種類を多く揃えることで全体の売り上げが大きくなる現象のこと。各商品の売上をグラフ上に順に並べた時に細長い尾のように見えることから。

オープン価格: メーカーが希望小売価格を定めないこと。家電や食品等多くの分野で一般化している。

デポジット: 使い捨て防止のために、預かり金を上乗せして商品を販売すること。発行元に返却すると預かり金分が払い戻される。プリペイド式ICカードやビール瓶に採用されている。

フリーミアム: 基本無料で、オプションのサービスや機能は有料とするビジネスモデル。free(無料)とpremium(割増料金)を合わせた造語。
Webサービスと親和性が高く、近年広まっている。Web上ではサービスの提供コストが低いため、ほとんどが無料ユーザーでも数%の有料ユーザーがいればビジネスが成り立つ。

ステルス値上げシュリンクフレーション): 価格を変えずに、小売商品の内容量を減らしていくこと。値上げやインフレの一形態。

公正マーク: 牛乳、鶏卵、ハム・ソーセージ等、各業界の公正取引協議会が定める規約に適合した商品・広告・店舗に付けられるマーク。

エシカル消費(倫理的消費): 消費者それぞれが社会課題の解決を考慮したり、社会課題に取り組む事業者を応援したりしながら消費活動を行うこと。

フランチャイズFC): 流通・サービス業の事業形態で、本部(フランチャイザー)が独立した加盟店(フランチャイジー)に商号や商標、ノウハウを使わせる一方、加盟店が本部に対価(ロイヤルティー)を支払うもの。
世界的には50sのKFCがフランチャイズ・ビジネスの元祖とされる。日本では60sのダスキンや不二家が先駆者。

コンビニエンスストア(コンビニ): 小さな店舗で長時間営業し、多数の食品・日用品・サービスを扱って多様な顧客のニーズに応える小売店。米国で誕生したが、特に70s以降の日本で発達し、世界に拡大した。
全国の店舗数は拡大、チェーンは集約の歴史を辿ってきた。'88.全国1万店突破。'92.2万店突破。'96.3万店突破。'14.5万店突破。現在の国内市場規模は10兆円余。

ショールーミングストア: その場で売ることを目的とせずに、商品を展示して体験してもらう店舗業態。オンラインでの購入の促進や、来店者の行動分析データを集めることを目的とする。
近年、ベータ(b8ta)等の専業企業の他、大手百貨店等が参入し、様々な企業に出品ブースを提供している。

レジスター(レジ): 金銭登録器のこと。ICが一般化する前は手回し機械式だった。70sに電卓式が、80sにバーコードとPOSが普及した。

POS(販売時点情報管理): Point Of Sales。商品が売れた時点で「いつ、どの商品が、いくらで、いくつ売れたか」を記録し、集計するシステム。

カルトン: レジに置く、現金の受け渡しのためのトレー。フランス語で「厚紙」を意味する。

サッカー台: スーパーマーケット等で、会計済み商品を袋詰めする台。「サッカー」は袋詰めする人を指す英語。

新井式回転抽選器ガラポン): 商店の福引でおなじみの抽選器。東京の帽子店経営者が考案した。

特定商取引法: 訪問販売や電話勧誘販売、通信販売等に関する法律。広告・勧誘方法の規制や、クーリング・オフについて定める。

イオン(AEON/ÆON): 千葉市(幕張新都心)に本社を置く、日本最大の小売企業。グループ売上高は約10兆円。創業家は三重県四日市市で江戸時代から商いを営む岡田家で、現会長は岡田元也(岡田克也の兄)。
70年代に社名を「岡田屋」から「ジャスコ」に変更。攻勢的なM&Aで商圏を全国へと広げた。この頃の主力業態はGMSだった。'80.コンビニエンスストア「ミニストップ」出店開始。
'89.グループ名を「イオン」に改め、大店法改正下で徐々に主力業態となるショッピングモールでイオンの名を使い始める。イオンは「永遠」を意味するラテン語。'94.PB「トップバリュ」展開開始。食品スーパー「マックスバリュ」出店開始。
'99.「イオンシネマ」展開開始。'05.超小型食品スーパー「まいばすけっと」出店開始。'07.「イオン銀行」設立、電子マネー「WAON」スタート。'08.日本最大のショッピングモール「イオンレイクタウン」開業。
なお、バブル崩壊後の90s後半以降、かつてジャスコが追いかける存在だったGMSの巨塔、ダイエーとマイカル(サティ)が瓦解し、現在は両社ともイオンに吸収されている。
他にもM&Aにより、オリジン弁当等を展開するオリジン東秀、ドラッグストア大手のウエルシア薬局、関東の食品スーパーマルエツカスミ、100円ショップのキャンドゥ等が傘下入りしている。

アマゾン・ドット・コム: 米国・シアトルの小売・IT企業。GAFAの一角。中核事業は約20ヶ国で展開するECサイト「Amazon」の運営。
創業初期から精巧な「おすすめ機能」を自前で開発する等、単なる小売業に留まらない最先端IT企業としての顔をもつ。クラウドサービスは世界シェア1位で、事業の柱の1つとなっている。
'95.ジェフ・ベゾスがWeb書店として創業。'00.日本版サイト設立。'02.クラウドサービス「AWS」開始。'07.電子書籍リーダー「Kindle」発売。'11.プライム会員向けのVODサービス(現在のAmazon Prime Video)開始。
'14.スマートスピーカー「Amazon Echo」発売。'22.MGMを買収。

名鉄百貨店: 名鉄グループの地方百貨店。名鉄名古屋駅直結の本店には高さ6m超の巨大マネキン「ナナちゃん」が設置され、季節やイベントに応じて様々なファッションに着せ替えられる。

イオンレイクタウン: 埼玉県越谷市レイクタウンにある、日本最大のショッピングモール。「kaze」「mori」の2棟とアウトレットモールから成る。
'08.開業。ほぼ直結するJR越谷レイクタウン駅(武蔵野線)も同年に開業した。

ビオセボン(Bio c' Bon): フランス発祥のオーガニックスーパー。首都圏に出店する。

ジェーソン(JASON): 関東地方で展開するディスカウントストア。

松本清: マツモトキヨシ創業者。'69-73.千葉県松戸市長。役所内に「すぐやる課」を設置した。

ヨドバシカメラ: 新宿駅西口(旧新宿区淀橋)に本店をもつ大手家電量販店。非上場企業。
現在はECサイト「ヨドバシ.com」も中核事業で、家電に加えて食品やアパレル、書籍等も総合的に取り扱う。リアル店舗の業態は、ターミナル駅の近くに自社で土地を取得し建設する超大型店舗「マルチメディア館」にほぼ特化している。
ポイントサービス名は「ゴールドポイント」。店舗で流れる「ヨドバシカメラの歌」(リパブリック讃歌の替え歌)は店舗ごとに歌詞が違う。

大黒屋(だいこくや): 金券・ブランド品・貴金属・酒・電化製品等の買取専門店、質屋、外貨両替商。オレンジ色の看板が目印。

ラフォーレ原宿: 渋谷区神宮前(原宿)のファッションビル。'78.開業。80sのDCブランドブームでは聖地とされた。

東京建物: 旧安田財閥系の不動産会社。分譲マンションのブランド名は「Brillia(ブリリア)」。

ティーザー広告: 新製品等について断片的な情報のみ公開し、顧客の興味をひくことを目的とした広告。「焦らす者」を意味する英語から。

コンプレックス広告: 肥満等、マイナスイメージの身体的特徴を殊更に強調して訴求力を高める広告。ユーザーの不安感を煽ることが問題視され、規制が進んでいる。

ノベルティ: 企業名又は商品・サービス名の宣伝のために、企業が製作し無料で配布するグッズのこと。

All-in方式(オールイン-): クラウドファンディングで、目標金額を達成しなくても集まった分だけ支援金を受け取る募集方式。

All-or-Nothing方式: クラウドファンディングで、目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取る募集方式。「少ない資本で事業に挑み、失敗する」というリスクを減らせる。

株式会社: 出資と経営が分離されており、経営者が出資者(株主)に利益を配当する会社。英語では社名の後に「incorporated(法人化された)」を略した「Inc.」を付ける。

持分会社(もちぶん-): 出資と経営が分離されていない会社。意思決定手続が簡易で、株式会社と比べて小規模な会社法人がこの形態をとることが多い。合同会社、合名会社、合資会社の3種類がある。

合同会社: 持分会社の1種で、全社員が有限責任社員である形態。

合名会社: 持分会社の1種で、全社員が無限責任社員である形態。個人事業の事業主が複数人になったような状態。

合資会社: 持分会社の1種で、無限責任社員と有限責任社員がいる形態。近年は設立が少ない。

子会社: 事業方針の決定機関(株主総会等)を他の会社(親会社)に支配されている会社。特に、親会社が株式を100%掌握している場合は「完全子会社」という。

コア・コンピタンス: 企業の強みの中核となる、他社に真似できない技術や能力のこと。

メセナ: 企業が文化・芸術を支援する活動。古代ローマの政治家の名から。

インキュベーター: ベンチャー企業にサービス、設備等を提供する組織や支援者のこと。「保育器」を意味する英語。

PO: Public Offering。資金調達等を目的に新たな株式を発行したり、既存株主の保有株式を一般投資家に売り出すこと。

MBO(マネジメント・バイアウト): 企業の経営陣が株主から自社株を買い取ること。敵対的買収に対する防衛策の1つ。

ゴールデン・パラシュート: 敵対的買収で役員が解任された場合に、大幅に割増された退職金を支給し、会社の価値を低下させる買収防衛策。

ティン・パラシュート: 敵対的買収で従業員がリストラされた場合に、大幅に割増された退職金を支給し、会社の価値を低下させる買収防衛策。直訳は「ブリキの落下傘」。

シンジケート: 企業の独占形態で、市場の統制を1つの共同販売機関が行うもの。大規模な犯罪組織を指す言葉としても使う(犯罪シンジケート)。

ウィンブルドン現象: 市場経済で、自由競争が進むことで地元資本が淘汰されてしまう現象。開催国選手の優勝が少ないテニスの大会名から。

デロイト・トウシュ・トーマツ: 世界的な会計・税務・コンサルティンググループ。世界最大の会計事務所・監査法人グループであり、世界四大会計事務所(Big4)の一角。
「デロイト」「トウシュ」「トーマツ」はそれぞれ米国人、英国人、日本人(等松農夫蔵(のぶぞう))の会計士の名に由来する。

アーンスト&ヤングEY): 世界的な会計・税務・コンサルティンググループ。Big4の一角。

プライスウォーターハウス・クーパースPwC): 世界的な会計・税務・コンサルティンググループ。Big4の一角。

KPMG: 世界的な会計・税務・コンサルティンググループ。Big4の一角。

アクセンチュア: 米国発・世界最大のコンサルティングファーム。登記上の本社はアイルランドに置く。ITソリューションに強く、IBMに次ぐ世界的なSIerでもある。

マッキンゼー・アンド・カンパニー: 米国発の戦略系コンサルティングファーム。世界の就職市場におけるトップ企業の1つ。世界三大戦略ファーム(MBB)の一角。
人材育成、個人のキャリア・ゴールの支援を重視し、高年収、激務、平均勤続年数の短さで知られる。日本にもマッキンゼー出身の起業家・経営者・研究者・著述家は数多い。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG、ボスコン): 米国発の戦略系コンサルティングファーム。世界の就職市場におけるトップ企業の1つ。MBBの一角。

ベイン・アンド・カンパニー: 米国発の戦略系コンサルティングファーム。MBBの一角。

A.T.カーニー: 米国発の戦略系コンサルティングファーム。

野村総合研究所(野村総研、NRI): 日本のシンクタンク、コンサルティングファーム、SIer。略称にある「RI」はResearch Instituteの略。

三菱総合研究所(三菱総研、MRI): 日本のシンクタンク、コンサルティングファーム、SIer。

アビーム: 日本の大手コンサルティングファーム、SIer。

freee: 日本のWebサービス企業。中小企業や個人事業主向けに、事務管理を効率化するSaaS(「freee会計」「freee人事労務」等)を手掛ける。

新浪剛史(にいなみたけし): サントリー社長('14-)、経済同友会代表幹事('23-)。元ローソン社長。
'23現在、経済同友会代表幹事としての記者会見で、保険証廃止を急がせる発言や、国民皆保険の民営化を提言する発言を行い、世間をざわつかせている。

オリガルヒ: 旧ソ連諸国の資本主義化の過程で形成され、国政に強い影響力をもつ財閥のこと。ロシアのガスプロム(世界最大の天然ガス生産企業)等が代表例。

イーロン・マスク: 南アフリカ出身の米国の実業家。スペースXテスラのCEO、Xの会長。
元は決済サービス・PayPalのCEOであり、PayPalの売却資金を元手にスペースXを起業。'04.テスラの大株主となり経営に参入。'21.個人資産が30兆円に達する(ジェフ・ベゾスを上回り世界一の富豪に)。
'22.Twitterを買収し、スーパーアプリの開発を目指す自身の会社「X」に統合。大量解雇や、トランプ前大統領のアカウント凍結解除で物議を醸した。

固定相場制ペッグ制): 政府や中央銀行が金利調節や為替介入を行う等して、他国の通貨との為替レートを固定すること。歴史的にはブレトン・ウッズ体制等がある。
現在も経済規模の小さい国は、経済的に関係の深い大国の通貨との為替レートを固定することが多い。米ドルと連動させることは特にドルペッグという。

変動相場制: 為替レートを固定せず、市場における外貨の需要・供給の関係に任せて取引すること。
スミソニアン協定後、主要国は'73年までに変動相場制に移行。ジャマイカのキングストンで行われたIMF暫定委員会('76)で正式に変動相場制が承認されたことから、「キングストン体制」ともいう。

(日本円、JPY): 日本の通貨。通貨記号は「\」。為替市場では米ドル、ユーロに次ぐ世界3位の取引高を誇る。中央銀行は日本銀行。かつての正式表記は旧字体の「」。かつての補助単位はで、1圓=100銭=1000厘。
1871.明治政府(大隈重信ら)により導入。単位名は18cの清におけるスペイン製の円形鋳造貨幣の呼び名「銀圓」に由来する。
なお、現在の中国人民元も正式単位は「圓」で、画数を省略して同音の「元」が当てられている。韓国・北朝鮮のウォンも「圓」の朝鮮語読み。新台湾ドルや香港ドルの基本単位も圓(元)。読み方は違えど、東アジア諸国は「圓」という通貨名を共有している。

日本銀行券(にっぽんぎんこうけん): 日本の紙幣の正式名称。国立印刷局が製造し、日本銀行が発行する。

五円硬貨: 黄銅(真鍮)製の有孔硬貨。重さ3.75g(1匁)。日本の現行硬貨で唯一アラビア数字の表記がなく、非漢字圏の旅行者には「読めない硬貨」として知られる。稲穂・水・歯車のイラストが農業・水産業・工業を表す、どことなく共産主義的な意匠。
'48.製造開始。'49.現在とほぼ同じデザインに(但し「五円」の文字が楷書体で「フデ五」と呼ばれる)。'59.現在のゴシック体デザインに。

500円硬貨: 白銅製の硬貨。世界有数の高額面硬貨。桐のイラストが描かれる。'82.五百円札(岩倉具視)に代わり登場。'00.通貨変造対策で改鋳。

ドル: 米国、カナダ、豪州、シンガポール、台湾、香港等の通貨単位。一般的には米ドル(USD)を指す。通貨記号は「$」で、ペソ記号の転用。かつて北米で1ドル≒1ペソだったことから転用されたという。

ユーロ: EUの共通通貨。通貨記号は「」。補助単位はセントで、€1=100セント。為替市場では米ドルに次ぐ世界2位の取引高を誇る。中央銀行はドイツ・フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)。10s半ば以降、概ね、€1=$1~$1.2で推移している。
'02.流通開始。'23現在、EU27ヶ国のうち20ヶ国(独・仏・伊・西・蘭のGDP上位5ヶ国を含む)とその通貨同盟国(サンマリノ、モナコ等の小国)が公式に導入する他、コソボとモンテネグロが勝手に法定通貨としている。
西アフリカでも、元フランス領地域を中心に多くの国がユーロと自国通貨をペッグさせている。

新台湾ドル: 台湾の通貨。英語名はDoller、通貨記号は「$」だが、基本単位は「圓」(Yuan)。補助通貨はで、1圓=10角。

ペソ: フィリピン、メキシコ、キューバ、コロンビア、アルゼンチン等、旧スペイン植民地で使われる通貨単位。19cまではスペインの通貨単位でもあり、スペイン・ペソは世界中の交易で利用された。
通貨記号は「$」。現在はドル等にも転用されているが元々はペソ記号である。「P's」の表記が変化した、1ペソ=8レアルであることから「8R」の表記が変化した等、由来には諸説ある。

スターリング・ポンド(ポンド): 英国の通貨。通貨記号は「£」。補助単位はペニー(複数形:ペンス)で、£1=100ペンス。

ランド: 南アフリカの通貨。通貨記号は「R」。

Edy: 現在は楽天Edyが運営するプリペイド式電子マネー。FeliCa等を使った非接触型決済による電子マネーとしては、日本で初めて全国規模で導入された。'01.サービス開始。
決済音は「シャリーン」と聞きなされる。ユーロ(Euro)、米ドル(Dollar)、円(Yen)に次ぐ第4の基軸通貨になってほしいとの願いから、それぞれの頭文字を取って名付けられた。

メルペイ: メルカリの決済サービス。iD、QRコードを通して店頭でも利用できる。

スワップ協定(通貨交換協定): 中央銀行間の協定で、通貨危機の際に、互いに一定の枠内で外貨を融資することを定めるもの。

収入: ある期間に得たお金のこと。

キャッシュフロー: 事業における、一定期間内の現金の流れ(資金の増減)。

初期費用イニシャルコスト): 何かを始める時に、最初に1回だけかかる費用のこと。

キックバックリベートバックマージン): 売上等に応じ、取引先に支払う謝礼金のこと。政界では不正な授受を指すことが多い。

のれん代: 貸借対照表の科目で、企業買収に投じた金額と買収先の純資産の差額。企業がもつブランドイメージやノウハウ等の無形資産を表す。

先入先出法: 棚卸資産の評価や原価計算を行う際、先に仕入れた物品から先に払い出されたと仮定して計算する方法。

利子(利息、金利): お金の貸借において、借り手から貸し手に支払われる対価。借りた金額(元本)に対する利率で計算する。消費者金融等の貸付利率(複利)の上限は年利20%。質屋の貸付利率(単利)の上限は月利9%。

72の法則: 複利で元本が2倍になる期間を概算する法則。例えば、年利4%で元本が2倍になるのは約18年後(4×18=72)。年利8%なら約9年後。年利20%なら約3.6年後。

市中銀行: 中央銀行ではない、一般の銀行のこと。預金業務・貸出業務・為替業務が三大業務とされる。

キャッシング: ATMやインターネットで、キャッシング機能付クレジットカードやカードローンを使ってお金を借りられるサービス。海外等でキャッシュカードを持ち歩かずに現金を引き出す手段としても使う。

組戻(くみもどし): 金融機関での振込手続き完了後に、依頼人が自己の誤りや都合を理由に取引を撤回する手続きのこと。

ペイオフ: 金融機関の破綻時に、預金保険機構が元本の1000万円とその利子を限度に、預金者に保険金を支払う制度。'10.日本振興銀行の破綻で初適用。

プライムレート: 銀行が、優良企業と判断した企業に融資をする際の優遇金利のこと。1年以上貸し出す場合のレートを「長プラ(長期プライムレート)」、1年未満の場合のレートを「短プラ(短期プライムレート)」という。

SWIFT: ベルギーに本部を置く国際的な金融機関の協同組合「国際銀行間通信協会」が提供する決済システム。国際金融取引に広く活用され、1日に約5兆米ドルが決済される。
'22.日米欧等の各国が、ウクライナ侵攻に対する金融制裁として、一部のロシアの銀行をSWIFTから排除した。

スイス銀行: スイスの銀行の総称。顧客の秘密を厳守するため、かつて世界中のブラックマネーが集まり、映画によくこの名が登場する。
現在では、組織犯罪グループや独裁者の不正な蓄財については必要な情報を公開しており、犯罪者の拠り所ではなくなってきている。

リビング・ニーズ特約: 生命保険で、余命半年以内と診断された被保険者が、死亡保険金を生前給付金として前払いで受け取れる特約。

GNP商法: 生命保険業界等で使われてきた営業手法で、「義理」「人情」「プレゼント」を駆使して顧客を獲得すること。

外務員: 金融商品の勧誘を行うための資格。日本証券業協会によって登録・認定が行われる。

キャピタル・ゲイン: 資産の売却で得られる売買差益のこと。

インカム・ゲイン: 資産の保有によって得られる収益のこと。株式の配当金、債券の利子等。

損切り(ロスカット、ストップロス): 損失拡大を防ぐために、赤字の状態で投資商品を見切り売ること。格言〈見切り千両、損切り万両〉。

コンコルド効果: 損失を拡大させる可能性が大きいと分かっていながら、それまでの投資を惜しむあまり投資を止められなくなる心理効果。商業的に失敗した超音速旅客機・コンコルドに由来する。

デイトレード: 同一銘柄の株を買った日のうちに売ったり、売った日のうちに買い戻したりして、一日の値動きの中で利益を上げようとする投資手法。

信用取引: 証券会社に保証金を預け、現金や株式を借りて株の売買を行うこと。

FX(外国為替証拠金取引): 金融機関に保証金を預け、外国通貨の売買を行うこと。金融ビッグバン時代の'98年に自由化。

デリバティブ取引: 株式・債権・為替等の原資産から派生した、先物取引、オプション取引、スワップ取引等の総称。「派生的」「副次的」を意味する英語から。

少額投資非課税制度NISA(ニーサ)): 個人の株式や投資信託の売買で生じる所得を、一定の制限下で非課税とする日本の制度。

追証(おいしょう): 株の信用取引やFXで、含み損が発生した際や担保価値が低下した際に、追加で預け入れる保証金のこと。

サムライ債: 海外の企業や機関が、日本国内で募集・発行する円建ての債券のこと。

ショーグン債: 海外の企業や機関が、日本国内で募集・発行する外貨建ての債券のこと。

終値(おわりね): ある株式銘柄が、その日の市場で最後に約定した時の値段。

トリプル安: 株式市場、債券市場、外国為替市場が同時に値下がりすること。

大発会: 日本の証券取引所における、年の最初の取引日のこと。又はその日に行われる催しのこと。平日の場合は1/4。

東京証券取引所(東証): 東京・日本橋兜町(かぶとちょう)にある、日本を代表する証券取引所。'22.旧来の4つの上場区分(1部・2部・マザーズ・JASDAQ)を3つに再編。
グローバル企業向けの「プライム」に約1800社、中堅企業向けの「スタンダード」に約1500社、新興企業向けの「グロース」に約500社が上場した。

ダウ平均株価(ダウ工業株): 米国を代表する株価指数。
ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場する米国企業の銘柄30種類(アップル、マイクロソフト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ビザ、ウォルマート、ディズニー、コカ・コーラ、マクドナルド等)の株価を平均したもの。

億り人: 株式投資や暗号資産取引等で、億単位の資産を築いた投資家のこと。映画『おくりびと』('08)のもじり。

ベンチャーキャピタルVC): ハイリターンを狙ったアグレッシブな投資を行うファンドのこと。高い成長率をもつ未上場企業に資金を投下したり、経営コンサルティング等を提供したりする。国内最大手は野村HD系のジャフコ

日本政策投資銀行(DBJ): 財務省所管の投融資機関。金融危機や災害に対処する公的な役割をもつ。

バークシャー・ハサウェイ: 米国・オマハに本社を置く世界最大の投資会社。CEOはウォーレン・バフェット。

三井住友銀行(SMBC): SMFG傘下の都市銀行。三大メガバンクの一角。コーポレートカラーは緑(若草色)。'01.大阪の住友銀行と、東京のさくら銀行(三井銀行の流れを汲む)が合併し誕生。

SBI新生銀行: 日本の銀行。傘下に消費者金融のレイクがある。前身は日本長期信用銀行(長銀)。'98年の倒産、国有化を経て、'00年に「新生銀行」に改名。'21.敵対的TOB(日本の銀行業界では初)でSBI HD傘下となる。

PayPay銀行: ネット銀行。筆頭株主はZフィナンシャル(ソフトバンクグループ)と三井住友銀行。前身のジャパンネット銀行は日本初のネット銀行。

楽天銀行: 楽天グループ傘下のネット銀行。ジャズ支店、ロック支店等、音楽関係の言葉を支店名にしている。

セブン銀行: 流通系銀行。筆頭株主はセブン-イレブン・ジャパン。マーガレット支店、フリージア支店等、口座開設月に応じて花の名前を支店名にしている。

きらぼし銀行: 東京都の地銀。'18.八千代銀行、東京都民銀行、新銀行東京が合併し誕生。

百十四銀行: 高松市の地銀。現存する「ナンバー銀行」で最も数字が大きい。

ウェルズ・ファーゴ: 米国の金融機関。米国西部を地盤とする銀行。

全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会): 共済事業を行う生協の連合体(元受団体)の1つ。中核事業は各地域・職域の労働組合の共済事業の元受だが、全労済及び「こくみん共済 coop」のブランドで一般向け商品も展開する。

全国生協連(全国生活協同組合連合会): 共済事業を行う生協の連合体(元受団体)の1つ。「都民共済」や「全国共済神奈川」、「○○県民共済」等の連合体。商品の販売は各都道府県の生協ごとに行っている。

チューリッヒ保険: スイス・チューリッヒに本社を置く保険グループ。

ジョン・メイナード・ケインズ: 英国の経済学者。有効需要の原理を説きマクロ経済学を確立させた。名言〈長期的には我々は皆死んでいる〉(≒一人一人にとっては短期の経済対策が重要)。1936.『雇用・利子および貨幣の一般理論』。

アマルティア・セン: インドの経済学者、社会学者、哲学者。飢餓を生産力ではなく不平等や購買力といった角度から研究したことや、経済学・社会学上のケイパビリティ(潜在能力)の概念の提唱で知られる。'98.ノーベル経済学賞受賞(アジア人初)。

ジョセフ・ユージン・スティグリッツ: 米国の経済学者。情報の非対称性の研究や、小さな政府や行き過ぎた社会格差に対する批判で知られる。'01.ノーベル経済学賞受賞。

ポール・クルーグマン: 米国の経済学者。貿易の原動力を収穫逓増に求める新貿易理論を提唱した。評論活動も活発で、大恐慌時のニューディール政策を信奉する。'08.ノーベル経済学賞受賞。

ベン・バーナンキ: 米国の経済学者。'06-14.FRB議長。デフレ解消には紙幣をばら撒くような大胆な金融緩和が必要とし、「ヘリコプター・ベン」とあだ名された。

現代貨幣理論MMT): Modern Monetary Theory。自国通貨建てで借金が出来る政府の財源は、本質的に税ではなく通貨発行権であると見なし、税をインフレや格差の調整手段として考える経済理論。
主流派の経済理論では、財政規律を税収との関係で考える(プライマリー・バランス)が、MMTでは、財政規律をインフレ率との関係で考え、インフレ率が低い状態では通貨発行権を活用した積極財政を行うべきと考える。
この理論のデメリットはコントロールの難しさにあると考えられる。政治的に利用されたり、そもそものコントロールの難しさによって、過度なインフレに陥れば、逆に過度な緊縮財政を取らざるを得なくなる。

◆『東洋経済』: 東洋経済新報社が発行する週刊の経済・ビジネス誌。関連サイト「東洋経済ONLINE」は日本最大のビジネスニュースサイト。1895.創刊。

◆『フォーブス』: 米国の経済・ビジネス誌。「世界長者番付」を毎年発表している。

◆『フォーチュン』: 米国の経済・ビジネス誌。世界の企業の売上高ランキング「フォーチュン・グローバル500」を毎年発表している。

◆『\マネーの虎』('01-04): ビジネス系リアリティ番組。起業志願者が事業計画をプレゼンし、投資家が出資の可否を審査する内容。番組フォーマットは公式に海外に輸出され、40ヶ国以上で放送されている。
番組名は山下奉文の二つ名「マレーの虎」のもじり。


6、学問・教育

学問(学術、科学): 物事に関連性や法則性(再現性)を見出し、体系化した知の総体。又はそれを学び、研究すること。

社会科学: 社会を科学的に探究する学問の総称。法学、政治学、経済学、経営学、教育学、社会学等(教育学や社会学は人文科学に分類することも多い)。

人文科学(人文学): 自然科学・社会科学以外の学問領域。哲学、宗教学、心理学、言語学、文学、歴史学、考古学、地理学、文化人類学、芸術論等。

研究者(学者、科学者): 学問の研究を行う人。「学者」には大学や専門研究機関で一定の地位をもつ研究者というニュアンスもあり、在野の研究者を指すことは少ない。

巨人の肩の上: 先人が積み重ねた様々な学問的見地を得た状態にあることを、喩えて言う表現。

象牙の塔: 学者の現実離れした生活や、研究室の閉鎖性等を表す、フランス由来の言葉。

マインドマップ: 紙の中央にテーマを書き、関連するキーワードを書き加え連鎖的に線で結んでいくもの。ブレインストーミングの手法やノート術として使われる。
英国の教育コンサルタントによって商標登録されており、一般名としては「イメージマップ」「ウェビングマップ」「メモリーツリー」等が使われる。

KJ法: 情報を書いたカードを系統ごとに並べることによる、情報整理・分析・発想の方法。グループワークでよく使う。考案した文化人類学者・川喜田二郎(かわきた-)の頭文字から。

チャンピオンデータ: 実験を何度も行い計測した複数のデータの中で、最も実験者の仮説をよく反映した(都合の良い)データのこと。

社会調査士: 日本社会学会等が設立した機構が認定する資格。社会調査の知識や技術を問う。

サラミ出版: 論文出版の実績を水増しするために、1つの研究を複数に細かく分けて出版すること。

インパクトファクター(IF): 学術誌がもつ影響力の相対的な指標。1年あたりに掲載論文が引用される回数の平均値に基づく。総合上位には『ネイチャー』『セル』『サイエンス』が君臨する。

イグノーベル賞: 人々を笑わせ、考えさせる研究や業績に対して与えられる賞。'91.創設。ノーベル賞のパロディ。公式パンフレット等には、ノーベルの親戚と疑わないイグネイシアス・ノーベルの遺産で運営されていると書いてあるが、ジョークである。
歴代受賞者の国籍は、米国に次いで日本と英国が多く、創設者は〈多くの国が奇人・変人を蔑視する中、日本と英国は誇りにする風潮がある〉と語っている。
ノーベル賞と同じ6部門以外にも、様々な部門が毎年柔軟に加えられる。皮肉や風刺を理由とした授賞もある。例えば、「水爆の父」エドワード・テラーには〈我々が知る「平和」の意味を変えることに、生涯にわたって努力した〉として平和賞が、ドナルド・トランプやジャイール・ボルソナロには〈COVID-19の世界的流行で、政治家が学者や医師よりも生死に影響を及ぼすことを知らしめた〉として医学教育学賞が贈られた。
「賞金」はハイパーインフレ時代の10兆ジンバブエ・ドル紙幣1枚(現在はお金としては使えない)。授賞式出席のための旅費・滞在費も自己負担で、おまけに授賞式の短い講演では笑いをとることが求められるため、出席しない受賞者も多い。
とはいえ、毎年ハーバード大で行う授賞式は賑やかなもので、プレゼンターとしてノーベル賞の歴代受賞者も多数参加。ノーベル賞授賞式でスウェーデン王室に敬意を払うことに因んで、スウェーデンの郷土料理のミートボールに敬意を払うことから始まる。
また、観客全員が紙飛行機を作り、壇上に向かって投げ続ける謎の慣わしもある。受賞者は一本の長いロープにつかまり、一列になってぞろぞろと壇上に登場するが、これは引率される幼稚園児のパロディである。
受賞者の講演の制限時間は1分で、時間が過ぎると8歳の少女が登場し、〈もうやめて、私は退屈なの〉と連呼し始める。但し、この少女を贈り物で買収すれば講演を続けて良い。

エルゼビア: オランダの学術出版社。『セル』『ランセット』の発行元。

千人計画: 中国が'08年に策定した、頭脳流出を防ぎ、海外から優秀な研究者を集める人材招致プロジェクト。

教育(エデュケーション): 人が心身共に成長し、豊かな教養や判断力を身につけた社会の主体者となれるよう、助け導くこと。又は、学問や技術を学ばせること。

学校(スクール): 教育を行う機関のこと。一般名詞として単に「学校」という場合は、学習塾や私的な習い事の施設ではなく、公教育の機関(小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校、インターナショナルスクール、特別支援学校等)を指す。

通信教育: 学習者と講師のリアルタイムなコミュニケーションによらず、定期的に頒布する教材(ラジオ・TV番組を含む)を主体に行う教育。

性教育: 人間の性行動についての教育。日本では主に保健体育の授業で扱う。世界的には、セックス(体の性)だけでなく、ジェンダーや性的多様性、パートナーシップについても扱う包括的性教育が普及しつつある。

純潔教育: 子どもの教育現場で性行動について詳しく扱うことを良しとせず、婚前交渉を控えるべきものとする性道徳を重視した「性教育」。日本では旧統一教会、米国ではキリスト教右派団体が推進する。

教科: 学校で学ぶべき知識・技術等を大まかに編成したもののこと。国語、数学、英語、社会科、理科、情報、家庭科、保健体育、音楽、美術等。
高校では1つの教科の中に、必修や選択の「科目」がある(理科における「物理」「化学」「生物」「地学」等)。

教科書教科用図書): ある学問や教科を学ぶ時に、主たる教材となる図書。日本の場合、初等・中等教育では一般的に、教科書検定に合格した教科書を使う。
検定済教科書は、国の委託で採択地域の需要数に応じて製造するため、一般の書店には基本的に出回らない(ネットでは注文できることが多い)。

学習指導要領: 文科省が数年おきに改訂する、初等・中等教育の内容の基準。

小学校: 初等教育を行う学校。6-12歳の6年制の義務教育。日本には約2万校の小学校がある。

中学校(中学): 前期中等教育を行う学校。12-15歳の3年制の義務教育。日本には約1万校の中学がある。

高等学校(高校): 後期中等教育(その名に反して高等教育ではない)を行う学校。3年制。日本には約5000校の高校があり、進学率は約99%。

大学: 高等教育・研究機関。1つの大学の中に学士課程(4年制が基本)と大学院があることが多い。日本には700以上の大学があり、進学率は約55%(東京、京都では7割近い)。
大学の本部が多い都道府県は東京(100校以上)、大阪、愛知(共に50校以上)。少ない都道府県は島根、佐賀(共に2校)。島根は2校とも国公立大で、私大がない唯一の県となっている。

学部: 大学の学士課程における、教育上の組織区分。

学科: 学部の下位区分。医学科、歯学科、薬学科、獣医学科は、学士課程が4年制ではなく6年制となっている。

総合大学: 学部が多数あり、人文・社会・自然科学の広い範囲を教育・研究の対象とする大学。

単科大学: 学部が1つしかない大学。複数の学部をもつ大学を「ユニヴァーシティ」と英訳することが多いのに対し、「カレッジ」と英訳することが多い。

学士(学士号、バチェラー): 学位の1つ。日本では、大学の学士課程(学部)、高専・短大の専攻科、国立大学校等を卒業した者に与えられる。
戦前はごく限られたエリートと見なされたが、戦後は大学の数が増え、80s-90s生れでは国民の約半数が学士となっている。

私淑: 師と仰ぐ人から著作等を通じて間接的に学ぶこと。孔子の教えを直接受けられなかった孟子が、教えを受けた人たちから間接的に学んだという故事から。

学習漫画: 歴史や科学を学ぶための漫画。特に児童向けのものをそう呼ぶことが多い。
歴史や偉人伝、古典、神話等を漫画化したもの、オリジナルキャラクターを登場させるもの、人気漫画等のキャラクターを起用したもの(小学館のドラえもんシリーズ、名探偵コナンシリーズが代表的)がある。
オリジナルキャラクターものでは、韓国発の科学漫画「サバイバルシリーズ」や、KADOKAWAの「どっちが強い!?シリーズ」が人気を博している。

オフィスアワー: 大学等で、教員が学生の質問や相談に応じるため、研究室で待機している時間帯のこと。

MOOC(ムーク): Massive Open Online Course。大学や研究機関がオンライン講座を無償提供するサービス。「JMOOC」等のプラットフォームでは、希望する修了者は有料で修了証を取得できる。

ピグマリオン効果: 教師に期待されることで学習者の成績が上がる心理的効果。

ゴーレム効果: 教師が期待しないことで学習者の成績が下がる心理的効果。

サクラサク: 昭和期に、遠方の受験生に大学入試の合格を伝える電報でよく使われた合言葉。大学当局が公式で送るものではなく、学生アルバイトから成る「電報屋」がサービスを担った。
「サクラサク」は早大から広まったという。大学によっては独自の合言葉もあった(東大「アカモンヒラク」、長崎大「マリアホホエム」、三重大「イセエビタイリョウ」等)。

四当五落(よんとうごらく): 昭和期の受験勉強の標語。睡眠時間を4時間に抑えて勉強すれば志望校に合格できる、5時間以上寝ている人は落ちるという意味。
現在では、睡眠が足りないと認知能力が低下し、かえって勉強効率が落ちるという考え方が当たり前になり、あまりいわなくなった。

GIGAスクール構想: '19年に文科省が打ち出した構想。小中学生がICTを使いこなせる教育環境を整えるため、全ての児童・生徒への個人向け端末の配備、高速通信ネットワークの整備といったICTの導入を進めるというもの。

モンテッソーリ教育: 幼児教育のスタイルの1つ。20c初頭のイタリアでマリア・モンテッソーリが始め、日本でも多くの幼稚園・保育園が取り入れている。
「子どもには自分で自分を育てる力がある」という考えに基づき、子ども自身に興味のある教具や活動を選択させて「集中現象」を促す。

シュタイナー教育: 主流教育に対するオルタナティヴとして支持される教育プログラムの1つ。20c初頭のドイツで発祥。日本にも幾つかの「シュタイナー学校」があり、斎藤工や村上虹郎を輩出している。
子どもの教育現場を国や経済界から独立した自由な精神生活の場と捉え、テストや点数評価は行わない。食事もオーガニックなものにこだわったり、TVや電子ゲームを禁じたりする場合が多い。

国際バカロレアIB): ジュネーヴの国際バカロレア機構が認定する、世界共通の全人教育(初等・中等教育)のプログラム。世界の多くの大学の入試で、IBの修了や卒業試験の成績を評価する制度がある。

バカロレア: フランスの高校修了相当資格。19c初めにナポレオンが導入した。国際バカロレアとは関係ない。

国際学習到達度調査PISA): 3年ごとに実施される、15-16歳の国際学力調査。日本は、科学・数学分野では毎回上位に入る。近年の強国は中国(特定の大都市のみ参加)とシンガポール。

大学ファンド: 文科省が5-7校程度(予定)の「国際卓越研究大学」に10兆円規模のファンドの運用益で支援を行う新制度。運用益の目標は年3000億円。'23年3月に公募が締め切られる。

あしなが育英会: 日本のNGO。遺児や親が重度の障害を負った子どもに対して、奨学金支給等の支援活動を行う。

堀越高等学校(ほりこし-): 中野区の私立高。全日制課程への通学が困難な芸能人やスポーツ選手に対応した「トレイト(trait:特性)コース」「体育コース」を設置する。
校則が異常に厳しく、男女交際は禁止で発覚すると自主退学を勧告される。'21年に訴訟となり、東京地裁は退学を勧告した高校側に損害賠償を命じたものの、校則自体は有効とした。
出身者に郷ひろみ、野口五郎、石川さゆり、松木安太郎、森昌子、岩崎宏美、真田広之、松田聖子、稲垣吾郎、草彅剛、井端弘和、松岡昌宏、松たか子、水樹奈々、堂本剛、岡田准一、高橋一生、安達祐実、岩隈久志、深田恭子、松本潤、綾瀬はるか、蒼井優、山下智久、手越祐也、長澤まさみ、柳楽優弥、神木隆之介、浜辺美波、高橋ひかる、鈴木福ら。

ドルトン東京学園: 東京都調布市の私立中等教育学校。河合塾が運営。'19.開校。

桐蔭学園高等学校: 横浜市の私立高。桐蔭学園中等教育学校とキャンパスを共有する、全国屈指のマンモス校。1700席以上の座席数があるシンフォニーホールをもつ。
'64年設立と歴史は新しいが、平成初期のピーク時には東大合格者100人以上を数えた進学校(但し、近年は中等教育学校と合わせても1桁に留まっている)。
部活動も非常に盛んで、野球部、サッカー部、ラグビー部、テニス部、柔道部、剣道部に全国優勝歴がある。出身者に織田裕二、高橋由伸、野田洋次郎ら。

東海高等学校: 名古屋市の私立男子高。愛知を代表する進学校。宝塚歌劇を演じるカヅラカタ歌劇団がある。出身者に海部俊樹、高須克弥、林修ら。

鳥羽高等学校: 京都市の府立高。戦前の京都二中(廃校、全国中等学校優勝野球大会(現在の「夏の甲子園」)初代優勝校)の跡地に誕生したため、後継校として扱われることが多い。

洛南高等学校: 京都市の私立高。真言宗総本山・東寺の境内にあり、空海が創立した日本初の私立学校・綜芸種智院(しゅげいしゅちいん)をルーツとする。
京大合格者数トップを争う進学校だが、スポーツ推薦枠もあり、様々な部活動で全国有数の実績をもつ。

咲くやこの花高等学校: 大阪市此花区の府立高。中高併設型。演劇科や食物文化科がある。

登美丘高等学校(とみおか-): 堺市の府立高。'17.ダンス部が『ダンシング・ヒーロー』に乗せた「バブリーダンス」で全国的に有名になる。

国見高等学校: 長崎県雲仙市の県立高。サッカー部が強豪で、80s後半-00s前半には大久保嘉人や平山相太を擁し、何度も全国制覇を果たした。

N高等学校/S高等学校: 角川ドワンゴ学園が運営する通信制高校。全国各地に校舎がある。N高の収容人数が限界を迎えたためS高も設置されたが、カリキュラムやイベント等は一体で運営される。
'16.N高開校。'21.S高開校。'23現在、両高合わせて数万人が学ぶ日本一のマンモス高校となっている。

ルネサンス高等学校: 茨城県の通信制高校。グループ校にルネサンス豊田高、ルネサンス大阪高がある。

お玉ヶ池種痘所: 1858.現在の岩本町に開かれた江戸で初めての種痘所。西洋医学所、医学所へと発展し、江戸時代最末期には9人の教員と約70人の学生が集まる西洋医学の学校となった。
明治に入って医学校、東京医学校へと改名され、1877年の東京大学設立で東京大学医学部となった。

京都大学(京大): 京都市の国立大。学部生数は1万数千人。10学部を擁する総合大学で、日本では東大に次ぐ研究力や偏差値を誇る。精神的基盤として「自由の学風」を謳っている。
メインキャンパスは左京区の吉田キャンパスで、南北に長く広がる。主要な学園祭は「11月祭(NF)」。1897.2番目の帝国大学「京都帝国大学」として設立。

東京医科歯科大学: 文京区(御茶ノ水駅前)の国立大。学部は医学部・歯学部のみ。歯学科の入試偏差値は国内トップ、医学科も五指に入る。'24年に東工大と統合し、東京科学大学となる予定。

東京都立大学: 東京都八王子市(南大沢)の公立大。学部生数は約7000人。'05-20年には「首都大学東京」という名称だった。'24年度から世帯年収910万円未満の学生を授業料無償とする方針。

ノースアジア大学: 秋田市の小規模文系私大。

城西大学(じょうさい-): 埼玉県坂戸市の私大。学部生数は約7000人。駅伝部は箱根駅伝常連の強豪。

千葉工業大学: 千葉県習志野市の私大。学部生数は約1万人。近年大幅に志願者数が増え、注目されている。

早稲田大学早大): 新宿区(早稲田)の私大。学部生数は約4万人。同窓会は「稲門会」。スクールカラーは臙脂色。主な応援歌に「紺碧の空」。
明治前期に大隈重信が設立した「東京専門学校」が母体。1920年、慶大と共に日本初の私立大学となった。政治経済学部等を中心に政財界に人材を輩出する他、メディア、文芸、スポーツ等、あらゆる分野で多くの卒業生が活躍する。
主なキャンパスは新宿区の早稲田・戸山・西早稲田一帯に分布する他、所沢キャンパス(人間科学部・スポーツ科学部)、本庄キャンパスがある。象徴的な建物として早稲田キャンパスの大隈講堂がある。
付属・系列校に、早稲田中・高(完全一貫男子校)、早稲田大学高等学院(練馬区・男子校)、早稲田実業学校(東京都国分寺市)、早稲田大学本庄高等学院(埼玉県本庄市)、早稲田摂陵高(大阪府茨木市)、早稲田佐賀高(佐賀県唐津市)等がある。

跡見学園女子大学: 文京区(茗荷谷)の文系私大。学部生数は約3500人。

清泉女子大学: 品川区(五反田)の文系私大。学部生数は約2000人。カトリック系。清泉女学院(長野市の清泉女学院大学、鎌倉市の清泉女学院中学校・高等学校等)とは姉妹校だが別法人。

杏林大学: 東京都三鷹市の私大。学部生数は約5000人。医学部を中心に文理に跨る4学部がある。
「杏林」は良医を意味する言葉(ある医師が、貧しい患者から治療費を取らない代わりに杏の木を植えさせ、杏の林ができたという古代中国の故事から)。

国立音楽大学(くにたち-): 東京都立川市の私大。音楽系単科大学。出身者に山下洋輔、久石譲、広瀬香美ら。

至学館大学(しがっかん-): 愛知県大府市の私大。学部生数は約1500人。志學館大学(しがくかん-)とは読み方が違う。
女子レスリングの名門で、吉田沙保里、伊調姉妹、川井姉妹をはじめ、日本の歴代五輪金メダリストはほとんどが至学館大出身。一時期、吉田沙保里が副学長を務めた。

四天王寺大学: 大阪府羽曳野市の私大。学部生数は約4000人。

帝塚山大学(てづかやま-): 奈良市の文系私大。学部生数は約4000人。帝塚山学院(堺市の帝塚山学院大学等)とは兄弟法人だが別法人。

総合研究大学院大学: 神奈川県葉山町の国立大学院大学。'88.日本初の国立大学院大学として設立。

国際大学: 新潟県南魚沼市の私立大学院大学。原則全寮制で、学生の約9割が留学生。'82.日本初の大学院大学として設立。学内公用語を英語にした日本初の高等教育機関でもある。

サイバー大学: ソフトバンクグループが運営する通信制大学。

旧制高等学校: 戦前の日本にあった男子向け前期高等教育機関。3年制で、現在の高3〜大学2年に当たる。
帝国大学に進むための予備教育を担い、卒業生は、学部を選ばなければいずれかの帝国大学に無試験で入学できた。戦前の日本における最難関の受験競争は、旧制高等学校の入試だった。

ナンバースクール: 明治期に開校した8つの旧制高等学校の総称。旧制第一高等学校(一高)は東大、二高は東北大、三高は京大、四高は金沢大、五高は熊本大、六高は岡山大、七高は鹿児島大、八高は名大の前身。

ネームスクール: 主に大正期以降に開校した旧制高等学校の総称。数字ではなく地名を冠した。ナンバースクールと同じく、ほぼ全てが現在の国立大の前身となっている。

ラッセル・グループ: オックスフォード大、ケンブリッジ大、インペリアル・カレッジ・ロンドン等、英国の研究型国立大学24校による連合体。「英国版アイビーリーグ」とも呼ばれる。

カロリンスカ医科大学: スウェーデン・ストックホルムの医科大学。世界最大の医学系単科教育研究機関。ノーベル生理学・医学賞の選考を行う。

カリフォルニア大学(UC): 米国・カリフォルニア州の州立大学。バークレー校LA校等の9つの総合大学と、医学系大学院大学のサンフランシスコ校から成る。

TOMAS: 首都圏を中心に展開する個別指導塾。

ユーキャン: 資格教育・生涯教育分野の大手通信教育企業。新語・流行語大賞のオフィシャルスポンサー。

Udemy(ユーデミー): 米国発の、社会人向けオンライン学習プラットフォーム。

◆『世界図絵』(1658): コメニウス(チェコ)がラテン語で出版した子ども向け教科書。百科事典に近いもので、子どもを対象とした世界初の絵本ともいわれる。

本田由紀: 教育社会学者。東大大学院教授。「やりがい搾取」「ハイパー・メリトクラシー」等の言葉を造った。

和田秀樹: 受験アドバイザー、精神科医、臨床心理士、作家、映画監督。圧倒的な多作家。最近は高齢者向けの新書が売れている。

◆『エミール または教育について』(1762): ジャン=ジャック・ルソーの小説体教育論書。ある孤児の少年の生涯を通し、自由で自然な成長を促す教育理念を主張する。


7、神話・宗教・思想

貴種流離譚: 若い神や尊い存在が他所を彷徨って試練を克服し、より尊い存在となる説話の体系。かぐや姫伝説(竹取物語)、在原業平の東下り伝説等。

麒麟: 中国神話の聖獣。獣類の長。牛の尾と馬の蹄をもち、毛は五色に輝く。キリンビールの製品のラベルに描かれている。日本語における実在の動物「キリン」の語源。

ガルーダ: インド神話で、厄災をもたらす蛇や龍を退治する聖鳥。人面に似た姿で描かれる。「迦楼羅天」として仏教にも導入された。タイの国章や、インドネシアの国営航空会社の名前(ガルーダ・インドネシア航空)にもなっている。

ギルガメッシュ叙事詩: 古代メソポタミアの神話文学。ギルガメッシュはシュメール初期王朝の伝説的な王とされる。不死を求め旅に出た。

イシス: エジプト神話の豊穣の女神。冥界の神オシリスの妹かつ妻で、戦いの神セトの姉。セトに殺されたオシリスを蘇らせた。

アテーナー: オリンポス12神の1柱。知恵や芸術を司る女神。

アフロディテ: オリンポス12神の1柱。愛と美と豊穣の女神。ローマ神話のヴィーナスと同一視される。

タナトス: ギリシア神話の神。死を神格化したもの。フロイトが提唱した「死へ向かおうとする本能」を指す精神分析学用語でもある。

プロメテウス: ギリシア神話の神。ゼウスから火を盗んで人類に与えたため、神々によって罰せられた。

パン(パーン、牧神): ギリシア神話の半獣神。牧羊の神でパンフルートを吹く。性豪としても知られる。古代ギリシアでは、家畜の群れが突然騒ぎ出したり、逃げ出したりする現象がパンの仕業と考えられ、「パニック」の語源となった。

キメラ(キマイラ): ギリシア神話の怪物。ライオンの頭、ヤギの胴体、蛇の尻尾をもち、口からは炎を吐く。
これに由来し、生物学で、「接ぎ木」や「受精卵の融合」によって、同一個体内に異なる遺伝情報をもつ細胞が混じった状態を「キメラ」という。
人間の場合、受精卵の融合は過去に数えるほどしか確認されていないが、双生児ではしばしば、胎内で血液幹細胞が相方の胚へ移動することにより、異なる血液型をもつ「血液キメラ」が存在する。

メデューサ: ギリシア神話の怪物。眼差しを向けたものを石に変える目、無数の毒蛇でできた頭髪をもつ。元は美少女だったが、アテーナーの怒りを買い怪物となった。

イカロス: ギリシア神話の登場人物。蝋で固めた翼で空を飛ぶも、太陽に近づきすぎたために翼が溶け、墜落死したという。

ヘレネー: ギリシア神話の登場人物。地上で最も美しい絶世の美女で、トロイア戦争の引き金となった。実父はゼウスとされる。

トライデント: ネプチューンが持つ、先端が三叉に分かれた槍。マセラティのエンブレムに使われている。

オーディン: 北欧神話の主神。8本足の馬・スレイプニルに跨り、グングニルという槍を携える。Wednesdayの語源。

トール: 北欧神話の雷神。英語名はThor(ソー)で、マーベルヒーローのマイティ・ソーはトール。Thursdayの語源。

ランスロット: アーサー王伝説の「円卓の騎士」の1人。この世で最も誉れ高い最高の騎士だが、アーサー王の妃グィネヴィアと不義の恋に落ちる。

ククルカン: マヤ神話の創造神。羽毛のある蛇の形をしている。マヤ文明で最大のピラミッドはククルカンを祀る神殿。

霊験あらたか: 神仏への祈りの効果がはっきり表れるさま。

初詣: 新年に寺社に詣でること。「初詣」という言葉の成立は明治期と比較的新しく、川崎大師や新勝寺の参拝客を増やそうという鉄道会社のキャンペーンによって定着した。

御朱印: 寺社の参拝者向けの印章。一般的には朱印帳を持参し、寺社に料金(300-500円が多いが金額を指定しない寺社もある)を払って印を受ける。古くは、経典の写経を納めた証とするもので、参拝・賽銭だけでは貰えなかった。

狛犬: 獅子に似た日本の想像上の生物。寺社の入口の両脇、あるいは本殿・本堂の正面左右に像が置かれる。
モチーフは犬ではなく獅子(唐獅子)。平安時代頃から阿形と吽形の獅子を対で置くようになり、阿形のみを「獅子」、吽形を「狛犬」と呼ぶようになった。現在では合わせて「狛犬」の名が定着している。

魂振り(たまふり): 日本古来の考え方で、空気を揺るがすことで神を呼び起こし、神のご加護を活性化させること。
手や振る動作は、旅の安全を祈るまじないとして「いってらっしゃい」「さよなら」のジェスチャーに、袖を振る動作は、恋のまじないとして求愛のポーズに発展した。お神輿を、神を乗せようという割には激しく揺さぶるのもこれが理由らしい。

依代(よりしろ): 神霊が依り憑く対象物のこと。神体、神域等。

御霊信仰(ごりょう-): 不幸な死に方をした人の霊(怨霊)は、祟り、災いをもたらすもので、怨霊を鎮めるためには神として祀らなければいけないという信仰。
近代以前の日本では、天災や疫病の発生を怨霊の仕業と考えることは普通だった。特に平安時代には支配的な思想で、当時の政策(大きなものでは遷都等)や神社の成立は、御霊信仰に関係するものが多い。
こうした信仰は、勝者ではなく敗者をいわば悲劇のヒーローとして祀るもので、古くからの日本人の「判官贔屓」な傾向と関係するという指摘もある。

ニライカナイ: 沖縄・奄美地方で信じられてきた他界、理想郷。

アラハバキ: 東北・関東で古くから信仰されてきた神。記紀や有名な民話に登場しない謎の神で諸説あるが、今も多くの神社が祀る。偽古文書『東日流外三郡誌』の影響で、遮光器土偶のビジュアルをした「縄文の神」「蝦夷の神」のイメージが広まった。

七福神: 日本の民間信仰における七柱の福神(恵比寿大黒天毘沙門天弁財天福禄寿寿老人布袋)。七福神の日・福神漬の日は7/29。

天津神/天つ神(あまつかみ): 日本神話の、天上界(高天原(たかまがはら))にルーツをもつ神々。記紀で皇室の先祖とされた。

国津神/国つ神(くにつかみ): 日本神話の、地上界(葦原の中つ国大八島(おおやしま))にルーツをもつ神々。大和朝廷に平定された日本各地の、土着の神々が元になったという。

国産み: 日本神話の国土創世譚。共に愛や生死を司る天津神である、男神イザナギ・女神イザナミがオノゴロ島に降り立って性交し、大八島(淡路、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、本州)を産んだ。

天沼矛(あめのぬぼこ): イザナギとイザナミが国産みの前に、混沌とした地上界を掻き混ぜるために使った矛。

黄泉比良坂(よもつひらさか): 日本神話で生者の世界と死者の世界(黄泉の国)を分ける坂。イザナギとイザナミが離縁した場所。『古事記』では出雲(現在の松江市)にあるとする。
イザナギが、死んでしまったイザナミを忘れられずに黄泉の国を訪ね、生者の世界に帰って来てほしいと願った際、イザナミは〈黄泉の国の神々に相談するので待ってほしい。その間、決して自分の姿を見ないでほしい〉と答えた。
しかし、イザナギは我慢できず、火をつけて闇を照らし、イザナミの腐乱死体を見てしまった。イザナギは恐れて逃げた。イザナミは怒り、軍団を派遣してイザナギを追わせ、最後には自ら黄泉比良坂まで追って来た。
イザナギが巨石で坂を塞ぐと、イザナミは巨石の向こうから〈愛しい人よ、こんな恥をかかせるなら私はあなたの国の人々を1日に1000人殺そう〉と叫んだ。イザナギは〈愛しい人よ、ならば私は1日に1500の産屋を建てよう〉と答え、坂を後にした。
こうして2柱は日本の人々の生死を司るようになった。

猿田彦: 記紀に登場する国津神。天孫降臨の時にニニギを道案内した。天狗の原型とも。

コノハナサクヤヒメ: 記紀に登場する国津神。天孫降臨したニニギと出会い、妻となった。浅間神社の祭神。

かしわ手: 神社の参拝における、パンパンと音を立てて両手を打ち合わせる作法。

玉垣: 神社の聖域を囲む、木や石で作った垣。垣の雅称は多いが、伊勢神宮では4重に巡らせ、本殿に近い垣から順に瑞垣(みずがき)、内玉垣、外玉垣、板垣(荒垣)といって区別する。

総社(そうじゃ): 各令制国の国府近くにある、その国の神々を合祀した神社。古代において、国司の初仕事は任国内の神社の巡礼だったが、これを簡略化するために置いた。

護国神社: 明治以来、全国各地に建立された、国家(大日本帝国)に殉難した人々の霊を祀る神社。当初「招魂社」と呼ばれたが、1939年に政府が一斉に改称させた。

鷲宮神社(わしのみや-): 埼玉県久喜市の神社。関東最古の大社を自称する。アニメ『らき☆すた』('07)の舞台のモデルになり、アニメの「聖地巡礼」ブームの先駆けの1つとなった。

三崎稲荷神社: 千代田区(水道橋)の神社。平安時代末か鎌倉時代初期の創建。参勤交代を制度化した徳川家光がこの神社を崇敬したため、諸大名が参勤交代の道中安全を祈願するため参拝するようになったという。

大國魂神社(おおくにたま-): 東京都府中市の神社。武蔵国の総社。GWに行う「くらやみ祭」は古代から続く、多摩地域を代表する祭。かつては街明かりを消し夜闇の中で行った。

尾張大国霊神社(おわりおおくにたま-): 愛知県稲沢市の神社。尾張国の総社。冬に行う「国府宮はだか祭(こうのみや-)」は古代から続く、日本を代表する裸祭。
数千人の裸男が、全身の体毛を剃り落とした1人の神男(しんおとこ)に触れてあらゆる厄災を背負わせ、最後は神男が厄災を餅に移し、土に埋めることで厄落としをする。

貴船神社(きふね-): 京都市左京区の神社。貴船山と鞍馬山に挟まれた山峡にある。古来から水神を祀る神社として知られる。

車折神社(くるまざき-): 京都市右京区の神社。境内に芸能神社があり、朱の玉垣に芸能人の名がずらりと並ぶ。東映・松竹の撮影所がある太秦の近く。

今宮戎神社: 大阪市の神社。例年1/10に女性達を乗せた籠の行列を行う「十日戎」の神事で知られる。地元では「えべっさん」と呼ぶ。

西宮神社: 兵庫県西宮市の神社。市名の由来でもある。えびす信仰の総本社で、地元では「えべっさん」と呼ぶ。

熊野三山: 和歌山県東部にある熊野本宮大社(ほんぐう-)、熊野速玉大社、熊野那智大社の総称。全国3000社の熊野神社の総本社。古来から神仏習合により仏教の要素も強い。
古来、修験道の修行の地とされた。中世には日本最大の霊場として栄え、近世にも伊勢の後塵を拝したものの非常に多くの参詣者を集めた。

女子道社: 山口県周南市の二所山田神社(にしょやまだ-)に併設されている、おみくじの生産シェアで国内の過半を占める会社。

防府天満宮: 山口県防府市の神社。北野天満宮、太宰府天満宮と並ぶ日本三大天神の1つ。菅原道真の死の翌年(904)に創建された「日本最初の天神」。

煩悩: 仏教で、心を乱し智慧を妨げる要素のこと。仏教は、人の苦しみの原因を自らの煩悩にあるとし、それを克服する解脱・涅槃への道を追求すべしとする。
俗に、人には108の煩悩があり、除夜の鐘を108回衝くのは108の煩悩を滅するためという。煩悩の数が108とされた理由として、もっともらしい説も幾つかあるが、「四苦八苦=4×9+8×9=108」だからというユニークな説もある。

涅槃(ニルヴァーナ): 仏教用語で、迷妄のない心の境地のこと。

波羅蜜(パーラミター): 仏教用語で、この世に居ながらにして涅槃に至る(至彼岸)ための修行のこと。6項目あり「六波羅蜜」ともいう。〈静かな心をもち、動揺しない〉等、修行といっても心掛けのような内容が多い。

色即是空: 仏教用語で、あらゆる事物や現象は実体ではなく空無であり、執着すべきものでないということ。

三十二相: 仏像や仏画を制作する基準となる、仏(仏陀)の32の身体的特徴。学問的には否定されているが、釈迦の個人的特徴に由来するといわれてきた。
よく知られるものに、螺髪(らほつ)(パンチパーマのような髪型)、白毫(びゃくごう)(眉間にほくろのように存在する、白く長い毛が丸まったもの)等がある。

卒塔婆(そとうば/そとば): 仏舎利を安置する高い建築物(仏塔。梵語「ストゥーパ」の音訳)。又は、それを模した板で、故人の戒名を書き、墓地で供養に使うもの(板塔婆)。
ちなみに、「」という漢字も言葉も、ストゥーパの音訳から生まれている。仏教建築以外も「塔」と呼び始めたのは近代以降。

摩耶夫人: 釈迦の生母。6本の牙をもつ白い象が自分の胎内に入る夢を見て懐妊したという。

阿弥陀如来: 仏教の如来。西方にある極楽浄土の主とされ(東は薬師如来)、浄土信仰で本尊とされる。

弥勒菩薩: 仏教の菩薩。釈迦の入滅後56億7000万年後の未来に現れるという。

地蔵菩薩(お地蔵さん): 仏教の菩薩。釈迦の入滅後、弥勒菩薩の成仏までの衆生救済を釈迦から委ねられたとされる。
日本では道祖神と集合し、各地の路傍に石像として祀られる他、子どもや水子の供養で祀られることが多い。赤い前掛けを付けた石像は子どもを模したもの。

文殊菩薩: 仏教の菩薩。知恵を司るという。獅子に乗った姿で描かれ、普賢菩薩と共に釈迦如来の脇侍として祀られる。

普賢菩薩: 仏教の菩薩。白象に乗った姿で描かれ、文殊菩薩と共に釈迦如来の脇侍として祀られる。

阿修羅: 仏教の天部で、戦いの神。阿修羅の住む世界は阿修羅道修羅道)といい、輪廻転生の六道の1つ。
帝釈天と対立し戦ったとされるが、単純な悪ではなく多くの宗派で信仰の対象となっている。「修羅場」は元々、阿修羅と帝釈天の闘いの場を指し、転じて激しい闘争が起こる場所や状況を意味するようになった。

四天王: 仏教の天部で、帝釈天に仕え、須弥山の四方で仏法僧を護る神。東の持国天、南の増長天、西の広目天、北の多聞天毘沙門天)がいる。

金剛力士仁王、二王): 仏教の天部で、仏敵を退け仏法を護る神。阿形・吽形の像を対にして、狛犬のように寺の門前に置くことがある。

木魚: 読経の際に叩く楽器。リズムを整える他、眠気覚ましの意味もある。魚は瞼が無く眠る時も目を閉じないため、かつて眠らない生き物だと考えられており、魚の名が付けられた。

ブッダマシーン(念仏機): お経の再生に特化した携帯用の音響機器。主に中国で様々なものが生産されている。

マニ車(摩尼車)(-ぐるま): お経を回転する筒に収めた仏具。主にチベット仏教で使い、真言「オン・マ・ニ・ペ・メ・フン」を唱えながら手で回し、功徳を得る。回した数だけ、経を読んだのと同じ功徳があるという。

即身仏: 一部地域の仏教界で行われてきた「永遠の瞑想」に入った僧のミイラ。信仰上は永遠の命をもち生きているとされるが、生物学的には死んでいる。
江戸時代には、疫病や飢饉に苦しむ衆生を救うべく、何人もの高僧が土の中に埋まって永遠の瞑想に入ったが、明治期には法律で禁止された。
山形県庄内地方に特に多く伝わり、即身仏を公開している寺も幾つかある。ミイラ化には長い年月がかかり、気候条件や保存の難しさもあるため、予定通り発掘された上で現在でも保存されているのは極めて幸運なケース。

ナーガールジュナ龍樹): 2cのインド仏教の僧。般若経で強調される「空」の概念を説明し、大乗仏教を体系化した。

華厳宗(けごんしゅう): 大乗仏教の宗派。盧遮那仏を本尊とする。日本では南都六宗の1つで、本山は東大寺

千日回峰行(せんにちかいほうぎょう): 比叡山で行う天台宗の荒行(あらぎょう)で、7年間で約1000日、ひたすら歩いたり断食したりするもの。21cの達成者は3人。途中で行を続けられなくなったら自害する決まりがある。

修験道: 古代の日本で山岳信仰に密教や道教の要素が混ざって成立した、山へ籠もって厳しい修行を行い、悟りを得ようとする日本独自の信仰形態。実践者を修験者又は山伏という。
現在でも日本各地の霊山を拠点とした信仰が行われている他、仏教の「修験宗」「修験本宗」等としても扱われ、京都の聖護院(しょうごいん)、吉野の金峯山寺(きんぷせんじ)等が本山となっている。

九字(くじ): 道教に由来する、修験道の護身のまじないで、「臨兵闘者 皆陣烈在前(りんぴょうとうしゃ かいじんれつざいぜん)(臨む兵よ、闘う者よ、皆陣を張り列(烈)を成して前に在れ)」というもの。
これを唱えながら9種類の手印を結ぶことを「九字を切る」という。

浄土宗: 日本の浄土信仰の宗派。阿弥陀如来を本尊とし、専修念仏を教義とする。本山は京都市東山区の知恩院

妙好人(みょうこうにん): 浄土真宗の在俗の篤信者のこと。江戸時代から明治期にかけて何編かの妙好人伝が編まれ、鈴木大拙や柳宗悦によって広く紹介された。

◆『歎異抄(たんにしょう)』: 鎌倉時代後期の仏教書。著者は親鸞の弟子・唯円

竹箆(しっぺい): 禅の師家(しけ)が修行者を指導として打つための弓状の杖。俗に、人差し指と中指を揃えて相手の腕を叩くこと。

普化宗(ふけ-): 臨済宗の一派。剃髪せず深編笠を被り、尺八を吹いて托鉢する僧侶「虚無僧(こむそう)」で知られる。

黄檗宗(おうばくしゅう): 日本の禅宗の宗派。本山は京都府宇治市の萬福寺。

隠元: 17cに来日した明の僧。黄檗宗の祖で萬福寺を開いた。インゲンを日本に持ち込んだという。

鈴木大拙(-だいせつ): 仏教学者。仏教や禅についての書籍を英語で多数著した。1900.『大乗起信論』を英訳。

河口慧海(かわぐちえかい): 仏教学者。鎖国状態のチベットに日本人として初めて渡り、その道程を『西蔵旅行記(チベット-)』(1904)にまとめた。

泉岳寺: 港区高輪にある曹洞宗の寺。赤穂浪士の墓がある。

浄慶寺: 川崎市にある浄土宗の寺。境内にはユーモラスなデザインの羅漢像が多数あり、毎年制作・追加されている。

報国寺: 神奈川県鎌倉市にある臨済宗の寺。孟宗竹の竹林で知られる。

清浄光寺(しょうじょうこうじ)(遊行寺(ゆぎょうじ)): 神奈川県藤沢市にある時宗の総本山。東側の坂は遊行寺坂と呼ばれ、箱根駅伝では8区後半の難所として知られる。

瑠璃光院: 京都市左京区にある浄土真宗の寺。岐阜市の光明寺が高級旅館を買い取り、'05年に開いた新しい寺院。書院にある机の天板に庭の紅葉が映り込む光景で知られる。

南禅寺: 京都市左京区にある臨済宗の寺。京都五山・鎌倉五山より上位の大本山とされる。界隈には歴史ある別荘群がある。

知恩院: 京都市東山区にある浄土宗の総本山。「鴬張りの廊下」「忘れ傘」「抜け雀」などの七不思議で知られる。

大雲院: 京都市東山区にある浄土宗の寺。「銅閣」がある。昭和初期に「金閣」「銀閣」に倣い大倉財閥の創業者が建てた楼閣で、元々寺院では無かったが、大雲院が移転してきた際に土地ごと買い取った。

清水寺: 京都市東山区にある北法相宗の大本山。平安京遷都以前からの歴史をもつ。京都を代表する観光地で、本堂(清水の舞台)からの景色や、3本の筧から流れる「音羽の滝」が知られる。

西本願寺: 京都府下京区にある浄土真宗本願寺派の総本山。正式名称は龍谷山本願寺。1591.顕如が豊臣秀吉から土地の寄進を受け、大坂から移転する形で成立。
関ヶ原の戦い(1600)では西軍寄りの態度を取り、戦後に分裂する形で東本願寺が成立する一因となった。1865-67.新選組の本拠地となった。

東大寺: 奈良市・奈良公園にある華厳宗の大本山。世界遺産「古都奈良の文化財」の一部。奈良時代に聖武天皇が、大仏(東大寺盧舎那仏像)と共に国力を尽くして建造させた。752.完成、大仏の開眼供養が行われる。
大仏は現在、奈良の象徴となっている。大仏には金メッキが施されたが、当時の金メッキ技術は、金と水銀の合金を塗り、炎で水銀を気化させ金だけを残すものだった。大量に生じた水銀蒸気は水銀中毒を流行させ、これが長岡京への遷都の理由になったという説もある。

薬師寺: 奈良市にある法相宗の大本山。世界遺産「古都奈良の文化財」の一部。天武天皇が創建。金堂前面の東西に三重塔が立ち並び、奈良時代からある東塔は「凍れる音楽」と評される。

投入堂(なげいれ-): 鳥取県三朝町(みささちょう)にある三仏寺の奥院。平安時代の密教建築で、断崖絶壁の中の窪みに建ち、堂そのものへのアクセスは危険すぎるため禁じられている。
その名は、開祖が法力によって堂を平地から山に投げ入れたという伝承に由来する。

万治の石仏(まんじ-): 長野県下諏訪町にある、江戸時代前期の万治年間に造られた石仏。天然の岩をそのまま胴体としている。岡本太郎が紹介して有名になった。

アブラハムの宗教: ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の総称。いずれも預言者アブラハムが「唯一絶対の神」から受けた啓示を受け継ぐ。

ユダヤ教: ユダヤ人の民族宗教。聖典はヘブライ語聖書。『レビ記』に基づく戒律で、ユダヤ教徒の多くは豚肉、甲殻類、軟体動物を食べない。

シナゴーグ: ユダヤ教の礼拝堂・集会所のこと。ユダヤ教会とも。

モーセ五書トーラー律法): 旧約聖書の最初の5つの書、『創世記』『出エジプト記』『レビ記』『民数記』『申命記』の総称。ユダヤ教では「トーラー」と呼んで特に重視し、トーラーに基づく戒律が存在する。

ソドムゴモラ: 『創世記』に登場する、悪徳・頽廃ゆえに天の裁きが下り、滅んで死海の湖底に沈んだという都市。聖書解釈では、性の乱れが最大の原因であったとされることが多い。同性愛が問題とされたという説もある。

ゴーレム: ユダヤの伝承で、自力で動く泥人形。元々は、神が大地からアダムを生み出す前の胎児を指した。ファンタジーでは大型のモンスターとして登場することが多い。

キリスト教(基督教): 世界最多の信者数をもつ宗教。ユダヤ教から独立したパレスチナ発祥の宗教だが、古代ローマ末期以降の西洋で長く支配的な影響力をもち、近現代文明の根幹にも深く関わっている。
唯一絶対の神(ヤハウェ)を信頼し、新約聖書に書かれたイエス・キリストの人格や教えを信じ、隣人を愛することを説く。多くの宗派があり、代表的なものに東方正教カトリックプロテスタント諸派がある。

イエス(イエス・キリスト、ジーザス・クライスト): キリスト教の始祖。キリスト教の多くの宗派が「神の子」「救世主(メシア、メサイア、キリスト)」として扱う。
1c前半のパレスチナで教団を率い、弱い者や貧しい者のために活動したが、ローマ帝国への反逆罪で十字架刑に処せられた。
イスラエル北部のナザレ出身(但し、新約聖書によれば生誕地はベツレヘム)。新約聖書によれば、刑死の3日後に復活し、その後、天に昇って神の右隣に座しているという。
イエスが全人類の原罪を背負い十字架にかけられたことが、人類救済(神と人間の正しい関係、来たる「神の国」で得られる永遠のいのち)の基盤になったとされる。
イエスの誕生日とされる日はクリスマス、復活日とされる日はイースター(復活祭)として、現在も世界中で盛大に祝われている。

新約聖書: 1-2cに初期キリスト教徒によって書かれ、4cに成立した聖典。原典は当時のギリシア語(コイネー)で書かれている。「新約」とはイエス・キリストによる新たな人類救済の契約の意味。
イエスの生涯を記した4つの福音書マタイ書マルコ書ルカ書ヨハネ書)、イエスの弟子(使徒)達の布教活動を記した使徒行伝、書簡、黙示録等の27巻で構成される。慣用句「目から鱗」「狭き門」「豚に真珠」「砂上の楼閣」の出典。
ちなみに、ホテルの部屋によく新約聖書があるのは、国際ギデオン協会という団体が普及を目的に大量に寄贈しているため。

山上の垂訓(さんじょうのすいくん)(山上の教え、山上の説教): 新約聖書に書かれる、イエスが丘の上で語った教え。慣用句「狭き門」「豚に真珠」「砂上の楼閣」の出典。
冒頭は〈貧しい人達は、幸いだ。神の国はあなたがたのものである〉から始まる幸福の教え。続いて、弟子と群衆らを「地の塩(腐敗を防ぐもの)、世の光」として祝福し、〈汝の敵を愛せよ〉〈右の頬を打たれれば、左も向けよ〉〈人からしてもらいたいと望むことを、人に対してせよ(イエスの黄金律)〉〈人を裁くな、裁かれないためである〉といったキリスト教の中心的な教義を述べる。

ミカエル: キリスト教の三大天使の1人。天使の長で、サタンよりも強力な存在として描かれる。英語のマイケル、ドイツ語のミヒャエル、フランス語のミシェル、スペイン語・ポルトガル語のミゲルの元になった名前。

ガブリエル: キリスト教の三大天使の1人。新約聖書に登場し、マリアにイエスの受胎を告げたとされる。

ラファエル: キリスト教の三大天使の1人。病人や旅人の守護者。

聖ゲオルギオス(聖ジェルジオ、セント・ジョージ): キリスト教の聖人。古代ローマ末期の殉教者で、ドラゴン退治の伝説でも有名。
ジョージア(国名はゲオルギオスに由来)やイングランドの守護聖人で、両国ともゲオルギオスのシンボルである赤十字を国旗にしている。

ローマ教皇(ローマ法王): カトリック教会の指導者、バチカンの元首。

コンクラーヴェ: ローマ教皇の死去又は自主退位に伴い、枢機卿の投票によって新教皇を選ぶ選挙。

公会議: カトリック教会で、全世界の司教等の代表者が集まり、教義・典礼・教会法等を審議する会議。

ニケーア公会議(325): コンスタンティヌス1世の時代に小アジアで行われた史上初の公会議。アリウス派を三位一体否定論と見なし、異端として破門した。

エフェソス公会議(431): 小アジアで行われた史上3回目の公会議。ネストリウス派を異端として破門した。

カルケドン公会議(451): 小アジアで行われた史上4回目の公会議。非カルケドン派を異端として破門した。

第2バチカン公会議('62-65): 約90年ぶり史上21回目(現時点で最後)の公会議。カトリック教会が現代思想に接近し、他宗教・他文化との対話を推進するきっかけとなった。

フランシスコ: ローマ教皇('13-)。アルゼンチン出身。史上初のイエズス会出身、史上初の米大陸出身の教皇。'19.訪日。

ラ・サール会: カトリックの修道会の1つ。日本では鹿児島と函館に進学校をもつ。

メソジスト: 18cのイングランド国教会内部の宗教運動を起源とする、プロテスタントの教派。又はその信者のこと。厳格な戒律に基づく規則正しい生活(メソッド)を重視することから。
メソジスト派に起源をもつ組織や学校に、救世軍、青山学院、関西学院等がある。

アーミッシュ: 米国の中西部とペンシルベニア州を中心に分布する宗教共同体。人口約35万人(急増中)。
元々はスイスで生まれたプロテスタントの教派で、17cに宗教的迫害を受け北米に渡った。今も移民当時の生活様式を保ち、商用電源や自動車を使わず、有機農業や牧畜による自給自足生活を行う。子沢山の大家族が多い。
独自の戒律によって快楽や個人主義を排し、本は聖書や宗教書しか読まず、音楽は斉唱の賛美歌しか演奏しない。教育もコミュニティ内の学校で完結させ、言語と数学だけを学ぶ。
アーミッシュの子ども達は、16-17歳の間に親元を離れ俗世間の生活を経験する。18歳になる時にコミュニティに戻るか、離れるかを決める。

ネストリウス派景教): エフェソス公会議(431)で異端として退けられ、ササン朝ペルシアに逃れたキリスト教の一派。唐にも伝えられ「景教」として広まった。

ユニテリアン主義: キリスト教の三位一体の教理を否定し、神の唯一性を強調する思想。例えば「合理的ユニテリアン派」は、「イエスは神の子ではなく、他者をよりよい生を生きることができるように導いた善良で賢明な人に過ぎない」と考える。

ロザリオ: 十字架の付いた数珠のような道具。カトリック教徒がマリアへの祈りを唱える時に使う。

ニコライ堂(東京復活大聖堂): 千代田区(新御茶ノ水)にある日本のロシア正教会の総本山。本格的なビザンティン様式の大聖堂。1869.竣工。

カトリック関口教会: 文京区のカトリック教会。'64.丹下健三設計の大聖堂・東京カテドラル聖マリア大聖堂が竣工。真上から見ると十字架型をした屋根が特徴的。7秒に達する長い残響時間が特徴的で、教会音楽のコンサートも催される。

システィーナ礼拝堂: バチカンの礼拝堂、コンクラーヴェの会場。ミケランジェロの祭壇画『最後の審判』や、『創世記』に取材した天井画が描かれている。

カーバ: サウジアラビア・メッカの神殿。イスラム教最大の聖地。一辺10m前後の立方体に近い石造りの建造物で、黒い幕で覆われている。「立方体」を意味するアラビア語。

カリフ: ムハンマドの「後継者」の意味で、イスラム教の最高指導者。ムハンマドの死(632)後、約30年間は、信仰心の厚い者が選挙で選ばれた(正統カリフ時代。アリーまで4代続いた)。
その後、ウマイヤ朝で世襲化が始まり、8cのアッバース朝でカリフの権力は最も強くなった。10cにはアッバース朝の勢力が衰え、カリフを称する者がカイロとコルドバにも現れて、三カリフ分立時代となった。
13cにモンゴル軍がバグダッドを陥落させるとカリフは殺され、実質的にカリフ制度は崩壊した。その後、20cまで続いたオスマン帝国ではスルタンがカリフの兼任を自認していた。

アブー=バクル: 初代カリフ(632-634)。ムハンマドの義父。

アリー: 第4代カリフ(656-661)。ムハンマドの従弟かつ娘婿。在位中に暗殺され、それ以降はカリフの権力を認めずに、アリーの子孫のみをイスラムの指導者(イマーム)であるとするシーア派が出現した。

イスラム原理主義(イスラム復興主義、イスラム急進主義): シャリーアの厳格な適用によって、イスラム社会の西洋化・近代化・世俗化に対抗し、真に「イスラム的」な社会や国を築こうとする思想や運動。
自由主義や社会主義を打倒しようとする過激な実力運動としての原理主義は、50s-60sにムスリム同胞団を指導したサイイド・クトゥブに始まるという。
クトゥブは、現代社会をムハンマド以前の「無明時代」に戻った世界と見なし、世界に対する「聖戦(ジハード)」を呼びかけ、その影響を受けたテロ組織が幾つも生まれた。
80sのアフガニスタンでは、主にアラブ諸国からこうした組織が集まり(米国の支援も受けて)ソ連の侵攻と戦い、自信を深めた彼らが祖国に戻ることでイスラム原理主義勢力は伸張していった。
90sには湾岸戦争の影響もあり、欧米との対立が強まった。特にアルカイダは多くのテロ活動を行い、'01年には米国で同時多発テロ(9.11)を起こした。
その後も、アフガン戦争('01-)、イラク戦争等を通じて反欧米を掲げる原理主義は拡大再生産され、10sにはISILの登場に至った。

チャクラ: ヨガで、人体の生命エネルギーの中枢とされる部位。股下から頭頂部にかけて体の中央部に7つあるという。「輪」を意味する梵語から。

バラモン教: 古代インドのアーリア人社会で、自然崇拝から生まれた多神教。後のヒンドゥー教の母体。『ヴェーダ』を聖典として成立した。
祭祀を司るバラモンの権威が強く、次第に形式的になり、BC5c頃から改革運動が起こる中で、仏教ジャイナ教を生み出すことになる。

ウパニシャッド哲学: バラモン教の形式化を批判し、内面的思索を重んじたインド思想。ヴェーダに関連してBC6c-BC5c頃に書かれた一連の哲学書(ウパニシャッド)を基礎とし、仏教やジャイナ教の土台となった。
宇宙の根源であるブラフマン(梵)と人間の本質であるアートマン(我)が究極的に同一であること(梵我一如(ぼんがいちにょ))の認識を目指す。

クリシュナ: ヒンドゥー教の神。宗派によってはヴィシュヌの化身とされ、ジョージ・ハリスンが帰依した教団等では最高神とする。偶像では青みのある暗い肌で描かれることが多い。

ガネーシャ: ヒンドゥー教における現世利益の神。片方の牙が折れた象の頭と4本の腕をもち、鼠に乗っている。

ヴァルナ: ヒンドゥー教社会で、人々を四分する伝統的な身分制度。上位からバラモン(聖職者)、クシャトリヤ(王侯・武人)、ヴァイシャ(商人)、シュードラ(農民・手工業者)。
「前世の業の報いによりその身分に生まれ、ヴァルナごとの役目を全うすることで来世の福が保証される」という、ヒンドゥー教の徹底した宿命観を反映している。

カースト: インドやネパールで、ヴァルナとジャーティ(職業を世襲するコミュニティ)が結び付いて生まれた身分的ヒエラルキー。特に英国領時代のインドでは統治に積極的に活用され、身分の固定化が進んだ。
独立後のインド憲法は職業選択の自由を明確にし、法律上はカースト差別を禁じた。近年、都市部では実際に差別が弱まり、出身カーストを意識しない人もいるが、保守的な地域の農村等では強い差別が残っている。

ダリット(アチュート、アウトカースト、不可触民): インドやネパールで人口の約2割を占める最下層カースト、被差別民。4つのヴァルナの外に置かれたジャーティで、多くは貧農、屠畜業者、皮革労働者、清掃人等、穢れが多いとされる職業を世襲してきた。
根強い宗教的・社会的差別の一方、インド憲法では「指定カースト」とされ、大学入試や公務員採用に一定の割合でダリット出身者の枠が設けられている。

ゾロアスター教拝火教): 古代ペルシア生まれの善悪二元論的な宗教。経典は『アヴェスター』、最高神(善神)はアフラ・マズダー。死者は鳥葬にする。BC6c.ゾロアスター(ツァラトゥストラ)が創始。

パールシー: 現代のゾロアスター教の中心地であるインドのムンバイ等でゾロアスター教徒を指す言葉。「ペルシア」を意味する言葉から。
富裕層が多く、インド最大級の財閥・タタ財閥の創業家はパールシー。指揮者のズービン・メータ、歌手のフレディ・マーキュリーもパールシーの家庭出身。

マニ教: 3c(ササン朝時代)のペルシアでマニが創始した宗教。かつて、東はウイグルや中国、西は北アフリカやイベリア半島まで伝わったが、時代と共にイスラム教等に押され、現在は消滅に近い状況。

バハイ教(バハーイー教): 19cのペルシアでバハオラが創始した「最も新しい世界宗教」。

関帝廟: 中国三国時代の武将・関羽を祀る施設。日本では横浜や神戸の中華街にあるものが有名。

黒住教(くろずみ-): 江戸時代後期の岡山で始まり、関西地方等で広まった神道系新宗教。天理教、金光教と並ぶ「幕末三大新宗教」。

大本(おおもと): 明治期に出口なお・出口王仁三郎が興した神道系新宗教。

サティヤ・サイ・ババ: インドの霊能者、思想家、スピリチュアルリーダー。1940年に14歳で説法を始め、60s末には世界各地に数百万人の信奉者を得た。'11.死去。信奉者に藤井風らがいる。

韓鶴子(ハン・ハクチャ): 旧統一教会の総裁で、教祖・文鮮明の妻。韓国は本来、夫婦別姓だが「Hakja Han Moon」と夫の苗字を連ねて記すことが多い。教団内では「真のお母様」「マザームーン」等と呼ばれる。

サイエントロジー: 米国のSF作家が50sに興した新興宗教。欧州では危険なカルトと見なされている。トム・クルーズ、ジョン・トラボルタが熱心な信者として知られる。

法輪功: 李洪志が90sに中国東北部で創始し、急速に広めた気功・健康法、思想。宗教団体のようなピラミッド型の組織はもたない。
人権団体や報道機関、欧米の議会は、中国政府が法輪功学習者に対し不当逮捕や拘束、収容所での虐待や拷問を行っていると非難している。

空飛ぶスパゲッティ・モンスター教(FSM): 神が宇宙や生命を創ったことに異議を唱えるパロディ宗教。'05.米国で創始。

五常: 儒教の5つの徳目(仁・義・礼・智・信)。「」は思いやりの心、「」は利欲に囚われず正義を貫くこと、「」は仁・義を実践するためのルールやマナー、「」は道徳的判断力や知性、「」は誠実さを意味する。

◆『易経(えききょう)』: 儒教の五経の1つ。陰・陽の元素の対立と統合をベースとした殷・周代の占術のテキスト『周易』(伏羲が記し、周の文王が大成したとされる)に、孔子ら儒家が解釈を付けたもの。

◆『五経正義』: 唐代初期に編纂された、五経の官選注釈書。科挙で正解とされる文献解釈の基準になった。

朱子学: 12cに南宋の朱熹(朱子)が興した新しい儒教。宋代の朱子学は「宋学」ともいう。四書に基づき、「」(道理、大義)を重視する。
日本では、徳川家康による林羅山の登用以来、江戸時代に重要な学問とされ、尊皇攘夷思想や後の教育勅語のルーツにもなった。

陽明学(王学): 16cに明の王陽明が興した新しい儒教。孟子の性善説をベースとし、心即理や知行合一を主要な思想とした。

木下順庵: 江戸時代前期の儒学者。新井白石ら「木門十哲」と呼ばれる人材を輩出した。

山鹿素行(やまがそこう): 江戸時代前期の儒学者。朱子学を批判し古学を興した。

荻生徂徠: 江戸時代の儒学者。柳沢吉保や徳川吉宗に仕え、朱子学を批判し、古代の言語、制度文物の研究を重視する「古文辞学(徂徠学)」を興した。

藤田東湖: 江戸時代後期の儒学者。水戸藩主・徳川斉昭に仕えた。水戸学の思想を体系化し、尊王攘夷運動に影響を与えた。

胡蝶の夢: 荘子の説話。蝶になった夢を見ていたのか、それとも蝶が本来の自分で、今の人間の姿が蝶が見ている夢なのか、という話。

竹林の七賢: 中国の三国時代末期に、酒を飲み交わし清談(老荘思想に基づく、俗世から超越した哲学的議論)を行って交友したと伝わる7人のこと。

阮籍(げんせき): 竹林の七賢のリーダー格とされる思想家。青い眼と白い眼を使い分けたといい、気に入った人物には青い眼で、礼法を重視する儒家のようなつまらない人物には白い眼で接した(白眼視)という。

福禄寿: 道教における3つの願い、福(子宝に恵まれること)、禄(財産に恵まれること)、寿(健康で長生きすること)を具現化した神。日本では七福神の一柱。を連れた姿で描かれる。

塙保己一(はなわ・ほきいち): 江戸時代後期の国学者、総検校。全盲ながら諸学に秀で、古代以来の古書をまとめた叢書『群書類従』を編纂した。埼玉県川越市の特別支援学校「塙保己一学園」に名を残す。

哲学: 物事や人生の本質を理性的・客観的に考え、それを言語化しようとする学問。又は、ある人が確固としてもっている価値観・世界観・人生観。

◆『葉隠(はがくれ)』: 佐賀藩士・山本常朝の口述筆記による、武士の心得を示した江戸時代中期の書物。〈武士道と云ふは死ぬ事と見付けたり(武士たるものは(忠義のためには)死を覚悟しなければならない)〉の一節が有名。

柳宗悦(やなぎむねよし/そうえつ): 思想家、宗教学者、美術評論家。1910.東京帝大哲学科の学生時代、作家の志賀直哉や武者小路実篤と共に同人誌『白樺』を創刊。
卒業後はアカデミズムの世界を離れ、在野の評論家として、手仕事の日用品の中に「用の美」を見出す「民芸運動」を唱え発展させた。朝鮮や沖縄の工芸・文化を広く紹介した。

西田幾多郎: 哲学者。西洋哲学と東洋思想を融合した「京都学派」の創始者。1911.『善の研究』。

◆『善の研究』(1911): 西田幾多郎の主著。「純粋経験」を唯一の実在とし、人間活動の全てを、精神の矛盾・葛藤状態を克服するための運動として論じた。

田邊元(-はじめ): 西田幾多郎と共に京都学派を代表する思想家。「絶対的弁証法」を提唱した。

橋爪大三郎: 社会学者、クリスチャン。元全共闘活動家。

タレス: 古代ギリシアの哲学者。「万物の根源は水である」と唱えた。

アリストテレス: BC4cの古代ギリシアの哲学者。あらゆる科学・思想を探究した「万学の祖」。著書に『形而上学』『ニコマコス倫理学』『詩学』等。プラトンの弟子。アレクサンドロス大王の家庭教師でもあった。
17cにおいても、アリストテレスの研究に反することがガリレオの地動説の弾圧理由の1つになるなど、遥か後世まで巨大な影響力をもった。
彼が人間の本性を「知を愛する(フィロソフィア)」ことにあると考えたことが、フィロソフィー(哲学)の語源となった。心理学では、人を説得し動かす3つの条件として、エートス(習慣≒信頼)、パトス(情熱)、ロゴス(論理)を挙げた。

◆『エチカ』(1675): スピノザの主著。人間の心と倫理について、ユークリッド幾何学の形式に基づいて演繹的に論じた。

ジョン・ロック: イングランドの哲学者、啓蒙思想家。英国経験論を代表する1人。1689.『統治二論』『人間知性論』。『統治二論』では社会契約論や抵抗権を提示し、名誉革命(1688-89)を正当化した。

デヴィッド・ヒューム: 英国経験論を代表する哲学者の1人。1739.『人間本性論(-ほんせいろん)』。

ヴォルテール: フランスの啓蒙思想家、作家。1759.『カンディード』。〈私はあなたの意見には反対だ。だがあなたが主張する権利は命をかけて守る〉という格言で知られるが、ヴォルテールの言葉という証拠はない。

ジャン=ジャック・ルソー: ジュネーヴ共和国出身でフランスで活動した啓蒙思想家、作家、作曲家。人民主権と封建制度の打破を説き、後のフランス革命に多大な影響を与えた。1762.『社会契約論』『エミール または教育について』。
童謡「むすんでひらいて」はルソー作曲のオペラから旋律を採ったもの。

イマヌエル・カント: プロイセン王国の哲学者。ドイツ観念論の祖。1781.『純粋理性批判』。1795.『永遠平和のために』。生涯、ほとんどケーニヒスベルク(現カリーニングラード)を出ることなく過ごした。

メアリー・ウルストンクラフト: 英国の啓蒙思想家。男女同権、教育機会の均等を提唱したフェミニズムの先駆者。娘にメアリー・シェリーがいる。1792.『女性の権利の擁護』。

止揚アウフヘーベン): 2つの対立する考え方から1つの結論を導くこと。ヘーゲルが弁証法の中で提唱した。

アルトゥール・ショーペンハウアー(ショーペンハウエル): ドイツの哲学者。1819.『意志と表象としての世界』。
真の実存は「盲目的な生存意志」にあるとして、世界を表象と捉えた厭世観的思想家。同時代には支配的だったヘーゲルの哲学に圧倒され、なかなか日の目を見なかったが、後世に影響を与え、19c後半にはニーチェらの思想に結実した。
明治期の日本の学生・知識人には広く知られ、デカルト、カントと並び称した「デカンショ」という言葉もある。

ジェレミー・ベンサム: 18-19cの英国の哲学者、法学者。「最大多数の最大幸福」を追求した功利主義の創始者。

ジョン・スチュアート・ミル: 英国の哲学者。1859.『自由論』。1861.『功利主義論』。「満足した豚」よりも「不満足なソクラテス」と表現し、快楽の内容を均質なものと見なしたベンサムの理論を乗り越えようとした。

ルードヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハ: ドイツの哲学者。キリスト教やヘーゲル哲学の批判を通じて唯物論を展開し、マルクスやエンゲルスに影響を与えた。1841.『キリスト教の本質』。

オーギュスト・コント: 19c前半のフランスの学者。社会学の創始者の1人。ブラジルの国旗は彼の言葉「秩序と進歩」を記している。

ハーバート・スペンサー: 19c半ばから後半の英国の哲学者・社会学者。進化論を「適者生存」の法則として捉え、社会学や倫理学に応用した(社会進化論)。古典的自由主義者の1人。

エミール・デュルケーム: フランスの社会学者。実証主義的な社会学を確立した。1897.『自殺論』。

セーレン・キルケゴール: デンマークの哲学者。実存主義の先駆け。ヘーゲル学派等の近代理性主義を批判した。1849.『死に至る病』。

◆『ツァラトゥストラはかく語りき(ツァラトゥストラはこう語った)』(1883-85): ニーチェの主著。物語形式の哲学書。〈神は死んだ〉と述べ、自分自身の力を信じ、人生の意味を引き受け、人生を純粋に愛する「超人」を理想として描いた。

史的唯物論(唯物史観): マルクス主義の基礎理論の1つ。社会進歩の要因を、自然と人間の相互交渉、特に物質的生産関係に求めた。
生産力の発展に伴う階級闘争によって、原始共同体から奴隷制、封建制、資本主義、社会主義といった生産様式が成立し、生産様式を土台(下部構造)として、法や思想等の上部構造が成立するとした。

バートランド・ラッセル: 英国の数学者、論理学者、哲学者、社会運動家。ケンブリッジ大におけるウィトゲンシュタインの師。
1916.平和運動や婦人解放運動に熱中し、ケンブリッジ大学を解雇される。'50.ノーベル文学賞受賞。'55.アインシュタインらと「ラッセル=アインシュタイン宣言」発表。'61.英国の核政策への抗議行動で懲役刑となり、入獄(当時89歳)。

◆『論理哲学論考』(1921): ウィトゲンシュタインの哲学書。〈語りえぬものについては、沈黙しなければならない〉と、「哲学の最終回答」を示した。

プラグマティズム(実用主義): 真理かどうかは実践上の効果の有無によるという哲学的態度。英国経験論を引き継いだ20cの米国の思想潮流。

実存主義: 現代思想の潮流の1つ。社会や観念ではなく、自己の存在を世界観の中心に置く立場。キルケゴールやニーチェを土台としながら、戦間期・戦後期に流行し、不安な個人の心を捉えた。

ホセ・オルテガ・イ・ガセット: スペインの哲学者、自由主義者、保守主義者。フランコ政権や全体主義を鋭く批判した。1929.『大衆の反逆』。

モーリス・メルロ=ポンティ: フランスの哲学者。'45.「知覚の現象学」。

ハンナ・アーレント: ドイツ出身で米国に亡命した政治哲学者。ユダヤ人女性。全体主義を生みだす大衆社会を分析した。'51.『全体主義の起源』。'58.『人間の条件』。

構造主義: 現代思想の潮流の1つ。社会や文化の歴史的経過の研究よりも、社会や文化を成り立たせる基底構造の研究に重きを置く立場。フランスで言語学や民俗学の分野から生まれ、60s-70sの哲学のメインストリームとなった。

◆『悲しき熱帯』('55): クロード・レヴィ=ストロース(フランス)の紀行文。1930sにブラジルの幾つかの部族を訪ねた旅を描いたもので、優れた未開社会の分析と、欧州中心主義への批判により、文化人類学や構造主義のバイブルとなった。
終章の一節〈世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう〉。

ユルゲン・ハーバーマス: ドイツの哲学者。他者とのコミュニケーションによって問題を解決する「対話的理性」を提唱した。

哲学的ゾンビ: 哲学用語で、「物理的・化学的な反応は人間と全く同じだが、意識(クオリア)を持っていない状態」のこと。90sに豪州の哲学者・チャーマーズが思考実験で使い始めた言葉。
近年、AIの発展に伴い、AIの限界は「哲学的ゾンビ」なのか、それとも意識を持ち得るのか、といった議論が増えている。

アンソニー・ギデンズ: 英国の社会学者。近代以降の社会の特徴を再帰性と定義した。ブレア政権('97-07)のブレーンとして「第三の道」を唱えた。

フランシス・フクヤマ: 米国の政治学者。日系人。新保守主義(ネオコン)の代表的な理論家だったが、21cに入ってネオコンと距離を置き、ブッシュJr.政権によるイラク戦争を批判した。'92.『歴史の終わり』。
人間の根本的なニーズを「承認欲求」と見なし、そのニーズを満たせるという理由で、自由民主主義を専制主義等では代替できない人類の文化の最終形態として説明しようとした。


8、歴史

歴史: 社会や物事の変遷の記録、又は変遷について語ったもの。歴史には、記録者や語り手の認識が介在することを意識しておかねばならない。

世界史: 世界全体の歴史を総合的に述べたもの。日本では高校の科目として、'94-'21年度の入学者には必修で教えられた。'22年度以降は「歴史総合」必修化に伴い、「世界史探究」として選択科目となった。
高校の科目としての「世界史」への指摘として、政治史偏重(政権名、王朝名をやたらと覚えさせられる)であり、経済史、技術史、精神史等が軽視されているという指摘がある。

先史時代: 人類が暮らし始めてから、文字を使い始める前までの、考古学的資料しか残っていない時代のこと。対して、文字資料が残っている時代を歴史時代という。

古代: 歴史の時代区分。古代文明の成立から崩壊までを指す。西洋史では古代ギリシア・古代ローマの時代、日本史では古墳・飛鳥・奈良・平安時代を指す。

中世: 歴史の時代区分。一般に、西洋史では西ローマ帝国滅亡からルネサンス・大航海時代まで(5c後半-15c後半)、日本史では鎌倉・室町時代(12c後半-16c後半)を指す。
西欧と日本の中世には、封建制の社会構造という共通点がある。ルネサンスの担い手らは中世を、栄光の古代ギリシア・古代ローマが衰退し、経済力や文化力で欧州がイスラム世界の後塵を拝した「暗黒時代」と考えた。

近世: 歴史の時代区分。一般に、西洋史ではルネサンス・大航海時代から産業革命・市民革命まで(15c後半-18c後半)、日本史では安土桃山・江戸時代(16c後半-19c後半)を指す。
西欧各国の大航海によってグローバル経済がもたらされ、直観や連想や宗教的信念よりも実証的な研究を重んじる学問が発展し、物質的にも精神的にも「近代」が準備されていった。

西暦A.D.、AD): イエス・キリストが生まれたと考えられていた年を紀元1年(元年)とする無限の紀年法。ADはラテン語「アンノ・ドミニ(主の年に)」の略。

世紀(センチュリー、c): 西暦の、100年単位の時代区分。1-100年を1世紀(1c)とし、1901-2000年は20世紀(20c)、2001-2100年は21世紀(21c)。
紀元前の場合、BC100-BC1年が紀元前1世紀(BC1c)、BC1000-BC901年が紀元前10世紀(BC10c)となる。

元号: 漢で始まり漢字文化圏に広まった、不定期に改元を行う紀年法。現在も改元を行うことにしている国は日本のみ。
他に、台湾に民国(中華民国建国の1912年を元年とする)、北朝鮮に主体(金日成が生まれた1912年を元年とする)という、いずれも日本の大正と同じ年を元年とする無期限の元号のようなものがある。
ただし「主体」は'97年(主体86年)に86年前に遡って制定されたもので、民間では西暦が普及している。日本と台湾でも近年、民間で使う紀年法は主に西暦になってきている。

元号法: 現在の日本における、元号についての法律。皇位継承があった場合に限り(一世一元の制度)、有識者が提出した候補の中から、内閣が新元号を定めるとしている。

世界人口: 古代以来、食糧生産力の増大等を背景に、発展途上国等を中心に現在も増加が続く。
西暦元年には約3億人だったと考えられている。16cに約5億人。19c初頭に約10億人。1927.20億人。'59.30億人。'74.40億人。'86.50億人。'98.60億人。'11.70億人。'22.80億人到達。
増加のピークは20cで、2050年代には100億人に達するものの、21c中にピークアウトするという予測が主流である。

国宝: 重要文化財の中でも、文化史的な価値が極めて高いもの。建造物・工芸品・絵画・彫刻・書跡・古文書を中心に、千数百件が指定されている。
'23現在、近代以降に成立した文化財で国宝に指定されたものは数少ない。最も成立年代の新しい国宝は迎賓館赤坂離宮(1909)。

縄文時代: 日本の先史時代の区分。旧石器時代と弥生時代の間に当たる、約1万5000年前~約3000年前の時代。この間に温暖化が進み、完新世が訪れた。世界史では新石器時代・古代文明時代にあたる。
主な特徴として、土器、磨製石器、弓矢の使用が始まったこと、集落・建物への定住が始まったこと、採集・狩猟に基礎を置きながらも植物栽培が始まったことが挙げられる。

貝塚: 先史時代の人々の廃棄物(貝殻等)の集積地。既に発見された縄文時代の貝塚だけで、日本国内に数千ヶ所ある。大森貝塚(品川区・大田区)や加曽利貝塚(千葉市)が有名。

勾玉: 縄文~古墳時代の日本の装身具で、翡翠、瑪瑙、水晶、滑石、琥珀、鼈甲等で作られた「曲がった玉」。胎児の形、動物の牙の形等を模しているという説がある。

縄文のヴィーナス: 縄文時代中期(約5000年前)の作で、妊婦を象った土偶。ほぼ損傷が無く、雲母片が練り込まれているため肌がうっすらと輝いて美しい。'86.長野県茅野市で発掘。縄文時代の出土品として初めて国宝に指定された。

遮光器土偶: 縄文時代晩期に、東北地方等で作られた土偶の類型。イヌイットの遮光器(スノーゴーグル)のような特徴的な目と、女性らしさを表す乳房や大きな臀部が特徴。

奴国: 弥生時代に現在の福岡市周辺にあった国。57.漢に送った使節が「漢委奴國王」と書いた金印を光武帝から授かった。

ナルメル: BC31c頃の、上エジプト・下エジプトの最初の統一王(ファラオ)。歴史書や伝承以外にも実在した物証が多数ある、恐らく歴史上最初の個人。

ツタンカーメン: BC14cのエジプトのファラオ。夭折した少年王として、又、黄金のマスクをはじめとする副葬品がほぼ完全な形で発見された王として、エジプトのファラオの中で最も人々に親しまれている。
両親は禁断の「きょうだい婚」だったことが、ミイラのDNA解析で判明している。

オルメカ文明: BC1200年頃からBC400年頃までメキシコ湾岸で栄えた文明。巨石人頭像等が特徴。後のテオティワカン文明やマヤ文明に影響を与えた。

スキタイ: 世界初の遊牧騎馬民族とされるイラン系の民族。BC8c-BC3c頃にカスピ海北岸から黒海北岸の草原地帯(現在のロシア南西部やウクライナ)を支配した。

孫武孫子): 春秋時代の呉に仕えた将軍、兵法家。「戦わずして勝つ」戦略思想、短期決戦主義、スパイの重視等で知られる兵法書『孫子』を残した。

アケメネス朝: BC6-BC3cのペルシアの王朝。ダレイオス1世の時代には、エーゲ海沿岸からインダス川流域に及ぶ広大な世界帝国となったが、BC330年にマケドニアのアレクサンドロス大王の遠征により滅んだ。

陶片追放: 古代ギリシアのアテネ等で、僭主となるおそれのある人物を投票で追放した制度。投票に陶片が使われたことから。

アンティキティラ島の機械: 古代ギリシアで作られた、天体の動きを計算したと考えられている青銅製の歯車式機械。現存する世界最古の「機械」。1901.沈没船から発見された。

ペリクレス: BC5cのアテネの政治家。アテネの直接民主制を完成させた。ある程度の規模と発展度をもった国家が直接民主制になった例は、後にも先にもペリクレス時代のアテネのみ。
一方、デロス同盟の資金を流用してパルテノン神殿の増築を行う等「アテネ・ファースト」の政策から、デロス同盟からの諸都市の離反を招き、ペロポネソス同盟とのペロポネソス戦争を引き起こしてしまった。

護民官(トリビューン): 共和政ローマの公職。平民代表として、執政官の決定や元老院の決議に拒否権をもった。
英語の「トリビューン」は、庶民の権利の擁護者を指すようになり、米国で新聞の紙名等によく使われている。

マウリヤ朝: BC4-BC2cのインドの王朝。チャンドラグプタ王(ジャイナ教を信仰)が建国し、BC3cのアショカ王(仏教を信仰)時代に最盛期を迎えた。

呂不韋: 中国戦国時代の秦の宰相。『史記』等で始皇帝の実父とされる。故事成語の「奇貨居くべし」を言った人物で、秦の王子に様々な援助を行って遂に王位に就け(始皇帝の前王で系図上の父)、商人から宰相に上り詰めた。

徐福: 秦の人物。始皇帝の命を受け、不老不死の薬を求めて東の「蓬莱」を目指したという。「蓬莱」とは日本で、そのまま日本に定住した、という伝説が日本各地にある。

韓信: 劉邦に仕えた武将。「国士無双」「背水の陣」等の故事成語の由来となった。

(かん)(BC202-AD8,25-220): 秦に続く中国の統一王朝。匈奴や西域諸国を服属させ、同時代のローマ帝国と並び世界帝国と呼ばれることも多い(2つの世界帝国はシルクロードで繋がっていた)。
AD8年までを前漢、光武帝による25年の復興後を後漢(ごかん)と呼び分ける。前漢の都は長安、後漢の都は洛陽
国号は、元々は長江の支流・漢江に因んだ地域名で、BC206年に劉邦が項羽から「漢王」という称号を与えられて王室のシンボルとなった。後世、漢字、漢文、漢語、漢民族のように、中国文化を象徴する字となっている。

武帝: BC2-BC1cに長期政権を敷いた漢の皇帝。匈奴討伐等で前漢の最大版図を築いた。郷挙里選の制度を整備し、漢を官僚大国に変貌させた。

郷挙里選: 漢の官吏登用制度。地方の高官や有力者が、各地の優秀な人物を中央に推薦するもの。

古朝鮮: 漢が楽浪郡等を設置(BC108)する以前に、現在の北朝鮮を中心とする領域を統治したという古代国家の総称。時代順に檀君朝鮮、箕子朝鮮(きし-)、衛氏朝鮮の3つを指すが、実在が確定しているのは衛氏朝鮮のみ。

ロゼッタ・ストーン: BC2cにエジプトで書かれた、神聖文字(ヒエログリフ)・民衆文字(デモティック)・ギリシア文字で刻まれた石碑。
18c末にナポレオンの部下がエジプト遠征の際に発見し、古代エジプト語解読の鍵となった。現在は大英博物館に展示されている。

サータヴァーハナ朝: BC1c-AD3cの中央インドの王朝。ローマ帝国と盛んに海上交易を行った。

アグリッパ: アウグストゥスの腹心の部下として活躍した将軍。デッサンモデルの石膏像として知られる人物の1人。

光武帝(劉秀): 漢を再興し後漢の初代皇帝となった人物。中国史上きっての名将・名君として尊敬され、後の三国志時代の英雄はみな光武帝マニアだった。57.倭の奴国の使節に「漢委奴國王」と書いた金印を授けた。

クシャナ朝: 1-3cの北インド~中央アジア地域のイラン系王朝。2cのカニシカ王時代に最盛期を迎え、領邦・ガンダーラ王国(現在のペシャワール地方)を中心に、ギリシャ文化の影響を受けた仏教美術・ガンダーラ美術が栄えた。

マルクス・アウレリウス・アントニヌス: 2c後半のローマ皇帝。五賢帝最後の皇帝。学を好んだ皇帝として名高く、著作『自省録』はストア派の思想を表した名著として知られる。

六朝(りくちょう): 魏晋南北朝時代に華南に興亡した6つの王朝(呉、東晋、南北朝時代の4王朝)の総称。いずれも建康(現・南京)に都を置き、漢民族の貴族が「六朝文化」を主導した。

九品中正: 魏晋南北朝時代の中国で主流だった官吏登用制度。人材を9等級に分けて推薦する制度だったが、門閥貴族による高官独占に繋がり、後にこの弊害を解消するため科挙が始まった。

ササン朝: 3-7cのペルシアの王朝。ゾロアスター教と強く結び付いていた。最大版図は中東のほぼ全域に及び、後のイスラム文化の基礎となるペルシア文化が栄えた。
イスラム教団に立て続けに敗れたことが決定打となり、7c半ばに滅亡。以後、ペルシアは急速にイスラム化した。

カラカラ: 3c前半のローマ皇帝。弟を惨殺した事件や、そのエピソードを揶揄する詩が流行していたアレクサンドリアにおける市民虐殺事件で知られる「暴君」。『ローマ帝国衰亡史』の著者・ギボンによれば「人類共通の敵」。
アレクサンドロス大王を、伝承される一挙手一投足を真似するほど崇めており、大王の遺品を愛用するだけでは飽き足らず、大王の時代と同じ武器を軍隊に持たせ「マケドニア長槍部隊」を復元するほどだった。

好太王(広開土王): 4-5cの高句麗の王。中国・通化市の陵墓の近くにある、業績を讃えた石碑「好太王碑」で有名。

鮮卑: 五胡の1つ。匈奴に代わって華北を支配するようになり、4cに北魏を建国、5cに華北を統一した。民族としては次第に漢民族に同化した。
なお、後の隋・唐の王朝も、鮮卑の流れを汲む貴族(楊氏、李氏)が建てたものであり、鮮卑が漢民族に同化していったとは言え、隋や唐を漢民族王朝と見なせるかどうかには議論がある。

テオドシウス1世: 4c後半のローマ皇帝。ローマ帝国が完全に東西分裂する前の最後の皇帝。キリスト教を国教とし、領内に残っていたローマ伝統の神々の像や神殿、神格化された歴代ローマ皇帝の像等を徹底的に破壊し、古代オリンピックも廃止した。

西ローマ帝国: 4c末-5c後半のローマ帝国で、西方正帝が支配し、東ローマ帝国とは別々に統治した領域。ラテン語やカトリック教会を中世の西欧社会に引き継ぐ役割を果たした。

土師器(はじき): 古墳時代~平安時代に使われた、赤褐色の軟らかい土器。弥生土器の製法を受け継いで作られた。

須恵器(すえき): 古墳時代~平安時代に使われた、1000℃以上の高温で焼いた陶質の土器。百済・伽耶から製法が伝えられ、5c頃から日本各地に広まった。

雄略天皇ワカタケル): 5c後半の大和朝廷の大王。東は関東でも諸豪族を支配したとみられ、名が記された刀剣も出土しており、考古学的に個人として証明できる最初の天皇。中国の史書に登場する倭王「」に比定されることが多い。

均田制: 中国南北朝時代の北魏に始まり、唐代まで行われた土地制度。豪族の大土地所有を抑えるために国家が国民に直接土地を与え、土地に応じた税を課した。

アングロ・サクソン人: 5cに現在のドイツ・オランダ・デンマーク等から現在のイングランドに集団移住し、七王国を建てたゲルマン系民族(アングル人・サクソン人・ジュート人)の総称。
イングランドとは元々「アングル人の土地」を指す英語であり、英語も元々はアングロ・サクソン人の言葉である。
先住民のケルト人や、更に後から来たノルマン人と混じり合いながら、近代の英国、北米、豪州等で多数派民族となる英国系白人を形成していった。

フランク王国(481-887): 中世前期に、現在のフランスやドイツを中心とする地域を支配したゲルマン民族の王国。カトリック教会と密接な関係をもった。

メロヴィング朝(481-751): フランク王国の前期の王朝。

武烈天皇: 6c初頭頃に在位したとされる大和朝廷の大王。諡号から窺えるように、日本書紀では悪虐非道の暴君として描かれるが、武烈天皇に代わって縁戚の継体天皇が即位したことを正当化するためのネガキャンではないかと考えられる。

継体天皇: 6c前半の大和朝廷の大王。記紀によればそれまでの大王の縁戚だが、越前や近江を支配した豪族出身の王位簒奪者という説もある。
又、そもそも一つの父系血族による王位の世襲が完全に確立したのは継体天皇からという説もある。そのため、現在まで続く天皇家を継体王朝と呼ぶ人もいる。

(581-618): 中国を約300年ぶりに再統一した王朝。高祖(楊堅)と煬帝の2代で滅んだ。高句麗への大規模な遠征を度々行った。
日本では、この強大な統一帝国が出来たことが族長達に危機感を共有させ、欧米列強の外圧を受けた近代の明治維新・版籍奉還よろしく、大和朝廷による統一性の高い国が出来る契機となったという。

科挙: 隋で始まり、唐、宋、(元での一時停止を挟み)明、清に至るまで継承・発展した官吏登用制度。儒学や詩文の能力を問う試験を行い、家柄等に関わらず有能な人材を登用するもの。
魏晋南北朝時代の九品中正では、門閥貴族によって高官が独占されていたが、これを解消するものとなった。朝鮮(高麗・李氏朝鮮)、ベトナム等の周辺王朝でも取り入れられた。
中国において官吏の地位は高く、子どもの頃から四書五経等の経典を学び、何度も何度も受験する人が多数いた。官立学校(官学)、私立学校(書院)も各地に生まれた。
隋代から清代に至るまで、科挙の受験資格は男性に限られたが、19cの太平天国においてのみ、女性向けの科挙も実施された。

殿試: 科挙の最終試験。皇帝臨席で行い、受験者に序列を付けた。

エフタル: 中央アジアの遊牧民族。6cにササン朝ペルシアと突厥に挟撃され滅んだ。『風の谷のナウシカ』で、風の谷がある辺境の砂漠地域の名前として採られている。

ユスティニアヌス1世: 6cの東ローマ皇帝。『ローマ法大全』を編纂させた。ローマを含む旧西ローマ帝国領も部分的に回復し、東ローマ帝国の最大版図を実現した。

◆『ローマ法大全』: ユスティニアヌス1世が編纂させた、古代ローマ時代からの法律を整理した法典の総称。
後にイスラム世界に伝わり、十字軍が欧州に再輸入。そしてローマ法と共に伝わった文化からルネサンスが起こり、ローマ法を解釈するためのボローニャ大学ができ、ローマ法は欧州各国の、現代においては世界各国の法体系の基礎となった。

裴世清(はいせいせい): 隋の官人。遣隋使・小野妹子が608年に帰国する際、煬帝からの答礼使として来日し、推古天皇に親書を伝えた。

皇極天皇斉明天皇): 飛鳥時代の大王(642-45,655-61)。天智天皇(中大兄皇子)・天武天皇(大海人皇子)の母。史上2人目の女性天皇にして、初の譲位した天皇であり、初の重祚した天皇。
息子の中大兄皇子らが起こした大化の改新に伴い、弟に譲位したが、弟の死後再び即位した。

天智天皇中大兄皇子): 飛鳥時代の大王(661-72)。645.皇子として大化の改新の中心人物となる。663.白村江の戦い。667.飛鳥から近江大津宮に遷都。
百人一首第1番歌〈秋の田のかりほの庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ〉の作者。

大友皇子(弘文天皇): 飛鳥時代の皇族又は天皇。天智天皇の息子。明治になってから天智天皇と天武天皇の間の天皇として列せられたが、実際に即位したかは不明。672.壬申の乱で大海人皇子(天武天皇)に敗れ自害した。

天武天皇大海人皇子): 飛鳥時代の天皇(673-86)。天智天皇の弟。兄の死後、壬申の乱(672)で大友皇子を破って即位し、飛鳥で強力な親政を敷いた。
日本」を国号とし「天皇」を称号とした最初の天皇とされる。飛鳥浄御原令の制定、藤原京の造営、『古事記』『日本書紀』の編纂は、いずれも天武天皇が始め、死後に完成した事業。

持統天皇: 飛鳥時代の天皇(686-97)。天智天皇の娘、天武天皇の姪にして皇后。夫・天武天皇の死後に即位した。689.飛鳥浄御原令を公布。694.藤原京に遷都。
百人一首第2番歌〈春すぎて夏来にけらし白妙の 衣ほすてふ天の香具山〉の作者。

李世民太宗): 唐の第2代皇帝(626-49)。均田制や租庸調制等、律令国家体制を確立し、「貞観の治」と呼ばれる唐の全盛期を築いた。

則天武后: 中国史上唯一の女帝(690-705)。唐の皇后だったが、夫の死後、嫁・姑の対立から跡を継いだ息子を一時廃位し、自ら皇帝に即位。国号を一時的に「周」に改めた。

ソンツェン・ガンポ: 7cにチベット初の統一王朝・吐蕃(とばん)を建国した王。チベット文字を作らせた。

ヴァルダナ朝(606?-648?): 古代北インド最後の統一王朝。

ウマイヤ朝(661-750): 世襲制のカリフが統治した最初のイスラム帝国。都はダマスカス。東は中央アジア、西は北アフリカ、イベリア半島まで版図を拡大し、世界帝国化した。
一方、ウマイヤ朝カリフを否定するシーア派の出現によってイスラム世界は分裂。やがて領内でも非アラブのイスラム教徒の不満の高まり等によって衰え、アッバース家により倒された。

ムスリム商人(イスラム商人): 中世におけるムスリム(主にアラブ人)の商人を意味する歴史用語。大きな三角帆が特徴の木造船「ダウ船」を使い、大航海時代以前のインド洋海上交易において支配的な地位を占め、奴隷貿易も行った。
アフリカ東岸にスワヒリ語(現地語とアラビア語の混淆)が広まったことや、東南アジア島嶼部のイスラム化が13c頃から進んだことは、主にムスリム商人の活動の影響。

文武天皇: 飛鳥時代の天皇(697-707)。天武天皇と持統天皇の孫。当時史上最年少の数え15歳で即位したが、25歳で夭折した。701.大宝律令を公布。

元明天皇: 飛鳥・奈良時代の天皇(707-15)。天智天皇の娘、持統天皇の異母妹、文武天皇と元正天皇の母。710.平城京に遷都。712.『古事記』献呈を受ける。

蓄銭叙位令(711): 和同開珎の流通促進のため、一定の貨幣を蓄えた者に位を授けるとした法令。

稗田阿礼(ひえだのあれ): 古事記に伝わる人物。天武天皇に仕えた人物で、記憶力の良さを買われ、散逸した『帝紀』『旧辞』の内容等を語り、それを太安万侶が筆録して『古事記』を書いたという。
素性不明であり性別も分からない。「藤原不比等の変名ではないか」「稗田とは日枝(比叡山、日吉)のことではないか」等、古来から様々な憶測がある。

元正天皇: 奈良時代の天皇(715-24)。天武天皇と持統天皇の孫、元明天皇の娘、文武天皇の姉。史上初の未婚の女性天皇で、生涯独身だった。723.三世一身法を公布。

阿倍仲麻呂(安倍仲麿): 奈良時代の遣唐留学生。唐で才覚を現し高官に登ったが、日本への帰国を果たせずに唐で客死した。百人一首の〈天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも〉の作者。

聖武天皇: 奈良時代の天皇(724-49)。文武天皇と藤原氏の女性の息子で、藤原氏の血を引く初の天皇。743.墾田永年私財法を公布。
天然痘の大流行(737)で藤原四兄弟等の政府高官の多くが病死する等、災害や疫病に見舞われたため、仏教に深く帰依し、国分寺建立・東大寺盧舎那仏像造立の詔を出した。

孝謙天皇称徳天皇): 奈良時代の天皇(749-58,764-70)。聖武天皇と光明皇后の娘。古代最後の女性天皇にして、天武系統の最後の天皇。道鏡・吉備真備を重用した。

光仁天皇: 奈良時代の天皇(770-81)。天智天皇の孫。史上最高齢(満60歳)で即位した天皇。光仁天皇の即位により、皇統が天武系統から天智系統に変わっている。

タラス河畔の戦い(751): 現在のキルギスで行われた、唐とアッバース朝イスラム帝国の戦い。アッバース朝が勝利した。中国の製紙法が西方に伝わったきっかけとして知られる。

レコンキスタ: 8-15cに行われた、欧州のキリスト教国によるイベリア半島のイスラム教国に対する軍事行動の総称。「再征服」を意味するスペイン語。

カール・マルテル: メロヴィング朝フランク王国の宮宰。732.トゥール・ポワティエ間の戦いでウマイヤ朝を破り、西欧へのイスラム勢力進出をイベリア半島に留めた。

ピピンの寄進(756): フランク王ピピン3世が、ランゴバルド王国を倒して得たイタリアのラヴェンナ地方をローマ教皇に寄進したこと。これによりローマ教皇領が成立した。

桓武天皇: 奈良・平安時代の天皇(781-806)。光仁天皇の息子。784.平城京から長岡京に遷都。794.長岡京から平安京に遷都。東北地方へ蝦夷征討軍を3度差し向け、平定をほぼ実現した。

長岡京(784-794): 現在の京都府向日市・長岡京市・京都市に跨って存在した都城。桓武天皇により遷都されたが、僅か10年で再遷都された。

勘解由使(かげゆし): 平安時代初期に桓武天皇が設置した官職。国司等の官吏が交代する際に引き継ぎ資料を審査し、不正がないかを監査した。

醍醐天皇: 平安時代の天皇(897-930)。その治世は「延喜の治」として、天暦の治と共に天皇親政の理想とされた。

村上天皇: 平安時代の天皇(946-967)。その治世は「天暦の治」として、延喜の治と共に天皇親政の理想とされた。

五代十国時代(907-960): 中国史で、唐の滅亡から宋の成立までの、様々な王朝や国が興亡した時代。

趙匡胤: 宋の初代皇帝。元々は武人だが文治主義を採り、中世において珍しくシビリアンコントロールを実現させた。

オットー1世: 東フランク王、神聖ローマ皇帝(962-73)。マジャール人を破ったことでキリスト教世界で信望を集め皇帝となり、約40年ぶりに神聖ローマ帝位が復活した。

北面の武士: 白河上皇が創設した、院の御所で上皇の警護を担当した武士集団。西行や源義朝を輩出した。

西夏: 11-13cの中国西北部にあったタングート(チベット系民族)の王朝。モンゴル帝国に滅ぼされた。漢字に似ているが異様に線が多く見える西夏文字を使った。

ムラービト朝(1056-1147): ベルベル人のイスラム王朝。都はマラケシュ(現在のモロッコ)等。南はガーナ王国を征服し、北はイベリア半島でレコンキスタ勢力(アラゴン王国、カスティーリャ王国)と戦った。

藤原秀衡: 奥州藤原氏の第3代当主。平治の乱後、鞍馬山から逃げ延びた源義経を匿い育てた。1187.源頼朝に追われた義経を再び平泉に匿ったまま死去。

治承・寿永の乱源平合戦)(1180-85): 平安時代末の、以仁王の挙兵から壇ノ浦の戦いまでの、平清盛らの政権に対する一連の反乱。日本初の全国的かつ長期にわたる内乱。
平家に権益を奪われていた旧勢力(皇族、貴族、寺社)と源頼朝ら東国の武士団が連合し、平家を打倒した。『平家物語』をはじめ、多くの作品の題材となっている。
運動会やNHK紅白歌合戦等の「紅白戦」は、平家が赤、源氏が白の旗を掲げて戦ったことに由来する。

富士川の戦い(1180): 源平合戦の1つで、現在の静岡県富士市で起きた戦い。平家軍が一斉に飛び立った水鳥の羽音に驚き、戦わずして退却した逸話が残る。

倶利伽羅峠の戦い(1183): 源平合戦の1つで、越中・加賀国境の倶利伽羅峠で起きた戦い。源義仲軍が平家を破り、京へ進軍を果たす画期となった。

一ノ谷の戦い(1184): 源平合戦の1つで、現在の神戸市で起きた戦い。源義経の「鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし」や、平敦盛の討ち取りの逸話が残る。

徽宗(きそう): 北宋の皇帝(1100-26)。書画の才に優れ、北宋最高の芸術家の1人とされる。一方、政治的には無能で、人民を悪政で苦しめ、『水滸伝』のモデルになった宋江の乱など地方反乱が頻発し、北宋の滅亡を招いた。

南宋(1127-1276): 北宋の滅亡後、華南で再建された王朝。都は臨安(現・杭州)。江南地域の生産力を発展させ、朱子学(宋学)を生み出した。

インノケンティウス3世: 12-13cのローマ教皇。教皇権の全盛期、〈教皇は太陽、皇帝は月〉と言って憚らず、教会に従わない者は誰でも(皇帝でも)破門した。
各国に内政干渉し、イングランドでは、国王は神と教会以外との約束には縛られないのだと言って、マグナ・カルタの破棄を命じた。創生期のパリ大学で神学を、ボローニャ大学で法学を学んだエリートでもある。

順徳天皇(順徳院): 鎌倉時代の天皇(1210-21)。討幕を志し、父の後鳥羽院と共に承久の乱(1221)を起こして失敗。佐渡へ配流となり佐渡で余生を過ごした。
百人一首第100番歌〈ももしきや古き軒端のしのぶにも なほ余りある昔なりけり〉の作者。かつての王朝・貴族文化の黄金時代を偲ぶ、百人一首の最後に相応しい歌である。

徳政令: 中世の日本で、債券・債務の帳消し、売買や質入れされた土地の返還等を命じた法令。北条貞時による永仁の徳政令(1297)が最初。

オゴデイオゴタイ・ハン): モンゴル帝国第2代皇帝(1229-41)。ワールシュタットの戦い等に勝利し、帝国の最大版図を実現させた。

ザナドゥ(キサナドゥ): フビライ・ハンがモンゴル高原に設けた夏の都の名前。Xで始まる幻想的な名称として、様々な作品で引用されている。

イル・ハン国: モンゴル帝国を構成した地方政権の1つ。都は現在のイランにあった。建国者はチンギス・ハンの孫。

デリー・スルタン朝(1206-1526): 北インドにおいて、デリーを拠点にイスラム教を奉じた5つの王朝の総称。
後のムガル帝国と同じく、アフガン系又はトルコ系の征服王朝で、少数派であるイスラム教徒の支配者層が、多数派であるヒンドゥー教徒の民衆を統治した。

マムルーク朝(1250-1517): アイユーブ朝の奴隷出身軍人らを中心に創始されたイスラム王朝。カイロを都とし、最盛期にはエジプト・シリア一帯を支配した。
実質的な建国者の1人で王位にも就いたバイバルスは、十字軍と21回、モンゴル軍/イル・ハン軍と9回戦い、キリスト教勢力を中東から追い出した英雄として知られる。1517.オスマン帝国に滅ぼされた。

ナスル朝(1232-1492): 現在のスペイン最南部を統治した、イベリア半島最後のイスラム王朝。グラナダ王国とも。決して大国ではなかったが、巧みな外交で独立を維持し、アルハンブラ宮殿等の文化遺産を後世に残した。

綸旨(りんじ): 天皇の意を受けて蔵人が作成する命令文書。後醍醐天皇が土地の所有権を認めるため大量に発行したことで知られるが、二条河原の落書に〈此頃都ニハヤル物 夜討 強盗 謀(にせ)綸旨…〉とあるように綸旨の偽造も横行した。

室町時代(1336-1573): 日本の時代区分で、中世のうち室町幕府が存在した期間。
サブ区分として、1392年の南北朝合体までを南北朝時代、1467年の応仁の乱以降を戦国時代ともいう。戦国時代においては幕府の統治力が非常に弱く、室町時代と呼ばない場合もある。
農民一揆や商人の勃興等、庶民の力が強まり、書院造、能・狂言、茶道、生け花、水墨画等、日本文化と呼ばれるものの多くが生まれた時代である。

ばさら: 日本の南北朝時代に流行した、華美で贅沢な装いや、既存の秩序を無視した行動の文化のこと。

観応の擾乱(かんのうのじょうらん)(1350-52): 南北朝時代の全国的な内乱。将軍・足利尊氏や高師直の派閥と、尊氏の弟の足利直義の派閥が争った。

洪武帝朱元璋): 明の初代皇帝。紅巾の乱に乗じて中国各地の軍閥を統一し、明を建国して元を滅ぼした。

ティムール朝(1370-1507): 中央・西アジアを広く支配した王朝。主な首都は「青の都」サマルカンド(現在のウズベキスタン)。

ティムール: モンゴル帝国の継承国の1つ、チャガタイ・ハン国生まれの軍事指導者。ティムール朝を興した。征服した各都市で大規模な破壊と虐殺を行う一方、サマルカンドを王都として発展させた。

イブン・バットゥータ: 14cのモロッコの探検家。世界中を巡り、旅行記『三大陸周遊記』を著した。

マンサ・ムーサ: 14cのマリ帝国の王。人類史上最大の総資産を保有した人物と目される。メッカ巡礼の際には莫大な量の金をばら撒き、カイロの金相場を暴落させたという逸話がある。

百年戦争(1337-1453): フランスやその周辺地域の諸侯が、フランス王家とイングランド王家の派閥に分かれ争った戦争。
複数の領土問題(フランスの有力諸侯でありながらイングランドと同盟したフランドル地方の利権問題、イングランド王家の領地だった現在のフランス西部の問題)や、フランス王家の王位継承問題を巡って起きた。
百年以上もの戦いの末、ジャンヌ・ダルクらの活躍でフランス王家が勝利し、ヴァロワ朝がフランス地域を統一した。

ワット・タイラーの乱(1381): イングランドで起きた農民一揆。百年戦争等を原因とする増税が背景にあった。理論的指導者ジョン・ボールが書いた〈アダムが耕しイヴが紡いでいた時、誰が領主だったか〉という歌が流行した。

1453年: オスマン帝国がコンスタンティノープルを陥落させ、東ローマ(ビザンツ)帝国が滅亡。フランスがボルドーをイングランドから奪還し、百年戦争が終結。語呂合わせ〈一夜(ひとよ)でゴミに、ビザンツ帝国〉。

1492年: スペインがナスル朝を滅ぼす(レコンキスタの完了)。コロンブスのアメリカ大陸「発見」(コロンブス交換、コンキスタドールの始まり)。語呂合わせ〈イヨ~!! が見える〉。
中世(イスラム優位の時代)から近世・近代(欧州の世界支配の時代)への世界史の転換を象徴する年といえる。

世宗(セジョン/せいそう): 15cの李氏朝鮮の国王。ハングルの基礎を作ったという。

永楽帝: 明の皇帝(1402-1424)。鄭和を大航海に派遣するなど、朝貢国を増やすために積極的な外征を行い、世界帝国を目指した。

鄭和: 永楽帝に仕えた宦官。大航海の指揮を7度委ねられ、東南アジア、インド、アラビア海、アフリカへ渡って朝貢国の拡大を図った。
各回とも2万数千人の乗組員をもつ大艦隊を率い、既に約100年後(大航海時代)のスペインやポルトガルの探検家より大規模な航海を行っていた。

メフメト2世: 15cのオスマン帝国皇帝。コンスタンティノープルを攻略してビザンツ帝国を滅ぼし、オスマン帝国の版図を大幅に広げた。

ルネサンス: 14-16cにイタリアを中心とする西欧で展開された、古代ギリシア・古代ローマの文化を範とする文化復興の活動。

メディチ家: フィレンツェの銀行家・政治家一族。強大な富を背景にフィレンツェ共和国を実質的に統治し、16-18cにおいてはトスカーナ大公国の大公家となった。
学問や芸術を好み、フィレンツェ共和国時代の1500年前後には、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロらのパトロンとしてルネサンス美術の最盛期を支えた。

ジル・ド・レ: 15c前半のフランスの貴族、軍人、殺人鬼。百年戦争でジャンヌ・ダルクに協力し勝利をもたらした一方、錬金術成功のためと称して多くの少年を虐殺した。童話に登場する殺人鬼「青ひげ」のモデルとされる。

薔薇戦争(1455-85): 百年戦争終結後のイングランドにおける、ヨーク家とランカスター家の権力争いによる内乱。ランカスター家が赤薔薇、ヨーク家が白薔薇をバッジ(記章)としたことから。

テューダー朝(1485-1605): イングランドの王朝。薔薇戦争の結果、ランカスター家がヨーク家と和解して成立。両家の赤薔薇・白薔薇を組み合わせた紋章で知られる。

コロンブスのアメリカ大陸発見(1492): コロンブスが帆船サンタ・マリア号で大西洋を横断し、米大陸の周辺島嶼であるサン・サルバドル島(現在のバハマ)に到達したこと。
米大陸の先住民から見れば「発見」という言葉はおかしいが、スペインをはじめとする欧州諸国にとっては新世界の「発見」だった。
コロンブス交換を引き起こし、大航海時代を加速させ、欧州列強諸国と西洋文明が米大陸を支配し、ひいては20c前半に至るまで世界の大部分を支配するきっかけとなった、世界史のターニングポイントである。

慶長(1596-1615): 日本の元号。桃山・江戸時代を跨いでいる。

御伽衆: 戦国大名や将軍の側近に仕え、雑談に応じたり、書物の講釈をした人々。読み書きが苦手だった豊臣秀吉は何百人もの御伽衆を抱え、曽呂利新左衛門は落語家の始祖とされる。

足利学校: 現在の栃木県足利市にあった儒学校。中世後期には全国的に名を馳せ、出身者は各地の戦国武将に仕えた。
教員や学生は僧籍に入り仏教にも帰依したが、学校では寺で学ぶ仏典とは異なる、易学(儒教の経書「易経」に基づく哲学・占い学)、兵学、医学等を扱った。

徳川家康(松平家康): 戦国三英傑の1人、江戸幕府初代将軍(1603-1605)。
元は三河の大名で、隣国・尾張の織田信長との同盟を軸に勢力を拡大。信長の死後(1582-)は豊臣秀吉と対立するが後に臣従し、秀吉の天下統一を助ける。秀吉の死後(1598-)は、関ヶ原の戦いを経て新たな天下人となり、江戸幕府を開いた。
幼名は竹千代。元服後、今川義元の偏諱を受けて松平元信、次いで元康と名乗り、今川氏からの決別後に「元」の字を捨てて家康と名乗った。1567年には源氏の系統を称して徳川氏に改姓した。
名言〈人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。 不自由を常と思えば不足なし〉。

本多重次(本多作左衛門): 徳川家康の家臣。怒りっぽい性格から「鬼作左(おにさくざ)」と呼ばれた。長篠の戦い(1575)の陣中から妻に書いた手紙〈一筆申す 火の用心 お仙痩さすな 馬肥やせ かしく〉は有名。

松永久秀: 戦国大名。出自不詳。三好長慶の右筆・三好政権の中心人物として活躍し、大和一国を任されるまでに出世した。織田信長・足利義昭の上洛(1568)後は彼らの与力となるが、何度も関係が悪化した。
1577.足利義昭・毛利輝元・上杉謙信・石山本願寺らの反信長勢力と呼応し信長と敵対。織田信忠・筒井順慶の10万の軍勢に信貴山城(しぎさんじょう)(現奈良県平群町)を囲まれ、自ら天守に火を放って果てた。
最期については、織田側に〈渡せば命を助ける〉と言われたほどの茶釜の名器「平蜘蛛」に火薬を詰め、爆死したという逸話がある。

石山合戦(1570-80): 浄土真宗・石山本願寺(現在の大阪市、当時の法主は顕如)率いる勢力と、織田信長との戦い。

佐和山城: 現在の滋賀県彦根市にあった中世の山城。織豊政権が畿内と東国を結ぶ要衝として重視した。1571.信長の重臣・丹羽長秀が入城。安土城至近にあって北近江・若狭の統治拠点となった。
1591.秀吉の重臣・石田三成が入城。三成は大天守を築き、「三成に過ぎたるものが二つあり 島の左近と佐和山の城」と言わしめた。1601.家康の重臣・井伊直政が入城。1606.彦根城完成に伴い廃城。

長宗我部元親: 戦国大名。土佐国・岡豊城(おこう-)(現在の南国市)を拠点に半農半兵の「一領具足」を組織し、1560-80年代にかけて一代で土佐一国、次いで四国全土をほぼ統一した。
1585.羽柴秀吉の侵攻を受けて降伏・臣従し、土佐一国のみを安堵される。死後、子の盛親は関ヶ原の戦い(1600)で西軍に与して改易され、嫡流は断絶した。

龍造寺隆信: 戦国大名。「肥前の熊」。少弐氏を下剋上で倒し、九州で島津氏・大友氏と並ぶ勢力を築いた。1584.沖田畷(おきたなわて)の戦いで有馬・島津の連合軍に敗れ討死した。

石田三成: 戦国武将。近江の地侍出身。羽柴秀吉が近江長浜城主だった頃からの家臣で、やがて天下を取る豊臣政権で五奉行の1人となった。1591.近江佐和山城主(19万石)となる。
秀吉の死後、関ヶ原の戦い(1600)で西軍を実質的に主導したが、敗れて京都六条河原で処刑された。旗印に「大一大万大吉」の文字を使った。

バテレン追放令(1587): 豊臣秀吉が平定後の九州で発令した、キリスト教宣教師の追放令。九州の一部で、住民の強制的なキリスト教への改宗や寺社の破壊、キリスト教徒が関わる奴隷貿易等が行われていたことが理由。
「バテレン」は神父を意味するポルトガル語「padre」(英語のfatherと同根)から。

佐竹義宣: 戦国・江戸時代の大名。久保田藩祖(秋田藩祖)。10代で家督を継いで間もなく、小田原征伐(1590)に参陣し豊臣秀吉の信頼を得て、地元の常陸一国を任される大大名となった。
秀吉の後ろ盾により、現在の常陸太田市から水戸城へ居城を移した。石田三成と親交が深く、他の東国大名と行動を共にせず会津征伐(1600)に参加しなかったため、1602年に徳川家康により秋田に転封され、久保田城を築いた。
秋田移封は減封だったが、秋田で積極的に開墾を進めたため、久保田藩の実高はやがて水戸藩を上回っている。

古田織部: 戦国・江戸時代の武将、茶人。利休七哲の1人。信長・秀吉・家康に仕え、晩年は徳川秀忠の茶の湯指南役となった。
利休の〈人と違うことをせよ〉の教え通り、利休の静謐さとは対照的な、動的な「破調の美」の道具組を行い、茶道・織部流の祖となった。漫画『へうげもの』で主人公として取り上げられている。

塚原卜伝: 戦国時代の剣士。鹿島神宮の神官の一族に生まれた。戦わずして勝つ「無手勝流(むてかつりゅう)」の逸話が残る。

ラプ=ラプ: 16cのフィリピン・マクタン島で活動したイスラム教徒の部族長。世界一周航海中に島に来航し、キリスト教への改宗や服従を要求したマゼランを破り、討ち取った。フィリピンでは民族の誇りを守った英雄とされている。

サファヴィー朝: 16-18cのペルシアのシーア派王朝。首都のイスファハーンは「世界の半分」と呼ばれるほどの繁栄を謳歌した。

スレイマン1世: オスマン帝国最盛期の皇帝(1520-66)。西は神聖ローマ帝国、東はペルシアと戦い領土を拡張した。ウクライナ出身の奴隷女性ロクセラーナに恋して結婚し、当時のイスラム世界では珍しく一夫一妻を貫いた。

グレゴリウス13世: ローマ教皇(1572-85)。1582.グレゴリオ暦を採用。1585.天正遣欧使節が謁見。

トスカーナ大公国: 16-19cに、現在のイタリア・トスカーナ州にあった国家。ルネサンスの中心地だった都市国家・フィレンツェ共和国がピサ共和国等を吸収し、成立した。
18cまでメディチ家が大公を世襲したが、後継者が無く断絶してからは、神聖ローマ皇帝の家柄であるハプスブルク家の人物を大公に迎えた。1860.イタリア統一の世論の中、国民投票でサルデーニャ王国への合流を決める。

サン・バルテルミーの虐殺(1572): ユグノー戦争下のパリで起きた事件。王族の婚姻を祝うため集まったユグノーをカトリック教徒が急襲し、殺戮した。パリ市内や地方にも波及し、数万人のユグノーが犠牲となった。

ブルボン朝(1589-1792,1814-30): アンリ4世に始まるフランスの王朝。アンリ4世の母はメディチ家出身で、メディチ家の財力を受け継いだ。現在のスペイン王室(スペイン・ブルボン朝)は分家。

アンリ4世: ブルボン朝初代のフランス王(1589-1610)。ナントの勅令で信仰の自由を認め、フランスで40年続いたカトリックとユグノーの内戦を終わらせた。
フランス王位継承権を持つブルボン家に生まれたものの、母らの影響でユグノー勢力の盟主となり、国内主流派と対立。サン・バルテルミーの虐殺から逃れるためやむなくカトリックに改宗し、後にフランス王位を継承した。
ナントの勅令により内戦を終結させた後も国内融和に努めたが、最期は狂信的なカトリック信者によって暗殺された。

コンキスタドール: 「征服者」を意味するスペイン語。世界史では、大航海時代におけるスペイン人の米大陸侵略者・征服者を指す。コルテス、ピサロが特に有名。
彼らは金銀を求めて米大陸を探索し、疫病や軍事行動によって先住民の文明を破壊し、黄金を略奪した。スペイン王朝からの援助は少なく、多くの場合、コンキスタドールの部隊はスペインの正規軍でない私兵部隊だった。

フランシス・ドレーク: 16cのイングランドの海賊。イングランド人として初の世界一周を達成し、ドレーク海峡に名を残している。

17世紀の危機: 欧州史における17cの混乱をまとめた言葉。14cと同じく小氷期で欧州の気候が寒冷化し、ペストが流行して飢饉が起こり、三十年戦争や英蘭戦争等の戦乱も相俟って人口が激減した。
生産量はさほど拡大しなかった一方、米大陸から膨大な銀が流入し(価格革命)、インフレで生活費は急騰し、困窮者や暴動が増えた時代でもあった。スペイン・ポルトガルは前世紀に比べて凋落し、オランダ・イングランド・フランスが台頭した。

重商主義: 自国の輸出産業を保護・育成し、貿易差額で資本を蓄積して国富を増やそうとする政策のこと。17cのクロムウェル(イングランド)やコルベール(フランス)の政策を表す用語として、歴史的文脈で使うことが多い。

江戸時代(1603-1867): 日本の時代区分で、近世のうち江戸幕府が存在した期間。大坂の陣(1614-15)や島原の乱(1637-38)以降、幕末まで200年以上に渡って大きな戦乱が無かった稀な時代。
多くの期間は鎖国政策が採られたが、長期安定政権のもとで国内経済や教育が発展し、後に続く明治期の日本の急成長の土台となった。

岡っ引(おかっぴき)(目明し、御用聞き、手先): 江戸時代に、町奉行所や火付盗賊改方等の警察機能の末端を担った、非公認の(私的に雇われた)協力者のこと。公式に雇われた同心とは区別された。
元々、自らも何らかの罪によって元々の共同体から追放され、無宿者(落伍者・犯罪者)のコミュニティに通じている者が多かったという。

相対済令(あいたいすまし-): 江戸時代を通じて数回出された、幕府として私人同士の金銭トラブルの訴訟の受理をやめ、当事者間の示談で解決するよう命じた法令。

江戸時代の貨幣: 金貨、銀貨、銭貨(銅貨)の3種類があった。単位は、金貨は小判1枚を1両とし「1両=4分=16朱」。銀貨は重さで計り「1匁≒3.75g」。 銭貨は小銭1枚を1文とし「1貫文=1000文」。
1両の価値は、江戸時代初期には今でいう約10万円、中期には約5万円、末期には約1万円とされる。

江戸時代の商家: 江戸時代には商業が発展し、大都市化が進んだ江戸や大坂では、大名を凌ぐような財力をもつ豪商も多く生まれた。当時の他の職業と同じく、商家も主人は男性による世襲が基本だった。
商家の奉公人は10歳前後に丁稚(でっち)として住み込みを始め、元服後の20歳前後に手代(てだい)となり、30歳前後に役職(トップは番頭)が付いて初めて住み込みから解放され、所帯をもつことが許される場合が多かった。

下り物(くだりもの): 江戸時代に、上方から江戸に運ばれた商品の総称。「下り酒」「下り米」等。

地廻り物(じまわりもの): 江戸時代に、関東一円で生産され、江戸に運ばれた商品の総称。江戸時代中期になると関東の生産力・技術力が向上し、様々な分野で下り物に負けない品質の地廻り品が作られるようになり、「江戸地廻り経済」が発展した。

菱垣廻船(ひがき-): 江戸時代に、江戸・上方間の輸送を担った大型貨物船の一種。次第に樽廻船に押され消えていった。

樽廻船: 江戸時代~明治期に、江戸・上方間の輸送を担った大型貨物船の一種。元々は灘の酒を江戸に運ぶために作られ、積み込みの合理化を図り、輸送時間の短縮を実現した。

北前船(きたまえぶね): 江戸時代~明治期の日本海海運で商品輸送を担った船の総称。
商品を預かって運ぶのではなく、船主が各港で商品を仕入れ売買主となる「買積み」を主とし、蝦夷地で米や塩や日用品を売ったり、大坂等の大消費地で鰊・昆布・干しナマコ等の海産物を売ったりした。

四文屋(しもんや): 江戸時代、四文均一で軽食等を売った屋台。4文は今でいう100円に近いイメージ。

宮本武蔵: 江戸時代初期の剣士。両手に刀をもつ二刀流で有名。吉川英治の小説『宮本武蔵』(1935-39)や、同作を漫画化した『バガボンド』('98-)、ドラマ化した『武蔵 MUSASHI』等、様々な作品で描かれる。
地・水・火・風・空の5巻から成る、剣術の奥義をまとめた兵法書『五輪書(ごりんのしょ)』を残した。
勝つためには手段を選ばず、しばしば故意の遅刻や挑発で決闘相手の苛立ちを誘った。京都の吉岡一門との戦いでは、清十郎・伝七郎の兄弟どちらとの決闘にも遅刻して勝利。これに激怒した門弟100人との戦いでは木陰で待ち伏せし、門弟が揃ったと見るやまだ少年だった清十郎の息子を斬り捨て、さっさと逃走したという。

マテオ・リッチ: イエズス会の司祭。17c初頭の明でキリスト教や西洋の事物を広め、西洋にも中国文化を好意的に紹介した。

東林党(東林派、東林学派): 17c前半の明末の時代に、江南の私学校・東林書院で学んだ人々が形成した、政治上・儒学上の派閥。政府や陽明学を批判し、しばしば政争となり、政権を握ることもあった。
彼らは社会の現実的な要求に応えることを主目的とし、合理的な農業経営に取り組み、キリスト教宣教師と交流して西洋の自然科学の知識の摂取にも努めた。

ホンタイジ: 清の第2代皇帝(1626-43)。国号を「後金」から「清」に改めた。

鄭成功国姓爺(こくせんや)): 17c後半に、明朝復興運動で清と戦い、台湾に政権を建てた人物。父は福建出身の海賊、母は日本人。父が日本の平戸に滞在した時に生まれ、7歳で福建に移住した。
父の影響で明朝復興運動に参加し、華南で清と戦う「南明」の皇帝から、明王朝の姓である「朱」姓を賜るほど信頼を得た(このため国姓爺と呼ばれる)。なお、成功は日本(徳川家光)にも何度か援軍を要請したが拒否されている。
南京攻略に失敗すると、勢力を建て直すため台湾に渡航。1662.オランダの支配勢力を追放。台湾初の漢民族の政権・鄭氏政権を確立した。政権は成功の死後も維持され、1683年に清に征服されるまで続いた。
台湾では清と戦い、オランダを討ち払った民族的英雄とされ、孫文・蔣介石と並ぶ「3人の国神」の1人とされる。日本でもよく知られ、近松門左衛門の人形浄瑠璃『国姓爺合戦』(1715)等で取り上げられた。

康熙帝: 清の皇帝(1661-1722)。台湾の鄭氏政権を滅ぼし(これにより中国の統一王朝として史上初めて台湾を領土とした)、ダライ・ラマを通してチベットを平定し、モンゴルのジュンガル部族を制圧して、領土を大幅に拡げた。

三十年戦争(1618-1648): 神聖ローマ帝国を主な舞台とする、一連の宗教的・政治的な諸戦争。ドイツ地域の人口の2割が失われる破滅的な戦争となった。
背景にあったのは、カトリックとプロテスタントの対立、オーストリア・スペインのハプスブルク家とフランスのブルボン家の対立である(フランス・ブルボン家は宗教的にはカトリックだが、プロテスタント諸国と同盟した)。
戦争の結果、プロテスタント勢力やフランスの力が増した。オランダやスイスは明確に独立し、神聖ローマ皇帝は名目的存在となってドイツ諸侯の独立性が強まり、ハプスブルク家は大打撃を受けた。

ウェストファリア条約ヴェストファーレン条約)(1648): 三十年戦争の講和条約。近代国家・近代国際法の時代の幕を開けた条約とされる。ドイツ諸侯の主権を認める内容が盛り込まれたことから「神聖ローマ帝国の死亡証明書」とも。

軽騎兵(ユサール): 主に近世~近代の欧州における騎兵の1種。装備を少なく軽量化し、足の速さを活かした後方撹乱や奇襲を得意とした。

フサリア: 軍用馬産出の最先端国だった、近世ポーランド王国の騎兵隊。軽騎兵(ユサール)を由来とするが、華やかな装飾の金属製甲冑の上に毛皮を着こみ、長槍等で武装した独特な重騎兵隊に発展した。
16-17cの欧州で無敗の騎兵隊として名を轟かせた。銃撃・砲撃を受けても損害は少なく、幾度となく圧倒的少数で大軍を打ち負かした。
第2次ウィーン包囲(1683)では欧州連合軍の中心となり、3000騎でオスマン軍15万に対して中央突破を敢行、1時間で本陣まで突っ込みオスマン全軍を散り散りに敗走させた。

ルイ14世太陽王): フランス王(1643-1715)。ブルボン朝の3代目で最盛期を築いた。〈朕は国家なり〉と豪語した絶対君主。ヴェルサイユ宮殿の造営者。
対外的にはオランダや英国との戦争を推し進めた。又、ナントの勅令を廃止してプロテスタントを迫害し、商工業の担い手だったプロテスタント教徒達を他国に亡命させたことで、18cのフランスの国力衰退を招いた面もある。
4歳から76歳で亡くなるまで王位にあり、「中世以後で最長の在位期間をもつ国家元首」としてギネス認定されている。

清教徒革命ピューリタン革命)(1642-49): イングランド・スコットランド・アイルランドで起きた内戦・革命。カルヴァン派教徒を中心とする革命派がチャールズ1世を処刑し、王政は1660年まで廃止された。

オリバー・クロムウェル: イングランドの政治家、軍人、清教徒革命の指導者。1653.イングランド・スコットランド・アイルランドの国家元首である初代護国卿に就任し、独裁政治を行った。
対外的にはオランダ、スペインとの戦争に勝ち、イングランドの海上覇権の基礎を築いた。

名誉革命(1688-89): イングランドの革命。内戦が拡大した清教徒革命とは異なり、革命派がほぼ無血で王位を交代させた。
この結果、王権を制限する「権利の章典」が発布されて英国議会政治の基礎が完成。又、英国におけるカトリックの復権の可能性が潰され、イングランド国教会の国教化が確定した。

ヴァージニア植民地: 1607年に現在の米国・ヴァージニア州に建設された、イングランドの北米における最初の植民地。設立年、議会発足年いずれも、13植民地で最初である。
黒人奴隷制によるタバコ・プランテーションが発展し、その農場主出身のワシントンやジェファーソンは18c後半の米国独立運動で中心を担った。
本来「米国の故郷」としてもっと脚光を浴びて良いはずだが、南北戦争で負けた南部の中心に当たるためか、2番目に建設されたプリマス植民地(マサチューセッツ植民地)にその座を奪われた感が否めない。

宝永大噴火(1707): 宝永地震の7週間後に、富士山の東南斜面で起きた噴火。現時点で最後の富士山の噴火で、記録が残る10回の中でも、平安時代の「延暦の大噴火」「貞観の大噴火」と共に三大噴火に数える。
大量の火山灰を発生させ、近隣の集落は埋没し、関東一円で何年にも渡って農業や治水に影響をもたらした。

宝暦事件(1758): 江戸幕府を後ろ盾とする当時の摂関家が、桃園天皇の周囲で影響力を強めていた尊皇思想家・竹内式部(たけのうちしきぶ)やその門弟の公卿らを排斥した事件。
最初の尊皇論者弾圧事件とされる。竹内のバックボーンは垂加神道であり、公然と仏教排除を唱えたところに特徴があった。門弟には倒幕を志向する者もいた。

上杉鷹山(ようざん)(上杉治憲(はるのり)): 江戸時代中期の米沢藩主。財政再建、非常食の普及、公娼制度の廃止、藩校・興譲館の再興などで知られる名君。名言(短歌)〈為せば成る為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり〉。

徳川家斉: 江戸幕府第11代将軍(1787-1837)。吉宗の曽孫で、一橋家から将軍家に養子入りした。少なくとも16人の妻妾をもち、53人の子を儲けた(正確に分かっている子の数の記録としては日本史上最多)。
在職50年は、江戸幕府に限らず歴代の征夷大将軍の中で最長。初期は寛政の改革の時期で、中期~後期は化政文化の絶頂期にあたる。
政治を幕閣に任せ、大奥に入り浸ったため「俗物将軍」と呼ばれた。また、精力増強のためオットセイの陰茎を粉末にしたものを飲んでいたので「オットセイ将軍」とも呼ばれた。

島原大変肥後迷惑(1792): 雲仙岳の火山性地震と眉山の山体崩壊、肥後等を襲った津波。日本史上最大規模の火山災害となった。

乾隆帝: 清の皇帝(1735-95)。「十全武功」と自称した10回の対外遠征で清朝の最大版図を実現。古代以来の漢籍を集めた叢書『四庫全書』を編纂させた功績でも知られる。

コンバウン朝(1752-1885): ビルマの王朝。ビルマを統一し、タイに進出してアユタヤ朝を滅ぼすなど有力だった。西隣のベンガル地方を植民地化した英国と衝突し、敗れてビルマも英国の植民地となった。

チューリップ時代(1718-30): オスマン帝国の時代区分。戦乱が無く、チューリップの栽培・観賞の文化が西欧からの「逆輸入」の形で最盛期を迎えた。

ピョートル1世(ピョートル大帝): ロシア皇帝(1682-1725)。北方戦争(1700-21)でスウェーデンからバルト海の覇権を奪い、ロシアを欧州列強の一角に押し上げた。

スペイン継承戦争(1701-13): フランス・ルイ14世が孫フェリペをスペイン王の継承者としたことを巡って起こった、フランス・スペイン連合軍と英国・オーストリア・プロイセン・オランダ等の連合軍との戦争。
フェリペのスペイン王位(フェリペ5世)は認められ、今日まで続くスペイン・ブルボン朝が発足したが、大局的に見れば英国が領土を拡張し繁栄の足場を築いた。

エドワード・ティーチ黒髭): 18c初頭のカリブ海や北米東海岸を荒らした、英国出身の海賊。

南海泡沫事件(1720): 英国で起こった、投機ブームによる株価急騰と暴落、それに続く混乱。「バブル経済」の名の由来となった。
きっかけは、サウス・シー・カンパニー(南海会社。元々は中南米との奴隷貿易の会社だが、金融事業が急成長していた)の株価の高騰だった。

オーストリア継承戦争(1740-48): プロイセン・フランス等の陣営と、オーストリア・英国等の陣営が戦った戦争。戦争全体としての明確な勝敗は付かなかったが、プロイセンがシレジア地方を得て領土を拡張した。
きっかけは、前例を破って女性のマリア・テレジアにハプスブルク家の家督を継がせ、神聖ローマ帝国の共同統治者としたオーストリアに対し、プロイセン(フリードリヒ2世)が相続を認める条件としてシレジア地方の割譲を迫ったこと。
英仏は欧州内だけでなく、北米とインドの植民地・交易地でも戦闘を行った。

マリア・テレジア: 神聖ローマ帝国の共同統治者・皇后(実質的な女帝)。18c後半の啓蒙専制君主の代表格の1人。国政の表舞台に立ちながら16人の子を産んだ。
世界に先駆けた義務教育制度の確立、医療・福祉の整備、開放的で家庭的なシェーンブルン宮殿の造営などで名高い。夫に先立たれてからは一貫して喪服で過ごし、後世、英国のヴィクトリア女王などもこれに倣っている。

フリードリヒ2世: プロイセン王(1740-86)。〈君主は国家第一のしもべ〉という政治訓で知られる、18c後半の啓蒙専制君主の代表格の1人。フルートの演奏家で作曲家でもあった。

七年戦争(1756-63): プロイセン・英国等の陣営と、オーストリア・フランス・ロシア等の陣営が戦った戦争。前者が勝利した。
マリア・テレジアの外交革命により、長く対立してきたハプスブルク家(オーストリア)とブルボン家(フランス)が手を結んだため、オーストリア継承戦争から敵味方が入れ替わる形となった。
オーストリア継承戦争と同じく、英仏は欧州内だけでなく、北米とインドの植民地・交易地でも戦闘を行った。英国側が勝ったことで、フランスはカナダを割譲、インドの権益も全て英国に渡り、英国の植民地帝国化のきっかけとなった。

ポンパドゥール夫人: ルイ15世の公妾。フランス政治に強い影響力をもち、七年戦争ではオーストリアのマリア・テレジア、ロシアのエリザヴェータと通じ反プロイセン包囲網を結成した。〈大洪水よ、わが亡きあとに来たれ〉は彼女の言葉とされる。

エカテリーナ2世: ロシアの女帝(1762-96)。18c後半の啓蒙専制君主の代表格の1人。神聖ローマ帝国からロシア皇帝・ピョートル3世に嫁ぎ、ロシア語を習得しロシア正教に改宗。宮廷中の支持を得て無血クーデターを行い、夫から帝位を奪った。
ピョートル3世とは結婚当初から男女関係がなく、表向きは次々と世継ぎを産んでいたが実は誰も皇帝の実子ではないというけったいな状況だった。

ジャコモ・カサノヴァ: 18cのヴェネツィア共和国出身の社交家、知識人、作家。華やかな女性遍歴で知られ、何度も映画等の題材となっている。

産業革命: 18c後半の英国で始まり世界に波及した、エネルギー利用・製造・流通等の革命的発展、それに伴う社会構造の変化のこと。近代資本主義社会をそれ以前の社会と分ける最大の分水嶺。
綿製品製造においては、リチャード・アークライト水力紡績機(1771)、エドモンド・カートライト力織機(1785)等の発明があった。製造業の大規模化は、大工場、単純労働、そして産業資本家と賃金労働者という2つの階級を生み出した。
エネルギー利用においては、ジェームズ・ワットワット式蒸気機関(1776)等の発明があった。蒸気機関は工場の動力となっただけでなく、蒸気船蒸気機関車も生み出した。
又、ヘンリー・モーズリーのスライドレスト付き旋盤(1800)によって、互換性のあるボルトやナットも量産できるようになった。

ボストン茶会事件(ボストン・ティー・パーティー)(1773): 英国領時代のボストンで、住民が英国議会による茶葉への課税に抗議し、船から積荷の茶箱を海に大量投棄した事件。「代表なくして課税なし」のスローガンで、米国独立戦争への転機となった。
なお、TEA(茶)は、Taxed Enough Already(もう税金はたくさんだ)の頭文字でもある。10sには、保守派(反オバマ派)のポピュリスト運動として「ティーパーティー運動」が復活した。

ベンジャミン・フランクリン: 米国独立宣言の起草委員も務めた政治家。凧を使った実験で、雷が電気であることを明らかにした科学者でもある。
勤勉性、探究心、合理主義、社会活動への参加という18世紀の近代的人間像を象徴する人物。自伝は米国で広く読み継がれている。名言〈時は金なり〉。

ジョン・アダムズ: 米国の初代副大統領(1789-97)、第2代大統領(1797-1801)。息子のジョン・クインシー・アダムズは第6代大統領(1825-29)となっている。

イルミナティ: 18c後半に、バイエルンを中心とする地域で一世を風靡した政治的秘密結社。ルソーやディドロに影響を受け、自由と平等を重んじて封建制を否定した。無政府主義的な傾向からバイエルン政府により解散を余儀なくされた。
フランス革命勃発(1789)はイルミナティの解散後だが、革命に狼狽えた保守派は、革命の首謀者としてイルミナティを陰謀論的に取り上げ、そのイメージを破壊活動、神の冒涜、乱交等と結びつけた。
現代でも、「世界史の裏で暗躍し、世界征服を企むイルミナティ」というイメージで陰謀論界隈で取り上げられることが多い。

ルイ17世: ルイ16世とマリー・アントワネットの子。第一共和政時代、両親の処刑後に、王党派から名目上のフランス王と見なされたが、間もなく10歳で病没した。

ラ・ファイエット侯爵: フランス人権宣言の起草者。米国独立革命とフランス革命で活躍した「両大陸の英雄」。

ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン1世): フランスの軍人、革命家、皇帝(1804-14,15)。
コルシカ島生まれ。フランス革命勃発時(1789)は弱冠20歳で革命に無関心だったが、フランス革命への干渉を図る欧州諸国との戦いにおいて、軍事指揮官として多くの成果を上げ、国民的英雄となった。
1799.凱旋帰国し、ブリュメール18日のクーデターで軍事独裁政権を確立。混乱期のフランス政治を収拾したとも言え、多くの方面から歓迎された。1804.国会の議決と国民投票を経て皇帝となった(フランス第一帝政)。
帝位に就いてからも、欧州諸国との「ナポレオン戦争」でしばしば前線で指揮を執り、多くの勝利や婚姻政策により、最盛期には英国、ロシア帝国、オスマン帝国の領土を除く欧州の大半を勢力下に置いた。
1808.対仏大同盟との戦いで苦戦が始まる。1812.ロシア遠征に失敗、自軍に多くの犠牲を出す。1813.ライプツィヒの戦いで敗戦。1814.四面楚歌の中、復古王政のクーデターにより退位、エルバ島の小領主としてフランス本土から追放される。
1815.パリに戻り、民衆の支持を得て一時的に復権、復位。しかし英国・プロイセンの連合軍にワーテルローの戦いで完敗し、英国の軍艦に投降(百日天下)。投降後は少数の従者と共に、南大西洋のセントヘレナ島に流され、5年余り後に病没した。

ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ: ナポレオンの最初の妻、フランス皇后(1804-10)。マルティニーク出身。フランス社交界の花形で恋多き女性だった。皇后在位中に、気移りしたナポレオンにより離縁された。
人脈・人望に富み、離婚後も良き話相手としてナポレオンを親身に援助し、その仲は後妻が嫉妬するほどだった。虫歯が酷く、口を大きく開けないようにしたり、隠すように振舞ったが、逆にそのことが彼女の仕草に優雅さを与えたという。

ブリュメール18日のクーデター(1799): ナポレオンが総裁政府を倒し、統領政府を樹立したクーデター。フランス革命暦の日付による呼び名。

高田屋嘉兵衛: 江戸時代後期の蝦夷地で活動した商人。廻船業と漁場運営で巨額の財を築き、箱館(函館)の発展に貢献した。ゴローニン事件(1811-13)でロシアに連行されたが、日露交渉の間に立ち事件解決へ導いた。

モリソン号事件(1837): 日本人漂流民を乗せて来航した米国船を江戸幕府が砲撃した事件。

天保の薪水給与令(1842): 江戸幕府が定めた、日本に寄港する外国船に水や食料、燃料を補給するよう定めた法令。モリソン号事件(1837)やアヘン戦争(1840-42)を受け、異国船打払令(1825)を180度転換する形で打ち出された。

尚泰: 最後の琉球国王(1848-72)、琉球藩王(1872-79)。琉球処分(1879)により、華族として東京に居を移した。

天然理心流: 江戸時代後期に興った剣術の流派。近藤勇を4代目宗主とする道場「試衛館」の門弟や食客(土方歳三、沖田総司、井上源三郎、山南敬助、永倉新八、原田左之助、藤堂平助ら)が新撰組の中核となった。

北辰一刀流: 江戸時代後期に千葉周作が興した剣術の流派。竹刀と防具を用いた打ち込み稽古を中心に行い、現代剣道に大きな影響を与えた。道場「玄武館」は幕末には江戸最大の道場となり、坂本龍馬や山岡鉄舟も学んだ。

国定忠治(くにさだちゅうじ): 江戸時代後期の侠客、賭博師。上州・信州一帯で名を馳せ、天保の大飢饉で農民を救済した。多くの講談、浪曲、映画の題材となった。

清水次郎長(しみずのじろちょう): 幕末・明治期の侠客、賭博師。駿河・清水に縄張りを持った「海道一の大親分」。
若い頃は喧嘩や賭博に明け暮れたが、後半生は囚人を雇って富士の裾野で農業をしたり、海運会社を経営したりと社会事業に精魂を傾けた。多くの講談、浪曲、映画の題材となった。

ラダイト(ラッダイト): 1810年代の英国の工場で、労働者が「機械」を雇用機会を奪うものと見なし、破壊した運動。英国では機械破壊を死罪とする法が成立したが、襲撃者の特定は難しく、運動は拡大した。
詩人のバイロンはこの運動を擁護し、機械破壊を死罪とする法案に議会で熱弁をふるって反対した。

ロバート・オーウェン: 19c前半に活躍した英国の実業家、社会運動家、社会主義者。資本主義に対抗するものとしての協同組合の基礎を作った人物。
自ら紡績工場を経営する資本家でありながら、労働者の生活改善や労働者子弟の教育に尽くし、工場に幼稚園や共済店舗を設けた。著述を通じて労働立法の必要を説き、英国の立法にも影響を与えた。

ライプツィヒの戦い(諸国民の戦い)(1813): ナポレオン戦争における最大規模の戦い。プロイセン、オーストリア、ロシア、スウェーデンの連合軍がフランス軍を破り、ナポレオンのドイツ支配を終わらせた。

ルイ18世: フランス復古王政期の王(1814-24)。ルイ17世の死後にブルボン家を継ぎ、各国で亡命生活を送っていたが、ウィーン会議でフランス王となることが決まった。

ウィーン会議(1814-15): ナポレオン戦争後の欧州の秩序を回復させるため、オーストリア帝国・ウィーンのシェーンブルン宮殿で開かれた国際会議。当初は各国の利害が衝突して中々進展せず、〈会議は踊る、されど進まず〉と揶揄された。
最終的には議定書が締結され、これによって生まれた国際秩序をウィーン体制といい、WWIまでの100年間影響力を保った。

タレーラン: フランスの政治家。ナポレオンらの下で外務大臣を務めた。長さの単位を世界的に統一することを提案し、それがメートル法制定の契機になったという。
ウィーン会議には敗戦国フランスの代表として参加。オーストリア・プロイセン・ロシア・英国らが闇取引として元々のフランスの領土を侵害することを警戒し、フランス革命前の国際秩序に戻すこと(正統主義)を主張し認めさせた。

クレメンス・フォン・メッテルニヒ: オーストリア帝国の政治家。オーストリア外相としてウィーン会議を主宰した。
会議後にドイツ連邦が成立すると、メッテルニヒは連邦の議長国・オーストリア帝国の宰相となり、連邦諸国内の自由主義運動やナショナリズム運動を弾圧。全欧州の保守反動体制としてのウィーン体制の柱と見なされた。
メッテルニヒの作り出した検閲制度や秘密警察の活用は、後の権力者らからもモデルとされたという。

ヴィクトリア女王: 英国女王(1837-1901)。長い治世は英国(大英帝国)の最盛期とされ、世界史でヴィクトリアの時代を「パクス・ブリタニカ(英国による平和)」と表現することもある。
ちなみに、白いサテンのウエディングドレスにレースのベールという衣装は、ヴィクトリアが結婚式で着たものにあやかった文化だという。それまでは婚礼衣装に決まった色はなかった。

南京条約(1842): アヘン戦争の講和条約。これにより香港が清から英国に割譲された。

ジャガイモ飢饉: 1840年代のアイルランドにおける、ジャガイモの疫病・不作と英国政府の政策による飢饉。約150万人が餓死・病死、約100万人が北米に亡命・移住した。
当時のアイルランドは、イングランド等のように工業化せず、グレートブリテン島に穀物や肉類を出荷する農業地域となっていた。麦はほとんど島内に残らず、農民はカロリーのほとんどをジャガイモに頼る貧しい生活を送っていた。
最初の飢饉は天候不順と疫病によるものだったが、英国政府がアイルランドを軽視し、救貧や外国からの穀物輸入等の政策をなかなか行わなかったため、農民が種芋まで食べ尽くしてしまう悪循環に陥り、飢饉は何年も続いた。

諸国民の春(1848年革命): 欧州各地で自由主義・ナショナリズム勢力が同時代的に立ち上がった現象。特に、フランスでは七月王政が倒れ、第二共和政が実現しルイ=ナポレオン・ボナパルトが大統領に選ばれた(フランス二月革命)。

アンドリュー・ジャクソン: 米国大統領(1829-37)。初の民主党所属の大統領。反エリート主義で民衆の支持を受けた。軍人時代には、フロリダ制圧の過程でネイティブ・アメリカンや黒人を徹底的に弾圧・虐殺した。
ちなみに、ドナルド・トランプはジャクソンをポピュリストの大先輩として尊敬し、ホワイトハウスの執務室にジャクソンの肖像画を飾っていた。

カメハメハ1世(カメハメハ大王、ハメハメハ大王): ハワイ王国の建国者、初代国王(1810-19)。英国の援助を受けてハワイ諸島を統一し、英米との友好関係を築いた。「カ・メハメハ」は「静かで孤独な人」を意味するハワイ語。

幕末(1853-1867): 江戸時代末期のこと。黒船来航(1853)から大政奉還・王政復古(1867)までの15年間を指すことが多い。戦国・安土桃山時代と並び、日本史の中でも圧倒的に注目を浴びることが多い。
将軍は徳川家定→家茂→慶喜、天皇は孝明天皇→明治天皇、元号は嘉永(1848-54)→安政(54-60)→万延(60-61)→文久(61-64)→元治(64-65)→慶應(65-68)。

安政の改革: 1850年代半ば(嘉永~安政期)の幕府・雄藩の政治改革。将軍・徳川家定のもと、老中・阿部正弘が主導した。能力主義で勝海舟らの人材を登用した。
1857年に阿部が若くして病死すると、井伊直弼による幕政保守化・安政の大獄の時代が始まり、幕府は滅亡に向かっていく。

浜田彦蔵(ジョセフ・ヒコ): 幕末・明治期の通訳・貿易商・官僚。播磨で廻船業を営む家に生まれ、13歳の時に乗っていた江戸行きの船が難破。漂流中に米国船に救助されて渡米。1858.日本人として初めて米国籍を取得。
1859.日本に初帰国。1864.自身が英語を教えた岸田吟香らと日本初の民間新聞『海外新聞』創刊。1865.合衆国憲法をモデルにした日本初の憲法草案『国体』を幕府に提出。明治期には大蔵官僚としても活動した。

桜田門外の変(1860): 尊攘派の水戸浪士らが大老・井伊直弼を襲い、暗殺した事件。

坂下門外の変(1862): 尊攘派の水戸浪士らが老中・安藤信正を襲い、負傷させた事件。

寺田屋事件(1862): 島津久光が差し向けた刺客による、伏見の旅館・寺田屋に滞在した薩摩藩の尊攘派志士らの粛清事件。同郷の藩士同士が斬り合う凄惨な乱闘となり、9人の殉難者を出した。
ちなみに、寺田屋は坂本龍馬の定宿であり、1866年に起きた龍馬襲撃事件も寺田屋事件と呼ばれることがある。なお、龍馬が実際に殺されたのは近江屋事件(1867)。

禁門の変蛤御門の変)(1864): 八月十八日の政変で京都から追放されていた長州藩の勢力が、京都守護職・松平容保らの排除を目指して挙兵し、京都で市街戦を繰り広げた事件。長く続いた太平の世を揺るがす戦乱となった。
結果的に、一橋慶喜や会津藩・桑名藩・薩摩藩ら幕府側勢力が長州勢力を鎮圧し、長州藩は「朝敵」とされ、長州征討が行われることになっていく。

亀山社中: 神戸海軍操練所の解散(1865)に伴い、関係者が長崎の亀山を拠点に結成した、貿易仲介等を行う集団。1867.坂本龍馬が脱藩を許されて隊長となり「海援隊」と改称。日本初の近代的な商社組織となった。

太平天国の乱(1851-64): 清で起こった大規模な内乱。2000万人以上が犠牲になったという説もある。洪秀全をキリストの弟で「天王」とするキリスト教系結社・太平天国の反乱によって起きた。
アヘン戦争・アロー戦争で消耗し、増税で民心が離反していた清は何度も打ち負かされた。太平天国は南京を10年以上に渡って占拠し、都市名を「天京(てんけい)」と改め独自王朝を築いた。

西太后(せいたいこう): 1860年代~20c初頭の清で、皇帝の実母などの立場で事実上の女帝として権勢をふるった人物。立憲君主制を志向する変法運動を弾圧した。

ナロードニキ: 1860-70年代のロシアで活動した社会運動家の総称。農民の啓蒙と革命運動への組織化により帝政を打倒し、自由な農村共同体を基礎にした新社会建設を目指した。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世: サルデーニャ王、初代イタリア王(1861-78)。フランスのナポレオン3世と結んでオーストリアと戦い、イタリア統一を達成した。
Vittorio Emanuele re d'Italiaの頭文字から、国民的作曲家のジュゼッペ・ヴェルディと重ねて「VERDI」と呼ばれた。

国際労働者協会第一インターナショナル)(1864-76): 欧米の労働者・社会主義者による世界初の国際政治結社。ロンドンで結成。マルクスが創立宣言を起草した。

エイブラハム・リンカーン: 米国大統領(1861-65)。共和党所属の初の大統領。在任期間中を通して南北戦争を戦い、奴隷制を維持しようと合衆国を離脱した南部諸州連合を破って米国分裂の危機を乗り越えた。
'63.戦没者を追悼するゲティスバーグ演説で、〈人民の人民による人民のための政治〉という言葉を残した。民主主義の端的な定義として今も使われる言葉である。'65.大統領2期目に突入して間もなく暗殺された(初の暗殺された米国大統領)。
貧農出身で、元レスラーであり、193cmの身長(米国の歴代大統領で最高)と堂々たる体躯で、無敵の強さを誇った。生年月日がダーウィンと同じ(1809/2/12)。

小御所会議(こごしょ-): 王政復古の大号令の直後に三職が集まり行った会議。徳川慶喜の官位(内大臣)と幕領の大部分を返上させること(辞官・納地)を決めた。

五榜の掲示: 五箇条の御誓文の翌日に、民衆に対して示された5つの禁止令。キリスト教の禁止等、江戸幕府の統制を踏襲した面もあり、'73年まで有効とされた。

華族: 版籍奉還(1869)から日本国憲法施行('47)まで存在した日本の貴族階級。徳川将軍家・公家・大名家から官位・領地を召し上げる代わりに、世襲で限定的な特権を与えたもの。
皇族に次ぐ身分であり、公爵侯爵伯爵子爵男爵の5つの爵位があった。華族制度発足以降に、国家への勲功により新たに「新華族」となった家柄も少なくない。
戸主は厳格に男性に限られ、旧公家・大名家でも戸主が女性である間は爵位が得られなかった。
華族の性質として、第一に皇室と国家に忠誠を誓うことが求められた。世襲財産の保護や、子弟が学習院に無試験で入学できるといった特権があり、1890年の国会開設以降は、貴族院議員となることが求められた。

岩倉具視: 公家・政治家。小御所会議、鳥羽・伏見の戦いで倒幕の動きを主導し、明治新政府の首脳となった。
1871-73.外務卿として岩倉使節団を率い欧米諸国を視察。帰国後は西郷隆盛らの征韓論に強硬に反対し、これを退けた(明治六年政変)。
1880年代に入ると、伊藤博文と共に、ドイツに倣った君主大権を温存した立憲体制構築を図り、急進派の大隈重信を罷免。1883.癌で死去。記録に残る中では日本初の癌告知を受けた人物である。日本初の正式な国葬で弔われた。

西郷隆盛: 薩摩藩士、明治期の軍人・政治家。号は「南洲」。元々は下級武士だが、開明派の藩主・島津斉彬に抜擢されて頭角を現した。斉彬の死(1858)後は、島津久光と折り合わず、2度も島流しに遭っている。
しかし、禁門の変(1864)前後で復権し、藩政の中心となる。薩長同盟の成立(1866)や王政復古(1867)を主導して新政府の中心となり、戊辰戦争(1868-)でも参謀として大きな役割を果たした。
岩倉使節団派遣中(1871-73)の留守政府では、朝鮮に開国を勧める遣韓使節として自らが赴くことを提案し、帰国した盟友の大久保利通らと対立した。この結果、明治六年政変(1873)で下野。
下野後は、鹿児島の私学校で教育に専念した。1877.私学校生徒の暴動から起こった西南戦争で指導者となり、政府軍に敗れ、城山で自刃した。
身長180cm、体重100kg超と当時としては規格外の大柄で、大きな目も特徴と伝わるが、写真は残していない。有名な肖像画も、作者自身は本人と面識がなく、弟・従道の顔の上半分と、従弟・大山巌の顔の下半分を合成して描いた想像上の姿である。
豪胆で寛大な人物であり、人望が厚かった。戊辰戦争で敵として戦った庄内藩主・藩士らは西郷を慕い、死後に『南洲翁遺訓』をまとめたり、上野公園の銅像(愛犬を連れた姿で知られる)を建立する際の発起人となったりしている。
遺訓はかつて広く読まれ、1930年代の東京帝大における「崇拝する人物調査」では、ゲーテ、キリスト、東郷平八郎、釈迦、吉田松陰らを抑え、西郷がダブルスコアで1位となっている。

江藤新平: 佐賀藩士、明治期の政治家。三権分立・四民平等を推進した「日本司法制度の父」。1872-73.初代司法卿。1873.征韓論争に敗れ下野。1874.佐賀の乱を指導するも、政府軍に敗れ逮捕、処刑される。
司法卿時代に、指名手配犯の顔写真を公開する制度を作ったが、自らがその制度の被適用者第1号となってしまった。

川路利良(かわじとしよし): 薩摩藩士、明治期の官僚。警察制度確立に尽くした「日本警察の父」。鹿児島県警本部前に銅像が建っている。

ギュスターヴ・ボアソナード: フランス出身の法学者。お雇い外国人として来日し、刑法をはじめ日本の法整備に尽くした「日本近代法の父」。
東京法学校(現・法政大)等でも教壇に立ち、法政大市ヶ谷キャンパスの「ボアソナード・タワー」に名を残している。

台湾出兵(1874): 近代日本による初の海外派兵、海外軍事行動。1871年に宮古島の漂流民50人以上が台湾原住民に殺された事件への報復として行われた。
当時の台湾は清の領土だったが、清政府が当初「実効支配域外の事件」だとして責任を回避したため、日本が犯罪捜査を名目に出兵。戦死者は数十名だったが、日本軍内でマラリアが蔓延し、出征者の1割近く、500人以上が病死した。
戦後処理では、日本が撤兵する代わりに、清は台湾原住民に対し法による統治を行うことを約束し、1871年の事件に対する見舞金を支払った。
そもそも、当時の宮古島は琉球王国に属していた(1872年に琉球藩が創設されるが、その時点でも琉球は国際的には独立国と見られた)が、この戦後処理によって琉球の日本帰属も国際的に承認されることとなった。

普仏戦争(1870-71): プロイセン王国とフランス帝国の戦争。ドイツ諸国と同盟したプロイセンが圧勝したことで、ドイツは統一を達成し、フランス第二帝政は崩壊した。

パリ・コミューン(1871): フランス第三共和政の成立後まもなく、パリの社会主義勢力と多くの市民がプロイセンとの和平交渉等に反対し、政府をパリからヴェルサイユに追い出して築いた世界初の労働者自治政府。
2ヶ月余りで、3万人もの戦死者を出しながらヴェルサイユ政府軍に鎮圧され、さらに多くの参加者が虐殺されたり受刑することになったが、短期間に実行された数々の社会主義的政策は今日の世界に影響を与えている。
政教分離無償の義務教育はコミューン崩壊後の第三共和政にそのまま受け継がれた。世界に先駆けて実現した女性参政権が国家レベルで実現するのは、1893年のニュージーランドを待つことになる(フランスは日本と同じ'46年にようやく実現)。

アブデュルハミト2世: オスマン帝国皇帝(1876-1909)。数十万人のアルメニア人を虐殺した暴君。流血を好み、撃ち落とさせた生首の列を眺めることを至上の喜びとしたという。
極度の強迫観念に悩まされており、死を恐れるあまり、法外の警護で身辺を固め、大量の消毒剤と解毒剤を使って日々を暮らした。

露土戦争(1877-78): ロシア帝国とオスマン帝国の戦争。バルカン半島におけるオスマン統治下のスラヴ系諸民族の反乱をロシアが支援し、ロシアが勝利した。
戦後のベルリン会議(ビスマルクが招集)では、ロシアの支援を受けたルーマニア、ブルガリア、セルビア、モンテネグロの独立が認められ、オスマンの東欧支配は終焉した。

カラカウア: ハワイ王(1874-91)。ハワイ国内に白人結社との対立を抱え、欧米に対抗するため、日本やサモアと連携する太平洋連合構想を持っていた。
1881.世界一周旅行で最初の訪問国として日本に来訪(現職の外国元首として史上初めて来日した人物となった)。
明治天皇に直接、日本・ハワイの連邦化、皇室とハワイ王家の縁談、日本からの移民の増加等を要請。日本側は米国との対立を避けるため、連邦化や縁談は断ったが、移民推進の要請には応えた。
ハワイでは「陽気な君主」として親しまれ、キリスト教宣教師の圧力で禁止されていたフラを復活させた。晩年はアルコール依存症で米国の病院に入院し、妹のリリウオカラニに王位を譲った。

秩父事件(1884): 埼玉県秩父郡の農民が自由民権思想に触れていた自由党員らと共に、負債の延納や減税等を求め、高利貸や警察署を襲撃した事件。1万人以上が処罰されたという。

甲申事変(1884): 李氏朝鮮で、清の冊封国という立場からの自主独立を目指す金玉均らが、日本の援助を得て起こしたクーデター。一時、王宮の占拠に成功するも、清の介入により3日で失敗した。

金玉均(キム・オッキュン): 李氏朝鮮後期の開明派の政治家、思想家。1884.甲申事変を起こすも失敗、日本に亡命。1894.渡航先の上海で暗殺された。
遺体は朝鮮に渡り、死後にも関わらず死刑宣告を受け、八つ裂きにされ各地で晒された。遺髪と衣服の一部は護衛らが日本に持ち帰り、青山霊園等に墓所がある。

天津条約(1885): 甲申事変(1884)を受けて日本(伊藤博文)と清(李鴻章)が結んだ条約。朝鮮軍の訓練に日清両国が共に当たること、どちらかの国が重大な事情により朝鮮に派兵する場合は事前通知すること等を定めた。
甲申事変では朝鮮の宗主国が清であることが明確になったにも関わらず、清仏戦争が続く中、清が大幅に譲る形の条約となった。

ノルマントン号事件(1886): 英国船ノルマントン号が日本の沖合で座礁沈没したことを発端とする事件。沈没の際、欧州人乗組員数十人が全員助かった一方、日本人乗客数十人は全員船中に取り残されて溺死した。
乗客を見殺しにした疑いで船長の責任が問われたものの、領事裁判で不問となり、船長らの人種差別的行為や、領事裁判権を認める不平等条約への国民的反発が起きた。

清仏戦争(1884-85): フランスがベトナム(阮朝)の保護国化を進める中、これを認めない宗主国の清がベトナムに出兵して起きた戦争。フランスが勝ち、ベトナムはフランス領となった。

李鴻章: 清の政治家。西洋文明を採り入れる洋務運動を推進した。日本との関係では清側全権として、天津条約(1885)、下関条約(1895)を結んだ。

ヴィルヘルム2世: ドイツ帝国第3代皇帝(1888-1918)。ヴィルヘルム1世の孫。ビスマルクを引退させ親政を敷き、軍を増強し、積極的な対外政策を進めたが、WWIに敗れて帝政は瓦解。オランダに亡命して余生を送った。

グロバー・クリーブランド: 米国大統領(1885-89,93-97)。民主党所属。米国の大統領で史上唯一、連続しない2期を務めた。

OK牧場の決闘(1881): 米国・西部開拓時代の有名な銃撃戦。ワイアット・アープ率いる保安官らと、カウボーイらが戦った。後年、困窮したアープは西部劇で決闘の演技指導をするようになり、この決闘を題材として売り込んだという。

ビリー・ザ・キッド: 米国・西部開拓時代の無法者、強盗。21歳で保安官に射殺されるまでに8人を殺した。後世、弱きを助け強きをくじく義賊として、西部劇で伝説的に描かれた。

甲午農民戦争(東学の乱、東学党の乱)(1894): 朝鮮の民衆の反乱。外国貿易による物価高、それに伴う排外思想の高まり等が背景にあった。新興宗教・東学が果たした役割の大きさから「東学の乱」とも。
閔氏政権は清に出兵を要求し、清が出兵すると日本も天津条約に基づき出兵。朝鮮支配を巡って日清戦争が勃発した。

大韓帝国(1897-1910): 李氏朝鮮末期の国号。日清戦争・下関条約の結果、朝鮮が清の冊封体制から離脱したことを内外に示すため、高宗の即位に合わせ「朝鮮」から国号を改称した。

ニコライ2世: ロシア最後の皇帝(1894-1917)。皇太子だった1891年に大津事件で襲撃された。

3B政策: 19c末-20c前半のドイツ帝国が目指した、ベルリン、ビザンティウム(現イスタンブール)、バグダッドを鉄道で結ぼうとする経済圏戦略。

3C政策: 19c末-20c前半の英国が目指した、インドのカルカッタ、エジプトのカイロ、南アのケープタウンを鉄道で結ぼうとする植民地政策。推進者セシル・ローズの名から「セシルの夢」とも。

セシル・ローズ: 大英帝国の植民地政治家。南アフリカの鉱物採掘で巨富を得て、ケープ植民地首相(1890-96)となり、占領地に自らの名を冠した(ローデシア)。
アフリカ大陸を跨ぐ巨人として描かれた風刺画や、著書で豪語した〈神は世界地図がより多く英国領に塗られることを望んでおられる。できることなら私は夜空に浮かぶ星さえも併合したい〉という言葉で知られる。

リリウオカラニ: ハワイ女王(1891-93)。ハワイ王国史上唯一の女王にして、最後の王。ハワイを象徴する曲「アロハ・オエ」の作者。
白人共和派によって政治から遠ざけられたハワイ民族の支持を受け、女王に即位すると改憲案を提出する等、共和派と対立した。しかし政治的に勝利することはできず、ドールらのクーデターによりハワイ王国は滅んだ。

サンフォード・バラード・ドール: ハワイの法律家、ハワイ共和国大統領(1894-1900)、米国ハワイ準州知事(1900-03)。
ハワイ王国における裕福な米国人移民グループの中心人物であり、従弟にドール・フード・カンパニーを創業した「ハワイのパイナップル王」がいる。
元々は王家と親しかったが、白人農場主らの結社に参加すると、新憲法案をカラカウア王に認めさせ、王家や大多数のハワイ民族、アジア系移民の政治力を奪った。
カラカウアに代わってリリウオカラニ女王が即位すると対立関係となり、米国公使と米軍の支援を得てクーデターにより王政を転覆、ハワイ共和国を樹立。米国に併合を求め、最終的には成功した。

無産政党: 戦前の日本において、合法的に議会政党として存在した、あるいは合法的に存在しようとした、社会主義政党・無産階級のための政党の総称。
戦前の日本では社会主義(共産主義)を公然と掲げること自体が非合法であり、特に左派の組織は、結成後、即禁止・解散となったものも多い。

社会民主党(1901): 日本初とされる社会主義政党(無産政党)。片山潜・安部磯雄・幸徳秋水ら6名で結成。秋水以外の5名はクリスチャンだった。
「人類同胞主義」「軍備全廃」「階級制度全廃」「土地・資本の公有」「交通機関の公有」「財産の公平な分配」「参政権の平等」「教育の公費負担」の8つの理想を主張する創立宣言を多くの有力紙に載せることに成功。
しかし、治安警察法違反とされ、僅か2日で活動禁止となった。

旅順攻囲戦(1904-05): 日露戦争で、ロシアの旅順要塞を日本軍が攻略した戦い。両軍合わせて3万人以上が戦死。激戦地・二百三高地(標高203m)の名は、戦いを描いた日本の映画('80)・TVドラマ('81)のタイトルにもなっている。

乃木希典: 陸軍大将(1904-)、学習院院長(1907-12)。明治天皇の信頼が厚かった人物として知られる。1904-05.日露戦争で旅順攻囲戦を指揮し、勝利に導く。
1907.明治天皇自ら、乃木を参謀総長とする人事案を除け、特例で武官のまま学習院院長に任命(裕仁の初等科入学を見据えて教育を任せるため)。学習院は乃木院長のもと目白の現在地に移転し、全寮制を敷いた。
乃木は剣道教育を重視し、生徒に日本刀を持たせて生きた豚を切らせたこともある。裕仁には赤坂の東宮御所から目白まで、どんな天候でも徒歩で通学させた。裕仁は後に、幼少期の人格形成に最も影響した人物として乃木を挙げている。
1912.明治天皇の大喪の礼の日の夜に、妻と共に自刃し殉死。この殉死については新渡戸稲造・西田幾多郎・夏目漱石ら多くの著名人が感銘を記した(漱石は『こゝろ』(1914)で乃木の死を扱った)。
一方で、芥川龍之介、学習院OBの志賀直哉・武者小路実篤といった当時の若手文学者らは「前近代的」「人類的でない」として、極めて批判的な態度をとっている。
乃木夫妻が自刃した赤坂の邸宅は現在も史跡として残され、隣には乃木夫妻を祀る乃木神社があり、目の前の坂は乃木坂と呼ばれている。

赤旗事件(1908): 東京・錦輝館の集会で、「無政府共産」「SOCIALISM」等と書いた赤旗を掲げ、店を飛び出して革命歌を歌ったり、騒ぎを止めに入ったりした社会主義者ら十数名が逮捕され、禁錮刑となった事件。
騒ぎの中心となったのは若手の直接行動派・無政府主義派だった大杉栄荒畑寒村で、穏健派へのアピールとして取った行動だったが、予想に反して厳しい刑を受けることになってしまった。
大杉や荒畑の他、騒ぎを止めに入った堺利彦山川均らも禁錮刑となった。ただ、彼らのいずれも、この事件で獄中にいなければ、大逆事件(1910-11)で無実の罪により死刑になった可能性も高い。
同年、西園寺首相が突然辞任し、第2次桂内閣が成立した背景には、この事件を受け、社会主義者に対する厳しい引き締めが必要と判断した元老・山県有朋の奏上があった。

安重根(アン・ジュングン): 大韓帝国の独立運動家。1909.満州のハルビン駅で前韓国統監・伊藤博文を暗殺した。1910.処刑。

大逆事件(幸徳事件)(1910-11): 第2次桂政権の下、数百人の社会主義者・無政府主義者が一斉逮捕され、明治天皇暗殺計画の容疑で24名に死刑判決が出された事件。
起訴に関わった検事に平沼騏一郎がいる。公判は異例の速さで進み、幸徳秋水ら12名は判決から1週間以内に処刑された。後の研究では、秋水はじめ、多くの死刑囚は実際に暗殺計画には関わっていなかった冤罪事件とされる。
体制側の思惑通り、事件をきっかけに社会主義運動そのものは冬の時代を迎えたが、大正デモクラシーの広がりには大きな影響を与えた。
徳冨蘆花、永井荷風、石川啄木ら、リベラルな文学者の多くがこの事件に深くショックを受けている。刑死した活動家の遺産の一部は、後に与謝野晶子・鉄幹らが設立した文化学院の創設に使われた。

義和団事件(義和団の乱)(1900-01): 清朝末期に中国北部で起こった動乱。「扶清滅洋」を唱える結社・義和団の蜂起をきっかけに、清と列強8ヶ国(日露墺独伊仏英米)が紛争となった。
清はこの紛争に敗れたことで、北京や天津に列強の駐兵権を認め、賠償のために国家財政の一部を差し押さえられる等、半植民地化が進んだ。

モロッコ事件(1905,1911): モロッコの権益を巡り、フランスとドイツの間で2度に渡って起きた紛争。フランスによるモロッコの保護国化が国際的に認められ、ドイツの国際的孤立が深まる一因となった。

エメリン・パンクハースト: 19-20cの英国の女性参政権活動家(サフラジェット)。爆弾テロを含む過激な活動で知られた。

新人会(1918-29): 民主主義・社会主義を奉じた、東京帝国大学を中心とする学生運動団体。関東大震災で救護活動にあたり、東大セツルメントの創立に協力した。出身者に野坂参三、大宅壮一、中野重治ら。

三・一独立運動(1919): 日本統治下の朝鮮で起きた民族独立運動。
1919.3.1.ウィルソンの「民族自決」の原則に期待し、日本の植民地支配を世界に訴え、独立宣言を発表してパリ講和会議に請願しようとした朝鮮人数十名が日本の官憲に逮捕された。
その後、独立を支持する学生や民衆が大規模に決起し、逮捕者は万単位に広がった。運動の影響で、日本は朝鮮総督府の強圧的な「武断政治」をやや軟化。朝鮮人を普通警察として登用し、「文化政治」に転換させていった。

賀川豊彦: 明治~昭和期の神戸等で活動したキリスト教社会運動家。「貧民街の聖者」。スラム街の貧民や震災被災者の支援活動、労働運動、農民運動、生協運動、共済運動、政治運動で重要な役割を果たした。
1920.主著『死線を越えて』出版、神戸購買組合を設立(日本の生活協同組合の源流)。1921.「無抵抗・非暴力」を掲げ、神戸の三菱造船所・川崎造船所で3万人以上がデモに参加する戦前最大の争議を指揮。
学生時代から軍事教練を拒否する生粋の平和主義者でもあったが、昭和天皇・皇室には支持的で、WWII後期には翼賛体制に取り込まれた。'45.日本社会党の結成に参加。
戦後の占領期には何度か首相候補となった他、ノーベル平和賞・ノーベル文学賞の両方で複数回候補に推薦されている。

大杉栄: 明治・大正期のアナキスト。奔放な女性関係でも知られた。1923.関東大震災直後の混乱に乗じ、愛人の伊藤野枝と共に憲兵隊によって殺された(甘粕事件)。

伊藤野枝: 大正期の婦人解放運動家、アナキスト。結婚制度を否定し不倫を肯定したことでも知られる。1923.甘粕事件で、愛人の大杉栄と共に殺された。

福田村事件(1923): 千葉県福田村(現・野田市)で起きた、地元の自警団が香川県からの薬の行商団に集団で暴行し、幼児・妊婦を含む9名を殺害した事件。
関東大震災後の混乱・流言蜚語(「夜襲がある」「朝鮮人に気をつけよ」)による、社会不安が生み出した事件の1つ。

虎ノ門事件(1923): 左翼テロリスト・難波大助が皇太子裕仁親王を狙撃した事件。難波は大逆罪で死刑となった。
大助の父は尊皇派の衆議院議員であり、事件を受け、即日議員辞職。自邸の戸を全て針金でくくり、閉じ籠って断食し、半年後に餓死した。

清浦奎吾: 元首相(1924)。官僚、貴族院議員出身で、超然主義内閣を組織したが第2次護憲運動で程なく退陣した。

加藤高明: 元首相(1924-26)。外交官出身、憲政会所属。普通選挙法(1925)と治安維持法(1925)を成立させた。

小林一三(-いちぞう): 阪急電鉄、宝塚歌劇団、東宝の創業者。松岡修造の曽祖父。

第1次世界大戦(WWI)(1914-18): 人類初の「世界戦争」。
欧州を中心に、世界中の国家が協商国側(英国、フランス、ロシア、セルビア、イタリア、日本、後期には米国や中華民国等)と同盟国側(ドイツ、オーストリア=ハンガリー、オスマン等)に分かれて戦った。
総力戦という戦争の性格や、飛行機、潜水艦、戦車、毒ガス等の新兵器が出現し、戦争の形態を一変させた。戦争の過程でロシア革命が勃発、各地の民族運動も激化した。
戦争は長期化したが、最後には米国まで参戦したことで同盟国側が敗戦。ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、オスマン帝国はいずれも(更に革命によりロシア帝国も)消滅し、後継国家へと姿を変えた。
開戦のきっかけはサラエヴォ事件で、オーストリアがセルビアに宣戦布告し、それぞれの同盟国を巻き込んだことだったが、帝国主義国家間の領土的野心の矛盾が、修復できない飽和点に達して起きたといえる。
1914年夏の開戦当初、徴兵された戦士達は〈クリスマスまでには帰れるさ〉と言いながら出征していったというが、戦局は次第におぞましい泥沼化の様相を呈し、最終的には1000~2000万人もの犠牲者を出した。
帝国主義諸国は、植民地からも大量の徴兵を行った。インドでは、英国から戦後の自治を約束され、英国政府によって100万人以上が戦地に投入された。
日本は日英同盟を根拠に参戦。ドイツが権益を持っていた山東半島と南洋諸島を攻撃、占領した。又、英国の要請に応えて地中海にも戦艦を派遣し、見返りとして、戦後も山東半島の権益を維持することについて英国の支持を取り付けた。

三枚舌外交: 英国がWWIでオスマン帝国と戦うにあたり、①オスマンからのアラブ独立運動の指導者、②パレスチナにユダヤ人民族郷土の建設を望むユダヤ人団体、③同盟関係にあるフランス、にそれぞれ配慮し、3つの矛盾した協定を結んだこと。
この中東政策は、後のアラブ人やクルド人、ユダヤ人に混乱をもたらすような国境線が引かれる大きな要因となった。

フサイン・マクマホン協定: WWI中に、英国の外交官とメッカ太守が往復書簡で結んだ協定。アラブ人が英国の対オスマン戦争に協力することと引き換えに、戦後のアラブ人地域の独立や、アラブ人のパレスチナ居住を英国に支持させた。

バルフォア宣言: WWI中に、英国政府がパレスチナにおけるユダヤ人国家建設を認めた宣言。

サイクス・ピコ協定: WWI中に、英国・フランス・ロシアがオスマン帝国領を3か国で分割することを決めた密約。

ウッドロウ・ウィルソン: 米国大統領(1913-21)。民主党所属。プリンストン大学総長、米国政治学会会長等を歴任し、実質的に米国史上唯一の学者出身の大統領とされる。「行政学の父」。
WWI(1914-18)では当初は中立を維持したが、長期化する戦争を終わらせるため、1917年に連合国側で参戦。レーニンの「平和に関する布告」に対抗し「十四か条の平和原則」を発表した。
戦後、新世界秩序を掲げてパリ講和会議を主宰し、国際連盟の創設に尽力(但し国内ではモンロー主義により議会から加盟を否決され、米国は加わらず)。国連創設の功績により、ノーベル平和賞を受賞した。
米国が民主主義を標榜し、国内外の政治体制変革の追求を使命と見なすことは、現在も「ウィルソン主義」と呼ばれている。

国際連盟(国連、LN)(1920-46): League of Nations。WWI後にウッドロウ・ウィルソンの提唱で発足した国際機関。初代「国連」。
提唱国だった米国は、議会でモンロー主義により加盟が否決され加わらなかった。日本はWWI戦勝国として発足時から常任理事国の一角を担ったが、1933年に真っ先に脱退し、国際的孤立を深めた(後にドイツ、イタリア、スペイン等も脱退)。

孫文: 中華民国建国、中国国民党結党の中心人物となった革命家。号は「中山(ちゅうざん)」。日本名は「中山樵(なかやまきこり)」。中華圏では「孫文」より「孫中山」と呼ぶのが一般的。
中華人民共和国と台湾の両国で、中国近代革命の祖たる「国父」として評価されている。但し、中国・台湾の権威主義や、漢民族中心主義の起源として、批判的に言及されることもある。
広東省出身。少年期・青年期にハワイ王国や英国領香港で暮らして西洋思想に傾倒し、ポルトガル領マカオで医師となった。日清戦争(1894-95)直後、広州から蜂起し清の打倒を企てたが、頓挫し、日本に亡命した。
以来、日本・米国・英国等、世界中を飛び回って資金や人脈を集め、中国の近代化革命を志した。後に有力な部下となる蒋介石とは日本で出会った。1905.民族・民権・民生の3つから成る「三民主義」を提唱。
辛亥革命(1911-12)に参加しいよいよ清を打倒すると、中華民国建国(1912)の中心人物となった。しかし間もなく孫文に代わって袁世凱が権力を握り、大総統となった袁は共和政を放棄し、皇帝を名乗る。
孫文は中国国民党を組織し、袁らの反動的な「北京政権」に対する第二革命を指揮した。しかし孫文は北京政権だけでなく、中国各地に割拠する複数の軍閥とも対立することになり、中華民国の再統一は存命中に果たせなかった。
日本には第二革命・第三革命中にも再び亡命しており、この時に宋慶齢と結婚している。
晩年はロシア革命(1917)に影響を受け、ソ連から国民党顧問を迎えた。1923.中国国民党・中国共産党を中心とする地方政権を広州に確立(第一次国共合作)。1925.死去。

ボリシェヴィキ: ロシア社会民主労働党の多数派。「多数派」を意味するロシア語。中心人物はレーニン。
ロシア革命は民主主義の実現に止まらず、社会主義実現に向かうべきである(二段階連続革命)と考え、少数の理論的革命家(前衛)が主導する暴力革命を主張した。
1917.エスエルやメンシェヴィキが二月革命でソヴィエト臨時政府を建てるも、WWI参戦は続き、労働者・兵士の不満は強まった。勢い付いたボリシェヴィキは、十月革命で臨時政府を打倒し、権力の中心に座った。
1918.議会を閉鎖し、クーデターでプロレタリア独裁/一党独裁を確立。ロシア共産党と改称し、他政党を非合法とした。1922.ソ連を成立させソ連共産党と改称。

プラウダ: ボリシェヴィキ/ソ連共産党の機関紙。最盛期には世界一の発行部数を誇る新聞だった。紆余曲折を経て、ソ連崩壊後の今もロシア共産党機関紙として発行が続く。紙名は「正義」「真実」を意味するロシア語。

コミンテルン第三インターナショナル)(1919-43): ボリシェヴィキ/ソ連共産党が主導し築いた、共産主義運動の国際指導組織。世界革命を掲げた。戦前の日本共産党はコミンテルン日本支部としての性格をもった。
同じ第二インターの系譜である社会民主主義勢力とは、各国で厳しく対立した。

ソビエト連邦ソ連USSR)(1922-91): ロシアを中心とした共産主義国(ソ連共産党の独裁国家)。首都はモスクワ。ロシア等、15の共和国から成る連邦の形をとったが、極めて中央集権的な政治・経済を展開した。
人口は最終的には3億人近く、面積はユーラシア大陸の約4割にも及んだ。最高指導者は時代順にレーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフ。
WWIIでは東部前線でドイツと戦い(独ソ戦)、世界最多の2000万人以上が犠牲になったが、最終的にベルリンを占領し連合国を勝利に導いた。戦後は国連安保理常任理事国となり、東側世界の超大国として、米国等の西側諸国と対立した(冷戦)。
なお、国連には、ソ連と別に構成共和国のウクライナと白ロシア(現ベラルーシ)も加盟しており、ソ連は事実上3ヶ国分の票を持っていた。
史上初の人工衛星('57)、人類初の宇宙飛行('61)等、宇宙開発競争では主導権を握った。80sにゴルバチョフが改革・開放と情報公開を進めた後、各構成共和国が独立を宣言し、連邦は解体した。

ソ連の農業: ソ連では「生産手段の社会化」のために農業の集団化が進められ、国有農場(「ソフホーズ」)、協同組合型の集団農場(「コルホーズ」)が農業の主な担い手となった。
1930年代になると、スターリンが強権的に全面的集団化を行い、何百万人もの富農をグラーグ(強制労働収容所)に送るか処刑した。ソ連解体('91)後も、ベラルーシではソフホーズ、コルホーズ主体の農業が続いている。

ヨシフ・スターリン: ソ連共産党書記長(1922-52)。レーニンの死(1924)後、自身が死ぬまでソ連の最高指導者の地位にあった。五ヶ年計画で工業・農業の集団化を進め、WWIIではドイツら枢軸国と戦った。
ジョージア出身でボリシェヴィキの古参党員。「スターリン」は本名ではなく、「鋼の男」を意味するペンネーム。
異常なまでの猜疑心から、トロツキーら政敵をはじめ、反革命派と見なした党員や国民を片っ端から殺害、投獄、又はシベリア送りにして、独裁体制を築いた。
特に1930年代後半の「大粛清」では、何百万人もの党員・国民に即決裁判で反革命罪の判決を下し、死刑かグラーグ(強制労働収容所)送りにした。1934年の党大会時の幹部の8割、代議員の6割が5年以内に死んでいる。
国政面でも、多くの民族を過酷なシベリアの辺境に強制移住させたり、農業集団化において何百万人もの富農をグラーグに送ったり処刑したりしたため、スターリンの統治による犠牲者は数千万人に上ると推計されている。
1939.ナチス・ドイツと独ソ不可侵条約を結び、ポーランド、次いでフィンランドを侵略。1941.ドイツの裏切りで独ソ戦に突入。人類史上最悪の戦争犠牲者を出しながらも、スターリングラード攻防戦(1942-43)を守り抜くと反攻に転じる。
ドイツへの反攻・進軍の過程で、スラヴ系農民が人口の多くを占める東欧各国をナチスの迫害と地主階級から「解放」し、共産化に成功。'45.遂にベルリンを占領しナチス政権を壊滅させる。
戦後は東西冷戦に際し、コミンフォルムやワルシャワ条約機構を発足させ、覇権国家として振る舞い東側諸国を統制した。アジアでは国共内戦で中国共産党、朝鮮戦争で朝鮮労働党を支援した。
'53.死去。'56.後継者のフルシチョフが、スターリン時代の政治方針や、大粛清や民族浄化といった負の業績を批判するスターリン批判を始める。
しかし、フルシチョフの死後は、スターリンを「ソ連を超大国に導いた偉大な指導者」として再評価する動きも強まっている。現在のロシアでは、スターリンは歴史的指導者として大きな支持を集めているという。

モンゴル人民共和国(1924-92): モンゴルの旧国号。赤軍の支援で中華民国から独立し、ソ連に続く世界で2番目の社会主義国となった。
戦前は中華民国も日本も、ソ連の傀儡国家であるとして独立を認めなかった。戦後は広く独立国として認められ国連にも加盟したが、中ソ対立等、激動の歴史の中でも最後まで一貫してソ連一辺倒の政策を続け、「ソ連の16番目の共和国」と揶揄された。

アドルフ・ヒトラー: ナチスの指導者、ドイツ首相(1933-45)。悪名高き独裁者、ファシストの代名詞的存在。演説力と権力掌握に長け、短期間で「合法的」にドイツの全権を握る独裁体制を築いた。
オーストリア・リンツ近郊出身。早くから大ドイツ主義に傾倒したものの、青年期には無名の画家に過ぎなかった。
1913.ドイツに移住。WWIに伝令兵として参加。ドイツ国籍を持たず、学歴や軍歴も低かったが、やがてナチスの専従職員として頭角を現していった。
1921.ナチスの党首に就任。1923.中央政府へのクーデター未遂・ミュンヘン一揆を指揮。投獄されたが、出獄後は選挙で勢力を拡大した。1925-26.主著『我が闘争』出版。
首相就任後は、大統領職を廃して独裁体制を築き(ゆえに単に首相でなく「総統」とも呼ぶ)、冒険的な侵略政策でWWII(1939-45)を開戦・拡大し、誤った優生学や人種主義によってユダヤ人、ロマ人、障害者、共産党員らの組織的虐殺を指揮した。
その本質は尊大かつ臆病な理想主義者であり、会議室で発言するだけで自らの手で人を殺めたことがなく、恐らくはホロコーストや独ソ戦の現場も見たことがない、「人を殺せない殺人鬼」だったという。
敗色濃厚となった大戦末期は地下壕に籠りきり、パーキンソン病を患い気力も体力も失っていた。'45.4.28.生涯敬愛した「ファシストの先輩」で同盟相手・ムッソリーニの訃報に動揺。それまで独身を通したヒトラーだったが、29日に愛人エヴァ・ブラウンと結婚、30日に心中死を遂げた。

マーガレット・サンガー: 米国の看護師、フェミニスト、産児制限活動家。1916.米国初の避妊クリニックを開設。貧困層の女性に避妊法を広めた一方、精神障害者への強制不妊手術を支持する優生学者でもあった。

進化論裁判(猿裁判、スコープス裁判)(1925): 米国テネシー州で、進化論の授業を禁止する州法の適用を巡って争った裁判。全米の注目を集めたが、教師には罰金が課せられ、法律は'67年まで存続した。

昭和(1926-89): 日本の元号。近代(大日本帝国時代)と現代(日本国時代)に跨り、62年余(元年と64年は各7日間のみ)続いた日本史上最長の元号。昭和天皇が在位した。
改元時、新聞社が「新元号は『光文』」とスクープしたが、結果的には誤報となった。情報漏洩に怒った宮内省が、内定していた元号を急遽変更したという説がある。

若槻礼次郎: 元首相(1926-27,31)。憲政会・立憲民政党所属。昭和改元時(1926.12.25.)の首相。

伊藤千代子: 昭和初期の社会運動家、日本共産党員。刑務所で拷問により転向を強要され、拒否し続けるも精神を病み、入院先で24歳で夭折。

蔣介石: 中国国民党の指導者、中華民国初代総統('48-75)。学生時代、日本に長期留学し軍事を学ぶと共に、孫文に出会いその革命思想に共鳴した。
1911-12.辛亥革命に参加。以来、孫文の有力な部下として活動した。1925.孫文の死を受け再構築された国民政府(広州国民政府)で国民革命軍の総司令官に就任。1926.「北伐」開始。
1927.国民党右派の中心として上海クーデタを起こし共産党を排除、南京国民政府を樹立。同年、生涯の妻となる宋美齢(宋慶齢の妹)と結婚し、亡き孫文の義弟となった。1928.北伐を完了し中華民国を統一。
1930年代前半は内戦(中原大戦、第1次国共内戦)の指揮に奔走した。1936.西安事件を受け内戦を停止。1937-45.第2次国共合作のもと、日中戦争を戦う。南京を占領され重慶に逃れたが、米英の支援を受け、WWIIの連合国の一員として戦った。
'46-49.第2次国共内戦。'49.共産党に敗れ、戦前日本が統治した台湾に国民政府を率いて撤退。これ以降、台湾のみを事実上の領土とする中華民国の総統となり、'75年に死去するまで務めた。
台湾では戒厳令を敷き、国民から政党活動、言論・集会、労働運動等の自由を奪ったまま開発独裁を続けた。
'71年まで国連安保理常任理事国の地位を保ったが、米中関係改善のあおりを受け、アルバニア決議で常任理事国の座が中華人民共和国に渡ると、国連を脱退した。

北伐(1926-28): 蔣介石指揮下の国民革命軍による、北京軍閥政府打倒の軍事行動。当初は国共合作の下で行われたが、次第に共産党排除の動きが強まり、上海クーデター(1927)で共産党が排除された。
再開後は国民党単独で行い、途中、日本の山東出兵などの妨害もあったが、1928年に北京に入城、軍閥を制圧し「国民革命」を達成、南京国民政府による中華民国の統一が実現した。

上海クーデター(1927): 北伐のさなか、蔣介石と国民党右派が上海で行った、共産党員・労働者らに対する弾圧・虐殺事件(白色テロ)。これによって第1次国共合作は破綻し、蒋介石らは南京国民政府を樹立した。

南京国民政府: 上海クーデター(1927)後、蔣介石らが南京に樹立した中国国民党の政権。翌年、北伐を完了して中華民国を統一。南京を首都とした。
日中戦争中の1937年に南京を放棄し、重慶に移った。戦後南京に戻ったが、第2次国共内戦('46-49)で破れ、'49年に南京を人民解放軍に明け渡し、国民党は台湾に逃れた。
なお、重慶移転中の1940年に、日本が蔣介石と対立していた汪兆銘を担ぎ出し、南京に親日政府を立てたが、それも「南京国民政府」を名乗った。この政権は国民多数の支持を得られず、日本の敗戦で消滅した。

ヒトラーユーゲント(1926-45): ナチスの少年組織。ユーゲントは「ユース」「少年団」の意味。1936年からは、10-18歳のドイツ人の加入が義務化された。

五族協和: 満州国の標語。日本民族・朝鮮民族・満州民族・蒙古民族・漢民族が力を合わせて理想国家を造るという意味。

血盟団事件(1932): 日蓮宗の僧・井上日召が指導した右翼団体・血盟団による連続テロ事件。
元蔵相・井上準之助、三井財閥総帥・團琢磨が暗殺された。犬養毅や西園寺公望、若槻礼次郎、幣原喜重郎も標的となっていた。

斎藤実(-まこと): 海軍大将(1912-)、元首相(1932-34)。
1932.五・一五事件で犬養首相が暗殺されると、海軍リベラル派の長老で挙国一致内閣を作れる人物として後継首相となる。1933.国際連盟脱退。1934.帝人事件の責任で総辞職。1936.二・ニ六事件で暗殺される。

室戸台風(1934): 昭和の三大台風の1つ。関西を中心に約3000人の死者・行方不明者を出した。

北一輝(-いっき): 社会運動家。国粋主義と社会主義、日蓮宗を結び付けた思想家でもあった。1923.軍事革命=クーデターを是とする『日本改造法案大綱』を発表。青年将校らに影響を与えた。
1936.二・二六事件に際して理論的指導者として逮捕され、死刑となった。

西安事件(1936): 張学良が蒋介石を監禁し、抗日のために国共内戦の停止を迫った事件。第二次国共合作のきっかけとなった。

林銑十郎: 陸軍大将(1932-)、元首相(1937)。満州事変(1931)時は朝鮮軍司令官で、詔勅を待たずに独断で満州に越境進軍し「越境将軍」と渾名された。一般的には重罪となる行為だったが、事後承認により事無きを得た。
首相としては組閣後間もなく衆院選で負け、当時としては最も短命な内閣に終わり、「何もせんじゅうろう内閣」と皮肉られた。

通州事件(1937): 日中戦争の開戦直後に北京郊外・通州で起きた、中国人部隊による日本人・朝鮮人居留民の虐殺事件。200人以上が犠牲になった。

第四インターナショナル(1938-): スターリンが指導したコミンテルンに対抗し、トロツキーが結成した国際共産主義組織。現在は分裂状態。
スターリン的共産党の一国社会主義論等を批判し、多様な潮流の労働者階級の世界的な統一戦線による、世界社会主義の達成を目指した。こうした革命論をトロツキズムという。

クリスタルナハト(1938): ナチスの軍事組織がドイツ全土で一斉に行った、シナゴーグ等の襲撃を中心とするユダヤ人への大規模な迫害事件。「水晶の夜」を意味するドイツ語。

フランクリン・デラノ・ルーズベルト(FDR): 米国大統領(1933-45)。民主党所属。世界恐慌からの脱却を目指しニューディール政策を掲げた。WWIIでは連合国を主導、米国大統領を史上最長の4期勤めた。
交流があった縁戚セオドア・ルーズベルトとは政治的立場は違ったが、若くしてセオドアを目標に政治家を志した。30代の終わりにポリオを発症、やがて下半身不随となり、松葉杖や車椅子の生活になったが政治活動を続けた。
1932.世界恐慌の最中、ニューディール(新規まき直し)を掲げ大統領選で圧勝。1920年代に続いた共和党政権に代わって民主党政権を打ち立て、禁酒法等の共和党時代の政策を廃止した。
労働組合やソ連に比較的親和的で、1930年代に米国の労働運動や米国共産党は黄金期を迎えた。共和党時代の方針を転換してソ連と国交を開き、ソ連の国際連盟加盟を助けている。キューバの独立承認等、中南米にも友好的な「善隣外交」を進めた。
1939.WWIIが勃発すると、ファシズムへの対決姿勢を強め、中立法を改正して英国への武器輸出を行い、援蒋ルートで中華民国を支援した。1940.有事であることを理由に米国大統領史上初の三選を目指し、当選。1941.太平洋戦争開戦。
1942.原爆の製造(マンハッタン計画)を指示。1944.四選。'45.4.終戦を目にすることなく脳卒中で死去。
生前、車椅子生活を国民に知られるのを嫌い、訪問先の植木や立ち木をカモフラージュのために植え替えさせる等、事細かく指示したため、障害者であることは国民にほぼ知られなかった。車椅子姿を捉えた写真は2枚しか残っていない。

エレノア・ルーズベルト: フランクリン・ルーズベルトの妻。人権運動家、婦人運動家。'46-52.米国の国連代表を務めた。

ニューディール政策: 米国・FDR政権(1933-45)の経済政策。積極的な公共事業による雇用創出、社会保障の拡充等が柱であり、米国史上初の「格差を縮小する経済政策」だったといえる。
裏付けとなったのは、同時代の経済学者ケインズらの経済理論。社会主義的な手法として批判も小さくなかったが、大きな成果を挙げ、米国をWWIIの戦勝国・超大国に導いた。

平沼騏一郎: 元大審院長(1921-23)、元首相(1939)。検事時代、大逆事件(1910-11)で幸徳秋水ら多くの社会主義者を起訴・求刑した。治安維持法(1925)の原型を作り、保守・右翼の活動家としても振る舞った。
'39.首相在任中にノモンハン事件が起こり、一方では独ソ不可侵条約が成立。WWII開戦の数日前に〈欧洲の天地は複雑怪奇〉という声明と共に内閣総辞職した。戦後、A級戦犯とされ終身刑となった。

阿部信行: 陸軍大将(1933-)、元首相(1939-40)。首相就任の2日後にWWIIが勃発したが、不介入を方針とした。

第2次世界大戦(WWII)(1939-45): 人類史上最大の戦争(犠牲者数5000~8500万人)。日中戦争の後期や、太平洋戦争も含む呼称。人類史上唯一、核兵器(原爆)が使われた実戦でもある。
世界中の国家が枢軸国側(日本、ドイツ、イタリア、タイ、フィンランド等)と連合国側(米国、ソ連、中華民国、英国、フランス、オランダ、豪州等)に分かれて戦った。
東アジアにおいては日中戦争から連続した戦争だが、欧州の視点から、通常、1939年夏のドイツ・ソ連によるポーランド侵攻を始まりと見なす。領土的野心を背景にした、完全な言い掛かりによる侵攻である。
この時点では独ソ不可侵条約により、両国は共通の利害のもと、西と東からポーランドにそれぞれ攻め入り、ポーランドを分割してしまった。
英仏はポーランドと同盟を結んだものの、当初は軍事行動を控えた。しかし1940年、ドイツ側から西部戦線を開始。数ヶ月の内にデンマーク、ノルウェー、オランダ、ベルギー、フランスを占領する破竹の進撃を見せ、英国にも激しい空爆を始めた。
同年、フランス降伏に乗じ、日本も油田を求め、フランス領インドシナ(仏印)に進駐。米英との対立を深め、米国は対日経済封鎖を行った。
1941年、ソ連共産主義の絶滅を目指すドイツは独ソ不可侵条約を破り、ソ連に侵攻。同年12月8日、日本も英領マレーと米領ハワイ(真珠湾)を奇襲し、独ソ戦太平洋戦争の火蓋が切って落とされ、米・ソ・中・英らは「連合国」としてまとまった。
1942年には枢軸国と連合国の勢いはまだ拮抗していたが、1943年に入ると、ドイツはスターリングラード攻防戦、日本はガダルカナル島の戦いの大敗が決し、拮抗状態が崩れた。同年、枢軸国・イタリアが降伏。
1944年6月、ドイツはノルマンディー上陸作戦により、日本はサイパン陥落(日本本土爆撃の本格化の契機となった)により次第に追い詰められる。
'45年5月8日、ソ連軍がベルリンを包囲する中、ドイツは無条件降伏。日本も3月の東京大空襲、4-6月の沖縄戦等、焦土化が進み、8月に広島・長崎への原爆投下とソ連の対日参戦が続き、8月15日に無条件降伏した。

T4作戦(1939-41): ナチスが障害者に対して行った虐殺(強制的「安楽死」)政策。当時の優生学が生んだ世界最悪の政策として知られる。
犠牲者は公式資料に残るだけでも7万人を超え、作戦期間後も続いた類似政策や、精神病院等が行った患者の安楽殺(「野生化した安楽死」)等を含めると15万人以上が犠牲になった。
この作戦でとられた強制移送・収容・殺害のノウハウは、後のユダヤ人らに対するホロコーストにそのまま利用された。

冬戦争(1939-40): WWII初期に、ソ連がフィンランドに侵攻した戦争。フィンランドは侵略に抵抗し独立を守ったが、領土の一部を割譲することになった。

シモ・ヘイヘ: 冬戦争等で活躍したフィンランドの狙撃手。「白い死神」。542名射殺の記録(狙撃手として史上最多の確認戦果)を残す。

汪兆銘: 中華民国の政治家。日本への留学歴があり、元々は孫文の側近。後に蒋介石と対立。日中戦争中の1940年に親日政権の「南京国民政府」を樹立し、首班となった。戦中に日本の病院で死去。

フランス国ヴィシー・フランス)(1940-44): WWIIでナチス・ドイツに破れ、その傀儡国となっていた時代のフランスの呼称。ヴィシーに首都を置いた。

フィリップ・ペタン: フランスの軍人で、ヴィシー・フランス時代の国家元首。WWIでは英雄だったが、WWII後は、ナチスに国を売り渡した戦犯として終身刑に処された。

ウィンストン・チャーチル: 英国首相(1940-45,51-55)。保守党所属。WWIでは海軍大臣、WWIIでは首相として、2度の戦争で英国を勝利に導いた。
ドイツの降伏後、アトリーの労働党政権が成立し下野したが、冷戦下で「鉄のカーテン」演説を行う等、独自の反共外交を行った。'51.政権復帰し2度目の首相となる。
'53.『第二次大戦回顧録』等でノーベル文学賞を受賞。現職の国家指導者の同賞受賞は史上唯一となっている。'65.死去。国葬にはエリザベス2世が参列し、英国史上初めて、王は臣民の葬儀に出席しないという慣例が破られた。

不要不急線: 戦中の日本で、武器生産や資材の転用を目的に、政府の命令で線路を撤去された鉄道路線。1941.指定開始。

ゾルゲ事件(1941-42): ドイツの新聞の特派員として来日したリヒャルト・ゾルゲを頂点とするソ連のスパイ組織の構成員が、日本で続々と逮捕され有罪となった事件。
組織には、近衛内閣のブレーンで日中戦争を推進した尾崎秀実(ほつみ)(ゾルゲと共に死刑となった)や、西園寺公望の嫡孫・西園寺公一らがいた。

独ソ戦(1941-45): WWIIにおけるドイツとソ連の戦い。WWIIの中でも最も多くの犠牲者(約3000万人とされる)を出した戦線であり、人類史上最悪の戦いとされる。
WWIIの初期にはポーランドを共に占領した両国だが、1941年にドイツが独ソ不可侵条約を破り、ソ連に侵攻して始まった。
首都・モスクワ近くまで攻め込まれ多大な犠牲を出したソ連が次第に反撃に転じ、最後はベルリンを占領しナチス政権を壊滅させた。この過程でソ連は、スラヴ系農民が人口の多くを占める東欧各国をナチスの迫害と地主階級から「解放」し、共産化した。

真珠湾攻撃(1941): 1941.12.8.未明、日本が米領ハワイの真珠湾を奇襲した戦い。同日のマレー作戦と共に、日本と米・英らが戦う太平洋戦争の最初の戦いとなった。
作戦決行を命じた大本営の暗号電文は〈新高山登レ一二〇八(ニイタカヤマノボレ ヒトフタマルハチ)〉、奇襲成功を伝えた暗号電文は〈トラ・トラ・トラ〉。

アドルフ・アイヒマン: ナチス・ドイツの親衛隊員。数百万人のユダヤ人らの強制収容所への移送を指揮した。
WWII後はアルゼンチンで逃亡生活を送ったが、モサドによってイスラエルに連行され、絞首刑となった。

スターリングラード攻防戦(1942-43): ソ連・スターリングラード(現在のロシア・ヴォルゴグラード)で起きたWWII(独ソ戦)の激戦。後半は-30℃を下回る厳冬の中で戦われ、ドイツを中心とする枢軸国がソ連に大敗した。
「人類史上最大の市街戦」「WWII最大の激戦」とされ、死傷者は約200万人に上る。

カイロ宣言(1943): 米(FDR)・英(チャーチル)・中(蒋介石)がカイロ会談を経て示した宣言。日本に対し、無条件降伏や、満州国、植民地、海外領土の全放棄を求めた。

第二戦線問題: WWIIの独ソ戦(=東部戦線、第一戦線)で多大な犠牲を出していたソ連が、英米に対し、フランス方面への第二戦線展開によるドイツの挟撃を要請するも、英米が長期間応えなかった問題。戦後の冷戦の原因の1つ。
1943年末のテヘラン会談(米・英・ソ)でようやくソ連の要求通りの作戦が約束されたが、実際にノルマンディー上陸作戦が始まったのは、独ソ戦開始から約3年後の1944年6月6日だった。

スバス・チャンドラ・ボース: インドの独立運動家。WWIIでは日本と協力して英国と戦い、日本軍がインパール作戦を決行する要因となった。終戦直後に事故死。

シャルル・ド・ゴール: フランスの軍人、首相('44-46)、大統領('59-69)。'40.ナチス・ドイツの侵略による本国失陥を受け、ロンドンで自由フランスを樹立。フランス国内や世界中のフランス植民地のレジスタンスを支援した。
'44.連合軍がパリを奪還。凱旋パレードでド・ゴールは市民から熱烈な喝采を浴び、同年、臨時政府の首相となった。
'58.アルジェリア独立に反対する勢力のクーデターにより政府のトップに返り咲くと、大統領の権限を強め議会を抑える新憲法を立案。国民投票で支持を受け、フランス第五共和政の初代大統領となった。
就任後は、植民地がフランスとの関係を維持したまま独立を認める政策を採り、'60年にアフリカ13ヶ国を独立させた(アフリカの年)。'62年にはアルジェリアの独立も認めた。
又、核武装と独自外交を進め、NATOに籍は残しながらも、共同の軍事機構から離脱。米英と一定の距離を置くド・ゴール主義(ゴーリスム)は、サルコジによるNATO完全復帰まで半世紀続いた。
生涯で30回以上、暗殺の危機を潜り抜けたという。死去時、後任のポンピドゥー大統領は〈フランスは未亡人となってしまった〉と演説した。
フランス最大の空港・パリ=シャルル・ド・ゴール空港、エトワール凱旋門のあるシャルル・ド・ゴール広場等、今も彼の名は至る所に残っている。

カーティス・ルメイ: 米国の軍人。WWIIで東京大空襲をはじめ、日本本土の空襲を司令官として指揮した。
戦後、航空自衛隊の育成に協力し、あろうことか日本政府は旭日大綬章を授与した。大綬章は天皇が直接手渡す「親授」が通例だが、昭和天皇はこれを拒否し行わなかった。

なでしこ隊: '45年春に、知覧基地で特攻隊員の身辺の世話や見送りを担った知覧高等女学校3年生の少女達。

マンハッタン計画(1942-45): WWIIでドイツより先に原爆を開発しようと、米国・英国・カナダが原爆開発に科学者・技術者を総動員したプロジェクト。

トリニティ実験('45): '45年7月に、米国がニューメキシコ州で行った人類初の核実験。翌月に長崎に投下された「ファットマン」と同型のプルトニウム爆弾が使われた。

リトルボーイ(広島型原爆): '45.8.6.に投下された原爆のコードネーム。核分裂物質にウランを使った。

ファットマン(長崎型原爆): '45.8.9.に投下された原爆のコードネーム。核分裂物質にプルトニウムを使った。

宮城事件(きゅうじょう-)('45): '45.8.14-15.に、日本の無条件降伏に反対する一部の陸軍将校らが宮城(皇居)で起こしたクーデター未遂。

◆「勝利のキス」('45): WWIIが終結し喜びに沸くNY・タイムズスクエアで、水兵が看護師にキスするシーンを捉えた写真。

戦勝派(勝ち組): 日本の降伏後も、日本の敗北を受け入れず「日本は戦争に勝った」と信じた在外邦人グループのこと。
各国の捕虜収容所では得られる情報が限られ、連合国軍が説明する「終戦」を信じない者も多かった。インドの収容所では'46年、「勝ち組」・「負け組」間の抗争で多数の死者が出た。
ペルーには50sになっても一定数の戦勝派がおり、紀元節を祝い、教育勅語を読む習慣を続けていたという。手塚治虫の未完の漫画『グリンゴ』で題材となっている。

ブレトン・ウッズ協定(1944): 米ドルを基軸とする固定相場制を定めた多国間協定。米ドルを通じた金本位制でもあった。戦後の西側諸国の復興を支え、ニクソン・ショック('71)まで続いた。
'49-71.日本円は「$1=\360」で固定。この間に日本が高度経済成長を遂げたため、後期には超円安状態となり輸出産業は莫大な恩恵を受けた。

フェアディール政策: 米国のトルーマン大統領('45-53)が採用した、社会保障や労働権の拡充を図った一連の国内政策のこと。前任のF・ルーズベルト大統領によるニューディール政策に倣った呼称。

第22回衆議院議員総選挙('46): 大日本帝国憲法下で最後となった衆院選。連合国軍占領下における、マッカーサーの五大改革指令を受けた法改正で、男女普通選挙制度(女性参政権)を採用した。
この選挙では39名の女性議員が誕生し、日本は一躍、世界最多の女性国会議員がいる国となった。但しその後、女性の議員数は低迷し、次に衆院選当選者が再び39名を超えたのは59年後の'05年だった。
選挙の結果、第1党の日本自由党(旧政友会系が中心)と第2党の日本進歩党(旧民政党系が中心)が連立し、第1次吉田茂内閣が誕生。野党では日本社会党が最多の93議席、戦前は非合法だった日本共産党は5議席を得た。

吉田茂: 元首相('46-47,'48-54)。外交官出身、自由党所属。東久邇宮内閣・幣原内閣の外務大臣、日本国憲法公布時('46.11.3.)・施行時('47.5.3.)の首相。
強いリーダーシップで戦後日本を盛り立てたが、与党・官界の対米従属性を決定付けたという否定的評価もある。公職追放となった議員らの後継として、多くの官僚出身者に声をかけて政界入りさせ(吉田学校)、池田勇人・佐藤栄作を輩出した。

東京裁判(極東国際軍事裁判)('46-48): WWIIの連合国が日本の戦争犯罪人(A級戦犯28名)を裁いた軍事裁判。東条英機、広田弘毅、板垣征四郎ら7名が死刑となった。

ニュルンベルク裁判('45-46): WWIIの連合国がドイツの戦争犯罪を裁いた軍事裁判。ナチスの本拠地の1つだったニュルンベルクで開かれた。

通化事件('46): 戦後、中国共産党軍が進駐した満州地方の通化市で起きた、中華民国政府の要請に呼応する日本人らの叛乱蜂起と、その鎮圧後に行われた多数の日本人らに対する逮捕・虐待・虐殺。
日本人を中心に少なくとも800人が犠牲になった。

クロスロード作戦('46): 米国がビキニ環礁で行った核実験。戦後初の核実験であり、事前に実施が通告された史上初の核実験。日本軍から接収した戦艦長門や、米軍の老朽艦等を近くに集め、標的として使った。

マハトマ・ガンジー: インドの弁護士、政治指導者。南アフリカで公民権運動に参加した後、インドに戻り、非暴力・不服従を貫きながら英国からの独立運動を指揮した「インド独立の父」。
名言〈固く握りしめた拳とは手を繋げない〉〈外界にある全ての傾向は自分の中にもある。自分を変えることができれば、世界も変わる〉〈人間性への信頼を失ってはならない。人間性とは大海のようなもので、少し汚れても海全体が汚れることはない〉。

マーシャル・プラン(欧州復興計画): 米国・マーシャル国務長官が'47年に表明した欧州への戦後復興援助計画。経済援助により、各国の貧困層を底上げすることで共産化の抑止を図る思惑もあった。
西欧諸国はこの計画で大きな利益を得た。東欧諸国の多くはコミンフォルムの圧力でプランを受け入れなかったが、ソ連の力を借りずにナチスを追い出しソ連に借りを作らなかったユーゴスラビアだけは独自路線をとり、共産党政権でありながら米国の援助を受けた。

トルーマン・ドクトリン: 米国・トルーマン大統領が'47年に宣言した外交政策(共産主義封じ込め策)。
この宣言によって米国はモンロー主義を完全に捨て、トルコとギリシャの紛争に介入して共産主義勢力と戦う両国の政府を支援し、両国に米軍基地を置いた。

竹のカーテン: 冷戦下の東アジアにおける、資本主義国(南)と共産主義国(北)の境界線のこと。
日本とソ連を隔てる宗谷海峡、韓国と北朝鮮を隔てる38度線、台湾と中国を隔てる台湾海峡、南ベトナムと北ベトナムを隔てる17度線等が含まれる。

優生保護法('48-96): 母体保護と優生政策(「不良」な子孫の出生を防止するための、強制不妊手術(優生手術)、人工妊娠中絶、受胎調節、優生結婚相談等)を定めた法律。
制定時の日本では優生学の影響力が強く、議員立法で制定された。共同提案者の多くは医師だった。この法のもとで、50s-60sには、全国各地の自治体が「不幸な子どもを産まない運動」等を行い、障害者等に対する強制不妊手術の実施数を競った。
'96.優生政策の部分が障害者差別・人権侵害だとして削除され、母体保護法に改められた。'19.かつての強制不妊手術の被害者に一時金を支払う救済法が成立。
'22.大阪高裁・東京高裁が共に国家賠償請求を認めたが、岸田政権は上告。被害を生んだ国の不作為(適切な法改正が遅すぎたこと)から20年以上経ち、原則的には損害賠償請求権は消滅しているものの、被害の甚大さや、国の政策で障害者差別が正当化され訴訟の提起が長く困難だったことを鑑み、両高裁は請求を認めた。

平沢貞通: 帝銀事件('48)の犯人とされた画家。冤罪の議論が止まぬ中、死刑囚として約40年間の獄中生活を送り獄死した。

世界人権宣言('48): 国連総会が採択した、人権を包括的に規定した文書。条約ではないが、現在では人権保障の国際標準として慣習法化している。採択日の12/10は世界人権デーとなっている。

済州島4.3事件('48-54): 朝鮮南部・済州島で起きた島民の蜂起と、それに対する弾圧。
南朝鮮労働党を中心に島民が南部独自の選挙実施を実力で阻止したことをきっかけに、軍・警察・右翼団体が島民の虐殺を行い、3万人以上もの島民が犠牲になった。日本にも多くの難民が逃れた。
軍政時代の韓国では強くタブー視された事件で、80s後半からの民主化の中でようやく真相の究明が始まった。

ダヴィド・ベン=グリオン: イスラエル初代首相('48-63)。ロシア帝国(現在のポーランド)出身。1903.パレスチナ移住。シオニズムの指導者として活動し、イスラエル建国を宣言。
続く第一次中東戦争('48-49)でイスラエルを勝利に導き、独立国としての地位を固めた。

マッカーシズム: 50sの米国における、反共主義に基づく社会運動、政治運動。赤狩りの一環。共和党・マッカーシー上院議員の告発で「共産主義者である」と批判された公務員やメディア・映画関係者が排斥された。

雪どけ: '53年(スターリン死去)から'58年(ソ連による西ベルリンからの米英仏軍の撤退要求)頃を指すことが多い、米ソの冷戦が最初に緩和した時期。当時の米ソのトップはアイゼンハワーとフルシチョフ。
'53.朝鮮戦争休戦。'54.インドシナ戦争休戦。'56.日ソ共同宣言。

久保山愛吉: ビキニ環礁水爆実験('54)で「死の灰」を浴び半年後に死去した第五福竜丸の船員。〈原水爆の被害者は、私を最後にしてほしい〉との言葉を残した。

平和五原則('54): 中国(周恩来)とインド(ネルー)が合意した、「領土・主権の相互尊重、相互不侵略、内政不干渉、平等互恵、平和的共存」の5項目。冷戦下での第三世界存立の基本的理念となった。

阿波根昌鴻(あはごんしょうこう): 平和運動家。「沖縄のガンジー」。非暴力による「乞食行進」('55-56)等、米軍統治時代の沖縄で強制土地接収に反対する反基地運動を主導した。

ハンガリー動乱('56): 既にソ連の衛星国となりかけていたハンガリーにおける、ソ連軍撤退等を求める改革派民衆の蜂起と、それに対するソ連の侵攻と弾圧。ソ連軍によって数千人の市民が殺害され、数十万人の難民が発生した。

欧州経済共同体(EEC): 西欧の経済統合を目指した国際機関で、EUの源流。'57.フランス、イタリア、西ドイツ、ベネルクス3国の6ヶ国で結成。'67.ECに移行。

アリストテレス・オナシス: 「20c最大の海運王」とも呼ばれるギリシャ人実業家。女性遍歴で度々世間を賑わせた。'57.歌手のマリア・カラスと愛人関係となる。'68.ジョン・F・ケネディの未亡人ジャクリーンと結婚。

チェ・ゲバラ(エルネスト・ゲバラ): アルゼンチン生まれの社会主義革命家、軍人、政治家、医師。'56.フィデル・カストロ率いるキューバ革命軍に軍医として参加。'59.革命達成、新政府の国立銀行総裁に就任。
ラディカルな理想主義者だったチェは、やがて、キューバの後援国であるソ連をも「(米国の)帝国主義的搾取の共犯者」と非難するようになり、政治の第一線に居続けることは出来なかった。
'65.家族をキューバに残し単身コンゴ民主共和国へ。'66.ボリビアへ。キューバでの実戦経験を元に、各地で革命を目指すゲリラを指揮した。'67.ボリビアで戦死。
キューバ時代に撮影された写真「英雄的ゲリラ」は、彼の死後、世界中の革命を志す者たちや反米思想をもつ若者にとってのアイコンとなり、20cに最も複製された写真だという。
サルトルから「20世紀で最も完璧な人間」、ジョン・レノンから「世界で一番格好良い男」、フィデル・カストロから「道徳の巨人」「堅固な意志と不断の実行力を備えた真の革命家」と評された。
名言〈我々にとって社会主義の確かな定義は、「人間の人間による搾取の撤廃」以外にない〉。

西尾末広: 政治家。'47-48.片山内閣で内閣官房長官。'60-67.民社党初代委員長。労働運動出身ながら反共の立場を取り、CIAから資金提供を受けた。

『宴のあと』事件('61): 日本で初めてプライバシー権を争った民事訴訟。小説のモデルにされ私生活を暴露されたとして、政治家が三島由紀夫を訴えた。

ピーターパン作戦('60-62): CIAが実行した、革命期のキューバから1万数千人の子ども達をマイアミに密航させ、米国に「亡命」させた作戦。ジェフ・ベゾスの育ての親はピーターパン作戦でキューバから米国に来た1人である。
CIAはキューバで、カストロの革命政権が子ども達をソ連で重労働に従事させようとしているというデマを流し、デマでパニックになった親が子どもの米国移住に同意した例が多い。

ピッグス湾事件('61): CIAが在米亡命キューバ人部隊を組織し、僅かな軍事訓練の後、キューバに侵攻してカストロ政権の打倒を試みた事件。
事前にキューバ側に情報が漏れる等、余りに杜撰な作戦で大失敗に終わり、1000人以上の亡命人部隊のほとんどが捕虜となるか戦死した。この事件により、それまで米国にもソ連にも与さず中立だったキューバはソ連に急接近した。
元々はアイゼンハワー政権が作戦を立案したが、ケネディ政権が杜撰な状態でゴーサインを出した上に窮地に陥った亡命人部隊を見捨てたため、ケネディの大きな失点となった。
このことは、今なおフロリダのキューバ系米国人社会で民主党の支持率が低い要因となっている。

三河島事故('62): 国鉄常磐線三河島駅で起きた列車脱線多重衝突事故。死者160人。

部分的核実験禁止条約PTBT)('63): 米国・ソ連・英国の間で調印された、地下を除く大気圏内・宇宙空間・水中での核爆発を伴う実験を禁止する条約。
背景には、キューバ危機('62)の反省からの米ソの歩み寄りがある。技術力の低い国は地下空間での核兵器開発が困難なため、未開発国への核拡散を抑える効果もあった。

袴田事件('66): 静岡県清水市(現・静岡市)で起きた強盗殺人放火事件。
元プロボクサーの袴田巌が逮捕され、炎天下の密室で18日間に渡る平均12時間以上の違法な取り調べを受けた末に自白したが、捜査に様々な疑問が残り、後年、新証拠も出現した。
'68.袴田に死刑判決。'14.静岡地裁が再審開始を決め、48年ぶりに拘置所から釈放したが、検察は再審開始決定を不服とし即時抗告。'23現在も日弁連らの支援で再審請求を争っている。

美濃部亮吉: 経済学者、政治家。父は美濃部達吉。'67-79.東京都知事。社会党・共産党が推薦する革新派知事として知られた。

ニッパチ闘争('68): 新潟県立病院から全国に広まった病棟看護婦の労働争議。「夜勤人数は2人以上、夜勤回数は月8日以内」の要求を勝ち取り、日本の看護師の労働環境向上に大きな影響をもたらした。

新宿騒乱事件('68): 新宿駅で起きた、米軍の事故やベトナム戦争に抗議する新左翼諸派約2000人による暴動事件。電車のシートを外して薪代わりにして放火し、駅の出入口を炎上させる等、数々の迷惑行為で700人以上が逮捕された。

カネミ油症事件('68): 福岡県等を中心に起きた、食用油に混入したダイオキシン類による食中毒事件。

プラハの春('68): チェコスロバキアの民主的変革運動。チェコスロバキア共産党第一書記に就任したドゥプチェクが学生や知識人らと共に「人間の顔をした社会主義」を掲げ、政治体制の自由化を進めた。
共産党支配が揺らぐことを恐れたソ連とワルシャワ条約機構は、これに対し50万の大軍で軍事介入。ドゥプチェクらを逮捕してモスクワに連行し、改革ストップを強要して、運動は失敗に終わった。
中国やアルバニア、ユーゴスラビアの他、ワルシャワ条約機構内でもルーマニア(チャウシェスク)はソ連の横暴を非難し、軍を派遣しなかった。ソ連軍は'91年までチェコスロバキアに駐留し続けた。

カウンターカルチャー(対抗文化): 主流の文化的規範に反する文化のこと。特に、60s半ばから70s半ばにかけて米国から世界に広がった文化的潮流を指す。
60s後半の米国では、若者の間でベトナム戦争に対する批判、拒否運動が広がった。この反戦運動は既成の文化への反発に結び付き、ドラッグの肯定、ロックやフォークのような新しい音楽、映画における「アメリカン・ニュー・シネマ」等に及んだ。
ヒッピー」と呼ばれたスタイルがその象徴で、長髪や奇抜な服装が好まれた。物質的な豊かさと安定を求める既存の中流社会の価値観を批判し、そこから離脱し、精神的な自由と満足を得るため、インドの宗教や日本の禅に憧れる傾向があった。
このムーブメントのハイライトは、'69年8月にニューヨーク州で行われたウッドストック・フェスティバルだった。僅か1か月前にはアポロ11号の月面着陸という輝かしいニュースがあった一方、ベトナム戦争は泥沼化し、多くの若い兵士も命を落としたり、帰国しても精神を病んだりしていた。そのような中で、米国の若者がエネルギーを解き放った場がこの「愛と平和」のフェスティバルだった。

アポロ11号('69): アポロ計画のプロジェクト。人類初の月面着陸に成功した。着陸したのは米国人のニール・アームストロング、バズ・オルドリンの2名。着陸した平坦地は「静かの海」と呼ばれる。
アームストロングが月面に最初の一歩を踏み下ろす映像は、豪州のパークス天文台等にある電波望遠鏡が受信し、全世界でTV中継された(日本での視聴率は80%超)。〈一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ〉。

後藤田正晴: 警察官僚、自民党ハト派の政治家。'69-72.警察庁長官。あさま山荘事件等、極左暴力集団によるテロ事件に対処した。'76-96.衆議院議員。

ウーマン・リブ: '70年前後に、先進国を中心に隆盛した女性解放運動。「リブ」はliberation(解放)の略。日本では男女雇用機会均等法('72)等の成果を残した。

よど号ハイジャック事件('70): 共産主義者同盟赤軍派(後の連合赤軍や日本赤軍の母体)の9名の犯行グループが起こした日本初のハイジャック事件。犯行グループの声明〈われわれは明日のジョーである〉が有名。
通称「よど号」はJALの羽田-福岡便だったが、犯行グループは北朝鮮に亡命する意思を示し、同国に向かうよう要求。
経由地のソウルで、山村新治郎運輸政務次官が「人質の身代わり」として搭乗し乗客を解放させ、北朝鮮で犯行グループを亡命させた後、帰国した。

山村新治郎: 自民党の元衆議院議員。'70.運輸政務次官としてよど号ハイジャック事件の解決に貢献。その後、運輸大臣等を歴任した。'92.自民党訪朝団長として北朝鮮への訪問を翌日に控える中、精神疾患を患っていた娘に刺殺された。
なお、佐原(現・香取市)で米穀商を営む名家の出身で、「新治郎」の名は代々受け継がれたものであり、彼自身は11代目。父の10代目新治郎も政治家で、自民党国対委員長等の要職を務めた。

コザ暴動('70): 米軍施政権下のコザ市(現沖縄市)で起きた米軍車両・施設に対する焼き討ち事件。米軍人が沖縄住民を轢いた交通事故を契機に、米軍施政下の圧制や米軍人の犯罪が十分裁かれないことへの不満が噴出した。

非核三原則('71): 佐藤栄作首相が提唱し、衆議院が遵守を決議した、核兵器を「持たず」「作らず」「持ち込ませず」という日本の原則。但し、米軍が核兵器を日本に持ち込んでいる可能性は度々指摘されている。
'10.外務省の有識者委員会は、日米安保条約改定('60)時の、米軍が日本政府と事前協議なしに核兵器搭載艦を持ち込むことを認める密約(核密約)を明らかにした。

スミソニアン協定('71): ニクソン・ショックの後、主要先進国が固定相場制の維持を図った通貨協定。ドル・金の交換停止を続けた上で、ドルを切り下げ、通貨危機に対して各国が協調介入することを決めた。
日本円はブレトン・ウッズ体制の「$1=¥360」から「$1=¥308」となった(スミソニアン体制)。しかし、その後もドルに対する信頼は低下し、'73年までに各国は変動相場制に移行した。
協定名は、主要先進国の蔵相会議がワシントンDC・スミソニアン博物館で開かれたことから。

横井庄一: 太平洋戦争の終結に抗って30年近くグアムに潜伏し、'72年に帰国した残留日本兵。〈恥ずかしながら帰って参りました〉〈よっこいしょういち(「よっこいしょ」を意味する言葉遊び)〉は流行語となった。
帰国後は芸能活動を行い、様々な知識が戦前で止まっている「浦島太郎ぶり」や、実践的なサバイバル術によって人気を博した。80sには、7人の美女と共に様々なサバイバルを繰り広げるバラエティ番組にもレギュラー出演していた。

小野田寛郎(-ひろお): 太平洋戦争の終結に抗って30年近くフィリピンの山中に潜伏し、'74年に帰国した残留日本兵(元少尉)。「永遠の軍国青年」。
潜伏中、フィリピンの民間人ら、30人近くを殺傷。地元では山賊として恐れられ、住民は森に椰子の実も取りに入れなかったという。
戦後初期に、当初共に潜伏した4人の仲間の1人が投降したことから、日本やフィリピンの政府は存在を認識しており、捜索隊は小野田らに見つかるよう新聞等を落としていた。
小野田らは新聞どころかラジオも入手し、仲間と競馬を賭けて過ごしていたが、軍学校時代の徹底した軍国教育・ゲリラ戦教育から、基本的には「終戦は欺瞞、ラジオは敵対放送」で、「日本政府もフィリピン政府も米国の傀儡政権」(ある意味間違いではないが…)と考えていた。自分の兄が捜索に訪れた時にも気付いたが、傀儡政権に強制されて来たのだと考え、無視している。
'74.20代の日本人冒険家と接触。このとき元上官による帰還命令の斡旋を受け、遂に投降した。なお、この冒険家は「パンダ・小野田・雪男」を求める人生を送り、後に雪男の発見も主張。最期はヒマラヤで遭難死した。
小野田は投降時、処刑を覚悟したが、投降式には当時のフィリピン大統領・マルコスも出席し、恩赦を受けた。
帰国後はマスコミの取材が殺到。政府の見舞金と多方面からの義援金は全て靖国神社に寄付した。昭和天皇と謁見する話もあったが、陛下に謝罪させる訳にはいかないと断った。
変わり果てた日本の価値観には馴染めず、すぐに馴染んだ横井庄一とは「共演NG」。マスコミが熱望した対談は1度も実現しなかった。
結局、1年足らずで日本を離れ、ブラジルに渡って牧場経営に成功した。晩年は日本に戻り、日本会議の役員を務め、「チャンネル桜」で軍国主義の亡霊のような番組に出たりしていた。

アポロ17号('72): アポロ計画による最後のプロジェクト。史上6度目にして最後の有人月面着陸を行い、最も長く月面活動を行い、最も大量に月面からサンプルを持ち帰った。
乗組員によって、よく知られる地球の写真「ザ・ブルー・マーブル」が撮影された。

◆「戦争の恐怖(ナパーム弾の少女)」('72): ベトナム戦争で有名となった、ナパーム弾から逃げ惑う子供達の姿を映した報道写真。撮影された少女は戦後、反戦運動家として国際的に知られるようになった。

長沼訴訟: 北海道長沼町の航空自衛隊基地建設を巡る訴訟。'73.札幌地裁が自衛隊を違憲とする内容の判決を下し、注目を浴びた。日本政府が自衛隊を「最小限の実力」とし、集団的自衛権等に歯止めをかける方向に働いたという。

ジェラルド・フォード: 米国大統領('74-77)。共和党所属。ウォーターゲート事件によるニクソン大統領の辞任を受け、副大統領から昇格。'74.現職の米国大統領として初めて公式に訪日。
'76.大統領選で民主党のカーターに敗北。大統領選で勝ったことがない史上唯一の米国大統領となっている。

クメール・ルージュ: カンボジアの極左武装組織。60s-90sに活動し、'75-78にはカンボジア全土を掌握する政権(民主カンプチア)だった。指導者はポル・ポト。世界史上最悪の暗黒政治を行ったことで知られる。
極端なナショナリズムや毛沢東思想を背景に「原始共産制」を目指し、貨幣を廃し、学校・病院・工場を閉鎖し、資本家・技術者・知識人を農村に強制移住させるか虐殺し、私有財産を禁止した。
家族も解体し、子どもは親から引き離して集団生活させ、集団に奉仕するよう教育した。外国人、眼鏡をかけている者、文字が読める者等、少しでも学識がありそうな者は片っ端から粛清の名目で殺害されたという。
'78-79.難民を受け入れていたベトナムが介入し、政権は10日余りで崩壊。しかしベトナムやソ連との対立を理由に、西側諸国や中国は新政権を認めず、その後も長期間、極地的に影響力をもったクメール・ルージュを支援した。
そもそも民主カンプチアが成立した主な原因も、ベトナム戦争で北ベトナム軍が逃れたカンボジアの農村地帯を米国(ニクソン政権)が激しく空爆し、食糧危機が起きたことにあり、大国のエゴが生んだ世界的惨劇の1つといえる。

袴田里見: 戦前の非合法政党時代以来の日本共産党活動家。
長く宮本顕治の最側近と見なされたが、日本共産党スパイ査問事件(1933)について袴田が刑事に語った記録(袴田供述書)が明るみになった'76年から対立関係となり、党外から党攻撃を行うようになったため'77年に党を除名された。
'88.除名後も居住していた共産党所有の家屋の明け渡しをめぐる民事訴訟(共産党袴田事件)で敗訴。

ボイジャー計画: NASAによる、太陽系の外惑星と太陽系外の探査計画。'77.ボイジャー1号・2号打ち上げ。異星人に向けたメッセージを金メッキのレコードに吹き込み、搭載した。
70s末-80sに木星・土星・天王星・海王星を探査し写真撮影等を行った。10sには両機とも太陽圏を脱出。原子力電池の出力低下に伴って少しずつ観測装置の電源を切っており、20s末には稼動を停止する見込み。

ヨハネ・パウロ2世: ローマ教皇('78-'05)。ポーランド出身。約500年ぶりの非イタリア人教皇。冷戦末期において、反戦・平和を呼びかけ、母国ポーランドをはじめ各国の民主化活動の精神的支柱となった。
他宗派・他宗教との対話や、生命倫理等の分野でのキリスト教的道徳観の再提示を行ったことは、現代のカトリックに大きな影響を与えた。

1979年(昭和54年): イラン革命。米中が国交を樹立し接近する一方、ソ連はアフガニスタンに侵攻。英国首相にサッチャーが就任(先進国初の女性首相)。
インベーダーゲームが大流行。ソニーがウォークマン発売。ドラマ『3年B組金八先生』。アニメ『ドラえもん』『機動戦士ガンダム』。楽曲「銀河鉄道999」「いとしのエリー」。

ソ連のアフガニスタン侵攻('79-89): ソ連のブレジネフ政権が、親ソ政権を支援し、イスラム原理主義ゲリラを抑えるためアフガニスタンに行った侵略。
国連総会はソ連の即時撤退を求め(侵略戦争に対する国連総会初の非難決議)、親米・親中諸国はモスクワ五輪('80)をボイコットした。
最終的に親ソ政権は崩壊し、ソ連は撤退。経済が停滞するソ連国内でも大きな問題となり、ソ連解体('91)の一因となった。

米ソ新冷戦('79-85): デタント後の、米ソの緊張が高まった時代。ソ連のアフガン侵攻が契機となり、親米・親中諸国等によるモスクワ五輪('80)ボイコット、親ソ諸国・イラン等によるLA五輪('84)ボイコットとしても表れた。
この時代はイラン革命とそれに続くイラン・イラク戦争の時代でもあり、イスラム主義拡大と石油危機を恐れイラクを支援するという点では米ソも中国も欧州諸国も共闘したが、列強の目論見は失敗に終わり、後の中東情勢に負の影響を残すことになった。

1980年(昭和55年): 天然痘根絶宣言。イラン・イラク戦争(-'88)。光州事件。西側諸国や中国がモスクワ五輪ボイコット。ジョン・レノンが射殺される。大平首相が過労で急死、鈴木善幸内閣が誕生。社公合意。日本の自動車生産台数が世界一に。
空前の漫才ブーム、『お笑いスター誕生!!』放送開始。原宿ホコ天「竹の子族」ブーム。なめ猫ブーム。山口百恵引退。楽曲「ダンシング・オールナイト」「大都会」。

ハプニング解散('80): 大平正芳内閣の不信任決議が可決されて行われた衆議院解散。与野党共に不測の解散だった。

光州事件('80): 韓国・光州(金大中の出身地である全羅南道の最大都市)で起きた民主化を求める蜂起と、それに対する弾圧。後の韓国民主化の原動力となった。
当時の民主化ムード(ソウルの春)に呼応した、金大中の逮捕への抗議活動が発端。軍が学生や市民に対して一斉射撃等の残忍な弾圧を繰り返し、数百人の死者・行方不明者、数千人の負傷者を出した。

独立自主管理労働組合「連帯」: ポーランドの労働組合。'80.社会主義国として初の、労働者による自主的かつ全国規模の労働組合として結成。当初は非合法組織だったが、やがて民主化運動の中心となった。
'83.U2の「連帯」に捧げる曲「New Year's Day」が世界的にヒット。'89.民主化達成。'90.指導者レフ・ワレサ(ヴァウェンサ)が大統領就任。

土光敏夫: 石川島播磨重工業(現IHI)社長('50-64)、東芝社長('65-72)、経団連会長('74-80)。
「モーレツ」な働き方や、「メザシの土光さん」と呼ばれるほどの質素な暮らしで知られた。晩年は「ミスター合理化」として、「土光臨調」とも称される第二次臨時行政調査会('81-)で辣腕を振るった。

ルック・イースト政策: マハティール首相時代('81-'03)のマレーシアの政策。西洋の個人主義的な価値観よりも、日本や韓国の労働倫理に学んで経済発展を目指そうというもの。

ヘルムート・コール: 西ドイツ首相('82-90)、ドイツ首相('90-98)。CDU所属。東西ドイツの統一を実現した。

リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー: 西ドイツ大統領('84-90)、ドイツ大統領('90-94)。〈過去に目を閉ざす者は、現在にも盲目となる〉という演説が有名。

米国のグレナダ侵攻('83): 米国のレーガン政権が、左派政権が成立した小国・グレナダに行った侵略。
国連総会は米国の侵略戦争に対し、初めて非難決議を行った(日本は棄権)が、結局は圧倒的な兵力で政権を転覆させた。

オヤジギャル: バブル期の流行語。OL漫画が由来。「ギャル」という言葉のイメージに大きく影響した流行語だったという。
終業定時の17時になるとボディコンに着替え、夜な夜な街に繰り出してディスコで踊っている、「大和撫子的なデリカシーの無い性格がどこか中高年男性(オヤジ)のようである女性」を指した。

ピープルパワー革命('86): フィリピンで民主化を実現させた民衆蜂起。大統領選挙でコラソン・アキノを当選させ、反発するマルコス大統領の動きを物理的に封じて独裁体制を倒した。

1987年(昭和62年): 金融緩和で不動産価が高騰、バブル景気始まる。総評解散、日本労働組合総連合会(連合)発足。国鉄民営化、JR各社発足。介護福祉士が国家資格に。中曽根首相が退陣、竹下登内閣が誕生。
米ソがINF全廃条約を結ぶ。ソ連でペレストロイカ、グラスノスチが本格化。韓国が民主化宣言。大韓航空機爆破事件。ブラックマンデー。
アサヒ・スーパードライ発売。ゴクミ(後藤久美子)ブーム。歌集『サラダ記念日』。小説『ノルウェイの森』。映画『マルサの女』。アニメ『シティーハンター』。

ブラックマンデー('87): 香港を皮切りに起こった世界的な株価大暴落。日本でも例外なく暴落は起こったが、翌日には日経平均株価が当時歴代1位の上昇幅を記録する等、バブル景気は止まらず膨張を続けた。

中距離核戦力全廃条約INF全廃条約)('87-'19): 米国とソ連が結んだ軍縮条約。互いの軍備を査察できる仕組みもあった。ソ連からロシアに引き継がれ効力をもったが、米国・トランプ政権が破棄し失効した。

第1次インティファーダ('87-93): ガザ地区で起きた交通事故をきっかけに、イスラエルの占領政策に対しパレスチナ住民が起こした民衆蜂起のこと。オスロ合意('93)まで続いた。

トヨタ戦争('87): チャド・リビア紛争の後期の戦闘。両軍がランドクルーザー・ピックアップの改造車を使い、報道映像で「TOYOTA」のロゴが目立ったことから。

マルタ会談('89): 米国・ブッシュ大統領、ソ連・ゴルバチョフ書記長がマルタで行った首脳会談。冷戦終結を公式に確認・宣言した。

ロサンゼルス暴動('92): LAで起きた、黒人青年に集団暴行した白人警官らが無罪となったことへの抗議をきっかけにした大規模な暴動。60人以上の死者、1万人以上の逮捕者を出した。

ルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG): 米国の連邦最高裁判事('93-'20)。クリントン大統領による指名後、27年に渡り、性差別の撤廃などを求めるリベラル派判事の代表的存在として大きな影響力を持った。

ネルソン・マンデラ: 南アフリカの弁護士、元大統領('94-99)。ノーベル平和賞受賞者。若くして反アパルトヘイト運動に身を投じ、'64.終身刑に。'90.釈放(獄中27年)。大統領時代は民族和解・協調政策を進めた。
名言〈生まれながらに肌の色のせいで他者を憎む者などいない。人は憎むことを覚える。ならば、愛することを学べるはずだ。なぜなら、愛というものは人の心にとって、ずっと自然なことだから〉。

民主党('96-16): 現在の立憲民主党・国民民主党の母体となった政党。元々は、社民党(旧社会党)や新党さきがけを離脱した議員が、鳩山家や連合から借り入れた資金で結成した。
初代党首は鳩山由紀夫・菅直人(共に元さきがけ、W党首体制)。'98年に旧民政党、'03年に旧自由党(共に新進党から分岐した保守系政党)が合流し、自民党との二大政党時代を築く。
'09.高投票率を記録した衆院選で大勝して与党となり、鳩山由紀夫、次いで菅直人('10-)、野田佳彦('11-)が首相となる。'12.衆院選で大敗し再び野党に。'16.維新の党と合流、民進党となる。
ロゴマークは日の丸を2つ縦に重ねたような形。公認ゆるキャラは民主くん。

国旗・国歌法('99): 日章旗(日の丸)と「君が代」を、初めて法的に国旗・国歌と定めた法律。

光市母子殺害事件('99): 山口県光市で起きた、当時18歳の少年による母子2名の殺害事件。少年死刑囚を生んだ事件の1つ。'11.上告棄却で死刑確定。
父の虐待・母の自殺といった少年の家族背景、被害者遺族の「被害者の権利」についての問題提起、橋下徹がTV番組で視聴者に弁護団への懲戒請求を煽ったこと等、様々な方面で注目を集めた。

第2次インティファーダ('00-05): イスラエル・シャロン外相の挑発をきっかけに、イスラエルの占領政策に対しパレスチナ住民が起こした民衆蜂起のこと。イスラエルのガザ地区等撤退('05)まで続いた。

米国炭疽菌事件('01): 米国の大手メディアと民主党上院議員に対し、炭疽菌が封入された容器の入った封筒が送り付けられたバイオテロ。死者5人。
9.11に乗じて1週間後に起きた事件で、全米を震撼させた。捜査は長期化。'08.FBIの告発目前で、犯人とみられるキリスト教原理主義者の科学者が自殺。

バラ革命('03): ジョージアの無血革命。国会議員選挙の不正が暴かれて大統領が退陣し、再選挙で革命派が大勝した。不正と見なされた議会では、革命派の議員らが手にバラを持って議事堂を占拠し、大統領の演説を妨害した。

ダルフール紛争('03-): スーダン西部・ダルフール地方で続く内戦。スーダン政府軍とアラブ系民兵による、非アラブ系住民の虐殺や村落破壊(民族浄化)が問題となっている。

堀江メール事件('06): 民主党・永田寿康(ひさやす)の国会質問から発した騒動。当時、粉飾決算事件の渦中にあったライブドア社長・堀江貴文が、'05年の衆院選出馬時に、武部勤自民党幹事長に多額の金銭を送ったとする質問だったが、疑惑の証拠として挙げた「堀江が送った電子メール」が捏造だったことが判明。永田は議員辞職し、後年自殺した。前原誠司代表ら民主党執行部も総退陣した。
なお、早々に幕引きを図った民主党も、精神を病んでしまった永田も、捏造メールをタレコんだ自称ジャーナリストの男を告発しなかった。男は後に、何千万円もの現金を騙し取る別の詐欺事件を起こしている。

ラナ・プラザ崩落事故('13): バングラデシュ・ダッカ近郊の8階建てビル「ラナ・プラザ」が崩落し、1000人以上が死亡した事故。
入居していた裁縫工場は、ベネトン等の世界的なアパレルブランドの受注をしており、犠牲となった労働者が低賃金で劣悪な環境で働かされていたことが明らかとなり、注目を集めた。

2014年(平成26年): 消費税引き上げ(5%→8%)。集団的自衛権容認を閣議決定。御嶽山噴火(戦後日本で最悪の火山災害)。ISILが「イスラム国」として独立宣言。ロシアがクリミア半島併合。
記者会見の「エンタメ化」現象(キセキの世代=佐村河内守、小保方晴子、野々村竜太郎)。ソチ冬季五輪。サッカー・ブラジルW杯。『笑っていいとも!』放送終了。映画『ベイマックス』。

マイダン革命('14): ウクライナで親EU派のユーロマイダンデモが、親ロシア派のヤヌコーヴィチ大統領を失脚させた革命。ヤヌコーヴィチはロシアに亡命した。

クリミア併合('14): マイダン革命後に、ロシアがウクライナのクリミア半島(クリミア自治共和国、セヴァストポリ特別市)を併合した事件。
クリミアはロシア系住民が多く、住民投票や条約締結等の段階を踏んで併合宣言を行ったが、国連やウクライナを含む多くの国は、ウクライナ憲法違反等を理由に今も認めていない。
これに呼応してウクライナ東部のドンバス地方では、政府軍と親ロシア派武装組織が戦闘状態となり(ドンバス戦争)、親ロシア派が実効支配した地域はドネツク人民共和国ルガンスク人民共和国として独立宣言を行った。
ウクライナ南部でも情勢が悪化し、オデッサの惨劇が起きた。

オデッサの惨劇('14): ウクライナのオデッサで起きた親EU派住民と親ロシア派住民の衝突で、親ロシア派住民が立てこもる労働組合の建物が火災となり、約40人が死亡した事件。
原因については、互いに投げ合った火炎瓶によるもの、ウクライナの親EU派新政権に影響力をもつネオナチグループの放火によるもの等と、様々に報じられている。

2015年(平成27年): 集団的自衛権容認の安保関連法成立。SEALDs結成。北陸新幹線(長野-金沢)開業。日本の海外旅行自由化以来初めて、旅行収支が黒字化。中国人の「爆買い」が流行語に。
ISILがシリア領の過半を制圧する等猛威を振るい、パリで同時多発テロ、邦人人質殺害。COP21でパリ協定採択。米・キューバ国交正常化。メナー群衆事故。
Apple Watch発売。ドローンの発売が相次ぐ(ドローン元年)。ラグビーW杯で日本が南アフリカから歴史的勝利。

メナー群集事故('15): サウジアラビア・メッカ近郊の谷メナーで起きた、大巡礼の巡礼者による群集事故。メディアの集計では2000人以上が死亡したとされ、度々群集事故が起きているメッカでも史上最悪の事故となった。

2016年(平成28年): 津久井やまゆり園事件。熊本地震。マイナンバー制度運用開始。日銀がマイナス金利導入。家庭向け電力小売が自由化。パナマ文書がリークされ国際的な租税回避行為が大規模に明らかに。
リオ五輪。AbemaTV開局。PlayStation VR発売。ゲーム『ポケモンGO』社会現象的ヒット。映画『君の名は。』『この世界の片隅に』『シン・ゴジラ』。ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。SMAP解散。「ゲス不倫」騒動。

蝋燭革命(ろうそく-)('16-17): 韓国の政変。職権乱用・機密文書漏洩・収賄等の疑惑が発覚した朴槿恵大統領に対し、退陣を求める大規模なデモが発生。デモ参加者は蝋燭を持って集まった。
朴は韓国の憲政史上初めて、5年の任期を全うできずに弾劾・罷免された。続く大統領選挙では文在寅が当選し、9年ぶりに左派政権が誕生した。

2017年(平成29年): 民進党(旧民主党)崩壊。森友学園・加計学園問題が政治問題化。組織犯罪処罰法にテロ等準備罪(共謀罪)新設。主要農作物種子法廃止。NHKが発達障害を特集するプロジェクトを展開。「漫画村」流行。
トランプ米大統領就任。米国がパリ協定、TPP交渉を離脱。国連総会で核兵器禁止条約採択。#MeToo運動が広がる。
「インスタ映え」が流行語に。Nintendo Switch発売。バトロワ系ゲーム(PUBG、フォートナイト、荒野行動)流行。アニメ『けものフレンズ』。

2018年(平成30年): 働き方改革関連法。中央省庁の障害者雇用水増し発覚。西日本豪雨災害。北海道胆振東部地震。日韓徴用工訴訟問題。TPP11発効。スポーツ界のパワハラが社会問題に。
南北朝鮮の首脳による板門店宣言。史上初の米朝首脳会談。イスラエルの米国大使館がエルサレムに移転。タイ洞窟遭難事故。シリア難民の数がピークに達する。
平昌冬季五輪。サッカー・ロシアW杯。大谷翔平がMLBでア・リーグ新人王。映画『カメラを止めるな!』『ボヘミアン・ラプソディ』。ドラマ『おっさんずラブ』。

米朝首脳会談('18): 南北朝鮮の首脳による板門店宣言に続き、トランプ大統領(米)と金正恩(朝)がシンガポールで行った、史上初の米朝首脳会談。朝鮮半島の非核化を目指すことを確認した。

令和('19-): 日本の元号。徳仁天皇が在位している。'19.5.1.明仁上皇の譲位に伴い改元。典拠は『万葉集』の梅の歌の章の序文〈初春の令月にして、気淑く風和らぎ…〉。典拠が明確な元号としては初めて、漢籍でなく国書から引用された。

2019年平成31年令和元年): 約200年ぶりの天皇生前退位。消費税引き上げ(8%→10%)と軽減税率導入。日欧EPA発効。香港で約200万人が参加する民主化デモ。京アニ放火殺人事件。ラグビーW杯日本大会。
映画『ジョーカー』『天気の子』。アニメ『鬼滅の刃』。楽曲「白日」「Pretender」「夜に駆ける」。

2020年(令和2年): COVID-19新型コロナウイルス感染症)・パンデミック。日本でも新型インフルエンザ等対策特別措置法が適用され、緊急事態宣言で経済・教育等の諸活動が停滞、マスク生活やテレワークが日常化。
医療の逼迫で救急医療体制が崩壊。観光・宿泊産業支援で「Go To キャンペーン」が行われる。東京五輪は1年延期が決定。安倍首相が辞任、菅義偉内閣が誕生。レジ袋有料化。香港で国家安全維持法施行。ブレグジット。米国でBLM運動が広がる。
コロナ禍でZOOMやUber Eatsが急速に普及。ゲーム『あつまれ どうぶつの森』が国内販売本数記録を更新。映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が国内興収記録を更新。
COVID-19で死去(志村けんら)、自殺(竹内結子、三浦春馬ら)する芸能人のニュースが相次ぐ。嵐が活動休止。楽曲「Dynamite」「うっせぇわ」。

ブレグジット('20): 英国のEU脱退。EUにとって初の加盟国脱退となった。英国を意味する「Britain」と脱退を意味する「exit」の混成語。
'16.英国の国民投票で52%がEU離脱を選択。'17.英国がEUに脱退意思通告。メイ首相がEUと合意した離脱協定案は英国議会で3度否決され、離脱日は1年近く延長された。

2021年(令和3年): COVID-19(デルタ株等)の感染が拡大、全国で緊急事態宣言や「まん防」相次ぐ。COVID-19のワクチン接種始まる。菅義偉首相が退陣、岸田文雄内閣が誕生。眞子内親王と小室圭が結婚。
トランプ支持者が米議事堂占拠。バイデン米大統領就任。ミャンマー国軍がクーデター。アフガニスタンでタリバンがクーデター、政権掌握。北朝鮮のミサイル発射実験が急増。
ahamo、povo、LINEMOの登場でスマホ料金の低廉化が進む。東京五輪が1年遅れ・原則無観客で開催。大谷翔平がア・リーグMVPを満票で受賞。ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』。

2022年(令和4年): ロシアがウクライナ侵攻。世界的な物価高騰、急激な円安が進む。安保3文書の改定。安部元首相の暗殺、国葬。旧統一教会問題への関心高まり、政治の主要テーマに。
COVID-19オミクロン株流行。成人年齢18歳に引き下げ。大企業の内部留保が500兆円突破。高校の家庭科で資産形成の授業が必須化、投資ブーム。知床観光船沈没事故。韓国で梨泰院雑踏事故。世界人口80億人到達。
北京冬季五輪。サッカー・カタールW杯。大谷翔平がMLBでベーブ・ルース以来の「2桁勝利・2桁HR」。村上宗隆がNPBで18年ぶり三冠王(「村神様」)。佐々木朗希がNPBで28年ぶり完全試合。アニメ『SPY×FAMILY』。

安保3文書の改定('22): 岸田政権が'22年末に閣議決定した、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の大改定。
同年のロシアによるウクライナ侵略や、中国(習近平政権)の膨張戦略をリスクと捉え、敵基地攻撃能力の保有防衛費の倍増(NATO基準のGDP比2%へ)を方針とした。
国会での議論も、国民に信を問う選挙も経ずに、戦後の安保政策を大きく転換する動きであり、21c最大の物価高騰の時期に軍拡による大増税も伴うことから、大きな波紋を呼んでいる。
なお、改定前から防衛費の増大は顕著に続いており、特筆すべきものの1つに研究開発費の急増がある。'22年度の段階で、初めて一般の科研費を上回る額である3000億円近い予算が付いていた。

リズ・トラス: 英国首相('22)。保守党所属。在任期間は2ヶ月に満たず、英国史上最短。法人税減税策等が金融市場の混乱を招き、辞任に追い込まれた。

大阪・関西万博('25): '25年4~10月に大阪市・夢洲で開催予定の国際博覧会(登録博)。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」、公式キャラクターはミャクミャク

◆『日本書紀』(720): 天武天皇のもとで編纂が始まった、漢文・編年体による歴史書、神話。『帝紀』『旧辞』以外に、社寺や諸氏族に伝わる伝承や記録を参照して書かれ、『古事記』よりも大ボリュームとなっている。

◆『愚管抄』: 鎌倉時代初期の歴史書。作者は天台宗僧侶・慈円。神武天皇から順徳天皇までの歴史を、貴族の時代から武士の時代への転換と捉え、末法思想と「道理」の理念に基づいて、仮名文で述べた。
慈円は摂関家出身だが、源頼朝の政治は道理にかなっているとして評価した。

◆『吾妻鑑/東鑑(あずまかがみ)』: 鎌倉時代の基本史料。1180~1266年の鎌倉幕府の事績を編年体で記している。

照葉樹林文化論: 文化人類学の仮説で、ヒマラヤ地域から中国南部、日本に至る一帯の文化に類似性や同一起源を見出すもの。

相沢忠洋: 考古学者。'49.群馬県の岩宿で黒曜石の打製石器を発見し、それまで否定されていた日本の旧石器時代の存在を証明した。

磯田道史: 歴史学者(日本近世史、社会経済史)。映画化された『武士の家計簿』等、多くの一般書やTV出演で知られる。

辻田真佐憲: 軍歌・近現代史研究家、評論家。

◆『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』: 70s-90sにかけて、青森県在住の和田喜八郎が自宅から「発見」したと称し順次発表した偽古文書。
古代の津軽地方(東日流)には、アラハバキを信仰する、ヤマト王権から弾圧された民族の文明が栄え、安東氏が「津軽丸」(蝦夷の首領)を担う政権(安東国)が、14cまで十三湊を首都として存在したのだという。
安東国は北海道や樺太まで勢力を広げ、満州や中国、朝鮮、東南アジア、インド、アラビア、欧州との貿易で栄え、多数の異人館や、欧州人向けのカトリック教会もあったのだという。
「光年」や「冥王星」等近代の学術用語が登場する等トンデモ古文書ではあったが、一部の学者も取り上げ、大きく注目を浴びた。

◆『ゲルマニア』(98): 古代ローマの歴史家・タキトゥスの著書。ドナウ川の北、ライン川の東の「ゲルマニア」地方に住むゲルマン人の風俗や習慣を記した。

ヨハン・ホイジンガ: オランダの歴史家。1919.『中世の秋』。1938.『ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)』。

コンティキ号: ノルウェーの人類学者らが'47年に建造し、ペルーからフランス領ポリネシアまでの航海を行った大型の筏。
航海の成功により、ポリネシア人の祖先が南米から渡ってきた「可能性」が証明された。なお現在、この説は覆され、ポリネシア人の祖先は東南アジアからメラネシアを経由して渡ってきたと考えられている。

◆『歴史探偵』('21-): NHKの歴史教養番組。『歴史秘話ヒストリア』の後継番組。主な出演者に佐藤二朗


9、地理・観光

世界(ワールド): ①存在する事物の総体。「この世」「あの世」の「世(よ)」と同義。②ある分野の事物の総体。用例〈医者の世界〉。③地球上の全ての国と地域。

陸地(陸、ランド): 地球の表面のうち、水で覆われていない部分。世界の陸地の総面積は約1億5000万km2

大陸(コンチネント): 地殻上に存在する巨大な陸地を「島」と区別していう言葉。地球史レベルでは、大陸もプレート移動によって移動・合体・分裂を繰り返してきた。現在の地球では6大陸(ユーラシア、アフリカ、北米、南米、豪州、南極)を指す。

(アイランド): 大陸以外の陸地。現在の地球で最大の島はグリーンランド、2位はニューギニア島。複数の島がまとまって存在するものは「諸島」や「群島」、そのうち列を成しているものを「列島」と呼ぶ。

半島(ペニンシュラ): 3方位が海や湖、川等に接した陸地。

海峡(水道、瀬戸): 陸地によって狭められた水域。広い海と海峡の境目を「瀬戸際」といい、物事の成否の分岐点を表す慣用句にもなっている。

: 海や湖や川等で、水底が溝状に深くなっており、船の航路に適した部分。河川の流れ込む所にできやすい。

(河、河川、リバー): 水が流れる細長い地形。河川水は地球上の水の100万分の1を占めるに過ぎないが、水循環や人の水利用においてかけがえのない役割を果たす。

外来河川: 湿潤地域の水源から乾燥地域に流れ込む河川。ナイル川が代表的。

三角江(さんかくこう): ラッパ状に開いた河口。ドイツのエルベ川、英国のテムズ川、カナダのセントローレンス川、アルゼンチン・ウルグアイ国境のラプラタ川等。

遊水地(遊水池): 洪水時に河川水を氾濫させる土地。下流の流水量の調整を行う貯水池の役割ももつ。渡良瀬遊水地等。

背割堤(せわりてい): 2つの河川の合流部分や並走部分に作る、水位差による影響を軽減する堤防。宇治川と木津川の合流部分のものが有名。

輪中(わじゅう): 水害対策で、周囲をぐるりと堤防で囲んだ地域。木曽三川の下流域のものが有名。

雪形: 山に積もった雪や岩肌が形作る模様を、何かの形に見立てたもの。白馬岳の「代掻き馬」、五竜岳の「武田菱」等が知られる。

クレバス: 氷河や雪渓に出来る、深さ数m以上の大きな裂け目。表面が雪で隠れている場合(ヒドゥン・クレバス)もあり、転落事故が起きやすい。

温泉: 地中から湯が湧き出している現象や場所。又はそれを使った入浴施設やそれらが集まった地域(「温泉街」「温泉郷」等の温泉地)。
源泉数・湧出量が最も多い都道府県は大分県、温泉地が最も多いのは北海道、源泉数・温泉地が最も少ないのは沖縄県。

アネクメーネ: 人類の定住に適さない陸地の総称。南極大陸、砂漠、高山等。対義語は「エクメーネ」。

標高: 地表や海底の高さを、ジオイドから鉛直方向に測った高さで表したもの。類語に「海抜」があるが、正確には「海抜」はジオイドからではなく近傍の平均海水面から測った高さを指し、津波等の災害対策の分野で使う。

ジオイド: 地球の仮想上の海水面。地球の重力以外(海流や海水温)の影響を取り去った場合の海水面であるため、地域によっては実際の平均海水面と2m近い差がある。
その形の全体像は球形に近い回転楕円体で近似されるが、より正確にいえば、さらに細かく洋梨のように歪んでいる。

8方位: 45°を方位間隔とする方位の表し方。北から時計回りに、北、北東、東、南東、南、南西、西、北西。「八方美人」「八方塞がり」のように、全方向を意味する「八方」という言葉もある。

16方位: 22°30'を方位間隔とする方位の表し方。北から時計回りに、北、北北東、北東、東北東、東…と続く。

32方位: 11°15'を方位間隔とする方位の表し方。北から時計回りに、北、北微東、北北東、北東微北、北東、北東微東、東北東、東微北、東…と続く。

回帰線: 赤道傾斜角の緯線。約4万年周期で約22°から約24.5°の間を変化し、現在は約23.3°。太陽が天頂に来る北限/南限であり、北半球の夏至では北緯23.3°、南半球の夏至(北半球の冬至)では南緯23.3°で太陽が鉛直に照らす。
回帰線付近は亜熱帯高圧帯の影響で1年中乾燥し、砂漠気候となりやすい傾向にある(北回帰線付近のサハラ砂漠、ルブアリハリ砂漠、南回帰線付近のカラハリ砂漠、オーストラリア砂漠等)。

北極圏: 北緯66°33'以北の地域。北極海と、ロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、デンマーク(グリーンランド)、カナダ、米国(アラスカ州)の領土がある。
幾何学上、夏の白夜・冬の極夜が発生する範囲で定められているが、実際には光の屈折率や標高の関係で、もう少し南でも発生することがある。

協定世界時UTC): 世界各地の標準時の基準となる、自転に基づく時刻とのズレを補正した原子時計の時刻。

ユーラシア大陸: 6大陸の1つで、最大の大陸。全土が北半球にあり、地球の陸地面積の約4割、人口の約7割を抱える。EurasiaはEuropeとAsiaの合成語で、文化的観点から、周辺島嶼を含めてアジアとヨーロッパ(欧州)に分ける。
アフリカ大陸とはスエズ地峡を通して繋がっており、ホモ・サピエンスがアフリカを出て最初に進出した大陸である(5万年以上前)。
多様な地形や気候帯をもつため生物種が多く、主要な農作物・家畜の多くはユーラシア原産である。このことは、初期農業や文明の多くがユーラシアで成立し、世界史の中でユーラシアが優位を得ることに繋がった。

アフリカ大陸: 6大陸の1つ。ユーラシア大陸とはスエズ地峡を通して繋がっている。人類のふるさと。アフリカゾウ、キリン、カバ、シロサイ等、固有の大型哺乳類が多い。

南アメリカ大陸(南米大陸): 6大陸の1つ。約200万年前にパナマ地峡で北米大陸と接続するまで孤立大陸だったため、固有の生物種が多い。

オーストラリア大陸(豪州大陸): 6大陸の1つ。全土が豪州の国土。地盤が古く平坦な大陸で、活火山が1つも無い。長く孤立大陸であり、野生の動植物の多くが固有種となっている。

南極大陸: 6大陸の1つ。約98%が氷で覆われ、その厚さは平均2kmに及ぶ。平均標高は約2300mと6大陸中最も高い(氷床を含む高度)。南極条約により、全ての国の領有権が凍結され、平和利用が定められている。

大州(たいしゅう): 世界を非常に大きな領域に区分したもの。世界的にはアジア、ヨーロッパ(欧州)、アフリカ、アメリカ(米州)、オセアニアの五大州とすることが多い。
アメリカを北中米と南米、又は北米と中南米(ラテンアメリカ)に分けて六大州とするのも一般的。南極を加えた六大州、七大州とすることもある。

アジア(亜細亜): ユーラシア大陸のうち欧州を除く大部分と、日本等の周辺島嶼を占める大州。総人口は約50億人で、世界の約6割を抱える。東アジア、東南アジア、南アジア、西アジア、中央アジア、北アジア(=シベリア)に分ける。
アッシリア語で東を意味する「アス」に由来し、古代欧州で現在のアナトリア半島(小アジア)を指す言葉として使われ始め、さらに東へ東へと定義を拡大していった。

ヨーロッパ(欧羅巴、欧州): ユーラシア大陸北西の半島部と周辺島嶼を占める大州。総人口7億人余。アジアとの境界はウラル山脈・ウラル川・カスピ海・コーカサス山脈・黒海・ボスポラス海峡・マルマラ海・ダーダネルス海峡。
「西洋」の概念は欧州を中心とするもので、古代ギリシアに始まる西洋文明は、16c以降の植民地主義において世界中に拡散し、16-20cに欧州各国は世界の他の地域の大部分を支配下に置いた。
2度の世界大戦によって欧州は戦火で覆われ、超大国の地位を米国とソ連に奪われたが、今なお世界で最も豊かな地域であり続けている。

西洋: 欧州を中心とする文化圏。欧州と北米(更に豪州やニュージーランドを含めることもある)を指す「欧米」の概念とほぼ重なるが、欧州のみを指す場合もある。古くは「泰西」とも呼び「泰西名画」等の表現に残る。

黄海(こうかい): 中国大陸と朝鮮半島の間の海。北西は渤海、南は東シナ海。浅い大陸棚で、黄河が運ぶ黄土で濁った部分がある。

アラフラ海: ニューギニア島西部と豪州大陸の間の海。珊瑚礁から成る浅瀬が多い。白蝶貝の産地。

黒海: アジアと欧州に囲まれた内海。ケルチ海峡でアゾフ海と、ボスポラス海峡でマルマラ海と繋がる。ウクライナからドニエプル川(ドニプロ川)とドニエストル川、ルーマニアからドナウ川が注ぐ。

地中海: ユーラシア大陸とアフリカ大陸に囲まれた内海。ジブラルタル海峡で大西洋と、ダーダネルス海峡でマルマラ海と繋がり、スエズ運河で紅海と結ばれている。
波は穏やか。沿岸部では夏に乾燥する地中海性気候のため、歴史的に小麦、オリーブ、葡萄、柑橘類、イチジク、月桂樹(ローリエ)、コルクガシが栽培されてきた。

ドレーク海峡: 南米大陸南端部のフエゴ諸島と、南極大陸北端部のサウス・シェトランド諸島を隔て、太平洋と大西洋を結ぶ海峡。南緯60°付近に位置する。最狭部でも600km以上ある、世界一幅が広い「海峡」。
世界一荒れる海域として知られ、「絶叫する60度」の二つ名をもつ。ドレーク海峡の航海は大きな危険を伴うため、パナマ運河開通以前は太平洋と大西洋を結ぶルートとしてマゼラン海峡が極めて重要だった。
地名はこの海峡を初めて世に知らしめたイングランドの海賊、フランシス・ドレークから。

プエルトリコ海溝: 大西洋で最も深い海溝。プエルトリコのすぐ北側を東西に伸びる。

ステップ気候: ケッペンの気候区分の1つ。乾燥帯に属する。雨季に少量の雨が降り、丈の短い草原(ステップ)が広がる。

地中海性気候: ケッペンの気候区分の1つ。夏季に乾燥し、乾燥に強いオリーブや葡萄、柑橘類が栽培される。

タイガ: 亜寒帯地域の針葉樹林。シベリアの針葉樹林を指すロシア語から。

ツンドラ: 北極海沿岸の、地下に永久凍土が広がり降水量が少ない地域。寒帯唯一の可住地域。

地域: 一定の広さをもった土地のこと。又は、世界の中で独立国として確立していない地域のこと(例「五輪には200以上の国と地域が参加する」)。

地方: 国や都道府県を区分した地域のこと(「ロシアの沿海地方」「関東地方」「庄内地方」等)。又は首都等の大都市から離れた地域のこと。

本土: 国の中心的な国土のこと。文脈により、①地理的に離島との対比で使う場合、②政治的・文化的に、植民地、属国、後から国土に編入された地域、主権が明確に及ばない地域等との対比で使う場合がある。
①の場合、日本では、国交省が定義する「離島」以外、つまり北海道本州四国九州沖縄本島の5島を指すことが多い(Qpediaでもこの用法が中心)。但し、北海道・本州・四国・九州の4島のみを「本土」と呼ぶ法律もある。
②の場合、日本では、北方領土・竹島以外の主権が及ぶ範囲を「本土」と呼ぶことがある。又、北海道や南西諸島、小笠原諸島も除く「古くから和人が統治した本州・四国・九州とその周辺」を「本土」と呼ぶ伝統もあり、生物の和名における「ホンド」(ホンドギツネ、ホンドダヌキ等)は、こうした背景から「エゾ」「アマミ」「リュウキュウ」「オガサワラ」等と対比する意味で付けられている。

首都(都(みやこ)、キャピタル): 一般に、国家の政府がある中心都市。但し、政府の実質的な本拠地ではなく、国家のシンボル的な都市を法律上の首都とする国もある。

プライメイトシティ: その国で最も大規模で、2番手以下を大きく引き離した都市。韓国のソウル、タイのバンコク等。

カスバ: 北アフリカの都市の城壁をもつ旧市街のこと。アラビア語で「城塞」を指す。

目抜き通り: 「人通りの多い主要な通り」「繁華街」を意味する言葉。元々は「目貫」で、刀剣の柄の側面の飾り金具のこと。刀の中心を貫くように付けられ、目立つため、喩えられるようになったと考えられる。

人口重心: ある地域の住民1人1人の体重が同じだと仮定したときに、全体のバランスがとれる地点。日本の場合は'00年以降、岐阜県関市に位置する。

Uターン: ある場所から別の場所に行き、進路を180度変えてまた元の場所に戻ること。又は、地方から都市に移住した人が、また故郷に戻って定住すること。

Jターン: 地方から大都市に移住した人が、やがて故郷に近い都市に定住すること。

Iターン: 都市出身者が地方に移住すること。

ストロー効果: 交通網の整備により、地方から大都市への人やカネの流出が進むこと。

スポンジ化現象: 都市内に空き家・空き地がランダムに発生する現象。近年の日本では、スプロール化現象等に代わって問題となっている。

政令指定都市(政令市): 地方自治法に基づいて政令が指定し、都道府県の権限の一部を移譲した市。当初は旧六大/五大都市の横浜、名古屋、京都、大阪、神戸の5市でスタートした。'63.北九州市が旧六大都市以外で初指定。
'24現在、札幌、仙台、さいたま、千葉、川崎、横浜、相模原、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、堺、神戸、岡山、広島、北九州、福岡、熊本の20市で、人口の上位20市(約65万人以上)と全く同じ顔ぶれ。人口最多は横浜、最少は静岡
条例で行政区の設置が定められている。行政区最多は大阪(24)、最少は相模原・静岡・浜松(3)。市名と一致する区名に川崎市川崎区堺市堺区、都道府県名と一致する区名に横浜市神奈川区神戸市兵庫区がある。

公示地価: 国交省が算出する「標準地」の地価。土地取引の目安となる。'22年の1位は中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」(1m2あたり5000万円超)。

基準地価: 都道府県が算出する「基準地」の地価。都市部以外の地域も対象とし、公示地価を補完する。

路線価: 国税庁や市町村が税金を計算するために算出する、主要な道路に面する標準的な宅地の価格。公示地価の7-8割程度。'22年の1位は中央区銀座5丁目の「鳩居堂前」(1m2あたり4000万円超)。

三角点: 三角測量で経度・緯度・標高の基準とする地点。地図記号は三角形の中に黒丸。

水準点ベンチマーク): 水準測量で標高の基準とする地点。地図記号は四角形の中に黒丸。

横メルカトル図法: 地図投影法の一種。メルカトル図法が南北方向の円筒に地図を投影するのに対し、東西方向の円筒に地図を投影することで、基準経度付近の地方を正確に表す。
各経度を基準とする横メルカトル図法の地図を繋ぎ合わせた地図は「ユニバーサル横メルカトル図法(UTM)」といい、国土地理院の地形図はこれを採用している。

正距方位図法: 地図投影法の一種。中心地点から各地点への距離・方位を正しく表す。

鯨瞰図: 海底を海中から見下ろすように描いた図。

ブルーマップ: ゼンリンが発行する、住宅地図の上に、不動産登記上の地番、用途地域名、建蔽率、容積率等を青色で印刷した地図。

コンパスローズ(羅針図): 地図や海図に描かれる、方位を示す図形のこと。昔の羅針盤の派手な飾り模様から、薔薇に見立てて名付けられた。

ホカンス: 温泉やプール、豪華な食事を楽しむ等、ホテル滞在そのものを目的とした旅行のこと。ホテルとバカンスを合わせた造語。

ダークツーリズム: 災害の被災地、戦災跡地等を巡る観光のこと。

JTB: 日本の大手旅行会社。'63.日本交通公社の分割・民営化で設立。

世界遺産: ユネスコが認定する、顕著な普遍的価値をもつ不動産。自然遺産文化遺産複合遺産の3種類がある。'78.ガラパゴス諸島やアーヘン大聖堂等12件が最初の世界遺産に登録。
'23現在、千数百件が登録されている。世界遺産数が多い国の上位はイタリア、中国、ドイツでいずれも50件を超える。日本では'21年までに25件が登録されている。

名勝: 国指定の文化財のうち、芸術的価値が高い庭園、橋、峡谷、山岳等について指定するもの。

日本遺産: 日本各地の遺跡や文化財、生活文化等を、伝承や風習と共にまとめた「ストーリー」を文化庁が認定したもの。'23現在、100件余りが認定されている。
地方創生プロジェクトの意味合いが強く、東京都関係で認定されたのは「霊気満山 高尾山」のみ。

統合型リゾート(IR): 国際会議場・展示場等のMICE施設、ホテル、ショッピングモール、アミューズメント・スポーツ施設、温浴施設等が一体になった複合観光集客施設。
世界的にはカジノを収益の柱とするIRが多い。日本では、国内に世界規模の国際展示場がない状態を解消するため、カジノを擁するIRを開設するための法整備が進められた。
'16.IR推進法成立。'22年の整備計画申請期限までに、大阪府・大阪市(夢洲)、長崎県(佐世保市)が申請した。'23.政府が大阪の計画の認定を表明。

コンドミニアム: キッチンや洗濯機等、生活設備を個別に備えた、主に長期滞在者向けの宿泊施設。

貸別荘: 戸建て・貸切型の宿泊施設のこと。
ハイクオリティな施設を「ヴィラ」、ヴィラには劣るがリビングやキッチン、ベッドルーム、バスルーム等を一通り備えたものを「コテージ」、キャンプ場等にある寝袋を持ち込んで泊まるような小屋を「バンガロー」と呼ぶことが多い。
コテージとバンガローの中間的な施設を「ロッジ」ということもある(但し、ロッジは基本的には山小屋を指す言葉。山では宿泊施設以外にもロッジと名付けられる施設は多い)。

メルパルク: 日本郵政が保有するホテル・複合施設のブランド。かつて郵貯(郵政省貯金局)の天下り先として全国15の主要都市に建設された。多目的ホールも備えた大規模な施設が多かった。
'24現在、営業中の施設は名古屋、広島、熊本。他の施設は閉業し、売却、又は再開発が計画されている。

伊東園ホテルズ: 東日本各地の温泉地を中心に展開するホテルチェーン。母体となった施設は伊東温泉の「伊東園ホテル」。

変なホテル: H.I.S.グループが展開するホテルチェーン。ロボットが接客する。

コニカミノルタプラネタリウム: コニカミノルタ傘下のプラネタリウムメーカー。サンシャインシティ(池袋)の「満天」('04-)、東京スカイツリータウンの「天空」('12-)、有楽町マリオンの「プラネタリアTOKYO」('18-)等の直営館がある。

キャメルバック: ジェットコースターのコースの基本となる、ラクダの背の瘤のような山なり構造のこと。

トーゴ: 遊園地のアトラクションやエレメカで知られたメーカー。
'53.浅草花やしき「ローラーコースター」(国産初のジェットコースター、'24現在も稼働中)。'75.世界初のもぐら叩きゲームを発売。'92.東京ディズニーランド「スプラッシュ・マウンテン」。'96.富士急ハイランド「FIJIYAMA」。'04.経営破綻。

日本国日本、ジャパン、JP、JPN): (Qpediaの執筆者にとっての)わが国。日本列島、南西諸島、伊豆諸島、小笠原諸島等を国土とする東アジアの国連加盟国。人口約1億2500万人、面積約38万km2
「にっぽん」又は「にほん」と音読みで読むが、古くは「ひのもと」「やまと」とも読んだ。「敷島」「扶桑」「瑞穂」「秋津島」等の古い雅称もある。
7c.「日本」という国号が登場。1854.日英和親条約で「大日本帝国」という国号が登場。1868.明治維新で東京の近代政府が確立する。
'45.WWII敗戦で連合国軍(実質的には米国)の占領下となる。'47.日本国憲法施行で「日本国」が国号となる。'52.サンフランシスコ平和条約で主権を回復。'56.国連加盟。

関東地方: 日本の広域地方名。元々は古代三関(さんげん)より東の全地域を指したが、江戸時代には関東平野が広がる坂東あるいは関八州(常陸・下野・上野・武蔵・下総・上総・安房・相模)と同義語となった。
現在の都道府県では茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川の1都6県にあたる。人口4000万人超(日本全体の3分の1以上)。一般的ではないが山梨県等を含むこともある。

北関東: 関東地方北部の、茨城・栃木・群馬の3県の総称。埼玉を加えることもある。茨城×栃木、栃木×群馬の「ライバル関係」が話題になることがある。

近畿地方関西地方): 日本の広域地方名。古代日本の政治的中心だった畿内とその近隣地域。口語では「関西」と呼ぶことが多い。
現在の都道府県では三重・滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山の2府5県にあたる。人口2000万人超。三重県は東海地方又は中京地方として外すことも多い(特に「関西」と呼ぶ場合)。
「近畿」とほぼ同じ発音の英語「kinky」には「ねじれた」「変態の」等の意味があり、国際化が進んだ近年では、英名で「Kinki」の使用を避けることがある。
近畿日本鉄道は「Kinki Nippon Railway」から「Kintetsu Railway」に、近畿大は「Kinki University」から「Kindai University」に英名を変更した。

リマン海流: 日本海を北から南に流れる寒流。「リマン」は「大河の河口」を意味するロシア語。大河とはアムール川のこと。

相模トラフ: 関東地方の南方沖に広がるトラフ。南西側のフィリピン海プレートが北東側の北米プレートに沈み込んでいる。元禄地震(1703)、関東大震災(1923)等、巨大地震が繰り返されてきた。

北海道: 日本の都道府県の1つで唯一の道(どう)。日本の北端に位置する。道域の大部分を構成する主島の名でもあり、島としては日本列島の主要4島の1つで、本州の次に大きい。
人口約500万人、面積約83,000km21位)、人口密度は約60人/km247位)。道庁所在地は札幌市。
近世まで主にアイヌが住む土地であり、アイヌ語では「アイヌモシリ(人間の土地)」、和人からは「蝦夷地(えぞち)」と呼ばれた。明治初期に北海道の名が付けられ、開拓使が置かれ全道的な和人入植が本格的に行われた。
戦前の行政的な名称は北海道庁だったが、地方自治法('47)で「道」の部分が「都」「府」「県」と並び自治体の種類を表す名称とされた。但し、今でも、地名として北海道から「道」を外して「北海」と呼ぶことはない。
気候区分は大部分が亜寒帯に属し、動物相も本州とは津軽海峡(ブラキストン線)を隔てて大きな違いがある。
日本の食糧基地と呼ばれ、農家1戸当たりの耕地面積は他の都府県の10倍以上と、大きな特徴がある。特に酪農は盛んで、生乳の国内生産量の過半を占める。
「都道府県魅力度ランキング」は1位常連で、特に「観光意欲度」「産品購入意欲度」で高い人気を誇る。

札幌市: 北海道庁所在地、石狩振興局所在地、政令指定都市。人口約200万人。中央区、北区、東区、白石区(しろいしく)、豊平区、南区、西区、手稲区、厚別区、清田区の10区がある。
200万人もの人口を抱える都市としては世界で最も雪が多く、年間の除雪費は300億円に及ぶこともある。
明治期に計画的に作られた街並みは碁盤の目状で、中心部の住所は「北(南)○条西(東)○丁目」。交差点には交差点名ではなく信号機がある区画の住所を表示するため、同じ交差点でも信号機によって名前が違う。

白い恋人パーク: 札幌市西区のテーマパーク。「白い恋人」で知られる石屋製菓の本社・工場所在地。工場見学が出来るほか、ローズガーデンやコンサドーレ札幌の専用練習場がある。

ロイズタウン駅: 石狩管内当別町にある、JR札沼線(学園都市線)の駅。ロイズふと美工場の最寄駅。'22.JR北海道在来線の20年ぶり新駅として開業。

後志総合振興局(しりべし-): 北海道西部の後志地方を管轄する振興局。所在地は倶知安町。管内人口は約20万人で、小樽市が過半を占める。

小樽市: 後志管内の市。人口約10万人。港町で、明治・大正期には北海道経済の中心地だった。札幌から快速電車で30分余。
近年は人口減少が激しい一方、小樽運河、寿司、ガラス(北一硝子)、オルゴール(小樽オルゴール堂)で知られる観光地となっている。平地が少なく「坂の街」と呼ばれるが、印象としては「崖の街」と呼んでもいいほど。
小林多喜二、香山リカ、京極夏彦、加藤浩次(極楽とんぼ)、山口一郎(サカナクション)の出身地。

堺町通り(さかいまち-): 小樽市堺町の観光通り。南小樽駅に近い「メルヘン交差点」から、「北のウォール街」方面に1km近く続く。北一硝子の店舗や各施設(カフェ「北一ホール」や美術館)、小樽オルゴール堂、ルタオ本店等の洋菓子店が並ぶ。

北のウォール街: 小樽市色内(いろない)の旧金融街。レトロな石造りの建物が並ぶ。一部はニトリが運営する美術館群「小樽芸術村」となっている。

小樽運河: 小樽市の運河。全長1km余。色内地区の海岸の沖合を埋め立てることで形成された。周りには石造りの倉庫群が立ち並ぶ。戦後、埠頭の拡充整備で使命を終えたが、80sに散策路を整備し、観光地として再生した。

おたる水族館: 小樽市祝津(しゅくづ)にある、道内最大規模の水族館。海を仕切っただけの豪快なプールで海獣類のワイルドな姿が見られる。

余市町(よいちちょう): 後志管内の町。ワインとウイスキーで知られる。ニッカウヰスキーの創業地で余市蒸溜所がある。港町でもあり、ニシン漁で歌われてきた民謡「ソーラン節」の発祥地。宇宙飛行士・毛利衛の出身地。

積丹半島(しゃこたん-): 後志管内の半島。起伏に富んだ海岸の景観で知られる。世界でも珍しい、高確率でトドと遭えるダイビングスポットでもある。

由仁町(ゆにちょう): 空知管内の町。珍名の川・ヤリキレナイ川(石狩川水系夕張川支流)が有名。漫画家・杉基イクラの出身地。

旭川市: 上川総合振興局所在地。人口約30万人(道内2位)。北海道のほぼ中央に位置し、JR函館本線の特急(カムイ、ライラック)は札幌駅⇔旭川駅を約1時間半で結ぶ。南東の東神楽町との境に旭川空港がある。
旭山動物園、旭川家具、旭川ラーメン等が有名。上川盆地に位置するため寒暖差が激しい。1902.日本史上最低気温を観測(-41.0℃)。
主な出身者に、ヴィクトル・スタルヒン、三浦綾子、藤圭子、安全地帯、佐々木倫子、藤田和日郎、上野3姉妹(柔道)、とにかく明るい安村ら。

比布町(ぴっぷちょう): 上川管内の町。旭川市の北東に位置する。全国のJR駅で唯一半濁音で始まる「比布駅」がある。

朱鞠内湖(しゅまりないこ): 上川管内幌加内町(ほろかないちょう)にある、日本最大の人造湖。1943.雨竜第一ダム(うりゅう-)の完成に伴って誕生した。

剣淵町(けんぶちちょう): 上川管内の町。「絵本の里」。'91.絵本専門の図書館をオープン。

士別市: 上川管内の市。人口約1.7万人。天塩川の水源がある。標津町との区別で「さむらいしべつ」と説明読みされることがある。輪島功一、高橋しんの出身地。

名寄市: 上川管内の市。人口約2.5万人。糯米の産地として有名。日本最北の国公立大学(名寄市立大学)がある。

留萌市: 留萌振興局所在地。人口約2万人。鰊と数の子で有名。森田公一、北の富士、若松勉の出身地。

豊富温泉: 宗谷管内豊富町(とよとみちょう)の温泉。石油を含む泉質で知られる。

利尻岳(利尻富士): 利尻島の成層火山。深田久弥『日本百名山』で最初に紹介される山。銘菓「白い恋人」のパッケージに描かれている。

稚内市: 宗谷総合振興局所在地。人口約3万人。東部に(北方領土を除く)日本の最北端・宗谷岬(厳密にはその北西の弁天島)がある。市街地は、宗谷岬よりも西側の、ノシャップ岬の近くにある。
稚内港は利尻島、礼文島、サハリン(コルサコフ)への玄関口となっている他、稚内空港もある。ミズダコの名産地で、「たこしゃぶ」「タコカレー」等が知られる。

クッチャロ湖: 宗谷管内浜頓別町(はまとんべつちょう)の湖。ラムサール条約登録湿地で、白鳥の飛来地として知られる。屈斜路湖と名前がそっくり。

紋別市: オホーツク管内の市。人口約2万人。流氷の季節になると砕氷船「ガリンコ号」が運航される等、流氷観光が盛ん。オホーツク紋別空港がある。鉄道は国鉄民営化後間もなく廃止され、通っていない。

北見市: オホーツク管内の市。人口約10万人。面積は日本の市区町村で岐阜県高山市、静岡県浜松市、栃木県日光市に次ぐ4位(北方領土を除く)。
東はサロマ湖があるオホーツク海沿岸、西は石北峠まで広がり、陸続きの最も遠い地点間の距離は優に100kmを超え、日本一長い(東京都よりも長い)。中心市街は内陸盆地に位置し、旭川市や帯広市と並んで寒暖差が激しい。
玉ねぎ、薄荷(ミント)、焼肉が有名。日本最北の国立大学(北見工業大学)がある。沿岸の旧常呂町を中心にカーリングが盛んで、ロコ・ソラーレ(LS北見)等のチームは日本代表として活躍している。Whiteberry、菊地亜美、丸山礼の出身地。

網走市: オホーツク総合振興局所在地。人口約3万人。ご当地キャラ「ニポネ」は、ニポポ(アイヌこけしとも呼ばれる民芸品)とクリオネがモチーフ。

能取湖(のとろこ): 網走市の塩水湖(元汽水湖)。湖畔にアッケシソウ(珊瑚草)の群生地があり、毎年秋には一面が赤色で埋め尽くされる。

根釧台地: 根室管内標津町(しべつちょう)、中標津町(なかしべつちょう)、別海町(べつかいちょう)等に広がる台地。
日本最大の酪農地帯で、ホルスタインの飼育頭数が人口を大きく上回る。広大な牧場と、航空写真でも目立つ格子状の防風林がどこまでも広がっている。

根室海峡: 北海道と国後島を隔て、オホーツク海と太平洋を結ぶ海峡。最狭部は約17kmで、北海道側は野付半島。「鮭の聖地」として日本遺産にも登録されている。

野付半島(のつけ-): 根室管内標津町、別海町に跨る日本最大の砂嘴(さし)。

風蓮湖: 根室管内別海町、根室市に跨る汽水湖。ラムサール条約登録湿地で、白鳥をはじめ様々な渡り鳥が飛来する。

根室市: 根室振興局所在地。人口約2万人。北海道の東端に位置し、市域のほぼ全体が根室半島となっている。花咲蟹やエスカロップが名物。近世アイヌが築いたチャシ(砦)が最も集中する地域で、約30の遺構がある。

納沙布岬(のさっぷ-): 根室市にある、北海道最東端の岬。南鳥島や北方領土を除く、日本国内の普通に訪問可能な場所の最東端。

釧路市: 釧路総合振興局所在地。人口約16万人。道東随一の臨海工業都市。日照時間は日本有数の長さを誇る一方、夏でも海霧に覆われ、気温はとても涼しい。
幣舞橋(ぬさまい-)からみた夕日が有名(世界三大夕日にも数える)。たんちょう釧路空港、阿寒湖(中心部からは北に70kmも離れている)がある。板垣恵介、今敏の出身地。

屈斜路湖(くっしゃろこ): 釧路管内弟子屈町(てしかがちょう)にある、日本最大かつ世界有数のカルデラ湖。カルデラの面積としても阿蘇山を凌ぎ日本一。日本最大の湖中島・中島がある。

オンネトー: 十勝管内足寄町の東部・雌阿寒岳の麓にある湖。近くに「オンネトー湯の滝」があり、かつては滝上の池が天然の露天風呂になっていた。

然別湖(しかりべつこ): 十勝管内上士幌町・鹿追町に跨る湖。大雪山国立公園内に位置する。道内の湖で最も標高が高い「天空の湖」。
湖が十分に凍結する季節(毎年1月末~3月上旬)には「氷上コタンまつり」として、湖上にイグルーが立ち並び、氷上露天風呂やロッジ、バー、チャペル等が現れる。

帯広市: 十勝総合振興局所在地。人口約16万人。豚丼、六花亭、柳月、ばんえい競馬で知られる。
旧国鉄広尾線(現在は廃線)の愛国駅幸福駅があり、両駅間の切符は「愛の国から幸福へ」というキャッチコピーで70sに大ブームとなった。現在も共に駅舎が残されている。

むかわ町: 胆振管内の町。シシャモ漁と恐竜化石で有名。化学者・鈴木章の出身地。

苫小牧市: 胆振管内の市。人口約17万人。北海道を代表する工業都市・港湾都市。王子製紙が明治期から工場を置き、世界最大級の新聞紙生産工場となっている。北寄貝(姥貝)の水揚げ量は日本一。

苫小牧港: 胆振管内苫小牧市・厚真町(あつまちょう)に跨る港湾。歴史は新しいが、現在は北日本最大の取扱貨物量を誇り、フェリーの航路でも北海道の「海の玄関口」となっている。
'63.世界初の内陸掘込式港湾・苫小牧西港が開港。'80.苫小牧東港が開港。

ウトナイ湖: 苫小牧市東部の湖。'81.日本野鳥の会が日本初のバードサンクチュアリに指定。

登別市: 胆振管内の市。人口約4万人。登別温泉やのぼりべつクマ牧場、登別伊達時代村で知られる観光地。

カルルス温泉: 北海道登別市の温泉。登別温泉よりも内陸にある。名称はチェコの保養地にちなんでいる。

室蘭市: 胆振総合振興局所在地。人口約8万人。日本製鋼所の創業工場、日本製鉄の製鉄所がある「鉄のまち」。室蘭やきとり、室蘭カレーラーメンでも知られる。安田顕、安倍なつみの出身地。

チキウ岬(地球岬): 室蘭市の岬。地名はアイヌ語由来ながら、「地球」の丸さを感じられる果てしない水平線と、100m前後の断崖絶壁の連なりが見られる景勝地。灯台も有名。

白鳥大橋: 室蘭市の吊橋。瀬戸内海を除く日本の地域で最も長い吊橋。

伊達市: 胆振管内の市。人口約3万人。明治期に伊達氏の一門が開拓した。福島県にも同名の市があり、どちらも伊達氏に由来する。'05.平成の大合併で大滝村と飛び地合併。大滝にはきのこ王国の本店がある。

八雲町(やくもちょう): 渡島管内の町。日本の市区町村で唯一、太平洋と日本海の両方に面する。木彫り熊、バター飴の発祥地。

函館市: 渡島総合振興局所在地。人口約24万人(道内3位)。函館山からの夜景、五稜郭、幕末以来の洋館・教会群、湯の川温泉で知られる観光都市。ローカルチェーンのラッキーピエロハセガワストアも有名。
函館港は日米修好通商条約で開港が決まった5港の1つで、1859年に横浜・長崎と共に日本の玄関口となった歴史をもつ。三橋美智也、GLAY、YUKI(JUDY AND MARY)の出身地。

北斗市: 渡島管内の市。人口約4万人。北海道新幹線の暫定終点駅・新函館北斗駅や、日本初の修道院・トラピスト修道院がある。

吉岡海底駅: 青函トンネル内(北海道福島町沿岸部)の廃駅。世界一海抜が低い駅だったが、北海道新幹線開通に伴い廃止。

択捉水道: 択捉島と、その北のウルップ島の間にある海峡。幕末の日露和親条約ではこの海峡を日露の国境と定めた。植物相の分布境界線としては「宮部線」という。

津軽海峡: 北海道南端と本州北端(青森県)を隔て、日本海と太平洋を結ぶ海峡。最狭部は約19kmで、函館市と青森県大間町の間。
水深が深く(比較的浅く、海底に青函トンネルを通している西側の松前半島・津軽半島間でも約140mの深さがある)、最終氷期にも陸続きにならなかった。動物相の分布境界線としては「ブラキストン線」という。

竜飛崎(たっぴざき)(竜飛岬): 青森県外ヶ浜町(そとがはままち)にある、津軽半島北端の岬。青函トンネルの本州側の入口。日本唯一の階段国道(国道339号線)や、夏季のみ営業する青函トンネル記念館がある。
記念館からはケーブルカーで地下の体験坑道に行くことができる(北海道新幹線開業前の津軽海峡線時代は竜飛海底駅があり、鉄道でも行くことができた)。

十三湖(じゅうさんこ): 五所川原市北部の湖。津軽半島の西側で日本海に面した汽水湖。南から流れてくる岩木川の下流にあたり、水深は最大3mと非常に浅い。シジミと白鳥で有名。

十三湊(とさみなと): 現在の五所川原市北部で、古代~中世に栄えた港町。当時は内海だった十三湖に面し、北日本を代表する港町として栄えた。室町時代中期に、拠点としていた安東氏が南部氏に敗れ、蝦夷地へ逃げると急速に衰退した。

白神山地: 青森県西部・秋田県北部に跨る山地。ブナの原生林で知られる。'93.日本初の世界遺産の1つとなる。

田舎館村(いなかだてむら): 青森県津軽地方の村。田んぼアート発祥の地。

青森市: 青森県庁所在地。人口約25万人。江戸時代初期に港町として発展。三内丸山遺跡や青森ねぶた祭が知られる。豪雪都市であり、世界の人口10万人の都市の中で最大の積雪量を誇る。

夏泊半島(なつどまり-): 青森県中央部で、津軽半島と陸奥半島に囲まれた陸奥湾を二分する小さな半島。

むつ市: 青森県の下北半島にある市。人口約5万人。本州最北端の市で、本州最北端の鉄道駅・下北駅もある。日本初のひらがな名の市。

恐山(おそれざん): むつ市の活火山。下北半島の中心に位置し、カルデラ湖をもつ。奥州三霊場の1つで、イタコの口寄せが行われる。

東通村(ひがしどおりむら): 青森県の下北半島にある村。尻屋崎、猿ヶ森砂丘、東北電力の東通原発がある。

尻屋崎: 下北半島の北東部に突き出た岬。東北地方最古の灯台・尻屋崎灯台があり、周囲では野生馬(寒立馬(かんだちめ))が放牧される。

三陸海岸: 青森県八戸市から岩手県を経て宮城県石巻市に至る、総延長600km余の隆起海岸。北部は海岸段丘で知られ、南部は日本最大のリアス式海岸。「三陸」の名は旧国名「陸奥」「陸中」「陸前」から。

種差海岸(たねさし-): 三陸海岸の北端に当たる、八戸市東部の海岸。海岸段丘が発達した景勝地。東山魁夷の『道』は種差海岸の風景が元になっている。

蕪島: 八戸市の島。種差海岸の北端にあり、戦前の埋め立てで本土と陸続きになっている。ウミネコの大繁殖地であり、街の近くでウミネコの巣を間近に観察できる日本唯一の場所。

奥州市: 岩手県の内陸南部の市。人口約10万人。前沢牛、江刺りんごが名物。東北新幹線の水沢江刺駅がある。

遠野市: 岩手県中央部の市。人口約2万人。民間伝承の宝庫で、柳田國男『遠野物語』の題材となった。市の観光協会が「カッパ捕獲許可証」を発行している。

宮城県: 日本の都道府県の1つ。東北地方の太平洋側に位置する。人口約230万人(東北地方最多)。県庁所在地は仙台市。
学校の授業開始時の号令が「起立、気を付け、礼、着席」ではなく「起立、注目、礼、着席」。

石巻市: 宮城県北東部の市。人口約13万人。女川町を除く牡鹿半島(おしか-)一帯が市域。石巻漁港は国内有数の水揚げ量を誇り、長さ800m以上の魚市場は「世界一長い魚市場」としてギネス登録されている。

金華山(きんかさん): 宮城県石巻市の島。奥州三霊場の1つで黄金山神社がある。島のほとんどは原生林で、鹿や猿も生息する。沖合は黒潮と親潮がぶつかる世界有数の好漁場で、鰹や鯖が有名。

東松島市: 宮城県中部・仙台湾沿岸の市。人口約4万人。ブルーインパルスの本拠地・航空自衛隊松島基地がある。

日和山(ひよりやま): 仙台市沿岸部の山。標高3m。東日本大震災で地盤沈下・流出し、日本一低い山として国土地理院に認定された。

秋保温泉(あきう-): 仙台市内陸部の温泉。奇岩で知られる磊々峡(らいらいきょう)等の景勝地と隣接する。

面白山(おもしろやま): 仙台・山形市境にある奥羽山脈中の火山。仙台側から見ると山肌が白く見えることから。

名取市: 宮城県南部の市。人口約8万人。仙台空港や雷神山古墳(東北地方最大の古墳、前方後円墳)がある。

大潟村(おおがたむら): 秋田県の村。全域が、昭和30年代に八郎潟を埋め立てて造られた干拓地(日本最大の干拓地)。北緯40°と東経140°の交点の記念碑がある。

秋田市: 秋田県庁所在地。人口約30万人。江戸時代には、中心市街が久保田城の城下町として、土崎(つちざき)が北前船の寄港地として栄えた。
市内に秋田空港、JR秋田駅(秋田新幹線終点駅)、秋田大学、国際教養大学、日本最大級の油田である八橋油田や黒川油田がある。

角館(かくのだて): 秋田県仙北市南部の地名。江戸時代には久保田藩・佐竹氏の分家の拠点であり、当時の武家屋敷等が残る「みちのくの小京都」。

横手市: 秋田県南東部の市。人口約8万人(県内2位)。2月の伝統行事・かまくらや、ご当地グルメの横手焼きそばで有名。

鳥海山: 秋田・山形県境にある2000m級成層火山。「出羽富士」。

出羽三山: 山形県鶴岡市の羽黒山(はぐろさん)、月山(がっさん)、湯殿山(ゆどのさん)の総称。修験道の霊山として知られる。

加茂水族館: 山形県鶴岡市の水族館。「クラネタリウム」と称する展示を行い、飼育するクラゲの種類の数でギネス認定された。

新庄市: 山形県北東部の市。人口約3万人。最上郡と共に最上地方を構成する。日本有数の豪雪地帯で、日本一日照時間が短い市。JR新庄駅(山形新幹線終点駅)がある。

肘折温泉: 山形県最上郡大蔵村(おおくらむら)の温泉。日本有数の豪雪地帯。

蔵王温泉: 山形市の温泉。蔵王温泉スキー場を併設し、冬はスキー客でも賑わう。

上山市(かみのやまし): 山形県の市。人口約3万人。山形市のすぐ南に位置する。かみのやま温泉上山城で知られる。

スパリゾートハワイアンズ: いわき市のスパリゾート。いわき湯本温泉の温泉水を使っている。ダンサーの養成学校を併設し(学校創設は映画『フラガール』('06)で描かれている)、フラガールやファイヤーナイフダンスチームが出演するショーを行っている。

小名浜港: いわき市にある福島県最大の港。水族館「アクアマリンふくしま」がある。

飯坂温泉(いいざか-): 福島市の温泉。日本で初めてラジウムが発見された温泉で、温泉卵の「ラジウム玉子」が名物。

安達太良山(あだたらやま): 福島県福島市、郡山市等に跨る火山。高村光太郎の詩「あどけない話」に登場する。

飯盛山(いいもりやま): 福島県会津若松市の山。標高300m余。戊辰戦争における白虎隊自決の地。

利根川: 群馬県、埼玉県、茨城県、千葉県を流れ太平洋に注ぐ川。信濃川に次いで日本で2番目に長い川であり、日本一流域面積が広い川。日本三大暴れ川の1つで「坂東太郎」の異名をもつ。
群馬県内を南下した後、伊勢崎市・本庄市以東は群馬・埼玉県境を通り、渡良瀬川を合流させ、江戸川を分岐させると、それ以東は概ね茨城・千葉県境を流れながら、鬼怒川・小見川を合流させる。
江戸時代初期の瀬替え(利根川東遷事業)以前は、渡良瀬川と合流せずに南下し、現在の古利根川や中川を通って東京湾に注いでいた。

中川: 埼玉県、東京都を流れ東京湾に注ぐ川。江戸川の西、荒川の東を流れる。越谷市で古利根川や元荒川を合流させ、都内では葛飾区・江戸川区を通る。下流部は荒川と並走する。
現在の中流部は、江戸時代初期の利根川東遷・荒川西遷まで、両河川の水が合流する大流路だった。

荒川: 埼玉県、東京都を流れ東京湾に注ぐ川。江戸時代の瀬替え(荒川西遷事業)や戦前の荒川放水路開削等で、流路を大きく変えた。
現在の流路は、奥秩父の甲武信ヶ岳に発し、秩父盆地まで東に、秩父盆地から長瀞渓谷まで北に流れ、長瀞町で東に向きを変え、寄居町の荒川扇状地で関東平野に出て、熊谷市で南南東に向きを変え、川越市で入間川を合流させ、戸田市で東に向きを変えて都県境を流れ、岩淵水門で隅田川を分岐させると間もなく足立区に入り、足立区で南に向きを変え、墨田区・江東区と葛飾区・江戸川区の区境を通って東京湾に注ぐ。
古来からたびたび氾濫し流路を変えてきたが、江戸時代初期には、現在の熊谷市から先は現在の元荒川を通っていた。17cに利根川東遷と前後して、荒川は元荒川と分離させ、入間川に合流させる瀬替え(西遷)を行った。
西遷後の荒川の下流は現在の隅田川であり、流れが速く洪水に悩まされた。そこで、1913-30年に荒川放水路(岩淵水門から先の部分)を開削。戦後は放水路が荒川の本流となり、隅田川は荒川の分流とされたため、荒川区には荒川が流れていない。

新河岸川(しんがし-): 埼玉県、東京都を流れる川。荒川水系隅田川の支流。川越市や志木市で荒川の西を流れ、東京都に入って岩淵水門の先で隅田川に合流する。

茨城県: 日本の都道府県の1つ。関東地方の北東に位置する。人口約280万人。県庁所在地は水戸市。「いばらぎ」と読まれることもあるが「いばらき」が正式。
農業産出額は北海道、鹿児島に次ぐ3位。近郊農業が中心で野菜や鶏卵の生産量が多い(鶏卵は全国1位)。新幹線が通過する一方で駅が無い唯一の都道府県(西部を東北新幹線が通過)。

常陸国(ひたちのくに): 東海道に属する旧令制国で、現在の茨城県(下総国に含まれた県西部を除く)。室町時代の守護は佐竹氏。

水戸藩: 常陸国の藩。現在の茨城県中部・北部を治めた。藩庁は水戸城。事実上の藩祖は徳川頼房(家康の十一男)。御三家の1つで表高35万石。御三家で唯一参勤交代を行わない江戸定府の藩とされた。
豊臣時代は佐竹氏の所領だったが、徳川家康は会津征伐(1600)に参加しなかった佐竹義宣を久保田藩(秋田藩)に転封し、親藩とした。
初期の藩主に徳川光圀(水戸黄門)、幕末の藩主に徳川斉昭がいる。水戸藩生まれの水戸学は尊皇の気風を生み、幕末の尊皇攘夷運動の基礎となった。

北茨城市: 茨城県北端の市。人口約4万人。中心駅はJR常磐線の磯原駅。

高萩市: 茨城県北部の市。人口約3万人。

日立市: 茨城県北部の市。人口約17万人。銅山(現在は閉山)を中心に発展した街で、日立製作所やJX金属の創業地。現在も工業都市で、市の人口の4割を日立グループ・三菱重工業グループの社員や家族が占める。

日立駅: 日立市にあるJR常磐線の駅。日立市出身の建築家・妹島和世が設計し、ガラス越しの太平洋の眺望が有名。

常陸太田市: 茨城県北部の市。人口約5万人。佐竹氏ゆかりの地。

竜神ダム: 常陸太田市のダム。ダム湖には竜神大吊橋が架かり、バンジージャンプのスポットとして有名。

荒川沖駅: 茨城県土浦市にあるJR常磐線の駅。「荒川沖」は水戸街道の宿場町だった頃からの地名。
荒川は遠く、海も無いので不思議な地名だが、荒川は一般名称としての荒れた川のことで、東側にあった村落(荒川本郷/荒川本村)からやや離れた場所(沖)にあったことから付いた地名らしい。

万博記念公園駅: 茨城県つくば市にあるつくばエクスプレスの駅。駅前にはつくば万博('85)時に作られた岡本太郎制作のモニュメント『未来を視る』がある。

八千代町(やちよまち): 茨城県西部の町。白菜の生産量日本一。

栃木県: 日本の都道府県の1つ。北関東に位置する内陸県。人口約190万人。県庁所在地は宇都宮市。旧国名は下野国(しもつけのくに)。

宇都宮市: 栃木県庁所在地。人口約50万人。日光街道と奥州街道が分岐する、街道一の宿場町として発展してきた。
「餃子の街」として知られる。雷が多いことから「雷都」の呼び名がある。'23.LRT「宇都宮ライトレール」開業予定。日本で75年ぶりに路面電車が新規開業する都市となる。

日光市: 栃木県北西部の市。人口約7万人。面積は全国の市区町村中3位で、栃木県全体の4分の1近くを占める。中心市街や市役所は旧今市市(いまいち-)にある。
世界遺産「日光の社寺」(日光東照宮・日光二荒山神社・輪王寺)がある他、華厳滝、中禅寺湖、鬼怒川温泉、足尾銅山等、全国的に有名なスポットが多い。市名は二荒山(ふたらさん)(男体山(と女峰山)の古名)の音読み「ニコウ」に由来する。

川治温泉(かわじ-): 日光市の温泉。鬼怒川温泉の北にあり、野岩鉄道が通る。

戦場ヶ原: 日光市の高層湿原。その名は男体山と赤城山の神が中禅寺湖を巡って争ったという伝説に由来する。

あしかがフラワーパーク: 栃木県足利市の花のテーマパーク。日本最大の藤棚があり、2本の大木がそれぞれ8万房もの花を付ける。日本最大規模の冬のイルミネーションでも知られる。

渡良瀬川: 栃木・群馬県境付近を流れる利根川の支流。江戸時代初期までは東京湾に注ぎ、太日川(ふといがわ)と呼ばれた当時の下流が現在の江戸川の元になっている。新川通の開削による利根川東遷で、利根川の支流となった。

渡良瀬遊水地: 渡良瀬川下流の栃木・茨城・群馬・埼玉県境にある日本最大の遊水地。明治末期、足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ、無害化することを目的に造成が始まった。

桐生市: 群馬県南東部の市。人工約10万人。古代から織物産業で知られる、絹織物「桐生織」の産地。

前橋市: 群馬県庁所在地。人口約30万人。赤城山南麓に位置し、利根川が流れる。

伊香保温泉: 群馬県渋川市の温泉。365段の石段があり、両側に旅館や店が軒を連ねる。温泉饅頭の発祥地とされる。

清水トンネル: JR上越線の群馬・新潟県境にある、谷川岳の下を通るトンネル。川端康成『雪国』の冒頭に登場する〈国境の長いトンネル〉。

渋峠: 群馬・長野県境の峠。群馬県側に日本の国道の最高地点がある。群馬県側に進むと万座温泉、草津温泉、長野県側に進むと志賀高原、湯田中・渋温泉郷がある。

万座温泉: 群馬県嬬恋村(つまごいむら)の温泉。硫黄の含有量が日本一で、白濁・黄濁した湯が特徴。

磯部温泉: 群馬県安中市の温泉。温泉マーク「」、童話「舌切り雀」の発祥地とされる。

碓氷峠: 群馬県安中市・長野県軽井沢町の境にある峠。安中市にある横川駅(JR信越本線終点駅)の駅弁「峠の釜めし」が有名。

高天原山(たかまがはらやま): 秩父山地にある、群馬・長野県境の山。'85.日本航空123便墜落事故が起きた御巣鷹の尾根(おすたか-)が、群馬県上野村(うえのむら)の山中にある。
ちなみに「御巣鷹」は本来、隣の山の名前。御巣鷹山に墜落したとの誤報が広まり、メディアでも「御巣鷹山の事故」と報道されたために、高天原山の尾根であるにも関わらず「御巣鷹の尾根」という名が後から付けられた。

埼玉県: 日本の都道府県の1つ。関東地方の中西部に位置する内陸県。人口約730万人。県庁所在地はさいたま市。ご当地キャラ「コバトン」は県の鳥・シラコバトがモチーフ。

秩父市: 埼玉県西端の市。人口約6万人。面積は埼玉県の市町村中最大で、群馬・長野・山梨・東京の1都3県と接する。市西部は「秩父多摩甲斐国立公園」に含まれる。
アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』('11)・『心が叫びたがってるんだ。』('15)・『空の青さを知る人よ』('19)(いずれも同じ制作チームによる3部作)の舞台で「聖地」とされる。

東秩父村: 埼玉県秩父郡の村。埼玉県唯一の村。

長瀞渓谷(ながとろ-): 埼玉県秩父郡の渓谷。荒川の上流部に位置する。川下りの名所である他、岩畳(いわだたみ)が広がる地質学の聖地であり「地球の窓」とも呼ばれる。

日高市: 埼玉県南部の市。人口約5万人。JR八高線・川越線の乗換駅・高麗川(こまがわ)駅がある。古代、唐・新羅に滅ぼされた高句麗からの亡命者が集住した高麗郡(こま-)の中心地で、高句麗の王族を祀る高麗神社(こま-)もある。
ラーメン店・日高屋の店名の由来(創業者の出身地)。

飯能市(はんのう-): 埼玉県南西部の市。人口約8万人。ムーミンのテーマパーク「メッツァ」、西武池袋線のスイッチバック駅・飯能駅がある。

入間市: 埼玉県南部の市。人口約15万人。狭山茶の主産地(狭山市よりもずっと生産量が多い)。漫画家・松井優征の出身地。

狭山市: 埼玉県南部の市。人口約15万人。入間市との境に航空自衛隊入間基地がある。

所沢市: 埼玉県南部の市。人口約35万人。南西部の都県境付近は狭山丘陵となっており、狭山湖やトトロの森、早大所沢キャンパス、西武ドーム(ベルーナドーム)、西武園等がある。所ジョージ、宮崎吾朗、羽生善治、春日俊彰(オードリー)らの出身地。

西武園: 所沢市・東京都東村山市に跨るテーマパーク。'21.リニューアルし、60sの風景を模した昭和レトロパークとなった。

ところざわサクラタウン: 所沢市の複合施設。KADOKAWAが所有・運営し、角川武蔵野ミュージアム等の施設がある。'20.開業。

東松山市: 埼玉県中部の市。人口約9万人。周囲に比企郡(ひき-)の町村があり、昼夜間人口比率は100%を超え県内の市で最高。大東文化大東松山キャンパスがある。物理学者・梶田隆章の出身地。

吉見百穴(-ひゃくあな/ひゃっけつ): 埼玉県比企郡吉見町(よしみまち)にある、古墳時代後期の横穴墓群の遺跡。岩山に200以上の大穴が開いている。

坂戸市(さかど-): 埼玉県中部の市。人口約10万人。東武東上線・越生線(おごせ-)の乗換駅・坂戸駅がある。キリンジ、菅野美穂の出身地。

鶴ヶ島市: 埼玉県中部の市。人口約7万人。島崎遥香(元AKB48)の出身地。

川越市: 埼玉県中部の市。人口約35万人。江戸時代に川越城の城下町として栄えた通称・「小江戸」。サツマイモの名産地としても知られた。蔵造りの街並みが残り、文化財も多い。俳優・市村正親の出身地。

ふじみ野市: 埼玉県南部の市。人口約11万人。太田光(爆笑問題)の出身地。

富士見市: 埼玉県南部の市。人口約11万人。神木隆之介の出身地。

志木市: 埼玉県南部の市。人口約8万人。板倉俊之(インパルス)の出身地。

新座市: 埼玉県南部の市。人口約17万人。ひばりヶ丘駅(西東京市)に近いエリアは埼玉県の南端。

朝霞市: 埼玉県南部の市。人口約15万人。新座市・和光市・練馬区との境に陸上自衛隊朝霞駐屯地がある。田中みな実の出身地。

和光市: 埼玉県南部の市。人口約8万人。東京メトロの北端・西端にして唯一の埼玉県内の駅であり、東武東上線への乗り入れ駅である和光市駅がある。

本庄市: 埼玉県北西部の市。人口約8万人。江戸時代に中山道最大の宿場町として栄えた。塙保己一の出身地。

本庄早稲田駅: 埼玉県本庄市にある上越・北陸新幹線の駅。熊谷駅、大宮駅と並ぶ埼玉県の新幹線停車駅で、唯一の新幹線専用駅。
隣接する丘陵地は、早大のキャンパスや早稲田大学本庄高等学院があり地元で「早稲田山」と呼ばれていることから、駅名に「早稲田」が入った。

深谷市: 埼玉県北部の市。人口約14万人。深谷ねぎで有名。渋沢栄一の出身地。

深谷駅: 埼玉県深谷市にあるJR高崎線の駅。東京駅丸の内駅舎をモチーフにしたデザインで「ミニ東京駅」と呼ばれるが、煉瓦ではなく煉瓦風タイルが使われている。

熊谷市(くまがや-): 埼玉県北部の市。人口約20万人。史上初めて日本の最高気温記録を2回更新した都市('18年に記録した41.1℃は'23現在も史上1位タイ)。森村誠一、原口元気の出身地。

行田市: 埼玉県北部の市。人口約8万人。「埼玉」という地名の発祥地。埼玉古墳群(さきたま-)、「のぼうの城」こと忍城(おし-)、行田足袋、田んぼアート、ものつくり大学、フライ(行田フライ)、ゼリーフライで知られる。

鴻巣市(こうのす-): 埼玉県中部の市。人口約12万人。さいたま市岩槻と並び、雛人形の製造で有名。

北本市: 埼玉県中部の市。人口約6万人。新宗教「解脱会」の発祥地で、市名が「解脱市(げだつ-)」になりかけたことがある。

桶川市(おけがわ-): 埼玉県中部の市。人口約7万人。本木雅弘の出身地。

上尾市(あげお-): 埼玉県中部の市。人口約23万人。ハライチの出身地で、コンビ名の由来になった地名「原市」がある。

さいたま市: 埼玉県庁所在地、政令指定都市。人口約130万人。'01.大宮市・与野市・浦和市の合併で誕生。'05.岩槻市を編入。氷川神社と大宮公園、鉄道博物館、さいたまスーパーアリーナ、埼玉スタジアム、埼玉大学がある。
2つのJリーグクラブ(浦和レッズ、大宮アルディージャ)の本拠地。萩原健一、タケカワユキヒデ(ゴダイゴ)、西野朗、古谷実、土田晃之、川島永嗣、菜々緒、佐藤健、成田凌の出身地。

戸田市: 埼玉県南部の市。人口約15万人。荒川に面する彩湖(さいこ)やボートレース場で知られる。長谷川唯、藤田ニコルの出身地。

蕨市: 埼玉県南部の市。人口約7万人。日本一面積が小さい市日本一人口密度が高い市、五十音順で最後の市。成人式の発祥地。吉岡秀隆の出身地。

川口市: 埼玉県南部の市。人口約60万人(県内2位)。鋳物工場の街として知られたが、オイルショック以降、移転や廃業が相次ぎ、東京のベッドタウンとして土地利用の転換が図られた。蜷川幸雄、星野源の出身地。

羽生市(はにゅう-): 埼玉県北東部の市。人口約5万人。秩父鉄道の起点で東武伊勢崎線と接続する羽生駅がある。

加須市(かぞ-): 埼玉県北東部の市。人口約10万人。茨城・栃木・群馬の3県に接し、渡良瀬遊水地の一角を占める。カズレーザーの出身地。
鯉幟の産地で、世界最大(全長100m)の鯉幟「ジャンボこいのぼり」を所有し、毎年クレーン車で「遊泳」させている。

久喜市: 埼玉県北東部の市。人口約15万人。JR宇都宮線・東武伊勢崎線が接続する久喜駅、JR宇都宮線・東武日光線が接続する栗橋駅、アニメの「聖地巡礼」ブームの先駆けとなった鷲宮神社がある。

権現堂堤(権現堂桜堤): 埼玉県幸手市にある中川の堤。約1km続く千本桜の道と、同時期に満開を迎える堤下の菜の花畑で知られる。

千葉県: 日本の都道府県の1つ。関東地方の南東部に位置する。人口約630万人。県庁所在地は千葉市。公式マスコットはチーバくん
県の大部分が房総半島に属する。標高500m以上の山地がない日本唯一の都道府県で、平均標高も沖縄県に次いで低い。隣接する茨城県・埼玉県・東京都とは利根川・江戸川で隔てられ、実は本州と別の島(千葉島)と見なすことができる。
面積は愛知県とほぼ同じ。両県の埋立地の拡張で、何度か都道府県面積ランキングの順位が入れ替わっている。千葉県の学校では、クラスの出席番号が五十音順ではなく誕生日順となっていることが多い。

野田市: 千葉県北西端の市。人口約15万人。チーバくんの鼻の部分。江戸時代には、利根川から江戸川が分流する水運の要地として、又、醤油の名産地として栄えた。キッコーマンの創業地。
南部工業団地にある変電所は、世界最大の変電所としてギネス認定された。

矢切の渡し: 千葉県松戸市矢切と東京都葛飾区柴又を結ぶ、江戸川の渡し場。今でも渡し船が運航されている。
小説『野菊の墓』(1906)で全国的に有名になり、映画『男はつらいよ』シリーズ('69-)、ちあきなおみや細川たかしが80sに競作で歌いヒットした演歌「矢切の渡し」でも脚光を浴びた。

浦安市: 千葉県の市。人口約17万人。チーバくんのベロの部分。市域の約4分の3が60s以降に造成した埋立地。市内に東京ディズニーリゾート、JR舞浜駅・新浦安駅、東京メトロ浦安駅がある。

東京ディズニーシー(TDS): TDRを構成するテーマパーク。'01.開業。TDLより客層の年齢がやや高い。『リトル・マーメイド』『アラジン』等のディズニー映画の他、ジュール・ヴェルヌ等のSFをモチーフにしたエリアがある。
人気アトラクションに、フリーフォールを活用した「タワー・オブ・テラー」、TDSのシンボル・プロメテウス火山を舞台に『地底旅行』の世界を再現した「センター・オブ・ジ・アース」、『ファインディング・ニモ』に登場する海亀のクラッシュと会話できる「タートル・トーク」等。人気グルメに、中華まんを使った「うきわまん」「ギョウザドッグ」等がある。

千葉港: 千葉県市川市・船橋市・習志野市・千葉市・市原市・袖ケ浦市に跨る港湾。港湾空間規模は日本一で、京葉工業地帯のほぼ全域に跨る。

東京ドイツ村: 千葉県袖ケ浦市のテーマパーク。こども動物園や広大なドッグラン、スワンボート、観覧車等がある。冬の大規模なイルミネーションでも知られる。'01.開業。

海ほたるパーキングエリア: 東京湾のほぼ中央に築かれた千葉県木更津市の人工島(木更津人工島)にある、東京湾アクアラインのPA。湾岸を一望できる観光地としても人気がある。

マザー牧場: 千葉県富津市の鬼泪山(きなだやま)にあるテーマパーク。動物との触れ合いが楽しめる。

犬吠埼(いぬぼうさき): 千葉県銚子市の岬。東映の映画のオープニング「荒磯の波」の舞台。小笠原諸島や富士山の山頂を除く日本本土の平地で、初日の出が最も早く見られる場所。
沖合は海流(黒潮)と風の複雑さ、座礁のしやすさから、海の難所として知られ、江戸時代にはこの場所の通過を避けるためにいわゆる「東廻り航路」「西廻り航路」が開かれた。

香取市: 千葉県北東部の市。人口約7万人。香取神宮がある。中心市街は「小江戸」の1つ・佐原。

佐原(さわら): 香取市の中心市街。江戸時代後期~昭和初期の古い町屋が残る商家町で、川越や栃木と並び「小江戸」と呼ばれる。古い町屋の1つに、伊能忠敬が50歳まで商売と生活を営んだ旧宅がある。

印旛地方: 千葉県中北部にあたる地域。旧下総国印旛郡。

成田市: 千葉県印旛地方の市。人口約13万人。成田国際空港と成田山新勝寺で知られる。

東京都: 日本の都道府県の1つで唯一の都。日本の首都。関東地方に位置する。人口約1400万人(1位)、面積約2200km2(45位)。都庁所在地は新宿区西新宿。
大きく、区部(東京23区)、多摩地域、島嶼部(伊豆諸島小笠原諸島)の3地域に分けられる。
1868.江戸府として誕生、ほどなく東京府に改称。1893.神奈川県から多摩地域を移管し編入。1943.下位自治体の東京市と統合し、直轄の特別区をもつ東京都となる。
戦後、特別区は徐々に自治が強化され、今では市と並ぶ基礎自治体となったが、それでも都が一定の行政上の調整権限をもっている。

東京23区: 東京都の23の特別区の総称。人口約970万人、面積約630km2。日本の政治・経済・文化・交通の中心。
1943.東京市解体・東京都発足で東京35区が誕生。旧東京市の15区の他、周辺町村を改組した20区が都の直轄地域となった。
'47.合併・分割(板橋区から練馬区を分区)で35区を23区に改編。徐々に自治が強化され、今では特別区も市と並ぶ基礎自治体と見なされるようになった。
60s-90s.地価高騰によるドーナツ化現象で人口が減少(900万人弱→800万人弱)。その後、都心回帰で再び増加し現在に至る。

東京市: 明治中期から1943年まで存在した市。麹町・神田・日本橋・京橋・芝・麻布・赤坂・四谷・牛込・小石川・本郷・下谷・浅草・本所・深川の15区を範囲とする日本の首都自治体だった。
明治・大正期の市長には尾崎行雄や後藤新平がいる。大正末期には市会議員の互選で市長を選ぶ制度も実現していたが、1943年、戦時体制強化のため東京府(府知事は国が派遣)に統合され、東京都(都知事はもちろん国が派遣)が発足した。

隅田川: 東京23区を流れる川。岩淵水門で荒川から分岐し、西に北区・荒川区・台東区・中央区、東に足立区・墨田区・江東区と、ほぼ区境を南に流れながら東京湾に注ぐ。主な支流に新河岸川、石神井川、神田川、日本橋川。
古くは墨田川とも書いた。数々の浮世絵に描かれ、滝廉太郎の歌曲「花」(1900)で歌われる、江戸・東京を代表する川。
台東区と墨田区の区境部分は、隅田川花火大会早慶レガッタの会場で、台東区側の浅草から墨田区側の東京スカイツリーやアサヒビール本社を臨む眺めもよく知られる。
元々は入間川の下流だったが、17cの荒川の瀬替え(西遷事業)で荒川の下流となった。1913-30年に荒川放水路が開削され、戦後は放水路が荒川の本流となり、隅田川は荒川の分流とされた。
荒川の分流とされるまでは、千住大橋より上流を荒川、下流を隅田川と呼んだ。現在ではどちらも隅田川なので、荒川区もあらかわ遊園も荒川に接していない事態となっている。

石神井川(しゃくじい-): 東京都北部を流れる川。小平市・西東京市・練馬区・板橋区・北区を流れ、王子駅の北東で隅田川に合流する。

神田川: 東京都を流れる川。三鷹市の井の頭池に発し、杉並区・中野区・新宿区・千代田区等を流れ、両国橋付近で隅田川に合流する。飯田橋以東は江戸城外濠の機能も果たした。昭和期の早稲田付近の情景はかぐや姫「神田川」に歌われる。

日本橋川: 千代田区、中央区を流れる川。水道橋駅の西側で神田川から分岐し、ほぼ全流路に渡って首都高の高架下を流れ、隅田川の下流に合流する。一ツ橋、常盤橋、日本橋等が掛かる。

千川上水(せんかわ-): 江戸の六上水の1つ。玉川上水を水源とし、現在の西東京市・武蔵野市の境界付近から、練馬区、豊島区(千川駅等)を通って城北地域に水を供給していた。

千代田区: 東京23区の中心部にある特別区。都心3区の1つ。人口約7万人(23区で最少)、昼間人口は約90万人(23区で港区に次ぐ2位)。'47.麹町区と神田区が合併し誕生。
ほぼ中心に皇居があり、港区と接する南側に日本政治の中心である永田町霞が関エリア、中央区と接する東側に日本最大のオフィス街かつ日本の交通の中心である丸の内大手町エリアがある。

霞が関ビルディング: 霞が関の超高層ビル。高さ147m。'68.日本初の超高層ビルとして竣工。東京ドーム完成前は莫大な堆積を表すのに「霞が関ビル○杯分」という表現がよく使われた。ちなみに東京ドームは霞が関ビル約2.5杯分。

日比谷公園: 千代田区の公園。皇居外苑の南隣、霞が関官庁街の西隣に位置する。西に霞ケ関駅、南に内幸町駅、東に日比谷駅と地下鉄の便がよく、JR有楽町駅も近い。
江戸時代は仙台藩の大名屋敷、明治に入って軍用地となっていた場所で、1903年に開園。元々寺社の境内地だった芝公園や上野公園とは異なり、完全に新たに造った東京初の本格的な市民向け都市公園だった。
連日イベントが行われる野外音楽堂(野音)や、洋食レストランの松本楼は開園間もない頃から存在している。
造られた背景には、国民の政治参加熱が高まる中、集会場所を都心に設けることによって様々な政治運動を政府が監視しやすくしようとした面がある。
しかし権力者の思惑に反し、早速1905年にはポーツマス条約に反対する日比谷焼打事件が起きて、大臣官邸が襲撃される等、都心で火の手が挙がる一因となった。

日比谷交差点: 皇居外苑を囲む日比谷濠や、日比谷公園に面する交差点。南北に走る日比谷通りと、東西に走る晴海通りが交わる。地下に東京メトロ日比谷駅があり、JR有楽町駅も近い。
関東大震災後の復興が進み、東京中心部がほぼ現在の街路となって帝都復興祭が行われた1930年に、日本初の電気信号機が置かれた。

東京會舘: 千代田区丸の内の施設。宴会場、結婚式場、レストラン、バー等があり、各界著名人が集まる会員制クラブ「ユニオンクラブ」をもつ。1922.民間初の社交場として開業。現在は3代目の建物。

万世橋: 千代田区にある、神田川に架かる橋。南側には旧国鉄万世橋駅肉の万世本店があり、北側は秋葉原電気街の南端。地下を東京メトロ銀座線(末広町-神田間)が通る。

淡路町駅: 千代田区にある東京メトロ丸ノ内線の駅。都営新宿線の小川町駅とは至近距離で連絡駅である他、東京メトロ銀座線の神田駅、東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅とも非常に近い。

神田駿河台: 千代田区の町名。JR御茶ノ水駅、東京メトロ千代田線の新御茶ノ水駅がある。明治大学日本大学・中央大学のキャンパス、駿台予備学校の本校等が集まる学生街。
お茶の水橋から明治大学リバティタワーに至る「明大通り」は日本最大の楽器店街となっている。ロシア正教の日本の総本山・ニコライ堂もある。
元々、一帯は神田山という小高い山だったが、江戸時代初期に削られ、その土で日比谷入江が埋め立てられた。又、北側の本郷台地とは連続していたが、治水と江戸城の外堀を兼ねて東西方向に掘割(仙台堀)が作られ、神田川が通されて分離された。
このため、今でも周囲より標高が高い御茶ノ水駅周辺の丘を、川が切り裂いて流れる切通しの地形となっている。
「駿河台」の名は、徳川家康の死(1616)後、駿河の駿府城に詰めていた家臣の多くが江戸に戻り、この地に集住したことに由来する。

御茶ノ水駅: JR(中央・総武線)、東京メトロ(丸ノ内線)の駅。神田川を挟む形で、JRの駅舎は南側の千代田区神田駿河台に、メトロの駅舎は北側の文京区湯島にある。

山の上ホテル: 千代田区神田駿河台のホテル。'54.開業。周りに出版社が多い立地から、川端康成、三島由紀夫、池波正太郎らが作品執筆のため「カンヅメ」になった定宿として知られる。

神田神保町(-じんぼうちょう): 千代田区の町名。東京メトロ・都営地下鉄の神保町駅がある。靖国通りと、それに並行するすずらん通りが街の中心。
日本一の書店街・古書店街として、又、スポーツ用品カレーライスの聖地として知られる。南に隣接する一ツ橋には、岩波書店・小学館・集英社の本社が固まって存在する。
元々は明治期に、周辺を含めた一帯に大学が集中したため、東京一の学生街として発展した。南に隣接する神田錦町や一ツ橋は、現在は移転した東大や一橋大のゆかりの地で、旧東大構内には「日本野球発祥の地」のモニュメントもある。

中央区: 東京23区の中心部にある特別区。都心3区の1つ。人口約18万人。'47.日本橋区と京橋区が合併し誕生。
江戸城(皇居)の東に位置する地域で、江戸時代から商業の中心を担ってきた。銀座は現在、日本一地価が高い場所となっている。21cに入って勝どきや晴海等の臨海部にタワーマンションが林立し、人口が倍増している。

東京ミッドタウン八重洲: 八重洲(東京駅八重洲口)の複合施設、超高層ビル。張り出した低層部分には区立小学校が入居し(日本初の高層ビルに入居する公立小学校)、屋上には開閉式屋根を持つ校庭がある。'23.開業。

明石町(あかしちょう): 中央区の町名。隅田川下流の西岸に位置する。最寄駅は築地駅や新富町駅。聖路加国際病院や聖路加ガーデンの超高層ビルがある。
明治期には築地居留地があり、ミッション系の青山学院、立教学院、明治学院、女子学院、雙葉学園等がここから発祥した。

八丁堀: 中央区の町名。JR(京葉線)・東京メトロ(日比谷線)の八丁堀駅がある。

日本橋兜町(-かぶとちょう): 中央区の町名。最寄駅は日本橋駅や茅場町駅。明治以来、東京証券取引所が置かれ、長く金融機関のオフィスも集積していた。
近年は金融取引の電子化で証券取引所に集う必要が無く、大手金融機関の多くは大手町や丸の内の超高層ビル等に移転してしまった。

日本橋茅場町(-かやばちょう): 中央区の町名。東京メトロ(日比谷線・東西線)の茅場町駅がある。花王等が本社を置くオフィス街。

日本橋蛎殻町(-かきがらちょう): 中央区の町名。安産祈願で知られる水天宮や、東京メトロ半蔵門線の水天宮前駅がある。

日本橋人形町(-にんぎょうちょう): 中央区の町名。東京メトロ・都営地下鉄の人形町駅がある。江戸時代以来の商業地で、江戸初期には幕府公認の遊廓・吉原が置かれた(明暦の大火(1657)後、千束に移転)。

港区: 東京23区の中心部にある特別区。都心3区の1つ。人口約27万人。昼間人口は約100万人(23区で1位)。'47.芝区・麻布区・赤坂区が合併し誕生。
同じく大企業の本社が集中する千代田区と比べ、IT、芸能、外資系の企業の比率が高い。TVの民放キー局5社は全て港区に本社を置く(お台場のフジテレビ、汐留の日テレ、六本木のテレ朝・テレ東、赤坂のTBS)。
各国の駐日大使館のうち半数以上が集中することや、芸能人が多く住んでいることも特徴。伝統的な高級住宅街である白金台や麻布をはじめ、家賃相場が高く、区民1人あたりの年収は1000万円超と日本一を誇る。
近年、麻布・六本木・赤坂・青山等をオフタイムの拠点として華やかに遊び、ハイスペック男性との交際を狙う女性が「港区女子」と呼ばれ、羨望や揶揄の的となっている。

芝公園: 港区の都市公園。明治初期に増上寺の敷地を指定して作られた、東京で最も古い公園の1つ。西端に東京タワーが建つ。

日向坂(ひゅうが-/ひなた-): 港区三田の坂。古川から東に向かって上る。日向坂46の由来。

アクアパーク品川: 品川プリンスホテル(港区高輪)の敷地内にある水族館・テーマパーク。

西麻布: 港区の町名。主に旧麻布霞町(かすみちょう)・旧麻布笄町(こうがいちょう)から成る。地下を東京メトロ日比谷線(六本木-広尾間)が通るが、駅は無い。日比谷線が開通した60s前半にはまだ閑静な住宅街で、繁華街としての歴史は新しい。
バブル期に、複数の有名ディスコ、新設FM局「J-WAVE」本社、アイスクリーム店「ホブソンズ」日本1号店、イタリア料理店「キャンティ」西麻布店、焼肉店「叙々苑游玄亭」本館等が誕生し、流行の発信地、芸能人らの社交場として知られるようになった。

六本木ヒルズ: 港区六本木6丁目にある森ビルの複合施設。高さ238mの森タワーテレビ朝日本社、グランドハイアット東京、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、タワーマンション等から成る。'03.開業。
森タワーには、オフィス、ブランド街のショッピングモール、高層階には森美術館やギャラリー、アカデミーフォーラムや会員制クラブ、展望デッキ等がある。
'23現在、本社を置く企業は森ビル、ゴールドマン・サックス、J-WAVE、Apple Japan、メルカリ、(株)ポケモン等。
00sには、森ビルに集う企業家や、六本木ヒルズのタワマン住民を「ヒルズ族」と呼んだ。当時は楽天、ライブドア、グッドウィル、村上ファンド等も本社を置き、三木谷浩史、堀江貴文、折口雅博、村上世彰ら若くして成功した起業家や投資家がいた。
ヒルズの南側には「けやき坂」「さくら坂」という2つの並行する坂があり、欅坂46(現・櫻坂46)の由来となった。

アークヒルズ: 港区六本木・赤坂に跨る複合施設。サントリーホール、ANAインターコンチネンタルホテル東京等から成る。'86.開業。
森ビルが手掛けた大規模再開発事業の第1号であり、六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、麻布台ヒルズ等に連なる「ヒルズ」シリーズの第1号。「アーク(ARK)」の名は、赤坂(A)と六本木(R)の繋ぎ目=ノット(K)であることに由来する。

赤坂: 港区北西端の地名。その名の通り坂だらけ。東側には溜池山王駅、赤坂見附駅、赤坂駅等があり、永田町と隣接した繁華街で料亭が多くある。南西側には東京ミッドタウンや乃木神社があり、六本木駅や乃木坂駅が近い。
北側は元赤坂という町名で、大部分を赤坂御用地と迎賓館赤坂離宮が占める。

赤坂サカス: 東京メトロ千代田線・赤坂駅の北側にある再開発地区。赤坂Bizタワー、赤坂ACTシアター、TBS本社・放送センター等から成る。名称は「咲かす」と「坂s」を掛けたもの。

薬研坂(やげん-): 赤坂サカスと赤坂御用地を結ぶ坂。両側が高く、真ん中が窪んでいることから、薬を砕く薬研に喩えられた。

赤坂御用地: 港区元赤坂の皇室関連施設。上皇・上皇后が住む赤坂御所、秋篠宮邸等をはじめ、ほとんどの皇族の邸宅が立地する。広大な庭園があり、例年春・秋に招待制の園遊会が行われる。

乃木坂: 乃木希典の旧邸前にある坂。付近に東京メトロ千代田線・乃木坂駅があり、周辺には国立新美術館や青山霊園がある。周辺の町名は六本木、赤坂、南青山に跨る。

渋谷区: 東京都心の西側にある特別区。人口約25万人。渋谷・原宿・表参道という若者が集まる繁華街を擁する、「若者文化の発信地」。

恵比寿駅: 渋谷区にあるJR・東京メトロの駅。JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、東京メトロ日比谷線が停まる。JRの発車メロディはヱビスビールのCM曲(映画『第三の男』テーマ曲)。
近隣の恵比寿ガーデンプレイスは長くヱビスビールの工場だった場所で、明治期にビールの貨物駅として開業した。ビールの名前が駅名となり、現在は町名でもある。

桜丘町(さくらがおかちょう): 渋谷区の町名。渋谷駅の南西の一角で、玉川通りより南の地域。渋谷区文化総合センター大和田、セルリアンタワー、渋谷サクラステージ('24年開業予定)がある。

ワシントンハイツ: 現在の代々木公園とその周辺(NHK放送センター、代々木競技場、オリンピック記念青少年総合センター)にあった在日米兵・家族の居留地。
戦前は陸軍の練兵場で、戦後米軍が接収した。近隣の原宿は米国人向けの商売で繁盛した(原宿が「先進的な文化の発信地」「若者の街」となった要因)。'64.日本に返還され、東京五輪の選手村・競技用地・放送センターとなる。
軍用地だったが、子どもは比較的出入りが自由で、近隣の日本人の少年達が草野球を楽しむ場所でもあった。ジャニー喜多川率いる少年野球チーム「ジャニーズ」(後のアイドル集団の前身)もここで生まれた。

新宿区: 東京都庁所在地。東京都心の西側にある特別区。人口約35万人。アジア系を中心に、外国人人口が4万人を超え東京23区で最も多い。'47.四谷区・牛込区・淀橋区が合併し誕生。

新宿: 新宿駅周辺の通称。町名は新宿区新宿・歌舞伎町・西新宿・内藤町、渋谷区千駄ヶ谷・代々木に跨る。渋谷、池袋と並ぶ東京山の手の三大副都心の1つで、商業規模は中でも最大。
新宿3丁目、新宿2丁目、歌舞伎町、西新宿、新宿駅南口(渋谷区部分)等、地区によって開発年代や街の役割・コンセプトが全く異なり、バラエティ豊かな街となっている。
かつては角筈(つのはず)村といい、しがない農村だったが、江戸時代中期に甲州街道の最初の宿場「内藤新宿」が設けられ、明治期に鉄道駅が設けられたことで、繁栄していった。
1885.日本鉄道(現・JR山手線)新宿駅開業。1889.甲武鉄道(現・JR中央線)開業でターミナル駅となる。関東大震災(1923)後、中央線沿線の人口急増を受けて急発展。1932.東京市域となる。1933.伊勢丹新宿店開業。
60s-70sには、東京を代表する「若者文化の発信地」としても知られたが、70s後半以降、その座は渋谷に移ったと言われることが多い。

新宿3丁目: 新宿駅東口エリアの町丁名。戦前から新宿最大の商業集積地となっている。駅は新宿駅の他、新宿三丁目駅(東京メトロ・都営地下鉄)がある。
北端(歌舞伎町との境界)を靖国通り、中央を新宿通り、南端を甲州街道が走り、靖国通りの地下には地下街「新宿サブナード」が広がっている。
戦前から続く主な老舗に、伊勢丹新宿店(単独の小売店として日本最大の年間売上高を誇る)、紀伊國屋書店本店、世界堂本店、オカダヤ本店、中村屋、新宿高野、新宿武蔵野館(映画館)、新宿末廣亭(寄席)等。
その他の主な施設に、ルミネエスト新宿(JRの駅ビル)、Flags、新宿マルイ(本館・アネックス)、ビックカメラ新宿東口店(元ビックロ)、三平ストア本店、新宿ピカデリー(シネコン)、新宿バルト9(シネコン)、ディスクユニオンの各館等がある。
日本初の大型街頭ビジョンであるアルタビジョン('79-)をはじめ、ユニカビジョン、クロス新宿ビジョン等の大型街頭ビジョンも集積している。

西武新宿駅: 新宿区歌舞伎町にある西武新宿線の起点駅。JR等各社の「新宿駅」から北に数百m離れているため、他路線と乗り換えしやすい隣の高田馬場駅の方が利用者数が多い。
かつて起点駅だった高田馬場駅から、戦後、路線が延伸され誕生。当初は仮駅の扱いで、新宿民衆駅(現在のルミネエスト新宿)内に本駅舎を作る予定だったが、沿線人口が増加し西武新宿線の車両数が増えすぎてしまったため、実現しなかった。

新宿御苑: 新宿区(内藤町)・渋谷区(千駄ヶ谷)に跨る庭園。58haの広大な敷地に、日本庭園、英国式庭園、フランス式庭園が組み合わされている。
入園は有料で、'23現在は500円。なお、10s半ばに職員だった元官僚は外国人との会話を恐れ外国人来園者には無料でチケットを渡しており、数千万円が未収となった。この時期に入園者数はほぼ倍増し、その半数が外国人だった。
戦前は皇室専用の庭園であり、ゴルフコースが作られ、大正期にはゴルフ好きの裕仁皇太子が愛用していた。かつて工事のために池の水を抜いたところ、300個のゴルフボールが発見された。

神楽坂: 飯田橋駅西口から、西側の神楽坂駅(東京メトロ東西線)方面に上る坂。早稲田通りの一部。新宿区の東端近くに位置する。江戸の風情が残る散策スポット。東京理科大学の神楽坂キャンパスがある。
全国的にも稀な逆転式一方通行が採用され、午前中は東へ下り、午後は西へ上ることしか出来ない。日曜の午後は歩行者天国となる。逆転式一方通行が採用されたのは、田中角栄の通勤に便宜を図ったためという都市伝説がある。

高田馬場駅: 新宿区にあるJR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線の駅。ホームが2番線までしかないJR駅としては日本一乗降客数が多い。
手塚プロダクションの最寄駅であり、高架下には手塚漫画のキャラクター達を描いた壁画がある。JRの発車メロディは「鉄腕アトム」。

豊島区(としま-): 東京都心の北西にある特別区。人口約30万人。人口密度約24000人/km2日本一人口密度が高い自治体)。三大副都心の1つ・池袋が交通・経済・行政の中心。

目白: 豊島区南部の町名。JR山手線の目白駅学習院大学がある。尾張徳川家由来の「徳川ビレッジ」は高級住宅街として知られる。

Hareza池袋: 池袋駅東口にある再開発地区。中池袋公園、としま区民センター、東京建物 Brillia HALL、TOHOシネマズ池袋等の施設がある。'19-20.開業。

文京区: 東京都心の北側にある特別区。人口約25万人。'47.小石川区と本郷区が合併し誕生。
ほぼ全域がJR山手線の内側、JR中央線の北側に位置し、区内にJR駅は無い。都心に至近の自治体としては珍しく巨大繁華街もなく、閑静な住宅地の中に、公園、教育機関、医療機関が点在する。

団子坂: 文京区にある、千駄木駅に向かって東に降りていく坂。江戸川乱歩『D坂の殺人事件』等、多くの文芸作品に書かれてきた。

台東区: 東京都心の北側にある特別区。人口約22万人。'47.下谷区と浅草区が合併し誕生。
千代田区、中央区と共に江戸時代から町人の文化が花開いた歴史あるエリアで、特に浅草は戦前の東京においても最大の繁華街として繁栄した。

谷中銀座商店街(谷中ぎんざ): 台東区谷中・荒川区西日暮里に跨る商店街。西は千駄木駅から、東は日暮里駅からそれぞれ徒歩数分の位置。「夕やけだんだん」という石の階段がある。

上野動物園: 上野公園にある東京都立動物園。1882.開園(日本初の動物園)。東園と西園を結ぶモノレールは日本初の常設モノレール。
世界三大珍獣(ジャイアントパンダオカピコビトカバ)が全て見られる国内唯一の施設でもある。

墨田区: 東京都心の北東にある特別区。人口約28万人。台東区浅草から隅田川を挟んだ東側にあり、東京スカイツリー両国国技館が位置する。'47.向島区と本所区が合併し誕生。

東京スカイツリー: 墨田区押上の電波塔。高さ634m(ムサシ)で、日本一高い建造物、世界一高い電波塔。最寄駅は押上駅(東京メトロ・都営地下鉄・京成・東武)、とうきょうスカイツリー駅(東武)。'12.竣工、開業。
デベロッパーは東武グループ、設計は日建設計、施工は大林組。千年以上も大地震や災害に耐えてきた日本各地の五重塔にちなんで、塔の中心部に円筒柱を設けた制震構造を「心柱制震(しんばしら-)」という。
水平方向の断面は、地面真上では正三角形だが、高くなるほど丸みを帯び、塔の中ほどで円形となる。このため、タワーを見る方角によっては裾が非対称に傾いて見える。
展望台は、高さ350mの「展望デッキ」と450mの「展望回廊」がある。ライトアップは全てLED照明で、様々な種類のライトアップが行われる。

すみだ水族館: 東京スカイツリータウンにある水族館。「小笠原大水槽」や、金魚を展示する「江戸リウム」、ミズクラゲを展示する「ビッグシャーレ」がある。

江戸東京博物館: 墨田区横網の博物館。隣は両国国技館。江戸/東京の歴史と文化をテーマとする。'93.開館。改修のため'25年まで休館中。

江東区: 東京都心の東側にある特別区。人口約55万人。'47.深川区と城東区が合併し誕生。南半分は、豊洲、有明、青海、新木場等、関東大震災後に東京湾を埋め立てたエリアである。

豊洲: 江東区の埋立地。関東大震災(1923)の瓦礫処理で埋め立てられた。長く工業地域だったが、平成期に商業地・住宅地に変貌。'74.セブン-イレブン日本1号店(現在もある豊洲店)開業。'18.豊洲市場開場。
駅は豊洲駅(東京メトロ有楽町線・ゆりかもめ)、新豊洲駅(ゆりかもめ)、市場前駅(ゆりかもめ)があり、豊洲駅エリアにららぽーと豊洲がある。

キッザニア東京: ららぽーと豊洲内にある子ども向けの職業体験テーマパーク。様々な企業とコラボした園内店舗等で職業体験ができ、体験後は園内通貨で「給料」がもらえる。
'06.キッザニアの発祥国・メキシコ以外で初のキッザニアとして開業。'23現在、日本にはキッザニア甲子園(兵庫県西宮市、ららぽーと甲子園内)とキッザニア福岡(福岡市、ららぽーと福岡内)もある。

スモールワールズTOKYO: 江東区有明のミニチュア・テーマパーク。

中央防波堤: 東京都区部の防波堤。70sから防波堤の南北が廃棄物処分場として使われ、現在は中央防波堤埋立地(江東区海の森、大田区令和島(れいわじま)等)となっている。

葛西海浜公園: 江戸川区の海上公園。東西2つの人工渚や水域から成る。ラムサール条約登録湿地。「西なぎさ」は陸側の葛西臨海公園と橋で往来できる。「東なぎさ」は自然環境保護のため原則立入禁止。

桐ケ丘: 東京都北区の町名。赤羽の西側。町域のほとんどは都営住宅の巨大な団地(桐ケ丘団地)。
'23現在、順次建て替えが進んでいるが、70s以前に建設された棟や商店街等の施設もまだ残っており、昭和を感じられるスポットとして知られる。西村博之の出身地。

下北沢駅: 世田谷区にある小田急電鉄・京王電鉄の駅。略称「下北(しもきた)」。小田急小田原線で新宿と、京王井の頭線で渋谷と直結する。小田原線の地下化で、近年再開発が進んだ。
界隈は若者文化の街として知られ、古着屋やライブハウス、劇場(本多劇場等)が多く集まる。

駒沢大学駅: 世田谷区上馬(かみうま)・駒沢に跨る、東急田園都市線の駅。駒澤大学や駒沢オリンピック公園、東京医療センターの最寄駅。

大森貝塚: 品川区と大田区に跨る、縄文時代の貝塚遺構。最寄駅はJR大森駅。
明治期に、東京帝大のお雇い教授エドワード・モースが列車に乗っている時に発見し、発掘を進め、日本の人類学・考古学の基礎を作った。

大森: 大田区東部の町名。JR大森駅、京急平和島駅・大森町駅(おおもりまち-)がある。戦前まで海に面しており、浅草海苔の養殖で栄えた。大森町駅の近くには現在も海苔の問屋街がある。

村山貯水池多摩湖): 東京都東大和市のダム湖。『東村山音頭』の歌詞に「多摩湖」の愛称で登場する。

狛江市: 東京都の市。人口約8万人。日本の市の中で蕨市に次いで2番目に面積が小さい。'81年に日本初の絵手紙教室が開かれた「絵手紙発祥の地」。

調布飛行場: 東京都調布市の空港。東京都本土と伊豆諸島を結ぶ空の玄関口。

青梅市: 東京都西多摩地域の市。人口約13万人。多摩川が東流し、川沿いにJR青梅線が走る。中心駅は河辺(かべ)駅・青梅駅。御岳山・武蔵御嶽神社や塩船観音寺がある。江戸時代には青梅街道の宿場町(青梅宿)として栄えた。

御岳山(みたけさん): 青梅市南西部にある、標高900m級の山。古代から山岳信仰の対象で、山上に武蔵御嶽神社が鎮座し、戦前からケーブルカー(御岳登山鉄道)や登山道が整備されている。

あきる野市: 東京都西多摩地域の市。人口約8万人。秋川(あきがわ)・JR五日市線に沿って市域が東西に延びる。五日市線の終点・武蔵五日市駅周辺等、西部は山がちで、夏は涼しく冬は雪が多い。

稲城市: 東京都南多摩地域の市。人口約10万人。多摩ニュータウンの東端に位置する。川崎市との境界によみうりランドがあり、東京ヴェルディ1969のホームタウンとなっている。

多摩市: 東京都南多摩地域の市。人口約15万人。市域の6割が多摩ニュータウンで分譲マンションが多い。主な駅に京王相模原線・小田急多摩線・多摩都市モノレールの多摩センター駅、京王線の聖蹟桜ヶ丘駅。
ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』『耳をすませば』の主な舞台。

サンリオピューロランド: 東京都多摩市の屋内型テーマパーク。最寄駅は多摩センター。'90.日本初の本格的屋内型テーマパークとして開業。

日野市: 東京都南多摩地域の市。人口約20万人。日野自動車の本社や多摩動物公園がある。江戸時代には甲州街道の宿場町(日野宿)として栄えた。土方歳三の出身地。
主な駅にJR中央線の日野駅・豊田(とよだ)駅、京王電鉄・多摩都市モノレールの高幡不動駅。

八王子市: 東京都南多摩地域の市。人口約60万人(多摩地域最大)。養蚕・絹織物産業の拠点として長い歴史をもち「桑都(そうと)」と呼ばれる。江戸時代には甲州街道の宿場町(八王子宿)としても栄えた。

小笠原諸島: 東京都小笠原村を構成する諸島。東京都本土から南に約1000km離れた太平洋上にあり、生物地理上はオセアニアに属する。父島列島(父島、兄島、弟島等)、母島列島(母島、姉島、妹島等)、硫黄列島等を含む。人口約3000人。
父島母島に民間人が居住する他、硫黄島・南鳥島に自衛隊員や気象庁職員が常駐する。民間空港が無く、本土と往来するフェリーは6日に1便だけで、日本の自治体で最も本土とのアクセスが悪いと言える。
形成以来ずっと大陸から隔絶しており、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれるほど固有の動植物が多いことから、世界自然遺産となっている。
アオウミガメの産卵地としても知られる。貴重な蛋白源としてアオウミガメを食べる文化があり、絶滅危惧種に認定された今でも、小笠原では特別に捕獲枠が認められている。
日本で小笠原諸島の存在が広まったのは江戸時代。地名は、発見者の子孫を名乗る小笠原貞任という浪人が領有権を主張したことから(なお、幕府は主張を認めず、貞任は詐欺罪に問われた)。
いずれの島も長く無人島だったが、19cになって欧米の捕鯨船が頻繁に寄港するようになり、米国やハワイ王国の出身者数十名が父島に入植。1853.日本来航前のペリーが立ち寄り、ペリーの勧めで自治政府が成立する。
1862.江戸幕府が咸臨丸で測量を行い、住民に保護を呼びかけ同意を得て、各国に小笠原諸島の領有を通告。日本人入植が始まる。明治期から大正期にかけて発展し、最盛期の人口は7000人を超えた。
太平洋戦争で多くの住民が本土に疎開。'45.硫黄島の戦いで日米両軍合わせて2万5000人以上が戦死。'52.サンフランシスコ講和条約により、米国の施政権下に留まる。'68.日本に返還。'11.世界遺産となる。

父島: 父島列島の島。小笠原村の役場所在地。現在、本土と小笠原諸島を結ぶ定期交通路は、竹芝埠頭と父島を結ぶ航路だけだが、船は6日に1便で、24時間かかるため、父島に空港を建設するための調査が行われている。

硫黄島(いおうとう): 硫黄列島の島。火山活動と急速な隆起による面積拡大が続いており、21cに入って父島を抜き小笠原諸島最大の島となった。
太平洋戦争の激戦地。戦前は有人島で、硫黄の採掘やサトウキビ栽培が行われたが、戦中の全島民疎開をきっかけに民間人のいない基地の島(日本軍→米軍→自衛隊)となった。現在も民間人は立入禁止。
戦中、海軍が「いおうじま」と呼んだが、島民による歴史的呼称や現在の正式名称は「いおうとう」である。

南硫黄島(みなみいおうとう): 硫黄列島の無人島。島全体が横から見るとピラミッドそっくりの急峻な山塊であり、頂上は東京都島嶼部の最高峰(916m)。
ハリー・ポッターシリーズの設定では、日本唯一の魔法学校「魔法処(まほうところ)」が南硫黄島の頂上にある。ホグワーツのような全寮制ではなく、生徒は毎日、大きな海燕に乗って登校する。

中ノ鳥島: 1908-43年に日本の領土とされ、海図に書かれていたが、実在しないことが判明した島。

登戸駅: 川崎市北部にあるJR南武線・小田急小田原線の駅。藤子・F・不二雄が近くに長年住んでいたことから、藤子・F・不二雄ミュージアムの最寄駅の1つとなっており、発車メロディ等に『ドラえもん』の曲が使われている。

風の塔: 東京湾のほぼ中央に築かれた川崎市の人工島(川崎人工島)にある、東京湾アクアラインの換気塔。海に浮かぶヨットのような形をしている。

鶴見川: 主に東京都町田市と横浜市を流れ、横浜市鶴見区で東京湾に注ぐ川。

帷子川(かたびら-): 横浜市を流れる川。下流部が横浜駅を取り囲むように流れる。

鶴見区: 横浜市北東部の行政区。大阪市にも同名の区がある。最大の市街地は鶴見駅周辺。曹洞宗の大本山・總持寺、沖縄出身者が多数在住する「沖縄タウン」等がある。

海芝浦駅: 横浜市鶴見区にあるJR鶴見線の支線駅。東芝の工場敷地内にあり、関係者以外は改札から出られない。ホームが直接海(京浜運河)に面している。駅名は東芝の旧社名から付けられており、東京都港区の芝浦とは無関係。

横浜駅: 横浜市西区にあるJR・東急・京急・相鉄・みなとみらい線・横浜市営地下鉄の駅(6社乗り入れは日本の駅で最多)。JR根岸線、東急東横線、相鉄本線、みなとみらい線の起点又は終点駅。

横浜国際平和会議場パシフィコ横浜): 横浜市みなとみらいのMICE施設。日本最大の無柱の展示場や、最大級(約5000席)の大ホールがある。

ホテルニューグランド: 横浜市山下町のホテル。1927.関東大震災後の復興計画の一環として創業、本館竣工。初代総料理長はスイス人のサリー・ワイルで、ドリアナポリタンプリン・ア・ラ・モードを考案し広めた。

二俣川駅: 横浜市にある相鉄本線・いずみ野線の乗換駅。

権太坂: 横浜市の坂。その急峻さから、旧東海道で江戸を出て最初の難所とされた。箱根駅伝の2区の難所でもある。

八景島: 横浜市金沢区の人工島。島名は金沢八景に由来する。水族館、遊園地、ショッピングモール、ホテル、マリーナ等から成るテーマパーク「八景島シーパラダイス」となっている。
海中を歩いているような感覚になるエスカレーター「アクアチューブ」や、アーチ状の水槽をイルカが泳ぎ回る「ドルフィンファンタジー」がある。

久里浜: 横須賀市南東部の地名。1853年にペリーらが上陸した場所(最初に来航したのは岬を隔てて北にある浦賀だが、幕府の指定で久里浜に上陸した)。

小町通り: 鎌倉駅と鶴岡八幡宮を結ぶ商店街。観光客で賑わう。

鵠沼(くげぬま): 藤沢市南部中央の地域名。藤沢駅南口から湘南海岸に至る広い地域を指す。東は片瀬地区、西は辻堂地区、北は藤沢地区。小田急江ノ島線の本鵠沼駅・鵠沼海岸駅、江ノ島電鉄の石上駅・柳小路駅・鵠沼駅がある。
鵠(くぐい)は白鳥の古名。かつてこの地には沼が多く、鵠が多く飛来したという。

大和市: 神奈川県県央地域の市。人口約25万人。北部の中心駅は小田急江ノ島線・東急田園都市線の中央林間駅、中部の中心駅は小田急江ノ島線・相鉄本線の大和駅。近藤真彦、河村隆一の出身地。'20.全国初の「歩きスマホ」禁止条例を施行。

渋沢駅: 秦野市にある小田急小田原線の駅。秦野市出身の坂井泉水(ZARD)が高校時代に通学で使っており、接近メロディはZARDの「負けないで」「揺れる想い」。

箱根湯本駅: 箱根町にある箱根登山鉄道の駅。小田急ロマンスカーの終点駅の1つ。箱根町役場の最寄駅。駅舎のテナントに、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の公式ショップ「えゔぁ屋」がある。

小涌谷(こわくだに): 箱根町の地名。国道1号線(東海道)沿い。温泉リゾート・小涌園(こわきえん)(温泉テーマパーク「ユネッサン」を含む)や、箱根登山鉄道の小涌谷駅(こわきだに-)がある。

芦ノ湖: 箱根町にある、箱根山のカルデラ湖。箱根海賊船等の遊覧船が運行する。箱根ロープウェイの終点で、箱根駅伝の往路ゴール・復路スタート地点でもある。1925.日本で初めてブラックバスが放流された。

粟島(あわしま): 新潟県粟島浦村を構成する離島。人口約300人。

佐渡島: 新潟県佐渡市を構成する離島。人口約5万人。日本で主要4島と沖縄本島の次に面積が大きい島(約850km2)。旧国名は佐渡国。江戸時代初期に当時世界最大級の金山(佐渡金山)が発見され、天領となり幕府の重要な財源地となった。

関川村: 新潟県下越地方の村。毎年夏に「えちごせきかわ大したもん蛇まつり」が開かれ、竹・藁製の全長80m以上の「大蛇」を使ってパレードを行う。

月岡温泉: 新潟県新発田市の温泉。「新潟の奥座敷」。

新津(にいつ): 新潟市南部の地域名、駅名。新津駅はJR3路線が乗り入れるターミナル駅、SL発着駅。新津油田はかつて日本一の産油量を誇った。'05.新津市が新潟市に吸収合併される。

西蒲区(にしかんく): 新潟市南西部の行政区。新潟市で最も広い行政区で水田が広がる。中心駅はJR巻駅。岩室温泉がある。

弥彦村(やひこむら): 新潟県中部の村。彌彦神社の鳥居前町。日本唯一の村営公営競技場・弥彦競輪場がある。兎を象った落雁「玉兎(たまうさぎ)」が名物。

富山県: 日本の都道府県の1つ。北陸地方に位置する。人口約100万人。県庁所在地は富山市。旧国名は越中国。市町村数は15で日本一少ない。

砺波市(となみし): 富山県西部の市。人口約5万人。チューリップの球根の生産量日本一。GW前後に行われるチューリップフェアには多くの観光客を集める。

五箇山: 富山県南砺市の地名。合掌造り集落で知られる。'95.県境を跨いだ白川郷(岐阜県白川村)と共に世界遺産となる。

志賀町(しかまち): 石川県の町。能登半島の西側に位置する。志賀原発(北陸電力唯一の原発)がある。

香林坊: 金沢市中心部の町名。金沢を代表する繁華街の1つ。地名は、かつてこの地で目薬を売っていた僧侶上がりの町人の名に由来する。

ひがし茶屋街(ちゃやがい): 金沢市にある、伝統的建築物(明治初期の茶屋様式の町家)の保存地区。多くの建物がカフェや土産物屋として営業する。

白山: 白山市と岐阜県白川村(しらかわむら)に跨る山。白山信仰の対象、白山修験の霊山として知られる、富士山、立山と並ぶ日本三霊山の1つ。

安宅の関(あたか-): 現在の小松市にあった関所。源義経一行が平泉を目指して通り、弁慶が偽りの勧進帳を読み、義経だと見破られはしたものの関守の同情で通過できたという物語(能『安宅』、歌舞伎『勧進帳』)で知られる。

東尋坊: 福井県坂井市の景勝地。波の浸食で露出した世界有数の規模の柱状節理が、海岸から伸びる高さ25mの崖としてほぼ垂直にそそり立つ。地名は、かつてここから突き落とされた僧の名に由来する。いわゆる「自殺の名所」の1つ。

大野市: 福井県東部の市。人口約3万人。江戸時代に大野城の城下町として栄えた面影を残す「越前の小京都」。九頭竜川(くずりゅう-)に設けられた九頭竜ダムや、西日本随一の豪雪でも知られる。

気比の松原(けひ-): 福井県敦賀市の敦賀湾沿いの松林。三保の松原、虹の松原と並ぶ日本三大松原の1つ。

忍野八海: 山梨県忍野村(おしのむら)の8つの池。いずれも富士山の地下水が湧き出た湧泉。

富士五湖: 富士山の北(山梨県側)にある5つの湖。東から山中湖河口湖(かわぐちこ)、西湖(さいこ)、精進湖(しょうじこ)、本栖湖(もとすこ)。山中湖が最も大きく、精進湖が最も小さい。

富士河口湖町(ふじかわぐちこまち): 山梨県都留地方(郡内地方)の町。富士五湖のうち、山中湖を除く4つがある。日本の自治体で名前に漢字5文字以上を含むのは山陽小野田市と富士河口湖町のみ。

胸突き八丁: 富士登山で頂上までの8丁(約900m)の険しい道。転じて、「急斜面の長い坂道」や、「物事を成し遂げる過程で最も苦しい正念場」を表す。

南アルプス市: 山梨県の市。人口約7万人。市街地は甲府盆地の西部に位置する。市西部には赤石山脈(南アルプス)最高峰・北岳がある。
平成の大合併で生まれた分散型の自治体で、人口の多さに反し、県唯一の鉄道が通らない市となっている。

韮崎市: 山梨県の市。人口約3万人。甲府盆地の北西端に位置する。サッカーの街として知られ、高校選手権で準優勝5回を誇り中田英寿を輩出した県立韮崎高校や、ヴァンフォーレ甲府のクラブハウス・練習場がある。

北杜市: 山梨県北西部の市。人口約4万人。八ヶ岳の南麓に位置し、清里高原を擁する。

慶雲館: 山梨県早川町(はやかわちょう)にある温泉旅館。世界最古の宿泊施設としてギネス認定されている。705.創業。

飯山市: 長野県北東部の市。人口約2万人。アスパラガスの生産量日本一。

山ノ内町(やまのうちまち): 長野県北東部の町。スノーリゾートとして知られる志賀高原、県下有数の温泉地である湯田中・渋温泉郷(ゆだなか・しぶ-)がある。

野辺山駅: 長野県南牧村(みなみまきむら)にある、JR小海線の長野県内最南端の駅。標高1300m以上で、日本の普通鉄道の駅として最も高い地点に位置する。

白馬村(はくばむら): 長野県北アルプス地方の村。富山県との境に白馬岳(しろうまだけ)があり、冬はスキー客、夏は登山客が訪れる。白馬八方尾根スキー場(はくばはっぽうおね-)は単体のスキー場としては日本最大のスキー場の1つ。
ちなみに、山名は「しろうま」だが、地名や駅・スキー場・ホテル等の施設名は「はくば」と読む。

乗鞍岳: 長野県松本市、岐阜県高山市に跨る3000m級の山塊。飛騨山脈の南端に位置する。日本の活火山で富士山、御嶽山に次いで高い。

諏訪湖: 長野県岡谷市・諏訪市・下諏訪町に跨る湖。冬に湖面が凍結して亀裂が生じ、氷が線状に盛り上がる「御神渡り(おみわたり)」が有名。

茅野市(ちのし): 長野県中部の市。人口約5万人。国宝の土偶「縄文のヴィーナス」「仮面の女神」の発掘地。

高山市: 岐阜県飛騨地方の市。人口約8万人、面積約2200km2日本一面積が大きい市区町村)。大阪府や香川県よりも広い。東は富山・長野、西は石川・福井と4県に接する。江戸時代以来の町屋等が残る「飛騨の小京都」。

東白川村: 岐阜県東部の村。日本唯一の寺がない自治体。古くからツチノコの目撃例があり、資料館「つちのこ館」がある。

大垣市: 岐阜県西濃地方の市。人口約15万人(県内2位)。西濃運輸、セリアが本社を置く。
平成の大合併で2町を編入したが、旧1市2町がいずれも隣接せず、2つの大きな飛び地をもつ特殊な市域となっている。東側の飛び地は「墨俣一夜城」の逸話で有名な旧墨俣町。

国営木曽三川公園: 木曽三川の下流域一帯、岐阜県・愛知県・三重県に跨る、日本最大の国営公園。

川奈: 静岡県伊東市の地名。伊豆急の川奈駅、リゾートホテル「川奈ホテル」、つつじの名所「小室山公園」等がある。

まぼろし博覧会: 静岡県伊東市の私設テーマパーク。館長は実業家・女装家の「セーラちゃん」。'11.開業。
「キモ可愛い」をコンセプトに、昭和の家具や日用品、広告から、全国の閉館した秘宝館等から寄せ集めた珍妙なものや悪趣味なものまで、様々なものを展示する。
Twitterでは〈入館して5分で精神破壊を起こすと評判〉〈完全に現世と切り離されている。ここはだめだ〉等と評され、話題になった。

天城峠: 伊豆半島の中央部にある峠。北は伊豆市、南は河津町(かわづちょう)。石川さゆりの曲「天城越え」や、川端康成の小説『伊豆の踊子』に登場する。

柿田川: 静岡県清水町(しみずちょう)を流れる狩野川の支流。大量の湧水を水源としながら、全長1km余りしかない日本一短い一級河川。長良川、四万十川と並ぶ日本三大清流の1つ。

宝永山: 静岡県御殿場市にあり、富士山の南東の中腹部に位置する、富士山最大の側火山。宝永大噴火(1707)で形成された。

小山町(おやまちょう): 静岡県最北東に位置する町。富士山の頂上から東側斜面を有し、須走ルート(すばしり-)の登山道や富士スピードウェイがある。

ふもとっぱら: 静岡県富士宮市のキャンプ場。富士山を眺めるのに適した広大な原っぱで知られる。

富士川: 長野県、山梨県、静岡県を富士山の西を通って流れる川。太平洋側における東日本と西日本の電気の周波数の境目は、概ね富士川に沿っている。最上川、球磨川と並ぶ日本三大急流の1つ。

御前崎市: 静岡県南部の市。人口約3万人。駿河湾と遠州灘を隔て、アカウミガメの産卵地としても知られる岬・御前崎や、中部電力の浜岡原発がある。

新城市(しんしろし): 愛知県東部の市。人口約4万人。長篠の古戦場がある。

恋路ヶ浜: 愛知県田原市・伊良湖岬付近の砂浜。四つ葉のクローバーが幸せの象徴とされるようになったきっかけの地という説がある。

蒲郡市: 愛知県三河地方の市。人口約8万人。三河湾に面するマリンリゾートやボートレース場、蒲郡みかん等で知られる。JR東海道本線の蒲郡駅には、60sに開業した日本最短(最小)の地下街がある。

安城市(あんじょうし): 愛知県三河地方の市。人口約19万人。戦前、大規模な開墾と先進的な農業が行われ「日本デンマーク」と呼ばれた。谷本歩実、オカダ・カズチカの出身地。

常滑市(とこなめし): 愛知県・知多半島西岸の市。人口約6万人。中部国際空港(セントレア)がある。日本六古窯の1つ・常滑焼が有名。

犬山市: 愛知県北端の市。人口約7万人。犬山城や、いずれも名鉄系のテーマパークである明治村、リトルワールド、モンキーパークがある。中心駅は名鉄犬山駅で名鉄の4路線が集まる。

野外民族博物館 リトルワールド: 犬山市・岐阜県可児市に跨るテーマパーク。世界中の古民家を買い付け、展示している。様々な民族衣装の体験もできる。

名古屋市: 愛知県庁所在地、政令指定都市。人口約230万人(横浜市、大阪市に次ぐ3位)。中京圏の中心都市。
古くは熱田神宮の門前町として、近世には名古屋城の城下町として発展した。市章は尾張徳川家の印に由来する「」。分区の繰り返しで「東区」の他に「名東区」がある。

ナガシマスパーランド: 三重県桑名市・ナガシマリゾートにあるテーマパーク。絶叫マシンの充実ぶりは〈東の富士急、西のナガシマ〉と並び称される。
世界最長のジェットコースター「スチールドラゴン2000」や、骨組みに木材と鋼鉄を組み合わせた「白鯨」が人気。

阿漕(あこぎ): 津市の地名。伊勢神宮に魚を供えるための禁漁地だったが、ある漁父が密漁を繰り返して捕えられたという。転じて、やり方がしつこく強引で、あくどいさまを意味する言葉になった。

英虞湾(あご-): 三重県志摩市のリアス式に入り組んだ湾(溺れ谷)。明治期にアコヤガイの真珠の養殖が始まった真珠養殖の発祥地で、かつて「真珠湾」とも呼ばれた。青海苔の養殖も盛ん。

賢島(かしこじま): 英虞湾内の島。本土との間の最狭部は10m未満。近鉄志摩線の終点・賢島駅があり、奥志摩観光の拠点となっている。

琵琶湖: 滋賀県の湖。面積は約670km2日本最大の湖で、滋賀県の面積の約6分の1を占め、東京23区や淡路島よりも大きい。

米原駅: 滋賀県米原市にある、JR・近江鉄道の駅。東海道新幹線・東海道本線が停まる他、JR北陸本線と近江鉄道本線の起点となるターミナル駅。県内唯一の新幹線停車駅。

沖島: 滋賀県近江八幡市の島。人口約250人。琵琶湖の沖合約1.5kmに浮かぶ、日本唯一の淡水湖にある有人離島。

草津市: 滋賀県の市。人口約15万人。江戸時代は東海道と中山道が合流する重要な宿場町(草津宿)だった。JR南草津駅・草津駅はJR駅別乗降客数の滋賀県内1位・2位。

淀川: 琵琶湖から流れ出る唯一の川。大津市にある琵琶湖南端から、滋賀で瀬田川、京都で宇治川、大阪で淀川と名前を変え、大阪湾に流れ込む。琵琶湖に流れ込む川を全て淀川水系に数えるため、支川の数は1000近く日本一多い。

逢坂の関(おうさか-): 中世まで山城・近江国境にあった、東海道・東山道の関所。百人一首の蝉丸〈これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関〉、清少納言〈夜をこめて鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ〉に詠まれる。

山城国(やましろのくに): 畿内に属する旧令制国で、現在の京都府南部(京都市、宇治市等)。奈良時代までは「山背(やましろ)」と書き、政治の中心だった大和国から見て、平城山(奈良山)の後ろだったことを意味する。

桂川: 京都府を流れる淀川の支流。京都市北部から南丹市、亀岡市を経て、嵐山でまた京都市に入り京都盆地に出る。伏見区で鴨川を合流させ、大阪府との境で宇治川・木津川と合流し淀川となる。
亀岡市東部の、嵐山に至る部分は保津川(ほづがわ)又は保津峡と呼ばれ、川下りの名所。

京都駅: 京都市下京区にある、JR・近畿日本鉄道・京都市営地下鉄の駅。JRのホームが「34番のりば」まであり、日本の鉄道駅で最も大きな数字となっている。
なお、実際に34のホームがある訳ではない。15~29番は欠番で、30番台は山陰本線の「さん」に掛けたもの。

山崎(やまざき): 山城・摂津国境の地名。現在の京都府大山崎町(-ちょう)と大阪府島本町(-ちょう)に跨る。山崎の戦い(1582)の戦地。島本町側にサントリー山崎蒸留所(1923-、日本初のウイスキー蒸留所)がある。

天王山: 京都府大山崎町(おおやまざきちょう)の山。標高270m。山崎の戦い(1582)で勝敗を分ける要地だったことから、天下分け目の戦いを意味する言葉にもなっている。

南山城村(みなみやましろむら): 京都府南東端の自治体で、唯一の村。コロコロチキチキペッパーズ・ナダルの出身地。

亀岡市: 京都府中西部の市。人口約8万人。京都市のベッドタウンである一方、旧丹波国の南東端を占める、丹波地方の最大都市でもある。京都サンガF.C.の本拠地・サンガスタジアムや、保津川下りで知られる。
'21.全国初の「プラスチック製レジ袋の提供」禁止条例を施行。

大阪府: 日本の都道府県の1つ。近畿地方の中央に位置する。人口約870万人(東京都、神奈川県に次ぐ3位)、面積約1900km2(46位)。県庁所在地は大阪市。概ね旧摂津国東部と、河内国全域、和泉国全域から成る。
海に面する都道府県のうち、唯一自然島が1つもない。

大阪市: 大阪府庁所在地、政令指定都市。人口約280万人(横浜市に次ぐ2位)。東京に次ぐ日本の世界都市で、市内総生産や上場企業数は日本の市で最大。「水都」「商都」「笑いの都」「天下の台所」。
古代には難波津(なにわつ)・住吉津(すみのえのつ)が日本の海の玄関口を担うと共に、難波宮が置かれるなど大和国と並ぶ政治的中心地でもあった。中世には石山本願寺の寺内町、近世には大阪城の城下町として発展した。
昭和初期(1920年代後半)には、人口や工業出荷額で旧東京市を上回る大大阪時代があった。行政区数は日本最多の24。東京23区と共通の区名に「北区」「中央区」「港区」がある。

天神橋筋商店街: 大阪市北区東部の商店街。南北2.6kmに及ぶ、日本一長いアーケード商店街。江戸時代から大阪天満宮の参道として賑わってきた通りである。

戎橋: 大阪・道頓堀の中心部に架かる橋。円形に膨らんだ形状が特徴的。すぐ傍にあるグリコの看板と共に大阪を象徴する風景となっている。

中座くいだおれビル(なかざ-): 道頓堀の複合商業ビル。かつて当地にあり松竹新喜劇が本拠地とした劇場「中座」と、かつて付近にありファミレスの先駆けとして知られた飲食店「くいだおれ」の名を残す。
「くいだおれ」のマスコットとして'50年から親しまれる動く人形・くいだおれ太郎が設置されており、記念写真を撮る人が絶えない。

千日前(せんにちまえ): 大阪市の地名。道頓堀の南、難波の東、日本橋の西に位置する狭いエリア。かつて多くの映画館が軒を並べ、現在もなんばグランド花月等がある娯楽街。薬物の売人が闊歩する治安の悪さでも知られてきた。
「千日」は難波・法善寺(千日寺)のこと。

あべのハルカス: 大阪・阿倍野にある高さ300mの超高層ビル。近鉄大阪阿部野橋駅、近鉄百貨店本店、大阪マリオット都ホテル等を内包する。'14.開業。'23年に麻布台ヒルズ森JPタワーに抜かれるまで日本一高いビルだった。
展望台・ハルカス300の公式マスコットは、空に住む「空もよう」の熊という設定のあべのべあ

夢洲(ゆめしま): 大阪市の西端に位置する人工島。大阪・関西万博('25)や統合型リゾート(IR)の予定地。

放出(はなてん): 大阪市東部の地名。JR学研都市線(片町線)・おおさか東線の放出駅がある。

池田市: 大阪府北摂地域の市。人口約10万人。ダイハツ本社や、市内に住んだ安藤百福を称えるカップヌードルミュージアムがある。

亀の瀬: 大阪府・奈良県境にある大和川の峡谷。歴史上、何度も地滑りを起こしてきたことで知られる。

古市古墳群: 大阪府羽曳野市・藤井寺市に跨る5-6c築造の古墳群。長さ200m以上の大型前方後円墳6基を含め、80基以上が現存する。

誉田御廟山古墳(こんだごびょうやま-): 羽曳野市の古墳。古市古墳群の1つ。日本で2番目に大きい前方後円墳。5c初頭の築造。宮内庁は応神天皇陵に比定している。

泉佐野市: 大阪府の市。人口約10万人。関西国際空港が立地する市の1つ。高さ250m超のりんくうタワーやりんくうプレミアムアウトレットがある。
'17-18年度にふるさと納税の寄付金額で連続日本一となったが、返礼品にAmazonギフト券などの非地場産品が多く、制度の趣旨に反するとして問題化した。

尼崎市: 兵庫県の市。人口約45万人。阪神工業地帯の中心都市の1つ。ダウンタウンの出身地。ご当地キャラ「ちっちゃいおっさん」は、尼崎とお酒とカラオケを愛するハイテンションな45歳。

六麓荘(ろくろくそう): 兵庫県芦屋市の、関西を代表する高級住宅街。昭和初期に国有林を切り拓き、当初から高級住宅街として造られた。名称は六甲山の麓に位置することから。

神戸市: 兵庫県庁所在地、政令指定都市。人口約150万人。海と山が迫る東西に細長い市街地をもつ。港湾都市であり、阪神工業地帯の中核を担う日本有数の重工業都市。
1868.神戸港が開港。舶来品や西洋文化が流入する西日本の玄関口となった。'95.阪神・淡路大震災で最大の被害を受け、全体の7割以上にあたる4500人余の犠牲者が市内で発生した。

神戸港: 神戸市の港湾。平安時代には「大輪田泊(おおわだのとまり)」、中世には「兵庫津(ひょうごのつ)」と呼ばれ、日宋貿易や日明貿易の拠点として栄えた。
幕末には日米修好通商条約で開港が決まった5港の1つとなる。函館・横浜・長崎が1859年に開港したのに対し、神戸は1868年(新潟は1869年)と開港は遅れたが、西日本の玄関口として大きく発展した。

摩耶山(まやさん): 神戸市灘区の山。六甲山地の中央に位置する。山頂付近に掬星台展望台(きくせいだい-)があり、函館山、稲佐山と共に「日本三大夜景」が望める場所とされる。

小野市: 兵庫県中南部の市。人口約5万人。「播州そろばん」で知られ、そろばんの生産量は日本一。

西脇市: 兵庫県中部の市。人口約4万人。播州織の産地。北緯35°と東経135°の交点に日本へそ公園がある。横尾忠則の出身地で、市内のY字路は多くの作品のモチーフとなっている。

明石海峡大橋: 神戸市(本州)と淡路市(淡路島)を結ぶ日本最長の吊橋。海峡名は明石海峡だが、明石市には無い。'98.開通。主塔間の長さは約2km(当時世界一)。

淡路島: 兵庫県の島。淡路市洲本市南あわじ市が位置する。日本で主要4島と沖縄本島の次に人口が多い島(約13万人)。旧国名は淡路国。本州と四国を結ぶ位置にあり、阿波への道という意味で「あわじ」と呼ばれた。
特産品に玉ねぎ、牛肉(但馬牛又は淡路ビーフ)、シラス等。線香と吹き戻しの国内シェアの大部分を占める。かつて鉄道があったが60sに廃止され、鉄道は通っていない。
パソナが幾つかの複合施設・観光施設を経営しており、同社はコロナ禍の'20-21年に本社の主要機能を東京から移動させた。

奈良市: 奈良県の県庁所在地。人口約35万人。奈良盆地北部に位置する。奈良時代に平城京が置かれた古都。現在は大阪市のベッドタウンとしての側面もある。
'98.「古都奈良の文化財(東大寺、興福寺、春日大社と春日山原始林、元興寺、平城宮跡、唐招提寺、薬師寺)」が世界遺産となる。

奈良公園: 奈良市の都市公園。非常に広い範囲を指し、東大寺興福寺春日大社、仏教美術を収蔵する奈良国立博物館、芝に覆われた若草山、広大な原生林を残す春日山(御蓋山=三笠山を含む)等がある。
春日大社が奈良時代以来「神の使い」として保護する、異様に人馴れした鹿が千数百頭生息し、奈良を代表する名物となっている。観光客から餌(鹿せんべい)をもらう際に「お辞儀」の動作をすることがある。

京終(きょうばて): 奈良市の地名。ならまちの南に位置する。奈良時代、平城京の都城の南端に位置したことが由来。京終駅はJR桜井線で奈良駅から1駅。

馬見丘陵公園(うまみ-): 奈良県北葛城郡の公園。馬見古墳群内に位置し、園内に多数の古墳がある。

橿原市(かしはら-): 奈良盆地南部(飛鳥地方)の市。人口約12万人(県内2位)。大和三山がある。20km圏内に大阪市柏原市(かしわら-)があり、紛らわしい。
古墳~飛鳥時代の王権(大和朝廷)の中心地で、神話では神武天皇が「橿原の宮」で即位した日本建国の地とされる。飛鳥時代末に築かれた日本初の本格的都城・藤原京も大部分が橿原市に位置した。

大和三山: 橿原市にある、奈良盆地内部の3つの小さな山(天香久山(あまのかぐやま/あめのかぐやま)、畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま))の総称。
藤原京(694-710)は三山の山域を含む範囲に造られ、三山に囲まれた中心部に宮城があった。

甘樫丘(あまかしのおか): 奈良県明日香村の丘。明日香村や、大和三山を含む橿原市を一望できる。散策路には『万葉集』に登場する植物が植えられている。

吉野: 奈良県中南部を占める吉野郡の中でも、特に紀の川(吉野川)上流の多雨な山岳地帯である吉野町(-ちょう)・東吉野村(-むら)・川上村(-むら)周辺を指す地名。吉野山の桜や、酒樽等に使われてきた吉野杉、吉野葛等で知られる。
同じ大和国内でありながら奈良盆地からは離れた地形で、大海人皇子(後の天武天皇)が落ち延びたり、後醍醐天皇が南朝を開いたりした。

和歌山県: 日本の都道府県の1つ。近畿地方の南西部に位置する。人口約90万人。県庁所在地は和歌山市。北部の紀の川沿岸に人口の6割が集中し、それ以外は大部分が紀伊山地となっている。みかんや梅の栽培が盛ん。

雑賀崎(さいかざき): 和歌山市・和歌浦にある岬。「日本のアマルフィ」とも呼ばれる景勝地。戦国時代には雑賀党の本拠地で雑賀崎城があったとされる。

潮岬(しおの-): 和歌山県串本町(くしもとちょう)にある、本州最南端の岬。

熊野古道: 和歌山県東部の熊野三山に向かう徒歩参詣道の総称。古い石畳等が残る。伊勢神宮、高野山、田辺を起点とした、三重・奈良・和歌山の3県に跨る広い範囲が世界遺産となっている。
'04.世界遺産となる。道路が世界遺産の主な構成要素となったのは、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」に続いて2番目。

浮島の森: 和歌山県新宮市の街中の沼に浮かぶ、日本最大の浮島。枯木や枯草が集まってできた泥炭の上に、約0.5haの森が広がる。森は陸上に比べて寒冷地寄りの面白い植生で、天然記念物となっている。

江島大橋(えしま-)(ベタ踏み坂): 鳥取県境港市と島根県松江市を結ぶ橋。船舶通航のため勾配が大きい箇所がある。軽自動車のCMではカメラの圧縮効果で極端な急勾配に見え、「(アクセル)ベタ踏み坂」と呼ばれる。

玉造温泉: 松江市の温泉。古代から続く名湯で、高級旅館が多い。泉質は美肌効果で知られ、様々な賞に輝いている。

津和野町(つわのちょう): 島根県石見地方南西部の町。津和野藩(亀井氏)の城下町として栄えた面影を残す「山陰の小京都」。西周、森鴎外、安野光雅の出身地。

岡山県: 日本の都道府県の1つ。山陽地方に位置する。人口約180万人。県庁所在地は岡山市。旧国名は北東部が美作国、南東部が備前国、西部が備中国
雨が少なく日照時間が長いことから、公式キャッチフレーズは「晴れの国」。地震等の災害も比較的少なく、首都移転の候補地として度々話題になる。

宮本武蔵駅: 岡山県美作市にある智頭急行(ちず-)の駅。宮本武蔵の故郷が近くだという説がある(正確な出生地は不明)。同県内の吉備真備駅、方谷駅と並んで、人名が駅名になった例。

備前市: 岡山県南東部の市。人口約3万人。六古窯の1つ・備前焼の産地。江戸時代に岡山藩が設けた「日本最古の庶民学校」・旧閑谷学校(しずたに-)でも知られる。

ブラジリアンパーク 鷲羽山ハイランド(-わしゅうざん-): 岡山県倉敷市の遊園地。昼夜問わずサンバショーを行っている。地上16mの高さにあるレールで瀬戸大橋を望みながら自転車を漕ぐスカイサイクルは、世界一怖いアトラクションとも。

吉備真備駅: 岡山県倉敷市にある井原鉄道の駅。吉備真備の故郷が近い。同県内の宮本武蔵駅、方谷駅と並んで、人名が駅名になった例。

高梁市(たかはしし): 岡山県中西部の市。人口約2.5万人。江戸時代には備中松山城の城下町として栄えた。

備中松山城(松山城): 高梁市の城。現存十二天守の1つで唯一の山城。江戸時代には備中松山藩庁となった。大名家は何度も入れ替わったが譜代の時代が長い。

方谷駅(ほうこく-): 岡山県高梁市にあるJR伯備線の駅。幕末の備中松山藩の漢学者で「備中聖人」こと山田方谷に由来する。同県内の宮本武蔵駅、吉備真備駅と並んで、人名が駅名になった例。

草戸千軒(くさどせんげん): 広島県福山市に中世に存在した大規模集落。江戸時代の洪水で地中に埋もれ、昭和期に発掘されたことから「日本のポンペイ」と呼ばれた。

因島(いんのしま): 広島県尾道市の島。人口約2万人。中世の村上水軍の拠点、ハッサクの原産地、本因坊秀策ポルノグラフィティ(岡野昭仁・新藤晴一)、湊かなえの出身地。

北広島町: 広島県北西部の町。北海道北広島市の成立よりも後に、町村合併で誕生。

熊野町(くまのちょう): 広島県安芸郡の町。熊野筆の産地で、毛筆、画筆、化粧筆いずれも国内生産量の大半を占める。

府中町(ふちゅうちょう): 広島県安芸郡の町。全方位を広島市に囲まれる(日本唯一の「包領」となった市区町村)。人口5万人余(日本一人口が多い町)。マツダ本社がある。

廿日市市(はつかいちし): 広島県西部の市。人口約11万人。広島市の西のベッドタウンである他、世界的な観光名所・厳島(宮島)で知られる。

厳島宮島): 廿日市市の島。人口約1500人。本土側の「宮島口」からフェリーで約10分。日本三景の1つ。厳島神社や野生動物(鹿・猿等)、名産品のもみじ饅頭で知られる。

弥山(みせん): 厳島(宮島)の山。麓は厳島神社の一部で、山頂一帯に巨石群がある。

防府市(ほうふし): 山口県中南部の市。人口約10万人。航空自衛隊の基地がある。種田山頭火、伊集院静、山崎まさよしの出身地。市名は周防国の国府があったことから。

山口市: 山口県庁所在地。人口約20万人。市域は瀬戸内海に面しているが、主な市街地はJR山口線沿線の盆地に広がる。
室町時代後期には大内氏の治世の下、応仁の乱で京から逃れた文化人らを招いて「西の京」と呼ばれるほど栄えた。雪舟やザビエルも山口で活動した期間があり、日本初のクリスマス祝いも山口で行われた。
幕末には長州藩の藩庁が萩から移された。'08年以降、日本のクリスマス発祥地として、毎年12月限定で「クリスマス市」に改名すると宣言しキャンペーンを行っている。

下関市: 山口県西部の市。人口約24万人。中心市街は関門海峡に面する港町で、対岸の北九州市とは密接な関係をもつ。明治中期までは赤間関(あかまがせき)市と呼んだ。本州最西端の岬・毘沙ノ鼻がある。
日本最大のフグの集積地。瓦そばも有名。大洋漁業(現マルハニチロ)の創業地、大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)の発祥地。松田優作、林芳正、田村淳の出身地。

角島(つのしま): 下関市の島。人口約700人。日本海(響灘)上に浮かぶ。日本海側初の洋式灯台・角島灯台や、'00年に竣工した角島大橋で知られる。『十角館の殺人』の舞台の無人島・角島(つのじま)とは無関係。

阿武町(あぶちょう): 山口県北部の町。日本海と萩市に囲まれている。'22.コロナ禍特別給付金を町民1人に誤振込した事件(4630万円事件)で注目を浴びた。

海老ヶ池: 徳島県南部の湖。江戸時代初期の地震で海から分離して生まれた、四国唯一の天然湖。

香川県: 日本の都道府県の1つ。四国の北東部に位置する。人口約90万人。県庁所在地は高松市。
'88.国土地理院の面積算定方法の見直しで、岡山県との境界未定部分がある直島町の面積を参入しないことになり、大阪府を下回って日本一面積が小さい都道府県となった。

さぬき市: 香川県東部の市。四国八十八箇所の最後の3つの札所がある。

塩飽諸島(しわく-): 西讃地方沖の諸島。人口約2000人。主に坂出市、丸亀市、多度津町、三豊市に属する島々。
戦国時代には塩飽水軍の郷として知られた。江戸時代も藩に属さない自治地域であり、全国で活躍する水夫や船大工を輩出。咸臨丸の太平洋横断時の水夫は、50人中35人が塩飽出身者だった。

丸亀市: 西讃地方の中心市。人口約10万人(香川県内2位)。江戸時代に、丸亀藩(京極氏)・丸亀城の城下町、金刀比羅宮(琴平町)への参拝口として発展した。
讃岐うどんの本場である他、ご当地グルメに骨付き鳥がある。ちなみに、丸亀製麺は兵庫県加古川市発祥で、丸亀市には店舗が存在したことすらない。

土器川: 香川県唯一の一級河川。丸亀市で瀬戸内海に注ぐ。

善通寺市: 西讃地方の市。人口約3万人。四角スイカ(観賞用スイカ)で有名。

父母ヶ浜(ちちぶ-): 香川県三豊市の海水浴場。干潮の夕暮れ時にはウユニ塩湖のような写真が撮れる「瀬戸内海の天空の鏡」。

漂流郵便局: 香川県三豊市の粟島にある、旧郵便局舎を使った施設(芸術作品)。故人、未来の子孫、思いを伝えられなかった初恋の人、自分、長年の愛用品等、通常の郵便システムでは届けられない相手への手紙が各地から届く。
公開日は月2回。届いた手紙は「芸術作品の一部」という位置付けで、誰でも読むことができる。手紙が自分宛てだと感じた場合は、持ち帰ることも可能。

土渕海峡(どふち-): 香川県土庄町(とのしょうちょう)にある、小豆島と前島の間の海峡。最狭部は10m未満で、世界一狭い海峡としてギネス認定されている。

下灘駅: 愛媛県伊予市にあるJR予讃線の駅。「日本一海に近い駅」と呼ばれ、ホームからの伊予灘の眺めが映画やポスターで度々取り上げられる。

佐田岬半島(さだ-): 愛媛県伊方町(いかたちょう)の全域を構成する、四国の西端にある半島。中央構造線に沿って、約40kmに渡って細長く直線的に突き出し、瀬戸内海と太平洋を隔てる。
伊方原発(四国電力唯一の原発)があり、風力発電も盛ん。半島の先端(四国最西端)は佐田岬で、九州最南端の佐多岬と名前が似ている。

日振島(ひぶりしま): 愛媛県宇和島市の離島。人口約200人。平安時代の海賊・藤原純友の本拠地として知られる。島名は、神武天皇東征の際、島民が夜に火を振って航海を案内したという伝説から。

仁淀川(によど-): 愛媛県、高知県を流れる川。四国最高峰の石鎚山に発し、高知・土佐市境で土佐湾に注ぐ。

久礼(くれ): 高知県中土佐町の大字。鰹の一本釣りで知られる漁師町。地酒の銘柄名にもなっている。

門司港駅(もじこう-): 北九州市にある、JR鹿児島本線の始点駅。'88.現役の鉄道駅舎として初めて重要文化財に(その後、東京駅丸の内駅舎も重文となったが現在でも2例しかない)。

直方市(のうがたし): 福岡県の市。人口約5万人。筑豊三都の1つで最も北に位置し、北九州市への通勤・通学者の割合が大きい。

飯塚市: 福岡県の市。人口約12万人。筑豊三都の1つで、人口・面積共に最大。かつて炭鉱で栄えた。麻生セメントを中心とする麻生グループの本拠地で、麻生太郎の出身地。銘菓「ひよ子」発祥地。

玄界灘: 日本海南端の海域。福岡県宗像市から福岡市を経て佐賀県唐津市、さらに壱岐、対馬にかけての海岸部と沖合を指す。大陸棚が広がり、対馬海流が流れる世界有数の漁場。

志賀島(しかのしま): 福岡市の陸繋島。江戸時代に農民が「漢委奴國王」と書かれた金印を発掘し、57年に光武帝が奴国の使節に金印を授けたという『後漢書』の記述が証明された。

キャナルシティ博多: 福岡市の複合施設。劇場や映画館、ホテル、様々なショップが入居する。地下に疑似運河が流れる。

親不孝通り: 福岡市・天神にある通り。かつて予備校が位置し、浪人生が集まったことから名付けられた。

田主丸駅(たぬしまる-): 福岡県久留米市にあるJR久大本線の駅。地元の河童伝説に因み、河童を模した可愛い駅舎で知られる。

大町町(おおまちちょう): 佐賀県中部の町。長野県大町市と同名。その名に反してとても小さい(福岡県を除く九州本島の市町村で面積最小)。

虹の松原: 佐賀県唐津市の唐津湾沿いの松林。三保の松原、気比の松原と並ぶ日本三大松原の1つ。

大村湾: 長崎県の中央に位置する大きな湾。北の佐世保湾との間を針尾島が塞いでおり、極めて閉鎖的な海域。穏やかな波が海岸に打ち寄せるため「琴湖」の別称がある。

長崎空港: 長崎県大村市の空港。大村湾に浮かぶ島を全島開発して築いた。'75.世界初の本格的な海上空港として開港。

諫早市: 長崎県中央部の市。人口約13万人。東の諫早湾(有明海)、南の橘湾、西の大村湾と3つの海に接する。'89-07.諫早湾を大規模に干拓。

男女群島: 長崎県五島市に属する群島。五島列島から約70km南西の東シナ海に浮かぶ。近年まで有人島だったが現在は無人島。現在も港や灯台、ヘリポートがあり、磯釣りやダイビングのスポットとなっている。

女島灯台(めしま-): 五島市・男女群島の女島にある灯台。'06年まで日本最後の「灯台守」がいた。

熊本城: 熊本市の城。16c末に加藤清正が中世城郭を取り込み改築。加藤氏改易(1632)後は幕末まで、熊本藩細川家の居城だった。天守は再建したものだが、宇土櫓(解体保存工事中)等が築城時から残る。
籠城戦を想定し、場内の建物は畳の芯に芋がらを使い、壁に干瓢を埋め込んだ「食べられる城」だった。

阿蘇山: 熊本県内陸部の、巨大なカルデラと雄大な外輪山をもつ活火山。標高1592mは「肥後国」の語呂で覚えられる。

大分県: 日本の都道府県の1つ。九州北東部に位置する。人口約100万人。県庁所在地は大分市。温泉の源泉数(4000ヶ所以上)・湧出量が日本一。

耶馬渓(やばけい): 大分県中津市の渓谷。日本新三景の1つ。青の洞門や、日本最古の石像五百羅漢像を擁する羅漢寺がある。

青の洞門: 耶馬渓にある隧道。江戸時代にノミと槌で30年かけて掘られた。菊池寛の小説『恩讐の彼方に』のモチーフ。

宇佐市: 大分県北部の市。人口約5万人。八幡宮の総本社・宇佐神宮、麦焼酎「いいちこ」で有名な三和酒類の本社がある。名横綱・双葉山の出身地。

安心院盆地(あじむ-): 宇佐市の盆地。葡萄の産地で、三和酒類のワイナリーや、九州唯一のサファリパーク・アフリカンサファリがある。

国東半島(くにさき-): 瀬戸内海に突き出した大分県北東部の半島。中央に両子山(ふたごさん)が聳える。

別府市: 大分県の市。人口約11万人(県内2位)。別府温泉で知られ、温泉の源泉数(2000ヶ所以上)・湧出量が日本一。日本の市で唯一、名前に濁音と半濁音を両方含む。

佐伯市(さいきし): 大分県南東端の市。人口約6万人。九州の東端にあり、九州一面積が大きい市町村。海の幸が豊富。江戸時代は小藩・佐伯藩の城下町だった。

幸島(こうじま): 宮崎県串間市の島。ニホンザルの芋洗い文化で知られる。今西錦司ら京大霊長類研究所がニホンザルの研究を行ってきた「霊長類学発祥の地」。

都井岬(とい-): 宮崎県串間市の岬。野生馬(御崎馬(みさきうま))の生息地、ソテツの自生北限地。

鹿児島県: 日本の都道府県の1つ。九州南端部と南西諸島北部から成る。人口約150万人。県庁所在地は鹿児島市。旧薩摩国・大隅国と、近代まで日本の統治が及ばなかった奄美群島から成る。
中心地である九州の平野部はほぼ火山灰質で水はけが良いシラス台地から成るため、稲作はあまり盛んでなく、畜産や茶・サツマイモの生産で知られる。焼酎の本場でもある。
豚の飼育頭数は日本一。肉用鶏は2位(1位は僅差で宮崎)、肉牛も2位(1位は北海道)。

鹿児島市: 鹿児島県庁所在地。人口約60万人。鹿児島湾西岸と桜島から成る。鹿児島城の城下町として栄えてきた。JR鹿児島中央駅(九州新幹線終点駅)や鹿児島大学がある。
市街から桜島を望む景観は、イタリア・ナポリから同じく活火山のヴェスヴィオ山を望む景観と似ており、両市は姉妹都市提携を結んでいる。鹿児島に「ナポリ通り」、ナポリに「鹿児島通り」がある。
桜島は連続的な噴火で噴煙を上げ続けているため、市民は絶えず天気予報で降灰予報と風向きを確認して生活を行う。灰専用のごみ袋もある。
出身者に、西郷隆盛、大久保利通、黒田清隆、松方正義、東郷平八郎、黒田清輝、稲盛和夫、長渕剛、恵俊彰、沢村一樹、遠藤保仁、AI(歌手)、柏木由紀、上白石萌音・萌歌ら。

指宿市(いぶすきし): 鹿児島の薩摩半島南端(南東部)の市。人口約4万人。砂蒸し風呂で有名な指宿温泉がある。

池田湖: 指宿市のカルデラ湖。九州最大の湖。

開聞岳(かいもん-): 指宿市の成層火山、活火山。日本百名山の1つ。

西大山駅: 指宿市にあるJR指宿枕崎線の駅。JR最南端の鉄道駅。幸せを呼ぶという黄色いポストがある。

南九州市: 鹿児島県の薩摩半島にある市。人口約3万人。茶の生産量日本一で、市内産の緑茶は知覧茶という。太平洋戦争末期に特攻の拠点となった知覧特攻基地が置かれ、現在は知覧特攻平和会館がある。

枕崎市: 鹿児島の薩摩半島にある市。人口約2万人。台風銀座の1つ。薩摩酒造の本社・工場がある。

南さつま市: 鹿児島県の薩摩半島にある市。人口約3万人。吹上浜(ふきあげはま)の砂丘が有名。大迫勇也の出身地。

日置市: 鹿児島県の薩摩半島にある市。人口約5万人。中心駅はJR鹿児島本線の伊集院駅。

いちき串木野市: 鹿児島県西部の市。人口約3万人。スポーツ強豪校・神村学園高校がある。

薩摩川内市(-せんだいし): 鹿児島県西部の市。人口約9万人。本土と甑島列島から成る。中心駅は新幹線停車駅でもある川内駅。九州電力の川内原発がある。

甑島列島(こしきしま-): 薩摩川内市の本土から西に約40km離れた列島。人口約5000人。キビナゴの漁場。

阿久根市: 鹿児島県北西部の市。人口約2万人。文旦伝来の地とされ、今も栽培が盛ん。

出水市(いずみし): 鹿児島県北西部の市。人口約5万人。中心駅は新幹線停車駅でもある出水駅。水田地帯はナベヅルやマナヅルの世界的な渡来地。

伊佐市: 鹿児島県北部の市。人口約2万人。菱刈鉱山、「伊佐錦」等の日本酒が有名。井上雄彦の出身地。

菱刈鉱山: 伊佐市の金山。所有者は住友金属鉱山。今も商業ベースで稼働する日本唯一の金山で、推定埋蔵量は日本の他の全ての金山の合計を上回る。

姶良市(あいらし): 鹿児島県中央部の市。人口約8万人。蜘蛛を戦わせる「加治木くも合戦」の開催地。

佐多岬: 鹿児島県南大隅町(みなみおおすみちょう)にある、九州最南端の岬。

屋久島: 鹿児島県屋久島町(やくしまちょう)に属する島。人口約1万人。樹齢数千年の縄文杉を含む屋久杉自生林、九州・沖縄地方最高峰の宮之浦岳がある。'93.日本初の世界遺産の1つとなる。

吐噶喇列島(トカラ-): 屋久島と奄美大島の間の島々。鹿児島県十島村(としまむら)を構成する。人口約700人。村役場は村外(鹿児島市)にある。

奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島: 世界遺産の登録名('21-)。固有の動植物が多く、生物多様性の観点から世界遺産となった。

与論島: 鹿児島県与論町(よろんちょう)を構成する島。人口約5000人。鹿児島県最南端の島で、美しい珊瑚礁に囲まれる。大潮の頃の干潮時に沖合に現れる幻の砂浜・百合ヶ浜が有名。

沖縄の米軍基地: 沖縄には多くの米軍専用地があり、沖縄本島では島の面積の約15%を占める。これは、全国にある在日米軍専用地面積の約7割に当たる。水域、空域も米軍管理下におかれ、漁業や航空経路が制限された場所が多い。
沖縄はWWIIで日本唯一の地上戦が行われた地。勝って支配者となった米軍が「銃剣とブルドーザー」で人々の土地を奪い、現在も多くが基地のまま残っている地続きの歴史があり、旧日本軍の用地を接収した他県の米軍基地とは成り立ちが違う。
又、他県の在日米兵は空軍が過半を占めるのに対し、沖縄では海兵隊が過半を占める。

読谷村(よみたんそん): 沖縄本島の村。人口約4万人(日本一人口が多い村)。

西原町(にしはらちょう): 沖縄本島の町。沖縄方言でニシは「北」を意味し、首里の北に位置する。市内に琉球大学がある。

赤嶺駅: 那覇市にあるゆいレールの駅。起点・那覇空港駅の隣駅で、日本最南端の鉄道駅

那覇空港: 那覇市西部の臨海部にある空港。沖縄本島の拠点空港で、旅客数は新千歳空港や福岡空港と肩を並べる。ゆいレールの起点・那覇空港駅日本最西端の鉄道駅

喜屋武岬(きゃん-): 沖縄県糸満市の岬。沖縄の地上戦最後の地で、最後まで投降しなかった住民や兵士が崖から次々に投身し、悲惨な最期を遂げた。

慶良間諸島: 沖縄県渡嘉敷村(とかしきそん)・座間味村(ざまみそん)を構成する諸島。那覇市から西に約40kmの東シナ海にある。人口約1500人。主な有人島は4島。
世界でも有数の透明度の海、ケラマジカ等の固有の生物群をもつ。'45.3月.沖縄の地上戦の始まりの地となり、戦闘と集団自決で多くの住民も犠牲となった。

先島諸島(さきしま-): 南西諸島のうち、南西部にある宮古列島・八重山列島・尖閣諸島の総称。

竹富町(たけとみちょう): 沖縄県八重山列島の町。人口約4000人。
竹富島・小浜島・西表島・波照間島等、多くの有人島があるが、全て石垣島を経由しないと本土からアクセスできない二次離島。各島間の航路も石垣島を起点としているため、町役場は町外(石垣市)にある。

西表島(いりおもてじま): 竹富町の島。人口約2000人。沖縄県で沖縄本島に次ぐ面積をもつ。本島との間に定期便はなく、石垣島を経由して航路でアクセスするしかない。人口・面積共に日本最大の二次離島となっている。

波照間島: 竹富町の島。人口約500人。日本最南端の有人島。

大韓民国韓国、KOR): 朝鮮半島南部の国連加盟国。人口約5000万人、面積約10万km2。首都はソウル。宗教は無宗教、キリスト教、仏教の順に多く、信者数ではフィリピンに次ぐアジア2位のキリスト教国。文化的には儒教の影響も根強い。
北朝鮮とは長く1つの国家(李氏朝鮮)だったが、日本による占領統治(1910-45)後、米ソによる南北分割占領統治が元になり、'48年に別々に独立した。

ソウル: 韓国の首都。都市圏人口2500万人超のメガシティ。李氏王朝以来500年の都で、日本統治時代は京城(けいじょう)と呼んだ。「ソウル」は都を意味する新羅語由来の言葉で、韓国の都市としては珍しく漢字表記が存在しない。

珍島(チンド): 全羅南道の島。春の大潮の頃に、約2km離れた島と砂州で繋がる「海割れ」が起こる。

板門店(はんもんてん/パンムンジョム): '53年に朝鮮戦争の停戦協定が結ばれた、軍事境界の北緯38度線上にある地区(共同警備区域)。'18年に南北首脳会談(文在寅・金正恩)が開かれ、板門店宣言が発表された。

台湾中華民国チャイニーズタイペイ、TWN): 台湾本島を中心とする共和国。人口約2300万人、面積約3万6000km2(九州とほぼ同じ)。
中華人民共和国との関係(「一つの中国」政策)から、現在は国連非加盟国、かつ日本を含む主要国が国家承認していない国となっている。
1912年に中国大陸で成立した中華民国を政治的に引き継ぐが、第2次国共内戦を経て、'49年以降は台湾本島とごく一部の島嶼のみを実効支配する。
現代では清の時代に渡来した漢民族の子孫が多数を占めるが、元々はオーストロネシア語族系の先住民が主体の地域だった。17c.オランダ、明朝再興派の統治を経て、清が併合。1895.下関条約で日本が獲得。
'45.WWIIで日本が敗戦し、中華民国が接収。'49.中華民国政府が第2次国共内戦で敗れ、南京から移転。'71.冷戦下の東西陣営の駆け引きの結果、国連加盟国・国連安保理常任理事国の地位を中華人民共和国に奪われる(アルバニア決議)。
70s.日米等の主要国が中華人民共和国と国交樹立し、台湾とは表向き国交を断絶(但し現在も米国とは事実上の同盟関係にある)。'88.李登輝が総統となり、国民党一党独裁が終わり民主化が始まる。

九份: 台湾・新北市にある、山あいの旧金鉱町。日本統治時代の面影を色濃く留める。映画『千と千尋の神隠し』の舞台のモデルと噂される。

中華人民共和国中国、チャイナ、CHN): 東アジアの国連加盟国、国連安保理常任理事国。人口約14億人(世界2位)、面積約950万km2。広大な中国大陸を領有する。
近世以前、日本は最も身近な外国である中国大陸を「から」「もろこし」、近代においては国際名のChinaと同じく「秦」に由来する「支那」と呼んだ。戦後「支那」は差別的な呼称と見なされ使われなくなってきている。
中華人民共和国は戦後、第2次国共内戦に勝った中国共産党が中華民国政府を台湾へ追い出し、'49年に建国。現在も中国共産党が一党独裁を敷く。
当初は発展途上国だったが、'78年に「改革開放」を導入し「社会主義市場経済」と称する独占資本主義化を進めて以降、高い経済成長率を誇る。現在のGDPは約15兆米ドルで、米国と並ぶ超大国となったが、都市と農村の経済格差が大きい。
民族は漢民族が約9割を占める。近年、ウイグル民族やチベット民族に対する人権侵害が国際問題化している。

五星紅旗: 中華人民共和国の国旗。赤旗(革命を表す)の左上に、5つの黄色い五芒星(大きな星は中国共産党、小さな4つの星は労働者、農民、愛国的資産家、知識人を表す)を配したもの。'49.建国と共に誕生。

中国の地方行政区分: 上位から「/省級自治体」「/地級自治体」「/県級自治体」「/郷級自治体」の4段階の区分がある。
都市を意味する「市」には、省級自治体(直轄市)、地級自治体(地級市)、県級自治体(県級市)の3種類がある。直轄市は市といっても面積が広く、最も広い重慶市は北海道並み、最も狭い上海市も群馬県並みの面積をもつ。
省級自治体には、22省、5自治区、4直轄市(北京・天津・上海・重慶)、2特別行政区(香港・マカオ)がある。中国政府は台湾の領有権を主張し、台湾省を含め23省としている。

崑崙山脈(こんろん-/クンルン-): 北のタクラマカン砂漠(新疆ウイグル自治区)と南のチベット地方を隔てる大山脈。
「崑崙」は元々、黄河の源があり神仙達が暮らすとされた伝説上の山の名。実際、黄河の源は崑崙山脈の支脈にある。

盧溝橋: 北京市にある石造のアーチ橋。金代の12cに完成し、度々修復が施されてきた。欄干には異なる表情や姿をした501基の獅子の像が置かれている。
マルコ・ポーロは『東方見聞録』で〈世界中に類を見ない見事さ〉と評した。1937年に起きた盧溝橋事件は日中戦争の発端となった。

景徳鎮市: 中国・江西省の地級市。陶磁器の生産で世界的に知られる「磁都」。

武陵源: 中国・湖南省の自然保護地域。巨大な奇岩の柱が林立する。

四川省: 中国内陸部の省。東部は重慶市と共に四川盆地、西部はチベット高原にあたる。古代には蜀と呼ばれた。ジャイアントパンダや四川料理で知られる。

九寨溝: 四川省の自然保護区。カルスト地形で、棚田状に青い水を湛えた湖沼が連なる。ジャイアントパンダも生息する。

ラルンガル・ゴンパ: 四川省にある世界最大規模の仏教学院。標高4000mの高地にあるチベット仏教の聖地で、最盛期は数万棟の赤い修行小屋が立ち並び、圧巻の光景を魅せた。
'16-.外国人の入域は禁じられ、中国政府の政策によって多くの家屋が失われている。

桂林市: 中国・広西チワン族自治区の地級市。タワーカルストが林立した、空想世界のように美しい風景がある。

紅河ハニ棚田(こうが-): 中国・雲南省にある世界最大の棚田群。ハニ族の人々が1000年以上かけて築き上げた。

バギオ: フィリピン・ルソン島北部の都市。都市圏人口約70万人。標高1500mの場所にある避暑地で、夏の間は政府も移動する「夏の首都」。

キリング・フィールド: ポル・ポト政権下のカンボジアで、大量虐殺が行われた刑場跡。プノンペンのものが有名。

タイ王国(泰、THA): 東南アジアの国連加盟国。人口約7000万人。かつての国名は「シャム」。東南アジアで唯一、欧米の植民地とならず、歴史的に独立を維持してきた。
国民の9割以上が上座部仏教を信仰する仏教国で、若い男性には短期出家をする文化があり、会社にも「出家休暇」の制度がある。
政体は立憲君主制だが、'17年に国王の権限を強化した新憲法を施行。世界的に見ても厳しい不敬罪の規定をもつ。
朝夕の駅や公共機関では国歌が、映画の上映前には王室賛歌が流され、音楽が流れる間は、誰もが脱帽して直立不動の体勢をとらねばならない。

パタヤ: タイの都市。海辺のリゾート地で、ビーチや水上マーケット、娼婦街で知られる。

ロヒンギャ: ミャンマー西部に住むイスラム系民族。ミャンマー政府によってバングラデシュからの不法移民として迫害され、難民化している。

ペナン島: マレーシアのマレー半島北西部にある島。「インド洋のエメラルド」と呼ばれるリゾート地。

ボルネオ島(カリマンタン島): 東南アジアにある、世界で3番目に大きい島。北部はマレーシアとブルネイ、南部はインドネシアに属する。オランウータンの生息地の1つ。語源は古くからある王国「ブルネイ」が訛ったもの。

ヌサンタラ: ボルネオ島東岸に位置するインドネシアの新首都予定地。'22.インドネシア政府が都市名を「ヌサンタラ」に決定。

バリ島: インドネシアの島。ジャワ島のすぐ東に位置する。世界的な観光地。ビーチリゾートや棚田で有名。

モルッカ諸島(スパイス諸島): インドネシアの、スラウェシ島とニューギニア島の間に散在する諸島。

アンナプルナ: ネパールのヒマラヤ山脈内にある8000m級(標高世界10位)の山。「豊穣の女神」を意味する梵語。'50.人類が初めて登頂した8000m級峰となる。

シェルパ: ネパールの少数民族。ヒマラヤに挑む登山家の支援で知られる。なお、主要国首脳会議(サミット)で事前準備や首脳の補佐を担当する各国高官を、この支援者に喩えてシェルパという。

インド(印度、IND): 南アジアの国連加盟国。人口約14億人(世界一)。インド亜大陸の大部分を領有する。
多民族・多言語が共存する国家。宗教はヒンドゥー教が約8割。シク教やジャイナ教もインド独自の宗教で文化的には大きな地位を占める。核保有国で、軍人数は世界最多。
古い時代の中国や日本では「天竺」とも呼んだ。「天竺」「インド(印度)」共に、インダス川以東の土地を指すペルシア語Hindušに関係し、ヒンドゥー教やヒンディー語とも語源を共有する。
ムガル帝国の衰退に伴い、18c後半に英国による植民地化が進んだ。'47.英国から独立。'23.中国を抜いて人口世界一となる。

カシミール地方: インド・パキスタン・中国の実効支配地域が混在する山岳地帯。標高8,000m級のカラコルム山脈をほぼ包摂する。織物のカシミアは、この地域原産のカシミアヤギの毛から作られる。
印パ間・中印間で帰属を巡る対立や係争が絶えない。人口の多いカシミール渓谷地域等は確定したインド領だが、イスラム教徒が多く分離独立運動もあり、日本の地図ではそうした地域を含めカシミール地方全体を境界未定地域として表示する。

ペルシア: イランの古名であり、西洋や日本等の外国では現代まで使われてきたイランの地域名。

クルド人: 主にトルコ、イラン、イラク、シリア等の地域に住むイラン系の民族。言語はクルド語(ペルシア語に近い)。どの国でも少数民族の地位にあり、迫害を受けてきた。
日本・トルコ間には相互ビザ免除の協定があり、来日して難民申請を行うトルコ国籍のクルド人が多い。特に埼玉県蕨市・川口市等には在日クルド人が数千人集住するが、'23現在、日本の入管は裁判で認められた1人を除き難民と認めていない。

ダマスカス: シリアの首都。人口200万人超。現存する世界最古の都市の1つ。BC10cにはアラム人の王国の首都、7-8cにはウマイヤ朝の首都、12-13cにはアイユーブ朝の中心都市の1つだった。
アイユーブ朝時代にはダマスカス鋼が十字軍の間で伝説的な名声を得た。今でも模様のある鋼はダマスカスと呼ぶ。

ドバイ: UAE最大の都市。中東/アラブ世界を代表する世界都市。人口300万人超。元は天然真珠で知られる小さな漁村だったが、貿易港として徐々に存在感を増し、UAE独立('71)後に急速に開発が進んだ。
'10.世界高い建造物「ブルジュ・ハリファ」完成。世界最深のプール(深さ60m)や世界最大の観覧車(高さ250m、搭乗人員1750人)もある。

ザ・ワールド: ドバイにある、世界地図をモデルにした人工島群。

ボスポラス海峡: トルコにある、アジアと欧州を隔て、黒海とマルマラ海を結ぶ海峡。両岸がイスタンブール市を構成する。

バイコヌール宇宙基地: カザフスタン領内にあるロシアのロケット発射場。'55年の建設以降、旧ソ連とロシアの宇宙船全ての打上げ場所となっている。

ウズベキスタン共和国(UZB): 中央アジアの国連加盟国。旧ソ連構成国。人口3000万人余。公用語はテュルク語族のウズベク語。宗教はイスラム教が多数派。
綿花、天然ガス、金の生産で世界的に重要な地位を占める。世界に2つしかない二重内陸国の1つ(もう1ヶ国はリヒテンシュタイン)。

エレバン: アルメニアの首都。人口約100万人。創世記の「エデンの園」があったという伝承がある。

コーカサス山脈カフカス山脈): アゼルバイジャン・ジョージア・ロシアの国境を東西に走る山脈。アジアと欧州の境界の一部。コーカサスは英語名、カフカスはロシア語名。

ロシア連邦(露西亜、RUS): 北アジアから東欧に跨る国連加盟国。旧ソ連構成国。人口1億4000万人余、面積約1700万km2(世界一)。旧ソ連を引き継ぎ、国連安保理常任理事国・NPTの公式核保有国となっている。
鉱物・エネルギー資源の埋蔵量は世界最大。プーチン政権下で民主主義指数が低下し「独裁政治体制」に分類されている。'22.2月-.ウクライナに侵攻し、国際社会から非難や様々な経済制裁を受け孤立している。

オイミャコン: ロシア・サハ共和国の村。「世界で最も寒い定住地」。1926.北半球最低気温(-71.2℃)を記録。

バイカル湖: ロシア南東部の地溝帯にある、三日月形の古代湖。世界一深い湖(最大水深約1700m)、世界一水量が多い湖(五大湖の合計よりも多い)。

エニセイ川: モンゴルからロシアに流れ、北極海に注ぐ川。ユーラシア大陸の川で流域面積は最大、長さも長江に次ぐ。支流の水系にバイカル湖を含む。

ノヴゴロド: ロシア北西部の都市。9cにノルマン人が建設したロシア最古の都市。「新しい町」を意味する。

エカテリーナ宮殿: ロシア・サンクトペテルブルクにあるロココ建築の宮殿。部屋全体の装飾が琥珀で出来た「琥珀の間」が有名。1717.ピョートル大帝后エカテリーナが離宮として造営させた。

ムルマンスク: ロシア北西部の都市。人口約30万人。北極圏最大の都市で、ノルウェー・フィンランドとの国境に近い。暖流の北大西洋海流の影響で不凍港となっており、亜寒帯に属する。

エルブルス山: ロシアのコーカサス山脈にある5000m級の山。ロシア最高峰、欧州最高峰

ウクライナ(UKR): 東欧の国連加盟国。旧ソ連構成国。人口約4000万人。世界トップ10に入る小麦の産地。'22.2月-.ロシアの侵攻を受け、多くの人々が犠牲になっている。

腐海: ウクライナ本土とクリミア半島の間の、アゾフ海西岸に広がるピンク色の干潟。夏の悪臭で知られる。

クリミア半島: 黒海沿いの半島。国際的にはウクライナの領土(クリミア自治共和国セヴァストポリ特別市)とされるが、住民投票を通して'14年、ロシアに併合された。

バルカン半島: 東南ヨーロッパの半島。黒海、マルマラ海、地中海(エーゲ海・イオニア海・アドリア海)に囲まれる。トルコの一部、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャ、アルバニア、旧ユーゴスラビア諸国がある。
多民族地域であり、19c-20c初頭(第1次バルカン戦争)にオスマン帝国から独立して成立した民族国家が多い。

ルーマニア(ROU): 東欧の国連加盟国、EU加盟国。人口約2000万人。首都はブカレスト。民族はルーマニア民族、宗教はルーマニア正教が多数派。

ブズルジャ: ブルガリア・ブズルジャ山の頂上に聳える、旧ブルガリア共産党本部。ブルガリア共産党の解体('90)後、廃墟となった。巨大UFOのような見た目が特徴的。

アクロポリス: 古代ギリシアで、ポリスのシンボルとなっていた小高い丘のこと。最も有名なのはアテナイのアクロポリスで、パルテノン神殿等が建つ。

パルテノン神殿: 古代ギリシア時代のBC5cに建設された、アテナイのアクロポリスに建つ石造りの神殿。6cにはキリスト教の聖堂に、オスマン帝国治世下の15cにはイスラム教のモスクに生まれ変わった歴史をもつ。
17cにオスマンとヴェネツィアの戦争によって爆発炎上し、大きな損傷を受けて、今の姿となっている。

クロアチア共和国(HRV): バルカン半島の国連加盟国、EU加盟国。人口約400万人。旧ユーゴスラビア構成国。民族はスラヴ人、宗教はカトリックが多数派。

ドゥブロヴニク: クロアチアのダルマチア地方南部の飛び地にある都市。オレンジ色の屋根が連なる美しい旧市街は「アドリア海の真珠」と呼ばれる。

スロベニア共和国(SVN): バルカン半島の西の付け根にある国連加盟国、EU加盟国。人口約200万人。旧ユーゴスラビア構成国。民族はスラヴ人、宗教はカトリックが多数派。首都はリュブリャナ
国の英語名に「love」が含まれ、「愛のある国」と謳われる。

ハンガリー(洪牙利、HUN): 中欧の国連加盟国、EU加盟国。人口約1000万人。民族はマジャール人、宗教はカトリックが多数派。国土の大部分はなだらかな丘陵地。パプリカやワインで有名。

ブダペスト: ハンガリーの首都。都市圏人口約300万人。1896.地下鉄がロンドンに次いで世界で2番目に開業。世界で唯一、地下鉄が世界遺産になっている。

ヴルタヴァ川モルダウ川): チェコ国内を南から北に流れる、エルベ川の支流。沿岸にプラハがある。ドイツ語では「モルダウ川」。

グダニスク(ダンツィヒ): ポーランド北部の、バルト海に面する港湾都市。都市圏人口約100万人。「ダンツィヒ」はドイツ語読み。

サンスーシ宮殿: ポツダムの宮殿。18cにプロイセン王・フリードリヒ2世が夏の離宮として建造させた、ロココ様式を代表する建築。

ヴァイマール(ヴァイマル、ワイマール): ドイツ中部の都市。人口約7万人。元東ドイツの南西部・テューリンゲン州に位置する。神聖ローマ帝国時代はヴァイマル公国の首都であり、18c初めにはバッハが宮廷音楽家を、18c末にはゲーテが宰相を務めた。
WWI後の1919年には、ヴァイマールの劇場で憲法制定会議が行われ、この時制定されたドイツ憲法をヴァイマール憲法と呼ぶ。同年、造形芸術学校バウハウスもこの地に開校した。

キール運河(北海バルト海運河): ドイツの国際運河。ユトランド半島の付け根で2つの海を繋ぐ。スエズ、パナマと並んで世界三大運河に数えられる。

ゾーリンゲン: ノルトライン=ヴェストファーレン州の都市。人口約15万人。刃物の名産地である3S(関、ゾーリンゲン、シェフィールド)の一角。

ノイシュヴァンシュタイン城: バイエルン州南部の城。19c後半に中世騎士道に憧れるバイエルン王が築城した。ディズニーパークの「シンデレラ城」や「眠れる森の美女の城」のモデルの1つ。

シェーンブルン宮殿: ウィーンの宮殿。マリア・テレジア治世下の1750年頃に完成した、ハプスブルク家の夏の離宮。外壁は金を塗る計画だったが、マリア・テレジアが財政状況を考慮し、黄色とした(テレジア・イエロー)。
モーツァルトが6歳の時(1762)、ここでマリー・アントワネットに求婚したという逸話が残る。

ユングフラウ: スイスのアルプス山脈内にある山。ドイツ語で「乙女」を意味する。欧州で最も標高が高い(3454m)駅・ユングフラウヨッホ駅がある。

リグーリア州: イタリアの北西沿岸部の州。州都はジェノヴァ。コルシカ島との間の海はリグリア海と呼ぶ。

リヴィエラ: イタリアのリグーリア州とフランスのコート・ダジュールの総称。海岸リゾート地として知られる。イタリア語で「岸」を意味する。

ラツィオ州: イタリア中部の州。州都はローマ。

スペイン広場: ローマの中心部にある広場。『ローマの休日』でオードリー・ヘップバーン演じる王女がジェラートを食べる大階段や、ベルニーニ作の「舟の噴水」がある。近くのスペイン大使館にちなんで名付けられた。
なお、本国スペインのマドリード、バルセロナ、セビリアにもそれぞれ割と有名な「スペイン広場」がある。

ナポリ: イタリア南部最大の都市、カンパニア州都。都市圏人口約300万人。古代ギリシアの植民市ネアポリスとして建設され、13-19cにはナポリ王国の首都だった。
ヴェスヴィオ山を背景とする風光明媚な景観をもち、イタリアでは格言で〈ナポリを見てから死ね〉という。

ポンペイ: ヴェスヴィオ山麓(ナポリとは反対側)にあった古代都市。1cのヴェスヴィオ大噴火で火砕流に埋もれ、近代になって発掘された。古代ローマの伝統をそのまま保存した都市遺跡として知られる。

アマルフィ: カンパニア州の歴史ある港町。アマルフィ海岸は「世界一美しい海岸」と呼ばれることもあり、断崖にへばりつくように密集した建物、複雑に入り組んだ階段路地で知られる。

シチリア島: イタリア最大の島。地図で見るとイタリア半島に蹴られているように見える場所。シチリア州の州旗は中々いかれており、メデューサの頭が3本の素足を生やしている。

エトナ火山: シチリア島東部の3000m級成層火山。欧州最大の活火山。

サンマリノ共和国(SMR): イタリア半島の中にある国連加盟国。人口約3万人のミニ国家。ウェストファリア条約以前から独立を保持している、世界最古の独立共和国。

ハーグ(デン・ハーグ): オランダの事実上の首都(現在、アムステルダムには王室の離宮があるだけ)。ロッテルダムとは約20kmの距離にある。国際司法裁判所があることでも知られる。

デルフト: オランダの古都。ハーグ都市圏に属する。フェルメール、レーウェンフックの出身地。

アントワープアントウェルペン): ベルギー北部の港湾都市。都市圏人口約120万人。ダイヤモンド研磨用の円盤が発明された都市で、中世以来、ダイヤモンド取引・研磨・カットの世界的中心地となっている。

カルチェ・ラタン: パリの地区名。「ラテン語地区」を意味し、パリ大学等の名門高等教育機関が集まる。映画『コクリコ坂から』の主な舞台の1つである、学園の部室棟の名前になっている。

モンパルナス: パリの地区名。1910-20年代のエコール・ド・パリの頃には、家賃が高騰したモンマルトル等から多くの文化人が移り、酒や麻薬による乱痴気騒ぎを繰り返した。
当時の象徴の1つとして、シャガール、モディリアーニ、マリー・ローランサン、藤田嗣治ら、各国出身の若手画家が集った共同アトリエ兼住宅「ラ・リューシュ(蜂の巣)」が歴史的建造物として残る。

モンマルトル: パリで一番高い丘。石灰岩製のドームが有名なサクレ・クール寺院が聳える。麓はパリ随一の歓楽街・風俗街で、キャバレー「ムーラン・ルージュ」は有名。映画『アメリ』('01)の舞台。
ナポレオン3世時代(1852-70)のパリ中心部再開発で、多くの市民が中心部の家を失い、少し離れたモンマルトルが宅地・歓楽街として発展。20c初頭には安アパート「洗濯船」(現在は焼失)にピカソやモディリアーニが住み、活発な制作活動を行った。
WWIの時代(1914-18)にサクレ・クール寺院が完成すると、観光地化が進み、地価高騰と混雑を嫌った芸術家達はモンパルナスに移っていった。

ストラスブール: アルザス地方の都市。都市圏人口約50万人。EU議会や欧州評議会が置かれる、欧州の政治的中心地の1つ。

ブルゴーニュ地方: フランス東部の地方。パリの南東にあたる。主な都市にディジョン。主なワイン産地にシャブリ、ボジョレー。
ブルゴーニュ地方全体が世界的なワイン産地であり、主な品種はピノ・ノワール、シャルドネ、ガメイ。小規模農園が中心で、世界一高価なワイン「ロマネ・コンティ」等、有名な特級畑も多い。

シャブリ: ブルゴーニュ地方を代表するワイン産地の1つ。シャルドネの名産地で、辛口白ワインの代名詞的な存在。

ボジョレー: ブルゴーニュ地方を代表するワイン産地の1つ。ガメイの名産地。ボジョレー・ワインは飲み口が軽やかで日本人に好まれる。

アルル: フランス・プロヴァンス地方の小都市。1888.ゴッホが居を構える。『ひまわり』『夜のカフェテラス』等を描き、ゴーギャンとの短い共同生活の末に耳切り事件を起こした。

ボルドー: フランス南西部の都市、及び周辺のワイン産地名。栽培規模ではフランス最大のワイン産地で、主な品種はメルロー、カベルネ・ソーヴィニョン。ボルドーでは自前の畑をもつ醸造所をシャトー(城)と呼ぶ。

オルレアン: フランス中部の都市。都市圏人口約30万人。百年戦争の転換点・オルレアン包囲戦(1428-29)の舞台。英語読みは「オーリンズ」で米国・ニューオーリンズの由来となった。

メセタ: イベリア半島中央部の広大な台地。乾燥性の高原で、穀類やオリーブ、葡萄の栽培が盛ん。

アルカサル: スペインにおける中世の城のこと。

マドリード: スペインの首都。都市圏人口約700万人。プラド美術館、プエルタ・デル・ソル、サンティアゴ・ベルナベウ・スタジアム等が有名。

トレド: スペイン中部の都市。かつて西ゴート王国やカスティーリャ王国の首都だった城塞都市。

グエル公園: バルセロナの街を一望できる公園。20c初頭にガウディが自然と調和した分譲住宅として建造を始めたが、施主のグエル伯爵とガウディ本人以外に買い手が付かず、工事を中断し市の公園として寄付した。

イビサ島: 地中海にあるスペイン領の島。欧州のヒッピー文化、80s以降はダンスミュージックとクラブカルチャーの中心地として知られる。

セビージャセビリア): アンダルシア州の州都。都市圏人口約150万人。モーツァルト『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』、ビゼー『カルメン』等、多くのオペラの舞台となった。

ロカ岬: ポルトガル・リスボン近郊にある、ユーラシア大陸最西端の岬。〈ここに地終わり海始まる〉と書いた石碑がある。

ドーバー海峡: フランスと英国を隔てる約34kmの海峡。フランス側の港町はカレー、英国側はドーバー。両岸ともに白亜の崖(ホワイト・クリフ)で、最終氷期には陸続きだった。

ブルー・プラーク: 英国で、著名人が暮らした家や歴史的な出来事があった場所に設置する、青い円形の銘板。

グレートブリテン島: 英国の主島で、イングランド、ウェールズ、スコットランドの大部分を構成し、アイルランド島等と共にブリテン諸島を構成する。面積約20万km2(本州より少し小さい)。
紀元前にはラテン語で「白い」を意味する「アルビオン」と呼ばれた(ドーバー海峡の白い崖から)。

ウェストミンスターの鐘: ビッグ・ベンの時鐘の旋律の通称。18c末から使われている。日本の多くの学校が時鐘に採用しており、「キーンコーンカーンコーン」と聞きなされる。

ダウニング街(ダウニング・ストリート): ロンドン・ウェストミンスター地区の、首相官邸と外務省の間にある通り。英国政府の代名詞となっている。

ロンドン・アイ: ロンドン都心(ウェストミンスターからテムズ川を挟んだ対岸地区)にある観覧車。'99.当時世界最大の観覧車として開業。

ハイド・パーク: ロンドン中心部の巨大な公園。ウエストミンスター地区からケンジントン地区にかけて存在する。1851.ロンドン万博(世界初の万博)の会場となる。

シティ・オブ・ロンドン: ロンドン中心部の地区で、ロンドンの起源となった旧市街の中心地。金融街として有名。「シティ」の原義は「司教座のある都市」だが、その名の通り、ロンドン主教座のセントポール大聖堂を中心に発展してきた。
現在もグレーター・ロンドンとは別に市長が置かれ、独自の警察権をもつ。英国で最も由緒ある自治特権都市とされ、国王もシティに入る時は市長の了承を得なければいけない。

ケント州: イングランド南東部のカウンティ。「イングランドの庭」と呼ばれる田園風景で知られ、カンタベリー、ドーバー等の町がある。ケント紙発祥の地。

ブリストル: イングランド南西部の都市。都市圏人口約70万人。ブリストル湾に面する港町。近世には毛織物貿易・奴隷貿易で栄えた。マッシヴ・アタック、バンクシーの出身地。

コッツウォルズ: イングランド中南部の丘陵地帯。蜂蜜色の石灰岩「コッツウォルズストーン」を使った建築群が美しい。

ラップランド: スカンジナビア半島北部を中心とする、伝統的にサーミ人が住む地域。

カテガット海峡: スカンジナビア半島とユトランド半島を隔てる海峡のうち、デンマークの東側の海域。広義の北海に含まれる。

コペンハーゲン: デンマークの首都。シェラン島の東岸に位置する。対岸のスウェーデン・マルメ等を含めた都市圏人口は約200万人。アンデルセンの「人魚姫の像」、世界最古の遊園地・チボリ公園がある。

サハラ砂漠: アフリカ大陸北部の大部分(大陸全体の面積の約3分の1)を占める、世界最大の砂(すな)砂漠。「サハラ」自体がアラビア語で「砂漠」を意味する一般名詞。
現在のような乾燥地域になったのは約5000年前。歳差運動による約2.6万年周期の気候変動等が関係し、乾燥化と湿潤化を繰り返してきたと考えられる。

サヘル: セネガルやマリからスーダン方面に延びる、サハラ砂漠南縁の半乾燥地域。気候区分はステップ気候。

スエズ運河: エジプトの国際運河。スエズ地峡を海面水路化したもの。全長200km弱。ユーラシア・アフリカ両大陸を分断する一方、紅海と地中海を経由してインド洋と大西洋を繋ぐ、海運上重要な役割を果たす。
1869.開通。当初はコンセッション会社が運営し、フランス、次いで英国が出資した。'56.エジプト(ナセル大統領)が国有化。

ルクソール: エジプト南部の都市。都市圏人口約130万人。古代エジプトの都テーベがあった場所で、ツタンカーメンの墓を含む「王家の谷」等、多くの遺跡が残る。'97.ルクソール事件。

トリポリ: リビアの首都、最大都市。都市名はギリシア語で「3つの都市」を意味し、フェニキア人が建設した3つの植民都市の総称に由来する。

モロッコ王国(MAR): 北アフリカの国連加盟国。人口約4000万人。歴史的に、平野部を中心に多数派のアラブ人が暮らし、アトラス山脈地域にベルベル人が暮らしているが、両者は混血が進んでいる。国民の大多数がイスラム教スンニ派を信仰する。
現在の政体は立憲君主制。王朝は17cから続いており、1777年に米国を世界で初めて国家承認した国となった。20cに入りフランス(一部はスペイン)の保護領となるが、50sに独立を果たした。

ギニアビサウ共和国(GNB): 西アフリカの国連加盟国。人口約200万人。首都はビサウ。旧宗主国はポルトガル。輸出額の大部分をカシューナッツが占める。

マリ共和国(MLI): 西アフリカの国連加盟国。人口約2000万人。首都はバマコ。旧宗主国はフランス。国名はかつてのマリ帝国の繁栄にあやかり名付けられた。原義は現地語で「カバ」であり、バマコにはカバの銅像がある。

ドゴン族: マリの「バンディアガラの断崖」に住む民族。人口約25万人。高い天文学知識に基づく神話や、仮面結社や年齢集団等の独自文化を維持する。

コートジボワール共和国(象牙海岸、CIV): 西アフリカの国連加盟国。人口約3000万人。法律上の首都はヤムスクロ、事実上の首都はアビジャン。旧宗主国はフランス。カカオの生産量は世界一。

W国立公園: ブルキナファソ・ニジェール・ベナンに跨る国立公園。多くの野生動物が生息する世界遺産。3ヶ国が仏領西アフリカだった時代に成立し、今も各国が国立公園として指定する。
ニジェール国内のニジェール川の流れが、「W」のように蛇行していることから名付けられた。

エチオピア連邦民主共和国(ETH): 東アフリカの国連加盟国。人口約1.2億人。現存する世界最古の独立国の1つ。国土の大部分が高原で、低い緯度に反し気候は冷涼。
多言語国家だが、アフロ・アジア語族のアムハラ語が全土で通じる。宗教はキリスト教(エチオピア正教会)とイスラム教が共存する。スポーツではケニアと並ぶ長距離走大国で、アベベ・ビキラ等の名選手を輩出してきた。
1936.イタリアの植民地となる。1941.独立回復。'74.軍のクーデターで紀元前から続く君主制が終焉。

アディスアベバ: エチオピアの首都。人口約500万人。アフリカ連合(AU)本部所在地。アムハラ語で「新しい花」を意味する。

タンザニア連合共和国(TZA): 東アフリカの国連加盟国。人口約6500万人。首都はトドマ、旧首都・行政中心地・最大都市はダルエスサラーム。大陸部のタンガニーカとインド洋に浮かぶザンジバルの連合から成る。
主な公用語はスワヒリ語。宗教はイスラム教、キリスト教、伝統的宗教が共存する。19cにオマーン帝国がザンジバルを拠点とし、香辛料や奴隷の貿易で栄えた。19c末にドイツ領、WWI後は英国領となった。'61.独立。

ンゴロンゴロ保全地域: タンザニアの自然保護地域。マサイ語で「大きな穴」を意味する。急峻な外輪山をもつカルデラであり、隔離度の高い生態系が生じた。

マダガスカル共和国(MDG): アフリカ南東沖のマダガスカル島を中心とする国連加盟国。人口約3000万人。首都はアンタナナリボ。主な公用語はマダガスカル語。宗教は伝統的な先祖崇拝とキリスト教が中心。
生息する野生生物の多くは固有種。バニラの生産量で世界の約8割を占める。人類の到達が遅かった地域の1つで、先住民は5c頃に現在のインドネシアからインド洋を越えて渡ってきた。19c末から'60年にかけてフランス領だった。

テーブルマウンテン: 南アフリカ・ケープタウンにある1000m級の山。約3kmにわたりほぼ平坦な山頂が続く。テーブルさん座は、テーブルマウンテンで観測を行ったことから名付けられた。

トリスタンダクーニャ島: 南大西洋にある英国の海外領土。人口約250人。最も近い有人島・セントヘレナ島から南に2500km近く離れており、世界一孤立した有人島としてギネス認定されている。

イヌイット: グリーンランド、カナダ北部、アラスカに住む民族。ユピックと共にエスキモーと総称されるが、カナダ等では「エスキモー」には差別的なニュアンスが含まれるとして専ら「イヌイット」と呼ぶ。
伝統的な生活は、魚や海獣を食べ、イグルーを作りながら、犬ぞり等で移動生活を送るというものだが、現代では近代化された定住生活が一般化している。

イグルー: イヌイットが住まう、氷や雪のブロックを煉瓦のように積み上げて作る半球状の家。

ケベックシティ: ケベック州の州都。都市圏人口約80万人。北米唯一の城塞都市。セントローレンス川が流れる。17c初めにフランスの植民地となり、ケベック州内でも特にフランス文化を強く保つ。

モントリオール: ケベック州の都市。都市圏人口約400万人で、'80年頃にトロントに抜かれるまでカナダ最大の都市だった。セントローレンス川が流れる。

モントリオール・ノートルダム聖堂: モントリオールにある北米最大のカトリック聖堂。青と金色の内装が美しい。19cに建設された。

サスカチュワン州: カナダ中西部の州。東はマニトバ州、西はアルバータ州。

キャピラノ吊橋: バンクーバー近郊にある歩行者用の吊橋。長さ約140m、川からの高さは約70mに及ぶ。

イエローナイフ: カナダ北部の町。オーロラの出現率が高いことで知られる。

五大湖: セントローレンス川水系にある5つの巨大な湖。4つの湖はカナダと米国の国境に位置し、ミシガン湖のみ全域が米国にある。

スペリオル湖: 五大湖の1つ。五大湖で最も上流に位置する。カスピ海に次ぐ世界で2番目に大きい湖で、世界最大の淡水湖

ミシガン湖: 五大湖の1つ。五大湖で唯一、全域が米国にあり、1つの国の中にある湖としては世界一大きい。海峡を隔てたヒューロン湖とは水面高が同じで、合わせて1つの湖と考えても良い。
南北に長く、北から時計回りにミシガン州、インディアナ州、イリノイ州、ウィスコンシン州が囲む。西岸にシカゴ、ミルウォーキー、グリーン・ベイ等の都市がある。

アメリカ合衆国(亜米利加、米国USUSA): 北米の国連加盟国、国連安保理常任理事国。現代日本の軍事同盟国。人口3億人超(世界3位)、面積約980万km2(世界3位)。
20-21cの超大国で、政治的・経済的・文化的・軍事的に現代の世界で最大の影響力をもつ。世界各地から移民を集め続ける多民族国家だが、現在も白人が過半数を占める。
本土は50州と首都のコロンビア特別区(ワシントンD.C.)から成り、48州と特別区が北米大陸の中央部に、アラスカ州はカナダを挟んだ同大陸北西部に、ハワイ州は太平洋の真ん中にある。広大な国土をもつ資源大国でもある。
1776.7.4.英国の13植民地が合同で独立宣言(独立記念日)。独立当初から連邦制共和制をとり、自由と民主主義を標榜した。
初めの領土は東海岸(大西洋岸)だけだったが、領土を西へ拡張しながら発展し、19c末頃には(英仏等に比べて植民地は少なかったものの)世界最大の経済大国となっていた。
WWII後は、ソ連と世界を二分する超大国・冷戦下の資本主義陣営のリーダーとして振る舞い、世界各国の政治に対し、公式・非公式に強く干渉するようになった。
ソ連解体('91)後は唯一の超大国となり、政治的には世界の多元化の中で中南米諸国等に対する支配力を失う一方、経済的にはGAFA等のIT企業の急成長でますます影響力を強めた。

米国の州: 米国本土(首都のコロンビア特別区=ワシントンD.C.を除く)における、連邦の構成単位。英語では「state」又は「commonwealth」で、「国」を意味する。
外交権や通貨発行権こそ連邦政府に授権されているものの、州独自の最高裁判所や憲法・民法・刑法、軍事力をもつ等、非常に自律性が高い。とはいえ、歴史的には徐々に連邦政府の権限が強化され、州の相対的な地位は低下してきた。
1776.7.4.英国の13植民地が合同で独立宣言。そのまま最初の13州となる(独立13州)。'59.アラスカ、次いでハワイが準州から州に昇格し、現在の50州体制となる。

WASP:  White Anglo-Saxon Protestants。米国社会の主流を成してきた、初期移民の子孫たる英国系白人のこと。

チカーノ: メキシコ系米国人のこと。テキサス州やカリフォルニア州等、メキシコとの国境に位置する州に居住者が多い。
白人から差別的な扱いを受けてきた歴史があり、60sには黒人の公民権運動と呼応する形でチカーノの公民権運動も盛んになった。

ニューイングランド: 米国北東部の6州(メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州、マサチューセッツ州、ロードアイランド州、コネチカット州)の総称。中心都市はマサチューセッツ州のボストン。
米国の母体となった英国の13植民地の中でも重要な地位を占めた。白人の人口比が大きい地域で、特に北部3州(メイン州、ニューハンプシャー州、バーモント州)では9割を超える。
名門大学が多く、アイビー・リーグのうち半数の4大学(ダートマス大、ハーバード大、ブラウン大、イェール大)がニューイングランド地方にある。

メイン州: 米国ニューイングランド地方の州。米国本土の北東端に位置する。人口約140万人。元々はマサチューセッツ州の飛び地だった。スティーヴン・キングはメイン州生まれ・育ちで現在も住んでおり、小説の舞台もメイン州のものが多い。

ニューヨーク州: 米国北東部の州。人口約2000万人。州都はオールバニ。独立13州の1つ。

オールバニ: ニューヨーク州の州都。都市圏人口約90万人。ハドソン川中流に位置する。

ニューヨークNY): ニューヨーク州南端の都市。国連本部やニューヨーク証券取引所・NASDAQ(取引量で世界1・2位の証券取引所)を擁する、世界の政治・経済・文化の中心地の1つ。ヒップホップの発祥地。
都市圏人口2000万人超(米国最大)。ニュージャージー州と接し、コネティカット州とも近く、都市圏人口の半分近くを他州が占める。1920年代に700万人台でロンドンを抜いてから、60sに1600万人台で東京に抜かれるまで都市圏人口世界一だった。
愛称「ビッグ・アップル」。旧称「ニューアムステルダム」。最初に入植した欧州の勢力はオランダだったが、17c後半の英蘭戦争で英国の施政下となり「ニューヨーク」と改められた。
1886.自由の女神像完成。1931.エンパイア・ステート・ビルディング竣工。'50.国連本部ビル設置。'01.9.11.同時多発テロで約3000人が犠牲となる。

イースト川: マンハッタンとロングアイランドを隔てる海峡。ロングアイランド湾から南に向かう潮の流れが「川」と見なされる。美空ひばり「川の流れのように」のモチーフになった。

ソーホー: マンハッタン・ダウンタウンの地区。アートギャラリーや高級ブティックが並ぶ。

5番街(5th Avenue): マンハッタンのほぼ中央を南北に縦断する通り。34丁目(エンパイア・ステート・ビルディング)~59丁目(セントラルパークの南縁)は、NYの裕福さを象徴する高級商店街となっている。

ストロベリー・フィールズ: セントラルパーク内にある、'80年に付近の自宅アパート前で銃殺されたジョン・レノンを記念する区画。中央に「IMAGINE」と書かれた記念モザイクがある。
ジョンの誕生日、命日等、様々な機会にファンが集う場所となっている。区画名はジョン作のビートルズの楽曲「Strawberry Fields Forever」('67)から。

アトランティックシティ: ニュージャージー州の都市。都市圏人口約30万人。米国東海岸最大規模のカジノがある。ボードゲーム「モノポリー」スタンダード版の舞台。

デラウェア州: 米国大西洋岸の州。人口約100万人。独立13州の1つで、合衆国憲法を最初に批准した「ファースト・ステート」。20c初頭から独自の法制度により、法人の設立に最適とされ、多くの上場企業が登記上の本社を置く。

スミソニアン博物館: スミソニアン学術協会が運営する博物館・研究所群。多くはワシントンD.C.の中心部にある。米国政府の財源等により入場料は無料で、「国立」を冠する施設も多い。

セントポール: ミネソタ州の州都。ミシシッピ川対岸のミネアポリスと共に「ツイン・シティズ」と呼ばれる。'55.長崎市と姉妹都市に(日本初の姉妹都市提携)。

ラシュモア山: サウスダコタ州の山。花崗岩の露頭に、4人の元米大統領(ワシントン、トーマス・ジェファーソン、リンカーン、セオドア・ルーズベルト)の巨大な胸像が彫られている。

フレンチ・クオーター: ニューオーリンズの地区名。ルイジアナがフランス領・スペイン領だった18cの建物が多い。

バトンルージュ: ルイジアナ州の州都。市名はフランス語で「赤い杖」を意味する。

イエローストーン国立公園: ワイオミング州を中心とする世界初の国立公園。最初の世界遺産12件の1つ。世界最大級のマグマだまりがある火山地帯で、様々な間欠泉や温泉、地熱による観光スポットが散在する。

コロラド川: ロッキー山脈のコロラド州地域に端を発し、グランド・キャニオン等の米国南西部を流れ、メキシコに入ってカリフォルニア湾に注ぐ川。コロラド(Colorado)の語源はcoloredで、水が赤みを帯びて見えることから。

セドナ: アリゾナ州の町。個性的な形をした赤い岩山に囲まれ、多くの「パワースポット」がある保養地。

デスバレー: カリフォルニア州内陸の砂漠地帯にある盆地。直訳「死の谷」。1913.56.7℃観測史上世界最高気温)を記録。
異常な夏の暑さの他、岩が移動する不思議な現象、乾ききった塩湖・バッドウォーター(北米大陸で最も標高が低い場所でもある)、数年に1度のスーパーブルーム等でも知られる。

サンアンドレアス断層: カリフォルニア州西部の約1300kmに渡って続く断層。北米プレートと太平洋プレートの境界を成す。

ゴールデン・ゲート・ブリッジ: サンフランシスコ湾の入口(ゴールデンゲート海峡)に架かる赤い吊橋。1937.完成。2本の主塔の間の長さは1280m(当時世界一)。

パルース滝: ワシントン州の滝。世界でも珍しい砂漠の中にある大滝で、絶景スポットとして知られる。

レーニア山: ワシントン州最高峰。「タコマ富士」の異名がある。森永乳業のコーヒー飲料ブランド「マウントレーニア」の由来。

デナリ: アラスカ州の6000m級の山。北米大陸最高峰。山名は英語由来の「マッキンリー」と長く並立していた。

ハワイ州: 米国の州。ハワイ諸島を州域とする。人口約150万人。元々は独立国・ハワイ王国だったが、19c末に米国が併合。'59.準州から全米50番目の州に昇格。
英国領だったことは無いが、米国で唯一、州旗にユニオンジャックが描かれている。これはジェームズ・クックがカメハメハ1世に英国旗を贈り、ハワイ王家が代々それを飾ったことに由来する。

ワイキキ: ホノルルの海岸部の地名。白い砂浜が続くビーチがあり、一帯にはハワイを代表するホテルが集中する。

マウナ・ケア: ハワイ島の北部を構成する4000m級の楯状火山、休火山。頂上付近は天候が安定し空気が澄んでいるため、日本の「すばる望遠鏡」等、世界各国が置く天文台がある。

キラウエア: ハワイ島の南東部を構成する楯状火山、活火山。'83-'18.ほぼ連続的に穏やかに噴火し続けた。

メキシコ合衆国(墨西哥、MEX): 中米の国連加盟国。人口約1.3億人。首都はメキシコシティ。公用語はスペイン語。宗教はカトリックが多数派。19c前半にスペインから独立した。

ヒドゥン・ビーチ: メキシコの太平洋岸に浮かぶ無人島のビーチ。火山活動で、空を丸くくり抜いたような珍しい地形が造られた。『紅の豚』に登場するポルコの隠れ家のモデル。

グアナフアト: メキシコ中部の都市。人口約20万人。銀山に恵まれ、スペイン植民地時代の美しいコロニアル建築で知られる。

テオティワカン: メキシコシティの北東にある、テオティワカン文明の宗教都市遺跡。2つの大ピラミッド(太陽のピラミッド、月のピラミッド)や「死者の大通り」がある。

カンクン: メキシコ南東部の都市。人口約90万人。カリブ海に面した白いビーチが広がるリゾート地。

グレート・ブルーホール: ベリーズ沖にある巨大なブルーホール(洞窟や鍾乳洞が水没し、浅瀬に深い穴が空いた状態の地形)。直径300m、最深部100m以上。星野之宣の漫画『ブルーホール』では中生代と繋がるタイムトンネルとされた。

バハマ国(BHS): 西インド諸島北部の島々から成る国連加盟国。人口約40万人。公用語は英語。首都はナッソー
バハマ文書の名にある租税回避地として知られる。砕けた珊瑚や貝殻から成るピンクサンド・ビーチや、野生の豚と一緒に泳げるピッグ・ビーチがある。

ハバナ: キューバの首都。人口約200万人。カラフルなコロニアル調の建物が並び、クラシックカーが走る街並みは世界遺産になっている。

モンテゴ・ベイ: ジャマイカの都市。美しい砂浜やカラフルな雑貨で知られる、ジャマイカで最も人気のある観光地。

トリニダード・トバゴ共和国(TTO): 小アンティル諸島の国連加盟国。人口約150万人。公用語は英語。首都はポートオブスペイン。リンボーダンス、スティールパン、カリプソで知られる。
国名は、主要2島のトリニダード島とトバゴ島を合わせたもの。トリニダードは、島にある3つの山をキリスト教の教義の三位一体になぞらえて、トバゴは、先住民が吸っていた煙草から、それぞれスペイン人に名付けられた。

ボネール島: ベネズエラの沖合にあるオランダ領の島。アルバ島、キュラソー島と共に「ABC諸島」と総称される。人口約2万人。人よりフラミンゴの方が多い。

ロライマ山: ギアナ高地の、ベネズエラ・ガイアナ・ブラジル国境にあるテーブルマウンテン。15億年以上前の原生代の地盤。

エンジェルフォール: ベネズエラのギアナ高地にある、世界最長の滝。1000m近い落差のため水は落下中に空気と絡み合い、滝の下部は常に暴風雨の状態であり滝壺が無い。米国人探検家ジミー・エンジェルの名から。

コロンビア共和国(COL): 南米の国連加盟国。人口約5000万人。首都はボゴタ。コーヒー、バラ、エメラルドの産地として知られる。国名はコロンブスに由来する。

カルタヘナ: コロンビア北部の都市。人口約100万人。カリブ海に面し、スペイン植民地時代から貿易港として栄えた。

メデジン: コロンビア第2の都市。都市圏人口約400万人。街を囲む丘陵にはロープウェイや屋外エスカレーターが設置され、赤い瓦屋根の街や美しい夜景を見下ろすことができる。

エクアドル共和国(ECU): 南米の国連加盟国。人口約1800万人。首都はキト。国名はスペイン語で「赤道」を意味する。

キト: エクアドルの首都。都市圏人口約300万人。旧市街は最初の世界遺産12件の1つ。標高は3000m近く年間を通して冷涼。世界の首都の中で、ボリビアのラパスに次いで標高が高い。

チンボラソ山: エクアドルのアンデス山脈内にある6000m級成層火山。山頂は地球の中心から世界一離れた土地。17-18cには世界一高い山だと考えられていた。

サンガイ山: エクアドルのアンデス山脈内にある5000m級成層火山。世界一長期間の火山活動を続けているともいう。富士山のそっくりさんの1つ。

ガラパゴス諸島: エクアドル領の諸島で、本土から西に約900km離れた赤道直下にある。哺乳類と両生類を欠く固有の生物相をもち、ダーウィンが訪れて進化論の着想を得た。ガラパゴスはスペイン語で「ゾウガメ」の複数形。
最初の世界遺産12件の1つ。

チチカカ湖: ペルー・ボリビア国境の古代湖。標高約3810mで、汽船が航行可能な湖として世界最高所となっている。

ボリビア多民族国(BOL): 南米の国連加盟国。人口約1200万人。首都はラパス。内陸国だが、19cにチリとの戦争で失った臨海部の返還を諦めていない。

ラパス: ボリビアの首都。都市圏人口約200万人。世界の首都の中で最も標高が高く(3600m以上)、雲の上の町と呼ばれる。都市名はスペイン語で「平和」を意味する。

チリ共和国(CHL): 南米の国連加盟国。人口約2000万人。首都はサンティアゴ。アンデス山脈西側に位置し、南北に細長い国土をもつ。

サンティアゴ: チリの首都。都市圏人口約700万人。アンデス山脈とチリ海岸山脈に囲まれた盆地にある。

イースター島ラパ・ヌイ): チリの火山島。人口約8000人。南太平洋の絶海に浮かぶ。チリ本土から西に約4000km、最も近い有人島・ピトケアン島からも東に約2000km離れ、更には半径400km以内に無人島すら無い絶海の孤島。
先住民はラパ・ヌイ語を話すポリネシア人で、モアイの遺跡が有名。17cには高度な文明が栄えたが、18cに急激に衰退したという。原因は森林破壊で土地が痩せたことによる食糧不足という説や、西洋人・南米人の侵略という説がある。

パタゴニア: 南米大陸のおよそ南緯40°以南の地域。アルゼンチンとチリに跨る。年間を通して風が非常に強い。

マゼラン海峡: 南米大陸とフエゴ島を隔てる国際海峡。1520.マゼランが通過。

五月の太陽: アルゼンチンとウルグアイの国旗に独立の象徴として描かれた太陽。「五月」は五月革命(1810)に由来する。「太陽」はインカ文明の象徴。

アコンカグア: アルゼンチンのアンデス山脈にある6000m級の山。南米大陸最高峰、南半球最高峰、アジアを除く世界の最高峰。

ブエノスアイレス: アルゼンチンの首都。都市圏人口約1500万人。ラプラタ川の三角江に面し、対岸にウルグアイを臨む。「南米のパリ」と呼ばれる美しい街。都市名はスペイン語で「良い空気」を意味する。
アルゼンチン・タンゴはこの街のボカ地区で育った。サッカーが盛んで、ボカ・ジュニアーズリーベル・プレート等の名門クラブがある。

ポロロッカ: アマゾン川で海水が河口から大逆流する現象。現地語で「大騒音」を意味する。

コルコバードの丘: ブラジル・リオデジャネイロの丘。頂上に、1931年に建てられた高さ30mのキリスト像が立つ。展望台からはリオデジャネイロの街と美しい港が一望できる。

イグアスの滝: ブラジル・アルゼンチン国境にある世界最大の滝

パンタナール: ブラジル・ボリビア・パラグアイ国境にある世界最大の熱帯湿原。本州並みの広さをもつ生態系の宝庫。

ブラジリア: ブラジルの首都。都市圏人口約400万人。首都移転のため、未開発の高原地域に、飛行機の主翼の形を模して建設した計画都市。'60.リオデジャネイロから遷都。

レンソイス・マラニャンセス国立公園: ブラジル北東部の、ほぼ純粋な石英から成る真っ白な大砂丘を主体とする国立公園。雨季の終盤には無数の湖が現れる絶景で知られる。

フェルナンド・デ・ノローニャ: ブラジルの離島。透き通った海と奇岩、固有の生態系で知られる。

コジオスコ山: 豪州の2000m級の山。オーストラリア大陸最高峰。シドニーとメルボルンのほぼ中間にあり、オーストラリアアルプスと呼ばれる山地に属する。各大陸最高峰の中で群を抜いて低く、ハイキング感覚で登れる。

フレーザー島: 豪州東部にある、世界最大の砂島。エコツーリズムの島として人気。南北の長さは100km以上あるが、道路は整備されておらず、延々と続く砂浜を車で走ることができる。

ウルル: 豪州中央部にある、世界で2番目に大きい一枚岩。全周9km以上あるが、地表に出ている部分は全体の5%に過ぎず、95%が地中に埋まっている。
マウント・オーガスタスより訪れやすく、アボリジニの壁画もあるためよく知られる。かつては「エアーズロック」と呼んだ。

マウント・オーガスタス: 豪州西部にある、世界最大の一枚岩。10億年以上前の原生代に形成された。

ニュージーランド(NZ、NZL): ポリネシアの国連加盟国。人口約500万人。公用語は英語。首都はウェリントン。国鳥はキーウィ。英連邦王国の1つで、国旗にはユニオンジャックと赤い南十字星が描かれている。
9-10c頃にポリネシア人(マオリ)が初めて開拓した地域で、人類到達が非常に遅かった地域として知られる。19cに英国の植民地化が進んだ。
1893.世界初の恒久的な女性参政権を確立。1907.カナダと豪州に続く、英国の半独立国的な自治領(ドミニオン)となる。WWII後にウェストミンスター憲章を受諾し、正式に独立した。

クック海峡: ニュージーランドの北島と南島を隔てる海峡。1769.ジェームズ・クックが発見した。

グアム: 米国の準州、島。マリアナ諸島最南端に位置する。人口約17万人、面積約550km2(ミクロネシアの島で最大)。常夏のリゾート地となっており、日韓からの観光客が多い。
先住民族はチャモロ人(現在も人口の半数近く)。16cにスペインが植民地化。1898.米西戦争でフィリピン、プエルトリコと共に米国領となる。1941-44.太平洋戦争で日本が占領。この間「大宮島」と改称された。

ミクロネシア連邦(FSM): ミクロネシアの国連加盟国。人口約10万人。地理的にはカロリン諸島と呼ばれ、東西に広い。最大の島はポンペイ島で首都もある。スペイン、ドイツ、日本(南洋庁)、米国の統治を経て、'86年に独立。

ニューギニア島: メラネシアにある、世界で2番目に大きい島。東半分はパプアニューギニア、西半分はインドネシアに属する。大航海時代の西洋人により、熱帯気候や肌の黒い人々がアフリカのギニアに似ていることから名付けられた。

パプアニューギニア(PNG): メラネシアの国連加盟国。人口約900万人。首都はポートモレスビー。人口数百人以下の少数民族が今でも多く存在し、800以上の言語が話される、世界で最も言語が豊富な国。
国土の多くは熱帯雨林に覆われている。'75年まで豪州領であり、豪州と共にラグビーリーグが盛ん。

クラ: パプアニューギニアの島嶼部における、儀礼としての装飾品授受と、それに伴う部族同士の交易の慣習。

ガダルカナル島: ソロモン諸島の島。首都ホニアラが位置する。ガダルカナル島の戦い(1942)が行われた太平洋戦争の激戦地で、日本軍に多くの餓死者が出た。

ピトケアン諸島: 南太平洋にある英国の海外領土。人口約50人。フランス領ポリネシアとイースター島の中間に位置する。

ヴィンソン・マシフ: 南極の4000m級の山。南極大陸最高峰

アレクサンダー・フォン・フンボルト: プロイセンの地理学者、博物学者、探検家。近代地理学の金字塔『コスモス』を著した。フンボルト海流(ペルー海流)やフンボルトペンギンの名の由来。

◆『じゃらん』: リクルートの国内旅行雑誌。'90.創刊。'23現在、全国5エリアごとに発行されている。誌名は「道」を意味するインドネシア語から。

◆『旅の手帖』: 交通新聞社の国内旅行雑誌。'77.創刊。

◆『TRANSIT』: 日本のトラベルカルチャー誌。季刊。海外の風景・自然・暮らし・文化等を特集する。

◆『るるぶ』: JTBパブリッシングの旅行ガイドブックシリーズ。タイトルは「見る」「食べる」「遊ぶ」の最後の文字を繋げたもの。'84.第1号「京都」刊行。
主要な観光地のものはほぼ毎年発行される他、「聖地巡礼」等の目的ごとの号や東京23区各区版等、多彩なレパートリーは通巻6000号を超え、最も多くの号を発行した旅行ガイドシリーズとしてギネス認定されている。

◆『まっぷる』: 昭文社の旅行ガイドブックシリーズ。表紙デザインが『るるぶ』と酷似する。

◆『ことりっぷ』: 昭文社の旅行ガイドブックシリーズ。主なターゲットは女性。'08.創刊。

◆『ぶらり途中下車の旅』('92-): 日テレの土曜朝の旅番組。芸能人が公共交通機関の路線(関東の鉄道が多い)を途中下車しながら、気ままに旅する。出演者とナレーターの掛け合いがあるのが特徴。
現在のナレーターは小日向文世('16-)。歴代最多出演者は太川陽介


10、交通・建設・機械

MaaS(マース): Mobility as a Service(サービスとしての移動)。ICT活用の文脈で、(自家用車以外の)あらゆる交通手段による移動をシームレスなサービスとして捉える概念。

PASPY: 広島のご当地交通系ICカード。

立体交差: 複数の道筋が異なる平面上で交差すること。交通量の多い場所では、信号機や踏切を使った平面交差に比べ、渋滞の解消、事故の防止といった観点で必要とされる。
高架になった部分を「オーバーパス」、周辺の地面よりも低く、くぐるように造られた道を「アンダーパス」という。

切通し: 山や丘を部分的に掘削し、通れるようにした道のこと。トンネル掘削の技術が無かった時代に多く作られた。山に囲まれた鎌倉に入るための「鎌倉七口(-ななくち)」が有名。

雁木通り(がんぎ-): 江戸時代に日本海側の積雪地帯に広まったアーケード状の通路で、冬の歩道を確保するために町屋の庇等を長く張り出したもの。町屋の構造としては「雁木造」と呼ぶ。新潟県上越市高田の商店街のものが有名。

擬宝珠(ぎぼし): 橋の欄干等に付けられる、葱の花を象った飾り。

安全地帯: 緊急車両の出入りや路面電車の乗降のため、道路上に設ける、交通を規制するエリア。標識は青地に白いV。

高速道路: 高速で走行できる自動車専用道。日本の高速道路は法定最高速度100km/h、最低速度50km/hで、通行料の高さで知られる。山がちな地形からトンネルや橋の割合が多く、狭い平野部は地価が高いため、建設費がかさむことが理由。

NEXCO(ネクスコ): 日本道路公団の分割民営化('05)で発足した、東日本高速道路(NEXCO東日本)、中日本高速道路(NEXCO中日本)、西日本高速道路(NEXCO西日本)の総称。いずれも高速道路を管理する特殊会社。

ハイウェイオアシス: 高速道路上の休憩施設と直結し、一般道に降りなくとも利用できる公園やレジャー施設のこと。

新東名高速道路(第二東名): 神奈川県海老名市と愛知県豊田市を結ぶ高速道路。東名高速と並行し、やや山側を通る。

東京外かく環状道路外環道): 千葉県市川市から埼玉県を経て大田区に至る環状道。練馬区の大泉JCT以南(東京都内を通る部分のほとんど)は未開通。
未開通部分の用地取得に困難を来したため、00sに大泉JCTから東名道と接続する世田谷区までの部分は、一般道は棚上げし、高架ではなく大深度地下を通すことで高速道路のみ先行して通す計画に変更された。
その後は建設が進められたが、地盤の緩みによる調布市の陥没事故('20)で1年以上工事が中断する等、大深度での掘削工事は困難を究めている。

点線国道: 国道でありながら車両通行不能な道。地図上の表記から。

国道12号: 札幌市と旭川市を結ぶ国道。日本の国道で最長の直線区間(美唄市~滝川市の約30km)がある。

エンジン原動機): 燃料を燃やし、動力を生み出す装置。一般に、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン、ジェットエンジン、ロケットエンジン等の内燃機関を指す。
俗に、エンジンストップを「エンスト」、エンジン故障を「エンコ」という。

シャーシ(シャシ、シャーシー、車台): 車の車体を支える骨組みのこと。

ダッシュボード: 自動車のフロントガラスの下の、計器盤やスイッチ類が並んだ部分。PC等では、複数の情報源からデータを集め、概要を一覧表示する機能を指す。

オドメーター: 自動車の車両完成時からの積算走行距離を示すメーター。

クーペ: 小型乗用車で、主に2ドアのものを指す。ボディ剛性やデザインを重視するオーナーに好まれる。

ハッチバック: 独立したトランクが無く、バックドア(ハッチ)がある車のこと。通常、セダンやクーペのように全高が低い車種でバックドアがあるものを指す。

四輪駆動車四駆(よんく)、4WD): 4つの車輪全て(前輪+後輪)に動力を伝えて走る車のこと。雪国等で需要が大きい。WDは「Wheel Drive」の略。

ハッチ: 乗り物や地面、壁等に付けられた、跳ね上げ式の扉のこと。

ガルウィングドア: 車のドアで、真上方向に水平に跳ね上げる形式のもの。ガルウィングは「鴎の翼」を意味する英語。

8ナンバー車(はち-): パトカーや消防車、キャンピングカー等の特種用途自動車のこと。ナンバープレートの分類番号の頭の数字から。

ラッセル車: 車両の前に排雪板が付いた除雪用車両。開発した米国の会社名から。

品川ナンバー: 東京の都心・城南地域(千代田区、中央区、港区、渋谷区、目黒区、品川区、大田区)と島嶼部(伊豆諸島、小笠原諸島)の登録車両に交付される、自動車用ナンバープレート。
対象地域に都内の平均所得トップ5の自治体(港、千代田、渋谷、中央、目黒)を全て含み、同じく23区内で広く使われる練馬ナンバー足立ナンバーと比べて「ヒエラルキーが高い」と称されることが多い。
ちなみに、東京都島嶼部は車のナンバーも「品川」だが、衆院選の小選挙区も品川区とセットで東京3区。各島との連絡船の拠点・竹芝埠頭がある港区ではなく、品川区と同じ括りである。

原動機付自転車(原付、原チャリ、原チャ): 排気量の少ない小型オートバイのこと。
第一種原動機付自転車は、排気量50cc以下、法定最高速度30km/h、ナンバープレートは。四輪普通免許やいわゆる「原付免許」で運転できる。
第二種原動機付自転車(原2)は、排気量125cc以下、法定最高速度60km/h、ナンバープレートはピンク(91-125cc)か黄色(51-90cc)。小型二輪免許等の二輪専用免許が必要。

カウル: 運転者の空気抵抗を防ぐために、バイクの車体を覆うように備え付けるパーツ。

猫バンバン: 冬場等に車のエンジンルームに潜り込む猫の安全を守るため、発進前にボンネットを叩いて猫を追い出すこと。

蒸発現象: 夜や雨天時に起こる、自分の車と対向車のヘッドライトが交錯する位置にいる歩行者等が突然見えなくなる現象。

タンデム: オートバイや自転車で、縦に並んで2人乗りすること。

フル免許: 「大型自動二輪車」「大型自動車第二種」「大型特殊自動車第二種」「牽引第二種」の免許を全て獲得し、あらゆる自動車や二輪車を運転できる状態のこと。

フルビット免許: 運転免許証の右下の種類欄(14マス)が全て埋まった状態のこと。単にフル免許であれば良いわけではなく、下位免許を先に取得する等、取得順を工夫しなければ全て埋まらない。

交通切符: 交通違反者に交付する切符。刑事処分を伴う「赤切符」、反則金の納付を伴う「青切符」、路上駐車やシートベルト未装着等の軽微な違反に対する「白切符」がある。

トリガー条項: ガソリン価格が3ヶ月連続で160円/ℓを超えた際に揮発油税を引き下げる日本の制度。'11.東日本大震災の復興財源の確保が困難になるとの理由で凍結され、'23現在も再開されていない。

トヨタ自動車: 愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカー。年商は連結決算で約30兆円に上る日本最大の企業で、戦中から現在まで一貫して日本最大の自動車メーカー。現在はフォルクスワーゲンと世界最大手を争う。
軽自動車が主力のダイハツ工業、トラック・バスが主力の日野自動車、Jリーグの名古屋グランパスエイト、Bリーグのアルバルク東京等を傘下にもつ。SUBARU、デンソー、アイシン精機、豊田通商の筆頭株主でもある。
高品質を維持する製造ラインの「かんばん方式」「改善」などの特徴が「トヨタ生産方式」として持て囃されてきた。アイドリングストップやハイブリッド車を世界で初めて導入し広めた。
1933. 豊田自動織機製作所内の自動車製造部として創業。'55.初代クラウン発売。ロンドン-東京間を走破し、純国産車のシンボル的存在として日本の産業・技術界に自信を与えた。
'66.初代カローラ発売。日本のモータリゼーションを促進する大ヒット車に。'89.高級車ライン「レクサス(Lexus)」展開開始。'97.初代プリウス(世界初の量産型ハイブリッド専用車)発売。

ヤリス: トヨタのコンパクトカー。'99.「ヴィッツ」として初代モデル発売。'20国際ブランド名「ヤリス」に統一し新型モデル発売。

e-POWER: 日産の自動車(セレナ、ノート等)に搭載される、ガソリンエンジンとモーターを融合した電動パワートレイン。

ステランティス: 多国籍の自動車メーカーグループ。'21.経営統合で誕生。
グループ本社はオランダにあり、フィアット、アルファロメオ、マセラティ(以上イタリア)、プジョー、シトロエン(以上フランス)、クライスラー、ジープ(以上米国)、オペル(ドイツ)等のブランドから成る。

ミニ(Mini): BMWの自動車ブランド。「クーパー」が有名。元々は英国のブランドで、'59-'00年の41年間モデルチェンジなく製造された(クラシックミニ。現在のミニより遥かに小型な超小型車)。エンブレムは英国車に多い翼型。

フィアット: イタリア・トリノの自動車メーカー。ステランティス傘下。「フィアット・500」が有名。

フェラーリ: イタリアの自動車メーカー。超高級スポーツカーで知られる。エンブレムは黄色地に「跳ね馬」。

シトロエン: フランス・パリの自動車メーカー。ステランティス傘下。エンブレムは楔形を2つ重ねた形(ダブル・シェブロン)。

レンジローバー: ランドローバーの高級SUVで、同社のフラッグシップ車種。'70.初代モデル発売。

T型フォード: フォードが1908-27年に販売した自動車。大量生産で庶民に手の届く価格を実現し、米国の自動車普及のきっかけとなった。通算販売台数は1500万台を超え、単一モデルとしての販売台数はフォルクスワーゲン・ビートルに次ぐ史上2位。

モンキー: ホンダのオートバイ(原付)。'67.発売。小さい、可愛いが特徴だったが、近年は125ccのモデルもある。

ビバンダム(ミシュランマン): ミシュランの公式マスコット。全身が白いタイヤで出来ている。

グッドイヤー: 米国のタイヤメーカー。ロゴマークは翼が生えた足。

ブラックキャブ: 英国、特にロンドンのタクシー。黒い車体が多いが、近年ではラッピング広告等、黒以外の車もある。

シャトルバス: 観光地や空港等の特定の目的地間で、客を効率的に運ぶために短い間隔で運行するバス。織機のシャトルに喩えた表現。

はかた号: 西鉄の夜行高速バス。東京(バスタ新宿)-福岡間を結ぶ。運行距離(1000km以上)、所要時間(14時間以上)共に日本最長級の「キング・オブ・深夜バス」。

BRT: Bus Rapid Transit。バス車両をベースに、専用車線等を確保して行う定時運行の交通システム。鉄道の列車のようにバスを連接し、大量輸送を行うことも多い。
ブラジル発祥で、現在もラテンアメリカに路線が多く、世界のBRT利用客数の過半数がラテンアメリカに集中する。日本では近年、都市部(特に新興開発地域)の新交通として、又、地方では鉄道の廃線跡を活用した交通手段として、導入が進んでいる。

電動キックボード(電動キックスケーター): 小型原動機付きのキックスケーターのこと。'23年7月の法改正で、最高速度20km/hまでのものは免許不要(自転車扱い)となった。
近年、多くの事業者がシェアリングサービスを行っており、国内最大手はLUUP

ジャイアント(GIANT): 台湾の自転車メーカー。廉価なマウンテンバイク、クロスバイク、ロードバイクで知られる。

ビアンキ: イタリアの自転車ブランド。19c創業の、現存する世界最古の自転車ブランド。

鉄道: レール(線路)を敷いて、その上に列車を走らせ、人や貨物を運ぶ交通システム。19c初頭に英国で蒸気機関車が誕生したことで普及した。現在は電車や気動車(ディーゼル車)が一般的。

地下鉄(地下鉄道、メトロサブウェイ): 路線の大部分が地下に存在する鉄道。大都市の都市内交通として一般的。
日本では、自治体によるもの(東京都、札幌市、仙台市、横浜市、名古屋市、京都市、神戸市、福岡市)、公有企業によるもの(東京メトロOsaka Metro)、第三セクターによるもの(りんかい線みなとみらい線等)があり、純然たる私鉄はない。
世界的な呼称に「メトロ」と「サブウェイ」があるが、米国ではNY等「サブウェイ」と呼ぶ都市が多い。ロンドンでは「チューブ」という愛称もある。

LRTライトレール): Light Rail Transit。本来は、一般の鉄道よりは輸送力も建設費も「ライト」だが、従来の路面電車よりは専用軌道を多く確保した中間的なものを指す。
日本では、専用軌道の比率にあまり関係なく、近年敷設されている低床車両の路面電車が走る路線(宇都宮市や富山市のもの)をLRTやライトレールと呼ぶ傾向にある。

日本初の鉄道: 1872.新橋-横浜(現在の桜木町)間で日本初の鉄道が開業。1874.大阪-神戸間が開業(1880年には大津(現在のびわ湖浜大津)まで延伸)。1870年代に完成した路線はこの2路線のみで、旅客輸送が先行した。

営業係数: 鉄道や路線バスの採算を示す指標で、100円の収入を得るのに何円の費用がかかるかを示す数値。
日本を代表するドル箱路線のJR山手線や主要新幹線(東海道、山陽、東北、上越)では50-60前後。儲からないローカル線では万単位の値が叩き出されることも少なくない。

駅ビル(ターミナルビル): 駅舎を大規模化し、商業施設等の機能を持たせた建物。特に日本で発達している。郊外の沿線住民を集客する機能をもち、戦後の副都心発展の要因の1つとなってきた。
1920.阪急梅田駅が日本初の駅ビルとなる。'50.豊橋駅が国鉄初の駅ビル(民衆駅)となる。

民衆駅: 戦後、国鉄と地元資本の合弁で運営された駅ビルのこと。国鉄民営化('87)後はほぼ死語となっており、運営形態としても、JR本体や完全子会社による駅ビルが増えている。

JRの学生割引乗車券: JR各社では、片道100kmを超える乗車券について、2割引の学割が存在する。ちなみに、通勤定期と通学定期の差は2割より大きい。

薩摩守(さつまのかみ): 電車等に不正に無賃乗車すること。平清盛の弟・平忠度(-ただのり)の官職から。

吊り革: 電車やバスに立って乗る客が掴まって体を支えるための、上からぶら下げられている支持具。昔は単なる革のストラップだったりしたが、現在では丸型や三角形のプラスチック製の握り手が付いている。

はやぶさ: 東北・北海道新幹線の特急列車の愛称。最高速度約320km/h(日本の新幹線で最速)で、東京-仙台を1時間半、東京-新青森を3時間、東京-新函館北斗を4時間で結ぶ。

のぞみ: 東海道・山陽新幹線の列車種別。最高速度約300km/hで、東京-新大阪を2時間半、東京-博多を5時間で結ぶ。必ず停車する駅は東京、品川、新横浜、名古屋、京都、新大阪、新神戸、岡山、広島、小倉、博多。
命名者は阿川佐和子。'92.運航開始。

西九州新幹線: JR九州の新幹線。武雄温泉-長崎間を結ぶ。'22.開業。鉄道空白地域だった嬉野市に始めて新駅が開業した。博多-武雄温泉間の延伸は佐賀県との議論が進んでおらず、'23現在未定。

中央新幹線リニア中央新幹線): JR東海による、品川-新大阪間の新幹線の新線計画。超電導リニアを採用した世界初の鉄道路線となる予定。名古屋以東の'27年開業を目指し、建設が進んでいる。

超電導リニア: 超電導電磁石を利用した磁気浮上式リニアモーターカーのこと。500km/h以上の超高速走行が可能で、地震でレールが歪んだりした時の被害も小さいというメリットがある。
国鉄時代に開発が始まり、'77年に宮崎県に1.3kmの実験線が造られた。半世紀を経て、'27年に中央新幹線が開通予定。

サンライズ: '24現在、日本で唯一定期運行している寝台列車。サンライズ出雲(東京-出雲市)、サンライズ瀬戸(東京-高松)の2種類がある。

官営幌内鉄道: 北海道開拓使が運営した鉄道。石炭の積み出しのため、手宮駅(現在の小樽市)と幌内駅(現在の三笠市)を結んだ。1880.手宮-札幌間が開通(日本で3番目の鉄道)。
私鉄・国鉄時代を経て、現在は南小樽-(札幌)-岩見沢間がJR函館本線に組み込まれて残る。両端の手宮-南小樽間、岩見沢-幌内間はそれぞれ80sに廃止された。

JR武蔵野線: JR東日本の路線。首都圏郊外を結ぶ外環状路線で、旅客営業区間は府中本町(東京都府中市)-西船橋(千葉県船橋市)。'73.開業。
府中本町で南武線、西国分寺で中央線、武蔵浦和で埼京線、南浦和で京浜東北線、新松戸で常磐線、西船橋で総武線と接続する。

成田エクスプレス(N'EX): JR東日本の特急列車。新宿・八王子・大船の各駅から東京駅を経由し、総武本線・成田線を通って成田空港駅までを繋ぐ。東京-成田空港の所要時間は1時間前後。

ディズニーリゾートライン: オリエンタルランドの子会社が運営するモノレール。リゾートゲートウェイ・ステーション、東京ディズニーランド・ステーション、ベイサイド・ステーション、東京ディズニーシー・ステーションの4駅がある。

スカイライナー: 京成電鉄が京成上野-成田空港間で運行する特急列車。'23現在、新幹線以外の列車で日本最速(最高速度160km/h)を誇る。

小湊鉄道: 千葉県の鉄道会社。五井(ごい)(市原市)-上総中野(大多喜町)間の路線をもつ。週末にトロッコ列車を運行する。「小湊」は元々延伸予定だった鴨川市の地名だが、延伸は実現していない。

東京メトロ千代田線: 東京メトロの路線。ラインカラーは。'69.開業。駅は代々木上原、代々木公園、明治神宮前、表参道、乃木坂、赤坂、国会議事堂前、霞が関、日比谷、二重橋前、大手町、新御茶ノ水、湯島、根津、千駄木、西日暮里、町屋、北千住、綾瀬、北綾瀬。代々木上原駅で小田急小田原線と、綾瀬駅でJR常磐線と直通運転を行う。
'08.日本の地下鉄路線として初めて、有料特急列車(小田急ロマンスカー)の乗り入れを開始。代々木上原には止まらず、停車駅は表参道、霞ケ関、大手町、北千住のみ。

箱根登山鉄道: 小田急グループの鉄道会社。箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイを運営する。

ササラ電車: 札幌市電や函館市電が冬に運行する、竹製ブラシを回して雪を飛ばす除雪用車両。

ユーロシティ(EC): 欧州の主要都市間を結ぶ国際列車の列車種別。

オリエント急行: 1883-2009年に運行されていた、西欧とバルカン半島を結ぶ夜行列車。

ユーレイルパス: 欧州域外からの旅行者が、一定期間、欧州の加盟各国の鉄道に乗り放題となる周遊券。

Nゲージ: 日本の鉄道模型の主流の規格。軌間が9mmとなっている。

箱根ロープウェイ: 神奈川県箱根町の強羅地区から大涌谷を通って芦ノ湖を結ぶ、全長約4kmのロープウェイ。箱根登山鉄道が運営する。乗車人数が最も多いロープウェイとしてギネス認定された。

ホバークラフト(ホーバークラフト): 水面や地面に向けて空気を高圧で噴出し、浮揚して進む乗り物。

箱根海賊船: 神奈川県箱根町の芦ノ湖で運航する、海賊船風の観光船。小田急グループの箱根観光船が運航する。

クイーン・エリザベス: 豪華客船の名。1940.当時世界最大の客船として英国で誕生(当時のエリザベス王妃に由来する)。'10.3代目の運用開始。定員は2000名余。内装は初代以来のアール・デコを基調とする。

南極観測船: 南極への人員・物資輸送や、観測・実験に携わる砕氷艦。日本の歴代観測船は、'57-「宗谷」、'66-「ふじ」、'84-「しらせ」、'10-二代目「しらせ」。

日本郵船: 国内最大手の海運会社。岩崎弥太郎が設立し、三菱重工業と共に三菱グループの源流企業にあたる。

商船三井: 売上高国内2位の海運会社。

川崎汽船: 神戸市に本店を置く、売上高国内3位の海運会社。川崎重工業の船舶部が母体。

ヨーソロー: 「今の進行方向でOK」「そのまま直進」を意味する航海用語。「良う候」から。

Z旗: 船舶用の国際信号機の1つ。黄・黒・赤・青の4色旗でローマ字「Z」を表す。日露戦争・日本海海戦(1905)で東郷平八郎が士気を上げるために掲げたことから日本では特別な意味が生じ、太平洋戦争時の勝利祈願等で広く使われた。

ツェッペリン: 硬式飛行船のこと。20c初頭にドイツのツェッペリン伯爵が開発した。

ヒンデンブルク号: ドイツの巨大硬式飛行船。1936.大西洋を横断した旅客輸送を開始。1937.爆発火災で36人が死亡。飛行船の旅客輸送が廃れるきっかけの1つとなった。

セスナ: 米国の軽飛行機メーカー。

ボーイング747ジャンボジェット): ボーイングの大型航空機。'70.運用開始。航空業界の大量輸送時代を開き、空の旅を大衆化させた。エアバスA380の運用開始まで、40年近く世界最大の民間航空機だった。

コンコルド: 英仏の企業が開発し、両国の航空会社が70s-00sに運航していた超音速旅客機。定期国際航空路線に就航した唯一の超音速旅客機だったが、燃費が悪く定員も少ないため収益性が低く、世界的には広まらなかった。
「調和」を意味するフランス語。

ヘリポート: ヘリコプターの離発着場。緊急救助用に、高層ビルの屋上等にも多く設置され、緑色の離着陸面に大きく「H」の字が書かれている(Heliportの頭文字)。

緊急救助用スペース: ヘリコプターがホバリング状態で救助を行うためのスペース。高層ビルの屋上に多く設置され、緑色の離着陸面に大きく「R」の字が書かれている(Rescueの頭文字)。

コックピット: 航空機の操縦席のこと。

格納庫: 航空機を雨風や砂塵から守り、整備や補給、待機等を行う格納施設。

ダッチロール: 飛行中の航空機が不安定になり、横揺れを起こしながら蛇行する現象。

LCC(ローコストキャリア、格安航空会社): サービスを効率化・簡素化し、低価格な運賃で輸送を行う航空会社。'12.Peach Aviation、バニラ・エア、ジェットスター・ジャパンが相次いで就航(LCC元年)。

陸マイラー(おか-): 航空会社のマイルサービスを飛行機に乗らずに利用する人のこと。「陸サーファー」のもじり。

機内誌: 旅客機の乗客用のフリーマガジン。JALの『SKYWARD』、ANAの『翼の王国』等。

スター・アライアンス: 世界初で世界最大の航空連合。全日空、ルフトハンザドイツ航空、ユナイテッド航空等が加盟する。

ワンワールド: 世界三大航空連合の1つ。日本航空、カタール航空、アメリカン航空等が加盟する。

スカイチーム: 世界三大航空連合の1つ。大韓航空、エールフランス、デルタ航空等が加盟する。

カンタス航空: 豪州最大の航空会社。ロゴにはカンガルーがデザインされている。

モンゴルフィエ兄弟: 18c後半のフランスで熱気球を発明し、世界初の有人飛行を行った兄弟。

チャールズ・リンドバーグ: 米国の飛行家、科学者。1927.史上初の大西洋単独無着陸飛行に成功。'53.自伝『翼よ、あれがパリの灯だ』。

ジェットパック: 鞄のように背負ったジェットの噴射によって推進する飛行器具。LA五輪('84)の開会式のパフォーマンス(「ロケットマン」)で使われたのが有名。
今も「高度な姿勢制御を要する特殊な飛行器具」という扱いは変わっておらず、民間分野でも軍事分野でもパフォーマンス目的以外での広範な利用には至っていない。

探査車(ローバー): 地球外天体の表面を移動し、観測する車両。ソ連の月探査車・ルノホート、NASAの火星探査車・キュリオシティ(「好奇心」)やパーサヴィアランス(「不屈」)、JAXAの小惑星探査車・ミネルバ等が知られる。

スペースX: 米国の航空宇宙メーカー。火星の植民地化のための低コストでの宇宙輸送を目指し、イーロン・マスクが'02年に設立。
'20.有人宇宙船「クルードラゴン」を打ち上げ、民間企業として初めて有人宇宙船をISSに到達させた。'23現在、世界最大のロケットを用いた宇宙船システム「スターシップ」を開発中。

アポロ10号('69): アポロ計画で行われた有人宇宙飛行。月から帰還する際の速度が時速約4万km(秒速約11km)に達し、人間が乗った乗り物が達成した史上最大の速度としてギネス世界記録に登録されている。

H3ロケット: JAXA・三菱重工業が基幹ロケットとして開発した液体燃料ロケット。'23年3月、1号機の打ち上げ失敗。

アルテミス計画: '24年までに行う予定の有人月飛行計画。女性の宇宙飛行士による初の月面着陸を予定する。

ユーリ・ガガーリン('61): ソ連の軍人、宇宙飛行士。'61.ボストーク1号に単身搭乗し、人類初の有人宇宙飛行に成功。名言〈地球は青かった〉。

エレベーター(昇降機): 人を載せ、建物内を垂直に移動させる装置。1890.浅草の凌雲閣に、電動式のものとしては日本初のエレベーターが登場。
かつてはハンドルによる運転が必要で、運転と乗客案内を担当するエレベーターガール/エレベーターボーイには高い技術が必要だった。
ちなみに、日本では1人の体重を65kgとしてエレベーターの定員を計算する。韓国では、4階を意味するボタンが「4」でなく「F」となっていることがある(韓国語で「4(サ)」は「死(サ)」と通じるため)。

気送管(エアシューター、エアシュート): 筒状の容器を管の中に入れ、圧縮空気もしくは真空圧を利用して輸送するシステム。
Eメールの普及前はオフィスでの文書類のやり取りにも使われた。パリではかつて全郵便局がびっしり地下に張り巡らされた気送管で結ばれ、手紙は数十分で目的地に到着した。

郵便番号: 郵便物を分類する住所コード。'68.導入。'98.3桁/5桁から一律7桁に変更。米国では同様のコードを「ZIPコード」という。
1桁目が「1」なのは東京、「2」「3」は関東、「4」は静岡や愛知、「5」「6」は関西周辺、「7」は中四国、「8」は九州、「9」は沖縄・北陸・南東北、「0」が北東北と北海道。単純に北から順でないのは鉄道輸送の名残だという。

葉書: 宛先と本文を1枚の厚紙に書き、封をせず郵送する手紙。日本では第二種郵便物として扱う。官製はがきのサイズは100×148mm(A6より横が5mm短い)。'17.葉書1枚の郵便料金が52円→62円に値上げ。'19.63円に値上げ。
書き損じ葉書は、一定の枚数までなら1枚5円で、郵便局で新しい葉書と交換できる。

国際スピード郵便EMS): Express Mail Service。国際の速達書留のようなもの。

DHL: 米国発祥で、現在はドイツに本社を置く、世界最大級の運輸会社。

大深度地下: 大深度法('01)による地下利用の概念。都市部の地下40m以深の工事について、地上部の買収や地権者の同意、地権者への補償を不要とした。東京外かく環状道路や中央新幹線で大深度工事を行っている。

ピロティ: 2階建て以上の建物の1階部分で、柱だけを残して外壁を無くし、吹き放しにした空間のこと。

(むね): 屋根と屋根が交差する稜線の部分。

トラス構造: 部材を三角形に繋ぎ合わせた骨組み構造のこと。橋や鉄塔に使われる。

セメント: 水や液剤等により硬化する粉体。特に、骨材を結合させてコンクリートやモルタルを作るための灰色の粉末を指す。歯科用の接着剤等もセメントという。

モルタル: 砂とセメントと水を練り混ぜて作る建築材料。コンクリートと違い砂利を入れない。仕上材等に使うことが多い。

珪藻土: 藻類の一種・珪藻の殻の化石の堆積物。高い吸湿性からバスマットやコースター、塗り壁等に使われる。

フォークリフト: 車体前面に、油圧で昇降・傾斜が可能な荷役用のつめ(フォーク)を備えた車。

ダンプカー(ダンプトラック): 荷台を傾け、積荷(土砂や産業廃棄物)を一度に下ろせる装置をもつトラック。

ミキサー車: 生コンの品質を維持しながら工事現場に運ぶ車。生コンが分離しないよう、ドラムを回して混ぜ続けながら走る。

ブルドーザー: 車体前面に、鋼鉄製の排土板を備えた建機。土砂の掘削・運搬、地ならし、盛土等に使う。

ショベルカー(パワーショベル): 掘削・整地・解体に使う、腕状のショベルをもつ建機。通常のものは油圧式ユンボ)、超大型のものはケーブル式の構造をとる。

キャタピラー(CAT): 米国の建機メーカー。設立初期から現在まで不動の世界シェア1位。1925.M&Aで設立。

棟梁: 大工や石工の親方のこと。武家等の統率者を意味する「頭領」「統領」と同義でも使うが、建物で重要な構造である「棟」と「梁」の字が当てられている。

大林組: スーパーゼネコンの一角。1924.阪神甲子園球場竣工。'12.東京スカイツリー竣工。

長谷工(はせこう): 日本の大手ゼネコン。マンション建設で国内シェア1位。

ダスキン: 大阪府の清掃・外食企業。ミスタードーナツの事業本部としても有名。本業は清掃業で、清掃用具のレンタル店等を手掛け、60sに日本で初めてフランチャイズシステムを成功させた企業の1つである。
熱心な金光教徒だった創業者の影響で、社員を「働きさん」、賃金を「お下がり」、一時金を「ご供養」と呼ぶ文化がある。
社名は「ダスト」と「ぞうきん」の合成語。60sに化学雑巾を発売した当初、「ぞうきん」という社名になるところだったが、社員の反対で「ダスキン」に落ち着いた。'71.ミスタードーナツ日本1号店オープン。

時計回り: 右回りのこと。ネジやボトルの蓋を締める方向。「の」等のクルクルしたひらがなの書き順。左側通行における環状道の外回りの方向。

反時計回り: 左回りのこと。ネジやボトルの蓋を開ける方向。野球や陸上競技の走者が走る方向。麻雀で手番や親番を回す方向。北極から見た時の地球の自転・公転の方向。左側通行における環状道の内回りの方向。

観音開き: 左右の端を軸に、真ん中から左右両側に向かって回転して開く扉の開き方。観音菩薩像を納めた厨子の多くが、このような形の扉を持つことから。
かつては、乗用車の乗降用ドアにも観音開きタイプ(運転席・助手席のドアと後部座席のドアが逆向きに開く)が少なくなかったが、走行中にドアが開いた場合に風圧によって戻りにくい等の問題があり、近年はあまり採用されていない。

立面図: 立体を真正面から見た投影図。

平面図: 立体を真上から見た投影図。

CAD(キャド)(コンピュータ支援設計): Computer-Aided Design。コンピュータを使った設計・製図。又はそれを行うツールの総称。

モックアップ: 製品の外観や機能を確認・検討するための木型。

フェイルセーフ: 機械やシステムを、誤作動や故障が起こっても安全な方向に作動するように設計すること。

リバースエンジニアリング(逆行工学): 機器やソフトウェアの構造を分解・分析し、仕様を明らかにする行為。

EMS: Electronics Manufacturing Service。電子機器の受託生産のこと。発注元が設計し、生産のみを受託するOEM、設計も含めて受託するODMに分けられる。世界最大手は台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)。

車輪の再発明: 既に確立された技術があるにも関わらず、同様の物を一から発明してしまうこと。

レンチ: ボルトやナットを回す工具の総称。中でも、先端が開放された固定幅のものは「スパナ」という。

ワッシャー(座金(ざがね)): 緩み止めや材料表面の保護のため、ボルトやナットの座面に挟むドーナツ状の金属板。

パッキン: 装置の着脱部分につける、気密性を保つための詰め物。英語の「パッキング」から。ゴムやフエルト、プラスチック、コイル等、弾性をもつ素材を使うことが多い。

(ふいご): 気密な空間の体積を変化させることで、空気の流れを生み出す装置。
身近な例に、アコーディオンの蛇腹の鞴、リードオルガンの足踏み式の鞴、金属の加工・精錬のために燃焼を促進する鞴(たたら製鉄における足踏み式の大規模なものを「蹈鞴(たたら)」という)等。

シャフト): 機械要素で、回転によって周りに動力を伝える部品。

ベアリング軸受): 機械要素で、軸を正確かつ滑らかに回転させるための部品。ボールベアリング等の種類がある。その重要性から「機械産業のコメ」ともいう。世界シェア上位の日本企業に日本精工、NTN、ジェイテクトがある。

インボリュート歯車: 歯の形に円の新開線を使った歯車構造。オイラーが考案し、現在はほとんどの歯車で使われている。

カム: 機械要素で、運動の方向を変える(例:回転運動→直線運動)ための、任意の形状をもった部品。

クランク機構: シャフトの回転運動とピストンの往復運動を変換する機構。

コンセント: 電気機器に電力を供給するためのプラグ差込口。形状には幾つも種類があり、世界的に統一されていない。日本や北米ではタイプAが主流。
タイプAのコンセントは左右で穴の長さが違い、左側が少し長い。右穴(電圧側)で電気を供給し、左穴(接地側、アース側)では機器不良等により高圧で電気が流れた時に電気を逃がす。

接触不良: 端子が摩耗・酸化・腐食したり、異物が付着したりして、回路に正しく電流が流れないこと。

ショートサーキットショート短絡): 抵抗が極めて小さい回路ができること。過剰な電流が流れ、導線やヒューズが焼け切れたり、ブレーカーが落ちたりする他、発火が火災の原因になることもある。
コンセントの「電圧側→接地側」回路にショートが起こる原因として、電気コードの被覆が劣化して導線同士が接触するパターンや、プラグとコンセントの間に溜まった埃が湿気を帯び回路となるパターン(トラッキング現象)がある。

コンデンサ(蓄電器): 電気回路で電荷を蓄える役割をもつ電子部品。空気や誘電体を挟んで2枚の金属板を並べた構造をもつ。

家庭用電気機械器具家電): 家庭向け(一般消費者向け)の電気機器の総称。

白物家電: 家事に関係する家電。冷蔵庫、洗濯機等。

黒物家電: 娯楽に関係する家電。カメラ、TV等。

アナログ時計: 文字盤と、回転する針で時刻を示す時計。針は一般的に、短針(時針)、長針(分針)、秒針がある。目覚まし時計には、アラームが鳴る時刻をセットする目安針(めやすしん)も付いている。

竜頭(りゅうず): 時刻を合わせたりゼンマイを巻いたりする時に回す、腕時計のつまみ。

ロンジン: スイスの時計ブランド。翼の付いた砂時計がロゴに描かれている。西郷隆盛やアインシュタインが愛用した。

エンボス加工: 印刷物の表面を浮き出させる加工法。点字の印刷方法としても使われる。

デボス加工: 印刷物の表面を凹ませる加工法。

グラビア: 印刷法の一種。雑誌の巻頭等の写真ページによく使われることから、そうしたページ全般のことや、特に女性アイドルやモデルのセクシーな写真ページのことを指すようになった。

謄写版ガリ版): 19c末に登場した、孔版による印刷技術。複写機の普及以前はごく一般的に使われた。鉄の板を下敷きに蝋原紙を載せ、鉄筆で文字や絵を「ガリガリ」と書くことで、原紙に開いた微細な孔からインクが滲むように印刷できる。

ラクスル: ネット印刷、ポスティング・新聞折込・DM発送、ユニフォーム・ノベルティグッズ制作等を手掛ける企業。
自社工場を持たず、シェアリングエコノミーの手法で、各地の印刷会社等の設備の遊休時間を活用することで低価格を実現してきた。'09.創業。'15.物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」開設。

写真(フォトグラフ): 被写体から来る光線をカメラのレンズで集めて再構成し、平面の画像として記録したもの。目に見える光景をほぼ正確に写し取ることができる。

インスタントカメラ: 撮影直後に、内部で自動的に現像できるカメラ。出てきたフィルムを振ると画像が速く出てくるという都市伝説があるが、全く根拠は無い。むしろ現像剤が揺れてムラができてしまう。
'48.ポラロイド(米)が世界初のインスタントカメラを発売。'98.富士フイルムがインスタックス(通称・チェキ)発売。

イメージセンサー(個体撮像素子): デジタルカメラや光検知器に使われる半導体。CCDイメージセンサーや、後発で安価なCMOSイメージセンサーがある。世界シェア1位はソニー。

レフ板: 写真撮影で、被写体に反射光を当てるための板。

ステディカム: 70sに発明された、移動撮影の際にカメラのブレや振動を抑える支持機材。

ブロマイド: 臭化銀を感光剤とする写真用印画紙、又はそれに焼き付けた写真。かつて、これを使った俳優、歌手、スポーツ選手等の写真が人気を博した。

ニコン: カメラで知られる光学機器メーカー。1917.光学兵器の国産化を目指した「日本光学工業株式会社」として設立。

VHS: Video Home System。磁気テープを使ったビデオの規格。'76.日本ビクターが開発。ベータマックスとの規格争いに勝利し、普及した。
優れた耐久性や再生互換性によってセルビデオ・レンタルビデオの市場を創造した他、TV番組の録画を多くの家庭で習慣化させた。DVDの普及まで、家庭向け映像メディアのシェアはVHSがほぼ独占した。

ホログラフィ: レーザーを使い、ホログラム(立体を3次元の像として記録したもの)を作る技術。

コンピュータ: 計算(演算)を自動的に行う装置。元々は計算作業者を指す言葉だったが、やがて計算機を指すようになり、現代では専ら、電子回路を使ったデジタル方式の計算機(電子計算機電算機)を指す。
エレクトロニクス(電子技術)の発展によって、大量の計算が高速に行えるようになり、数値計算だけでなく、データ処理、制御、シミュレーション、文書作成、画像・映像作成、ゲーム、VR、人工知能等、あらゆる用途で使われる。
さらに、量子回路を使った量子コンピュータも研究が進み、実用化が期待されている。

フリップフロップ: コンピュータのメモリやレジスタの基礎回路となっている、2つの安定状態を持ち入力に応じて状態が交互に入れ替わる(1ビットの情報を保持する)論理回路のこと。

RAM: Random Access Memory。電源が落ちると記憶内容が消える短期メモリ。PCやスマホの「メモリ」と言えば普通これを指す。

ROM: Read Only Memory。記憶された情報を書き換えられず、読み出すことのみ可能なメモリ。

レジスタ: コンピュータのプロセッサにおいて、演算結果や実行状態、メモリアドレス等を一時的に保存する少量・高速の記憶回路。

ENIAC(エニアック): 世界初の汎用電子式コンピュータ。弾道計算のための計算機として米軍が開発し、'46年に完成。真空管回路方式で、2万本近い真空管を使い総重量は27tに及んだ。

(けい): 日本のスーパーコンピュータ。理研と富士通が共同開発した。'11.計算速度世界一を達成。

富岳: 日本のスーパーコンピュータ。神戸市・ポートアイランドの理研の研究センターに設置されている。性能は「京」の約100倍。'20.計算速度世界一を達成。

PDA(携帯情報端末): Personal Digital Assistant。スケジュールやタスク、連絡先管理等の手帳的な機能を中心とし、ソフトウェアのインストールやカスタマイズも出来る個人向け情報端末。
90s-00s前半に隆盛し、Apple Newton等の名機が生まれた。機能を絞った分、ノートPCより動作が軽快で、大きさも掌に収まるものが多かった。00s後半以降は、より多機能なスマートフォンやタブレット端末にその座を譲った。
日本では普及率が低く、そのことが日本独自の多機能フィーチャーフォン(ガラケー)の発展に繋がった面もある。

スマートフォンスマホ): 汎用モバイルOSを備えた携帯電話。90s半ばのIBMやノキアの電話機能付きPDAが元祖とされる。iPhone('07-)とandroid('08-)の登場で、フィーチャーフォンからの置き換わりが世界中で急速に進んだ。
ちなみに、「歩きスマホ」は英語で「smartphone zombie(スマートフォンゾンビ)」又は「smombie(スモンビ)」という。

SIMカード: 携帯電話に内蔵する、契約者情報を記録したICカード。SIMは「加入者識別モジュール」を意味する。

クレードル: デジタル機器(モバイルWi-Fi等)のスタンド型拡張機器。USB等の規格コネクタを直接差し込まずに、充電やデータ転送、機能拡張を行うもの。「ゆりかご」を意味する英語。

ジョイスティック: スティックを前後左右に傾けて方向を入力する入力装置。航空機の操縦桿やゲームコントローラーに使う。

マウス: コンピュータの周辺機器で、画面上でポインタの位置を示したり、クリック、ドラッグ等の操作を行ったりする入力装置。形が鼠に似ていることから名付けられた。マウスを動かす時の画面上の距離の単位は「ミッキー」という。

テンキー: 計算機に数値を入力するキーのセット。名称は10個の数字キー(0-9)があることから。PC用キーボードでは通常右側に位置し、NumLockキーがonの時は数字キーとして、offの時は方向キーとして使う。
最上段に7-9、最下段に0があり、この並びは電卓でもPCでも同じ。逆に、電話機やクレジットカード読取機等の数字キーは最上段に1-3、最下段に0があり、携帯電話の一種であるスマホも同様。

ブラインドタッチ(タッチタイピング): キーボードを見ず、指先の感覚を頼りにタイピングを行うこと。
近年のQWERTY配列のキーボードでは、ブラインドタッチがしやすいよう、左右の人差し指のホームポジションとされる「F」と「J」のキーに出っ張りが設けられている。

◆『寿司打(すしだ)』: タイピング(日本語ローマ字入力)練習用のブラウザゲーム。回転寿司がモチーフ。

光ディスク(光学ディスク): デジタルデータを記録するための、樹脂等で作られた厚さ数mmほどの円盤。CD、DVD、BD等。
裏側の表面から、保護層・記録層・反射層という構造になっており、レーザー光を照射すると、保護層を貫通し、記録・反射層に到達する。記録層には、ピットと呼ばれる微細な構造(窪み等)があり、反射光はピットの影響を受けて変化する。
光ディスクドライブのセンサーが、この反射光の状況によって、デジタルデータ(「0」又は「1」)を読み取る仕組みになっている。

ロボット: 人に代わって、何らかの作業を自律的に行う機械。チェコ語のrobota(強制労働)から。
1920年にカレル・チャペックの戯曲『R.U.R.(ロッサム万能ロボット商会)』に登場した概念だが、この作品のロボットは金属製の機械ではなく、化学的合成で作られた人造人間という設定だった。

拡張現実AR): Augmented Reality。肉眼で見える現実世界に、様々な情報を重ねて表示する技術。『Pokémon GO』等の位置情報ゲームでいち早く広まった。

ソニー: 東京の総合電機メーカー。日本最多のグループ会社を抱え、連結子会社だけで1000を超えるソニーグループの中心。港区港南(品川駅港南口近く)に本社ビル(ソニーシティ)を置く。
グループ全体としては、電機屋であり、音楽・映画・ゲームの世界的リーディングカンパニーであり(SMESPESIE等)、金融や保険も重要な事業となっている(ソニー銀行等)。
'46.井深大と盛田昭夫が創業。最初の製品は真空管電圧計だった。'50.日本初のテープレコーダーを開発。'55.日本初のトランジスタラジオを開発。輸出機としても大成功を収める。
'61.世界初のビデオテープレコーダー(VTR)を開発。放送機材のフィルムからビデオへの移行を促した。
'79.携帯音楽プレーヤー・ウォークマン(当時はカセットテープ式)発売、大ヒット。'82.フィリップスと共同開発したCDを発売。'92.自社で開発したMD発売。その後、DVDやBDの開発・規格化でも中心を担った。
'99.ペットロボットの先駆け・AIBO発売。近年はイメージセンサーで高い世界シェアを誇り、スマートフォンのカメラ高性能化に貢献している。

National: 松下電器(現パナソニック)のかつてのコーポレートブランド。'55年からは「Panasonic」と併用し、徐々に「Panasonic」の比率が高まったが、国内向け白物家電では'08年まで「National」を使った。

日本無線: 日本最大手の無線通信関連機器メーカー。主に産業用・公共用のシステムや機器を手掛ける。日清紡HD傘下。

ワコム(Wacom): 埼玉県の電機メーカー。日本のペンタブレット業界で圧倒的なシェアをもつ。

小泉成器: 大阪府の電機メーカー。美容家電等のジェネリック家電メーカーとして近年存在感を増している。

ハイセンス(Hisense): 中国・青島の電機メーカー。東芝の映像事業を継いだTVG REGZAを傘下にもち、TVのシェアは日本でトップ。

ケルヒャー: ドイツの洗浄機メーカー。コーポレートカラーは黄色。高圧洗浄機やスチームクリーナーで知られる。

デロンギ: イタリアの電機メーカー。オイルヒーターやコーヒーマシンで知られる。

アップル(Apple): 米国・シリコンバレーの電機メーカー・IT企業。GAFAの一角。CEOはティム・クック('11-)。ハードウェアとソフトウェア(iOS、macOS、Siri、Podcast、Apple Music等)の垂直展開が特徴。
世界初の大ヒットPC「Apple II」の成功後、80s-90sのOS戦争ではマイクロソフト(Windows)の後塵を拝したが、00s以降、持ち運びたくなるデザインのガジェットとデジタルコンテンツのプラットフォームを主戦場に急成長した。
特に、携帯音楽プレーヤー、ハイエンドノートPC、スマートフォン、タブレットPC、スマートウォッチの各分野で、その分野のスタンダードとなる大ヒット製品を生み出し、21cの風景を作った企業といえる。
'76.スティーヴ・ジョブズとスティーヴ・ウォズニアックが創業。'77.「Apple II」発売。'01.「iPod」発売。'06.「MacBook」発売。'07.「iPhone」発売。'10.「iPad」発売、Siriを買収。'15.「Apple Watch」発売。
'18.世界初の株式時価総額1兆ドル達成。'22.世界初の株式時価総額3兆ドル達成。ちなみに、ロゴのリンゴがかじられているのは、サクランボと間違われないようにするため。

iRobot(アイロボット): 米国のロボットメーカー。ロボット掃除機「ルンバ」で有名。

ラピダス(Rapidus): 半導体メーカー。'22.トヨタ、ソニー、NTT、ソフトバンク等が、国内資本による次世代半導体の量産を目指し共同設立。

TSMC(台湾積体電路製造): 台湾の半導体受託製造企業(ファウンドリ)。'23現在、世界最大のファウンドリで、東アジアの企業としてトップクラスの時価総額を誇る。

AMD: 米国・シリコンバレーの半導体メーカー。'17.CPU「Ryzen(ライゼン)」発売。インテルの牙城を崩すことに成功した。

エヌビディア(Nvidia): 米国・シリコンバレーの半導体メーカー。GPU世界最大手。

ブロードコム: 米国・シリコンバレーの半導体メーカー。通信インフラ向けの半導体製品が主力。

田中久重: 発明家、芝浦製作所(後の東芝)創業者。「東洋のエジソン」「からくり儀右衛門」。若い頃(江戸時代後期)はからくり人形で名を馳せた。蘭学にも精通し、反射炉の設計や、日本初の蒸気機関車・蒸気船の模型制作を行った。

早川徳次(-とくじ): 発明家、シャープ創業者。1912.徳尾錠を発明。1915.シャープペンシルを発明。「日本の地下鉄の父」と呼ばれる早川徳次(-のりつぐ)と同姓同名。

トーマス・エジソン: 19c後半-20c前半の米国の発明家、GE(ゼネラル・エレクトリック)創業者。蓄音機(レコード)、映写機(活動写真=映画)、白熱電球、トースター等、生涯に1000以上の発明と技術革新を行った「発明王」。
幼少期から好奇心が人一倍強く、「A("エー")はどうして"ピー"と呼ばないの?」といったプリミティブすぎる質問を連発する、物が燃える仕組みを知ろうとして小屋を全焼させる等、奇行が重なり小学校は僅か3ヶ月で退学させられた。
その後、正規の教育を全く受けず、電信技師等の仕事の傍ら独学で成功を収めた異色の苦労人である。若い時から晩年まで、1日24時間体制で、人生のエネルギーのほとんどを発明と事業に捧げたという。名言〈天才は1%のひらめきと99%の努力〉。
一方で気性の荒さから、汚点として知られるエピソードにも事欠かないエキセントリックな豪傑であり、発明の権利を守るため訴訟を乱発したことから「訴訟王」の異名もある。
実業家としては、電球等の家電の他、発送電を含めた電力事業でも一時は巨大な成功を収めた。しかし、直流送電に拘って交流送電の優位を受け入れられず、ニコラ・テスラ及びウェスティングハウスとの「電流戦争」に敗れた。
この「電流戦争」では、人々に「交流電流は危険」とのイメージを抱かせるため、様々な汚いプロパガンダ工作を行ったことも知られる。
1877年にはフォノグラフ(蓄音機)を開発し、録音の時代の扉を開いた。世界初の録音(童謡「メリーさんの羊」)は自ら吹き込んでいる(但しそのレコードは壊れて再生できない)。
なお、エジソンには少年期の病気の影響で聴覚障害があり、片耳が僅かに聞こえるだけだった(そのお陰で集中力が高かった面がある)。
1893年にはキネトスコープ(覗き眼鏡式映写機)を開発し、映像・映画の時代の扉を開いた。なお、ジョルジュ・メリエスのSF映画『月世界旅行』(1902)を公開前に無断で複製し、米国中の映画館に売りつけて巨額の富を得たことは悪名高い。
その後もフィルム・映写機の規格化に関わり、急拡大する映画市場から利益を回収するため、映画会社に対して特許をめぐる訴訟を乱発した。
このため、1910年前後には、多くの映画会社がエジソンの目から逃げる形で東海岸から西海岸に移り、ハリウッドが「映画の都」として発展するに至った。
又、降霊術を信じる、魂をエネルギーとして捉える等、オカルト的な側面もあり、晩年は死者との交信装置を重要な研究対象とした。その研究中に研究所全焼の事故を起こしたが、「これで新しい設備で実験できる」とポジティブに捉えたという。

アラン・ケイ: 米国の計算機科学者。個人の活動を支援する「パーソナルコンピュータ」の概念を提唱した。名言〈未来を予測する最も確実な方法は、それを発明することだ〉。


11、情報・通信・メディア

情報リテラシー: 情報を適切に取捨選択し、正確に捉え、適切に活用・発信する能力。
現代ではネットの発達と普及により、誰もが情報収集・情報発信を低コストで行える状態(情報の民主化)が進む一方、偏った情報や間違った情報に出会う確率も高く、取捨選択の部分が難しくなっている。

アナログ: 連続的・物理的な量によって情報を扱うこと。対義語はデジタル。

デジタル: 整数のような飛び飛びの数値を使い、情報を標本化して扱うこと。対義語はアナログ。アナログな情報と違い、簡単に完全な形で複製し、活用することができる。
20c末以降、高性能なコンピュータの一般化によってあらゆる情報や技術がデジタル化される傾向にあり、そうした情報や技術(IT)の総体を表す言葉としても使う(「デジタル庁」「デジタルデバイド」等)。

情報技術IT): コンピュータを使い、あらゆる種類の電子データを作成・処理・保存・やり取りすること。

デジタルトランスフォーメーションDX): ITを活用してビジネスモデルや業務、組織等を改革すること。

RPA: Robotic Process Automation。事務作業のためにコンピュータ上で行う定型的な操作をプログラムで自動化すること。プログラミングの知識が無くても「ボット」に作業を命令できるようなRPAソフトが開発されてきた。

ビッグデータ: 一般的なソフトウェアでは蓄積・解析することが困難なほどの、膨大なデータ。近年のITの進歩により、世界中の人々のGPSでの位置情報やICカードの利用履歴に至るまで、社会やビジネスに役立てるため活用されるようになった。

キュー(queue): 先に入れたデータから順に取り出していくアルゴリズム(データ構造)。先に並んでいた人から順に対応する、店先やレジ前の行列に喩えられる。

スタック(stack): 後に入れたデータから順に取り出していくアルゴリズム(データ構造)。「積ん読」の山を上から順に読んでいく行為に喩えられる。
由来は「積み重ねる」を意味する英語の動詞であり、感覚的には似ているものの、固定された状態や行き詰まって動けない状態を指す「stuck」(stickの過去分詞)ではない。

ドッグイヤー: ITの進化やIT業界の変化の速さを表す言葉。犬の成長の1年は人間の7年分に相当することから。

ITパスポート試験: 職業人が共通に備えておくべき、ITの基礎的な知識を問う国家試験。

QRコード: '94年にデンソーが開発した、オープンソースの2次元コード。1次元の従来型バーコードよりも大きな情報量を扱える。QRは「Quick Response」の略。
冗長性による強力な「誤り訂正」能力があり、全体の3割程度までは汚れたり破損したりしていても読み込めることが多い。

スクリプト言語: アプリケーションソフトを作るための簡易的なプログラミング言語のこと。JavaScript、PHP、Python、Ruby等。コード作成が易しく、ソフトを速く開発できるが、コードの実行速度はやや遅い傾向がある。
「スクリプト(script)」は、原稿、台本、脚本、手書き、筆記体等の意味を持つ英語。

C言語: プログラミング言語。OSの開発・記述のために作られた。

Java: プログラミング言語。C言語の派生言語の1つ。コーヒーカップを象ったアイコンで知られる。

R言語: プログラミング言語。データ分析に特化しており、分析結果のグラフが作成できる。

Python(パイソン): プログラミング言語。データ分析や機械学習、アプリ開発に適する。英語でニシキヘビを意味し、開発者が『空飛ぶモンティ・パイソン』のファンだったことに由来する。

インタプリタ: PythonやRubyの処理系の実装で見られる、ソースコードを逐次的に解釈し、実行していくプログラムのこと。「通訳者」を意味する英語から。

歩容認証: 人間の歩き方に着目して個人認証を行う技術。遠距離からでも可能な生体認証として研究が進んでいる。

チューリング・テスト: アラン・チューリングが提案した、ある機械が「人間的」かどうかを判定するテスト。判定者が人間と機械とそれぞれ会話し、どちらが人間かを判別できなければ、その機械は十分に人間的なAIであるといえる。

API: Application Programming Interface。ソフトウェアやアプリケーションが、第三者が開発したソフトウェアやアプリケーションと機能を共有(例えばアカウント連携)できるよう、仕様の一部や手順等を公開したもの。

イースターエッグ: コンピュータのソフトウェア等に開発者が紛れ込ませた、本来の機能・目的とは無関係な、隠しメッセージや隠し機能のこと。イースター(復活祭)における、あちこちに隠された卵を探す子どもの遊びから。

UNIX: コンピュータ用OSの1種。'69.公開。現代型OSの始祖。当初はオープンソースだったため多数の系統が生まれ、macOSもその1つ。余分な機能が少なくサクサク動く。

Linux(リナックス): コンピュータ用OSの1種。'91.公開。オープンソースであり、androidのベース部分はLinuxである。サーバ、メインフレーム、スーパーコンピュータのOSとして一般的だが、デスクトップOSとして愛用するPCユーザも少なくない。
UNIXがオープンソースでなくなり高価となっていた中、ヘルシンキ大学の学生だったリーナス・トーバルズがUNIXを参考に独自に開発。リーナスは現在もLinuxの商標を保持し、絶えず続く開発の最終調整役を務めている。

カーニング: ワープロソフトやDTPソフトで、文字の間隔を調整する機能のこと。

SAP(エスエーピー/エスアーペー): ドイツのビジネス向けソフトウェア企業。世界中の大企業に基幹システムを提供している。誤って「サップ」と読むと偉い人から怒られるらしい。

ピンチ: スマホ等で、2本の指で物を摘まんだり離したりするような動作で画面を縮小・拡大すること。

プッシュ通知: スマホ等の端末に直接表示される、アプリからの通知。

ウィザード: PCにソフトをインストールしたり複雑な設定を行う際に、対話形式で操作手順を示しながら処理を行えるようにしたシステム。「魔法使い」を意味する英語。

クリップボード: コンピュータで、コピーした文字列を一時保管するメモリ領域のこと。文具のクリップボード(バインダー、用箋挟)に由来する。

タスクバー: Windows OSのPCに表示される、スタートボタンやアプリのアイコンが並ぶバー。初期設定では画面下に表示される。

狼煙(のろし): 物を焼いて煙を上げ、それを離れたところから確認させることで、情報を伝達する手段。かつて狼の糞を燃やして利用したことから。

振幅変調(しんぷく-)(AM): 電波の強弱で情報を伝える通信変調方式。ラジオの中波放送(AM放送)等で使う。FMに比べノイズに弱い。

プラチナバンド: 800MHz前後の周波数帯の俗称。極超短波の中では放送用電波に近い長めの波長で回折しやすく(繋がりやすく)、小型機器へのアンテナ実装もしやすいため、携帯電話の通信に最も適しているとされる。
日本では現在、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが割当を受けており。楽天モバイルへの割当が焦点となっている。

グリエルモ・マルコーニ: イタリアの発明家、実業家。無線通信を実用化し、実業家としても戦間期の国際政治を左右するほど成功した。ノーベル物理学賞受賞者。1901.大西洋を隔てた無線通信に成功。

電話: 音声を電気信号に変えて伝達することで、離れた場所にいる人同士が通話できるシステム。雑音対策で人の声の周波数帯だけを拾うようになっており、セミやスズムシの鳴き声は入らない。

110: 警察への通報用の電話番号。一般に、都道府県が置く警察本部に繋がる。緊急出動を要しない場合は、「#9110」(相談用番号)の利用が推奨されている。

119: 火災・救急の通報用の電話番号。一般に、市町村や一部事務組合、広域連合が置く消防本部に繋がる。〈火事ですか?救急ですか?〉と聞かれるので、どちらの要件か伝えてから話し始める。
救急車を呼ぶべきか判断に悩む場合は、「#7119」(相談用番号)の利用が推奨されている。

171: 災害用伝言ダイヤルの電話番号。地震、噴火等の災害時に安否確認を行う「声の伝言板」の役割を果たす。

177: 天気予報が聞ける電話番号。110や119と違い電話代がかかる。番号は「いい天気になれなれ」の語呂から。

188: 自治体の消費生活センターに消費者トラブルを相談できる電話番号。電話代がかかる。番号は「イヤや!」の語呂から。

189: 児童相談所への通報・相談用の電話番号。番号は「いち早く」の語呂から。

MVNO(仮想移動体通信事業者): 大手通信事業者の通信網を借り、割安なモバイル通信サービスを提供する事業者のこと。

日本電信電話NTT): 日本の通信事業者。'85.「小さな政府」を目指す行政改革で、旧電電公社から民営化。但し電話回線という国のインフラを手掛けることから、今も政府が3分の1以上の株式を保有している。
固定電話・インターネット回線通信(NTT東日本NTT西日本)、モバイル通信(NTTドコモ)、長距離・国際通信(NTTコミュニケーションズ)、システムインテグレーション(NTTデータ)の四大事業を展開する。
'85.フリーダイヤルのサービス開始。ショルダーホン発売。'89.ダイヤルQ2開始。'95.テレホーダイ開始。

KDDI: NTT、ソフトバンクと並ぶ日本三大通信事業社の一角。携帯電話(au)やインターネット回線(auひかり)が中心事業となっている他、金融や電力にも手を伸ばしている。傘下にJ:COM等。
電電公社民営化・通信自由化に伴い発足した第二電電(DDI)が前身だが、他にも様々な通信事業会社が合流し現在の形となった。

au(英雄)三太郎シリーズ('15-): auのCMシリーズ。昔話がモチーフで、桃太郎を松田翔太、浦島太郎を桐谷健太、金太郎を濱田岳、かぐや姫を有村架純、乙姫を菜々緒、織姫を川栄李奈、鬼(鬼ちゃん)を菅田将暉が演じる。

AT&T(American Telephone & Telegraph): 米国最大手の電話会社。

インターネットネット): 無数のコンピュータネットワークを相互接続した、地球規模の情報通信網。'69年に米国国防総省が開発したARPANETが起源。
各大学や研究所のコンピュータネットワークを繋げていくうちに世界に広がり、90sから本格的に商業利用、個人利用の時代が始まった。
21cにおいてはマスメディア等を凌ぐ影響力をもち、様々な情報を民主化し誰でもアクセス可能にする一方で、20cの社会と比べて「社会を様々なアイデンティティ集団に分割する」働きもしていると評される。

プライベートネットワークイントラネット): 企業内等、限られた範囲で使えるネットワーク環境。

VPN: Virtual Private Network。本来は公衆ネットワークであるインターネットに跨って、プライベートネットワークを拡張する技術。
中国ではグレートファイアーウォール(ネット検閲システム)に仮想トンネルを作り、国外のサービスにアクセスするため、多くの人が様々なVPNサービスを使う。

SSID: Service Set Identifier。Wi-Fiの電波に付けられる固有の名前のこと。

ローミング: 契約している通信事業者のサービス提供範囲外の場所で、他の事業者の設備を通じてデータ通信を使う仕組み。 特に、日本で契約している携帯電話を海外で使うことを「国際ローミング」という。

テザリング: スマホをルータとして使い、PC等の端末をネットに接続すること。

AirDrop: Appleのデバイス同士でデータを共有するシステム。

Chromecast: Googleが販売するデバイス。モニターやスピーカーの端子に繋ぐ小型のデバイスで、Wi-Fiを介し、スマホ等で再生するアプリ(YouTube等)と同じメディアを取得して「疑似ミラーリング」を行うもの。
bluetooth等で行うミラーリングと異なり、スマホはあくまでリモコン的な役割となる。

クラウド(クラウドコンピューティング、クラウドサービス): サーバ、ストレージ、ソフトウェア(SaaS)等の機能を、ネットを経由して必要な分だけ利用できるサービスの形態。「雲」を意味する英語から。

SaaS(サース/サーズ): Software as a Service。クラウドサービスの一形態で、ネットを経由し、ソフトウェアの機能を必要な分だけ利用できるサービスのこと。

オープンアクセス: 研究機関等が生み出した成果を、Web上で公開し無料で使えるようにしていること。

フィルターバブル: 検索サイトのアルゴリズムにより、ネットでは各利用者が好む情報がそれぞれに多く提示されるため、受け取る情報が中立性を欠いていくという現象のこと。

DDoS攻撃: サイバー攻撃の一種で、あるWebサイトやサーバに対し、複数のコンピュータから過剰なアクセスを行うこと。

マルウェア: コンピュータウイルスやスパイウェア等、デバイスのユーザーに不利益をもたらす、悪意あるコードやソフトウェアの総称。

ランサムウェア: マルウェアの一種。感染すると端末に保存されたデータが暗号化されてアクセスできなくなり、復元と引き換えに対価(金銭や暗号資産)を要求される。「ランサム」は身代金を意味する英語。

サンドボックス: セキュリティ用語で、外の領域から隔離して築いた、保護された仮想環境のこと。「砂場」を意味する英語。

シャドーIT: 企業内等で、情報システム部門が関知しない形で、各部門が独自に導入・使用するIT機器、システム、クラウドサービス等のこと。
セキュリティ上のリスクとなるため、CASB(キャスビー)と呼ばれる従業員のクラウド利用を監視するソリューションを導入する企業が増えている。

アフィリエイト: Webサイトの運営者が商品等の広告を載せ、そのリンクを通じた閲覧数や商品販売数に応じて報酬を得る広告形態。「提携する」という意味の英語から。

wiki: Webサイトを、ネット上でユーザ参加型で構築・修正できるシステム。「速い」を意味するハワイ語に由来する。

WordPress: Webサイトの作成・運用に最もよく使われる、PHPを用いたオープンソースのソフトウェア。

リプライ(リプ): 返信。特に、人のSNSの投稿に付ける公開の返信メッセージやコメントのこと。

クソリプ: 糞みたいな(付けられた人を不快にさせる、又は単に的外れな)リプ。

バ美肉: 「バーチャル世界で美少女の姿を受肉する(美少女の肉体を手に入れる)」の略。美少女のアバターを纏い、YouTubeやライブ配信アプリで活動することを指す。

ソフトバンクグループ: ソフトバンクLINEヤフーPayPay等、数多の企業を傘下にもつ持株会社であり、先端IT企業等への投資を行うファンド。
創業社長は孫正義。当初はPC用パッケージソフトの卸売で財を成した。'96.Yahoo!(米)との共同出資でヤフーを設立。
'01.ADSL接続サービスのYahoo! BBでインターネットプロバイダ事業に進出。低価格戦略や大量宣伝、IP電話などサービス面での差別化が効果を上げ、瞬く間に最大手プロバイダの1つとなった。
'05.福岡ダイエーホークスを買収し、福岡ソフトバンクホークスとする。'06.ボーダフォンを買収し、ソフトバンクモバイル(現ソフトバンク)とする。'14.世界初の量産型感情認識ロボット「Pepper」発表。
'18.PayPay設立。'21.ヤフーをLINEと統合させ、LINEを傘下に収める。

Yahoo! JAPAN: LINEヤフーが運営する日本最大のポータルサイト。本元である米国発の他国版「Yahoo!」は'09年にロゴカラーが赤から紫になり、デザインも大きく変更しているが、日本版は'96年以来のデザインを踏襲する。
'96.設立、「Yahoo!ニュース」開設。'98.「Yahoo!路線情報」開設。'99.「Yahoo!メール」「ヤフオク!」「Yahoo!ショッピング」開設。'05.「Yahoo!知恵袋」開設。

ドワンゴ:  KADOKAWA傘下のIT企業。夏野剛社長。'97.川上量生(-のぶお)らが創業。'06.「ニコニコ動画」開設。'14.KADOKAWAと経営統合。

mixi(ミクシィ): MIXIが運営する、日記機能や足あと機能を軸としたSNS。'04.サービス開始。00s後半の日本で隆盛を極め、多くの日本人にとって「SNS」を身近なものにした最初のサービスだった。
'10年頃からスマホ時代の到来と共に、日本でもFacebookとTwitterが台頭し、急激にユーザーが奪われた。ブログの延長だった招待制のSNSから、「シェア」や「リツイート」が出来るオープンなSNSに主役が交代し、ネットにおける「情報の伝播力」は格段に飛躍した。

pixiv: イラストや漫画(二次創作作品を含む)の投稿に特化したSNS。アニメイトの子会社・ピクシブが運営する。'07.設立。

NauNau: 日本発の位置情報共有SNS。'23現在、Zenlyに代わるアプリとして注目されている。

微博(Weibo)(ウェイボー): 中国のSNS。FacebookやXと似ている。「微」の字が共通する微信(WeChat)とは無関係。

Telegram: ロシア発でUAEに運営本部を置くメッセージアプリ。世界中で使われ、特に旧ソ連や中東で高いシェアを誇る。'13.公開。

Zenly: フランス発の位置情報共有SNS。日本では'18年頃から主に高校生の間で流行し始めた。'23.サービス終了。

グーグル(Google): 米国・シリコンバレーのIT企業。GAFAの一角。中核事業は世界シェア90%以上を誇る検索エンジン「Google」の運営。経営理念は「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」。
従来の検索エンジンは、検索ワードがそのWebページに登場する回数でページをランク付け表示する程度の機能だったが、Googleは被リンク数等のページ間の関係を細かく分析することで検索結果をランク付けした。
現在は検索を軸に様々なWebサービスを展開し、広告、ソフトウェア、クラウドサービス、ハードウェア、AIの分野でも存在感を示す。職場環境や福利厚生が抜群で、世界の就職市場におけるトップ企業でもある。
'98.スタンフォード大学の2人の大学院生(ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン)が創業。'00.大手ポータルサイトYahoo!の検索エンジンに採用され、世界最大の検索エンジンに。
'04.「Gmail」開設。'05.「Google マップ」開設。'06.YouTubeを買収。'08.モバイルOS「android」、Webブラウザ「Google Chrome」リリース。

Google検索の諸機能: Google検索には、検索結果の表示以外の機能もある。例えば、数式を入れると電卓画面が出現し計算結果を示す。「カラーピッカー」と検索するとパレットが出現し、あらゆる色のカラーコードやRGB値を調べられる。
サイコロを振る」と検索するとサイコロが出現し、ランダムな数字を表示する。「rng(ランダムナンバージェネレーション)」と検索するとジェネレータが出現し、任意の範囲でランダムな整数を表示する。
遊び心溢れる隠し機能(イースターエッグ)もあり、「斜め」「一回転」と検索すると、検索結果の表示画面が傾いたり、回転したりする。

YouTube: 米国発・世界最大の動画共有プラットフォーム。'05.設立。'06.Googleに買収され傘下となる。

Google マップ: Googleの地図アプリ。衛星写真、都市部の航空写真、ストリートビュー、ルート検索・交通状況、様々なスポットの写真や口コミの投稿機能、3D地図の表示(Earthモード)等、様々なサービスを提供する。'05.公開。

サンダー・ピチャイ: インド出身(タミル人)の技術者、GoogleのCEO('15-)。

Facebook(フェイスブック): メタ・プラットフォームズが運営する世界最大のSNS。'04.ハーバード大の学生マーク・ザッカーバーグが、大学生限定のSNSとして設立した。
多機能なプラットフォームを志向し、MySpace、LinkedIn等の既存のSNSを凌駕して瞬く間に国際化に成功。'10年にはPV数でGoogleを抜いた。この頃、日本でも国産SNSのmixiを逆転した。

ストーリーズ: Instagramの投稿機能の1つ。「ストーリー」と呼ばれることが多い。画像やショート動画をフルスクリーンでスライドショーのように表示させる。1つ1つの投稿内容は24時間で削除される。
投稿が後に残らない気軽さが受け、近年はタイムラインよりもストーリーズを頻繁に活用するユーザーが増えて、賑わっている。

X: メッセージ、画像、動画等をポスト(投稿)できるSNS。旧名「Twitter(ツイッター)」。Twitter時代は、メッセージは短文(半角280字/全角140字)に制限されていた。
'06.ジャック・ドーシーらが設立。日本では'10年頃からFacebookと共に大流行(「○○なう」が流行語に)。現在も他の多くの国に比べ、Xが強い影響力をもつSNSとなっている。
'22.イーロン・マスクが買収し、スーパーアプリの開発を目指す自らの会社「X」に統合。大量解雇や、トランプ前大統領のアカウント凍結解除で物議を醸した。
'23.サービス名を「Twitter」から「X」、投稿を意味する言葉も「ツイート(tweet、つぶやき)」から「ポスト」に変更。

スペース: Xの機能で、リアルタイムで公開の音声会話ができるもの。紫の枠が付いたホストのアイコンをタップすると、誰でもリスナーとして参加できる。'21.Clubhouseへの対抗機能として登場。

ChatGPT: OpenAIが開発した文章生成AI。'22.公開。公開から2ヶ月でアクティブユーザー数が1億人に到達し、Webサービス史上最速を記録した。
膨大な機械学習のデータを基に、様々な質問(プロンプト)への回答が生成できる。言語能力が非常に高く、要約、翻訳、ロールプレイ(例:「小学5年生にとって分かりやすい解説文を作って下さい」)、プログラミング等を得意分野とする。
なお、ユーザーから情報を与えず、ChatGPTが学習済みの情報のみを引き出すような使い方には注意が必要。学習済みの情報の鮮度は高くないし、かなり怪しい情報や古い情報も「それっぽい」文章で自信満々に答えることが多い。

Whisper: OpenAIが開発した、音声認識・文字起こしを行うAI。

Notion: 米国企業が提供する情報管理・編集ツール。'21.Web版が日本語に対応。

チューリング賞: 「コンピュータ科学のノーベル賞」とされる賞。'66.創設。'23現在、日本人の受賞者はいない。

CNET: 米国発のIT分野に特化したメディア企業。日本版サイト「CNET Japan」は朝日新聞の子会社が運営する。

チラシビラフライヤー): 広告媒体としての、一枚刷りの印刷物のこと。古くは「引き札」と呼ばれた。英語の「フライヤー」は、かつて飛行機等からばら撒かれたことから。

リーフレット: 案内や広告のために、1枚の紙を折って読めるようにした印刷物のこと。

パンフレット: 長年の保存を前提にした装丁のない、小冊子のこと。

ブックレット: パンフレットよりも本格的な装丁がされた小冊子のこと。出版物のシリーズとしては「岩波ブックレット」が有名。

メディアスクラム: 社会的関心が高い事件・事故の関係者等のもとに記者が殺到し、関係者や近隣住民の日常生活やプライバシーが侵害されること。

遊軍記者: マスコミの記者の中で、普段は担当分野が決まっておらず、突発的な事件に応じて出動したり、その都度取材テーマを決めたりする記者のこと。

共同通信: 日本の大手通信社。朝日新聞や読売新聞を除く国内の新聞社の多くが加盟する一般社団法人。'45.戦前の国策通信社だった同盟通信を、共同通信と時事通信に分割。

時事通信: 日本の大手通信社。ニュースサイト「時事ドットコム」「時事メディカル」の運営元。'45.戦前の国策通信社だった同盟通信を、共同通信と時事通信に分割。

AFPフランス通信社): パリに本社を置く通信社。ロイター、AP通信と共に世界三大通信社の一角。

AP通信: NYに本部を置く、協同組合型の通信社。

トムソン・ロイター: NYに本社を置く情報サービス企業(通信社)。経済・金融分野が専門。'08.カナダのトムソン、英国のロイターが経営統合。

ブルームバーグ: NYに本社を置く情報サービス企業(通信社)。経済・金融分野が専門。'81.マイケル・ブルームバーグが創業。19cからあるロイターやダウ・ジョーンズに比べ圧倒的に後発だが、世界的なシェアを築いた。

朝刊紙の1面コラム: 社説と共に、新聞の顔といえる部分の1つ。600字前後が多い。朝日「天声人語」。読売「編集手帳」。毎日「余録」。産経「産経抄」。日経「春秋」。東京「筆洗(ひっせん)」。中日「中日春秋」。道新「卓上四季」。赤旗「潮流」。

三面記事: 新聞記事で、犯罪事件や文化人のスキャンダル等を報じる、いわゆる社会面の記事のこと。
社会面は新聞の後ろの方にあるが、明治期に一般的だった4面構成の新聞では3面にあることが多かった。1面が広告、2面が政治・経済の記事、3面が社会記事、4面が文化情報や小説だったという。

私の履歴書: 日経新聞朝刊のコーナーの1つ。著名人や財界人が半生を振り返る内容のコラムを1ヶ月連載するもの。'56.スタート。

デイリースポーツ: 神戸新聞社が発行するスポーツ紙。関西版や関東版は阪神タイガースの報道、広島版は広島カープの報道に力を入れている。
サッカーW杯で日本が勝利した翌日でも、阪神のニュース(下柳剛の結婚)が一面を飾る等、その報道姿勢は一貫している。

ル・モンド: フランスの新聞。紙名は「世界」を意味する。

雑誌(マガジン): 製本した印刷物のうち、定期的に出版するもの(定期刊行物)のこと。週刊、月2回刊、月刊、隔月刊、季刊、年刊等のものがある。
新聞のように、一定の編集方針の元に多くの記事を載せる形態をとる。速報性の点で日刊新聞には及ばないが、書籍より優位にある。

女性週刊誌: 女性向けの総合週刊誌。現行誌では、主婦と生活社『週刊女性』('57-)、光文社『女性自身』('58-)、小学館『女性セブン』('63-)の3紙を指す。
「皇室ネタが多い」「表紙や広告の見出しに登場する人名に年齢が付される」等の共通の特徴がある。

◆『FLASH』: 光文社の写真週刊誌。'86.創刊。

◆『POPEYE(ポパイ)』: マガジンハウスのライフスタイル誌。メインの読者層は20代で男性が多い。カルチャー、ファッション、インテリア、旅行等を特集する。

◆『BRUTUS(ブルータス)』: マガジンハウスのライフスタイル誌。『POPEYE』の卒業生向け雑誌というコンセプトで始まっており、メインの読者層は30-40代で男性が多い。カルチャー、ファッション、インテリア、旅行等を特集する。

◆『サライ』: 小学館のライフスタイル誌。メインの読者層はシニア世代の男性。旅、歴史、文化、食、趣味、健康等を特集する。

◆『一個人』(いっこじん): 旅や日本文化を特集するカルチャー誌。

分冊百科: あるテーマについて記したものを分冊で定期刊行し、完成させる方式の出版物。週刊が主流で、模型パーツ等の付録主体のものも多い。イタリアの出版社・デアゴスティーニが有名。

VOW(バウ): 宝島社の雑誌の読者コーナー。かつて『宝島』で連載され、現在は『sweet』やwebで連載中。80s以降、街で見かけた「ヘンなモノ」の写真の投稿コーナーとして人気を博し、投稿をまとめた単行本シリーズもベストセラーとなった。

クーリエ・ジャポン: 講談社が運営するWebメディア。世界各国のメディアの記事を抜粋・和訳して掲載する。'05.雑誌として創刊。

オモコロ: ゆるく笑えるコンテンツに特化したWebメディア。'05.設立。ARuFaダ・ヴィンチ・恐山等の覆面ライターを擁する。地獄のミサワ雨穴も出身者。

おたくま経済新聞: サブカルやグルメの話題を中心とするWebメディア。'08.設立。

出版: 書籍や雑誌を発行し、販売又は頒布すること。

書籍(本、図書、ブック): 製本された印刷物。ユネスコの定義では表紙を除いて49頁以上あるもの(48頁以下は小冊子(ブックレット、パンフレット))。
通常、単発的に出版するものを「書籍」、定期的に出版するものを「雑誌」と呼び分ける。書籍はバーコードが2段(ISBNコードとJANコード)、雑誌はバーコードが1段(JANコードのみ)。

文庫本: 日本の出版用語で、多くの読者が見込める小説等を収録した、A6判の廉価な叢書。近年は大手出版社のほとんどが文庫本のレーベルをもち、既存作品の収録だけでなく最初から文庫で作品を出版することが増えている。
主なレーベルに、新潮文庫(新潮社)、岩波文庫(岩波書店)、角川文庫(KADOKAWA)、講談社文庫(講談社)、文春文庫(文藝春秋)、中公文庫(中央公論新社)等。
A6判の定番化は岩波文庫(1927-)からで、新潮文庫(1914-)も1942年にA6判を採用。文庫といえばA6判を指すようになった。

ノベルス(ノベルズ): 日本の出版用語で、新書判の小説叢書のこと。ミステリ、SF、架空戦記等のジャンルで一般的。カッパ・ノベルス(光文社)('59-)以降、名称が定着した。

ヤングアダルト(YA): 主に10代向けの書籍や文学(ライトノベルを含む)を指す用語。かつては「ジュブナイル」と呼んだが、21cに入って「ヤングアダルト」という呼称が一般的になった。

遊び紙: 書籍の体裁を整えるために、表紙と本文の間に入れる白紙。

奥付(おくづけ): 和書の巻末にある、著者名や発行者名、発行年月日等を記した部分。

スリップ: 市販の書籍に挟まれている、片面が補充注文用伝票になった短冊。近年、コスト削減のため減少傾向にある。

古本: 中古の本のこと。

古書: 絶版になってから年月が経ち、一般書店では手に入らない本のこと。

ゾッキ本: 古本市場で投げ売りされている新品本のこと。「まとめて」を意味する商人の隠語から。

サン・ジョルディの日(本の日): 4/23。スペイン・カタルーニャ州の風習で、親しい人にバラと本を贈る日。国際的に「本の日」として広まりつつある。
ヴァレンタイン・デーと似た由来の聖人殉教日だが、セルバンテスとシェイクスピアの命日(共に1616/4/23。但しイングランドは当時まだユリウス暦であり同日に死去したわけではない)でもあり、書店のキャンペーンによって本を贈る日となった。

韋編三絶(いへんさんぜつ): 本を熟読すること。孔子が『周易(しゅうえき)』を綴じ紐が3回切れるほど読んだという故事から。

◆『四庫全書』(1782): 清の乾隆帝が編纂させた漢籍の叢書。古代以来の書物を集め、10年間かけて4000人以上の手で筆写させ、36000冊以上もの豪華な本に装丁したものを合計7部作り、全国7ヶ所に蔵書閣を建て、学者の閲覧を許した。
漢文化の保護に繋がった一方、清朝の統治にとって障害となる書物は弾かれた。収録されても内容が改竄・削除された書物もある。
3部が現存し、うち2部が中国、1部が台湾にある。他は太平天国の乱とアロー戦争で大半が焼失したが、部分的に残った巻は方々に流通し、日本の図書館もその一部を所蔵している。

百科事典(エンサイクロペディア): あらゆる分野の知識を集め、解説を記したもの。書籍の場合、数十巻以上の大部になるものも多い。Webサイトの場合、細かい更新や、記事の相互参照がしやすいメリットがある。
江戸時代には「類書」、明治・大正期には「百科全書」「百科辞典」等と呼ばれたが、平凡社の『大百科事典』(1931)以降、「百科事典」の呼称が定まった。
現在の日本で最も充実した百科事典は、間違いなくWikipedia日本語版である。少なくとも00sまでは平凡社や小学館が書籍版・CD-ROM版・Web版と頑張っていたが、需要縮小・予算縮小で力を割けなくなっている状況が窺える。

◆『和漢三才図会(-ずえ)』: 江戸時代中期の医師・寺島良安(てらしまりょうあん)が30年余かけて編纂した類書(百科事典)。「天」「人」「地」の3部構成で和漢の事物を解説し、挿絵や地図を添えた。全105巻。

◆『博物誌』: 古代ローマのプリニウスが著した百科事典。全37巻。地理や天文、自然物の他、怪物・怪獣・巨人・狼人間等も記されている。

プリニウス(大プリニウス): 1cの古代ローマの博物学者。『博物誌』の著者。ヴェスヴィオ火山の大噴火時に現地調査を試みて窒息死したという。

◆『百科全書』: 18c後半のフランスで発行された百科事典。世界で初めて、あらゆる分野の一流の学者の寄稿を広く集めた百科事典とされる。啓蒙思想家のディドロ、ダランベールら「百科全書派」が編纂した。

◆『ブリタニカ百科事典』: 18c後半の英国で発行され、現在も改訂が続く、世界で最も権威ある百科事典。項目数は多くないが、1つの項目をしばしば何十ページにも渡って解説する大項目主義を採る。
'10.最後の書籍版発行。現在はWeb版の改訂に注力する。

◆『世界大百科事典』: 平凡社が発行する百科事典。編集長は加藤周一。各項目とも記名記事となっている。1931.前身の『大百科事典』発行。'88.初版発行。'07.改訂新版発行。

◆『ポプラディア』: ポプラ社が発行する児童向け百科事典。'02.初版発行。'21.第3版発行。

Wikipedia(ウィキペディア): ウィキメディア財団が寄付金で運営する、ユーザー参加型のWeb百科事典。Wikiシステムで誰もが簡単に編集に関われる。'01.英語版設立。'02.日本語版設立。'16.日本語版の項目数が100万項目突破。
ちなみに、単一の記事で新書何冊分にもなるような分量のページも存在する(「長いページ」参照)。

アンサイクロペディア: ユーザー参加型のWikipediaのパロディサイト。風刺やジョークを織り交ぜた「嘘」で構成する百科事典風の「八百科事典」。'05.英語版、日本語版設立。

ニコニコ大百科: ドワンゴが運営するユーザー参加型のWeb百科事典。百科事典とはいうものの、真実も嘘も独自見解も宣伝も、他のサイトでは独立記事作成の目安を満たさないようなニッチな記事も書いてよい。
各記事にスレッド(コメント欄)が付いているのも大きな特徴。'08.設立。

ピクシブ百科事典: ピクシブが運営するユーザー参加型のWeb百科事典。サブカル・同人関連の記事が充実している。'09.設立。

図鑑: 特定の分野の様々な物(動物、植物、乗り物等)の、精巧な図や写真を並べ、解説を付けた本。牧野富太郎の『日本植物図鑑』(1925)以降、呼称が定着した。
市場の多くは子ども向けの学習図鑑が占め、小学館(NEOシリーズ)、学研(ニューワイドシリーズ・LIVEシリーズ)、講談社(MOVEシリーズ)、ポプラ社(ポプラディア大図鑑WONDAシリーズ)が大手である。

星海社: 出版社。講談社の子会社。'10.設立。当初からWEBサイト「最前線」を中心とした出版の確立を目指している。

KADOKAWA: 千代田区の出版社、エンタメ企業。角川歴彦(つぐひこ)会長、夏野剛社長。80s末頃からファンタジー物を中心にライトノベルの文化を築き、現在もラノベ界では圧倒的なシェアをもつ。
'45.角川源義(げんよし)が角川書店として創業。'49.角川文庫創刊。'75.角川春樹が社長就任、大衆路線に舵を切る。'76.『犬神家の一族』で映画製作に進出。'88.富士見ファンタジア文庫、角川スニーカー文庫創刊。
'93.角川春樹が逮捕され失脚、弟の歴彦が社長就任。'14.ドワンゴと経営統合。

メディアファクトリー: KADOKAWAのブランド。ライトノベルの文庫レーベル「MF文庫J」等に名を残す。'13年にKADOKAWAが吸収合併するまではリクルート系列の出版社で、映像やゲーム、玩具、音楽も手掛けた。
現在は(株)ポケモンが販売する「ポケモンカードゲーム」も、発売当初はメディアファクトリーが販売していた。

新潮文庫: 新潮社の文庫レーベル。1914.創刊。栞紐(スピン)が付いていることや、天アンカットの造本、葡萄をモチーフとしたマークが特徴。

岩波書店: 千代田区の出版社。国内外の古典的著作を収める「岩波文庫」は特に有名。大衆路線を歩む講談社等の他の大手出版社に比べ、硬派な路線で知られる。
他社のような委託・返品制を採用せず、書店側に買取と責任販売を求めるため、小規模な書店は岩波書店の雑誌・書籍を扱わないことも多い。
1913.神保町の古書店として創業。1914.夏目漱石『こゝろ』出版、出版業に進出。漱石の死後に漱石全集で躍進。
1927.岩波文庫創刊。1938.岩波新書創刊。'46.言論誌『世界』創刊。'50.岩波少年文庫創刊。'55.『広辞苑』出版。'79.岩波ジュニア新書創刊。'82.岩波ブックレット創刊。

みすず書房: 人文・社会科学系の出版社。ヴィクトール・フランクル『夜と霧』、ハンナ・アーレント『全体主義の起源』、クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』、トマ・ピケティ『21世紀の資本』等を日本に紹介した。

自由国民社: 出版社。毎年、『現代用語の基礎知識』の発行や、「ユーキャン新語・流行語大賞」の候補選定を行っている。

青林堂: 出版社。'64.『月間漫画ガロ』創刊。'97.漫画編集に携わってきた社員が集団退社し、青林工藝舎を創業。
その後の青林堂は漫画専業でなくなり、創業時の思想とは逆の右翼路線に。最近はスピリチュアル系や参政党関連の書籍を主に出版している。

国立国会図書館: 納本制度に基づき、日本国内で出版された全出版物を収集・保存する図書館。東京本館(千代田区永田町)、関西館(京都府精華町・けいはんな学研都市)がある。

東洋文庫: 文京区にある東洋学の専門図書館。1924.三菱財閥総帥・岩崎久弥が創立。'11.「東洋文庫ミュージアム」併設の新本館が開業。「モリソン書庫」は「日本一美しい本棚」としても知られる。

八重洲ブックセンター: 鹿島建設グループの書店。店舗数は多くないが、関東でチェーン展開する。'78.東京・八重洲の鹿島建設本社跡地に、本店が当時日本最大の書店として開業。'23-28.建替え・再開発に伴い本店を一時閉店。

ちえなみき: 福井県敦賀市が'22年に開設した、全国でも珍しい公設書店。新刊も古書も扱う。

青木まりこ現象: 書店に行くと便意がこみ上げ、トイレに行きたくなる現象。ある雑誌の読者欄にこの現象について投稿した人の名から。

中波放送AM放送): 中波と振幅変調を利用するラジオ。FM放送よりもノイズに弱いが放送範囲は広い。日本では長らく、ラジオの標準的な形態だった。9kHz間隔で周波数が割り当てられている。
NHKラジオ等を除き、多くの局は'28年までに、送信施設の維持・更新費を抑えられるFM放送への転換を予定している。

スクランブル放送: 電波を暗号化し、料金を払って受信(解読)の設定をした端末でしか見られないようにした放送。BS・CSの有料放送はこの方式をとる。

B-CASカード(ビーキャス-): 日本のデジタルTV放送を受信するため、受信機に挿入するICカード。最近はB-CASカードを使わない受信方式を採用したTVも増えている。

CM(コマーシャルメッセージ): 映像や音声による広告を指す言葉。直訳は「商業用の情報」。TVやラジオの民放では、番組の前後や途中に、その番組のスポンサー(製作費提供企業)のCMが入る。

カフ: ラジオの収録スタジオ等に置かれる、マイクのOn/Offを切り替えるスイッチが付いた機械。「咳払い」を指す英語から。

ロケーション撮影(ロケ): TV番組や映画の制作で、放送局やスタジオの外部で行う撮影のこと。

ロケーション・ハンティング(ロケハン): TV番組や映画の制作のために、ロケ地(ロケーション撮影の場所)を探すこと。

完パケ: 完全に編集作業が終わった映像のこと。「完全パッケージ」の略。

白箱: 映像作品の完成時に、確認用に制作スタッフに配る映像データのこと。かつては白い箱入りのビデオテープを配布したことから。

特殊撮影特撮SFX): 撮影時の美術、光学処理で、映像に特殊な視覚効果を施す技術の総称。

視覚効果VFX): 撮影後にCG等で、映像に特殊な視覚効果を施す技術の総称。

アニマトロニクス: 特撮の一種で、生物を模したロボットを使って撮影する技術。ロボットを人工の皮膚で覆い、リアルで滑らかな動きのある生物を演出する。

タイムラプス: 一定の時間間隔で撮影した静止画を繋ぎ合わせ、時間の経過を早回しで辿る動画のこと。「時間」と「経過」を意味する英語から。

日本テレビ(日テレ、NTV): 関東を放送地域とするTV局。リモコンキーIDは4。港区東新橋(汐留)に本社を置く。読売新聞の系列社で、正力松太郎が創業。'53.日本初の民放TV局として開局。

そらジロー: 日テレの天気予報のキャラクター。黄色い体と赤い唇が特徴。『news every.』では気象予報士・木原実と共に着ぐるみで登場する。

氏家齊一郎(うじいえせいいちろう): 日テレの元社長('92-'01)・会長('01-11)。読売新聞の記者出身。視聴率至上主義や、スタジオジブリとの蜜月(特に高畑勲を好んでいた)で知られる。
東大在学中(戦後間もない頃)、1年先輩で生涯の盟友となる渡邉恒雄から勧誘され、日本共産党に入党。同級生の堤清二(辻井喬)を同党に誘った。後に離党。

テレビ埼玉(テレ玉): 埼玉県を放送地域とする独立系TV局。全国20局以上にネットされるバラエティ『いろはに千鳥』や、元旦のゴールデンタイムに放送する『埼玉政財界人チャリティ歌謡祭』で知られる。

サンテレビ(SUN): 兵庫県を放送地域とする独立系TV局。神戸新聞系列。

BSJapanext: 日本のTV局。ジャパネットたかたの系列会社が運営する。NHK BS1から2個逆送りで選局できる。'22.放送開始。

WOWOW(ワウワウ): 日本のTV局。BSの有料チャンネル「WOWOWプライム」「WOWOWライブ」「WOWOWシネマ」を放送する。'91.日本初のBS民放として本放送開始。

スターチャンネル: 日本のTV局。BSで映画の有料放送を行う。東北新社の子会社。

TELASA: KDDIとテレビ朝日の合弁による定額制動画配信サービス。'12.前身「ビデオパス」として設立。

日本文化チャンネル桜: 右翼系のインターネットTV局。'04.CS局として設立。現在はネット配信のみ。

◆『あさイチ』('10-): NHKの平日8-9時台の情報番組。歴代MCは井ノ原快彦(-'18)、有働由美子アナ(-'18)、博多華丸・大吉('18-)、近江友里恵アナ('18-21)、鈴木奈穂子アナ('21-)。
番組冒頭で、出演者が直前に放送される朝ドラの感想(「朝ドラ受け」)を述べることが多い。

◆『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』('13-): CBCの平日14-15時台の情報番組。TBSや毎日放送等、TBS系列の主要各局にネットされる。MCは石井亮次

◆『ワイド!スクランブル』('96-): テレ朝の平日10-12時台(『徹子の部屋』の直前枠)の情報番組。MCは局アナの大下容子(サブMC時代を含め、'98年から出演し続けている)。

◆『給与明細』('01-08,18-): かつてテレビ東京で、現在はABEMAで放送するドキュメンタリー番組。テリー伊藤が企画・出演する。水商売を中心に、仕事の中身や稼ぎを追求する内容。

◆『ウゴウゴルーガ』('92-94): フジテレビが放送した子ども向け番組。当時としては先進的なCGキャラクターが多数登場し、シュールな番組内容で注目された。

アルゴリズムたいそう: 『ピタゴラスイッチ』で、お笑いコンビ・いつもここからが歌い、様々な人々と一緒に行っている体操。

アルゴリズムこうしん: 『ピタゴラスイッチ』で、お笑いコンビ・いつもここからが歌い、様々な人々と一緒に行っている行進。「たいそう」の発展形で、縦一列になって輪唱のように1人ずつ動きをずらして行う。

小山薫堂: 放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティ。'92-.『進め!電波少年』。'93-.『料理の鉄人』。'08.映画『おくりびと』脚本。

徳光和夫: フリーアナウンサー。日テレ出身。非常に涙もろいことで有名。
高校時代に「人生の全てを長嶋茂雄に捧げる」と決意したほどの長嶋ファンで、長嶋がいた立教大学の全学部を受験し、辛うじて社会学部に補欠合格した。長嶋のプロ入り後は熱烈な巨人ファンとなっている。
'79-88.『ズームイン!!朝!』。'80-'10.『24時間テレビ「愛は地球を救う」』総合司会。'95-08.『世界ウルルン滞在記』。

辛坊治郎: ジャーナリスト、キャスター。元読売テレビアナ。'03-21.読売テレビ『そこまで言って委員会NP』(やしきたかじんの降板後はメインMC)。'12-.ニッポン放送『辛坊治郎ズーム そこまで言うか!』(報道トーク番組)。

堀潤: ジャーナリスト、キャスター。元NHKアナ。'14-.TOKYO MX『モーニングCROSS』→『堀潤モーニングFLAG』(報道・情報番組)。

石井亮次: フリーアナウンサー。元CBCアナ。'13-.『ゴゴスマ -GO GO!Smile!-』。

木原実(みのる): 気象予報士。80sから日テレの天気予報で活躍。『news every.』では約3時間の番組中、毎日何度も出番がある。

鈴木奈穂子(-なおこ): NHKアナウンサー。'10-15.『おはよう日本』。'21-.『あさイチ』。

ギャラクシー賞: 放送文化(報道活動・ラジオ・TV・CM)の功績に対する日本の賞。

ピュリッツァー賞: 報道・文学・作曲の功績に対する米国の賞。特に報道の賞として名高い。コロンビア大学ジャーナリズム大学院が運営。1917.創設。

放送ライブラリー: 資料価値の高いTV・ラジオの番組やCM等を保存・展示する、横浜市の施設。

ドミトリー・ムラトフ: ロシアのジャーナリスト。ノーベル平和賞受賞者。ゴルバチョフがノーベル平和賞の賞金で創設した新聞の編集長を務め、プーチンの独裁政治に対抗する論陣を張っている。
'22.ウクライナ侵攻への反対が問題視され、新聞は業務一時停止に。ムラトフはノーベル平和賞のメダルを競売にかけ、侵攻によって生じた難民支援のため、売上をユニセフに募金した。

ロバート・キャパ: ハンガリー出身の報道写真家。'54.第1次インドシナ戦争の取材中に地雷に触れ死去。

外山滋比古: 英文学者、評論家。'83.『思考の整理学』。機械的な満点主義を戒め、知識量と考えようとする力は反比例すると説いた。

佐高信(さたかまこと): 評論家。一貫した社民党支持者。大企業や自民党を舌鋒鋭く批判するスタイルで知られる。

篠原常一郎: 政治・軍事評論家。元日本共産党職員、参政党アドバイザー。

デービッド・アトキンソン: 在日英国人の金融アナリスト、実業家。経済・観光関連の評論家・実務家として、特に菅義偉のブレーンとして知られた。文化財の修理・保存施策の改善や、中小企業の統廃合を主張する。

乙武洋匡(おとたけひろただ): 作家、タレント、スポーツライター、元教員。'98.早大在学中に『五体不満足』出版。先天性四肢欠損という障害を抱えての生活体験を綴り、平成を代表する大ベストセラーとなった。

古谷経衡(ふるやつねひら): 評論家。「保守」を掲げるが、既存の親米保守やネット右翼への批判を年々鮮明にしてきた。'22.れいわ新選組の代表選に非国会議員として唯一立候補したが、山本太郎に敗れた。

鈴木涼美(-すずみ): 作家、エッセイスト、コメンテーター、元新聞記者、元AV女優。現代の性と社会をリアルに分析するエッセイやコラムに定評がある。

はあちゅう: ブロガー、作家。'17.会社員時代に受けたハラスメントを#MeToo運動として告発。'18.しみけんとの事実婚を公表(後に離婚)。

◆『夢をかなえるゾウ』('07): 水野敬也(けいや)の、小説形式の自己啓発本。平凡なサラリーマンが、関西弁を話す神様・ガネーシャの指南で人生を変えていく。

◆『自助論』(1859): サミュエル・スマイルズ(英国)による、300人以上の欧米人の成功談を集めた本。明治期の日本で『西国立志編』の名で翻訳され、『学問のすゝめ』と並び「明治の二大啓蒙書」とされるほどのベストセラーとなった。

アルビン・トフラー: 米国の評論家、未来学者。50sに脱工業化の波を指摘し、コミュニケーション革命や技術的特異点等、情報化社会の実現を早い段階で予見した。'80.『第三の波』。

ハーマン・カーン: 主に60-70sに活動した米国の軍事評論家、未来学者。死の灰の影響を低く評価して限定核戦争を肯定し、過激な主張・肥満体・演説好き・高IQというキャラ立ちから『博士の異常な愛情』('64)の主人公のモデルとなった。
未来学者としては日本の「超大国」化を予想した。

◆『戦争は女の顔をしていない』('85): スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ(ベラルーシ)のノンフィクション。独ソ戦に従軍した女性達の聞き取りをまとめた。'19-.日本で漫画化。


12、心と体

心理精神): 人間の感情、認知、思考の働きの総体。脳の物理的状態と密接に関連する。古代中国や古代ギリシアでは心臓に宿ると考えられた。

健康: 心身が健やかな状態。生活に深刻な影響を及ぼす疾病が無いか、あってもうまく付き合えている状態。

医療診療): 人の健康に寄与する、診察診断治療療養上の支援等の行為の総称。

疫学: ある人間集団における病気や健康状態の現れ方や、その原因を研究する学問。公衆衛生の基礎としても、臨床医学(患者の治療方針を決める、生活上の指導・支援を行う等)の基礎としても重要。

アーユルヴェーダ: インドの伝統医学。ギリシャ・アラビア医学、中国医学と並ぶ世界三大伝統医学の1つ。

進化心理学: 人間の心理や行動のメカニズムを、進化生物学的な適応であると仮定して研究する学問。

視覚: 五感の1つで、「見える」こと。光が目の網膜上の感覚細胞に対する刺激となって生じる感覚。
視覚処理には脳のメモリをかなり使うため、目を閉じると、眼精疲労だけでなく脳の疲労も癒える。目を閉じ、更に横になった時点で睡眠の効果は8割得られるという。

アイスクリーム頭痛: アイスクリームやかき氷等の極端に冷たいものを食べた直後に、数分程度発生する頭痛。

感情気持ち、気分、情、心情、心持ち、心地、心模様): 快、不快、喜び、悲しみ、怒り、驚き、怖れ、可笑しさ、愛しさ、憎しみ、恥じらい、意欲、諦め等の、基本的な心理状態のこと。

情動(エモーション): 急激に強く湧き上がる感情のこと。

喜び: いいことがあって嬉しいと思う、満ち足りた感情。

共感: 自分以外の人の感情や思考に対し、自分も同じように感じたり、その通りだと思ったりすること。
人間にとって生きるエネルギーを湧き出させる作用があり、ドイツやスウェーデンの諺では〈喜びは分かち合うと倍になる。悲しみは分かち合うと半分になる〉という。

パニック: 突発的な不安や恐怖による混乱のこと。ギリシア神話の牧神・パンに由来する(古代ギリシアでは、家畜の群れが突然騒ぎ出したり、逃げ出したりする現象を、パンの仕業と考えた)。

フロー(ゾーン、無我の境地): ある活動に完全にのめり込み、集中している心理状態。

サザエさん症候群: 日曜の夕方や夜に「翌日からまた通学や仕事をしなければいけない」という現実に直面し憂鬱になること。

希死念慮: 死にたいと願う、又は死ねたら良いのにと思う心理状態。

アンビバレンス(両面感情): ある対象に対し、相反する感情を同時にもっていること。

認知的不協和: 人がある感情とそれに相反する感情を同時にもった時に感じる、不快感のこと。

マジカルナンバー: 人が一度に短期記憶を行える、情報の塊の数。かつては「7±2」とされたが、近年は「4±1」という説がよく知られる。

正常性バイアス: 認知バイアスの1つで、災害等の異常事態でも「自分は大丈夫だろう」と平静を保とうとしてしまうこと。

確証バイアス: 認知バイアスの1つで、自分の願望や信念を裏付ける情報を重視し、反証する情報を軽視してしまうこと。

イケア効果: 認知バイアスの1つで、自分が作ったものや関わったプロジェクトを過大評価してしまうこと。イケアの家具は自分で組み立てる必要があり、家具への満足感や愛着が増幅するという研究から。

ハロー効果: 認知バイアスの1つで、特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまうこと。

アンカリング効果: 認知バイアスの1つで、最初に提示された数字や条件が基準となり、その後の判断が左右されてしまうこと。

初頭効果: 幾つかの情報のうち何と最初に接したかで、記憶や印象、判断が影響されること。

親近効果: 幾つかの情報のうち何と最後に接したかで、記憶や印象、判断が影響されること。

ジャネの法則: 人が感じる1年の長さは年齢に反比例するという説。提唱した哲学者の名から。

ファントムバイブレーション症候群: 実際には振動していない携帯電話が、着信等で振動したかのように錯覚してしまう症状。

不思議の国のアリス症候群: 自分の体や周囲の物の大きさが実際とは異なって感じられる症状。

アンガーマネジメント: 自らの怒りを認識し、上手くコントロールする手法。反射的に怒らない「6秒ルール」や、自分にとっての許容範囲を広げるトレーニングが知られる。

レジリエンス: 「弾力」「復元力」を意味する英語。心理学では、困難やトラブル、ストレスへの適応力や、精神の回復力を意味する。

ラバーダッキング: 直面する問題を、人ではなく物(例えばアヒルのおもちゃ=ラバーダック)に話すことで、脳内を整理し解決法を得る方法のこと。

単純接触効果(ザイアンスの法則): 五感に特定の刺激を繰り返し与えて接触させるだけで、その刺激や刺激をもたらす人や物に対して好意的になるという心理的効果。

反動形成: 「好きな子をいじめる」等、抑圧した欲望や想いが表れるのを防ぐために正反対の行動や言動をとること。

エディプス・コンプレックス: 小児が母親に独占的な愛情を抱き、父親に強い対抗心を抱く心理状態。フロイトが提示した概念。ギリシャ悲劇の『オイディプス王』から名付けられた。

心理的離乳: 青年期の子どもが、両親への依存から離れて心理的に独立すること。

ストックホルム症候群: 誘拐・監禁事件の被害者が、生存戦略として犯人との心の距離を縮める現象。ストックホルムで起きた銀行強盗人質立てこもり事件('73)から。

リマ症候群: 誘拐・監禁事件の犯人が、共に時間を過ごすうちに人質に親近感を抱く現象。リマで起きた在ペルー日本大使公邸占拠事件('96)から。

インポスター症候群: 周りから高く評価されても自分自身を肯定できず、「自分の成功は偶然なのに、周りに誤った評価をさせてしまっている」と感じてしまう心理傾向。「詐称する人」を意味する英語から。

モラル・インジャリー: 有事(災害、戦争等)に自分がした行動、又は行動しなかったことによる、道徳心の損傷。

HSP: Highly Sensitive Person。繊細さん、敏感さんとも。光、音、匂い、触覚、対人関係等において敏感な性質をもつ一方、物事をよく考え、共感力も高い傾向にある。
約3割が「HSS型」(活動的・社交的で刺激を求めるタイプ)、約7割が「非HSS型」だという。

ハックルベリー・フィン症候群: 「学校に行かない」「仕事が長続きしない」等の形で表れる、規律を嫌い、自由を求める心理傾向。マーク・トウェインの小説の登場人物名から。

ピーターパン症候群: 大人になっても、精神的に子どものままでいる心理傾向。男性に多いとされる。

スキゾイドパーソナリティ障害シゾイドパーソナリティ障害): パーソナリティ障害の1つ。社会的孤立、全般的な無関心、感情の幅の狭さ等を特徴とする。

摂食障害: 強迫性障害の1つで、拒食症と過食症の総称。心理的なストレスに起因する場合が多いという。

ラプンツェル症候群(食毛症): 自分の髪の毛を食べてしまう精神疾患。

MCI: 認知症の一歩手前の「軽度認知障害」のこと。

アルツハイマー型認知症アルツハイマー病): 認知症のうち、日本では患者数の約3分の2を占める一般的な病気。脳の萎縮が海馬から始まって拡がる。
初めは記憶障害が主な症状だが(軽度)、やがて見当識障害が表れ日常生活に支障が出る状態となり(中等度)、最後は身の回りのことがほとんどできなくなり歩行や嚥下にも障害が表れる(重度)。
軽度・中等度・重度の各段階は3~4年かけて進行し、発症から10年ほどで死に至るのが平均的な予後となっている。

高次脳機能障害: 脳の損傷(脳血管障害、脳炎、低酸素脳症、外傷等)によって起こる認知障害(記憶障害、注意障害、失語症等)の総称。

セカンドインパクト症候群(SIS): 脳震盪の後、短期間のうちに2度目の衝撃を受けることで脳に重大な損傷が生じること。

バウムテスト: 樹木の絵を描かせる心理テスト。「木」を意味するドイツ語から。

ロールシャッハ・テスト: インクの染みで出来た左右対称の図形を見て、何を想像するかで診断する性格診断法。考案したスイスの精神科医の名から。

羸痩(るいそう): 著しく痩せた状態。対義語は肥満。

BMI: 体重と身長の関係から算出する、肥満度を表す指数。日本肥満学会は25以上、WHOは30以上で肥満とする。

心拍数脈拍): 心臓や動脈が1分間に拍動する回数。安静時の心拍数は幼児で平均100以上。成人では70以下の人が多い。運動や緊張によって高くなる。

血圧: 動脈血がもつ圧力のこと。心臓の収縮時(血が心臓から送り出されている時)の血圧を収縮期血圧最高血圧、上の血圧)、心臓の拡張時の血圧を拡張期血圧最低血圧、下の血圧)という。
かつて水銀を使った血圧計で測定したことから、現在も単位は水銀柱ミリメートル(mmHg)で表す。正常値は収縮期が140mmHg未満、拡張期が90mmHg未満。

(頸部/頚部): 頭と胴体を繋ぐ部位。哺乳類の首は7つの堆骨(頸椎)から成る。なお元々、漢語では「頸」の字が「くび」を意味し、「首」の字は「あたま」(又はそこから派生して「トップ」「かしら」)を意味した。

五臓六腑: 中国の伝統医学で、人間の内臓のこと。五臓は肝、心、脾、肺、腎を、六腑は胆、小腸、胃、大腸、膀胱、三焦を指す。「三焦」は何を指すのかよく分かっていない。

正中線: 左右対称の体をもつ生物における、体を頭から縦に二等分する直線。又は妊娠中の女性の腹に浮かび上がる黒っぽい縦線。

内臓逆位: 内臓の配置が通常と比べて左右逆になった状態。乳児では約2万分の1の割合で起こるが、先天性心疾患を伴うことが多く、5歳生存率は1割程度。完全逆位の著名人に中内㓛、チャンス大城がいる。

神経細胞ニューロン): 神経系を構成する、情報処理と情報伝達に特化した細胞。樹状突起で情報を受け取り、軸索で情報を送り出す。神経細胞同士の接合部の構造をシナプスという。脳を構成するものは「脳細胞」とも。

髄鞘(ずいしょう): 神経細胞の軸索を包む、脂質に富んだ膜構造。電気を通さない部分であり、刺激の伝達を速める役割をもつ。

大脳: 脳の構成部分の1つ。人間の脳で最も大きな体積を占める。知覚情報の識別、運動の命令、高次機能(記憶・情動・思考)等、我々の「意識」を司る。

小脳: 脳の構成部分の1つ。大脳に上から囲まれるように後頭部に存在する。知覚と運動を結合し、身体のバランス、運動の強さ等の運動調節機能を司る。

脳幹: 脳の構成部分の1つ。大脳・小脳に囲まれるように頭の中心部に存在する。呼吸・循環・唾液・嚥下・発汗等の生命維持機能を司る「延髄」を含む。

扁桃体: 側頭葉の深部にある器官。記憶と情動において主要な役割を担う。アーモンド(扁桃)のような形をしている。

海馬: 側頭葉の深部にある器官。短期記憶・エピソード記憶を司る。アルツハイマー型認知症で萎縮し、大きく障害されてしまう部分。

脊髄: 脳と体じゅうの神経を繋ぐ、背中の中枢神経。脊柱管(脊椎の背中側の空間)に守られる形で伸びている。脳とは延髄を通して繋がっている。

三叉神経: 脳神経の1つ。眼神経・上顎神経・下顎神経の3つに分岐する。

迷走神経: 脳神経のうち唯一、頭部・頸部を離れて腹部にまで達する神経。副交感神経に分類される。
心臓や消化腺の動きに関係し、疲れやストレスを原因とする迷走神経反射により、血圧低下、失神がもたらされることがある。

交感神経: 自律神経のうち、臓器等の働きを促進する(アクセルの役割をもつ)神経系。日中は副交感神経に対して優位な状態にあり、特に興奮時等に顕著となる。

副交感神経: 自律神経のうち、臓器等の働きを抑制する(ブレーキの役割をもつ)神経系。 夜に眠くなるのは、副交感神経のスイッチが入るため。
副交感神経が優位な時間帯は、血管が拡張し、心拍数や血圧が下がる。呼吸は深くゆっくりとなり、胃液の分泌は増えて消化が促される。

利き目: 利き手や利き足のように、よく使う側の目のこと。人は利き目を軸として、もう片方の目で利き目を補いながら立体的に物を見る。
自分の利き目は、離れた場所にある時計等を指さした後に、左右の目を交互に閉じて、どちらの目で見ると自分の指がちゃんと時計を指しているかで調べられる。利き手のように、目も右利きの人が多い。人類の左脳の発達が関係しているという。

アイホール: 目頭から目尻まで半円状に広がる、上まぶたの窪みの部分。

烏の足跡: 目尻に出来る皴のこと。

錐体細胞: 色(可視光の波長)を感じる視細胞。桿体細胞に比べると感度は低い(このため、暗がりでは物の形や明るさは分かっても色は判別しにくい)。
人間と狭鼻類がもつ錐体は通常、長波長に反応する赤錐体、中波長に反応する緑錐体、短波長に反応する青錐体の3種類に分けられるが、2種類、1種類、ゼロ、4種類の場合もある(色覚異常)。
錐体が2種類のパターンは、哺乳類の本来の形でもあり遺伝的に多く、男性は約8%(日本では約5%)が赤・緑の判別が難しい赤緑色覚異常である。
錐体が1種類やゼロの場合は、色の識別が出来ない。その分、微妙な明かりを見つけるのが得意で、ある太平洋の島では1色覚者が多く、その多くが夜釣りの漁師として働いているという。
錐体が4種類なのは、哺乳類以外の脊椎動物の本来の形(紫外線の一部も見ることができる)。女性に稀に4色覚者が存在するという研究がある。

耳抜き: 飛行機旅行やダイビングで鼓膜内外の圧力差が生じた時に、それを解消する方法。

くしゃみ: 主に鼻腔内の埃や異物を排除するための防御反応として起こる、発作的な呼気運動。主な擬音語に「ハクション」「くしゅん」「へっくし」、英語では「achoo」。
俗に、人に噂をされるとくしゃみが出るとの言い伝えがある。 1つくしゃみは褒められ、2つは憎まれ、3つは惚れられ、4つ以上は風邪だという。

(ヴォイス): 発声器官(口、喉)から発する音。肺を駆動して気流を起こし、次に(有声音の場合は)声帯を振るわせて発声し、最後に舌や口腔を制御して調音を行う。
コミュニケーションの道具であり、主なものに、感情の発露としての声(笑い声、泣き声、叫び声、唸り声、喘ぎ声等)、言葉としての声、音楽表現としての声(歌声、ハミング、HBB等)がある。動物の声は鳴き声という。

声変わり(変声): 第二次性徴期に声色や声域が変わること。特に男性は、男性ホルモンの影響で声帯が伸び、声帯周辺の筋群の均衡も急変して、頭声主体の発声から胸声主体の発声に変わる。このため、声域は約1オクターブ低くなることが多い。
一般に哺乳類の雌は、声が低い雄に惹かれる傾向があり、男性の声変わりは「女性にモテるため」とも考えられる。

皮膚: 体の表面を覆う層。表皮真皮(しんぴ)、皮下組織の3層から成る。薄いながらも体重の約15%を占める、人体で最大の器官。
体を外界と区切り、摩擦、毒物、暑さ・寒さ、光線等、様々なものから体を守る他、触覚・圧覚・痛覚・温覚・冷覚を感じる感覚器でもある。

宝毛(たからげ)(福毛(ふくげ)): 体の一部に1本だけ長く生えた、白や透明の毛。

ケラチン(角質蛋白質): 毛髪や爪の主成分。シャンプーに配合されることも多い。

キューティクル: 毛髪を覆う蛋白質の組織。キューティクルが鱗状に重なっているため、髪の毛は方向によって触り心地が異なる。

汗腺: 皮膚にある、汗を分泌する腺。全身に分布するエクリン腺と、脇の下や耳の穴等の特定部位に分布するアポクリン腺がある。

: 汗腺から分泌する液体。体温調節等の機能がある。哺乳類特有のものであり、中でも大量に汗をかくのは人間や馬等、限られた種類に留まる。犬や猫は肉球にしか汗をかかない。
人間がマラソンのような長距離走ができるのも、他の動物に比べて大量の塩分の摂取を必要とするのも、発汗能力の高さが大きな理由となっている。

: 食物のかみ切りや、咀嚼をする硬い器官。手前から順に、切歯犬歯臼歯がある。一般に、0-2歳で20本の乳歯が生え、6-12歳で乳歯は抜け28本の永久歯に生え替わる。後に、4本の「親知らず」も加わる。

エナメル質: 歯冠(歯のうち歯茎から出ている部分)の表面を成す半透明の硬組織。人体で最も硬い部分で、モース硬度は6~7。

セメント質: 歯根(歯のうち歯茎に隠れた部分)の表面を成す硬組織。非常に薄い。

象牙質: 歯の中層を成す白い硬組織。歯髄を覆い、更にエナメル質・セメント質で覆われている。

上顎(うわあご/じょうがく)(口蓋(こうがい)): 口腔と鼻腔を分離する、口腔の上壁にあたる部分のこと。上の歯が付いている。

椎間板: 背骨の椎骨と椎骨の間で衝撃を和らげる働きをする組織。椎骨の間から飛び出てしまう「椎間板ヘルニア」は腰痛の原因となる。

筋肉(マッスル): 収縮によってを生み出す、動物の運動器官。英語「マッスル」は鼠を意味するラテン語に由来する。

括約筋: 肛門や尿道の周りにある、弛緩と収縮により内容物の出し入れを行う環状の筋肉。

立毛筋: 毛根付近の筋肉。人間の場合は鳥肌を立てる時に働く。

蠕動(ぜんどう): 消化管における、筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで内容物を一定方向に移送する運動。

幽門: 胃の出口の、十二指腸に繋がる部分。胃がんが最も出来やすい部分。

大腸: 消化管の一部。長さ約1.5m。小腸に続いて右下腹部から始まり、腹部をぐるりと大きく回って肛門に繋がる。結腸と直腸から成る。

結腸: 大腸の大部分を占める部分。運ばれてきた食べ物から水分等を吸収し、固い糞を作る。盲腸、上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸に分けられる。

盲腸: 結腸の入り口部分(小腸に近い部分)のこと。虫垂がある場所で、虫垂炎の俗称になっている。

虫垂: 盲腸から細く尻尾のように飛び出した部分。現在の人類には不要で、炎症だけ引き起こす厄介な「痕跡器官」と考えられてきたが、近年、免疫学的な意義が研究されている。

肛門: 消化管の出口。直腸の体外への開口部。発生上、口(消化管の入り口)と共に最初に現れる器官で、生物にとっての前後を定義する。

(おなら): 肛門から放出する腸内ガス。音を伴うものを「おなら」、伴わないものを「すかしっ屁」、屁を放出することを「屁をこく」「放屁(ほうひ)」等という。

スカトール: 糞や屁の臭さの原因となる化合物。実は低濃度に薄めるとジャスミン等の花のような香りで、香水にも使われる。

肝臓レバー): 腹部の右上にある臓器。胆汁を作る等、500以上の機能をもつ。成人の肝臓は1kg以上あり、脳と並んで人体最大の臓器。病気になっても自覚症状が現れにくいため「沈黙の臓器」と呼ばれる。

血管: 体中に血液を送る管。体中の血管を全て繋ぎ合わせると約10万km(地球を2周半できる長さ)になるという説がある。ほとんどは目に見えない細さの毛細血管が占める。

リンパ: 毛細血管から浸み出した、アルカリ性の黄色い液体。成分は血漿と同じ。細胞間を流れる細胞間質液と、リンパ管を流れる管内リンパがある。

心臓: 全身に血液を送るポンプの役割をもつ臓器。厚い心筋で覆われ、心筋の弛緩と収縮によって血液を送る。胸部中央のやや左寄りにある。

脾臓: 古くなった赤血球の処理やリンパ球の産出、血液の貯蔵等を行う臓器。胃の裏側にある。

冠動脈(冠状動脈): 心臓の上に冠のように乗っている動脈。心筋にエネルギーを供給する重要な役割をもつ。

甲状腺: 喉仏の下にある蝶のような形の内分泌器官。ヨウ素から甲状腺ホルモンを作って分泌し、体全体の新陳代謝を促進する。

副腎(腎上体): 腎臓の上に位置する内分泌器官。ステロイドやアドレナリンを分泌する。

陰茎(ちんこ、ちんぽ、ちんちん、男根、イチモツ、マラ、息子、竿、肉棒、ペニス): 男性器の一部で、身体から突出している部分。哺乳類の陰茎は泌尿器を兼ね、普段は排尿に用いられる。
多くの哺乳類には陰茎骨があるが、ホモ・エレクトス以降の人類にはない。「付き合う」という概念でセックス相手の奪い合いが減り、挿入時間が短くなったことが要因ともいう。

陰嚢(ふぐり、玉袋): 男性器の一部で、精巣を包む袋状の突出部。女性の大陰唇に当たる。

免疫: 動物が自己と(体内に侵入した)非自己を見分け、自己を防御する仕組み。

抗原: 感染症の病原体(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)、アレルゲン等、体内に侵入し、何らかの免疫応答を引き起こす異物の総称。

抗体(免疫グロブリン): リンパ球のB細胞が産生する蛋白質で、異物に結合し異物を無力化させたり、免疫細胞を活性化させて異物を排除する働きをもつもの。多種多様な異物に対応できるよう、多種多様な抗体が産生される。

ドーパミン: 神経伝達物質の1種。意欲や達成感に関係する。

セロトニン: 神経伝達物質の1種。精神の安定に関係する。

β-エンドルフィン: 神経伝達物質の1種。鎮静作用や安心感・充足感・多幸感、副作用として痒み等をもたらす「脳内モルヒネ」。

オキシトシン: 脳下垂体から分泌されるホルモン。人と人とのスキンシップ等で分泌され「愛情ホルモン」と呼ばれる。

ステロイド: 炎症を抑えたり、免疫力を抑制したりするホルモン。内服薬や外用薬としても膠原病や喘息、皮膚疾患等の治療に使う。ステロイド薬は副作用が非常に多く、服用開始・中止に慎重な判断が必要。

GLP-1: インスリン分泌を促進するホルモンの一種。2型糖尿病の治療薬として使うが、近年は保険適応外の使用(美容・ダイエット目的)も多い。

コラーゲン(膠原質): 脊椎動物の真皮・靭帯・腱・軟骨等を構成する繊維状の蛋白質。人間の場合、全身を構成する蛋白質の約3割を占める。

サイトカイン: 細胞(主に免疫系の細胞)が分泌する低分子の蛋白質で、細胞間の情報伝達の役割を担うもの。

インターフェロン: サイトカインの一種で、病原体や腫瘍細胞の侵入に反応して細胞が分泌し、その増殖を抑えるもの。抗ウイルス薬や抗がん剤に利用される。

ABO式血液型: 赤血球による血液型の分類法。20c初頭に発見された。赤血球表面にA抗原を発現する遺伝子をもつA型、B抗原を発現する遺伝子をもつB型、どちらももたないO型、どちらももつAB型がある。
世界的にはO型、日本人ではA型が最も多い。ちなみに、チンパンジーの血液型はA型とO型のみ、ゴリラはB型のみ。

Rh因子: 血液型を決定する因子の1つ。日本人は99%以上が陽性。

Dダイマー: 血中物質の1つ。血栓の形成されやすさを反映する。

血糖値(GLU): 血中のブドウ糖(グルコース)の濃度。空腹時の正常値は80-100mg/dL。食後は一時的に高くなるが、インスリンを分泌し、濃度を正常値まで戻す働きが起こる。

HbA1c(ヘモグロビンA1c): ヘモグロビンとブドウ糖が結合したもの。血液検査の値は過去1-2か月の平均血糖値に比例し、糖尿病の診断基準。正常値は6%未満、合併症予防のための目標値は7%未満。

コレステロール: 脂質の一種。肝臓で生成され、全身に運ばれて、細胞膜やステロイドの主成分となる。

HDL(高密度リポ蛋白質、善玉コレステロール): 余分なコレステロールを回収する蛋白質。動脈硬化を抑える働きがある。

LDL(低密度リポ蛋白質、悪玉コレステロール): コレステロールを肝臓から全身に運ぶ蛋白質。血液検査の値は脂質異常症(高脂血症)の診断基準。
値が高い場合、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる動脈硬化のリスクが高い。バターや肉の脂身、煙草等を控える必要がある。

CRP(C反応性蛋白質):  体内で炎症や感染、組織の損傷が起こっている時に、血中に増える蛋白質。

アルブミン: 肝臓で作られる血中蛋白質。栄養状態の指標となる他、肝障害の程度を反映する。

ウロキナーゼ: 蛋白質分解酵素の1種。人の尿中から発見された。急性心筋梗塞。脳血栓症、末梢動・静脈閉塞症に対し、血栓溶解剤として使われる。

ブロメライン: 蛋白質分解酵素の1種。パイナップルに多く含まれる。酢豚にパイナップルを入れると肉が柔らかくなったり、パイナップルゼリーが作れない(ゼラチンが溶けてしまう)のはこのため。皮膚の壊死を治療する軟膏にも使われる。

朝型: 早起きして朝から活動し、夜は早めに寝るライフスタイル。

夜型(宵っ張り): 早起きせず、夜になると活発になり夜更かしするライフスタイル。

ジャーキング: 入眠時等に起こる、不随意の筋肉の痙攣(ビクッとする動き)。座ったままの姿勢等、筋肉が緩んだ状態で重力に従って動く時に起こりやすく、高所からの落下を防ぐための反射行動と考えられる。

レム睡眠: 睡眠中の状態で、球速眼球運動(ラピッド・アイ・ムーブメント=REM)を伴う睡眠。対義語は「ノンレム睡眠」。哺乳類と鳥類に特有。身体の力は抜けているものの、大脳皮質や眼球は起きている時以上に強く活動し、「夢」を見ている。
人間では睡眠時間の2-3割を占め、不規則ながら平均すると100分に1度ほど訪れる。一般的な6-8時間の睡眠では4-5回。数分で終わることもあれば長く続くこともある。

悪夢(ナイトメア): 悪い夢のこと。比喩表現として、非常に悲惨な光景や場面を指す場合もある。

夢枕に立つ: 夢に故人や神様が現れ、何かを告げること。

無条件反射: 種として先天的にもつ反射行動。熱いものに触れた時に手を引っ込める、転びそうになった時に手をつく等。

条件反射: 経験や訓練により後天的に獲得する反射行動。梅干しを見ると唾を分泌する等。いつもメトロノームを聞かせながら餌を与えている犬は、メトロノームの音を聞いただけで唾液を出すという「パブロフの犬」の実験で有名になった。

鳥肌(さぶいぼ): 寒さや怖さを感じた時、感動した時等に、肌に立つ小さなポツポツ。立毛筋が収縮し、毛穴が隆起して出来る。人類が毛深かった時代に、毛を逆立てて体を寒さから守った仕組みの名残とされる。関西では「さぶいぼ」と呼ぶ。

月経前症候群PMS): Pre-Menstrual Syndrome。女性の月経前に、3-10日間ほど続く心身の症状(情緒不安定、抑鬱、眠気、集中力低下、倦怠感、のぼせ、めまい、食欲不振又は過食、頭痛、腹痛、腰痛、むくみ、お腹や乳房の張り等)のこと。
女性ホルモンの変動によるものと考えられている。

タンポン: 分泌物や血液の吸収に使う、円筒状の綿やガーゼ。英語。日本では主に、膣内に入れ経血を吸収するための生理用品、又は手術時に血を拭き取る医療用品を指す。

プライベートゾーン: 他人に簡単に見せたり、触らせたりしない、性に関係のある体の重要な部分のこと。一般的には、男女それぞれの水着で隠す部分と、口を指す。

ピル(経口避妊薬): 避妊効果をもつ女性ホルモン剤。低用量ピル(OC、LEP)や中用量ピル(アフターピル)がある。日本では市販薬でないため、普及率が欧米より圧倒的に低く、避妊法が男性中心であることが重大なジェンダー格差となっている。

代理出産(代理母出産(だいりはは-/だいりぼ-)): 先天性疾患や摘出により子宮や卵巣をもたない女性が、代理母(親族、第三者等)に妊娠・出産してもらう生殖医療。
依頼者夫婦の受精卵を代理母の子宮に移すもの、人工授精等を行って依頼者のパートナーの精子と代理母の卵子を使うもの等、幾つかのタイプがある。
インドやウクライナでビジネス化している。先進国では禁止法や医療界の自主規制で実施が難しい場合が多く、インドやウクライナで代理出産を行うことがあるが、臓器売買等と共に人体搾取との批判が強い。

産褥期: 産後の女性が、妊娠前の体の状態に回復するまでの期間。通常2ヶ月ほど続く。

低出生体重児: 出生体重2500g未満の新生児。発達の遅延や障害に繋がるリスクもあり、慎重な医療的ケアが必要。

急性: 医学用語で、病気が急速に進行している状態のこと。

亜急性: 医学用語で、病気が徐々に進行している状態のこと。

慢性: 医学用語で、病気が固定され、ほとんど変化がないか極めてゆっくり進行している状態のこと。

陳旧性: 医学用語で、古い傷や痕跡など、かつて起こった変化を表す言葉。

不定愁訴: 医学用語で、様々な体調の悪さがあるものの客観的な所見に乏しく、検査しても原因が特定できない患者の状態。

予後: 医療用語で、病気や怪我の将来的な状態の見込みのこと。
予後不良」というと、人間の医療の場合は単に「良くない」という意味でその程度は病気により異なるが、競走馬の場合は、回復困難で、薬物による安楽死が適当であると診断された状態を意味する。

差し込み疝痛): 反復する激しい内臓痛・脇腹痛のこと。

魚(うお)の目(鶏眼(けいがん)): 足の裏にできる円形の皮膚の硬い角質の塊。ヒールが高い靴を履く人の方が出来やすい。

鬱血(うっけつ): 静脈の一部分で血液の流れが悪くなり滞留すること。指に輪ゴムを強く巻いた時や、心臓の働きが弱った時に起こる。

チアノーゼ: 血中の酸素濃度が低下し、唇や爪が青紫色になる病態。

味噌っ歯: 子どもに見られる、欠けて黒くなった乳歯や虫歯のこと。

ロコモティブシンドロームロコモ): 骨や筋肉の機能低下により、立つ・歩くといった移動に障害を来す状態。

フレイル: 加齢により、筋力や心身の活力が低下し、要介護状態の手前となった「虚弱」な状態。

サルコペニア: 加齢により、全身の筋肉量と筋力が低下した状態。「筋肉喪失」を意味するギリシア語。

ヒートショック: 急激な気温差で血圧が変動し、体がダメージを受けること。冬場の入浴時に起こることが多い。めまいや立ちくらみに留まらず、脳梗塞や心筋梗塞を発症する危険もある。
特に脱水状態で起こりやすいため、入浴前は水分をよく摂取しておき、アルコールは控える必要がある。

譫妄(せんもう): 主に脱水、炎症、貧血、薬物等で身体的な負担がかかった時に生じる、意識の混乱・混濁のこと。「せん妄」と交ぜ書きすることが多い。

知恵熱: 生後6ヶ月~1年程度の乳児に多い、1日など短期間で治まる発熱。知能が発達し始める時期に起きることから。俗に、深く考えたり頭を使ったりした後の発熱のことも指す。

生活習慣病: 生活習慣(喫煙、飲酒、食事、運動、休養等)が発症原因に深く関わっている病気の総称。現代の先進国の死因上位であるがん・心臓病・脳卒中の他、糖尿病や高血圧も含まれる。
かつては加齢が最大のリスクであるとして「成人病」と呼ばれたが、若年者の発症も増え、予防を啓発する観点から「生活習慣病」と呼ぶようになった。
但しこの呼び名には、かえって個人の生活習慣ばかりが原因であると誤解させ、自己責任論を助長させるという批判もある。

白衣高血圧: 家で血圧を測ると正常範囲内に収まるが、診察室等の医療環境下では緊張等で高血圧になること。

小児がん: 小児が罹患するがんの総称。胃がんや肺がんはほぼ見られず、白血病や神経芽腫が多い。がんの増殖が早い一方、化学療法や放射線療法の効果も高く、現在は8割が治る時代となっている。

大腸がん: 徴候や症状には血便、腸の動きの変化、体重減少、疲労感等がある。診断は内視鏡で行う。高齢化や運動不足、肉食文化等を背景に、日本を含む多くの先進国で近年最も多いがんとなっている。

アレルギー: 特定の抗原に対し、過剰な免疫反応を起こす疾病。一般的には、乳幼児期の環境が清潔なほど罹りやすいとされる。
花粉症のように成人になってから発症する人が多いアレルギーもあれば、卵アレルギーや牛乳アレルギーのように乳児期には一般的だが後に耐性を得る人が多いアレルギーもある。
「自分の持っているアレルゲンの入れ物が溢れる(アレルゲンの累積曝露量が閾値を超える)とアレルギーになる」という俗説(バケツ理論)があるが、学問的には証明されていない。

アレルゲン: アレルギーの原因となる抗原。花粉、埃(ハウスダスト)、真菌、金属、薬品、食品(卵、牛乳、小麦、ピーナッツ、魚卵、果物、甲殻類、魚類、蕎麦、木の実、大豆)等、様々なものがアレルゲンとなり得る。

花粉症: アレルギーの一種。スギ、ヒノキ、シラカバ、ブタクサ、ヨモギ、イネ科植物等の花粉が、鼻や目などの粘膜に接触することにより、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ等の症状が出る。
現在の日本(特に北海道や沖縄を除くスギの多い地域)では年々有病率が上がり、国民病となっている。

リウマチ: 関節・骨・筋肉に痛みや腫れを生じる膠原病の総称。ギリシア語で「流れ」を意味する。かつて、悪性の体液が流れ下るのが原因と考えられたため。

橋本病: 代表的な甲状腺機能低下症。慢性的な甲状腺炎から甲状腺ホルモンが不足して新陳代謝が低下し、様々な老化症状が起こる。認知症の原因の1つでもある。

ニューロパチー末梢神経障害): 末梢神経の伝導が障害される病態。運動神経、感覚神経、自律神経に関して、様々な障害の種類、程度がある。糖尿病の主な合併症の1つでもある。国内患者数は1000万人超で、国民病の1つとなっている。

緑内障: 目の病気。日本では失明の原因1位。眼圧の上昇で視力低下や頭痛、視野欠損が起こる。

夜盲症(鳥目): ビタミンAの欠乏で起こる病気。暗い場所での視力が衰え、見えなくなってしまうこと。

メニエール病: 眩暈や難聴、耳鳴りを繰り返す病気。内耳の内リンパ水腫が原因とされる。

心室細動: 不整脈の一種。心室が小刻みに振動して全身に血液を送れない状態。脱水や栄養障害、胸部への強い刺激等で誘発され、心臓が原因の突然死の多くはこれによるもの。AED等の除去装置がある。

ネフローゼ症候群: 尿に蛋白質が大量に排出されて血中の蛋白質濃度が下がり、浮腫等を引き起こす腎臓病。ステロイド治療を行う。

脚気(かっけ): ビタミンB1の欠乏で起こる病気。症状は倦怠感、食欲不振、しびれ、むくみ、心不全等。玄米から白米に主食が転換した明治~大正期の日本では、結核と並ぶ国民病と呼ばれた。
膝蓋腱反射が起こらない(膝の下を叩いて足が跳ね上がらない)人は、脚気の疑いがある。

ペラグラ: ナイアシン(ビタミンB3。皮膚や粘膜を正常に保つ役割をもつ)の欠乏で起こる病気。 発疹等の他、認知症等の精神症状もある。アルコール依存症の患者が併発しやすい。

痔瘻(じろう)(穴痔(あなじ)): 直腸と肛門周囲の皮膚の間に、トンネル状の穴が開いてしまった状態。いぼ痔や切れ痔と違い、市販薬では治療できない。

鼠径ヘルニア: 太腿の付け根部分に発生するヘルニア(脱腸)。特に乳幼児に多い。

複雑骨折: 発生箇所周辺の皮膚が損傷して傷口が開き、骨が露出してしまうタイプの骨折。

外反母趾: 足の親指が小指側にくの字に変形する症状。サイズの合わない小さな靴を履き続けること等が原因で起こる。

ギラン・バレー症候群: 手足に力が入らない等の運動神経障害を来す難病。

筋萎縮性側索硬化症ALS): 重篤な筋力低下を来す難病。ルー・ゲーリッグ、スティーヴン・ホーキング等が罹患者として知られる。

性分化疾患DSDs): 身体的な性の発達が先天的に非定型である状態を指す、様々な疾患・症候群の総称。
性自認の非定型(トランスジェンダー)と混同されることがあるが、全く異なる概念。自身が典型的な男性/女性として見られないことに悩む当事者も多い。

感染症: 病気のうち、何らかの病原体(ウイルス、細菌、真菌、寄生虫)が体内に入り、細胞を侵すことで起こるもの。
感染力が強いものは、感染者や感染動物が出す体液・血液・排泄物・嘔吐物・飛沫、触れた物や食品等を通して伝染する。接触感染、飛沫感染、空気感染、経口感染等の種類がある。

再興感染症: 既に公衆衛生上あまり問題にならないと考えられていたが、近年再び患者数が増え始めた感染症のこと。結核、コレラ等。

日和見感染症: 健康な状態では発症しないが、抵抗力が低下している状態では発症してしまう感染症のこと。

ライノウイルス: 風邪の原因ウイルスの1つ。「鼻」を意味するギリシア語から。

アデノウイルス: 風邪や感染症の原因ウイルスの1つ。結膜炎や胃腸炎、重症肺炎を起こす型もある。

コロナウイルス: 風邪や呼吸器感染症の原因ウイルスの1つ。外観が太陽コロナに似ていることから。
SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、MERSコロナウイルス(MERS-CoV)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2、新型コロナウイルス)等の型は致死性をもつ。

RSウイルス(ヒトオルソニューモウイルス): 風邪や呼吸器感染症の原因ウイルスの1つ。新生児・小児が多く罹患する。

パラインフルエンザウイルス: 風邪の原因ウイルスの1つ。インフルエンザウイルスとは全く別物。

COVID-19新型コロナウイルス感染症): 感染症。病原体はSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2、新型コロナウイルス)。呼吸器症状や肺炎を引き起こし、重篤症例では死に至る。
'19.中国・武漢市で発生。'20-.世界で猛威を振るい、世界各国の政策や社会の在り方を変えるほどの存在となった。流行初期には多くの国で数%以上の死亡率を記録し、全世界で500万人以上が死亡した。

オミクロン株: '21年末から世界中で流行する新型コロナウイルスの変異株。「BA.1」「BA.2」「BA.2.75(ケンタウロス株)」「BA.5」等の亜種がある。
重症化率は以前の流行株と比べれば低いが、非常に強い感染力をもち、日本では'22年初頭からCOVID-19流行の第6波を、夏に第7波を引き起こしている。

ノロウイルス: 感染症の原因ウイルスの1つ。下痢や、胃をひっくり返したような腹痛や吐き気を引き起こす。
人の腸内で増殖する細菌で、排泄物や嘔吐物を介し感染する他、下水を通して海に流れたウイルスが牡蠣等に蓄積されたものを生食し、食中毒として感染する場合も多い。

後天性免疫不全症候群AIDS(エイズ)): 世界三大感染症の1つ。免疫不全を来す病気。病原体はヒト免疫不全ウイルス(HIV)。精液・膣分泌液・血液・母乳を通して感染し、感染後は約10年の潜伏期間がある。
発症後の致死率の高さ、発展途上国での感染率の高さ、感染率が高い男性同性愛者への偏見・差別等から、80s以降大きな社会問題になってきた。
'81年の米国での初確認から90s半ばまでは治療法がなかったが、現在は抗HIV薬が発達し、長く付き合う病気となっている。

マラリア: 世界三大感染症の1つ。病原体はマラリア原虫で、ハマダラカ属の蚊が媒介する。発熱等の症状を伴う。原虫の種によって重症度が異なり、熱帯熱マラリア原虫による熱帯熱マラリアは死に至ることがある。
世界中の熱帯・亜熱帯地域で見られるが、特にアフリカで多い。かつては空気感染すると考えられており、マラリアという病名は、「悪い空気」を意味する古代イタリア語に由来する。

麻疹はしか): 感染症。病原体は麻疹ウイルス。強い感染力と、発熱や麻の実のような発疹等の症状があり、死に至ることもある。
麻疹ワクチンが未普及だった20cまでは、「はしかのようなもの」という言葉が「一度罹っておけば二度は罹らない、通過儀礼のようなもの」の意味で使われた。

風疹三日ばしか): 感染症。病原体は風疹ウイルス。発熱等の症状がある。子どもの場合は数日で治ることが多いが、妊娠初期の女性が罹ると胎児が先天性疾患に罹る可能性がある。

麻疹・風疹混合ワクチンMRワクチン): 日本の定期接種ワクチンの1つ。世界的にはおたふくかぜを含めた三種混合ワクチン(MMRワクチン)を定期接種する国が多い。

流行性耳下腺炎おたふくかぜムンプス): 感染症。病原体はムンプスウイルス。主に小児が罹る。症状は耳下腺の腫脹・圧痛、嚥下痛、発熱等。ワクチンは任意接種。

水痘水疱瘡): 感染症。病原体は水痘・帯状疱疹ウイルスで、初感染時に発症する。主に小児が罹る。全身に次々に発疹が出現し、1週間ほど症状が続く。ワクチンは'14年から定期接種。

帯状疱疹: 水痘に罹ったことのある人が、加齢やストレスで免疫力が低下した時に発症する感染症。皮疹が帯状に出現する。「帯状疱疹予防ワクチン」は50歳以上が対象で任意接種。

ヘルペス: 感染症の呼び名で、帯状疱疹と、単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペス性器ヘルペスヘルペス脳炎の総称。
水痘・帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスは、一度でも感染すると生涯宿主に潜み、免疫力が低下した時に再発する性格をもつ。

百日咳: 呼吸器感染症。病原体は百日咳菌。小児が多く罹患し、約100日間症状が続く。

四種混合ワクチン: 日本の定期接種ワクチンの1つ。ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオを予防する。

ロタウイルス: 乳幼児の下痢症を引き起こすウイルス。ワクチンは'20年から定期接種。

ヒトメタニューモウイルス: 気管支炎や肺炎を引き起こすウイルス。新生児・小児が多く罹患する。

マイコプラズマ: 肺炎(マイコプラズマ肺炎)を引き起こす細菌。細胞壁が無く、細菌とウイルスの中間的な性質をもつ。かつてはオリンピックイヤーに流行することが多く「オリンピック熱」等とも呼ばれた。

エボラ出血熱(エボラウイルス病): 感染症。体液への接触で感染する。'14-16.ギニア・シエラレオネ・リベリアで過去最大の流行(感染者約3万人、死者約1万人)。その後もコンゴ民主共和国等で断続的に流行している。

エムポックス: 感染症。性的接触等の密接な接触で感染する。天然痘に似るが天然痘より重症度や死亡率は低い。天然痘ワクチンが有効。'22-.欧米で流行。'23.「サル痘」から改称。

レジオネラ症: 感染症。重症肺炎を引き起こすことがある。病原体はレジオネラ菌。人から人への感染は無い。菌は水がたまる場所で増殖し、浴槽の気泡装置や加湿器で発生するエアロゾルが感染源となる。
米国の在郷軍人会で集団感染が起きたことから、在郷軍人を指す言葉「legion」にちなんで名付けられた。

デング熱: 感染症。ヤブカ属の蚊が媒介する。熱帯・亜熱帯地域に多いが国内感染例もある。痛みをかばうために背中を伸ばして歩く姿が気取っているように見えることから、英語の「ダンディ」にあたるスペイン語名が付いたという。

飛び火(伝染性膿痂疹): 黄色ブドウ球菌による皮膚感染症。瞬く間に感染が広がることから。

O157(オー-)(腸管出血性大腸菌): 大腸菌の一種。食中毒の感染源の1つ。加熱不十分な牛挽き肉等の非加熱の食品や、牛の糞便等で汚染された食品からの感染が多い。

カンピロバクター: 細菌の一種。食中毒の感染源の1つ。加熱不十分な鶏肉からの感染が多い。通常の加熱調理で死滅する。人や動物の腸で増殖する性質をもつ。

サルモネラ菌: 細菌の一種。食中毒の感染源の1つ。割った鶏卵を常温で放置した場合に感染しやすいことが知られるが、肉や魚からも感染する。

ウェルシュ菌: 細菌の一種。食中毒の感染源の1つ。嫌気性。一般に、大量の煮込み料理等を常温で長時間放置した場合に増殖する。
対策のポイントは、煮込み料理を保存する時は早めに冷蔵すること、再加熱の際はかき混ぜ空気を入れながら中の方まで火を通すこと。

アニサキス線虫: 寄生虫の一種。食中毒の感染源の1つ。アニサキス症は激しい腹痛や吐き気を引き起こす。食中毒の原因は1-3cmほどの長さの幼虫で、魚の内臓に寄生するが、鮮度が落ちると身に移動するため、新鮮なうちに内臓を除去する必要がある。冷凍か加熱で死滅する。サバ、ニシン、タラ等に多く、消費者としてはこれらの鮮魚は生で食べないのが無難。
ちなみに、卵から孵化したアニサキス幼虫はまずオキアミが食べ、オキアミを魚が食べ、魚を鯨が食べ、鯨の中で成虫となったアニサキスが産卵し、鯨の糞と共にアニサキスの卵が排出される。

マウスユニット(MU): 貝毒やフグ毒(テトロドトキシン)の強さを表す単位。体重20gのマウスに投与した場合の致死量を1とする。毒の種類によるが、成人にとっての致死量は一般に3000-20000MU程度。

スモン: 50s-60sに起きた、整腸剤キノホルムによる薬害病。

パッチテスト: 皮膚アレルギー試験の方法。化粧品や薬品を皮膚に塗り、かぶれの有無等を見る。

上部消化管X線検査(胃透視検査、バリウム検査、MDL): 硫酸バリウム(造影剤)を飲んで発泡剤(炭酸)で胃を膨らませ、X線を連続的に照射しながら撮影する検査。食道、胃、十二指腸の病変をチェックする。
内視鏡検査よりは負担が少なく、費用も安いことから、一定以上の年齢の人への健康診断で多く行われてきた。

内視鏡検査: 体内に内視鏡を挿入し、消化管の観察を行う検査。炎症、潰瘍、腫瘍等の病変をチェックする。
内視鏡の先端に高周波電流を流せるメスやワイヤーを通し、組織の一部を採取して調べたり(生検)、病変を切除(ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術等)することもできる。
口から細い内視鏡を挿れて食道・胃・十二指腸を観察するものを上部消化管内視鏡検査胃カメラ検査、FGS)、肛門から太い内視鏡を挿れて大腸を観察するものを下部消化管内視鏡検査大腸カメラ検査、CF)という。

内視鏡: 内視鏡検査に使う医療機械。胃カメラ大腸カメラがある。くにゃくにゃ曲がる管の先に小さなカメラが取り付けられている。
かつては、剣を飲み込んでみせる大道芸人のように、まっすぐな鉄製の筒を口から胃まで挿入する「硬性内視鏡」が使われていた。

交差適合試験クロスマッチ): 輸血が必要な患者と、血液製剤(供血者)との適合性を確かめる検査。

CVポート: 皮下埋め込み型の中心静脈カテーテル。一般に、鎖骨の下にカテーテルを埋め込み、先端部は心臓近くの中心静脈に留置する。
CVポートを埋め込むことで、通常の点滴と異なり、輸液中でも両腕の自由が利くようになる。消化管機能が低下して食べ物の摂取が難しい患者には、CVポートを通じた高カロリー輸液が有効。

ポリグラフ: 呼吸や脈拍、血圧等、複数の生理現象を同時に計測・記録する装置。医療現場では単に「モニター」と呼ぶことが多い。
犯罪捜査で記憶捜査に活用されることがあり、長年「嘘発見器」として使われたが、現在の法科学では証拠能力を強化する材料としては認められなくなってきている。

自動体外式除細動器AED): 公共施設等が設置する、心停止状態の人に対して胸骨圧迫と並行して緊急に使うための医療機器。自動的に心電図の解析を行い、心室細動に対して電気的除細動を行う。
オレンジ色の箱を開けた時点で音声案内が流れ始め、非医療従事者でも使うことができる。
一般に心停止が約5分続くと不可逆的な脳障害によって死亡する可能性が高く、救急車の到着以前にAEDを使い始めれば、救急隊員が駆けつけてから使うより救命率が数倍も高くなる。

デブリードマン: 感染や壊死で正常でなくなった皮膚組織を除去し、洗浄する治療。

NIPPV(非侵襲的陽圧換気、非侵襲的間欠的陽圧人工呼吸): 慢性呼吸不全の治療法で、気管切開をせず、小さく軽い鼻マスク式の人工呼吸器を付けるもの。

オストメイト: 手術により、体にストーマ(人工肛門・ 人工膀胱)を造設した人。オストメイト対応トイレには、立ったまま排便処理できる汚物流しや、腹部洗浄の設備が設置されている。

ニンニク注射: 疲労回復等のためにビタミンB1を静脈注射すること。注射時のニンニク臭から。

性別適合手術(性転換手術): 性別不合を抱える人が、性自認に合わせて形態を変更するための手術のうち、内性器・外性器に関するもの。生殖能力を永久的に失う不可逆的な手術。
'18.保険適応となったが、ホルモン療法と併用すると混合診療となってしまうため、今もほとんどの希望者には自費負担で行われている。

Oリングテスト(オー-): 手の親指と他の指で作る輪(Oリング)を使った代替医療の診断法。
医療者が両側からそれを開こうとする時、患者の体の異常がある部分を触ったり、患者が空いた方の手で有害な薬や食べ物を持つと、指の力が弱まりOリングが開くという。

ホメオパシー: ある病気や症状を起こしうる薬や物を使って、その病気や症状を治す代替医療。

タラソテラピー: 海水、海藻、海泥等、海の資源を使った自然療法のこと。

瀉血(しゃけつ): 不要物や有害物が溜まった血液を排出することで、症状を治すとした治療法。中世〜近代の欧米で盛んに行われたが、現代では医学的な意味は無かったと考えられている。
ジョージ・ワシントンの死因は瀉血のしすぎだという説がある。

ロボトミー: 主に1940-50sに精神疾患の治療法として行われた、前頭前野の神経を切断する手術。重篤な機能低下や合併症を起こすことがあり、現在は人道的な治療法としては認められていない。

遺伝子治療: 遺伝子工学をベースにした、遺伝性疾患や難治性疾患の治療。倫理的な理由から、世界的に、生殖細胞には手を加えない体細胞の治療だけが治験や承認の対象となっている。

デザイナーベビー: 受精卵の段階で遺伝子操作を行うことにより、親が望む外見や体力、知力をもたせた子ども。SFではしばしば描かれる。
'18.中国で遺伝子操作によりAIDS耐性をもたせた子どもが生まれ、「世界初のデザイナーベビー」であるとして、遺伝子治療の倫理原則に反することから世界的問題となった。

(お灸): ヨモギの葉で作ったもぐさを皮膚上で燃やす民間療法。施術には灸師免許が必要。

指圧: 指や掌で体表に「圧」を加えることで筋肉の疲労を取り除く民間療法。施術にはあん摩マッサージ指圧師免許が必要。

カイロプラクティック: 筋骨格系の障害に対する民間療法(整体術)。カイロは「手」、プラクティックは「技術」を意味するギリシア語。

アロマテラピー: 精油や植物を使った芳香療法。病気の治療や予防だけでなく、リラクゼーションとしても行われる。

献血: 輸血や血液製剤製造のために無償で血液を提供すること。日本では日本赤十字社が全て手がける。全血献血(400ml、200ml)と成分献血(血漿献血、血小板献血)がある。400ml献血の条件は男女共に体重50kg以上であること等。

剖検: 死亡した患者に対し、家族の同意に基づき病理医が解剖を行うこと。生前の診断が正しかったか、どのくらい病気が進行していたか、適切な治療がされていたか、治療効果はどれくらいだったか等を調べるために行う。
法医解剖や検体とは違い、遺体は外から分かりにくいように切開し、解剖後、遺体は清拭して遺族の元に返す。

テルモ: 国内最大手の医療機器メーカー。社名の由来は「体温計」を意味するドイツ語。

プラセボ(プラシーボ、偽薬): 本物の薬のような見た目だが、薬効成分は入っていない物体。薬の効果を明らかにするため、対照実験で本物の薬との対比で使うことが多いが、プラセボ効果を期待して処方することもある。
「喜ばせるもの」という意味のラテン語に由来するが、日本語だと「偽薬」で印象が悪くなってしまう。

OD錠: お菓子のラムネのように、口の中で速やかに溶けて服用できる錠剤。ODは「Orally Disintegrating(口腔内崩壊)」の略。

オブラート: 澱粉で作った、薄い半透明の膜。飲みにくい粉薬等を包む。相手を刺激しないよう遠回しな言い方をすることを「オブラートに包む」という。

レカネマブ: エーザイとバイオジェン(米)が開発したアルツハイマー病治療薬。'23.承認。
なお、同じ枠組みで少し前に開発されたアルツハイマー病治療薬にアデュカヌマブがある。アデュカヌマブは、FDA(米国食品医薬品局)が'21年に条件付き承認したが、その決定をめぐって3人のFDAアドバイザーが辞任する事態となり、問題視された。
日本やEUでは不承認となり、米国でも公的保険の適用等は見送られ、普及していない。

NSAIDs(エヌセイズ): ステロイド薬以外の抗炎症薬・解熱鎮痛薬の総称。

キンカン: 金冠堂が販売する液体外用薬(市販薬)。現在の効能は虫刺され、肩こり等。1930.火傷の薬として発売。

ラクペタン: 消炎鎮痛薬(市販薬)。塗り薬が有名。

ケロリン: 富山めぐみ製薬(旧・内外薬品)が販売する解熱鎮痛薬(市販薬)。頭痛薬として知られる。広告グッズの黄色い洗面器(ケロリン桶)は頑丈で、全国の銭湯等で使われている。

ノーシン: 解熱鎮痛薬(市販薬)。生理痛や頭痛に使われる「ノーシンピュア」等が有名。

バファリン: 米国生まれの解熱鎮痛薬。主成分はアスピリン、アセトアミノフェン等。日本では市販薬はライオン、医療用はエーザイが販売する。

龍角散: 鎮咳去痰薬。散剤だけでなく錠剤やトローチ、のど飴等もある。「ゴホン!といえば龍角散」のキャッチフレーズで積極的にCMを展開し、50s-60sに大きく売上を伸ばした。

浅田飴: のど飴や鎮咳去痰薬のブランド名・企業名。缶入りのど飴が有名。

プレコール: 第一三共ヘルスケアが販売する鎮咳去痰薬、風邪薬(市販薬)。

キャベジンコーワ: 興和が販売する胃腸薬(市販薬)。キャベツに含まれるビタミンU(俗にキャベジンとも)が主成分。

下剤(便秘薬、瀉下薬(しゃげやく)): 便の排泄を促進する薬。市販薬に「コーラック」「ビューラック」等がある。

レスタミンコーワ: 興和が販売する抗アレルギー薬、痒み止め薬。

ザイザル(一般名:レボセチリジン): GSKが販売する抗アレルギー薬。

ディオバン(一般名:バルサルタン): ノバルティスが販売する高血圧治療薬。日本では臨床研究における一連の論文不正が10sに問題化し、臨床研究時のモニタリング・監査を義務付ける立法のきっかけとなった(ディオバン事件)。

オプジーボ(一般名:ニボルマブ): 抗がん剤。免疫チェックポイント阻害薬に分類される。開発に貢献した本庶佑はノーベル生理学・医学賞を受賞した。
がん細胞表面のPD-L1分子が、リンパ球であるT細胞表面のPD-1分子と結合してT細胞は不活性化してしまうが、この薬がそのシグナルを阻害することで、再びT細胞ががん細胞を攻撃できるようになる。

ボトックス: 米国発のボツリヌストキシン製剤。注射薬。筋肉の働きを一定期間、弱める(麻痺させる)作用がある。痙攣等の治療の他、美容分野でもシワの治療薬(表情筋の働きを弱めることでシワを抑える)として使われている。

オロナインH軟膏: 大塚製薬の抗菌軟膏。

ラゲブリオ(一般名:モルヌピラビル): COVID-19適応として特例承認されている経口の抗ウイルス薬。

武田薬品工業: 日本最大の製薬会社。売上の9割は医療用医薬品だが、ビタミン剤のアリナミン、風邪薬のベンザブロック等、市販薬や医薬部外品でも知られる。
江戸時代に大坂で薬商として始まり、明治期に製薬業に進出。'18.アイルランドの製薬企業シャイアーを買収。日本企業によるM&Aとして史上最高額の案件となった。

第一三共: '05年に三共と第一製薬の経営統合で生まれた製薬会社。有名な製品に、消炎鎮痛薬のロキソニン、風邪薬のルル(市販薬)等。

エーザイ: 日本の大手製薬会社。'23.バイオジェン(米)と共同開発したアルツハイマー病治療薬・レカネマブが承認される。

参天製薬: 目薬で知られる製薬会社。「サンテ」「ソフトサンティア」等のブランドがある。

太田胃散: 胃腸薬で知られる製薬会社。CMのフレーズ〈ありがとう いいくすりです〉で有名。

ロシュ: スイスの製薬会社。世界大手。'02.中外製薬を子会社化。

ジョンソン・エンド・ジョンソン: 米国の薬品・医療機器・ヘルスケア関連用品メーカー。1921.世界初の救急絆創膏「バンドエイド」発売。

MSD(メルク・アンド・カンパニー): 米国の製薬会社。メルク(独)の米国法人を、WWI中に米政府が敵国企業として接収し、独立させたことで成立した。

イーライリリー: 米国の製薬会社。1923.世界で初めてインスリン製剤を実用化。

アッヴィ: 米国のバイオ医薬品企業。

ノババックス: 米国のバイオ医薬品企業。COVID-19ワクチンを開発。'22.日本で4番目に承認されたCOVID-19ワクチンとなり、武田薬品工業が発売。

ヘルプマーク: 外見で分かりにくい障害や病気をもつことを示すマーク。赤地に白十字と白いハートを描いたもの。

視覚障害者: 視覚が、日常生活や就労の場で不自由を強いられるほどに弱い(弱視)人、もしくは全く無い(全盲)人。対義語は「晴眼者」。

白杖(はくじょう): 視覚障害者が歩く時に、前方の路面を触擦する杖。道路交通法で白か黄色と決められている。

CODA(コーダ): Children of Deaf Adults。聴覚障害をもつ親の元に生まれた、健聴の子どものこと。

DOHaD(ドーハッド): 健康や特定の疾病のリスクは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けるという概念。
例えば、低出生体重児(≒胎児期に低栄養状態にあった新生児)は、エネルギーを溜め込みやすい体質になり、将来の生活習慣病のリスクが高いことが分かっている。

8020運動(はちまるにいまる-): 80歳時点で20本の歯を残そうという、厚労省や歯科医師会が推進する運動。

ブレイクスルー感染: ワクチンを接種していてもウイルスに感染してしまうこと。「突破」を意味する英語から。

実効再生産数: ある感染症が流行中の地域における、一定の時刻や条件下での二次感染者数の平均値。1を下回れば感染が収束していく。

エンデミック: ある感染症がある地域で、一定の罹患率又は一定の季節で日常的に繰り返し発生する(風土病化している)状態。

COCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ): '20年に厚労省とデジタル庁が提供したモバイルアプリ。
濃厚接触の疑いがあるアプリ利用者間の接触をBluetoothによって検知・記録し、接触者から新型コロナウイルスの陽性者が発生した時に、その旨を通知する。

医療機関(医院): 医療を提供する施設。20床以上の入院用病棟をもつ施設は病院、病棟が無いかごく小規模な施設は診療所クリニック)と呼ぶ。全国に病院は8000軒以上、医科診療所は10万軒以上、歯科診療所は6万軒以上ある。

医師(医者、ドクター): 医療や保健指導を司る国家資格。日本の医師数は30万人余。人口当たり医師数はOECDの中では下位で、過労が問題となっている。
医師になるには、大学の医学部で6年制の教育を受けた上で国家試験に合格する必要がある。日本の医師制度の特徴として、法律上は、医師であれば誰でも、歯科以外全ての診療科の診療行為が行えることが挙げられる。
日本の医師の主な働き方には、臨床医の他、産業医研究医(基礎医学・社会医学・臨床医学)、保健所・刑務所・自衛隊・厚労省等に所属する医官・技官等がある。臨床医学の研究者は大学病院等で臨床医も兼ねるのが一般的。
本来は博士の学位を意味するdoctor(ドクター)が、多くは博士号を持たない医師の一般名としても用いられるようになったのは、英語圏で医師制度が発展してきた歴史的背景や、免許取得過程上要求された学位が関係しているという。

総合診療医(GP): 特定の疾患や臓器に着目するのではなく、あらゆる年齢・性別の患者の健康問題全般に向き合って治療を行う医師。
英国等ではGPが明確に制度化されている。英国では医大卒業後、5年以上の研修を受けたGPが医師全体の3分の1を占める。一次医療はGPが担うと決まっており、救急等の場合を除き、かかりつけGPの許可なく専門医を受診することはできない。

医師臨床研修制度(初期研修制度): 臨床医に義務付けられている、国家資格取得後2年間の研修期間。臨床研修中の医師は一般に「研修医(初期研修医)」と呼ばれる。
義務化されたのは'04年からで、3年目以降の進路に関わらず内科を中心に幅広い研修内容(スーパーローテート)を行うことや、研修医にも適正な賃金を保証すること、研修先以外の医療機関における診療アルバイトの禁止等が決められた。
研修医が研修を行う病院はマッチング制度で決まる。マッチング制度の開始で多くの市中病院が研修医の採用・育成に積極的になり、大学病院の医局がその地域の医師人事を一手に担うという従来の文化は大きく変わっている。

看護師(ナース): 患者のケアや診療補助を担う国家資格。医療界で最も人数が多い職種で、日本では人口の約1%に当たる120万人以上が就業する。歴史的に女性が多く、'02年までは「看護婦」(男性のみ「看護士」)と呼んだ。
大学や専門学校で3年以上の教育を受けた上で国家試験に合格する必要がある。近年は大卒看護師が増えている。

保健師: 保健所・企業・学校・病院等で、コミュニティ全体の健康を支えるべく、「予防」「対策」を主とした健康相談・保健指導を担う看護師。看護師免許・保健師免許の2つの国家資格が必要。

助産師:  妊娠、出産、産後の新生児ケア等、母子の健康を守る活動を担う看護師。正常分娩であれば医師の指示なしに出産介助ができる。日本では女性しかなれない。看護師免許・助産師免許の2つの国家資格が必要。

准看護師: 医師・看護師の指示下で患者のケアや診療補助を担う、都道府県知事の免許に基づく専門職。看護師よりも短い2年間で資格が取れる。近年は養成数が減っている。

応援ナース(トラベルナース): 看護師不足の病院や施設に赴任し、期間限定で働く看護師。エージェント(代表例:ナースパワー)を介し、応援ナースの募集を行う病院や施設と直接雇用契約を結ぶ。

処方箋: 医師や歯科医師が、患者に薬を処方したことを示し、薬の種類や服用量、服用方法等を記すもの。
通常の院外処方の場合、医療機関での診療を受けた後に、患者は処方箋を薬局に届け、薬剤師が処方箋を確認して調剤や服薬指導(薬や飲み方の説明)を行う。
'23.電子処方箋が運用開始。オンライン資格確認によって、患者の過去3年分の薬剤履歴が閲覧でき、重複投薬や併用禁忌のチェックがしやすくなった。

リフィル処方箋: 1回限りではなく、一定の期間内で繰り返し使える処方箋。'22.診療報酬改定で導入。

オレンジブック: FDAが発行する、先発医薬品と後発医薬品の品質を比較しまとめた刊行物。日本の厚労省も同じコンセプトで「ブルーブック」を発行している。

ACP人生会議): Advance Care Planning。将来(特に終末期)をどう過ごすかについて、本人と家族や近しい人、医療・ 介護チーム等が予め話し合い、本人の意思決定を支援するプロセスのこと。

BSC: Best Supportive Care。終末期医療における、QOL向上を主眼とした治療方針。

ギャッチアップ: ベッドの背部や脚部に角度をつけ、挙上する機能のこと。

do(ドゥ): カルテ用語で、処方内容等が「前回と同じ」を意味する言葉。英語由来だが、「do(する)」のことではなく、「ditto(同じく、同上)」の略。

PICU: 小児集中治療室のこと。

栄養管理委員会NST): 病院が設置する法定委員会の1つ。医師や看護師、栄養士が構成し、患者の状態に応じた栄養管理や栄養指導について計画や評価を行う。

リエゾン: 身体科との「連携」の中で精神科医療を提供する医療チームのこと。「繋ぎ」「橋渡し」を意味するフランス語から。

国民医療費: 日本国内で1年間に発生した、保険診療の対象となりえる医療費の総額のこと。近年は40数兆円(1人あたり約35万円、GDP比8%前後)で推移し、国の政策によって高齢化の割に伸びが抑えられている。
概ね、医療保険や後期高齢者医療制度による給付が約35兆円、患者負担が5兆円台、公費負担制度による給付が3兆円台となっている。
なお、自由診療、健康診断、予防接種、市販薬、その他諸々を含めた保健医療支出全体は60兆円以上でGDP比1割を超え、OECD諸国の中でも高順位だが、米国が1ヶ国突出しているため数値としては平均的。

自立支援医療: 精神疾患の通院治療、又は更生医療・育成医療(身体障害に対する治療)が必要な人に対し、医療費の自己負担比率を1割、又は月2万円(最大)の限度額に抑える公費負担制度。

混合診療: ある病気に対する一連の治療で、保険診療と自由診療を併用すること。原則禁止の国に日本・英国・カナダがある。日本では禁止のため、一部でも保険外の治療を行うと初診時からの治療が全て自由診療となる。
日本でも、歯科では認められている他、医科でも近年は保険外併用療養費制度が拡大され、評価段階の先進医療や新薬を使う評価療養・患者申出療養、差額ベッド代等の選定療養が認められている。
全面解禁すると、保険外の治療や、患者の経済力によって医療内容に差が出ることが当たり前になり、ユニバーサルサービスとして必要な医療を保険適用させる圧力が弱まると指摘される。

オンライン資格確認: マイナンバーカードのICチップや健康保険証に書かれた記号番号により、医療機関や薬局がオンラインで患者情報(加入している健康保険の内容、自己負担限度額、特定健診情報、診療情報、薬剤情報等)を確認すること。

災害派遣医療チームDMAT(ディーマット)): 災害や事故現場で活動する訓練を受けた医療チーム。厚労省や各都道府県が組織している。

赤十字社: 赤十字国際委員会等が取りまとめる、戦時・災害時の傷病者救護活動を中心とする各国の人道支援機関の総称。提唱者はデュナン。
イスラム教国では「赤新月社」を名乗る。各国の機関は共通のシンボルとして赤十字、赤新月、赤水晶等を使い、ジュネーヴ条約(赤十字条約)によって戦時でも活動が保護される。

施薬院(せやくいん): 奈良~平安時代に、都で貧しい病人を保護・治療した施設。730.光明皇后が創設。

DARC(ダルク): Drug Addiction Rehabilitation Center。薬物依存者の依存症からの回復と社会復帰を支援する日本のNPO法人。全国に100以上の施設がある。

聖隷福祉事業団: 病院や介護施設を運営する、キリスト教系の社会福祉法人。関連法人が運営する聖隷クリストファー大学もある浜松市を中心に、静岡県内各地、関東、関西等に「聖隷○○病院」をもつ。

ニチイ学館: 医療(医事業務受託・コンサル)、介護、教育関連企業。介護サービス企業としては国内最大手。

SOMPOケア: SOMPO HD傘下の介護サービス企業。高齢者住宅の運営居室数は国内1位。

城本クリニック(しろもと-): 全国展開する美容整形クリニック。モデルで柳裕也の妻である鍋谷真子(なべたにまこ)が寝転がりながら「0120-107-929」を呟くCMで有名。

米国疾病予防管理センターCDC): 米国の感染症対策の総合研究所。米国に倣った組織を置いている国や地域の研究所もCDCと呼ばれることがある(中国版CDC=CCDC、欧州版CDC=ECDC)。

ヘルシンキ宣言(1964): 世界医師会が採択した、倫理にもとる人体実験を規制する宣言。現在、臨床試験は世界的に、この宣言を倫理的な基盤としている。
WWII中、ナチスに加担した医学者が強制収容所等で行った人体実験への反省から「ニュルンベルク綱領」がまとめられ、それを受けて医学界が行った宣言となっている。
なお、WWIIでは日本軍の医学者(731部隊等)も非倫理的な人体実験で多くの犠牲を出したが、東京裁判ではニュルンベルク裁判と異なり、米国との司法取引によって日本の医学者は裁かれなかった。
このため、731部隊の歴史は暫くタブーとして扱われ、日本の医学界・医療界における「医の倫理」も、自国の人体実験への反省というよりは、欧米から輸入した規範を基に教育されることが多い。

世界五大医学誌: 掲載する論文のインパクトファクターの高さで国際的に信頼される医学の学術誌。
ランセット』、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(マサチューセッツ内科外科学会発行)、『JAMA』(米国医師会発行)、『BMJ』(英国医師会発行) 、『アナルズ・オブ・インターナル・メディシン』(米国内科学会発行)。

フィニアス・ゲージ: 19c半ばの米国の鉄道建設技術者。事故で太い鉄の棒が頭蓋骨を貫通し、左前頭葉の大部分を損傷しながら、人格にやや変化があったものの健康を取り戻した。脳神経科学に大きな影響を与えた重要症例となっている。

エミール・クレペリン: 19-20cのドイツの精神医学者。精神病について、統合失調症と躁鬱病の二大分類を提唱した。簡単な一桁の足し算を行い、知能や性格適性を診断する「クレペリン検査」に名を残す。

レフ・ヴィゴツキー: 20c前半のソ連の心理学者。フロイトの精神分析学等を鋭く批判し、弁証法的唯物論を土台に発達心理学の体系を構築した。

なだいなだ: 精神科医、作家、評論家。アルコール依存症の啓発活動や政治活動で知られた。

扁鵲(へんじゃく): 中国医学の祖とされる、春秋戦国時代の伝説的な名医。様々な文献に逸話が伝わるが、実在性は確かではない。

イブン・シーナー: 11cのペルシアの医学者、哲学者。「第二のアリストテレス」と呼ばれる。アルコールによる腐敗の防止、胃潰瘍、脳腫瘍等を発見した。
主著『医学典範』は、インドや中東では20c初頭まで医学教育の入門書として参照された。中世欧州の学問にも大きな影響を与えた。

ウィリアム・ハーヴェー: 17cのイングランドの医学者。血液循環説を唱えた。清教徒革命期にチャールズ1世の侍医を務めた。

◆『蘭学事始(-ことはじめ)』(1815): 当時83歳の杉田玄白が、『解体新書』翻訳・刊行時の苦心談等を記した手記。

フローレンス・ナイチンゲール: 英国の看護師。クリミア戦争(1853-56)での負傷兵たちへの献身や、統計に基づく医療衛生改革で有名な「近代看護教育の母」。ロンドンのナイチンゲール看護学校は、世界初の非宗教系の看護学校である。

ルイ・パスツール: 19cのフランスの生化学者、細菌学の祖。様々な病気の原因(病原体)が微生物であると提唱し、狂犬病予防のワクチン開発に成功した。
他にも、牛乳、ビール、ワインの腐敗を防ぐ低温殺菌法の開発など、科学技術の諸分野に大きく貢献した。

ジョゼフ・リスター: 19-20cの英国の外科医。パスツールやコッホの研究成果を踏まえてフェノールによる消毒法を開発し、無菌手術を実現。虫垂炎ですら手術による死亡率が高かった時代を一変させた。

エミール・アドルフ・フォン・ベーリング: ドイツの細菌学者。ジフテリアの血清療法を始めた。1901.第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞。

高峰譲吉: 日本出身で主に米国で活躍した化学者、実業家。1894.アミラーゼ(ジアスターゼ)抽出に成功。胃腸薬「タカヂアスターゼ」として普及させ三共(現・第一三共)の生みの親となる(後に初代社長に就任)。
1900.アドレナリン抽出に成功(世界初のホルモン抽出)。

野口英世: 医師、細菌学者。現在の福島県猪苗代町出身。米国・ロックフェラー医学研究所研究員。千円紙幣('04-24)で肖像が使われている。1928.黄熱病の研究中に自ら罹患し、現在のガーナで病死。
ウイルスという概念が無かった時代に、細菌学の手法でウイルス感染症に挑んだ。当時はポリオ、狂犬病、黄熱病等の病原体を特定したとされ、何度もノーベル賞候補になったが、それらの業績は後に否定された。

利根川進: 分子生物学者。'87.抗体の多様性が生まれる遺伝的な仕組みの解明で、ノーベル生理学・医学賞を受賞。

本庶佑(ほんじょたすく): 医師、分子免疫学者。'18.免疫チェックポイント阻害因子の発見とがん治療への応用で、ノーベル生理学・医学賞を受賞。

岡田康志: 分子生物学者。キネシンが分子一つで動くことや、内臓逆位の仕組みを解明した。オリンパスと共同で、世界一のシャッター速度をもつ超解像蛍光顕微鏡も開発している。
灘中・高、東大医学部出身。中3で東大理科III類A判定、高3で駿台全国模試全科目全国1位を達成する等、数々の伝説をもつ「東大史上最高の天才」。


13、生物

生物(生き物、生命体): 細胞を基礎とし、「自己増殖能力」「エネルギー変換能力」「自己と外界との明確な隔離」等の特徴をもつもの。地球には現存するものだけで300万種以上の生物がおり、全てが約38億年前に誕生した原初生物の子孫。

生命科学生物学バイオロジー): 生物・生命を研究する自然科学。「生物」として「物理」「化学」「地学」と並ぶ理科の四大科目となっている。

細胞: 生物を構成する、細胞膜で包まれた単位。核膜がある真核細胞と、核膜がない原核細胞がある。

染色体: 1本のDNAがヒストンという蛋白質に巻き付きながら凝縮したもの。細胞分裂時には「X」のような形をしたひも状の構造となる。
人間の細胞の核には通常、23対46本の染色体がある。チンパンジー、ゴリラ、オランウータンには48本ある。トビキバハリアリは2本、ある植物は1260本と、種によって数が全く違う。近縁種でも大きく違う場合がある。

性染色体: 性別を決める染色体。哺乳類の場合は染色体のうち1対2本が性染色体で、2本ともX染色体ならば雌(女)、X染色体とY染色体を対でもつ場合は雄(男)となる。

Y染色体: 性染色体の1つ。哺乳類の場合、雄(男)が父から引き継ぎ、X染色体と対でもつ。人間のY染色体はX染色体よりずっと小さく、含まれる遺伝子も少ない。

デオキシリボ核酸DNA): 二重螺旋構造をとる鎖状の生体高分子。塩基・糖・リン酸から成るヌクレオチドが多数連なったもの。
塩基は4種類(アデニン(A)・グアニン(G)・シトシン(C)・チミン(T))あり、これらの配列が遺伝情報(蛋白質の合成に使うアミノ酸の種類、数、配列、構造等の情報)を示す。
人間の場合、僅か5-10μmの大きさの各細胞核に、合計2m近い長さ(ヌクレオチドの数で約120億個)をもつ46本のDNAが染色体の形で入っている。

遺伝子: 遺伝情報の単位。DNAの塩基配列のうち、途切れ途切れに存在する数%の区間が遺伝子である。人間の遺伝子数は約2万2000。

テロメア: 真核生物の染色体の末端の構造。DNAは特徴的な反復配列となっている。細胞分裂の度に短くなる「命の回数券」として知られる。

リボ核酸RNA): 細胞の核や細胞質にある生体高分子。DNAの遺伝情報を転写したり、その情報を元に蛋白質合成のためのアミノ酸を収集したりする。mRNA(メッセンジャーRNA)、tRNA(トランスファーRNA)等がある。

モータータンパク質: ATPの加水分解で生じる化学エネルギーを運動に変換して、細胞骨格上を動き、細胞内の物質輸送を行う蛋白質。

アポトーシス: 生存のために積極的に引き起こされる、プログラムされた細胞の自殺。がん化する細胞の多くはアポトーシスを行い、腫瘍の拡大は防がれる。
又、オタマジャクシからカエルへの変態で尻尾がなくなるメカニズムや、人間の発生過程で最初は指の間が埋まった状態で手足が形成され、後に指の間の細胞が死滅することで指ができるメカニズムも、アポトーシスによるもの。

エピジェネティクス(後成学): DNAの塩基配列が変わらなくても、後天的に遺伝子の発現が制御される仕組み。又はそれを研究する学問。

クローン: 全く同じ遺伝情報をもつ個体群や細胞群のこと。無性生殖は原則としてクローンを作る。元々は「挿し木」を意味する言葉。

ES細胞(胚性幹細胞): 動物の発生初期段階である初期胚から細胞を取り出し、あらゆる細胞に分化できる能力(多能性)をもったままシャーレの中で培養できるようにしたもの。

iPS細胞(人口多能性幹細胞): 体細胞に遺伝子を導入することにより、ES細胞のような分化多能性をもたせた細胞のこと。再生医療研究の本命として注目されている。
'06.京大の山中伸弥らのグループが初めて作成。山中により、当時流行していたiPodのように普及してほしいとの願いから、「i」を小文字にして名付けられた。

進化: ある生物個体群の形質が、世代を経る中で変化すること。中でも、ある器官が単純化したり縮小したりすることを退化というが、これも進化の一種であり対義語ではない。
ちなみに、ポケモンでいう「進化」は個体に起こる変化で、生物学的には進化ではなく「変態」にあたる。

痕跡器官: 進化の過程で機能を失った生物の器官。ヒトの場合は尾椎骨、虫垂等。

相同: 異なる生物の器官同士の関係性で、進化系統上の起源は同一だが、形や役割が違うもの。「人の手」と「クジラの胸鰭」と「コウモリの翼」等。

相似: 異なる生物の器官同士の関係性で、進化系統上の起源は別々だが、形や役割が似たもの。「鳥の翼」と「昆虫の翅」等。

パンスペルミア説: 地球上の最初の生命は、他の天体で発生した微生物の胞子が地球に飛来したものに由来するという仮説。パンは「汎」、スペルミアは「種」を指すギリシア語。

遺伝子工学: 遺伝子を人工的に操作し、生物の性質に影響を与えようとする学問。'70.DNAを切り取る「制限酵素」の発見により、研究の道が開かれた。

プランクトン(浮遊生物): 水棲生物のうち、遊泳能力が無いか非常に低い生物の総称。対義語はネクトン(遊泳生物)。

真核生物: 真核細胞をもつ生物。多細胞生物と単細胞生物がある。動物、植物、菌類(真菌)等を含む。対義語は原核生物。

動物(アニマル): 真核生物のうち、運動性をもつ多細胞生物。植物のように無機物から炭素を固定して体を作る機能はなく、有機物を「食べる」行為を行う。9-6億年前の原生代に起源をもつ。

: 陸生の節足動物(昆虫、蜘蛛、ダンゴムシ等)や蠕虫(ミミズ等)を中心とする一定範囲の小動物や、運動性のある原生生物の総称。
漢字の「虫」は元々は蛇を象った文字。日本語の「むし」も、昔はマムシ等の蛇を含む概念だったと考えられている。

肉食動物: 生きた動物を殺して食べることが、食生活の中心となっている動物。食物連鎖では「捕食者」「高次消費者」として扱われる。

恒温動物: 体温が周りの環境の温度に左右されない動物。対義語は変温動物。哺乳類・鳥類には恒温動物が、爬虫類・両生類・魚類には変温動物が多い。

冬眠: 動物が体温を低下させ、食料の少ない冬を過ごすこと。冬眠するかどうかや冬眠の仕方は種によって全く異なる。
熊の場合、冬眠前は爆食の季節であり、木の実が不作の秋は人里に出て来ることが増える。冬眠中は基本的に排尿もせず、何ヶ月と動かなくても筋肉や骨が退縮しない。但し面白いことに、出産と授乳は冬眠中に行う。
リス等、小動物の多くは冬眠中も時々起きて食事や排泄、睡眠を行うが、ヤマネは0℃近くまで体温を下げて半年間も仮死状態になり、起きることは珍しい。

脱皮: 動物の成長に伴い、外皮がまとまった形で剥がれること。爬虫類や節足動物が行う。脱ぎ捨てた外皮を抜け殻、蝉の場合は空蝉(うつせみ)という。

ネオテニー(幼形成熟): 動物が幼体の性質を残したまま性成熟する現象。鰓呼吸のまま成熟するメキシコサラマンダー(ウーパールーパー)が代表例。

托卵: 巣作りや子育てを自ら行わず、卵を生んだ後は他の個体や近縁種に託してしまう習性。カッコウはモズに、ホトトギスはウグイスに種間托卵することで知られる。

グロージャーの法則: 恒温動物においては、同じ種でも寒い地域に生息するものほどメラニン色素が少なく体色が薄くなるという傾向。

フォスターの法則(島嶼化): 島等の隔離された環境では、大型生物は小さく、小型生物は大きくなるという傾向。

脊椎動物: 中枢神経(脊髄)を守る「脊椎」をもつ動物(魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)の総称。内骨格で体を支えるため外骨格が要らず、大型種が多い。ヘモグロビンを呼吸色素とする赤い血も特徴。約9-6億年前のカンブリア紀に起源をもつ。

ヒト(人): 狭義にはホモ属の生物、広義にはヒト科の中でも約700万年前にチンパンジーやボノボと分岐進化して以降の、二足直立歩行、犬歯の短小化等を特徴とした種の総称。現存種はホモ・サピエンスのみ。
約700万年前に登場したサヘラントロプス属、約500万年前に登場したアウストラロピテクス属、約250万年前(更新世初期)に登場したホモ属等がいる。ホモ属以外の化石はアフリカでしか見つかっていない。

人類: 個々の人間、民族、人種等を超えた、生物種のヒト全体のこと。

ホモ・サピエンス: 我々(現生人類)の生物学上の学名。ラテン語で「賢いヒト」。名付け親はリンネ。単に「サピエンス」ともいう。全ての現生人類は亜種名も「サピエンス」とされ、より正確には「ホモ・サピエンス・サピエンス」。
約3万年前まで存在したネアンデルタール人やデニソワ人を同一種の亜種と見なす学説もあるが、日本の文献で一般に「サピエンス」「ホモ・サピエンス」という場合、普通は彼らを含まない。
約20万年前までには、他の種や亜種と分岐し、種(亜種)として確立した。アフリカ発祥説と、ユーラシアで発祥したがネアンデルタール人によってすぐにアフリカに押しやられ、アフリカで天下をとったという説がある。
アフリカのみに分布した期間が長く、現在もアフリカ中南部を中心に住むネグロイドは、ネアンデルタール人やデニソワ人のDNAがほぼ交雑していない、最も純粋なサピエンスといえる。
最終氷期中に、かつてのホモ・エレクトスのように、世界中に生息範囲を広げた。少なくとも5万年前までにユーラシア大陸に進出し、約5万年前にオーストラリア大陸にも到達した。
更に、約3万年前には日本の一部に(石垣人)、約2万年前にはアメリカ大陸に到達している。到達が遅かった地域には、ハワイ(8c頃)、ニュージーランド(10c頃)、イースター島(12c頃)等がある。
この過程で、ネアンデルタール人を西欧へ、デニソワ人をニューギニアへ追いやっており、約3万年前に両種(亜種)は滅んだ。
但し、両種のDNAはサピエンスに交雑しており、コーカソイドはネアンデルタール人の血を、モンゴロイドオーストラロイドは両種の血を、いずれも数%ずつ引いている。
まだ農業等の生産革命が起きていない氷期に、サピエンスが、体格等で勝るネアンデルタール人やデニソワ人を圧倒して栄えたのは、より大きな社会を形成できたからという説が有力である。例えばネアンデルタール人の社会(群れ)は互いに顔の認識できる範囲(100人程度)が限度だったが、サピエンスは、自分と親しくない「みんな」を含む数百人以上の社会でも、ルールを共有して協業したり、その社会における自分の能力の水準や立ち位置を把握したりできた。
社会の大きさは、食料調達、戦闘、それらのための道具の革新等の面でスケールメリットとなったことはもちろん、宗教や国家等の大きな概念や価値観(集団幻想ともいえる)を生み出すことに繋がった。

ミトコンドリア・イヴ: 20~12万年前のアフリカにいたと推定される、現生人類の最も近い共通女系祖先。サピエンスのアフリカ単一起源説を支える有力な証拠の1つ。

家畜: 動物の生み出す労働力・毛皮・肉・乳等を人間が存分に利用するため、野生動物であったものを人に馴らし、飼育し、繁殖させ、品種改良したもの。狭義には哺乳類を指し、鳥類は家禽等と呼び分ける。
最古の家畜はイヌで、少なくとも1万数千年前までに家畜化された。
ブタヒツジヤギはBC8000年頃、ウシはBC6000年頃、ウマロバスイギュウはBC4000年頃、アルパカリャマはBC3500年頃、ネコはBC3000年頃、ヒトコブラクダフタコブラクダはBC2500年頃に家畜化されたとみられる。
人が家畜化できた動物の共通点として、繁殖しやすいこと、従順で気性が荒すぎないこと、成長が速いこと等がある。

ペット: 人が愛玩目的で飼う動物。古来から狩猟や鼠の駆除のための家畜だったイヌネコが、現在は世界的に圧倒的な人気を誇る二大ペットとなっている。

動物福祉アニマルウェルフェア): 動物(特に家畜)を心をもつ生き物として扱い、快適な環境で育てようという理念。

へそ天: 犬や猫が仰向けになって寝る姿勢のこと。

介助犬: 肢体不自由者の補助犬。ドアの開閉や着替えの補助等、日常生活動作を補助する。

ファシリティドッグ: 病院等の施設に常勤して活動するために、専門的に育てた施設犬。日本では幾つかの小児専門病院が飼育する。

パピヨン: 小型犬の犬種。フランス語で「蝶」を意味する。耳の形が羽を広げた蝶のようであることから。

バウリンガル: '02年にタカラが発売し、ヒットした「犬語翻訳機」。開発陣はイグノーベル平和賞を受賞した。

地域猫活動: 特定の飼い主がいない猫を地域の合意の元に世話したり、(野良猫の数の抑制・感染症予防のために)不妊去勢手術を行わせたり、飼い主を探して飼い猫にしたりする活動。

三毛猫: 日本猫の雌に見られる、白、茶、黒の3色のまだら模様の猫。ごく稀に雄もおり、非常に縁起が良い存在とされる。

アビシニアン: 猫の品種。リビアヤマネコに似ており、最古の純血種とも。エチオピアの古名から。

ブリティッシュ・ショートヘア: 猫の品種。大きくて丸い顔・丸い目をもつ。『不思議の国のアリス』のチェシャ猫のモデルとされる。

マンチカン: 猫の品種。短足が特徴。90sに登録された新しい品種。

メインクーン: 猫の品種。大型で大人しい「穏やかな巨人」。米国・メイン州原産。「クーン」はかつてアライグマとの混血と考えられたことから。

もちまる: 「下僕」と称する飼い主が飼っている立ち耳のスコティッシュフォールド。'19.誕生、YouTubeデビュー。'21.YouTubeで最も視聴された猫としてギネス認定。

芦毛: 馬の毛色。肌は黒いが毛は白いため灰色で、年を取るとより白くなる。

(はみ)(轡(くつわ)): 馬の口に噛ませる棒状の金具。手綱と接続し、騎乗者の操作を口への刺激として馬に伝える。

(あぶみ): 馬の鞍の両脇に垂らし、足を踏みかけて使う馬具。

ヒツジ(羊): ウシ科の偶蹄類。家畜動物。体毛は柔らかくて長い巻き毛で、毛織物の原料になるほか、肉、乳、皮も利用される。メリノ種等の毛用品種の他、肉用、毛肉兼用、乳用等の品種がいる。
約1万年前の中近東で、ムフロンを原種として家畜化された。現在は世界中で飼育する。羊が多い地域として、中近東以外にも豪州、中国、モンゴル、英国等がよく知られる。日本では明治期に導入された。
多くの羊を飼うことが豊かさの象徴だった英国には、「One sheep, two sheep…」と数えると呼吸が整い、しかもsheepはsleepと似ているため、よく寝付けるという習わしがある。
日本にも、これを無理矢理訳して「羊が1匹、羊が2匹…」と数えるとよく寝付けるという話があるが…。

トナカイ: シカ科の偶蹄類。主に北極圏に生息する。シカ科で唯一、雌にも角がある。「トナカイ」の呼称はアイヌ語から。北米のトナカイは「カリブー」と呼ぶ。
ラップランドではサーミ人が半遊牧状態で家畜化しており、季節ごとに広大な土地を移動する。先史時代から乳用、食肉用、毛皮用、ソリを引く荷役用に利用され、「サンタクロースのソリを引く動物」としてよく知られる。

ヒトコブラクダ(一瘤駱駝): ラクダ科の偶蹄類。北アフリカや西アジアの砂漠地帯で、運送用や乳用の家畜として一般的。原産地のアフリカでは野生個体は消滅したが、豪州では運送用に移入されたラクダが野生化、大繁殖している。
フタコブラクダとの間に繁殖力のある雑種ができる。雑種の瘤は1つで、どちらの種よりも体格で勝る。

サル(猿)(霊長類): 霊長目の哺乳類の総称(但し、普通は人類を除く)。熱帯を中心に、熱帯から温帯にかけて生息する。
「親指と他の指が向かい合う5本の指を持ち、物を掴むことができる」「両目が顔の正面にあり、遠近感を捉える能力が高い」「表情でコミュニケーションをとる」等の特徴がある。

真猿類(しんえん-)(モンキー): 霊長類からメガネザル、キツネザル、ロリスを除いたグループ。人類に近い外見をもち、知能が高く、高度な社会性をもつ。多くは人類と同じく昼行性。
アフリカ・アジアで狭鼻類ヒト科、テナガザル科、オナガザル科)が、南米で広鼻類(オマキザル科、クモザル科)が、それぞれ平行進化した。

αオス(アルファ-): 動物の群れの中で、最も権力が上位にある雄のこと。ニホンザルでは一般に、群れにいる年数が長い猿が年功序列的に就任する。
かつては「ボス猿」と呼んだが、猿の行動・生態を必ずしも正確に表さないとして「αオス」という一般化した呼び方が広まった。

オランウータン: ヒト科の猿。ボルネオ島・スマトラ島に生息する。腕が脚の2倍長い。マレー語で「森の人」。

アジルテナガザル: テナガザル科の猿。東南アジアに生息する。鳴き声が特徴的で「歌う猿」として知られる。

チベットマカクチベットモンキー): オナガザル科の猿。子供を介して絆を深めることで知られ、雄同士でも子供を見せて回る。

ピグミーマーモセット: オマキザル科の猿。南米に生息する。体長10数cm(世界最小の真猿類)。

ピグミーネズミキツネザル: コビトキツネザル科の猿。マダガスカルに生息する。体長6-7cm(世界最小の猿)。

齧歯類(げっし-): 齧歯目の哺乳類の総称。現生種は2000を越え、哺乳類で最も多い。上下の顎に伸び続ける前歯があり、物をかじることで長さを保つ。体が小さい種が多い。

ハダカデバネズミ: デバネズミ科の齧歯類。東アフリカの地中に生息する。哺乳類だが体温調節ができない変温動物。系統やサイズが近い動物に比べて長寿で、血管機能が老いないこと、がんへの耐性、無酸素状態への耐性等、様々な意味で注目される。

カピバラ: テンジクネズミ科の大型齧歯類。現生種で世界最大の齧歯類。アマゾン川流域を中心に生息する。温厚で人に懐くためペットとしても人気。

ヌートリア(沼狸): ヌートリア科の大型齧歯類。南米原産で、西日本では外来種として定着している。戦前の日本軍が毛皮用に飼育し、「勝利」に掛けて「沼狸(しょうり)」と呼んだ。

マーモット: リス科マーモット属の齧歯類の総称。大型齧歯類で、山岳に住むものが多いが、中国東北部・モンゴルのシベリアマーモットや北米のウッドチャックは平野に住む。語源はモルモットと同じオランダ語だが、系統的には近縁ではない。

トウキョウトガリネズミ(東京尖鼠): トガリネズミ科の真無盲腸類。世界最小の哺乳類の1つ(体長5cm弱、体重2g弱)。哺乳類には珍しく毒をもち、餌となる虫の捕獲に利用する。
北海道に生息するが、標本ラベルに「Yezo」と書くべきところを「Yedo」と誤記され、「トウキョウ」の名が付いた。

ライオンレオ獅子): ネコ科の食肉類。ネコ科でトラに次いで2番目に大きな種。「百獣の王」と呼ばれる捕食者の頂点で、約1万年前まではヒトに次いで広く分布する大型陸上哺乳類だった。
近代まで中東にも生息したが、現在の分布域は中南アフリカとインド西部のごく一部(インドライオン)のみ。
雄は長いたてがみを蓄えた勇壮な姿で、世界中で強さや偉大さのシンボルとなっている。雌は狩りの主力で、集団で連係して大型の有蹄類を襲う。性格は温和で賢く、他の肉食獣と比べて人間を襲うことは少ない。
エジプト神話では、ライオンの体と人間の顔をもつスフィンクスが王家を守護する存在とされた。
仏教でも初期からインドライオンはブッダを守護する存在とされ、中国に伝わると「獅子(唐獅子)」として巻毛のたてがみを蓄えた姿で意匠化された。

コヨーテ: イヌ科の食肉類。北米大陸に生息する。ナワトル語で「歌う犬」を意味する。

アメリカアナグマ: イタチ科の食肉類。ニホンアナグマやヨーロッパアナグマとは系統的にやや隔たりがあり、顔つきがかなり異なる。

ラーテル: イタチ科の食肉類。自分より遥かに体の大きいライオン等にも襲いかかるため、「世界一怖いもの知らずの動物」としてギネス認定されたことがある。

ミーアキャット: マングース科の食肉類。カラハリ砂漠やナミブ砂漠に生息する。目の周りや尾の先が黒い。太陽に向かって直立し、体を温める習性がある。『ライオン・キング』に登場するティモンはミーアキャット。

センザンコウ: センザンコウ科の鱗甲類の総称。現生唯一の鱗甲類。アジア・アフリカに生息する。哺乳類なのに全身が鱗で覆われている。伝統薬の材料として密猟され、全種が絶滅の危機にある。

バビルサ: イノシシ科の偶蹄類。インドネシア・スラウェシ島周辺に生息する。雄の牙が頭蓋骨に突き刺さりそうな生え方をするため、「自分の牙に刺さって死ぬ」という俗説が囁かれることがある。

スプリングボック: ウシ科の偶蹄類。見た目は鹿に近く、足裏にスプリング(ばね)が付いているかのような跳躍力を見せる。南アフリカの国獣で、ラグビー南アフリカ代表の愛称を「スプリングボックス」という。

ボンゴ: ウシ科の偶蹄類。アフリカの密林に生息する。繊細な縞模様が特徴的。

ムフロン: ウシ科の偶蹄類。羊の原種。中近東に生息する。

キョン(羌): シカ科の偶蹄類。台湾・中国南東部原産で、千葉県や伊豆大島で繁殖し特定外来生物となっている。

ヘラジカ: 世界最大の鹿。体長は最大で3mに及ぶ。英語ではユーラシアのものを「エルク」、北米のものを「ムース」という。

スナメリ: 小型のイルカの1種。瀬戸内海に多い。背鰭が無く、口が尖っていない独特の風貌をしている。

ゾウ: ゾウ科の長鼻類の総称。現生唯一の長鼻類。約1万年前までマンモスやナウマンゾウといった種も居たが、絶滅した(人類の狩猟が主な原因と考えられる)。
器用に物を掴むこと等ができる長い鼻、大きな耳が特徴。歯は、2本の牙(象牙)と、上履きのような形の4本の大臼歯のみ。

ジャンボ: 19c後半に生きた雄のアフリカゾウ。ロンドン動物園で人を乗せる実演を行い、人気を博した。最期は機関車に衝突され死亡した。
ジャンボの人気によって、ジャンボの名は「巨大」を意味するようになり、「ジャンボジェット」等の由来となった。アニメ映画『ダンボ』では、主人公ダンボの母親象として「ジャンボ」が登場する。

ジュゴン: ジュゴン科の海牛類。前肢で子を胸に抱いて乳を飲ませる姿から、人魚伝説のモデルだという説がある。インド洋と西太平洋に分布し、北限は沖縄。

オオアリクイ: アリクイ科の有毛類。中南米に生息する。筒状の長い頭から、体長の半分ほどの長さもあるミミズ状の舌を出し、蟻塚に突っ込んで大量のシロアリを食べる。
前脚はパンダの頭のようで、別の生き物が常に隣にいるように見えるという独特なカモフラージュ術をもつ。

カンガルー: カンガルー科の有袋類の総称。小型の種はワラビーと呼ぶが、生物学的な分類ではない。
後ろ脚が発達しジャンプ力が強いため、2足跳躍(2足歩行ではない)で高速移動できる。アカカンガルーの最高速度70km/hはサラブレッド並み。とにかく前向きな動物であり、後ろにジャンプすることも、後ずさりの動作もできない。

ウォンバット: ウォンバット科の有袋類。ずんぐりとした体付きで、内股で歩く。丸っこい体付きだが、尻が硬く、何故か四角い糞をする。

タスマニアデビル: フクロネコ科の有袋類。タスマニア島に生息する。フクロオオカミ絶滅後の現在では最大の肉食有袋類。顎の強さはワニ並みで、大抵のものを噛み砕く。

ニホンカワウソ(日本川獺): 70sまで日本に生息した絶滅哺乳類。かつては日本全国に生息し、河童伝説の原型になったと考えられている。
毛皮や生薬を目的とした乱獲で減少し、'79年の高知県須崎市を最後に生きた姿は確認されていない。須崎市のご当地キャラ「しんじょう君」のモデル。

ニワトリ(鶏): キジ科の家禽。飛べない鳥。卵や肉を食用とする他、鑑賞用にも飼う。頭に赤いとさかがある。3500年以上前の東南アジアで、セキショクヤケイ(赤色野鶏)を原種として家禽化された。
雄鶏は早朝に甲高く鳴く。現在の日本語では「コケコッコー」、江戸時代の日本語では「トウテンコウ(東天紅)」、英語では「Cock-a-doodle-doo」、フランス語では「ココリコ」と聞きなされる。

シャモ(軍鶏): 鶏の品種。闘鶏・観賞用。頑強で闘争心が強い。近世初期に東南アジアから輸入した品種を日本で改良したもの。品種名はシャム(現在のタイ)に由来する。

チャボ(矮鶏): 鶏の品種。愛玩・観賞用。小型で大人しい。近世初期に東南アジアから輸入したバンタム種(ジャワ島西部にあったバンテン王国に由来する/格闘技の「バンタム級」の由来)を日本で改良したもの。

オナガドリ(尾長鶏): 鶏の品種。雄の尾羽の生え換わりが起こらず、極端に伸び続けるのが特徴。10m超えの例もある。江戸時代の土佐で生まれ、競って飼育されたが、大戦中は一時、9羽にまで激減。戦後、特別天然記念物に指定された。

ガチョウ(鵞鳥): カモ科の家禽。飛べない鳥。肉や肝臓(フォアグラ)、羽毛を利用する。原種はガン類。

ウズラ(鶉): キジ科の渡り鳥。日本で家禽化が始まり、卵が食用となる。ウズラを育てることは「養鶉(ようじゅん)」という。

キジバト(雉鳩)(ヤマバト(山鳩)): ハト科の鳥。朝から聞こえる「ホーホー、ホッホー↑」の正体。

カナリア: アトリ科の鳥。黄色い愛玩鳥として有名。名前は原産地のカナリア諸島に由来するが、カナリア諸島は犬が多かったために「犬」というラテン語から名付けられており、実質的に「犬」という名が付いた鳥となっている。

エナガ(柄長): エナガ科の鳥。小さな丸い体と長い尾羽をもつ。シマエナガは北海道の亜種で、頭部全体が白い。

ライチョウ(雷鳥): キジ科の鳥。富山県、長野県、岐阜県の県鳥。寒冷な高地に住み、足の先まで羽毛に覆われている。

シジュウカラ(四十雀): シジュウカラ科の鳥。白地に黒のネクタイを付けたような模様が特徴。文法に従って単語を組み合わせ、文を作る能力があるという。

セキレイ(鶺鴒): セキレイ科の鳥。水辺に多く、長い尾を振る習性がある。日本ではハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイが見られる。

ムクドリ(椋鳥): ムクドリ科の鳥。都市部でも見られる鳥の1つ。橙色(黄色とも)の嘴が目立つ。大群を成すことがあり、鳴き声による騒音や大量の糞が問題となる。

キュウカンチョウ(九官鳥): ムクドリ科の鳥。人の言葉や他の鳥の鳴き声を真似る。日本には九官という中国人が持ち込み、「この鳥は私の名をいう」と言ったのが誤解され、九官の名が付いたという。

モズ(百舌鳥): モズ科の鳥。多彩な鳥の鳴き声を真似るため「百舌鳥」という漢字が当てられる。捕えた獲物を枝に串刺しにしておく習性がある。

アホウドリ(阿呆鳥): アホウドリ科の鳥。北太平洋に分布する大型の渡り鳥。羽毛目的の乱獲等で一時は絶滅したとも考えられたが、伊豆諸島・鳥島等の繁殖地の保護で個体数が増えた。

ヤツガシラ(八頭): ヤツガシラ科の鳥。渡り鳥で、日本の本土には稀に飛来する。広げると扇状になる、橙色で先が黒い冠羽をもつ。

カイツブリ(鳰(にお)): 水鳥。滋賀県の県鳥で、琵琶湖の古名「鳰の海」の由来。水掻きではなく、弁足という特徴的な足をもつ。

ツノメドリ(角目鳥)(パフィン): 水鳥。大きな嘴や、その名の通り角のような目の形、空を飛ぶように泳ぐ姿で知られる。

コノハズク(木葉梟): フクロウ科の鳥。日本に生息する最小のフクロウ。「ブッポウソウ」と聞きなされる鳴き声から「声の仏法僧」という異名をもつ。

オオコノハズク(大木葉梟): フクロウ科の鳥。日本にも生息する。

アフリカオオコノハズク: フクロウ科の鳥。黒い縁どりのある真っ白い顔と、擬態を得意とすることで知られる。何かを警戒する時は身を細めて木に擬態、威嚇する時は膨らんで孔雀のようなポーズをとる。

ヨーロッパアマツバメ(欧羅巴雨燕): アマツバメ科の鳥。夏は北欧、冬は南アフリカで過ごす渡り鳥。市街地に適応している。脚は小さく、滅多に地面に降りない。10ヶ月間着地せず飛び続けた個体もいる。

ニジキジ(虹雉): キジ科の鳥。ネパールの国鳥。雄は美しい構造色で虹色に輝く。

ハシビロコウ: ハシビロコウ科の鳥。ヴィクトリア湖周辺に生息する絶滅危惧種。横に広すぎる嘴と、餌とする魚が水面に現れるまで数時間動きを止めることもある「動かなさ」で有名。実は飛べる。

フウチョウ(風鳥)(極楽鳥): フウチョウ科の鳥の総称。パプアニューギニアの国鳥。雄の美しい飾り羽で知られる。かつて、足や翼を切り落とした剥製の姿で取引したため、「枝に止まらず、風に乗って飛ぶ天国の鳥」を想わせる名が付いた。

ダチョウ(駝鳥)(オーストリッチ): 現生種で世界最大の鳥。平均体重、平均身長とも人間をやや上回る。空は飛べないが走力に特化し、2足歩行では断トツの60-70km/hの出力をもち、持久力も優れている。アフリカのサバンナや砂漠に生息する。
危険が迫ると砂の中に頭を突っ込むという、実際には無い習性がなぜか迷信になっており、英語で現実逃避や事なかれ主義のことを「オーストリッチ・ポリシー」という。

エミュー: 豪州に生息する飛べない鳥。平均体重、平均身長が人間とほぼ同じ大型の鳥。カンガルーと共に豪州の国章に描かれる。

トボガン: ペンギンが腹ばいになって滑る行動のこと。エスキモー等が使うそりの名前にもなっている。

ペンギン・ハイウェイ: ペンギンが海と陸上の巣を行き来する際に、決まって使うルートのこと。

リョコウバト: 20c初頭まで北米に生息した絶滅鳥類。かつての生息数は鳥類史上最多とも。食用や羽毛目的の乱獲で絶滅した。

ドードー: 17cまでモーリシャスに生息した絶滅鳥類。「空を飛べず地上をよたよた歩く」「警戒心が薄い」「巣を地上に作る」等、天敵のいない孤島に適応した生態だったが、人類の入植後に1世紀足らずで絶滅した。
その名はポルトガル語で「のろま」を意味する。

エピオルニス: 17c頃までマダガスカルに生息した絶滅鳥類。史上最も体重の重い鳥だった(ダチョウの3~4倍)と考えられている。

タイマイ(玳瑁): ウミガメ科の亀。熱帯に生息する。甲羅は「鼈甲(べっこう)」になり、様々な工芸品の素材に使われる。

ニホンヤモリ(日本家守): ヤモリ科のトカゲ。日本で「ヤモリ」といえばこれを指す。全長10cm余で平たい体形。環境に応じて体色の濃淡を変化させる。尾の自切と再生ができる。
平安時代以降に東アジア大陸から外来種として定着し、民家やその周辺に生息する。様々な虫を食べてくれる益獣として親しまれる。寿命は5-10年。

アオダイショウ(青大将): ナミヘビ科の蛇。日本固有種。南西諸島を除く日本に生息する蛇としては最大種で、最長2mに達する。北海道の個体は青みが強く「エゾブルー」と呼ばれる。山口県岩国市周辺に多い白化固体は天然記念物。

ブラックマンバ: コブラ科の蛇。アフリカに生息する。真っ黒な口腔と猛毒をもつ、可愛い顔をした世界最恐の毒蛇。速度20km/hで進むことができる、世界最速の蛇の1つでもある。

海蛇: 海生に適応した蛇。尾は縦に平べったく、泳ぐのに適している。ほとんどの種は神経毒をもつ。なお、鰻と近縁の魚にも「ウミヘビ科」という分類があり紛らわしい。

ヤドクガエル(矢毒蛙): 中南米に生息する小型の毒蛙。派手な体色の種が多い。

アベコベガエル(彼辺此辺蛙): 蛙の一種。アマゾン川に生息する。オタマジャクシの体長は約25cmもあるが、蛙になると約5cmの大きさに縮んでしまう。

オオサンショウウオ(大山椒魚): 西日本の固有種である山椒魚。全長50-70cm程度の個体が多いが、150cmまで育った例もある。半分に引き裂いても生きていそうな生命力から「ハンザキ」という別名がある。

魚類(魚(さかな/うお)): 脊椎動物で最も原始的な一群。基本的に水中で生き、鰓(えら)で呼吸し、鰭(ひれ)で移動する。体表は鱗(うろこ)で覆われている。瞼が無く、眠る時も目を閉じない。約3万種(脊椎動物の約半数を占める)。

ランチュウ(蘭鋳): 金魚の品種。頭部の「肉瘤」や背鰭の欠損が特徴。

ダボハゼ: ハゼ科の小さな魚の総称。海にも淡水にも生息し、どんな餌にも飛びつくため簡単に釣れるが、人気のない魚。俗に「何にでも見境無く飛びつく、強欲なさま」、野球では「打ち損じの多い早打ちの打者」を意味する言葉となっている。

キタマクラ(北枕): フグ科の海水魚。全身に強毒があり、食べるとすぐ死ぬことから名付けられた。

ホンソメワケベラ(本染分倍良): ベラ科の海水魚。白地に黒帯の特徴的な体色と、他の魚を「掃除」する行動が知られる掃除魚。大脳皮質が発達しており、魚類で初めて鏡に映る自身の姿を認識していることが確認された。
元々「ホソソメワケベラ」(細染分倍良)だったが、和名登録の際に、片仮名の読み違いで現在の和名になった。

クニマス(国鱒): サケ科の淡水魚。かつて秋田県・田沢湖の固有種で絶滅したと考えられていたが、'10年に山梨県・西湖で再発見された(さかなクンが発見に貢献)。

チョウザメ(蝶鮫): チョウザメ科の淡水魚の総称。分類上は鮫ではない。大型で長寿。卵は珍味・キャビア

ピラルク: アマゾン川流域に生息する、世界最大の淡水魚。体長は最大4mに達する。

タツノオトシゴ(龍の落とし子): ヨウジウオ科の一部の魚の総称。およそ魚には見えない外見や、特殊な繁殖形態(雌が生んだ卵を、雄の育児嚢で孵化させるため、雄から生まれるともいえる)が特徴。同じ科に「タツノイトコ」や「タツノハトコ」もいる。

ジンベエザメ(甚平鮫): 現生種で世界最大の魚、鯨類以外で世界最大の動物。体長は最大20m、体重は最大20tに及ぶ。海遊館美ら海水族館では、施設の目玉として大水槽で飼育されている。
性格は温厚。名は体の模様が甚平を思わせることから。

フカミトラザメ(深海虎鮫): 伊豆諸島に生息する小型の鮫。'86.捕獲され、下田海中水族館が飼育開始。新種である可能性も認識しながら約30年間未調査のまま飼育・繁殖を続けた。'22.新種登録。

ニシオンデンザメ(西隠田鮫): 北大西洋に生息する大型の鮫。既知の現生種で最も長寿な脊椎動物(平均300歳超)。アイスランドの発酵食品「ハカール」の素材。

オニイトマキエイ(鬼糸巻鱝)(マンタ): 世界最大のエイ。最も大きいものは体の幅が9mに達する。熱帯の珊瑚礁周辺等に生息する。

ヘモシアニン: 節足動物や軟体動物の多くがもつ呼吸色素。ヘモグロビンが鉄を多く含むのに対してヘモシアニンは銅が多く、酸素と結びつくことで銅イオン由来の青色になる。

ミツバチ(蜜蜂)(ハニービー、メリッサ): ミツバチ科の昆虫の総称。セイヨウミツバチ、トウヨウミツバチ等が養蜂に用いられる。

女王蜂: 蜜蜂やスズメバチの雌の階級。生殖能力が特異的に発達しており、働き蜂が分泌したローヤルゼリーを大量に摂取して毎分2個、毎日2000個もの卵を産む。
働き蜂より遥かに体が大きく、寿命も数十倍あり数年は生きる。蜜蜂やスズメバチの巣は1体の女王蜂を中心に形成されている。

働き蜂: 蜜蜂やスズメバチの雌の階級。生殖能力が無く、子育て、餌探し、巣作り、巣の防衛等、生殖以外の一切の活動を担う。寿命は約1ヶ月。1匹の蜜蜂の働き蜂が、一生かけて集める蜜の量は約5gに過ぎない。

雄蜂: 蜜蜂やスズメバチの雄は、巣の中で毛繕いしながらのんびり過ごし、働き蜂が集めてきた花粉や蜜を食べ、女王蜂と交尾する。交尾が終わると働き蜂によって巣から追い出され、じきに死んでしまう。寿命は約1ヶ月。

蜂群崩壊症候群いないいない病): 蜜蜂が短期間に大量に失踪する現象。21cに入って世界各地で報告されている。原因には病気や殺虫剤、ダニ等の説があるが定かでない。

モルフォチョウ: 米大陸に生息する蝶。体に対して非常に大きな、鮮やかなメタリックブルーの羽をもつ。「モルフォ」は「美しい」を意味するギリシア語。

トンボ(蜻蛉)(ドラゴンフライ): トンボ目の昆虫の総称。世界に約5000種、日本だけで約200種がいる。
トンボの目の前で指をくるくる回すと混乱し、捕まえやすくなるが、混乱のあまり、稀に頭が取れてしまうことがある。頭が取れたまま、暫くは飛び続けることができる。
日本語の古名に「あきつ/あきず(秋津)」がある。神武天皇が山頂から日本を見下ろして〈トンボの交尾のような形だ〉と述べたという伝承から、「秋津島」は日本を意味する雅名の1つとなった。

シオカラトンボ(塩辛蜻蛉): トンボの1種。成熟した雄は塩を振りかけたようなツートンカラー、雌や若い雄は黄色い体に黒い斑点(「ムギワラトンボ」とも)の模様をもつ。

ムカシトンボ(昔蜻蛉): トンボの1種で、日本固有種。原始的な形態を残す「生きた化石」。

甲虫: 甲虫目の昆虫の総称。現生種は30万を越え、昆虫で最も多い。前翅が硬くなり「鞘翅(しょうし)」という器官になっている。

ギラファノコギリクワガタ: 世界最長のクワガタ。東南アジアに生息する。「ギラファ」はキリンを意味するラテン語。

ナミテントウ(並天道): 天道虫の1種。羽の模様は200種類以上のパターンがある。よく図鑑に載っているのは、黒字にオレンジ色の斑が2個のもの。

フンコロガシスカラベ): コガネムシ科タマオシコガネ属の総称。古代エジプトでは「スカラベ」と呼んで神聖視し、装飾品のモチーフ等になった。

ゲンゴロウ(源五郎): ゲンゴロウ科の水生甲虫。タガメと共に、日本の水田を象徴する身近な昆虫だったが、近年数が激減している。

ミールワーム(ミルワーム): ゴミムシダマシという甲虫の幼虫。生餌が必要な小鳥や爬虫類の餌に使われる。

ウンカ(浮塵子): 東南アジアから気流に乗って毎年飛来する、稲の害虫となる小型の虫の総称。江戸時代には大飢饉の原因となった。

トコジラミ(床虱)(ナンキンムシ(南京虫)): 吸血性の昆虫の1種。シラミではなくカメムシの仲間。
戦後、殺虫剤の普及や生活環境の改善で目にすることが減ったが、'22年頃から韓国等で薬剤抵抗性をもった耐性種が大発生し、日本に持ち込まれる事例も相次いでいる。

オンブバッタ(負蝗虫): バッタの1種。大きな雌の背に、小さな雄が乗った姿がよくみられる。

ショウリョウバッタ(精霊蝗虫): 日本最大のバッタ(但し大きいのは雌だけで雄は小さい)。「キチキチバッタ」「コメツキバッタ」とも。梅雨明けから晩秋に見られる。

(蚊)(モスキート): ハエ目カ科の昆虫の総称。3000近い種が知られ、世界中で繁栄する。吸血動物で、種によっては様々な感染症を媒介するため、現代社会で(人間を除いて)最も人間を殺している動物は蚊である。

蚊柱: 大量の蚊が交尾のために群れを成し、上下に飛び回る現象。夏の夕方等に現れる。

ショウジョウバエ(猩々蝿): ショウジョウバエ科の小型の蝿の総称。「小蝿」というと普通はショウジョウバエを指す。
酵母を好み、酒や酢、果実等に集まりやすい。目が赤い種が多く、酒に好んで集まるため、赤目で酒飲みの妖怪「猩々」の名が付いた。青色光に弱く、殺虫に青色光を使うことがある。

ノミ(蚤): 哺乳類や鳥類に寄生して吸血する、体長数mmの昆虫。ネコノミやイヌノミがよく知られる。人間に寄生するヒトノミは、日本では衛生環境の向上であまり見ることはなくなった。
雌の方が雄より大きく、人間でも妻の方が体が大きい夫婦を「蚤の夫婦」という。

マダニ: ダニの1種。家の中に常在するダニとは違い、体長数mmと大きく、野外で動物や人間に取りついて血を吸う。様々な感染症を媒介し、日本でも近年、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)等、人命に関わる感染症の報告例が増えている。

シオマネキ(潮招): 蟹の1種。甲幅2-4cmと体は小さいが、雄のハサミが片方だけ異様に発達している。有明海沿岸では「がん漬け」にして食べることもある。

ザリガニ: 淡水生の甲殻類の一群。ロブスターと近縁。食用にする地域も多く、フランス料理の食材としては「エクルビス」という。

緩歩動物(かんぽ-)(クマムシ): 動物の分類(門)の1つ。0.05mm-1.7mmの微小な動物だが、顕微鏡で見るとずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿が観測でき、熊に喩えてクマムシと呼ぶ。正直、かなりキモい。
熱帯から極地方、深海から高山、温泉の中まであらゆる環境に生息し、多細胞生物とは思えない異常な耐性で有名。温度は約300℃から絶対零度付近まで、圧力は7万5000気圧から真空まで耐えられる。
アルコールに沈めても、液体窒素で凍らせても、電子レンジで加熱しても死なない。X線は人間の致死量の1000倍まで耐える。何もない宇宙空間に10日間放り出す実験で生き延びた初の多細胞生物でもある。
又、通常は体重の85%を水分が占めるにも関わらず、乾燥下では水分を3%以下まで減らして「乾眠」する種もあり、100年以上乾眠したクマムシに水をかけて蘇生したという怪しげな報告もある。

頭足類: 軟体動物のうち、イカ、タコ、オウムガイ、アンモナイト等。神経系や筋肉が発達していて、足が多い。カラストンビという嘴のような咀嚼器官をもつ。

カタツムリ(マイマイ、デンデンムシ、蝸牛): 殻がある陸生の巻貝の総称。軟体部が湿った状態でなければ生きていけない。殻の成分の炭酸カルシウムを摂取するため、コンクリートを好み、1万本以上もある細かい歯でヤスリのように削って食べる。

ウミウシ(海牛): 殻が縮小、体内に埋没、消失等した海生の巻貝の総称。色とりどりの種類がいる「海の宝石」。「イチゴジャムウミウシ」「インターネットウミウシ」「ピカチュウウミウシ」等の変わり種がいる。

オウムガイ(鸚鵡貝): 深海の軟体動物。アンモナイトと共通の祖先をもつ「生きた化石」。巻貝状の殻を鸚鵡の嘴に喩えて名付けられた。

チューブワーム: 深海に住む環形動物。消化管が無い極めて珍しい動物。自ら食事をしない代わりに、体内に入り込んだ細菌が化学合成を担う。

サナダムシ: 脊椎動物の消化管に寄生する紐状の扁形動物。真田紐に似ていることから。長さ10mを超えるものもいる。人間以外に寄生する種が何らかの経路で人体に入ると病気の原因となり、代表例にエキノコックス感染症がある。

プラナリア: 身体を切断するとそれぞれの断片から全身が再生することで知られる扁形動物。「平面」を意味するラテン語から。

オワンクラゲ(御椀海月): クラゲの1種。緑色蛍光蛋白質(GFP)をもち、自然由来の蛍光標識として科学実験等で広く使われている。'08.GFPの発見者・下村脩がノーベル化学賞を受賞。

カツオノエボシ電気クラゲ): 多数のヒドロ虫が融合した群体。厳密にはクラゲではない。触れると刺胞毒のために強い痛みを感じ、刺された人の死亡例もある。
黒潮域の沿岸に夏に現れる。浜に漂着したものは青みがかった風船やビニール袋と間違えやすいので注意。

首長竜: 中生代に栄えた大型の水生爬虫類。首が長く頭が小さいプレシオサウルス類と、首が短く頭の大きいプリオサウルス類の総称。厳密には恐竜ではない。

マイアサウラ: 白亜紀の鳥脚類。子育ての形跡が初めて確認された恐竜。意味は「良い母親トカゲ」。

アパトサウルス: ジュラ紀の竜脚類。かつては「ブロントサウルス」と呼ばれ、最もよく知られる竜脚類だった。

ヒラコテリウム: 始新世の哺乳類。ウマ科の最古の祖先と考えられている。和名は「アケボノウマ」。

マチカネワニ: 更新世チバニアンの日本に生息したワニ。全長約7mと、現在世界に生息するどのワニよりも大きい。戦後、阪大の構内でほぼ完全な骨格化石が発掘された。

剥製: 学術研究・展示、鑑賞等を目的とした動物標本。主に脊椎動物を対象とする技術。死亡した動物の表皮等を剥がして防腐処理し、損充材(剥皮した肉体の石膏型を取って作る)に被せて作る。

植物(プラント、アーケプラスチダ): 真核生物のうち、細胞内共生した藍藻に由来すると考えられる、2枚の膜をもつ色素体(プラスチド)があるもの。
動物にない細胞壁や液胞をもち、1つ1つの細胞のサイズも大きい。細胞壁があるため、動物のように骨格がなくても形状が保たれる代わりに、柔軟に動くことはできず、自らを地に固定して生存する方向に進化してきた。
20億年以上前に起源をもつと考えられている。約4億年前には、オゾン層の形成によって陸上植物が誕生し、地球史上初めての陸上生物となったと考えられている。

花言葉: 様々な種類の花や植物に象徴的な意味を持たせた言葉。西欧起源のものが多く、日本では明治以降に広まった。

細胞壁: 植物の細胞にある、細胞膜の外側の部分。セルロース主体の一次細胞壁と、リグニン主体の二次細胞壁があり、二次細胞壁の発達により組織が更に堅くなることを木化(木質化)という。

: 植物の体を固定し支え、水や養分を吸収する器官。主に地中に張られるが、植物によっては地上部に露出する部分(気根)もある。

雌蕊(めしべ): 被子植物の花の構成部分の1つ。先端部には花粉が付く部分である「柱頭」、下部には受精後に種子をもつ果実になる部分である「子房」がある。

雄蕊(おしべ): 被子植物の花の構成部分の1つ。花粉が入った袋の「(やく)」と、それを支える部分で構成される。

(樹木、木本植物(もくほん-)): 茎が木化し、となった植物。又は、それを加工した素材(木材)。

低木(灌木(かんぼく)): 丈が低く(概ね3m以下)、幹もそれほど太くなく枝と区別しにくい樹木。

//(かずら): つる性の草の総称。又は草で作った髪飾り。

虫媒花(ちゅうばいか): 虫を仲立ちとして受粉を行う花の総称。美しい花弁や匂いをもつ植物が多い。

パイオニア植物: 水分や栄養が乏しい土地に、最初に侵入・定着する植物のこと。ススキやイタドリが代表的。

タンブルウィード: 風に吹かれて転がる、枯草等が球状になったもの。乾燥地帯で見られ、西部劇によく登場する。

ゴムノキ: 樹皮を傷つけてラテックス(天然ゴムの元になる乳白色の樹液)が採取できる木の総称。パラゴムノキ等が代表的。

マングローブ: 熱帯・亜熱帯の河口汽水域で森林を成す常緑樹の総称。オヒルギ等が代表的。

ソメイヨシノ(染井吉野): 最もよく知られる桜の品種で、桜の開花予想(桜前線)にも使われる樹種。遺伝的個体差のない単一クローンから成る品種で、同様の条件下にある木は全て一斉に咲き始め、一斉に散る。
江戸時代に江戸の染井村(現在の豊島区駒込)で誕生した。桜の名所・吉野山にもあやかり名付けられたが、吉野とは特に関係がなく、吉野山の桜のほとんどはソメイヨシノではない。

ハナモモ(花桃): 花の観賞用に改良された桃の木。桜の前に咲く地域が多いが、長野県では桜より遅く咲く。

ナナカマド(七竈): バラ科の落葉樹。紅葉や、落葉後に残る赤い実が美しく、北日本では一般的な街路樹。良質の木炭になり、樹木名の由来として「竃に7度くべても燃え残る」等の説が知られる。

イチョウ(銀杏): イチョウ科の落葉樹。街路樹として多く植えられる。落葉前の葉は鮮やかな黄に染まり、並木道は秋の風物詩。東京都、神奈川県、大阪府の都道府県木。実は銀杏(ギンナン)。
分類学上は綱レベル(裸子植物門イチョウ綱)で1種しかない超珍種で、世界最古の現生樹種という説がある。原産地不明。11cの中国で初めて植栽記録があり、現在は世界中に移植されている。

ケヤキ(欅): ニレ科の落葉樹。街路樹として多く植えられる。紅葉は系統によって赤いものや黄色いものがある。

カシワ(柏): ブナ科の落葉樹。落葉樹でありながら若葉が出るまで古い葉が落ちず、武家では血縁が絶えないことの象徴とされる。

マンサク(満作/万作): マンサク科の落葉樹。葉に先駆け、早春に黄色い花がたくさん咲く。語源には「まず咲く」等の説がある。

サルスベリ(百日紅、猿滑): ミソハギ科の落葉樹。和名は、猿でも滑り落ちるほど樹皮が滑らかなことから。漢名「百日紅」は、花を付ける期間が長い(その名の通り、約100日咲き続ける)ことから。

ポプラ: ヤナギ科の落葉樹。名は「人々」を意味するラテン語に由来する。古代ローマで集会所の周囲に植えられたことから。

ガジュマル: クワ科の常緑樹。日本では南西諸島に分布する。沖縄ではキジムナーという精霊がガジュマルの古木に住んでいるという。

マホガニー: センダン科の常緑樹。ウォルナット、チークと並ぶ世界三大銘木。「リボン杢(もく)」と呼ばれる立体的な木目から高級家具やギターに使われる。

パンダン(パンダナス、パンダヌス): タコノキ科タコノキ属の常緑樹の総称(「タコノキ」自体は小笠原諸島の固有種)。パイナップルに似た実を付ける。
東南アジアでは葉が重宝され、籠やマットを編む繊維を採ったり、食品の香り付けに使ったりする。豊かな香りから「東洋のバニラ」とも。

ジャカランダ: ノウゼンカズラ科の常緑樹。釣鐘型の紫の花が美しい。メキシコや豪州で街路樹となっている。日本では伊豆や九州に移入され、6月頃が見頃。

イランイラン: バンレイシ科の常緑樹。熱帯地域で栽培され、精油や香料の原料となる。黄色い花びらをもつ華やかな花を咲かせ、タガログ語で「花の中の花」を意味する。

モクセイ(木犀): モクセイ科の常緑樹。幹がサイの肌に似ていることから。

フェニックス(カナリーヤシ): ヤシ科の樹木。宮崎県の県木。

ソテツ(蘇鉄): ソテツ科の針葉樹。南九州~南西諸島、台湾、中国南部に分布する。中生代から形態の変化が少ない「生きた化石」の1種。その名は、枯れかかった時に鉄釘を打ち込むと蘇るという言い伝えから。

アザレア(アゼリア、西洋ツツジ): ツツジの1種。川崎駅東口の地下街の名前(川崎アゼリア)になっている。

ムクゲ(木槿): アオイ科の落葉低木。夏の花。韓国の国花で国章にも図案化されている。

ボタン(牡丹): ボタン科の落葉低木。一般的には春の花だが、秋や冬に咲く品種もある。原産地・中国では「百花の王」として愛されてきた。

クチナシ(梔子): アカネ科の常緑低木。初夏の花。花色は白。乾燥果実は生薬や着色料(黄色)に使われる。将棋盤や碁盤の脚はクチナシの実を象ったものとされる。

センリョウ(千両): センリョウ科の常緑低木。正月飾りとする。冬に、枝の先端に赤く美しい実をつける。

マンリョウ(万両): サクラソウ科の常緑低木。正月飾りとする。冬に、葉の下側の枝回りに赤く美しい実をつける。千両と対比されるが系統的には遠縁。固まって付く実の量は千両より多い。

ナンテン(南天): メギ科の常緑低木。冬に赤や白の実をつける。大量の実が葡萄の房のように垂れ下がるのが特徴。

モウソウチク(孟宗竹): 竹の1種。日本で一般的に見られる竹の中で最大。「孟宗」は古代中国の人物で、病気の母のために冬の竹林で筍を探したという。

ヒオウギ: アヤメ科の植物。西日本で生け花の花材として知られる。花色は橙で赤い斑点がある。黒く艶のある種子は「ぬばたま」といい、和歌では「夜」や「髪」にかかる枕詞。

セントポーリア(アフリカスミレ): イワタバコ科の植物。通年楽しめる室内花として人気が高い。ビロードのような濃い緑色の葉が特徴的。

ツリガネソウ(釣鐘草)(風鈴草、カンパニュラ・メディウム): キキョウ科の植物。うまく育てると、花径10cm近い釣鐘型の花が数十輪咲く。

キク(菊)(マム): キク科の植物。秋の花。黄色い菊は、後鳥羽上皇以来、皇室の紋章として使われ、桜と共に日本の国花と見なされる。日本を含め世界的に、故人への供花に使うことが多い(特に白菊等が好まれる)。

ダリア: キク科の植物。バラやチューリップと並んで花色のバラエティに富む。原産国・メキシコの国花。

アザミ(莇): キク科の植物。花色は紫。根は山菜の山牛蒡

ベニバナ(紅花): キク科の植物。花色は黄色から徐々に赤くなる。紅色染料や食用油の原料。山形県の県花。

ヤグルマギク(矢車菊): キク科の植物。花色は青紫。ドイツの国花。

ブタクサ(豚草): キク科の植物。60s頃から秋の花粉症の原因として問題となっている。

セイタカアワダチソウ(背高泡立草): キク科の植物。同時代に増加した帰化植物・ブタクサと混同されることがあるが、黄色い花の付き方はブタクサよりも鮮やか。
ススキと共に、現代日本の空き地・荒れ地で最もメジャーな目立つ植物であり、陣取り合戦を繰り広げている。

ムスカリ: キジカクシ科の植物。春の球根植物で、葡萄のような青紫色の花を咲かせる。

ツルニチニチソウ(蔓日々草): キョウチクトウ科の植物。花色は青紫。強い繁殖力をもつ帰化植物の1つ。

クレマチス(テッセン(鉄仙)、カザグルマ(風車)): キンポウゲ科の植物。「つる植物の女王」。一重咲き、八重咲き、釣鐘型等、バリエーションが豊か。

ヒナゲシ(雛芥子)(虞美人草、ポピー、コクリコ): ケシ科の植物。春の花。古代中国で、自害した(項羽の愛人)の墓に咲いたことから「虞美人草」ともいう。近縁種のナガミヒナゲシは、近年日本の都市部で外来種として大繁殖している。

シクラメン: サクラソウ科の植物。冬の鉢植えの代表格。豚が球根を食べることから「ブタノマンジュウ」という和名がある。

ザゼンソウ(座禅草): サトイモ科の植物。花の色は蒟蒻の花と似て赤黒く、形は蒟蒻とは別の意味で独特。悪臭がするため英語では「スカンク・キャベジ」という。

ベゴニア: シュウカイドウ科の植物。春~夏の花。花色はピンク、白等。

オオバナノエンレイソウ(大花延齢草): シュロソウ科の植物。初夏の花。白く大きな3枚の花弁が特徴。北海道に多く、北大の校章に採用されている。

ノラニンジン(野良人参): セリ科の植物。繁殖力が強い帰化植物。夏に白い5弁花を多数咲かせる。

ペチュニア: ナス科の植物。「花壇の女王」。タバコと近縁で、ブラジル先住民の言葉で「タバコ」を意味する。

マンドレイク(マンドラゴラ): ナス科の植物。引き抜かれると悲鳴を上げるという伝説がある。

ナデシコ(撫子): ナデシコ科の植物。秋の七草の1つ。花色はピンク、赤、白等。日本では女性を象徴する花とされる。「ピンク」という英語の色名の由来。

ハマナス(浜茄子): バラ科の植物。夏の花。花色はピンク。北海道等で海岸の砂地に咲く。実はローズヒップとして食用になる。北海道の花。

ヒガンバナ(彼岸花)(曼珠沙華(まんじゅしゃげ)): ヒガンバナ科の植物。秋の花。花色は赤。毒があり、土葬した遺体を動物に荒らされないよう墓地の周りに植える習慣があった。

アマリリス: ヒガンバナ科の植物。花色は赤、白等。有毒。

スイセン(水仙): ヒガンバナ科の植物。冬~春の花。花色は白、黄色等。有毒。花言葉は「うぬぼれ」「自己愛」等。

ネリネ: ヒガンバナ科の植物。秋の花。花色はピンク、赤、白等。

オジギソウ(お辞儀草): マメ科の植物。接触や振動等の刺激で葉を畳む。元々「ミモザ」はオジギソウを指す植物名だった。

クズ(葛): マメ科の植物。秋の七草の1つ。つるは10m以上の長さになる。根から葛粉や、葛根湯等の漢方薬が作られる。

スイートピー: マメ科の植物。花言葉は「卒業」「門出」「優しい思い出」等。

カトレア: ラン科の植物。「洋蘭の女王」。コスタリカ・ベネズエラ・コロンビアの国花。

ホウキギ(箒木)(ハハキギ(帚木)、コキア): ヒユ科の植物。箒のような細かい茎が特徴で、秋に紅葉する(茎まで赤くなる)。果実はトンブリとして食用になる。

ポトス: サトイモ科の観葉植物。つる性で葉が美しい。葉は斑入りの品種と斑無しの品種がある。室内の少ない光量でもよく育つ。

グリーンネックレス(ミドリノスズ): キク科の多肉植物。細い茎に沿って、球形の多肉質の葉が連なる。

メセン(女仙): ハマミズナ科の多肉植物。茎と葉が合体して小さな塊となり、2つに分裂して、横に広がって育つ。春になると、分裂した塊の中を突き破るように新芽が現れる(脱皮をする)品種が有名。

カランコエ: ベンケイソウ科の多肉植物。冬に株一杯の花を付ける。釣り鐘型の花が咲く品種もある。

エノコログサ(狗尾草)(猫じゃらし): イネ科の野草。粟の原種。花穂が犬の尾に似ており、「犬っころ草」から転じた。花穂を猫の前で振ると、猫がじゃれつく。花穂をニギニギすると、茎が付いていた方に向かって生きた芋虫のように動くという遊びもある。

オオバコ(大葉子): オオバコ科の野草。牛車の通った轍によく生えたことから「車前草」という別名がある。

イグサ(藺草): イグサ科の植物。畳表の原料。国内生産量の大半を熊本県が占める。

イタドリ(虎杖): タデ科の植物。茎は中空で約1.5mになる。若芽や若い茎は酸味があり、食べられる。根は痛み止めの漢方薬になる(「痛み取り」→「イタドリ」)。

ミジンコウキクサ(微塵子浮草): サトイモ科の水生植物。直径0.3mm-0.8mmと極めて小さく、「世界最小の種子植物」「世界最小の花を咲かせる植物」とされる。
メダカや熱帯魚の餌になる他、タイ料理にはミジンコウキクサのスープがある。

オオオニバス(大鬼蓮): スイレン科の水生植物。直径2m超の、縁が直角に立ち上がったたらい状の葉を水面に浮かべる。

ヒカリゴケ(光苔): 苔の1種。暗い場所で発光しているように見える。空気が澄んだ冷涼地の洞窟等で見られる。

アマモ(甘藻): 海草の1種。沿岸の浅瀬に育つ。岸辺に打ち上げられた葉が元結の紐のようであるとされ「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」という別名がある。

ミル(海松): 緑藻の一種。浅い海の岩礁上に育つ。古代の日本では食用にした。

うどんこ病: 植物の葉や茎が粉をまぶしたように白くなってしまう病気。

冬虫夏草(とうちゅうかそう): 昆虫に茸が寄生したもの。チベット周辺で産する蛾の幼虫に寄生したものが知られ、生薬として高値で取引される。

カエンタケ(火炎茸): 炎のような形をした毒キノコ。

原生生物: 動物・植物・菌類(真菌)以外の真核生物の総称。

有孔虫: 石灰質の殻をもつ原生生物の一群。多くは1mm以下の大きさだが、数cm-20cmに及ぶ種もいる。沖縄土産「星の砂」の正体は有孔虫の殻。

ハテナ: 鞭毛虫の一種。日本の研究室内での愛称「ハテナ虫」に由来する。細胞内共生する色素体をもつが、植物や他の藻類と違って、細胞分裂の際に色素体をもつ細胞ともたない細胞に分裂することで注目される。
ハテナの研究が進めば、葉緑体をもたない細胞が、外部から藍藻を取り込み葉緑体化する仕組みを解明できる可能性も考えられる。

フズリナ(紡錘虫): 絶滅した原生生物の一群。体長は最大1cm程度。石炭紀~ペルム紀に栄えたが古生代末に突然絶滅した。石灰岩に多量に含まれる示準化石として知られる。

原核生物: 原核細胞で構成される生物。全て単細胞生物。細菌と古細菌の総称。対義語は真核生物。

細菌バクテリア): 原核生物の大分類の1つ。嫌気性(酸素があると生きられない)のものと好気性(真核生物のように酸素を利用して生きる)のものがある。

藍藻シアノバクテリア): 酸素を発生させる光合成細菌。25億年以上前に現れ、長い年月をかけて地球の大気組成を変え、生態系の基礎を築いた生物。あらゆる植物の葉緑体も、細胞内共生した藍藻に由来すると考えられている。

エンベロープ: 一部のウイルスが外側に纏う脂質の膜。これが石鹸の成分で壊れやすくなることが、手洗いが感染予防に効果的である根拠の1つとなっている。「封筒」を意味する英語から。

タバコモザイクウイルス: 人類が初めて発見したウイルス。タバコの葉にモザイク状の斑点ができる植物感染症の病原体。

アントニ・ファン・レーウェンフック: 17-18cのオランダの科学者。多くの顕微鏡を製作し微生物を観察した「微生物学の父」。
デルフト出身。同郷のフェルメールとは生年月日が1週違いで深い親交があった。レーウェンフックはフェルメールの幾つかの絵のモデルになっており、フェルメールの死後には遺産管財人となった。

ジャン=バティスト・ラマルク: 18-19cのフランスの博物学者。自然発生説の立場をとりながら進化論を提唱した。進化の原因は生後に得た形質の遺伝で、最古に発生した生物が最も進化した生物だと考えた。

チャールズ・ダーウィン: 19cの英国の地質学者、生物学者。『種の起源』(1859)で自然選択による進化論を説き、近代科学に強烈なインパクトをもたらした。
英国で国葬を行った科学者はニュートンとダーウィンのみ。生年月日がリンカーンと同じ(1809/2/12)。

グレゴール・ヨハン・メンデル: 19cのオーストリア帝国の司祭、教師、科学者。顕性潜性の遺伝素因を発見し(メンデルの法則)、遺伝は単に両親の特徴を融合して引き継ぐものではなく、双方の「遺伝子」を受け継ぐものだと見抜いた。
死後である1900年に研究が「再発見」され、遺伝学の祖と見なされるようになった。

ロザリンド・フランクリン: 20c半ばの英国の女性科学者。結晶学の手法で、石炭やDNAの化学構造の解明に大きく貢献した。
がんのため早死し、フランシス・クリックやジェームズ・ワトソンと共にノーベル賞を授賞することはなかった。実験のため大量のX線を浴びたことががんの原因ともいう。

フランシス・クリック: 英国の生物学者。'53.ジェームズ・ワトソンらと共にDNAの二重螺旋構造を発見。

ジェームズ・ワトソン: 米国の生物学者。'53.フランシス・クリックらと共にDNAの二重螺旋構造を発見。

◆『ゾウの時間 ネズミの時間』('92): 本川達雄の著書。「哺乳類が感じる時間の流れは心臓の鼓動に比例し、一生の体感時間はどの哺乳類も同じ」という学説等、動物のサイズに関する論理を解説する。

◆『朝の小鳥』('53-): 文化放送の長寿ラジオ番組。国内外各地の野鳥の鳴き声を紹介する。日曜朝の5:15-20に放送。

畑正憲(はたまさのり)(ムツゴロウ): 作家、動物研究家、プロ雀士。北海道東部の浜中町(はまなかちょう)で「ムツゴロウ動物王国」、中標津町(なかしべつちょう)で「ムツ牧場」を運営。'80-.TV特番『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』で人気を博す。
プロ雀士としては初代十段等の実績をもち、徹夜麻雀の帝王として知られる。ゲテモノ食いでも知られ、番組で巨大ナメクジを丸ごと食べたこともある。

◆『野生のエルザ』('60): ジョイ・アダムソンのノンフィクション。ケニアで夫と共に育てた牝ライオンを記録した。


14、環境・資源・エネルギー

森林: 森。高木が群がって生えている所。世界の陸地の3割、日本の陸地の7割を占める。

浅茅が原(あさじ-): 浅茅(丈の低いチガヤ)等の雑草が一面に生え、荒れ果てた野原。

スーパーブルーム: 砂漠で、異例の降雨により大量の花が咲く現象。カリフォルニア州のデスバレーで起こるもの等が、数年に1度話題になる。

波の花: 波打ち際で見られる大量の泡のこと。有機物を多く含む海水が撹拌されて出来る。海が荒れる冬の日本海沿岸の風物詩。

エコサイド: 環境・生態系に対する重大な破壊行為のこと。「エコ」と「ジェノサイド」からの造語。

コモンズの悲劇: 誰でも利用できる共用地(コモンズ)の資源は、政治的な管理がない限り、多くの人の利己的な乱獲によって枯渇するという法則。

生態系(エコシステム): ある地域の、生物群・土・水・大気・光等の相互関係をシステムとして捉えたもの。

バイオーム: ある地域に生息する動植物群のこと。

分解者: 生態系において、生物の死骸・排出物等の有機物を、無機物に分解する役割の生物。

特定外来生物: 生態系や農林水産業に被害を及ぼすとして、飼育や移動が規制された外来種。

内分泌撹乱物質環境ホルモン): 様々な生物にホルモン作用を起こしたり、逆にホルモン作用を阻害する、外因性の化学物質の総称。人間の生み出したダイオキシンやDDTが代表例で、生態系にも影響を及ぼす。

ヘドロ: 川や海の底に堆積する柔らかい泥。特に工業廃水や産業廃棄物を含むものを指す。60sには静岡県富士市の田子の浦港で大規模な公害を生んだ。

海洋ごみ: 街等で捨てられたごみで、雨風で川・海に流出し、分解されず、海中を漂ったり、海底に積もったり、海岸に打ち上げられたりするもの。プラスチックごみが圧倒的に多い。
世界では年間800万トンもの海洋ごみが流出しており、このままでは2050年頃に地球上の魚類の総重量を海洋ごみの総重量が超えると予想される。
現に、鯨やウミガメが浜に打ち上がる度に、どれだけ多くのプラスチックごみを食べてしまったまま、体内に溜め込んでいるかが報道されている。
対策として近年、世界では脱プラスチックの取り組みが進み、特にフランスでは、プラスチック製レジ袋、野菜・果物のプラスチック包装、使い捨てプラスチック食器等が禁止となった。

水平リサイクル: 使用済ペットボトルを原料として再びペットボトルを製造するように、使用済製品と同じ種類の製品を造るリサイクルのこと。

アップサイクル: 着なくなった服を生地として小物を作るように、そのままなら廃棄物になってしまうものを特徴を残したままリメイクし、新しい製品にすること。

パリ協定('15): 第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で18年ぶりに採択された、気候変動抑制の国際協定。世界の大多数の国が批准。温暖化懐疑論者であるトランプ政権時代の米国は協定を離脱したが、現在は復帰済。
産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2℃未満」に抑え、さらに「1.5℃未満」を目指すとし、各国に温室効果ガス排出削減の長期戦略策定を求めている。
これを受け、日本を含む多くの国が2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明し、それぞれ2030年までの削減目標を定めた。
日本の2030年までの目標は'13年比で-46%(小泉進次郎元環境相〈おぼろげながら浮かんできたんです 46という数字が〉)。

汚染者負担の原則(PPP): 環境汚染の防止費用は、汚染の原因となった者が負担すべきという原則。

名古屋議定書('10): 遺伝資源(有用な遺伝子を持つ動植物や微生物)の利用と、原産国・利用国の利益配分についての国際文書。

グリーン購入法: 公的機関が率先して環境負荷の低い商品を購入することを定めた法律。'01.施行。

バーミキュライト: 蛭石(ひるいし)を焼いて作る土壌改良土。とても軽く、多孔質で保水性が高い。使い捨てカイロや建材にも使う。

剪定: 不要な枝葉を切り落とし、木の形を整える作業。格言で〈桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿〉という。

摘心: 枝の数を増やす、果実の発育を促す等の目的で、植物の茎の先を切ること。

腰水(こしみず): 鉢植え植物の管理方法で、水を張った容器に鉢を浸し、鉢底から給水を行うこと。水切れや暑さの対策となるが、根腐れを起こしやすいというデメリットもある。

ハイドロカルチャー: 土を使わない水耕栽培の一種で、ハイドロボールと呼ばれる人工の石と共に水を溜め、観葉植物等を育てる方法。「ハイドロ」は水、「カルチャー」は栽培を意味する。

混合農業: 家畜飼育と作物栽培を組み合わせた農業のこと。

アグロフォレストリー: 植林を行い、木々の間で農作物を育てること。農業(アグリカルチャー)と林業(フォレストリー)の合成語。

促成栽培: ビニールハウス等を利用して、露地栽培よりも成長・収穫・出荷を早くする栽培法。夏野菜を冬や春のうちから栽培することができる。

抑制栽培: 高原の冷涼な気候等を利用して、露地栽培よりも成長・収穫・出荷を遅くする栽培法。冬野菜や春野菜を夏に栽培することができる。

ヤロビ農法: 温度処理を行い、秋まきの農作物の種子を春にまく等して増収を図る農法。ソ連で開発され、日本では戦後に広まった。

F1種(エフワンしゅ): 固定種同士を掛け合わせた一代雑種を品種としたもの。複数の固定種の良い所取りで形質がよく、安定的に栽培できる。現代農業では、多くの野菜類のように雌花と雄花がある作物の場合、F1種を栽培することが多い。
F1個体間の交配で生まれる子孫をF2種というが、F1種のような安定的な収量は得られないため、農家は種苗会社からF1種の種子を買って栽培することになる。

種苗会社: 種子や苗木を作出・販売する会社。世界最大手はドイツのバイエル(元々は化学・製薬企業だが、'18年に種苗世界最大手のモンサント(米)を買収)。国内大手はサカタのタネ、カネコ種苗、タキイ種苗。
現在、日本の種子自給率は約1割に留まっている。日本の大手種苗会社も、災害リスクの回避、原産地気候での育種等を理由に、海外で種子を生産することが多いためである。

コンバイン(複式収穫機): 穀物の刈り取りと選別を1台で行う農機。

牧草ロール: 牧草をトラクターで刈り取り、円柱状の塊にしたもの。牧草地にビニールに包まれたものが転がっていることがあるが、これは冬用の牛の保存飼料とするため、中の牧草を発酵させることを目的としている。
かつて、牧草の発酵にはサイロを使うことが多かったが、近年はコストや簡便性、安全性の観点から牧草ロールが主流となっている。

麦稈ロール(ばっかん-)(麦藁ロール): 麦藁を刈り取り、円柱状の塊にしたもの。形状や田園に転がっている風景が牧草ロールに似ているが、牧草地ではなく麦畑にあることで見分けられる。こちらは飼料ではなく、牛の寝床用の藁である。

栽培漁業: 稚魚を育てて放流し、成長してから捕獲する漁業。

潟スキー(がた-): 有明海でムツゴロウ等の漁に使う、スキーに似た板。

炭団(たどん): 炭の粉末を整形した団子状の燃料。大相撲の黒星を指す言葉としても使う。

石炭(コール): 太古の植物が腐敗分解する前に地中に埋もれ、地熱や地圧を受けて変質した物質。植物化石の一種とも言える。代表的な化石燃料として火力発電や製鉄に使われるが、燃焼時にCO2を大量に排出する。
特に古期造山帯で多く産出できる。産出量1位は中国、埋蔵量1位は米国。日本では豪州からの輸入が多い。

コークス: 石炭を乾留(蒸し焼き)し、炭素部分だけを残した燃料。石炭より高温で燃え、主に製鉄に使われる。

リグ(石油プラットフォーム): 海底油田から石油や天然ガスを掘削・生産する大規模な海洋構造物。水深等に応じて、海底に繋いで人工島にするか、あるいは浮かせた状態にする。

INPEX: 日本の政府系石油開発企業。

パラフィン(石蝋): クレヨンや蝋燭の原料となる半透明の固体。石油から精製する。

ベークライト(フェノール樹脂): 20c初頭に、世界で初めて工業化が成功したプラスチック。熱硬化性樹脂の一種。

OPP(二軸延伸ポリプロピレン): 縦横に引っ張っても伸びないフィルム状のプラスチック。食品やCDの包装に使う。

反射炉: 熱を炉床に反射させ集中させる形式の金属融解炉。20cまで鉄鋼業界の主要設備であり、現在もアルミ合金産業や回収金属の精錬で使われる。幕末に造られた韮山反射炉(伊豆の国市)等が有名。

ガルバリウム鋼板: アルミニウムと亜鉛の合金をメッキした鋼板の一種。ステンレス鋼よりも安く、建材(外壁、屋根等)として重宝される。

オフグリッド: 電力会社の送電網(グリッド)に繋がっておらず、電力を自給自足している状態。

スマートグリッド(次世代送電網): ICTを使って供給側と需要側の双方から電力量をコントロールし、電力を効率良く供給するシステムのこと。

スマートメーター(スマメ): 通信機能を備えた電力メーター。遠方からリアルタイムで電力消費量が分かり、節電や、離れて暮らす家族の見守りに役立つ。

原子力発電原発): 原子炉で核燃料(天然ウラン、濃縮ウラン、劣化ウラン、プルトニウム等)の核分裂連鎖反応を起こし、そのエネルギーで熱を発生し、水を沸かし蒸気タービンを回す発電方法。
本格的な運用は'54年のソ連で始まり、日本では'65年の東海発電所が最初。今も利用国は欧米・東アジアが多く、開発途上国での利用は少ない。最大の発電国は米国で、次いで中国、フランス。
メリットとして、(事故時の被害や補償を度外視すれば)比較的発電コストが安いこと、火力発電に比べCO2排出量が少ないことが挙げられる。
一方でリスクの大きさは言うまでもなく、特に福島第一原発事故('11)を経験した日本では脱原発は主要な論点である。
又、原発には核兵器開発と同様の技術を使うため、核兵器非保有国で軍事転用されたり、核物質が盗難されたりするのを防ぐ必要がある。
このため、発電所や核燃料再処理工場では国の機関による保安対策や国際原子力機関(IAEA)による査察が行われる。

脱原発: 原発の利用を縮小・停止すること。スリーマイル島原発事故('79)、チェルノブイリ原発事故('86)、福島第一原発事故('11)が画期となり、「事故時のリスクが甚大(放射能汚染により半恒久的な健康問題・環境問題が起きる)」「放射性廃棄物の最終処分場確定が難しい」「戦争における標的になり得る」といった理由から、世界各地で脱原発・反原発の運動が行われてきた。
脱原発政策を具体化した国は欧州に多く、イタリアはチェルノブイリ事故後の国民投票で脱原発を決め原発を撤廃。ドイツは'23年に全原発停止を完了。スペインは'35年までの全原発停止を決めている。

臨界: 原子炉で、生成される中性子と消費される中性子の数が一致し、核分裂連鎖反応が一定の規模で継続する状態。

核燃料サイクル: 天然ウラン等の鉱石から核燃料を作ること、使用済み核燃料を再処理し、核燃料として再使用できるようにすること、その過程で発生する放射性廃棄物の処理すること等の、一連の流れ。

高レベル放射性廃棄物の最終処分: 核燃料サイクルで生じる高レベル放射性廃棄物は、半減期の長い放射性物質を多く含む。そのため、ガラスによって固化し(ガラス固化体)、何十年かの中間貯蔵を経た後には、金属容器に入れて人が触れる恐れの低い地下深部に埋設(地層処分)しなくてはならない。フィンランドのオンカロ等、世界に幾つかの最終処分場がある。
日本では経産省の関連法人・NUMO(ニューモ)が地層処分を行う場所を募集しており(文献調査に応じた自治体には国から年10億円を交付)、2028年までに「最終処分地」を決め、2038年までに処分を始めるとしている。
'17.NUMOの意見交換会に参加した学生が〈1万円もらえるから参加した〉と参加者動員を暴露。NUMOの「やらせ」が大きな批判を浴びた。'20.北海道寿都町(すっつちょう)・神恵内村(かもえないむら)が応募し、文献調査開始。

ALPS(アルプス)(多核種除去設備): 汚染水に含まれる放射性物質を安全基準以下まで減らす設備。薬液による沈殿処理、吸着材による吸着等の方法を使う。

日本原燃: 核燃料サイクルを担う企業。本社、使用済み核燃料の再処理工場、低レベル放射性廃棄物の埋設施設、高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設等が青森県六ヶ所村にある。
東電をはじめとする電力各社等の共同出資で設立された。資本金・売上高共に青森県最大の企業である。

もんじゅ: 福井県敦賀市の研究用原子炉。商用ではなく、経産省ではなく文科省が所管する。名称の由来は知恵の象徴である文殊菩薩。
MOX燃料(プルトニウム・ウラン混合酸化物)を使い、消費量以上の燃料を生み出せる「高速増殖炉」の実用化の研究を行っていた。'95.発電開始以来、事故の繰り返し(+隠蔽問題)で稼働実績は計1年にも満たなかった。'16.廃炉決定。

碍子(がいし): 電線の支持具で、電柱との間の絶縁体の役割を果たすもの。通常、磁器が使われる。

検針: 電気・ガス・水道等の利用料金を算出するため、使用量のメーターを調べること。

出光佐三: 出光興産の創業者。百田尚樹の小説『海賊とよばれた男』の主人公のモデル。『マルクスが日本に生れていたら』('66)等の思想書も残した。

チッソ: 日本の化学メーカー。水俣病の原因企業。現在は化学事業を子会社のJNCに移管し、水俣病の補償業務を行う持株会社となっている。旭化成や積水化学工業、信越化学工業の源流企業でもある。

北海道電力(北電): 札幌市の電力会社。地域電力10社の1つ。主な発電所に泊原発、石狩湾新港発電所(LNG)、苫東厚真発電所(石炭)等。

東北電力: 仙台市の電力会社。地域電力10社の1つ。主な発電所に女川原発、東通原発、東新潟火力発電所(LNG等)等。


15、自然科学

地学: 学校教育における理科の科目で、学問的には地球科学・天文学の総称。「物理」「化学」「生物」と並ぶ理科の四大科目の1つだが、大学受験での必要度が他の3科目に比べ低いため、高校の選択科目としてはマイナーな地位に甘んじている。

地球科学: 地球を研究対象とする自然科学。地球の構造、地球史、環境、気象等を扱う。

地球: 我々が住む天体。太陽系の第3惑星。地表に水、大気に酸素を大量に蓄え、様々な生物が生きる。我々にとって、生物が住んでいることが分かっている唯一の天体。約46億年前に誕生した。直径約1万3000km、外周約4万km

冥王代: 地質時代で、地球誕生(約46億年前)から約40億年前まで。他の天体との衝突によって月が生まれ、地球の表面には地殻と海が生まれた。

太古代: 地質時代で、約40億年前から約25億年前まで。初期(約38億年前)に原初の生物(生命)が誕生した。太古代の生物はまだ全て原核生物だった。

原生代: 地質時代で、約25億年前から約5.5億年前まで。冥王代・太古代と合わせて「先カンブリア時代」とも。初期に真核生物が現れ、後期には多細胞生物が登場した。初期と末期に2度の全球凍結が起こった。

古生代: 地質時代で、約5.5億年前から約2.5億年前まで。カンブリア紀オルドビス紀シルル紀デボン紀石炭紀ペルム紀に大別される。
多細胞生物が繁栄し、約4億年前のオゾン層形成により、海を出て陸上にも進出した。脊椎動物のうち、魚類、両生類、爬虫類がこの時代に現れた。

カンブリア爆発: 古生代カンブリア紀の初期(約5.5億年-5.3億年前)に、動物の多様化と硬組織獲得が進み、脊椎動物門、節足動物門等、今日まで続く動物の多様な「門」の化石的起源が短期間にほぼ出揃った現象。

中生代: 地質時代で、約2.5億年前から約6600万年前まで。三畳紀ジュラ紀白亜紀に大別される。
火山活動が活発で二酸化炭素濃度が現在の10倍もあり、地球の平均気温は約10-15℃高かったと考えられ、生物は大型化していた。恐竜/鳥類、哺乳類、被子植物等が現れた。

新生代: 地質時代で、約6600万年前以降の時代。古第三紀新第三紀第四紀に大別される。
インド大陸がユーラシア大陸に衝突し、南極大陸が豪州大陸・南米大陸と離れ、現在の6大陸が確立した。陸上大型生物としては恐竜に代わり、哺乳類が栄えている。

チバニアン: 地質時代で、新生代第四紀更新世のうち、約77万年前から約13万年前までの期間。千葉県市原市の模式地層から名を取っている。'20.命名。日本の地名を由来とする地質時代名は初めて。
ちなみに、新第三紀に「アキタニアン」という時代があるが、これは秋田ではなく、フランス南西部のアキテーヌ地方に由来している。

氷河時代: 地球が寒冷化し、高緯度地域や高山域を中心に氷河が出来る時代。最後の氷河時代は約260万年前に始まった第四紀で、氷期と間氷期を繰り返しながら今も続いている(現在は間氷期)。
地球史上、何度もあったことは確実だが、中生代以降の2億5000万年間では第四紀が初めての大規模な氷河時代で、まだ260万年しか続いていないということは「始まったばかり」の可能性もある。
氷河時代が訪れる条件として、二酸化炭素等の温室効果ガスの比率が低いことや、高緯度地域に陸地が多いことが考えられる。陸地は氷床を維持・発達させやすく、氷床は太陽光の反射、海水温の低下等の作用をもたらすからだ。

全球凍結スノーボールアース): 約22億年前と約7億年前にあったと考えられている、地球全体が海氷や氷床で覆われた状態。

褶曲: 地層に横方向から大きな力が加わり、曲がりくねった形に変形する現象。

マントル: 地殻と外殻の間の岩石層。地球の体積の約8割を占める。名称はフランス語のマントに由来し、核の周りを包み込んでいることを表す。

リソスフェア(岩石圏): 地殻とマントル最上部の固い岩盤を合わせた部分の名称。プレートに相当する。

コンラッド不連続面: 大陸地殻の深さ10-20kmにある、地震波速度が不連続に増大する不連続面。

モホロビチッチ不連続面: 地殻とマントルの間の不連続面。海洋では10km未満の深さの場所が多いが、大陸では30km以上の深さの場所が多い。

グーテンベルク不連続面: マントルと外核の間の不連続面。深さ約3000km。

レーマン不連続面: 外核と内核の間の不連続面。深さ約5000km。

プレートテクトニクス(プレート理論): 60s後半以降に体系化された地球科学の基礎理論。地球のリソスフェアは10数枚のプレートに分けられ、それぞれが固有の方向へ年に数cm動くことで、地震、造山帯の成立、大陸移動等が起こるというもの。
1枚のプレートには陸の部分と海の部分が両方あることが多いが、平均標高でみると、標高-500m以高の部分(大陸や大陸棚)が大部分を占める大陸プレートと、標高-2000m以深の海洋底が大部分を占める海洋プレートに大別される。

アメイジア大陸: 2.5億年後までに、ユーラシア、アフリカ、北米、豪州大陸が衝突して生まれるであろう超大陸。

地震: 地球内部で、岩盤同士が断層を境目にして急激にずれ動き、地面の振動が起こること。

岩石: 岩や石。自然が形成した鉱物等の集合体。

一枚岩モノリス): ひとつづきで裂け目のない大きな岩。強固な団結、組織の喩えにも使う。世界最大の一枚岩はマウント・オーガスタス。

頁岩(けつがん)(シェール): 泥岩の一種。水平に堆積した泥が固結した岩石のうち、堆積面に沿って薄く層状に割れる性質(劈開性)があるもの。
21cに入り、地下の頁岩層は、天然ガス(シェールガス)や石油(シェールオイル)の生産源として、従来のガス田や油田に並ぶ重要性をもつようになっている(シェール革命)。

石灰岩: 方解石や化石(有孔虫・ウミユリ・珊瑚等)から成る、炭酸カルシウムを主成分とする堆積岩。日本で産する石灰岩は古生代に形成されたものが多い。
セメント、カーバイド、肥料等の原料や、製鉄等で大量に使われる。 含油層としても重要で、世界の石油埋蔵量の約半分が石灰岩中にあるという。

白亜チョーク): 未固結の石灰岩のこと。「白亜紀」や、黒板に使う「チョーク(白墨)」の語源。

玄武岩: 黒っぽく、粘り気の弱いマグマから出来た火山岩。兵庫県・城崎温泉近くの玄武洞に由来する。

軽石(浮石): 多孔質で密度の小さい火砕物。'21.小笠原諸島の海底火山噴火で各地に大量の軽石が漂着。船の航行や漁業に深刻な被害をもたらしている。

砂漠のバラ: 砂漠地帯で採取される、バラのような形の鉱物の結晶と、表面に付着する砂が一体化した石。

鉱物ミネラル): ほぼ一様の化学的性質をもつ、天然の無機質・結晶質の物質。

石英(クオーツ): 二酸化ケイ素の結晶。六角柱の形を成す。花崗岩や流紋岩に多く含まれる。特に無色透明なものを水晶という。

コランダム: 酸化アルミニウムの結晶から成る鉱物。組み込まれる不純物イオンで色付き、ルビーサファイアとなることがある。

大気圏: 惑星や衛星を覆う気体(大気)の層。地球の大気圏は、地表から地上約11kmまでの対流圏、約11-50kmの成層圏、約50-80kmの中間圏、約80-800kmの熱圏に分けられる。
対流圏と中間圏では高度が上がると気温が下がり、成層圏と熱圏では高度が上がると気温が上がる。

オゾン層: オゾンの濃度が高い大気の層。成層圏と概ね一致する。約4億年前に形成され、オゾン層が太陽からの有害な紫外線の多くを吸収するようになったため、多くの生物が海を出て陸上にも進出した。

カーマン・ライン: 国際航空連盟が宇宙空間を定義する(これ以上の高度を「宇宙空間」とする)、地上100kmのライン。熱圏に位置する。

晴れ: 空全体を見たときに雲の割合が8割以下であること。特に1割以下の場合は「快晴」という。

梅雨(つゆ/ばいう): 毎年5-7月に、中国南部、台湾、日本(北海道等を除く)、韓国でみられる雨季。性質の異なる気団(日本周辺では北のオホーツク海気団と南の小笠原気団)の間に停滞前線ができることによるもの。

秋雨(あきさめ)(秋の長雨(ながあめ/ながさめ)、秋霖(しゅうりん)、薄梅雨(すすき-)): 9月前後に降り続く雨のこと。

菜種梅雨: 3月下旬-4月上旬に降り続く雨のこと。

山茶花梅雨: 11月下旬-12月上旬に降り続く雨のこと。

小春日和: 晩秋の穏やかで温かい天気のこと。

海陸風: 海岸地域で吹く、昼の海風と夜の陸風。陸は液体である海に比べて比熱が小さく、昼夜の寒暖差が大きいため、昼は上昇気流によって地表付近の気圧が下がり、海から風が流れ込む。夜は逆の現象が起こる。

夕凪: 海岸地域で、昼の海風から夜の陸風に交代する夕方の時間に凪(無風)となること。

霧雨糠雨小糠雨): 霧のように細かい雨。

にわか雨通り雨驟雨(しゅうう)): 積雲や積乱雲から降る、降り始めや降り止み、降水強度の変化が急な雨。特に、夏の午後にしばしば起こるものを夕立という。

ペトリコール: 雨が降った時に地面から上がる匂い。

: 細かい水滴が大気中に浮遊し、視程が1km未満になっている状況。特に200m未満の場合は濃霧という。

(もや): 細かい水滴が大気中に浮遊し、視程が1km以上10km未満になっている状況。

煙霧: 乾いた微粒子が大気中に浮遊し、視程が10km未満になっている状況。

ダイヤモンドダスト: 大気中の水蒸気が氷となって浮遊しながらキラキラ輝く現象。-10℃以下で起こる。

(かみなり/いかずち)(稲妻(いなずま)): 雲と雲、又は雲と地上の間の放電で、光と音を発生する自然現象。
「かみなり」の語源は、雷は雷神が鳴らすものだという信仰から(神鳴り)。「稲妻」の語源は、稲穂は雷に感光して実る(雷が稲を妊娠させる)という信仰から(稲のツマ=配偶者)。

(レインボー): 雨上がりに、太陽と反対側に現れることがある色つきの光の輪。大気中の水滴によって、光が分散して見える。
日本では7色(外側から赤、橙、黄、緑、青、藍、紫)と捉えるのが一般的だが、米英では6色(レインボーフラッグの6色)、中国では5色と、文化によって色の捉え方は違う。

(かさ)(ハロ現象): 太陽や月に薄い雲がかかった時に、周囲に光の輪が表れる大気光学現象。

ブロッケン現象: 背後から差し込んだ太陽光の散乱により、自分の影の周りに虹色の光の輪が現れる現象。この現象がよく見られるドイツの山の名から。

フェーン現象: 山を越えて吹き降ろす暖かく乾いた風によって、風下の地域が高温になる現象。アルプス山脈を吹き越す南風を意味するドイツ語から。

シロッコ: サハラ砂漠で発生し、地中海沿岸に吹き込む高温の南風。

エル・ニーニョ現象: 東太平洋の赤道付近で海面水温が平年より高くなる現象。日本は暖冬となる。「the boy(神の子)=イエス・キリスト」を意味するスペイン語から。

ラ・ニーニャ現象: 東太平洋の赤道付近で海面水温が平年より低くなる現象。日本は厳冬となる。「the girl」を意味するスペイン語から。

内水氾濫: 河川以外の市街地等で雨水の量が排水能力を超えたり、排水先の河川の増水により排出不能になったりして、浸水が起こること。河川が溢れる通常の「氾濫」と対比させた言葉。

観天望気: 自然や生物の様子から天気の変化を予測すること。「夕焼けの翌日は晴れ」(天気は西から東へ移動することが多いため)、「燕が低く飛ぶと雨」(湿度が高いと、餌となる昆虫が低く飛ぶため)等。

ラジオゾンデ: 高層大気の気象データを測定するため、気球に取り付けて上空へ飛ばす観測機器。日本では全国10数ヶ所や昭和基地で、1日2回(9時、21時)飛ばしている。

平年: 普通の年のこと。気象用語でいう各種「平年値」は10年ごとに更新され、更新年の前年までの30年間の観測値を平均したもの。

宇宙: 全ての天体・空間を含む領域(コスモス、ユニヴァース)。又は地球の大気圏外の空間(スペース)。約138億年前に誕生。1929年のハッブルの観測で、絶えず膨張を続けていることが判明した。

惑星系: 恒星の重力で結合された構造。恒星、惑星、衛星、小惑星、彗星等から成る。地球がある惑星系は、太陽の重力で結合された太陽系である。

恒星: 自ら発光するガス体の天体。太陽系では太陽。夜空に見える星のほとんどは恒星。それぞれが太陽に匹敵する大きさや光度をもつが、非常に遠くにあるため小さく暗く見える。

惑星(プラネット): 恒星の重力によって恒星の周りを公転する天体。
太陽系の場合、こうした小天体の中でも比較的大きな8星(太陽から近い順に水星金星地球火星木星土星天王星海王星=すいきんちかもくどってんかい)を惑星と呼び、より小さいものは準惑星・小惑星・彗星・惑星間塵と区別する。

衛星(サテライト): 惑星や準惑星の重力によってその周りを公転する天体。水星と金星にはなく、地球には月、火星にはフォボスとダイモスがある。木星・土星・天王星・海王星は多数の衛星をもつ。

太陽系の星の直径: 太陽はざっくり地球の100倍。木星は11倍、土星は9倍、天王星と海王星は4倍(天王星の方がやや大)、金星は0.95倍、火星は半分、水星は3分の1、月は4分の1
ちなみに、太陽の直径は月の直径の約400倍、地球・太陽の距離も地球・月の距離の約400倍なので、地球から見た太陽と月はほぼ同じ大きさ。

満月(望月(もちづき)、フルムーン): 全面が輝き、まんまるく見える月。旧暦の各月15日頃に見られる。

上弦の月: 満月の約7日前に現れる半月(弓張り月)。正午頃に東から昇り、真夜中に西に沈むので、よく見る月の姿の1つ。夜に西の空で見る月は、弦の部分が上、つまり月全体の下半分が輝いている。

下弦の月: 満月の約7日後に現れる半月(弓張り月)。真夜中に東から昇り、正午頃に西に沈む。

同期自転潮汐ロック): 月と地球、ガリレオ衛星と木星の関係のように、自転と公転の周期が等しくなり、常に内側に同一面を向けて公転する現象。2つの天体の距離が近く、相手の天体が及ぼす潮汐力が強い場合に起こる。

ダイヤモンドリング: 皆既日食の直前・直後に見られる、月影を環状に囲むコロナの1ヶ所だけが強く輝いて見える現象。

オリンポス山: 火星にある標高20,000m級の楯状火山。太陽系の惑星にある山で最も高い。

ガリレオ衛星: 木星の衛星の中でも直径が大きく、ガリレオ・ガリレイが発見した4つの星の総称。

ケレス: 太陽系で最も内側の準惑星。火星と木星の間の小惑星帯にあり、かつては小惑星に分類された。

冥王星(プルート): 太陽系の準惑星。かつて惑星に分類されたが、月よりも小さい。エリスのように冥王星サイズの同様の天体が発見されたため、'06年の国際学会で準惑星に格下げされた。

カロン: 冥王星の最大の衛星。質量が冥王星の1割以上あり、共通重心が宇宙空間にあるため、二重準惑星とも解釈できる。

ラグランジュ点: ある物体にかかる遠心力と、2つの天体(地球と月、太陽と地球等)からの重力という3つの力が釣り合う地点。スペースコロニーの設置に適するという。

超新星スーパーノヴァ): 大きな恒星が崩壊、爆発し、非常に明るく輝くこと。我々が住む銀河系の中だけでも、100-200年に1度の割合で起こる。

ダークマター(暗黒物質): その重力によって銀河をまとめる、光学的に観測不能な正体不明の物質。宇宙を構成する成分のうち、かなりの質量を占めると考えられる。

ホワイトホール: アインシュタイン方程式の解として存在が議論されている、「事象の地平線からあらゆる物質を放出する」天体。

スピカ: おとめ座のα星。1等星。北斗七星からアークトゥルスを経由する「春の大曲線」を辿ると見つけられる。

冬の大三角: 冬に南東の空に見える、3つの1等星(おおいぬ座シリウス、こいぬ座プロキオン、オリオン座ベテルギウス)から成る三角形。内部を淡い天の川が縦断する。シリウスとベテルギウスは冬のダイヤモンド(冬の大六角形)の頂点でもある。

ベテルギウス(平家星): オリオン座のα星。1等星。「冬の大三角」を成す星の1つ。正確にはβ星のリゲルの方が明るいが、特徴的な赤色からα星とされる。別名「平家星」は平家の赤旗に由来する。
赤色超巨星で、半径は太陽の約1000倍に膨らんでおり、仮に太陽系の中心にあった場合、水星、金星、地球、火星の軌道を超え、更に小惑星帯を超えたあたりにまで及ぶ。数十万年以内に超新星爆発を起こし、満月並みに明るく輝くと推定される。

すばる望遠鏡: マウナ・ケア山頂に日本の国立天文台が設置する反射望遠鏡。'99.完成。主鏡が一枚鏡で出来ている望遠鏡としては当時世界最大のものだった。

地球外知的生命体探査SETI(セティ)): 地球外知的生命体による宇宙文明を発見するプロジェクトの総称。
電波望遠鏡で受信した電波を解析し、地球外知的生命から発せられたものがないか探す「パッシブSETI」、地球から地球外に電波や「物」でメッセージを送る「アクティブSETI」がある。

アレシボ・メッセージ('74): プエルトリコのアレシボ天文台から、M13星団に向けて送信した、DNAの構成元素や人間の絵を表したメッセージ。アクティブSETIのはしり。

ドレークの方程式: 人類とコンタクトする可能性がある銀河系内の地球外文明の数を、7つのパラメータから算出する式。

ビッグリップ: 宇宙の終焉についての仮説の1つで、宇宙にある全ての物理構造がバラバラに崩壊するというもの。

化学(かがく/ばけがく)(ケミストリー): 自然科学の分野で、物質の性質や相互作用(化学反応)を研究するもの。学校教育における理科では「物理」「生物」「地学」と並ぶ四大科目の1つ。
本来の読みは「かがく」だが、上位概念の「科学」と区別するため「ばけがく」とも読む。

量子力学: 分子や原子、電子等、微視的な物理現象を記述する力学。シュレディンガーやハイゼンベルクが1920年代に確立した。

物質: 空間の一部を占め、有限の質量をもつものの総称。

純物質: 一様の化学的性質をもつ基本的な物質。1つの元素のみから成る単体、複数の元素から成る化合物に分類できる。

素粒子: 物質を構成する究極の最小単位。クオーク、電子、ニュートリノ等が素粒子として捉えられている。大きさは不明で、「大きさ」をもたないとする説も有力。

クオーク: 素粒子の種類。「強い力」で互いに結び付き、陽子や中性子を構成する。

ヒッグス粒子: 素粒子の種類。クオークや電子等の基本粒子に「質量」を作り出す働きをもつ。10sに存在が観測された。

原子: 物質を構成する単位で、原子核と電子が電磁相互作用で束縛された状態。原子核にある陽子の個数を原子番号といい、これが元素の種類を決定する。

電子殻: ボーアの原子模型において、原子核をとりまく電子軌道の位置を模式的に表したもの。原子核に近い内側から、K殻(最大収容電子数2個)、L殻(8個)、M殻(18個)、N殻(32個)、O殻(50個)、P殻(72個)がある。
最も内側が「K」なのは、より内側の電子殻を発見する可能性を考慮して名付けたため。
K殻はs軌道、L殻はs・p軌道、M殻はs・p・d軌道、N殻はs・p・d・f軌道、O殻はs・p・d・f・g軌道、P殻はs・p・d・f・g・h軌道の集まり。s軌道の最大収容電子数は2個、p軌道は6個、d軌道は10個、f軌道は14個、g軌道は18個、h軌道は22個。

クーロン力(静電気力): 荷電粒子同士(陽イオンと陰イオン)が引き合う力。「NaCl→Na++Cl-」のように、イオン結合による化合物を作る。

基本相互作用自然界の4つの力): 素粒子間に働く、「強い相互作用」「弱い相互作用」「電磁相互作用」「重力相互作用」の総称。

強い相互作用強い力): クオークを陽子や中性子に閉じ込めておく力。原子の質量は、大部分がこの力に由来する。

ブラウン運動: 液体や気体中の微粒子が不規則に運動する現象。アインシュタインが奇跡の年(1905)の論文で分子の衝突によるものと提唱し、後にこれが実験で検証されたことで、原子や分子の実在が初めて実験的に確認された。

元素: 物質の化学的特性を構成する基礎的な成分。物理的には原子と対応しており、原子番号によって決定付けられる。

同素体(アロトロープ): 同一元素の単体だが、原子の配列(結晶構造)や結合様式が違う物質同士のこと。黒鉛とダイヤモンド、酸素(O2)とオゾン等。

質量保存の法則: 閉鎖系にある物質の総重量は、化学反応の前後で変わらないという化学の基本法則。18c後半にラヴォアジエが発見した。
現代では、質量とエネルギーの等価性のため、この法則は実際には正しくないことが分かっており、正確には「物質量保存の法則」と言い換えるべきである。
とはいえ、日常的に出会う化学反応で生まれるエネルギー程度では、質量はほんの僅かしか変化せず、観測は難しい。

質量とエネルギーの等価性: 化学反応や核反応等のエネルギー変換でエネルギーが失われると、システムもそれに応じた質量を失うこと。公式は「E=mc2」。
特殊相対性理論から発生した原理として、アインシュタインの奇跡の年(1905)の論文に初めて登場した。

ヘスの法則: 化学反応で発生又は吸収される熱量の合計は、反応の初めと終わりの状態だけで決まり、経路や過程には関係ないという法則。

アボガドロ定数: 物質量1molを構成する粒子の数。およそ6.02×1023。イタリアの科学者アメデオ・アヴォガドロの名から。1023にちなんで、10月23日は「化学の日」とされる。

アボガドロの法則: 「同温・同圧のもとで同体積の気体は同数の分子を含む」という法則。1811.イタリアの科学者アメデオ・アヴォガドロが提唱した。

ダイラタンシー(せん断増粘性): 遅いせん断刺激には液体のように、速いせん断刺激には個体のように振る舞う性質。水溶き片栗粉が代表例。

ピッチドロップ実験: ピッチ(アスファルト等、固体に感じられるほど粘性が高い液体)を滴らせ、液体であることを確認する実験。
1927年からクイーンズランド大学(豪州)で行われているアスファルトを滴らせる実験は、世界最長の実験としてギネス認定され、イグノーベル賞も受賞している。約10年おきに雫が落下している。

分散系: 直径1nm-1μmほどの粒子(分散質)が、気体・液体・固体(分散媒)に浮遊又は懸濁した物質のこと。このうち、粒子サイズが100nm以下のものを「コロイド」という。

チンダル現象: 分散系に光を当てた時に、分散質の粒子が光を散乱するために光の通路が輝いて見える現象。靄の中の木漏れ日等が分かりやすい例。

クロマトグラフィ: 物質の大きさや吸着性、電荷等の違いを利用して、混合物(液体、気体、超臨界流体)を成分ごとに分離する方法。

フェノールフタレイン溶液: アルカリ性に対して赤紫色を示す指示薬。中和点付近で一気に色が消える、鋭敏な試薬となっている。

ルシャトリエの原理: 平衡状態にある系において、物質の濃度、圧力、温度等の条件が変化した時、変化による影響を打ち消す方向に平衡が移動するという原理。

: 物が燃焼する時に生じる、光と熱。激しく燃えて穂のような形が見える場合は「炎」ともいう。人類以外のほとんどの生物は利用しないもので、文明の根源といえる。

炎色反応: 金属を炎の中に入れると各金属元素特有の色を示す反応。花火等に利用される。味噌汁が吹きこぼれた時に炎が黄色くなるのも炎色反応の効果。
有名な語呂合わせ〈リアカー無きK村で、動力に馬力借ろうとするも、くれない〉(Li=赤、Na=黄、K=紫、Cu=緑、Ba=黄緑、Ca=橙、Sr=紅)。

親水性: 物質の特性で、水素結合等によって水に溶けやすいこと。対義語は「疎水性」。

界面活性剤: 水と油にそれぞれ馴染みやすい部分を併せ持つことで、表面張力を下げる性質をもつ一群の物質の総称。洗剤の主成分に使われる。

放射線: 粒子放射線(α線、β線、中性子線等)と電磁放射線(γ線、X線)の総称。放射性物質の原子核が壊変する際に放出される。
物質を電離させイオン化するため、DNAを損傷させる力がある。人工の核燃料や核廃棄物が出す放射線量は自然放射線(自然界が放出する放射線)の量を大きく上回り、厳重な対策が必要。

放射能: 放射性物質が放射線を出す能力のこと。単位はBq(ベクレル)で、1秒あたりに壊変する原子核の数を示す。時間と共に弱まる(減少する)性質があるが、半減期は放射線物質の種類によって大きく異なる。

熱力学第1法則: 熱力学におけるエネルギー保存の法則。閉鎖系の内部エネルギーの変化は、系に供給される熱から系が周囲に行った仕事量を差し引いたものに等しい。

熱力学第2法則: ある種の巨視的変化(温度差のある物体間の伝熱、物質の拡散等)は不可逆であるという法則(エントロピー増大の原理)。

摂氏温度(せっし-)(): 温度の単位で、水の凝固点を0、沸点を100とするもの。熱力学温度から273.15を引いた数字となる。18cに目盛り付の水銀温度計を開発したアンデルス・セルシウスの名が由来。
ちなみに、セルシウスの温度計は水の沸点を0、凝固点を100としており、今とは逆だったという。

熱力学温度(絶対温度、ケルビンK)): 温度の単位で、絶対零度を0とするもの。摂氏温度に273.15を足した数字となる。SI基本単位。

沸点: 液体が沸騰する温度。一定の外圧の元で、その物質に固有の値となる。外圧が変われば沸点は変わる。
例えば、1気圧の環境では水の沸点は100℃だが、気圧が低い富士山の頂上では約90℃で湯が沸かせる。圧力が高い深海底では300℃でも沸騰しない。

比熱: 単位質量の物質を単位温度上げるのに必要な熱。一般に温まりやすく冷めやすい特徴をもつ固体は「比熱が小さい」、逆の特徴をもつ気体は「比熱が大きい」と表現する。

潜熱: 融解熱や気化熱のように、物質の相転移に必要な熱エネルギーのこと。

気化熱(蒸発熱): 液体の蒸発に必要な熱。冷蔵庫やエアコンの多くは、冷媒が気化時に周囲から熱を奪うことを利用して特定の場所を冷やす。打ち水と同じ仕組み。

過冷却: 液体が凝固点以下になっても固まらない現象。

ニュートンの運動方程式: F=ma。(物体に作用する力)=(物体の質量)×(物体に加わる加速度)。

重力(グラヴィティ): 「重さ」を生み出す地球の引力。

重力加速度G): 重力によって生じる加速度。ある物体が自由落下する時の加速度。
俗に「G」といい、車や飛行機の走行時に遠心力等で生じる加速度を、重力加速度との比較で「0.5G」「3G」等と表す。F1やアクロバット飛行では5G以上の負荷がかかることがある。

コリオリの力(転向力): 回転体上を移動する物体に対して、移動方向と垂直な方向に働く慣性の力。

ニュートンのゆりかご: 数個の金属球を糸で吊り並べた装置。端の球を持ち上げて放すと、反対側の端の球が弾かれる動きを繰り返す。

モンキー・ハンティング: 重力に関する物理実験で、物体A(猿)が自由落下し始めた瞬間にAを目掛けて発射された物体B(銃弾)は、必ずAと衝突するというもの。

ネコひねり問題: 背中から落下した猫が体を回転させて足で着地するプロセスを、物理学的に説明する問題。変形体力学の発展に寄与した。

パスカルの原理: 密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝えるという原理。油圧ジャッキや油圧ブレーキはこの原理で力の増幅を行う。

サイフォンの原理: 液体を高所から低所に向けて管で繋いで流す時に、管が隙間なく液体で満たされていれば、途中、出発地点より高い位置があっても自然に流れ続けるという原理。このような管をサイフォンという。

紫外線UV): 電磁波のうち、X線より波長が長く、可視光線の紫色より短いもの。UVは「ウルトラ・ヴァイオレット」の略で、紫よりも(周波数が)高いという意味。ブラックライト、殺菌灯等、様々なものに利用される。
日焼けの原因は太陽から来る紫外線。紫外線の曝露が多いと、皮膚、目、免疫系等に悪影響がある。逆に曝露が少なすぎてもビタミンDの生成が不足し、様々な病気のリスクが高まる。

赤外線IR): 電磁波のうち、可視光線の赤色より波長が長く、電波より短いもの。IRは「インフラ・レッド」の略で、赤よりも(周波数が)低いという意味。

光度カンデラcd)): 光源からある方向へ放射される可視光の明るさ。SI基本単位。

ルーメン(lm): 光源から放射される光の量を表す単位。

プリズム: 光を波長ごとに分散させたり、屈折させたりするガラス製多面体。三角柱の形のものが一般的。

構造色: 物の表面の構造(微細構造等)に由来する、分光による発色現象。身近な例として、シャボン玉や油膜、光ディスクの裏面等。

ジュール熱: 導体に電流を流した時に生じる熱のこと。抵抗に流す電流によって変化させることができ、制御が容易なため、古くから暖房や調理器具に使われてきた。

ローレンツ力: 電子が外部磁場中を運動する時に受ける向心力。フレミングの左手の法則の親指が表す力であり、モーターが回る原理。

位相(フェーズ): 波動の周期的な現象において、どの局面にいるかを示す値。一般に角度で表す。

モスキート音: 17kHz前後の高周波音。一般に年齢と共に可聴音域が狭まるため20代後半以降の人には聞こえないことが多い。夜間にたむろする若者を追い払うために使われることもある。「モスキート」は蚊を意味する英語。

ホワイトノイズ: あらゆる周波数が同程度の強さで鳴っている雑音。「シャー」と聞こえる。

ピンクノイズ(1/fノイズ): 周波数に反比例して低周波ほど強く、高周波ほど弱く鳴っている雑音。ホワイトノイズより低く、「ザー」と聞こえる。

アルカリ金属: 水素を除く第1族元素(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム)の総称。常温で水と激しく反応し、水酸化物が強アルカリ性を示す。

水素H): 原子番号1の元素。宇宙及び太陽系で最も多く存在する。地表近くにおいては、主に、酸素と結びついた水として自然に存在する。

トリチウム(三重水素): 通常の水素に中性子が2つ加わった放射性同位体。主に、酸素と結びついた水として自然に存在する。

ヘリウムHe): 原子番号2の元素。貴ガス。宇宙及び太陽系で、水素に次いで2番目に多く存在するという。非常に軽く、水素のように燃えず安全でもあるため、風船や気球の浮揚用ガスとして使われる。
ヘリウム中では音速が空気中より遥かに速い(純粋ヘリウム中では約1000m/s)ため、ヘリウムを吸い込んで発声すると甲高い声に「変声」する(ドナルドダック効果)。市販の変声用ガスは、酸欠を防ぐため酸素と混合されている。

黒鉛(グラファイト): 自然に存在する炭素の同素体の1つ。グラフェンが積み重なった構造をもつ。電気を通しやすく、かつては金属の鉛を含むと考えられており「黒鉛」と名付けられた。鉛筆の顔料に使う。

グラフェン: 炭素原子が、1原子分の厚さでシート状に結合した物質。ハニカム構造(蜂の巣のような六角形格子構造)をとる。ダイヤモンド以上に炭素同士の結合が強く、世界で最も引っ張りに強い強度をもち、熱や電気の伝導度もトップクラスの物質。
21cに入って、セロファンテープに黒鉛の欠片を貼り付けて剥がせばグラフェンが得られることが分かり、応用の研究が進んでいる。

ベンタブラック: カーボンナノチューブから成る、可視光の99.9%以上を吸収する物質。光を跳ね返さずに「チューブの森」に囲い込んで吸収し、熱として放散する。
これを塗装してしまった物体は肉眼では陰影が分からなくなるため、立体感がバグることで知られる。

酸素O、オキシジェン): 原子番号8の元素。地殻を構成する元素として最大の質量、地球全体を構成する元素として鉄に次いで大きな質量を占める。酸化力が強く、ほとんどの元素と発熱反応を起こし化合物を作る。
標準状態では無味無臭無色透明の二原子分子である酸素分子O2として存在し、地球の大気組成の約2割を占める。学校の実験では過酸化水素水に、触媒として二酸化マンガンを加えて発生させる。

二酸化ケイ素シリカ、ケイ酸): SiO2。地殻の約75%を占める成分(このため、近くを構成する元素として最大の質量をもつのは酸素、次いでケイ素となる)。結晶は石英

硫黄S): 原子番号16の元素。固形時は黄色で無味無臭。「硫黄臭(腐卵臭)」は硫化水素の臭いで、硫黄自体の臭いではない。
なお、硫黄を燃焼させると二酸化硫黄が発生し、硫化水素の臭いとも異なる刺激臭となる。二酸化硫黄は四日市ぜんそく等の公害病や、酸性雨の原因となってきた。

アルゴンAr): 原子番号18の元素。貴ガス。地球の大気組成で窒素、酸素に次ぐ1%弱を占める。

カルシウムCa): 原子番号20の元素。第2族の金属元素。生物の骨や石灰の主成分。人体が最も多く含む金属元素で、成人の体の約1kgを占める。

クロムCr): 原子番号24の元素。金属元素。「色」を意味するギリシア語に由来する。

Fe、アイアン): 原子番号26の元素。金属元素。安定した原子核をもつ、宇宙の中でも存在量が特異的に多い元素で、地球では構成元素として最大の質量(約1/3)を占める(特に、核の質量の多くは鉄が占める)。
炭素等の合金元素を加えることでとなり、炭素量や焼入れなどを行うことで硬度を調節できる、極めて使い勝手のいい金属素材でもある。様々な構造物や機械、刃物等の材料として最も身近で重要な金属となっている。
ちなみに、錆の浮いた鉄棒を握った時等に感じるいわゆる「鉄の臭い」は、人の皮脂から鉄イオンを触媒として発生するケトン(有機化合物)の臭いで、鉄自体の臭いではない。

緑青(ろくしょう): 銅の表面が酸化して生じる青緑色の錆。内部の腐食を防ぐ効果があり、給水用の銅管や銅像は、緑青が出来ることで長きに渡って形を留められる。

青銅ブロンズ): 銅を主体とし、錫を含む合金。銅像(ブロンズ像)や十円硬貨の素材。融点が低く原始的な炉でも鋳造できるため、BC30c頃のメソポタミア以来、世界各地で主要な金属として使われた(青銅器時代)。

黄銅真鍮ブラス): 銅と亜鉛の合金。精密機械の部品、金管楽器五円硬貨等の素材。金管楽器を「ブラス」と呼ぶのは黄銅に由来する。

クリプトンKr): 原子番号36の元素。貴ガス。重い気体のため、吸引するとヘリウムと逆に声が低くなる。

硫酸バリウム: 化合物。天然に大鉱床があり採掘できる。胃等のX線検査を行う時の造影剤として有名(単に「バリウム」とも呼ばれる)。

タリウムTl): 原子番号81の元素。金属元素。硫酸タリウムは猛毒として知られる。

ウランU、ウラニウム): 原子番号92の元素。アクチノイドに属する。現在の地球上に大量に存在する元素では最大の原子番号、又、元素記号がアルファベット1文字の元素としても最大の原子番号をもつ。ウラン鉱石の最大の埋蔵国は豪州。

オガネソンOg): 原子番号118の元素。既知の元素で最大の原子番号をもつ。

(ウォーター): H2O。日常語としては特に冷たい液体の状態を指し、温かいものは、固体の状態は(アイス)、気体の状態は水蒸気(スチーム)と呼ぶ。凝固点は0℃、沸点は100℃。
常温常圧では液体で、無味無臭。一般的には無色透明とされるが、僅かに青緑色を呈しており、厚い層を成して存在する大量の水は青色に見える。
水が化学的にいえば化合物であることがやっと分かったのは19c初めであり、古来、水は万物の基本要素の1つと見なされてきた(中国の五行説、古代ギリシア以来の四大元素説等)。
地球上の水は、97%以上が海水、2%以上が南極・グリーンランドの氷床等の氷、0.5%以上が地下水。残りの部分(湖・河川・土壌中・大気中の水)は、水循環で大きな役割を果たすが、存在量としては合計0.1%に満たない。
水は全ての生命の源であり、人間を含め、陸上に進出した生物も水が無ければ生きられない。人体は50%以上が水で出来ており、平均的な成人は1日3-4ℓの水を食べ物や飲み物から摂取し、同量の水を尿や汗として排出する。
他にも人類は日々、淡水を大規模に利用している(約7割が農業用水、2割が工業用水、1割が生活用水)。平均的な日本人は1日200ℓ以上の生活用水を利用する(世界平均の約2倍)。その半分余りがトイレと風呂で使われる。
なお、淡水は中性だが、海水は弱アルカリ性(pH8程度)である。

過酸化水素オキシドール): H2O2。主に水溶液で扱う。対象により強力な酸化剤にも還元剤にもなり、殺菌剤、漂白剤として使われる。

ニトログリセリン: 有機化合物。ダイナマイトの主剤、狭心症治療薬。狭心症患者が火薬工場では発作が起きないことから治療薬となった。加水分解で生じる一酸化窒素が血管拡張のシグナル伝達物質となる。

PFAS(ピーファス): 幾つかの有機フッ素化合物の総称。撥水剤、表面処理剤、消火剤等に使われてきたが、様々な健康被害をもたらすとして近年、規制が進んでいる。

ハーバー・ボッシュ法: 空気中の窒素を水素と直接反応させ、アンモニアを合成する技術。化学肥料の大量生産を可能にし、農作物の収量を飛躍的に増加させ、「空気からパンを作る方法」と称えられた。1913.ドイツで実用化。

硫酸: 硫黄、酸素、水素から成る酸。強い酸化力で多くの金属を溶かす。金星を覆う厚い雲の主成分。

塩酸: 塩化水素(HCl)の水溶液。強酸の一種。胃液の主成分。

次亜塩素酸ナトリウム: 塩素化合物。塩素系漂白剤や、上水道・プール等の殺菌剤に使う。

フラスコ: 化学実験で蒸留や攪拌に使う、口の小さい試験管の一種。三角フラスコ、メスフラスコ、丸底フラスコ等がある。

メスシリンダー: 液体の体積を測る実験器具の1つ。細長い円筒形で、転倒を防ぐ底板が付いたもの。

サーモフィッシャー・サイエンティフィック: 米国の科学機器・試薬・科学サービス企業。

ブレーズ・パスカル: 17cのフランスの科学者、数学者、哲学者。流体力学のパスカルの原理、幾何学のパスカルの定理等に名を残す。
遺稿集『パンセ』の〈人間は考える葦である〉(自然界においては弱い存在だが「考える」という働きがあるから偉大である)という言葉が有名。

アントワーヌ・ラヴォアジエ: 18c後半のフランスの化学者。「近代化学の父」。質量保存の法則の発見者。燃焼を「酸素との結合」と説明した最初の人物。酸素(オキシジェーヌ)の命名者。
王室政府の徴税請負人を務めていたことから、フランス革命においてギロチンで処刑された。

ジョン・ドルトン: 18-19cの英国の科学者。水が化合物であることを発見した最初期の人物の1人で、化学反応が原子の相互作用によるものと見抜いた原子説の提唱者。
又、自分と親族の色覚を研究し、自らの先天色覚異常を発見したことによって、色覚異常を意味する「ドルトニズム」の語源にもなった。

ドミトリ・メンデレーエフ: 19c後半のロシアの化学者。数々の元素を「元素周期表」として並べ、周期的に性質を同じくした元素が現れることを確認し、当時は未発見だった多くの元素の存在を予言した。

レイリー卿(ジョン・ウィリアム・ストラット): 英国の物理学者。1871.光の散乱(レイリー散乱)の研究から空が青い理由を解明。1895.アルゴンを発見。1904.ノーベル物理学賞を受賞。

ヤコブス・ヘンリクス・ファント・ホッフ: オランダの化学者。1884.平衡定数と温度の関係を表すファント・ホッフの式を提唱。1901.第1回ノーベル化学賞を受賞。

鈴木梅太郎: 化学者。長岡半太郎、本多光太郎と共に「理研の三太郎」と称される。1910.ビタミンを世界で初めて物質として抽出、発見した(ビタミンB1)。

アルベルト・アインシュタイン: ドイツ出身で、スイスや米国で活動した理論物理学者。1921.光電効果の理論的解明でノーベル物理学賞を受賞。
特殊相対性理論一般相対性理論、相対性宇宙論、ブラウン運動の由来、光量子仮説による光の粒子と波動の二重性、固体比熱理論、零点エネルギー、半古典型のシュレディンガー方程式、ボーズ=アインシュタイン凝縮等を提唱した。
名言〈常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションのこと〉〈神はサイコロを振らない〉。

アルフレート・ウェーゲナー: ドイツの気象学者。プレートテクトニクスが体系化される半世紀前の1910-20年代から、大陸移動説を提唱していた。妻はケッペンの娘。
南米大陸の東海岸線とアフリカ大陸の西海岸線がよく似ているのに気付いたことが、大陸移動のアイディアの元になったという。

ニールス・ボーア: デンマークの理論物理学者。1922.原子構造と放射の研究でノーベル物理学賞を受賞。量子論の育ての親でもある。
原爆開発に当たっては軍拡競争を憂慮し、西側諸国にソ連も含めて核兵器に関する情報を共有する国際協定の締結に奔走したが、結局その願いは叶わなかった。

ライナス・ポーリング: 米国の化学者。多分野に業績を残した、量子化学、分子生物学の先駆者。'54.ノーベル化学賞受賞。'62.核実験反対運動の業績でノーベル平和賞受賞。マリー・キュリーに続く2人目のノーベル賞複数受賞者となった。

ジョージ・ガモフ: ロシア生まれの米国の理論物理学者。1940.科学啓蒙小説『不思議の国のトムキンス』出版。'48.宇宙生成時の核反応についての理論「α-β-γ理論」発表。
α-β-γ理論は、ガモフが指導した大学院生ラルフ・アルファーが主導して提唱したが、ガモフが遊び心から、著名な学者ハンス・ベーテの名を加え、「アルファー・ベーテ・ガモフ」をもじって名付けた。

ジョン・バーディーン: 米国の物理学者。ノーベル物理学賞を2度受賞した唯一の人物。'56.トランジスタの発明でノーベル物理学賞受賞。'72.超伝導の微視的解明でノーベル物理学賞受賞。

リチャード・ファインマン: 米国の物理学者。'65.量子電磁力学への貢献で朝永振一郎らとノーベル物理学賞を共同受賞。物理学の教科書『ファインマン物理学』や、ユーモラスな回顧録『ご冗談でしょう、ファインマンさん』で有名。

フレデリック・サンガー: 英国の生化学者。ノーベル化学賞を2度受賞した唯一の人物。'58.インスリンの構造研究でノーベル化学賞受賞。'80.核酸の塩基配列の決定でノーベル化学賞受賞。

江崎玲於奈(えさきれおな): 物理学者。'57.ソニーの研究員時代にトンネルダイオードを発明。'73.ノーベル物理学賞受賞。

眞鍋淑郎(-しゅくろう): 米国に帰化した地球科学者。大気や海洋と気候の関係を研究し、気候変動の数値モデルの開発に長年貢献した。'21.ノーベル物理学賞受賞。

カール・セーガン: 米国の天文学者、SF作家。「テラフォーミング」や「核の冬」の研究の先駆者。ビッグバンから始まる宇宙史を1年に置き換える「宇宙カレンダー」を普及させた。
空前の視覚効果を駆使し、世界で6億人が視聴したTVドキュメンタリーシリーズ『コスモス』('80)では監修と番組進行を務めた。

北野大(-まさる): 化学者、秋草学園短期大学学長。ビートたけしの兄でTV出演も多い。

吉野彰: 化学者。旭化成の研究開発部門で活躍した。'19.リチウムイオン電池の研究でノーベル化学賞受賞。

中村修二: 米国に帰化した電子工学者。'93.日亜化学工業の研究員時代に高輝度の青色LEDを発明。'99.退社。その後、日亜化学との特許権をめぐる訴訟で注目を集めた。'14.赤﨑勇・天野浩と共にノーベル物理学賞受賞。

BossB: 天文物理学者。信州大学准教授。TikTokで宇宙や物理学を通したモノの見方を分かりやすく発信し、話題に。'23.主著『宇宙思考』。

◆『ネイチャー(Nature)』: 英国の自然科学の総合学術誌。1869.創刊。

◆『サイエンス(Science)』: 米国の自然科学の総合学術誌。1880.創刊。

ブルーバックス: 講談社の科学系新書シリーズ。ガガーリンの言葉〈地球は青かった〉に由来する。'63.創刊。

サイモン・シン: 英国のジャーナリスト、サイエンス・ライター。'97.『フェルマーの最終定理』。


16、数・論理

スカラー: 速さや距離のように、大きさのみをもつ物理量のこと。大きさと向きをもつ「ベクトル」と対比される言葉。

分解能: ある2点を見分けられる最小の間隔。肉眼では約0.1mm、光学顕微鏡では約0.2μmとされる。

(ひ/にち/か): 一昼夜を数える単位。地球の自転1周分の時間に等しい。なお、自転速度は徐々に遅くなっており、1日の長さは5-10万年に1秒、3億年に1時間程度のペースで伸びている。

(じゅん): 10日間のこと。各月の1~10日を上旬、11~20日を中旬、21日~月末を下旬という。給与計算等で一般的。現在は月刊誌である「キネマ旬報」は元々旬刊(月3回刊)だった。

(けん): 約1.8mを1とする長さの単位。1間=6尺。元々は建物の柱の間隔を指した。中京間の畳の長さに等しい。

(じょう): 畳1枚分を1とする面積の単位。部屋の広さを表すのに使う。
畳の規格によってサイズはかなり違い、西日本に多い京間は約1.82m2、中日本に多い中京間(1間×3尺)は約1.65m2、東日本に多い江戸間は約1.55m2、古い集合住宅に多い団地間は約1.45m2となる。京間の6畳は団地間の8畳に近い。

(つぼ): 約3.3m2を1とする面積の単位。一辺を1間とする正方形の面積。中京間の2畳分。

エーカー: ヤード・ポンド法で、約4000m2を1とする面積の単位。

(ごう): 約180mlを1とする体積の単位。現代でも米(炊飯前の体積)・酒に対してよく使う。ちなみに、米1合の重さは約150g、米1合を炊いた後の重さは約330g、米粒の数は約7000粒。

(もんめ): 3.75gを1とする質量の単位。一文銭の目方を意味する「文目」から転じ、江戸時代には銀の計量単位として使われた。現在では五円硬貨の重さと等しい他、真珠の質量単位として使われる。

(きん): 600gを1とする質量の単位。現在は質量単位ではなく、約12.5cm角の食パンの塊を「1斤」と表す用法でよく使う。

(かん): 3.75kgを1とする質量の単位、1000文(もん)を1とする通貨単位。昔ながらの罵倒語で非常に太っている人を「百貫デブ」という。

恒河沙(ごうがしゃ): 1052を表す数の単位。「ガンジス川の砂」という意味をもつ。

57: 3×19で表せる合成数だが、数学者のグロタンディークが素数についての講演で、例として間違って57を挙げたことから「グロタンディーク素数」と呼ばれる。

142857: 「1/7=0.142857142857…」の中で循環する数列であり、巡回数としてよく知られる数。以下のように、1~6の整数を掛けると数字が循環する答えが作れる。
142857×1 = 142857
142857×3 = 428571
142857×2 = 285714
142857×6 = 857142
142857×4 = 571428
142857×5 = 714285
更に、「142857×7=999999」となり、「142+857=999」「14+28+57=99」となる不思議な数である。

1~6を足すと…: 1~6の整数を全て足すと21。1~66を足すと2211。1~666を足すと222111。以下この法則が続く。

184(いやよ)を6回言うと…: 184(いやよ)+184(いやよ)+184(いやよ)+184(いやよ)+184(いやよ)+184(いやよ)=1104(いいわよ)。

18782(いやな奴)が2人で…: 18782(いやな奴)+18782(いやな奴)=37564(皆殺し)。

おみやげ算: 11~19の整数同士の暗算方法。「13×14=182」なら、「(13+4)×10+(3×4)=182」と解く。片方の1の位の数字をもう片方に「おみやげ」として渡すイメージ。

ユークリッドの互除法: 2つの自然数の最大公約数を求める方法の1つ。「a÷b」が「qあまりr」の時、aとbの最大公約数はbとrの最大公約数に等しいことを利用する。
例えば、1071と1029の最大公約数を求める。「1071÷1029」は「1あまり42」なので、1029と42の最大公約数に等しい。更に、「1029÷42」は「24あまり21」なので、42と21の最大公約数にも等しい。
42と21は割り切れるため、その最大公約数は21であり、1071と1029の最大公約数も21であることが分かる。

鳩の巣原理: 正の整数m,nについてm>nのとき、m個のものをn個の箱にどのように分配しても、必ず2個以上のものが入る箱が少なくとも1つ存在するという原理。

フェルマーの最終定理(ワイルズの定理): nが3以上の自然数のとき、「xn+yn=zn」となる自然数x,y,zの組は存在しないという定理。17cにフェルマーが書き残した数学に関する予想の中で、唯一長年証明されずに残ったため「最終定理」と呼ばれる。
'95.英国の数学者アンドリュー・ワイルズが360年ぶりに証明を達成。

植木算: 等間隔に並んだ植木等を対象に、「本数」「間隔」「全体の距離」のうち2つを与え、残り1つを求めさせる算数の問題のこと。

小町算: 「1□2□3□4□5□6□7□8□9=100」という数式の□の中に、+、-、×、÷、空白のいずれかを1つずつ入れて成り立たせるパズル。10通り以上の正答がある。

有理化: 分母を無理数(根号を含む数)から有理数に変換する計算のこと。

常用対数: 底が10である対数のこと。しばしば底の10を省略し、単にlogxと書く。

自然対数: 底がネイピア数e=2.71828…(〈鮒 ひと鉢ふた鉢…〉))である対数のこと。微分積分学で活用する。

黄金比: 1:(1+√5)/2の比率。黄金比の長方形から最大正方形を切り出すと、残った長方形は元の長方形の相似になる。フィボナッチ数列の隣接2項の比は黄金数に収束する。

白銀比(大和比): 1:√2の比率。A判・B判の用紙サイズや、法隆寺をはじめとする日本建築で使われる。
黄金比よりも比が小さく、ずんぐりした長方形になる。西洋人の容貌は黄金比、アジア人の容貌は白銀比に近く、これが審美観の違いになっているという分析がある。日本の様々な造形や「かわいい」デザインのベースには白銀比があるのだという。

重解: 2次方程式の解が1つしかない、3次方程式の解が1つか2つしかない等、本来のn個の解の幾つかが同じ値となっている場合の解のこと。

判別式: 「D=b2-4ac」。二次方程式の解の個数、二次関数のx切片の個数を求めることができる式。D>0で解が2個、D=0で1個(重解)、D<0で解無しとなる。

切片: グラフと座標軸が交わる点のこと。

微分: 導関数を求めること。すなわち、曲線の各地点での傾きを求めること。

漸近線: ある曲線が原点から遠ざかるにつれて限りなく近づくが、決して接しない直線。例:xy=1に対するx軸とy軸。

懸垂線(カテナリー): ロープの両端を持ち、垂らした時にできる曲線。

長方形矩形(くけい)): 全ての角が直角の四角形。

六角形ヘキサゴンヘックス): 6つの辺と頂点をもつ多角形。正六角形は蜂の巣、サッカーのゴールネット等のハニカム構造に見られる。

正多面体: 全ての面が同一の正多角形で構成され、全ての頂点において接する面の数が等しい凸多面体。全ての頂点が同一球面上にある。
正三角形から成る「正四面体」「正八面体」「正二十面体」、正方形から成る「正六面体立方体)」、正五角形から成る「正十二面体」の5種類がある。

円周率(π): 円の直径に対する円周の長さの比率を表す定数。3.14159…で始まる無理数。「3.14」を左右反転させると「PIE(食べ物のパイ)」のように見えることは有名だが、πの英語表記は「pie」ではなく「pi」である。
ちなみに、東大の数学の入試問題で、「円周率が3.05より大きいことの証明」が出されたことがある。

母線: 回転体の側面を成す線分。例えば円錐の場合、頂点から底面の円周上の一点を結ぶ線分が母線となる。

クラインの壺: 内部を辿ると外部に行き着く閉曲面。本来は4次元以上の空間でしか実現できない。3次元では自己交差させた疑似的な姿で知られる。

三角関数: 直角三角形の角の大きさと線分の長さの関係を利用した関数。sin(サイン)(正弦)、cos(コサイン)(余弦)、tan(タンジェント)(正接)等があり、波や電気信号等、様々な分野で活用されてきた。
∠Cを直角とする直角三角形ABCにおいて、「鋭角∠A=θ」とした時、「sinθ=BC/AB」「cosθ=AC/AB」「tanθ=BC/AC」とする。

余弦定理: 三角形の2辺の長さと1つの角の大きさから、残りの辺の長さを求める公式。辺bと辺cから成る角の角度をθとした時、「a2=b2+c2-2bc・cosθ」。θ=90°の時、cosθ=0であるため、三平方の定理が現れる。

和集合: 各集合のいずれかが含む要素全てから成る集合のこと。集合Aと集合Bの和集合を「A∪B」と表す。

積集合: 各集合が共通して含む要素から成る集合のこと。集合Aと集合Bの積集合を「A∩B」と表す。

ド・モルガンの法則: 任意の集合A,Bに対して、「A∪B=AB」、「A∩B=AB」が成り立つという法則。

大数の法則(たいすう-): 確率論や統計学の基本定理で、ある事象が起こる割合は、試行回数を重ねるほど、それが起こる計算上の確率に近付くという法則。

モンテカルロ法: 数値計算方法の1つ。大量の乱数を入力して出力値を観測し、確率的に近似解を求めること。

ブルートフォースアタック: 理論上可能なパターンを全て試す暗号解読方法のこと。「ブルートフォース」は「腕ずくの」「強引な」を意味する英語。

無限の猿定理: 途方もない長さの時間があれば、ランダムにキーボードを叩くだけで任意の文字列が出来上がるという定理。「猿でもキーボードを無限に叩き続ければ、シェイクスピアの作品が出来上がる」等と表現される。

相加平均(算術平均): n個のデータの値を全て足し、nで割った値。一般に「平均値」といえば相加平均を指す。

相乗平均(幾何平均): n個のデータの値を全て掛け、n乗根した値。相加平均と違い、正の数と負の数が混ざったサンプルでは意味を成さない。2つの正の数の相乗平均は、必ず相加平均より小さくなる。

中央値メジアン): 複数のデータを小さい順に並べた時に、中央に位置するデータの値のこと。

四分位数: 複数のデータを小さい順に並べ、四分割した時の区切り値のこと。小さい方から25%の区切り値を第1四分位数(Q1)、真ん中の区切り値を中央値(Q2)、75%の区切り値を第3四分位数(Q3)という。

四分位範囲: 第1四分位数と第3四分位数の差(Q3-Q1)。この数が大きいほど、データの散らばり具合が大きいと見ることができる。

偏差: 各データの平均値からの差。

標準偏差: データのばらつき具合を表すのに最もよく使う指標。分散(偏差の2乗の平均値)の平方根。単なる平均偏差(絶対偏差)に比べ、平均値から離れた値のばらつき評価が大きくなる。
正規分布では、平均値から±標準偏差1個分(偏差値40-60)に含まれるデータは全体の約68%、±標準偏差2個分(偏差値30-70)に含まれるデータは全体の約95%となる。

回帰分析: 因果関係が予測される2つの変数について、変数の関係を表す直線を散布図内に作成し、シンプルに数式化する分析手法。

交絡因子: 物事の因果関係を考える際に、ある因子と、結果の両方に相関関係をもつ第3の因子。交絡因子ではなく「ある因子」と結果の間に直接因果関係があることを証明するには、交絡因子の影響を取り除く必要がある。

命題: 論理学で、正しい(真)か正しくない(偽)かが確実に判断できる文章や数式のこと。

対偶: 論理学で、「aならばb(a⇒b)」に対する「bでないならaでない(ba)」という命題。元の命題と真偽が一致する。

三段論法: 論理学で、大前提、小前提、結論から成る推論式。 「人間は死ぬ」(大前提)、「ソクラテスは人間である」(小前提)、ゆえに「ソクラテスは死ぬ」(結論)といった論法。

背理法: ある命題の否定が真だと仮定すると矛盾が生じることから、命題が真だと証明する論証の方法。かつて京大の入試に出た、最も短い入試問題として知られる〈tan1°は有理数か〉の証明にも使う。

エレファントな証明: 数学の証明で、力業で地道な作業を行うタイプのもの。「エレガントな証明」をもじった対義語。

フェルミ推定: 見積りにくい数や量を幾つかの仮定から推論すること。この手の推論を得意とし、シカゴ大学の学生に「シカゴにはピアノの調律師が何人いるか?」という問題を出題したエンリコ・フェルミの名から。

エウクレイデスユークリッド): 古代エジプトのアレクサンドリアで活動したギリシア系数学者、又は数学者集団。BC3cに著した数学書『原論』が、幾何学や数論の教科書として現代まで使われてきた。

ニールス・アーベル: 19c初期のノルウェーの数学者。アーベル群(可換群)、アーベル賞等に名を残す。5次以上の代数方程式には解の公式が無いことを初めて証明した。

シュリニヴァーサ・ラマヌジャン: 20c初頭のインドの数学者。数学の専門教育は受けていないが、直感的・天才的な閃きで、当時解決不可能とされていた数学的問題の解決にも貢献した「インドの魔術師」。

ジョン・フォン・ノイマン: ハンガリー出身で米国に亡命した数学者。ユダヤ人。1920-50年代に多分野で論文を発表し、数学・物理学・工学・計算機科学・経済学・気象学・心理学・政治学等に影響を与えた。
驚異的な計算能力、記憶力(映像記憶力を含む)と特異な思考様式をもち、7つの言語を早口で操り、各言語での猥談を特技とした。人類史上最高の天才と呼ばれることも多い。
特に、ゲーム理論の成立、コンピュータや原爆の開発等に関わったことはよく知られる。現代のコンピュータの動作原理であるプログラム内蔵方式を理論としてまとめ上げ、この方式は「ノイマン型コンピュータ」とも呼ばれるようになった。

岡潔: 数学者。京都帝国大学出身。1930年代を中心に、多変数複素関数論で多くの業績を挙げた。あまりに業績が多いため、海外の研究者には数学者集団による共同ペンネームだと思われていたことがある。


17、ことば

ことば(言葉): ①人が声に出して言う文章や語句。②語句。③言語。
「ことば」という言葉は「こと(事、言)」+「は(端)」で成り立っている。古くは「言羽」「辞」とも書いた。

フレーズ: 幾つかの単語で構成する成句、又は短い文。(音楽で)旋律の一区切り。

リフレインルフラン): 同じフレーズを繰り返すこと。

PREP(プレップ): 会話や文章の構成で、Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論の繰り返し)の流れで情報を伝えること。

頭字語: 複数の単語の頭文字のアルファベットを繋げた言葉。

イニシャリズム: 頭字語のうち、アルファベットをそのままの読み方で読むもの。「FBI」「OECD」「WHO」等。

アクロニム: 頭字語のうち、アルファベットを通常の単語のように繋げて発音して読むもの。「AIDS(エイズ)」「NATO(ナトー)」「OPEC(オペック)」等。

レトロニム: 新しいものと区別するために、従来からあるものに再命名された名称。「アナログ時計」「フィーチャーフォン」等。

言語: 広くコミュニケーションに使うことができ、様々な抽象概念を含む複雑な意味を伝えられる表現体系。複雑な言語は、地球上では人類に特有のものと一般に考えられている。
音声と、音声に対応した文字等の記号で表すことが多いが、手話のように視覚的表現を主体とする言語や、コンピュータ言語のように記述のみを前提とする言語もある。

自然言語: 自然発生的な言語(対義語は人工言語)。世界の人々のほとんどは自然言語を母語とし、自然言語でコミュニケーションや思考を行う。数え方によるが、世界には千数百~8000種類の自然言語が現存する。
全ての自然言語はたった1つの祖語(世界祖語)から分かれたという説もある。人類の居住地拡大に伴い、地域・部族ごとに言語が分化し、夥しい数の言語が生まれていったことは確実である。
但し近代以降は、世界各地で言語が統一・淘汰されてしまい、言語数は急速に減っている。

公用語: 国家や州で、議会、裁判、公的情報の発信等に使う言語。米国の英語、日本の日本語のように、特に法律で決めずとも事実上の公用語である場合もある。韓国やニュージーランドは手話も公用語に定めている。

孤立語: 接辞や語形変化がほとんどない言語。シナ・チベット語族が代表的。

膠着語: 接頭辞や接尾辞によって単語の文法機能を表す言語。日琉語族をはじめ、多くの言語が当てはまる。

屈折語: 文法機能が、単語の内部に分割できない形で埋め込まれる言語。インド・ヨーロッパ語族が代表的。

日琉語族: 朝鮮半島から日本列島に移住した弥生人の言葉を祖語(日琉祖語)とする語族。語順はSOV型、前置修飾。日本語、琉球諸語、八丈語を含む。

日本語: 日琉語族の言語。Qpediaを記述している言語。日本の事実上の公用語。パラオのアンガウル州の公用語の1つ(但し現在のアンガウル州には、州内で生まれ育った母語話者はいない)。
音素が少なく、ほとんどの音節が母音で終わる。リズムはモーラをもつ。アクセントは高低アクセント。表記は漢字と、漢字から派生した表音文字(ひらがな、カタカナ)を複雑かつ柔軟に組み合わせる。

国語: 国を代表する言語。日本においては「日本語」の古い言い方。又は日本の学校における、日本語の読み書きを学ぶ教科名。
小中学校では国語の中で書写習字)も学ぶ。中高では、古典古文漢文)も一大分野となる。

琉球諸語(シマクトゥバ(島言葉)): 7c以前に日本語と分化した(日本語の改新から置き去られた)九州の言葉を祖とする、奄美語、国頭語、沖縄語(ウチナーグチ)、宮古語、八重山語、与那国語の総称。
それぞれ、日本語の方言としても扱われる(奄美語→奄美方言、沖縄語→沖縄方言)。現代日本語との間のクレオール(ウチナーヤマトグチ等)に置き換わりつつあり、母語話者は減っている。

ツングース語族: 中国東北部やシベリアに分布する語族。膠着語の性質がある。モンゴル語族、テュルク語族(更に研究者によっては日琉語族や朝鮮語も)と合わせ「アルタイ語族」とする説もある。

モンゴル語族: モンゴル、中国の内モンゴル自治区、その周辺地域に分布する語族。膠着語の性質がある。ツングース語族、テュルク語族(更に研究者によっては日琉語族や朝鮮語も)と合わせ「アルタイ語族」とする説もある。

テュルク語族: 中央アジアやトルコに分布する語族。膠着語の性質がある。ツングース語族、モンゴル語族(更に研究者によっては日琉語族や朝鮮語も)と合わせ「アルタイ語族」とする説もある。

ウラル語族: 北アジアや北欧に分布する語族。膠着語の性質がある。

ハンガリー語: ウラル語族の言語。ハンガリーの公用語。主にラテン文字を使う。欧州の言語で唯一、正式な姓名表記が「姓→名」となる。ちなみに、塩のことを「シオ」、足りないことを「タラン」、塩気が足りないことを「シオタラン」という。

シナ・チベット語族: 中国北部発祥の語族。孤立語の傾向がある。

タイ・カダイ語族: タイやラオス、中国南部に分布する語族。シナ・チベット語族と似た単音節的孤立語。

オーストロアジア語族: ベトナムやカンボジアに分布する語族。シナ・チベット語族、タイ・カダイ語族と影響し合っており、孤立語の傾向がある。

オーストロネシア語族: 台湾発祥で、東南アジア、オセアニア、マダガスカルに分布する語族。

マレー語: オーストロネシア語族の言語。シンガポールとブルネイの公用語であり、マレーシアの公用語「マレーシア語」、インドネシアの公用語「インドネシア語」も含む。主にラテン文字を使う。
ちなみに、マレー語で「あら、まぁ!」のことは「アラマー」という。

ポリネシア諸語: オーストロネシア語族に属する、ポリネシアで話される互いに近い言語の総称。フィジー語、トンガ語、サモア語、ハワイ語、マオリ語、タヒチ語、ラパ・ヌイ語等。「タブー」や「タトゥー」はポリネシア諸語由来。

ドラヴィダ語族: 南インドやスリランカに分布する語族。

インド・ヨーロッパ語族印欧語族): 南アジア、イラン、欧州をはじめ、近世以降に欧州人等が入植・統治した世界中に分布する語族。文法的には屈折語だが、とりわけ英語等ではその特徴がかなり薄れている。

サンスクリット語梵語): 南アジアの古代語。印欧語族。文語。ヒンドゥー教の礼拝用言語である他、大乗仏教も梵語の仏典を基礎経典としている。

パーリ語: 南アジアの古代語。印欧語族。文語である梵語に対し、俗語として使われた言語の1つ。上座部仏教の基礎経典として最も重要な言語(大乗仏教では梵語)。

ギリシア語: 印欧語族ヘレニック語派の言語。ギリシャ、キプロスの公用語。印欧語族で最も古くから記録されている言語。ギリシア文字を使う。
アレクサンドロス大王の帝国とその後継であるヘレニズム諸国で話された共通語は「コイネー」といい、現代ギリシア語の基礎となっている。新約聖書はコイネーで書かれたものが原典とされる。
ちなみに、ギリシア語で食堂のことを「タベルナ」、鱈のことを「バカヤロウ」という。

ラテン語: 印欧語族イタリック語派の言語。現代では母語話者がいないという意味では死語だが、学術界では現在も重要言語で、生物の学名や元素名はラテン語で名付け、世界共通の名称とする。
元はイタリアの言語で、古代ローマの支配地拡大に伴って広い地域で使うようになった。ロマンス諸語はいずれも、俗ラテン語の方言が変化したもの。

イタリア語: ロマンス諸語の1つ。イタリアの公用語。音楽の記譜法が成立した17cはイタリアが音楽界の中心で、「テンポ」「カンタービレ」等、演奏記号に使う言葉はほぼ全てイタリア語。

フランス語: ロマンス諸語の1つ。フランス、ベルギー、スイス、カナダ、ハイチを中心に、1億人以上が母語とする。国連の6公用語の1つ。
かつてフランスが支配したアフリカ諸国(セネガル、マリ、コートジボワール、カメルーン、マダガスカル等)においても、母語話者は少ないが公用語の地位にあり、今でもフランス語教育が行われる。
数詞が20進法と10進法の組合せで異常にややこしいのが難点。日本では「デッサン」「アトリエ」「シック」等、美術・ファッション関係の借用語が多い。

スペイン語: ロマンス諸語の1つ。スペインと、かつてスペインが支配した中南米(メキシコ、キューバ、コロンビア、アルゼンチン等)を中心に、約5億人が母語とする。国連の6公用語の1つ。
中南米ルーツの住民(ヒスパニック)が多い米国でも英語に次ぐメジャーな言語で、かつてメキシコ領だった南西部では「ロサンゼルス」「ラスベガス」のようにスペイン語地名も多い。
26の基本のラテン文字に、ティルデ付きの子音「Ñ/ñ」を加えた27文字を使う。母音が日本語と同じ5母音しかなく、日本語話者にとって習得しやすい言語の1つ。

ポルトガル語: ロマンス諸語の1つ。ポルトガルと、かつてポルトガルが支配したブラジルを中心に、約2.5億人が母語とする。
初めて日本に伝わった欧州の言語で、戦国時代にキリスト教と共に広まった。「パン」「カルタ」「シャボン」「ミイラ」「タバコ(煙草)」「ボタン(釦)」「カッパ(合羽)」「テンプラ(天麩羅)」「コンペイトー(金平糖)」等、古い外来語に借用語が多い。

ドイツ語: 印欧語族ゲルマン語派の言語。ドイツ、オーストリア、スイス、ルクセンブルク、リヒテンシュタインを中心に、約1億人が母語とする。
26の基本のラテン文字に、ウムラウト付きの変母音「Ä/ä」「Ö/ö」「Ü/ü」、子音「ẞ/ß(エスツェット。ギリシア文字のβとは無関係)」を加えた30文字を使う。
現代ではドイツ語にしか残っていない習慣として、名詞の頭文字を全て大文字で書くというものがあり、文中の単語が名詞かどうかすぐに見分けられる。複合語が豊富なこともよく知られる。
日本では「カルテ」「ギプス」等、戦前から使われる医学・医療用語に借用語が多い。「テーマ」「ゼミナール」「アルバイト」「リュックサック」「ゲレンデ」等もドイツ語由来。

英語: 印欧語族ゲルマン語派の言語。WWII後の世界における圧倒的な国際共通語。
イングランドで発祥し、英国、アイルランド、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド、ジャマイカを中心に約5億人が母語とする。母語話者が多数派でなくとも共通語として通じる国も多い。
26の基本のラテン文字を使う。文法は比較的簡素だが、発音が不規則で、綴りと発音の食い違いが大きいのが特徴。
日本では、比較的新しい外来語のほとんどは英語となっている。義務教育である中学校と小学校5-6年生('20.正式に教科化)の主要な必修教科で、高校・大学・塾・通信教育等でも多くの人が学習している。

コックニー: ロンドンの労働者階級が話す英語のこと。二重母音の/ei/が/ai/になる、所有格myの代わりにmeを使う等の特徴がある。主な話者に『マイ・フェア・レディ』の主人公・イライザら。

アフロ・アジア語族セム・ハム語族): 中東や北アフリカに分布する語族。

ニジェール・コンゴ語族: 中南アフリカに分布する語族。最も言語数が多い語族の1つ。

コイサン諸語: 主にカラハリ砂漠周辺に分布する幾つかの語族の総称。話者のコイサン人種はホモ・サピエンスの最も古い身体的特徴を残すとされ、コイサン諸語の特徴である吸着音の多用は、世界祖語の特徴だという説がある。

ハナモゲラ: 山下洋輔・タモリらの一派が始めた、日本語のように聞こえるデタラメな言葉遊びのこと。

ポケトーク: (株)ポケトークが販売する多言語翻訳機。'17.発売。

線文字B(ミケーネ文字): 青銅器時代のBC16c-BC13c頃、ギリシアのミケーネ文明で使われていた古代文字。線文字Aが変化したものと考えられる。

ギリシア文字: ギリシア語に使うアルファベット。現代では24文字。数学等様々な分野で世界的に使われる。各文字の日本語慣用名称は、主に英語式の発音に由来する。
フェニキア文字をベースに、子音文字しかないフェニキア文字の一部を母音に転用して成立した。ラテン文字やキリル文字の祖。

ルーン文字: 古代末期から中世にかけて、ゲルマン語派の言語で使われたアルファベット。中世後期には各言語で近縁のラテン文字にとって代わられていった。

ロンゴロンゴ: イースター島で19cに発見された未解読文字。ラパ・ヌイ語を記したものと思われる。

点字: 指先の触覚で読み取る、視覚障害者用の文字。19c前半にフランスの盲学校教師ルイ・ブライユが考案した。
日本語のかな文字を表す6点式点字では、上段の2点と中段左側の点の組合せで母音を、中段右側の点と下段の2点の組合せで子音を定義する。「あ」「わ」「っ」は1点のみで表す。

ASCII(アスキー): '63年に米国で制定された、情報通信用の文字コード。基本的なラテン文字等、127種類の文字・記号を含む。

Unicode(ユニコード): '90年頃に国際共通規格として制定された、情報通信用の文字コード。文字符号化形式としてUTF-8、UTF-16、UTF-32がある。
Unicode以前は、例えば日本と中国の漢字コードは別々のものが使われていたが、同じ文字なら1つの符号を割り当てる方針で各国の文字コードの統合を図った。

誤字: 文字を間違えること。印刷物では「誤植」とも。

脱字: 文章中から、あるべき文字が抜けていること。

衍字(えんじ): 文章中に、あるべきでない文字が入っていること。

句読点: 日本語の文章の区切り記号。句点が「。」、読点が「、」「,」を表す。

;(セミコロン): ギリシア語の疑問符。欧州の他の言語では、コンマとピリオドの中間の意味をもつ曖昧な記号として近世から使われ出した。コンピュータ言語では多用する。

@(アットマーク): メールアドレスのホスト名の前に付ける記号として知られるが、元々は簿記で商品単価の前に付ける記号。実はEメール誕生前からワープロ用のキーボードに存在している。
ちなみに「アットマーク」は和製英語で、英語では「アットサイン」。イタリア語では「蝸牛」、ドイツ語では「猿のしっぽ」、トルコ語では「耳」を意味する言葉で呼ぶ。

/: 男/女、雄/雌を表す記号。元々は占星術で火星と金星を表す記号で、博物学者のリンネが植物の雄株と雌株を表すために転用したことから男女の意味になった。♂は軍神マーズの槍と盾、♀は美の女神ヴィーナスの鏡と鏡を持つ手を表している。

: 漢字用の踊り字(繰り返し符号)。漢字用の公式の踊り字があるのは日本語だけだという。「同」の異体字「仝」が変化したもの。正式な読み方はないが、PC等では「おなじ」と変換すると出る。

伏字(ふせじ): 文字の代わりに○や×等の記号を使い、言葉を隠すこと。「なんとかかんとか」「ナンチャラ」「ホニャララ」「チョメチョメ」等の特徴的な読み方がある。
「ホニャララ」はクイズ番組『ぴったし カン・カン』('75-86)MCの久米宏、「チョメチョメ」はクイズ番組『アイ・アイゲーム』('79-85)MCの山城新伍から広まったという。

X/x: 24番目のラテン文字。ローマ数字の10。ギリシア文字のΧ(カイ)に由来する。
英語ではXで始まる単語は最も少なく、未知のものにとりあえず付ける名前(「Mr.X」「Xデー」等)にもなっている。接頭辞の「ex-」「trans-」の略記、「cross」や「kiss」を意味する記号でもある。

Φ/φ(ファイ): 21番目のギリシア文字。ローマ数字の10。小文字は数学で空集合を表す。

常用漢字: 内閣告示「常用漢字表」で、現代日本で常用する目安とした漢字。'81.それまでの「当用漢字」から範囲を拡大して告示。'10.多くの漢字を追加し、全2,136字となる。
「虞」「逓」「蔽」「朕」「璽」等、使用頻度の低い字を幾つか含む一方、「翔」「絆」「嬉」「栗」「鷹」「磯」「淵」「樽」「嘘」「叩」等、使用頻度が高くても追加されていない字もかなりある(このうち「嘘」「叩」以外は人名用漢字には含まれる)。

人名用漢字: 常用漢字以外に、日本の戸籍上の「名」に使える漢字。しばしば拡大され、'23現在、全863字(常用漢字や他の人名用漢字の異体字を除くと633字)。

けものへん(獣偏): 「独」「猫」等に使われる偏。犬を表す漢字から。

(チュウ/ズ/くりや): 台所、厨房、箱。ネットスラング「○○厨(ちゅう)」は「○○中毒者」の蔑称。元々は2chで、中学生(中坊)の隠語、及び「迷惑な人」を意味する言葉として「厨房」「厨」が使われ、そこから意味の転用が生じた。

(バン/マン/まんじ): 元々は幸福を表すインドの記号。仏教と共に中国に伝わると「萬」の当て字にもなった。「万」は「卍」が変形した字という説がある。訓読の「まんじ」は「萬字」から。画数は6画。
日本の仏教界でも幸福の記号として使われ、寺院を表す地図記号にもなっている。逆向きのハーケンクロイツ(鉤十字)と勘違いされることがある。

(フウ/ホウ): 「フウ」と読む場合は閉じ込めること(「封書」「封筒」「封印」「封入」「封鎖」「封殺」「開封」)、「ホウ」と読む場合は諸侯に領地を与えること(「封建」「封土」「転封」「移封」「減封」)を表す。

(コ/ゆえ): 元々は「故人」「故障」「事故」のように死や災いを指す漢字。後に、原因や理由、いわれ、ゆかりがあること全般を指すようになった。「故意」のようにわざとであることも指す。「故(こ)」は、故人の名に接頭辞として付ける。

(ソウ/はし-る): 走るさまを描いた象形文字。ところが現代中国語では「歩く」という意味で、走ることを表すには「跑」を使う。

(チョウ/こ-える/こ-す): ある基準、又は限度を過ぎること。80s-90sに「とても」の意味で「超(チョウ/チョー)」を副詞的に使う用法が流行し、定着した。

(こ-む/こ-める): 国字。しっかりと詰め込まれて一杯になっているさまを表す。

(しめ): 国字。「〆切」「〆鯖」のように「締」の代用とする他、「緘(カン)」と並んで封書の閉じ口の記号にも使う。

撥音(はつおん/はねるおん): 日本語の「/」のこと。平安時代後期まで「ん」という音の表記法は未確立で、「む」「い」「に」等で表したり、無表記だったりした。「ん」は「无」の草体、「ン」は由来不明。

音便: 日本語の語中・語尾の連音変化。特に、サ行以外の五段動詞に「て」「た」「たり」が付く時は規則的に起こり、一種の活用のようになっている。
促音便(立ち+て=立って)、撥音便(読み+て=読んで)、イ音便(急ぎ+て=急いで)、ウ音便(問い+て=問うて)の4種類がある。

連声(れんじょう): 「反応(はんのう)」「陰陽(おんみょう)」「出来(しゅったい)」のように、熟語の1文字目が子音で終わり2文字目がア・ヤ・ワ・ラ行で始まる時に、2文字目の頭がナ・マ・タ行に変わること。

訓令式: ローマ字の表記法の1つ。チを「ti」、ジを「zi」等と表す。

いろは歌: 平安時代に成立した七五調の韻文で、音の異なる仮名47字(「ゐ」「ゑ」を含み、「ん」は含まない)を余さず使ったパングラム。仮名配列が「いろは順」として、番号付けに広く利用されている。
いろはにほへとちりぬるを(色は匂へど散りぬるを) わかよたれそつねならむ(我が世誰ぞ常ならむ) うゐのおくやまけふこえて(有為の奥山今日越えて) あさきゆめみしゑひもせず(浅き夢見じ酔ひもせず)〉。

さようなら: 別れの挨拶。「じゃあね」「またね」。英語「グッバイ」「バイバイ」、韓国語「アンニョンヒカセヨ」、中国語「再見(ツァイチェン)」、イタリア・フランス・スペイン・ポルトガル語等「チャオ」。
「チャオ」はイタリアでは「こんにちは」「さようなら」の両方で使うが、他の国ではほぼ「さようなら」の意味で使う。
フランス語「アデュー」やスペイン語「アディオス」は、通常、二度と会えないような長い別れを告げる時にしか使わない。フィッシャーズの「アデュー」の使い方はフランス人からするとおかしい。

恵存(けいぞん): 贈り物の際、相手の名に書き添える語。「どうかお手もとにお置きください」の意味。

あくどい: 程度を過ぎていやらしい。くどい。しつこい。どぎつい。「灰汁(あく)」に由来する言葉。近年は「悪どい(あく-)」と書いて、悪賢いという意味でも使うが、元々は誤用。

賑々しい(にぎにぎ-): とても賑やかなさま。用例〈大勢で賑々しく出迎える〉。

得も言われぬ: 言葉では何とも言い表せないさま。良い意味で使うことが多い。

気風が良い(きっぷ-): 思い切りが良くさっぱりしたさま。

度し難い(どしがたい): 救いようがなく、言っても分からせようがないさま。

しっぽり: 静かで落ち着いたさま。カップルが2人だけで楽しむさま。

矯めつ眇めつ(ためつすがめつ): 色々な角度からよく見るさま。

のべつ: 絶え間なく続くさま。類語「ひっきりなしに」「のべつ幕無し(に)」。

まんじり: とろとろと少し眠るさま。用例〈まんじりともせず夜を過ごす〉。

やおら: 落ち着いてゆっくりと動作を始めるさま。おもむろに。

微睡む(まどろむ): 少しの間、うとうとすること。

圧巻: 他のものより優れていること。中国の科挙で、最も優れた答案が1番上に置かれたことに由来する。

ありやなしや: 「あるかないか」「無事で生きているかどうか」等を意味する文語的表現。

医者の只今: 約束の時間が当てにならないこと。すぐ来ると言った医者が中々現れない現象から。

逸話アネクドート): ある物事や人物についての、「多くの人が知る本筋」から逸した興味深いエピソードのこと。

鷹揚(おうよう): 小さなことにこだわらず、ゆったりと構えているさま。

嗚咽(おえつ): 声を詰まらせ、むせび泣くこと。オエッとえずくことではない。

億劫(おっくう): 面倒臭くて気が進まないこと。元々は仏教用語で、非常に長い時間を意味した。

押っ取り刀: 大急ぎで駆けつけるさま。刀を腰に差す暇もなく、手に持ったままでいることに由来する。

お転婆: 少女が活発でよく動き回るさま。「野生の」を意味するオランダ語「オンテンバール」に由来するという説がある。

会稽の恥: 他人から過去に受けた屈辱のこと。春秋戦国時代の会稽山の戦いで、越王が呉王に屈辱的な大敗を喫したことから。

かまとと: 知っていることに知らないふりをすること。「かまととぶる」と動詞形で使うことが多い。ある遊女が〈蒲鉾(かまぼこ)って魚(とと)から出来ているの?〉と驚き、物を知らない女を演じたという逸話から。

鴨の水掻き: 人知れず苦労していること。

切った張った: 殺伐とした、力が物をいい情けが通じないさま。「切りつけたり張り飛ばしたり」といった意味。 「切った張ったの世界」等の言い回しで使う。

キレ: メリハリが効いた機敏な動作、核心を突く発言、(ビールや日本酒の)飲み込んだ後に味わいがスッキリと消える爽快な味等を表す言葉。日本では、どんな食事とも合う、キレの良いビールや日本酒が好まれやすい。

銀の弾丸: 厄介なものを一発で解消する手段のこと。西洋で、狼男は銀の弾丸で撃退できるとされたことから。

腐ったみかん: 集団の中で悪影響を及ぼす厄介者のこと。ドラマ『3年B組金八先生』の台詞から。英語では「rotten apple(腐った林檎)」という。

車座: 人々が輪のように並んで、内側を向いて座ること。岸田首相は就任以降、様々な国民から直接意見を聞く「車座対話」を続けているという。

稽古: 芸能や武術の練習のこと。元々は「昔のことを調べ、対策する」ことを意味した。

蛍雪の功: 苦労して学び、成功すること。蛍の明かりや雪明かりで勉強するという中国の故事から。

外連味(けれんみ): 面白みを出すためのはったりやごまかし。良い意味でも悪い意味でも使う。

御前(ごぜん): 貴人の目の前。又は、貴人。貴人に対する二人称としても使う。女性に使うことが多いが、男性に使う場合もある。

午前様: 夜遊び等で帰宅が午前0時を過ぎること。貴人を指す「御前様」をもじって。

差し金: 陰で人に指図し操ること。又は、指図され操られる人。元々、人形浄瑠璃の人形を操る棒や、歌舞伎で使う蝶や鳥の作り物を操る棒を意味した。

五月の鯉の吹流し(さつき-): 口は悪いが、わだかまりがなくさっぱりとした気質(江戸っ子気質)。

さわり: 曲の聞かせどころ。話の要点。近年は「冒頭部分」の意味で使われることが多いが、元々は誤用。

三羽烏(さんばがらす): ある集団において特に優れた3人。類語「御三家」「ビッグ3」。

指弾(しだん): 非難。糾弾。指をさして責める様子から。

食言(しょくげん): 簡単に発言を覆したり約束を破ったりすること。一度口から出した言葉をまた口に入れてしまうさまから。

助長: 余計な力添えで、物事の好ましくない面を更に強めてしまうこと。作物の成長を待ちきれない農民が、茎を無理やり引っ張って伸ばそうとし、枯らしてしまったという『孟子』の故事から。

序破急: 日本の各種芸道で使われる「三幕構成」の類語。世阿弥が『風姿花伝』で触れた。元々は雅楽の楽曲構成で、「序」は無拍子・低速で進み、「破」で拍子が整い、「急」で加速する。

進物(しんもつ): 目上の人への贈答品。

蒼穹(そうきゅう): 青空のこと。

齟齬: 意見や事柄が食い違って、合わないこと。歯がうまく噛み合わないさまから。

対岸の火事: 自分には影響がなく、痛くも痒くもない出来事の喩え。

建前: 表向きの指針のこと。対義語は「本音」。元々は、建築で柱・棟・梁等の主な骨組みのことを指す。

狸寝入り(空寝(そらね)、フォックス・スリープ): 眠っているふりをすること。

玉響(たまゆら): 少しの間。一瞬。元々は、勾玉同士が触れ合う微かな音のことを指す。

ちゃきちゃき: 混じり気がなく純粋なさま。純粋な血筋を意味する「嫡々」が語源。用例〈ちゃきちゃきの江戸っ子〉。

中立: 対立するどちらの側にも肩入れしないこと。実際には結構難しく、ただ黙っているだけでは、強い側に肩入れすることになってしまう場合が多い。

鍔迫り合い(つばぜりあい): 両者の実力が拮抗した激しい戦いのこと。刀の鍔に近い根元の部分を突き合わせ、押し合っている様子から。

出鱈目: いいかげんなさま。元々は「サイコロを振って出た目のままに行動する」という意味だったという説がある。

堂々巡り: 同様のことが何度も繰り返され、先に進まないこと。又は、国会で投票を行う際、議員が議場を取り囲むように並んで投票箱に順次投票する様子のこと。

徒歩: 乗り物を使わず歩くこと。不動産業界の自主ルールで「駅から徒歩○分」は、1分に80m歩いた場合の時間を指す。坂道や信号の数は考慮しない。

虎の穴: 覚悟して入るべき、厳しい場所のこと。諺「虎穴に入らずんば虎児を得ず」の虎穴から。
漫画『タイガーマスク』に登場する悪役レスラー養成機関の名前でもあり、スポーツ選手の強化施設を比喩的に「虎の穴」と呼ぶことがある。

虎の子: 大切で手離せないもの。秘蔵の金品。

虎の巻: 兵法や芸事の秘伝を記した書。転じて、実用的な参考書のこと。

泥縄: 事が起きてから準備を始めること。「泥棒を見て縄をなう」の略。〈泥縄式〉〈泥縄的〉のように使う。

二枚腰: 腰砕けになりそうな時でもならない、(一枚砕けてももう一枚腰があるかのような)腰の粘り強さ、しぶとさ、勝負強さ。

年貢の納め時: これまでの悪事を償うべき時のこと。滞納してきた年貢の清算に喩えて。

白鳥の歌: ある人が死の直前に残した最高傑作。欧州の伝承では、白鳥は死ぬ時に最も美しい声で鳴くという。

引っ張りだこ: 人気を集め、引く手あまたであること。かつては磔の刑やそれを受ける罪人を指した。

(ふさ): 小さな花や実が群がったり、細い糸が束になったりして、一塊となり垂れているもの。「葡萄の房」「座布団の房」等。

不如意: 思うままにならないさま。特に、家計が苦しいさま。

古巣(ふるす): かつて所属した場所のこと。

不調法(ぶちょうほう): 酒や芸事の嗜みがないこと。手際が悪いさま。不始末。

屁の河童: 取るに足らない簡単なこと。「木っ端の火」という言葉が「河童の屁」、さらに「屁の河童」へと変化したという説がある。

まほろば: 本当に素晴らしい場所のこと。『古事記』に登場するヤマトタケルの和歌〈倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠(こも)れる 倭しうるはし〉で知られる。

真水(まみず): 塩分や泥をほとんど含まない「飲める水」のこと。政治・経済用語としては、国民や企業の懐に直接入る類の公的予算を指したり、融資を受けた額のうち返済等に充てる分を除いた「実際に使える」金額を指したりする。

矛盾: 辻褄が合わないこと。『韓非子』の故事から。楚の国に、矛(ほこ)と盾(たて)を売る商人がいた。商人は〈私の盾は堅く、どんな矛も突き破ることはできない〉という一方で、〈私の矛は鋭くて、どんな盾でも突き破ることができる〉とも宣伝した。ある人が〈あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなるのか〉と尋ねると、商人は答えに詰まってしまった。

遣らずの雨: 帰り際の人を引き止めるかのように降り出す雨。

らっこの皮: 簡単に他人の意見に従う人のこと。撫でると自由になびくことから。

ロハ: 「無料」を表す俗語。無料を意味する言葉「只(ただ)」の漢字の分解から。

論語読みの論語知らず: 本の内容は理解できても実践に移せないこと。

飴と鞭: 厳しい弾圧と譲歩を併用すること。ビスマルクの政策を表した言葉から。英語では「carrot and stick(人参と棒)」という。

月とすっぽん: 形は似ていても全く釣り合わないものの喩え。同義語「提灯に釣鐘」。

蛙の面に水(蛙の面に小便): どんな仕打ちを受けても平気なさまの喩え。

立て板に水: よどみなく、すらすらと話すこと。対義語は「横板に雨垂れ」。

猫に鰹節: 油断ならない状況の喩え。

割れ鍋に綴じ蓋: どんな人にも相応しいパートナーがいることの喩え。英語では「Every Jack has his Jill」。

一衣帯水: 狭い隔たりしかなく互いに密接している関係のこと。元々は幅の狭い川や海峡を意味する。

一期一会: 人との出会いや多くの物事は生涯一度きりで、二度と同じ機会は訪れないので、大切にすべきだということ。元は千利休の言葉とされる。

一病息災: 全く健康な人より、1つくらい持病がある方が健康に気を遣い、かえって長生きできるということ。

海千山千: 様々な経験を積み、世の中の表も裏も知り尽くして悪賢いこと。蛇は海に千年、山に千年住むと竜になるという言い伝えから。

会者定離(えしゃじょうり): 出会った者は必ず別れるということ。

岡目八目(おかめはちもく): 当事者よりも第三者の方が、物事の真相や得失がよく分かるということ。囲碁で、第三者の方が8手先を読めるという話が由来。

隔靴搔痒: 思い通りにいかずもどかしいこと。履いた靴の上から痒い所を掻くさまに喩えて。

花鳥風月: 四季折々の自然の美しい風物・風景。類語「雪月花」。

画竜点睛(がりょうてんせい): 物事の完成に必要な、最後の重要な1ピース。訓読は「竜を画いて睛(ひとみ)を点ず」。

侃々諤々(かんかんがくがく): 遠慮なく主張しあい、盛んに議論すること。「けんけんがくがく」ではない(「喧々囂々」と混同した誤読)。

曲学阿世: 世間や権力者に受け入れられやすいよう、真理をねじ曲げること。訓読は「学を曲げ世に阿(おもね)る」。

鶏口牛後: 大きな組織の末端にいるより、小さなチームのリーダーとなる方が良いということ。『史記』の〈寧ろ鶏口と為るも、牛後と為る無かれ〉の略。

喧々囂々(けんけんごうごう): 多くの人がやかましく騒ぎ、収拾が付かないこと。

乾坤一擲(けんこんいってき): 運を天に任せ、のるかそるかの大勝負をすること。「乾」は天、「坤」は地、「擲」は(サイコロを)投げること。

巧言令色: 言葉を巧みに飾り、顔つきを和らげて人の機嫌をとること。

甲論乙駁: 意見が対立して議論がまとまらないさま。

言語道断: 具体的に説明できないほど酷く、許し難いさま。元々は仏教の真理が言葉で言い表せないことを意味した。

守株待兎(しゅしゅたいと): 一度偶然得た幸運を当てにすること、又は古い慣習に囚われ融通がきかないこと。切り株をただただ見守って、ぶつかって来る兎を待ち続けた農民の故事から。

則天去私: 自我を捨て自然に従って生きること。晩年の夏目漱石が理想にしたとされる境地。

泰山北斗泰斗): 学問や芸術等、ある道の大家とされる人。人が仰ぎ見るものの喩えとして、山の泰山、星の北斗七星から。

丁々発止: 激しく議論するさま。激しい音を立てて刀で戦うさまを表した擬音語から。

徒手空拳: 手に何も持たず、体一つで他に拠り所がないこと。

日進月歩: 日に日に進歩すること。対義語は「日陵月替(にちりょうげったい)」(日に日に衰えること)。

比翼連理: カップルが相思相愛で仲睦まじいこと。「比翼(の鳥)」は雌雄それぞれ目と翼が一つずつで、常に一体となって飛ぶ想像上の鳥。「連理(の枝)」は2本の樹木の枝が癒着結合したもので、こちらは自然界で見られる。

不撓不屈(ふとうふくつ): 強い意志をもち、苦労や困難に対して挫けないこと。

付和雷同: 人の意見にすぐ同調すること。

暴飲暴食牛飲馬食): 度を越して大量に飲み食いすること。

傍若無人: 自分勝手で迷惑をふりまくさま。訓読は「傍らに人の無きが若し」。

盲亀浮木(もうきふぼく): 出会いの難しさや奇跡の喩え。「百年に一度だけ海面に浮かび上がる盲目の亀が、流木のたった1つの穴に入ろうとするが、容易に入ることができない」という仏教説話から。

羊頭狗肉: 触れ込みは立派だが、中身が伴わないこと。類語「有名無実」「見掛け倒し」「看板に偽りあり」。羊頭を掲げておいて、羊肉ではなく狗肉を売るという中国の故事から。

磊々落々(らいらいらくらく): 心が広く、些細なことに拘らないさま。類語「磊落」「豪放磊落」。

一目置く: 相手が自分より優れていると認めること。囲碁で弱い方が予め石を置いて勝負を始めることから。

おくびにも出さない: 秘密を口にせず、隠している素振りすら見せないこと。「おくび」はゲップのこと。

肝胆相照らす(かんたんあいて-): 互いに心の底まで打ち明け、親しく付き合うこと。

狐につままれる: 狐に化かされたように、前後の事情がさっぱりわからず、ぼんやりすること。

肝を潰す: 非常に驚くこと。類語「腰を抜かす」。

肝を冷やす: 危機に遭遇し、驚き恐れて、ひやりとすること。類語「冷や汗をかく」。

糊口を凌ぐ(ここう-): どうにか生計を立てて暮らすこと。「糊口」は粥をすすることで、転じて細々とした暮らしを意味する。

三味線を弾く: 本心を悟られないよう、適当に話を合わせてごまかすこと。

天に唾する: 他人を陥れようとすれば、かえって自分が酷い目に遭うことの喩え。天に向かって唾を吐けば自分の顔に落ちてくることから。

泥を被る: 損を承知で物事を引き受けること。

ファンネルを飛ばす: 直接手をかけずに、仲間や配下、支持者を仕向けて事を進めること。特に、X等のSNSで、インフルエンサーが自らに批判的な投稿を引用することで、それを見たファンが投稿主を炎上させるさまを指して使う。
「ファンネル」は『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する、遠隔操作できる攻撃兵器。

屁の突っ張りにもならない: 全く役立たないこと。「突っ張り」は屁を抑える道具を意味すると思われるが、内実は不明。

羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく): 前の失敗に懲りて必要以上に慎重になるさま。

生き馬の目を抜く: 素早く行動するさま。又は人を出し抜いて利益を得ること。

江戸の敵を長崎で討つ: 意外な場所や筋違いなことで恨みを晴らすさま。

木に竹を接ぐ: 調和していないさま、又は筋が通らないさま。

虎口を逃れて竜穴に入る: 「一難去ってまた一難」と同義の表現。

鳶に油揚げをさらわれる: 大事なものや当然手に入るはずのものが、不意に横取りされてしまうさま。

お前百までわしゃ九十九まで、共に白髪の生えるまで:夫婦で長生きすることを願う決まり文句。「お前」は夫、「わし」は妻を指す。

賽は投げられた: 「運命に向かって事は進み始めたので、もはや引き返せず、行くしかない」という意味の決まり文句。共和制ローマ時代に属州を統治していたカエサルが、本土への進軍を決めた時の発言に由来する。
この頃、属州と本土の境になっていた小さな川がルビコン川で、後戻りできない重大な決断をすることを「ルビコン川を渡る」ともいう。

一寸の虫にも五分の魂: どんなに小さく弱い存在にもそれなりの魂や意地があり、辱めてはいけない、という意味の諺。

浮世渡らば豆腐で渡れ: 外面は生真面目でも内面は柔軟な方が世渡りしやすい、という意味の諺。

聞いて極楽見て地獄: 聞いた話と、実際に見て分かる実情は全く違う、という意味の諺。江戸いろはかるたの「き」の読み札。

子供は風の子、大人は火の子: 子どもは寒い風の中でも元気に遊び回るが、大人は寒がって火の側を離れない、という意味の諺。

児孫のために美田を買わず: 子孫に財産を残すとそれに頼って努力しなくなるので財産を残すな、という意味の諺。西郷隆盛の言葉。

朱に交われば赤くなる: 人は周囲に影響されやすく、交際する相手によって善にもなれば悪にもなる、という意味の諺。漢籍から。対句は同義語「墨に染まれば黒くなる」。

捨てる神あれば拾う神あり: 世の中には、非情な人がいる一方で、思いがけず助けてくれる人もいる、という意味の諺。

毒を食らわば皿まで: 一度罪を犯したからには最後まで悪に徹するしかない、という意味の諺。

盗人にも三分の理: 盗人の悪事にもそれなりの理由があるものだ、という意味の諺。

裸で物を落とす例なし: 元々何も持っていない人は損害を受けることもない、という意味の諺。

人の噂も七十五日(-しちじゅうごにち): 世間の噂話は長くは続かず、自然に忘れ去られるものだ、という意味の諺。

待てば海路(かいろ)の日和あり: 焦らず待てば良い機会が巡ってくる、という意味の諺。

水は方円の器に随う(-ほうえんのうつわにしたがう): 人は交友関係や環境によって良くも悪くもなる、という意味の諺。

やはり野に置け蓮華草: 草木も人も本来いるべき場所にいるのが一番美しい、という意味の諺。

李下に冠を正さず: 人から疑われるようなことはするな、という意味の諺。漢籍から。対句は同義語「瓜田(かでん)に履を納れず」。

仙台弁: 仙台市を中心とする方言。語尾「~だっちゃ」が有名。井上ひさしの小説によく登場し、そこからインスパイアされ、漫画『うる星やつら』のヒロイン・ラムの語尾にもなっている。

福井弁: 福井県嶺北地方の方言。「動詞の連用形+ね」でお願いの意味になるため、「早くして」を「はよしね」と言ってしまう。

けったい: 「奇妙」「変わっているさま」を意味する関西弁。

はいさい/はいたい: 「こんにちは」を意味する沖縄方言。男性は「はいさい」、女性は「はいたい」を使う。

めんそーれ: 「いらっしゃい」を意味する沖縄方言。

かりゆし(嘉利吉): 「めでたい」を意味する沖縄方言。元々は軽石が語源で、航海の安全についての言葉だったという説がある。

すきぴ: 若者言葉で「好きな人」や「恋人」のこと。

リアコ: 若者言葉で、有名人やキャラクターに対し「推し」の気持ちを超えて「リアルに恋する」こと。

回文: 前から読んでも後ろから読んでも同じになるフレーズや文章。以下に例文を示す(「回文21面相」等からの出典多数)。ちなみに、12/21は「回文の日」。
〈竹藪焼けた〉〈鯛焼き焼いた〉〈確かに貸した〉〈夏まで待つな〉〈怒りを理解〉〈旦那がなんだ〉〈飛び込む小人〉〈中野なのかな〉〈西が東に〉〈まさか逆さま〉〈留守に何する〉〈意外や意外〉〈インコと懇意〉〈右手バテ気味〉〈酔うとネトウヨ〉〈すまねえ寝ます〉〈寝ると太るね〉 〈寝息大きいね〉〈かっこいい国歌〉 〈居るだけで気だるい〉〈唐草か桜か〉〈関係ない喧嘩〉〈爺さん天才児〉〈既にトマト煮です〉〈スマイル猿います〉〈ゾウ買いたい!買うぞ〉〈大河にワニがいた〉〈大敵が来ていた〉〈つい会いたいあいつ〉〈農家もイモ買うの?〉〈虫鳴かず悲しむ〉〈見事な花とゴミ〉〈世の中馬鹿なのよ〉〈夜すき焼きするよ〉〈私負けましたわ〉 〈台風とうとう吹いた〉〈禁煙だんだん延期〉〈いかん下痢、無理、限界…〉〈イタ電ガンガン出たい〉〈いぶし銀、演技渋い〉〈いよっ!阪神は強い〉〈完全か不完全か〉〈官邸が滋賀移転か〉〈このライオンおいらの子〉〈つまらない恋なら待つ〉〈鶏と小鳥とワニ〉〈レアな人間になあれ〉〈鯛だ鯛だ、頂いた〉〈昼飯の楽しめる日〉〈禿げ頭にまたアゲハ〉〈似合うカツラ使う兄〉〈ズラかワカメか分からず〉 〈イカのダンスは済んだのかい〉〈飼いならした豚知らないか〉〈軽めの炭酸頼めるか〉〈筋肉ボディで僕人気〉〈釧路より鳥取よろしく〉〈全裸支持派は恥知らんぜ〉〈断然安心安全だ〉〈力無くてもテクなら勝ち〉〈どうなろうと打倒ロナウド〉〈時計は叫ぶ 今朝は行けと〉〈中居さんち地鎮祭かな?〉〈なんて尻 プリプリしてんな〉〈任天堂がうどん店に〉〈ネタ新鮮、厳選したね〉〈ママが私にしたわがまま〉 〈ズラとバレてもモテれば取らず〉〈何年経てもモテへんねんな〉 〈ナスですな 美味しいおナスですな〉〈弱いわよ 阪神は弱いわよ〉〈あなた、しまり無くなりましたなあ〉〈イタリアではトマト派でありたい〉〈来ても良い頃だろ 来いよモテ期〉〈銀だことおでんで男談義〉〈シナモンパンもレモンパンも無し〉〈全裸祭無くなりつまらんぜ〉〈断固理論派で反ロリコンだ〉〈何でも買いよる良いカモでんな〉〈世の中ね 顔かお金かなのよ〉〈悪いビジネスですね 地ビールは〉 〈軽い機敏な子猫何匹いるか〉〈素でキス出来んほど本気で好きです〉〈ダメ男子 モテ期が来ても 死んだ目だ〉〈地位得るため友に求めたる叡智〉 〈熱、咳、喉。なぜか風邪などの季節ね〉 〈なんていうか孤独 ボクどこか浮いてんな〉〈私ら過度の泥酔で喉枯らしたわ〉 〈真摯な態度崩さず口説いたな紳士〉〈やんちゃに太いが意外とフニャチンや〉〈いい若手、くさいチンチン小さくてかわいい〉〈たいてい、通夜に隙あり。空き巣、ニヤついていた〉〈灘・開成なら、並々ならない成果だな〉〈「値段の高いトロ、駄目だろ?」とイカ頼んだね〉〈松茸摘みに来て奇跡的に見つけた妻〉 〈さも道徳あるふりして尻振る悪党どもさ〉〈何ら知らないならググれ! ググらないなら知らんな〉〈利点言うと「デメリットは?」とツリ目で問うインテリ〉 〈仲良しになりたい。君の好み聞いたり、何しよかな〉〈私 開会宣言にて人間性開花したわ〉 〈「サンタっていつもどこにいますか?」住まいに子ども付いてったんさ〉 〈痛み耐え 呼気が遠のく どこからか 孤独の音が 聞こえたみたい〉 〈よく聞いて! 痛がりのケツ、痔あるはず。貼る味付け海苔がたいてい効くよ〉 まさかこの文章が回文になるなんて吃驚だろう? でも現にンゲ! モデウロダリクッビ、点なる何、ンブいかが? うょしん部のコカ様~〉。

子子子子子子子子子子子子(ねこのここねこ ししのここじし): 言葉遊び。嵯峨天皇が出題し、小野篁がたちどころに解いたと伝わる。「猫の子は仔猫、獅子の子は仔獅子」という意味。

くぁwせdrftgyふじこlp: QWERTY配列のキーボードの2段目と3段目を指で「左からダーする」と表れる文字列。文字で表せない悲鳴等を表すネットスラング。
有名な音読例に、アニメ『ゆるキャン△』('18)で主演・東山奈央が発した〈うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp〉がある。

プロコンプロスコンス、Pros&Cons): 良い点(賛成意見、長所、メリット、ポジティブ要素)と悪い点(反対意見、短所、デメリット、ネガティブ要素)のこと。元はディベート用語で、「賛成の」「反対の」を意味するラテン語に由来する。

ノルマ: 一定期間内にするべき仕事量。ロシア語。シベリア抑留者を通じて戦後使うようになった言葉。

キッチュ: 通俗的で安っぽいさま。ドイツ語。

ルンペン: 浮浪者、失業者のこと。襤褸(ぼろ)を意味するドイツ語から。

アンニュイ: 気だるげで物憂げなさま。フランス語。

エスプリ: 知性、機知、風刺の才能。フランス語。英語の「ウィット」に近い。

エリート: 広く優秀と認められる人物のこと。「選び出す」という意味のフランス語に由来する(「選ばれし者」のニュアンス)。

シルエット: 輪郭の中が塗りつぶされた単色の(通常は黒色の)画像。18cのフランスで極端な節約を唱え、絵の具を使うより安く済む影絵を好んだ財務大臣の名から。

トレビアン: とても素晴らしい。フランス語。

ルサンチマン: 弱者が強者に対して内面に抱く、憤り・怨恨・憎悪・非難・嫉妬等の感情。フランス語。ニーチェはルサンチマンの本質を「実際の行動によらず、想像上の復讐によって格差の埋め合わせを行う」ことだと批判的に指摘した。
ニーチェによれば、ユダヤ人のローマ人に対するルサンチマンから生まれたキリスト教によって、弱者は「善」、強者は「悪」という「価値の転倒」が広がったのだという。

バモス: 「さあ行こう」「頑張れ」。スペイン語。英語の「Let's go」に当たる。

MC: Master of Ceremonyの略。司会・進行。ライブの曲間のトーク。

NG: No Goodの略。

OK: Oll Korrect(All Correctのスペルミス)の略。19c前半の米国の新聞でジョーク的に使われ、広まった言葉。

a.k.a.: also known asの略。「a.k.a.○○」で「○○としても知られる」「またの名を○○」「別名○○」という意味になる。アーティスト名の表記等によく使う。

MECE(ミーシー): 「漏れなく、ダブりなく」を意味する英語の頭文字を取った言葉。論理的思考の基本概念の1つ。

VUCA(ブーカ): 「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」を意味する英語の頭文字を取った言葉。用例〈VUCAの時代〉〈VUCAに対応する〉。

WIP: Work in Progressの略。進行中の作業。制作中。

オフレコ: off the recordの略。話を記録せず、その場だけの秘密にすること。

アーキテクチャ(architecture): 建築様式、工法、構造、構成、骨組み、設計思想。コンピュータシステムの論理的構造。英語。

アサイン(assign): 割り当てる。選任する。英語。

アナクロニズム(アナクロ): 時代錯誤的であること。英語。

アブダクション: 誘拐、拉致。又は、仮説を導くための論理的推論のこと。帰納法と近いが、帰納法は仮定と結論から規則を推論するのに対し、アブダクションは規則と結論から仮定を推論する。英語。

アンカー: 錨。しんがり。リレーの最終走者。(主に海外のニュース番組で)番組をまとめ上げるメインキャスター。(ネット用語で)「レスアンカー」の略。

レスアンカー(アンカー、アンカ、安価): ネット掲示板等で、コメントのレスポンス先を指定(固定)する記号のこと。「>>(数字)」が代表的。船を固定する「錨」を指す英語が由来と思われる。

アンダーグラウンド(underground): 地下。非主流的、又は反体制的な組織や文化。英語。対義語は「オーバーグラウンド」。

アンバサダー(ambassador): 大使、使節、代理人、広報大使。英語。

クラフト(craft): 工芸。手工業。船。宇宙船。航空機。英語。力を意味するドイツ語「kraft」と同根。

コーチ(coach): 大型の乗合馬車。長距離バス。普通客車。転じて、指導者・指南者(人を望むところに送り届ける役)。元々は、四頭立て馬車の発祥地・ハンガリーのコチに由来する。

サンクチュアリ: 聖域。英語。中世において法の支配が及ばなかった教会等の聖域、鳥獣の保護区等を表すのに使う。

シャビー: しょぼい。みすぼらしい。古めかしい。英語。

ジンクス: 不運又は幸運をもたらす、根拠のない経験則。英語(但し英語では不運をもたらすものにしか使わない)。

スリット: 切れ目、隙間。英語。

ディスクロージャー(disclosure): 情報公開。英語。

デッドロック(deadlock): 行き詰まり、手詰まり、膠着状態。英語。

トランジット(transit): 通過、経由。航空においては、燃料や機内食、クルーの補充のための短時間の着陸を意味する。英語。

トランスファー(transfer): 乗り換え、移転、転勤。英語。

ニアミス(near miss): 航空機同士が危険なほど近づいてしまうミス。転じて、知り合い同士がもう少しで遭遇しそうな場所に居合わせたことや、試験問題等であと一歩で正解だったミスも意味する。英語。

バイオグラフィ(biography): 略歴。人物紹介。伝記。英語。SNSの自己紹介欄を「bio」等と略記する。

ハイブリッド(hybrid): 交雑した生物。異なる技術を組み合わせた製品。異なる言語の要素を組み合わせた語彙。イノブタを意味するラテン語に由来した英語。

バッファ(buffer): 衝撃をやわらげる装置や液。コンピュータで、データを一時的に記憶する場所。

パラダイム(paradigm): ある時代における人々の思考を規定する大きな枠組み。米国の科学史家トマス・クーンが『科学革命の構造』('62)で用い、拡大解釈されて広まった英語。
パラダイムの転換を、「パラダイムシフト」「コペルニクス的転回」等という。

パンクチュアル(punctual): 時間に正確であるさま。英語。

ファーストペンギン(first penguin): チャレンジ精神をもった個人や企業のこと。ペンギンの群れにはボスが居ないが、最初に行動を起こす1羽に従う習性によって、隊列を組んで移動したり、餌を取るために集団で海に入ったりできる。

プロパー(proper): 正規の。相応しい。本来の。正確な。固有の。(生え抜きの)正社員。専門家。正規価格。英語。

ポーション(portion): 「一人前」「(薬の)一回に飲む量」を意味する英語。ガムシロップ等を1回分ずつ小分けにした容器を「ポーションタイプ」という。

マイルストーン: 節目となる中間目標地点。英語。ドイツ語「メルクマール」とほぼ同義。

マルチモーダル: 複数のモード(方法、様式)によっていること。例えばAI等の文脈で、言葉の字面だけでなく、声色・表情・状況等を認識して情報処理を行うことを「マルチモーダルな情報処理」と呼ぶことができる。

モメンタム: 勢い。特に、相場の上昇又は下落の速さ。英語。

ラジャー(Roger): 「承知した」「了解した」を意味する英語。人名のロジャー(Roger)と同じ。「R」のかつてのフォネティックコードであり、元々は、メッセージを受信した(recieved)ことを表すために無線通信の世界で使われ、広まった言葉。

ラビリンス(labyrinth): 迷宮、迷路。英語。

リンク(link): 鎖を構成する環。結びつけるもの。関連性。ハイパーリンク。英語。

ミッシングリンク: 生物の進化系統図や、道路網において、(本来繋がっているべきであるのに)寸断され失われている部分。

ロバスト(robust): 頑丈な。強固な。堅牢な。がっしりした。力強い。英語。

prompt: 英語で「促す」。スピーチ用のカンニングモニターや、舞台袖から立ち位置や台詞を教える人を「プロンプター」という。

fragile: 英語で「脆い」「壊れやすい」。

idle: 英語で「暇な」「働いていない」。自動車が止まっている状態でエンジンを空回りさせることを「アイドリング」という。idol(偶像、アイドル)とは関係ない。

net: 英語で「正味の」。商品ラベルに、内容量(包装容器を含まない重量)という意味で「NET」と書かれることがある。

ubiquitous: 英語で「遍在している」。生活の中でいつでも、どこからでもネットにアクセスできる社会を「ユビキタス社会」という。

woke: 現代英語で「社会的不公正、人種差別、性差別などに対する意識が高い」。動詞「wake」の過去・過去分詞形でもある。

swag: 英語のスラングで「やばい」「超かっこいい」。

patriot: 英語で「愛国者」。

tips: 英語で「アドバイス」「ヒント」「コツ」「秘訣」「裏技」。

Gotcha: 英語のスラングで「了解」「見つけた!」「してやったり!」。"I got you."又は"I've got you."の略。

(あざな): かつて中国で成人の呼び名として、姓・諱以外に使った名前。劉備の「玄徳」や白居易の「楽天」等。

アラブ人の姓: 本来は姓をもたず、「名+父の名+祖父の名…」のように父祖の名を繋げる。父祖の名の前に、「-の息子の」を意味する「イブン=-」「ビン=-」を付けることもある。

ロシア人の姓: 多くの姓に男性形と女性形があるのが特徴。男性形「イワノフ」「パブロフ」「メドベージェフ」「プーチン」「スルツキー」、女性形「イワノワ」「パブロワ」「メドベージェワ」「プーチナ」「スルツカヤ」といった具合。
ウクライナ語由来の「-エンコ」系(例:プルシェンコ)等、男女の区別がない姓もある。

アプトロニム: 偶然にもその人の職業や性格を表す人名。F1レーサーのパディ・ドライバー、ポーカープレーヤーのクリス・マネーメーカー等。

タナカヒロカズ運動: 田中宏和氏が始めた、「タナカヒロカズ」という読みをもつ姓名の人々同士が繋がる運動。元々は「田中宏和運動」で90sから知られていたが、最近は同音異字の人々も対象となっている。
日本一有名な同姓同名ネットワークであり、'22年には渋谷に178人の「タナカヒロカズ」が集合、同姓同名の人々が一同に会した人数でギネス認定された。
なお、'23年にセルビアで256人の「ミリツァ・ヨバノビッチ」が集まり、タナカヒロカズの記録は破られている。

◆『和名類聚抄』: 平安時代(10c)の国語(漢語)辞典。編者は歌人としても知られる源順(みなもとのしたごう)。漢語の和訓を知るために使われることが多かった。当時の行政区画である国・郡・郷の名称を網羅し、この点でも基本史料となっている。

◆『広辞苑』: 約25万語を収録する中型の国語辞典。版元は岩波書店、編者は新村出(しんむらいずる)。'55.初版発行。'18.第7版発行。
複数の語義がある場合、よく使う順ではなく日本語史的に生じた順に掲載しているのが特徴。『大辞林』『大辞泉』と比べて新語の比率は低く、現代では滅多に使わない和語・漢語の収録が多い。

◆『大辞林』: 約25万語を収録する中型の国語辞典。版元は三省堂。'88.初版発行。'19.第4版発行。

◆『大辞泉』: 約25万語(デジタル版は約30万語)を収録する中型の国語辞典。版元は小学館。'95.初版発行。デジタル版は適宜改訂している。
「デジタル大辞泉」はコトバンク、Weblio等の無料の辞書ポータルに提供されており、Webで言葉の意味を調べると大辞泉の説明に出会うことが多い。

◆『康煕字典』(1716): 清の康熙帝が編纂させた漢字字典。康煕字典が採用した漢字の配列順は、現代の漢和辞典やUnicodeの漢字配列の元になっている。

◆『蝸牛考(かぎゅうこう)』(1930): 柳田國男の語学書。日本各地のカタツムリの呼び方を調べ、方言周圏論を提唱した。


18、文芸

サスペンス: 小説や映画のジャンルで、読者・視聴者に不安や緊張を与えようとするもの。「不安」「気がかり」を意味する英語から。

エブリデイ・マジック: 物語の類型で、ごくありふれた日常世界に、限られた超常的・魔法的要素を取り入れて物語を展開するもの。民話や説話、あまりSF小説やファンタジー小説とは呼ばれない一般小説にも、エブリデイ・マジックといえる作品は多い。

チェーホフの銃: 物語の技法で、初期に導入した要素について、後半になってからその意味や重要性を明らかにすること。

オープンエンディング: 小説や映画等で、受け取り手によって自由な解釈の余地がある終わり方のこと。

ピカレスク・ロマン(ピカレスク小説、悪漢小説): 社会の下層に位置する主人公が、一人称で自己の遍歴や冒険を物語る小説形式。
16-17cのスペインで、繁栄の裏にある貧富の差や宗教の退廃等を表し、騎士道小説等の理想主義的文学に反発する形で流行した。

デカダンス(デカダン、退廃主義): 19c末の文化シーンで隆盛した、既成のキリスト教的価値観を疑い、洗練された技巧を尊んだ芸術至上主義的な潮流。代表格はフランスのボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、英国のワイルド。

(ポエム、ポエトリー): 言葉を一定の形式等に凝縮し、美しく配置した文芸。一定のリズムをもつ韻文のものが多いが、例外も多く、散文詩と小説の境目は曖昧。
独立した文芸作品だけでなく、歌詞詩劇ももちろん詩である。詩と歌と戯曲はそもそも不可分なものであり、「歌」とは節を付けた詩に他ならないし、「戯曲」も古代ギリシアでは韻文で書かれていたように、世界各地で詩劇から発展している。
日本では近世まで、漢詩のみを「詩」と呼び、和歌、俳句、今様等の日本語由来の韻文詩は「歌」と呼んでいたため、「詩歌(しいか/しか)」と総称することも多い。

抒情詩(叙情詩、リリック): 詩人個人の内面(感情や思想)を伝える詩。

叙事詩エピック): 神話や歴史、戦争等について語り伝える詩。

切れ字: 俳句の末尾や上の句の終わりにつけ、余韻をもたらす語。「や」「かな」「けり」等。

松尾芭蕉: 江戸時代前期の俳人。伊賀の農家出身で江戸等で活躍し、滑稽や諧謔を主とした「俳諧」を、芸術的な「俳句」へと高めた。1686.〈古池や蛙(かわず)飛びこむ水の音〉。辞世の句〈旅に病んで夢は枯野を駆け巡る〉。

◆『おくのほそ道』(1702): 松尾芭蕉の東北・北陸紀行。東北紀行の部分が有名だが、現在の青森県にあたる地域だけ訪れていない。書き出し〈月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人也〉。
平泉にて〈夏草や兵どもが夢の跡〉。立石寺(現在の山形市)にて〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉。大石田にて〈五月雨をあつめて早し最上川〉。出雲崎にて〈荒波や佐渡によこたふ天の河〉。

山口素堂(-そどう): 江戸時代前期の俳人。〈目には青葉 山ほととぎす 初鰹〉(初夏の名物を視覚・聴覚・味覚で表した句)。

服部嵐雪: 江戸時代前期の俳人。芭蕉の高弟。〈梅一輪(いちりん)一輪ほどのあたたかさ〉

上島鬼貫(うえじまおにつら): 江戸時代中期の俳人。「東の芭蕉・西の鬼貫」と称された。〈行水(ぎょうずい)の捨て所なし虫の声〉。

加賀千代女(かがのちよじょ): 江戸時代中期の俳人。加賀の庶民女性。〈朝顔につるべとられて貰い水〉。

正岡子規: 俳人、歌人、作家。現在の松山市出身。旧制松山中では秋山真之と同級生。旧制第一高等学校時代はベースボール部で捕手を務め、野球用語の訳語を多数考案した。一高では夏目漱石や南方熊楠と同級生。帝大国文科中退。
結核を患い、30歳頃に寝たきりとなり晩年は病床で創作活動を行った。俳号「子規」はホトトギスを意味し、喀血した自身をホトトギスに喩えたもの。
1895.従軍記者として日清戦争に赴くも、帰国中に大喀血して重症となり、故郷の松山で療養(松山中に赴任していた漱石の家に長期滞在)。漱石の〈鐘撞けば銀杏散るなり建長寺〉へのアンサーソングとして〈柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺〉を詠む。
1898.短歌論『歌よみに与ふる書』。1902.随筆『病牀六尺(びょうしょくろくしゃく)』。

高浜虚子: 俳人、作家。現在の松山市出身。1898.俳句・文芸誌『ホトトギス』の主宰者となる。'50.〈去年(こぞ)今年貫く棒の如きもの〉。

尾崎放哉: 俳人。自由律俳句で知られる。エリートコースを歩んだ保険会社を辞め、妻とも別れて極貧の中で俳句三昧の晩年を過ごした。1925頃.〈こんなよい月を一人で見て寝る〉〈咳をしても一人〉。

種田山頭火: 俳人。自由律俳句で知られる。1926.放浪の旅に出る。〈分け入つても分け入つても青い山〉〈まつすぐな道でさみしい〉〈どうしようもないわたしが歩いてゐる〉。

中村草田男: 俳人。1931.〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉。1939.〈万緑(ばんりょく)の中や吾子(あこ)の歯生え初むる〉。

福永耕二: 俳人。'80.〈新宿ははるかなる墓碑鳥渡る〉。

◆『ホトトギス』: ホトトギス社の俳句雑誌。1897.松山で創刊。1898.東京に移り高浜虚子が継承。戦後、虚子の子、孫が引き継ぎ、'23現在は曽孫が主宰する。
初期は総合文芸誌でもあり、夏目漱石『吾輩は猫である』(1905)・『坊っちゃん』(1906)、伊藤左千夫『野菊の墓』(1906)等は『ホトトギス』で発表された。

◆『誹風 柳多留(やなぎだる)』: 江戸時代中期~末期に毎年刊行された川柳の句集。

サラっと一句! わたしの川柳コンクール: 第一生命保険が主催する川柳コンクール。歴代受賞作にはサラリーマンの悲哀をユーモラスに詠んだものが多い。「新語・流行語大賞」や「今年の漢字」と並び、世相を反映する指標として例年注目される。
元々は社内報の企画で行っていたものを一般公募に広げたもの。'87.「サラリーマン川柳」の名で公募開始。'22.老若男女を問わず幅広い人から募集するため改称。

短歌: 「五・七・五・七・七」形式の詩。「五・七・五」部分を上の句、「七・七」部分を下の句という。助数詞は「首」。

狂歌: 風刺や洒落を織り込み、滑稽味をつけた短歌。

和歌: 日本の古典詩。普通、近世以前の古典的技法を使った短歌を指すが、万葉時代に作られた長歌等も含む。

あかねさす: 「君」「昼」「紫」等にかかる枕詞。

みすずかる: 「信濃」にかかる枕詞。信濃がスズタケ(みすず)の産地であることから。

◆『万葉集』: 奈良時代後期に成立した、現存最古の和歌集。かな文字は無い時代なので、全て漢字で書かれている(万葉仮名を含む)。編纂には大伴家持が関わったと考えられる。
総歌数は4500首余。飛鳥~奈良時代の天皇・皇族、貴族、下級官人、防人、大道芸人、農民、その他様々な身分の人々が詠んだ歌を含み、作者不詳の和歌も2000首以上ある。詠み人の出身地が記され、言語学・方言学でも重要な史料である。
後世の和歌と比べて派手な技巧は少なく、賀茂真淵は素朴で率直な歌風を「ますらをぶり」と評した。

百人一首: 100人の歌人の和歌を、1人につき1首ずつ選んだ和歌集。普通、元祖である小倉百人一首を指す。

小倉百人一首: 鎌倉時代初期に、藤原定家が京都・小倉山の山荘で揮毫した百人一首。江戸時代に歌がるたとして広まり、現在の競技かるたとなっている。
飛鳥時代から鎌倉時代まで、概ね時代順に歌番号が付いている(第1番歌は天智天皇、第100番歌は順徳院)。定家の好みからか、恋の歌や秋の歌が多い。

難波津の歌: 王仁が仁徳天皇即位を祝って詠んだという和歌。競技かるたの競技開始時に序歌として詠む。〈難波津に咲くやこの花冬ごもり 今を春べと咲くやこの花〉。「花」は梅の花を指す。

柿本人麻呂: 飛鳥時代の歌人。百人一首第3番歌〈あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む〉の作者。

山部赤人(やまべのあかひと): 奈良時代の歌人。百人一首第4番歌〈田子の浦にうち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪は降りつつ〉の作者。

山上憶良(やまのうえのおくら): 奈良時代の歌人。
律令体制下の公民の貧窮を写実的に歌った長歌『貧窮問答歌』や、秋の七草の由来となった旋頭歌〈萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花〉(「朝貌(あさがお)」は桔梗を指す)の作者。

猿丸太夫: 歌人。百人一首の〈奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 声聞くときぞ秋は悲しき〉の作者とされるが詳細不明。

大伴家持: 奈良時代の公卿、歌人。『万葉集』の歌の1割以上が家持の歌で、編纂に関わったと考えられる。百人一首の〈かささぎの渡せる橋におく霜の 白きを見れば夜ぞ更けにける〉の作者。

喜撰法師: 平安時代初期の僧、歌人。六歌仙の1人。百人一首の〈わが庵は都のたつみしかぞすむ 世をうぢ山と人はいふなり〉の作者。

小野小町: 平安時代前期の女流歌人。六歌仙の1人。クレオパトラ、楊貴妃と並べて俗に「世界三大美人」という。出自は不詳だが現在の秋田県湯沢市出身という説がよく知られ、「あきたこまち」や新幹線「こまち」の由来となっている。
百人一首の〈花の色は移りにけりないたづらに 我身世にふるながめせしまに〉の作者。

蝉丸: 平安時代前期の歌人。盲僧琵琶法師の職祖という伝承がある。百人一首の〈これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬも逢坂の関〉の作者。

小野篁: 平安時代前期の公卿、文人。漢詩・和歌に秀でた。「昼は朝廷で官吏を務め、夜は冥府で閻魔大王の裁判の補佐をした」という伝説が、後代、多くの説話集に書かれた。
百人一首の〈わたの原八十島かけて漕き出でぬと 人には告げよあまのつりぶね〉の作者。

遍昭(へんじょう): 平安時代前期の僧、歌人。六歌仙の1人。百人一首の〈天つ風雲のかよひ路吹きとぢよ 乙女の姿しばしとどめむ〉の作者。

在原業平: 平安時代前期の歌人。六歌仙の1人。『伊勢物語』のプレイボーイな主人公のモデルと考えられている。
代表歌に、百人一首の〈ちはやぶる神代も聞かず竜田川 からくれなゐに水くゝるとは〉、〈ら衣つつなれにしましあれば るばるきぬるびをしぞ思ふ〉(かきつばたの歌)、〈世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし〉、〈名にし負はばいざ言問はん都鳥 我が思ふ人はありやなしやと〉等。

文屋康秀(ふんやのやすひで): 平安時代前期の歌人。六歌仙の1人。百人一首の〈吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風を嵐といふらむ〉の作者。

大友黒主: 平安時代前期の歌人。六歌仙の1人で、唯一、小倉百人一首には歌が選ばれていない。

大江千里(おおえのちさと): 平安時代前期の歌人。百人一首の〈月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど〉の作者。

藤原定家: 平安時代末期~鎌倉時代初期の公卿、歌人。『新古今和歌集』の選者の1人で、小倉百人一首の選者。自らの歌から百人一首に〈来ぬ人をまつほの浦の夕凪に 焼くや藻塩の身もこがれつつ〉を選んだ。
『源氏物語』等の古典の書写・注釈にも携わり、定家の写本は「定家本」として知られる。又、18-74歳の56年間にわたる克明な日記『明月記』を残し、超新星や彗星、オーロラとみられる現象を記している。

与謝野晶子: 歌人、詩人、思想家。現在の堺市出身。旧姓「鳳(ほう)」。歌人の与謝野鉄幹と不倫の恋に落ち、結婚した。
1901.第一歌集『みだれ髪』(代表歌〈清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき〉)は恋心を大らかにストレートに謳い、論争の的となった。
1904.日露戦争に従軍した弟を想う詩「君死にたまふことなかれ」を発表。〈すめらみことは戦いに おおみずからは出でまさね(天皇は戦争に自ら出かけられない)〉の部分が論争の的となった。
1921.男女平等教育を行う当時唯一の男女共学校・文化学院を鉄幹らと設立。1923.関東大震災で、進めていた『源氏物語』現代語訳の原稿等を失う。震災時の歌〈誰見ても親はらからのここちすれ 地震をさまりて朝に至れば〉。

石川啄木: 盛岡市出身の歌人、詩人。新聞社に勤めながら文学者としての自立を目指し、「小樽日報」記者時代は野口雨情と同僚だった。1910.生前唯一の歌集『一握の砂』。1912.26歳で結核により夭折。
人間愛・郷土愛に溢れた作品の一方、浪費癖や自分の結婚式をバックレる等、破滅的なエピソードにも事欠かない。社会主義への関心も深く、大逆事件(1911)には大きなショックを受けている。
代表歌〈たはむれに母を背負ひてそのあまり 軽(かろ)きに泣きて三歩あゆまず〉〈はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし) 楽にならざり ぢつと手を見る〉。

俵万智: 歌人。'87.第一歌集『サラダ記念日』(表題歌〈「この味がいいね」と君が言ったから 七月六日はサラダ記念日〉)が大ベストセラー。
'97.第三歌集『チョコレート革命』(表題歌〈男ではなくて大人の返事する 君にチョコレート革命起こす〉)は、不倫を思わせる歌が多く話題になった。

都々逸(どどいつ): 「七・七・七・五」形式の詩。幕末に誕生し、恋愛を主な題材とした。

萩原朔太郎: 詩人。前橋市出身。1917.第一詩集『月に吠える』。

室生犀星: 詩人、作家。号は故郷・金沢市の犀川(さいがわ)から。1919.小説『性に目覚める頃』。

北原白秋: 詩人。児童雑誌『赤い鳥』の童謡部門主幹。『赤い鳥』発表の童謡は音楽である前に「子どものための詩」であり、詩が先にあって曲は後から発表されたものも多い。
代表作に山田耕筰作曲の「あわて床屋」「からたちの花」「この道」「ペチカ」「待ちぼうけ」、中山晋平作曲の「あめふり」。

◆「五十音」(1922): 北原白秋の詩。現在では滑舌練習の代表的な朗読教材。〈あめんぼ あかいな アイウエオ…〉〈かきのき くりのき カキクケコ…〉〈なめくじ のろのろ ナニヌネノ…〉。

三木露風: 詩人。童謡で活躍した1920年代は、北原白秋と並べて「白露時代」と呼ばれる。代表作に山田耕筰作曲の「赤とんぼ」。

野口雨情: 詩人。1920年代に童謡で活躍した。代表作に本居長世作曲の「赤い靴」「七つの子」、中山晋平作曲の「シャボン玉」「証城寺の狸囃子」。

三好達治: 詩人。1930.詩集『測量船』。

中原中也: 詩人。30歳で夭折。1934.生前唯一の詩集『山羊の歌』。「サーカス」(〈ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん〉)、「汚れつちまつた悲しみに……」等を収めている。

高村光太郎: 詩人、彫刻家。高村光雲の息子。1941.詩集『智恵子抄』。「あどけない話」(〈智恵子は東京に空が無いといふ〉)等を収めている。

草野心平: 詩人。蛙をテーマとした詩が多い。'51.詩集『天』。最後の詩「冬眠」(〈●〉)は世界一短い詩とされる。

石垣りん: 詩人。銀行員として働きながら詩人として活躍した。

◆『二十億光年の孤独』('52): 谷川俊太郎の第一詩集。表題作の最後の一文〈二十億光年の孤独に 僕は思わずくしゃみをした〉。かつてハッブルは、宇宙の誕生を約20億年前とみていた。

茨木のり子: 詩人。'58.「わたしが一番きれいだったとき」。'99.詩集『倚りかからず』。

ユーカラ: アイヌが口承した叙事詩のこと。少年ポンヤウンペを主人公とする冒険譚や、神々(カムイ)を主人公とする話(神謡)がある。

◆『詩経』: 周の時代の様々な歌謡をまとめたもの。世界最古の叙情詩集。305篇あり、周の東遷(BC8c)前後のものが多いとされる。元々は単に「」と呼んだが、儒家の経典として大きな権威をもち、やがて『詩経』と呼ぶようになった。

李白: 唐の詩人。「詩仙」と称される。酒に酔い、湖に映った月を捕えようとして溺死したという。

杜甫: 唐の詩人。「詩聖」と称される。浪漫主義の李白に対し、リアリズムの詩人と評される。757.五言律詩「春望」(〈國破山河在…〉)。

◆『春暁』: 唐の詩人・孟浩然の五言絶句。〈春眠不覚暁…〉。

アブー・ヌワース: 8-9cのアッバース朝・バグダッドで活躍したアラビア語詩人。恋愛、酒、狩り等をテーマにした享楽的な作風で知られる。『千夜一夜物語』にはハールーン・アッ=ラシードの取り巻きという道化的役回りで登場する。

シャルル・ボードレール: フランスの詩人。デカダンスの代表格の1人。退廃的・官能的な作風。1857.詩集『悪の華』。

ポール・ヴェルレーヌ: フランスの詩人。デカダンスの代表格の1人。10歳下のランボーと行動を共にし、同性愛の関係にあったともいう。1869.詩「月の光」(ドビュッシーのピアノ曲「月の光」の着想元)。

アルチュール・ランボー: フランスの詩人。デカダンスの代表格の1人。家出・放浪を繰り返し権威に反抗した革命の詩人。ほとんどの詩は10代で書いた。10歳上のヴェルレーヌと行動を共にし、同性愛の関係にあったともいう。1873.詩集『地獄の季節』。

ジョン・ミルトン: イングランドの詩人。清教徒革命を支持し、言論・出版の自由を論じた活動でも知られる。1667.『失楽園』。

ジョージ・ゴードン・バイロン: 英国の詩人。情熱家で遊び人だった。1824.ギリシャ独立戦争に独立軍側で参加し、熱病で死去。名言〈事実は小説よりも奇なり〉。

百物語: 日本伝統の怪談の形式で、100本の蝋燭や行灯を照らし、1つの話が終わるごとに1本ずつ消していくというもの。

◆『宇津保物語』: 平安時代中期に書かれた長編物語。作者不詳。日本最古の長編小説とされる。

清少納言: 平安時代中期(10c末-11c初頭)の女流作家。随筆『枕草子』を著した。百人一首の〈夜をこめて鳥の空音は謀るとも よに逢坂の関は許さじ〉の作者。

紫式部: 平安時代中期(10c末-11c初頭)の女流作家。『源氏物語』や『紫式部日記』を著した。百人一首の〈巡り逢ひて見しやそれとも分かぬ間に 雲隠れにし夜半の月かな〉の作者。

桐壺: 『源氏物語』第1帖。光源氏の誕生から12歳までを描く。「桐壺」は源氏の父(桐壺帝)・母(桐壺更衣)の名となっている。

: 『源氏物語』第40帖。四季の移ろいを通し、出家を前にした光源氏の心情を描く。

雲隠: 『源氏物語』第41帖。第2部の最後の帖で、巻名だけが伝えられ、本文は存在しない。出家後の光源氏が、第3部開始までの8年間の間に亡くなったことを暗示する。
元々は本文があったが、多くの読者が源氏の死を悲しみ、世を儚んで出家してしまったために、時の天皇が内容を封印した、という伝承がある。

夢浮橋: 『源氏物語』第54帖(最終帖)。同物語の多くの巻と違い、ストリーの区切りともいえない箇所で唐突に終わる。

葵の上: 『源氏物語』の登場人物。光源氏の従姉で、最初の正妻。夫婦仲は冷淡だったが、難産の末に夕霧を産み、ようやく源氏と情愛が通い合ったのも束の間、他界してしまう。

六条御息所: 『源氏物語』の登場人物。光源氏の最も早い恋人の1人。嫉妬のあまり、生き霊として葵の上に憑りつき、死に至らしめる。

◆『和泉式部日記』: 11c初頭に成立した、和泉式部が半年余りを綴った日記文学。亡き元恋人の弟・帥宮(そちのみや)との恋愛の日々を描いている。

◆『蜻蛉日記(かげろう-)』: 10c後半に成立した、藤原道綱母が約20年間を綴った日記文学。

◆『更級日記(さらしな-)』: 11c後半に成立した、菅原孝標女(-たかすえのむすめ)(藤原道綱母の姪)が約40年間を綴った日記文学。

◆『大鏡』: 平安時代後期に書かれた歴史物語。作者不詳。190歳と180歳の老人の対話形式で、平安時代中期の藤原北家の栄華を語っている。「四鏡(しきょう)」と呼ばれる一群の歴史物語の中で最初に成立した。

◆『水鏡』: 鎌倉時代初期に書かれた歴史物語。作者不詳。「四鏡」で3番目に成立したが、最も古い時代(神話時代~平安時代初期)を扱う。

◆『堤中納言物語』: 平安時代後期以降に成立した短編物語集。「虫愛づる姫君」等の物語がある。

◆『とはずがたり(問わず語り)』: 鎌倉時代の日記・紀行文学。後深草院二条という女性が実体験を綴る形式で書かれた。昭和前期に宮内庁で発見された「新しい古典」。宮廷における愛欲の暴露本として、秘書の扱いを受けてきたという。
書名は「誰に問われるでもなく自分から語り出す」という意味。

児雷也/自来也(じらいや): 江戸時代の読本や歌舞伎に登場する、「ガマ(ガマガエル)の妖術」を駆使して権力に立ち向かう怪盗。漫画『NARUTO』では主人公・ナルトの師匠として登場。

戯作(げさく): 江戸後期から明治初期にかけて書かれた通俗小説の総称。

草双紙(くさぞうし): 江戸で隆盛した戯作の絵本。子ども向けの物も多かった。ジャンルによって表紙の色を変える文化があり、昔話等の赤本、武勇伝等の黒本、芝居の筋書きを書いた青本、大人向けの黄表紙があった。

黄表紙: 18c末の江戸で隆盛した草双紙の一群。大人向けで、田沼意次や松平定信の政治を風刺するもの等、知的で洒脱な笑いが特徴。主な作家に恋川春町(こいかわはるまち)等。

◆『東海道中膝栗毛』(1802-14): 十返舎一九の挿絵付き戯作。主人公・弥次郎兵衛喜多八(合わせて「弥次喜多」)のユーモラスな旅行記。「膝栗毛」とは、自分の膝を栗毛(馬)の代わりにした徒歩旅行のこと。

◆『うたかたの記』(1890): 森鴎外の短編。「ドイツ三部作」の1つ。ドイツ人の花売り娘・マリイと、日本人画学生・巨勢(鴎外のドイツ留学時代の友人・原田直次郎がモデルとされる)の悲恋を描く。

幸田露伴: 作家、古典研究者。文語体の擬古典作品で、東京府立一中(現・日比谷高)の同級生・尾崎紅葉と共に紅露時代を築いた。娘に幸田文がいる。1892.小説『五重塔』。1937.第1回文化勲章受章。

黒岩涙香(-るいこう): 明治・大正期のジャーナリスト、作家、遊戯研究家。1892.ゴシップ紙の先駆『萬朝報(よろずちょうほう)』を創刊。スキャンダラスな出来事をドラマチックに報道し、一時は東京で最も発行部数の多い新聞となる。
同紙には自身の小説『鉄仮面』『白髪鬼』『幽霊塔』『巌窟王』『噫無情』(いずれも海外小説を翻案したもの)を次々に掲載した。五目並べの必勝法を解明し「連珠」として競技化した人物であり、競技かるたのルールを統一した人物でもある。

徳冨蘆花: 作家。徳富蘇峰の弟。「富」ではなく「冨」の字にこだわった。世田谷区の旧宅の一帯は蘆花の名を冠した公園となっている(芦花公園)。1899.『不如帰』。

◆『坊っちゃん』(1906): 夏目漱石の中編小説。漱石の作品中、最も大衆的な作風で知られる。物語は主人公「坊っちゃん」の視点で進む。書き出し〈親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている〉。
東京出身の坊っちゃんは、物理学校(現在の東京理科大)を卒業すると、四国の旧制中学校(現在の松山東高)に数学教師として赴任。数学主任の「山嵐」や教頭の「赤シャツ」、美術教師の「野だいこ」、英語教師の「うらなり」らと出会う。
山嵐と共に、対立した卑怯な教頭・赤シャツをボコボコに殴り、学校に辞表を提出して東京に帰るところで物語は締めくくられる。

◆『吾輩は猫である』(1907): 夏目漱石の小説。中学の英語教師・珍野苦沙弥(ちんのくしゃみ)と、彼の書斎に集まる美学者・迷亭、理学者・寒月、哲学者・東風ら、明治の知識人達の日常や考え方を飼い猫の目を通してユーモアたっぷりに描く。
書き出し〈吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ〉。実際、執筆前に夏目家に猫が迷い込み、飼われることになったが、その猫もずっと名前が無かったという。
物語の最後で猫は、人間のように前後不覚になるほど愉快な気持ちを味わってみたいとビールを飲み、酔っぱらって水甕に落ち命を落としてしまう。

◆『大菩薩峠』(1913-41): 中里介山(なかざとかいざん)の巨編時代小説。約30年間、様々な新聞で連載された。
虚無にとりつかれ、衝動的な殺人を繰り返す幕末の剣士・机竜之助を主人公とし、甲州・大菩薩峠に始まる彼の旅の遍歴と周囲の人々の生き様を描く。
仏教思想やユートピア思想等、その時々の中里の思索を色濃く反映している。話は幕末から明治に入らずに架空の世界線へと迷い込み、中里の死と共に未完に終わった。

◆『カインの末裔』(1917): 有島武郎の中編小説。北海道の過酷な自然を舞台に、無知ゆえに罪を隠す、ある粗暴な農民の生活を描いた。

◆『小僧の神様』(1920): 志賀直哉の短編。秤屋で奉公する少年と、彼に寿司をご馳走する貴族院議員の出会いを描く。

吉屋信子: 作家。大正期から戦後まで長く活躍し、レズビアン、フェミニストとしても知られる。1916-25.『花物語』(少女小説の元祖とされる連作短編集)。

◆『杜子春』(1920): 芥川龍之介の短編。中国・唐代の伝奇小説『杜子春』を翻案、童話化したもの。裕福な家に生まれた若者・杜子春が、仙人と出会い、お金持ちになることよりも正直に生きることの大切さを学ぶ。

◆『侏儒の言葉(しゅじゅ-)』(1923-27): 芥川龍之介の随筆。「侏儒」は知識のない人の蔑称。「人生」について、〈地獄よりも地獄的である〉〈落丁の多い書物に似てゐる〉〈一箱のマツチに似てゐる〉と表現した。

稲垣足穂: 作家。飛行願望、メカニズム愛好、エロティシズム等をモチーフに作品を書いた。1923.短編集『一千一秒物語』。

川端康成: 作家。大阪府出身、東京帝大国文科卒。1926.『伊豆の踊子』。1935-48.『雪国』。'49-54.『山の音』。'61-62.『古都』。
'68.ノーベル文学賞受賞(日本人初)、講演「美しい日本の私―その序説」を行う。'71.三島由紀夫の葬儀委員長を務める。'72.72歳でガス自殺。

◆『山椒魚』(1929): 井伏鱒二の短編。成長しすぎて岩屋から出られなくなってしまった山椒魚の悲嘆を描いた。やがて山椒魚は悪党となり、蛙を岩屋に閉じ込め道連れにする。

徳永直(-すなお): プロレタリア作家。1929.『太陽のない街』。1938.『はたらく一家』。

直木三十五: 作家、脚本家。1931.『南国太平記』(お由羅騒動を描いた)。直木三十五賞に名を残す。

太宰治: 作家。現在の青森県五所川原市出身、東京帝大仏文科中退。左翼活動で挫折後、自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながら多くの小説を書いた。
1935.第1回芥川賞に『逆行』でノミネート。1940.『走れメロス』。1944.『津軽』。'45.『お伽草紙』。'47.『斜陽』。'48.『人間失格』、愛人と玉川上水に入水し38歳で心中死。

◆『走れメロス』(1940): 太宰治の短編。書き出し〈メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した〉。末尾の注釈〈古伝説と、シルレルの詩から〉。古代ギリシアの伝承と、シラーの詩を元にしている。

◆『駈込み訴え』(1940): 太宰治の短編。イスカリオテのユダがイエス・キリストに対して抱いていた感情を述べる物語。

◆『貨幣』('46): 太宰治の短編。百円紙幣の視点で、戦時中に生きる人々の姿を描いた。

石川達三: 作家。1935.『蒼氓』で第1回芥川賞受賞。1938.日中戦争に取材した『生きてゐる兵隊』が即日発禁処分となる。'68.『青春の蹉跌』。

◆『蒼氓』(1935): 石川達三の小説。第1回芥川賞単独受賞作。ブラジルに移民した貧農達の姿を描く。「蒼氓」は人民を意味する。

火野葦平: 作家。1938-39.日中戦争従軍中に書いた『麦と兵隊』等の兵隊3部作が大ベストセラーに。戦闘渦中の兵士の生々しい人間性を描いた。

◆『夫婦善哉(めおとぜんざい)』(1940): 織田作之助の短編。'55.森繁久彌主演で映画化。

芹沢光治良(せりざわこうじろう): 作家。1942.『巴里に死す』。

◆『細雪』('47): 谷崎潤一郎の小説。戦前の大阪を舞台に、船場の旧家・蒔岡家の4姉妹の生活を綴った。

◆『桜の森の満開の下』('47): 坂口安吾の短編。山賊の前に現れた妖艶な美女にまつわる物語を幻想的に描いた。

原民喜(-たみき): 作家。広島で被爆した体験を、短編小説『夏の花』('47)や詩『原爆小景』('50)に残した。

◆『贋作 吾輩は猫である』('50): 内田百閒の小説。百閒の師匠・夏目漱石の『吾輩は猫である』の続編。主人公の猫が水がめから這い上がると、そこは前作の37年後の世界だったという導入で始まる。

檀一雄: 作家。「最後の無頼派」。娘に檀ふみがいる。'50.『リツ子・その愛』。'51.『真説石川五右衛門』等で直木賞受賞。'75.遺作『火宅の人』。

◆『火宅の人』('75): 檀一雄の遺作。家庭を顧みず放蕩を重ねる作家を描いた自伝的小説。'86.映画化。深作欣二監督、緒形拳主演。

柴田錬三郎: 作家。剣客ブームを巻き起こし、時代小説に新風を送った。'56-.『眠狂四郎』シリーズ。

伊藤整(-せい): 作家。ローレンス『チャタレイ夫人の恋人』を邦訳したが、猥褻文書の頒布であるとして'57年に有罪となった。

◆『海と毒薬』('57): 遠藤周作の小説。太平洋戦争中に九州帝大で行われた、捕虜米兵の生体解剖事件が題材。

◆『天平の甍(いらか)』('57): 井上靖の歴史小説。鑑真を日本に招くため、遣唐使となった僧侶・普照らの苦難を描く。「甍」は瓦屋根のこと。

大江健三郎: 作家。愛媛県内子町出身、東大仏文科卒。戦後民主主義の支持者を自認し、核兵器や天皇制等の社会的問題や、知的障害をもつ長男(作曲家の大江光)をテーマにした作品も多い。
'58.『飼育』で東大在学中に芥川賞受賞、『芽むしり仔撃ち』。'64.『個人的な体験』。'67.『万延元年のフットボール』。'79.『同時代ゲーム』。'94.ノーベル文学賞受賞、講演「あいまいな日本の私」を行う。

水上勉: 作家。'63.社会派ミステリ『飢餓海峡』。'79.金閣寺放火事件('50)を取材したノンフィクション『金閣炎上』。

◆『』('66-68): 司馬遼太郎の歴史小説。封建制度の崩壊を予見し、長岡藩を武装中立国にする理想をもちながら、武士道を貫き戊辰戦争で官軍と戦った河井継之助(-つぎのすけ)の生涯を描く。

◆『花神(かしん)』('69-71): 司馬遼太郎の歴史小説。戊辰戦争で天才的な軍才を振るい、日本陸軍の祖となった大村益次郎の生涯を描く。

◆『菜の花の沖』('79-82): 司馬遼太郎の歴史小説。高田屋嘉兵衛とゴローニン事件が題材。

◆『街道をゆく』('71-96): 司馬遼太郎の紀行文集。独自の視点で国内外の歴史、地理、人物等を考察した。全43巻。

◆『この国のかたち』('86-96): 司馬遼太郎が『文藝春秋』の巻頭で連載した歴史エッセイ。全6巻。

色川武大: 作家。'69-72.阿佐田哲也名義で連載した『麻雀放浪記』が麻雀ブームを起こした。'88.『狂人日記』。

◆『落日燃ゆ』('74): 城山三郎の小説。広田弘毅の生涯を描く。

◆『愛と幻想のファシズム』('84-86): 村上龍の小説。主人公・鈴原冬二が日本の独裁者となるストーリー。アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の人物名の多くは、この小説の登場人物名に由来する。

島尾敏雄: 作家。日本列島や南西諸島を地理的に包括する「ヤポネシア」という概念を提唱した。'77.『死の棘』。

田辺聖子: 作家。'78-79.『新源氏物語』(『源氏物語』の大胆な現代語訳、「田辺源氏」とも)。'84.『ジョゼと虎と魚たち』。

◆『風の歌を聴け』('79): 村上春樹のデビュー作の小説。大学生「僕」の東京から神戸への夏の帰省を描く。

◆『ノルウェイの森』('87): 村上春樹の小説。上下2巻。上巻は『世界の中心で、愛をさけぶ』('01)に抜かれるまで、日本の小説単行本の発行部数歴代1位だった。赤と緑のクリスマスカラーでまとめた鮮やかな装丁が印象的。
主人公の大学生・ワタナベの女性達とのセックスや、過去に執着する女性(直子)と未来志向の女性(緑)の間で揺れるさまを描く。
作中でワタナベは作者の村上と同じく、神戸出身で、東京の私大(モデルは早大)で演劇を専攻し、右翼的な団体が運営する学生寮(モデルは和敬塾)に入寮する。タイトルは、作中に度々登場するビートルズの曲「ノルウェーの森」から。

◆『握手』('84): 井上ひさしの短編。仙台の児童養護施設出身の主人公と、かつてそこで園長を務めたルロイ修道士の再会の場面で始まる。

◆『帝都物語』('85): 荒俣宏の伝奇小説。20cのほぼ100年間を舞台に、平将門の怨霊によって帝都(東京)破壊を目論む魔人・加藤と、その野望を阻止する人々との攻防を描いた。
様々な実在の人物を登場させつつ、荒俣の博物学や神秘学の知識を総動員した作品。この作品のヒットで風水が日本に定着した。

◆『ぼくらの七日間戦争』('85): 宗田理(そうだおさむ)の小説。廃工場に立て籠もり、教師や親に反抗する中学生達を描く。映画版('88)は宮沢りえの女優デビュー作。

清水義範: 作家。名古屋市出身。パスティーシュ、パロディの名手。'87.『国語入試問題必勝法』。

高橋源一郎: 作家。散文詩的な文体で言語を異化し、パロディやパスティーシュを駆使する前衛的な作風。'88.『優雅で感傷的な日本野球』(第1回三島賞受賞作)。

◆『青春デンデケデケデケ』('90): 芦原すなおの小説。60s半ばを舞台に、ベンチャーズに憧れてロックバンドを組んだ高校生の青春を描いた。直木賞受賞作。

辺見庸: 作家。'91.『自動起床装置』(芥川賞受賞作)。

塩野七生(-ななみ): 作家。イタリアに住み、イタリアの歴史を題材とした小説を多数著す。七生は本名で、7月7日生れであることに由来する。'92-06.『ローマ人の物語』。

北方謙三: 作家。80sにハードボイルド作家としてデビュー。'96-98.『三国志』。'00-.『大水滸伝』シリーズ。

伊集院静: 作家。元電通社員、CMディレクター、作詞家。'81.作詞した「ギンギラギンにさりげなく」(近藤真彦)がヒット。'85.妻・夏目雅子と死別。'94.『機関車先生』。'11.自伝的小説『いねむり先生』。

赤瀬川隼(-しゅん): 作家。多くの作品で野球を題材とした。弟に赤瀬川原平(尾辻克彦)がいる。'95.『白球残映』(直木賞受賞作)。

保坂和志: 作家。'95.『この人の閾』(芥川賞受賞作)。

◆『マリアビートル』('10): 伊坂幸太郎の小説。東北新幹線車に乗り合わせた殺し屋同士の攻防を描く。'22.ハリウッドで『ブレット・トレイン』として映画化。ブラッド・ピット主演。

舞城王太郎: 経歴不明の覆面作家。'03.『阿修羅ガール』(三島賞受賞作)。'04.『好き好き大好き超愛してる』。

◆『博士の愛した数式』('03): 小川洋子の小説。記憶が80分しか持たない数学者が、家政婦の「私」とその息子に心を通わせていく物語。第1回本屋大賞受賞作。

辻村深月: 作家。山梨県出身。小学生の時から綾辻行人の大ファンで、ペンネームの「辻」は綾辻から取った。デビューのきっかけになったメフィスト賞受賞は綾辻からの電話で知ったという。
'04.『冷たい校舎の時は止まる』(メフィスト賞受賞作)。'10.『ツナグ』。'12.『鍵のない夢を見る』(直木賞受賞作)。'17.『かがみの孤城』(本屋大賞受賞作)。

◆『イニシエーション・ラブ』('04): 乾くるみの恋愛小説。ミステリ的などんでん返しの展開で知られる。

綿矢りさ: 作家。'04.『蹴りたい背中』で史上最年少の19歳で芥川賞受賞。

金原ひとみ: 作家。'04.『蛇にピアス』で20歳で芥川賞受賞。綿矢りさの同時受賞がなければ、史上最年少受賞だった。

角田光代(かくた-): 作家。'07.『八日目の蝉』。

万城目学(まきめまなぶ): 作家。京大法学部では宇治原史規(ロザン)と同期。'07.『鹿男あをによし』。'09.『プリンセス・トヨトミ』。'23.『八月の御所グラウンド』(直木賞受賞作)。

吉田修一: 作家。'07.『悪人』。'10.『横道世之介』。

◆『余命10年』('07): 小坂流加の小説。作者自身が難病を患っており、出版の10年後に死去した。'22.映画化。小松菜奈・坂口健太郎主演。

川上未映子: 作家。夫は阿部和重。'07.『乳と卵(ちちとらん)』(芥川賞受賞作)。近年はフェミニストとしても知られ、敬愛する村上春樹との対談でも、彼の小説で「女性が性的な役割を担わされ過ぎている」と直接指摘した。

◆『悪の教典』('10): 貴志祐介のサイコホラー小説。人気の高校教師が徐々に周りの人々を毒牙にかけ、やがて大惨劇を起こすストーリー。'12.映画化。三池崇史監督、伊藤英明主演。

◆『何者』('12): 朝井リョウの小説。当時の若者達の就職活動を描いた。'16.佐藤健主演で映画化。

◆『教場』('13-): 長岡弘樹の小説。警察学校が舞台。'20-.ドラマ化。木村拓哉主演。

知念実希人(-みきと): 作家、医師。'14-.『天久鷹央の推理カルテ(あめくたかお-)』シリーズ。

◆『月の満ち欠け』('17): 佐藤正午の小説。直木賞受賞作。岩波書店から「岩波文庫的」(岩波文庫のパロディ装丁)で文庫化された。

◆『そして、バトンは渡された』('18): 瀬尾まいこの小説。血の繋がらない親の間を「リレー」されて育った主人公の成長を描く。本屋大賞受賞作。

凪良ゆう: 作家。BL作家出身。『流浪の月』('19)、『汝、星のごとく』('22)で本屋大賞を受賞。2度受賞者は恩田陸に続く2人目。

◆『流浪の月』('19): 凪良ゆうの小説。「DVを受けていた少女」と「少女を匿っていた大学生」という関係性の過去をもつ男女を描く。本屋大賞受賞作。'22.映画化。監督は李相日、主演は広瀬すず・松坂桃李。

宇佐見りん: 作家。'20.『推し、燃ゆ』(芥川賞受賞作)。

◆『同志少女よ、敵を撃て』('21): 逢坂冬馬のデビュー小説。独ソ戦が題材。本屋大賞受賞作。

◆『成瀬は天下を取りにいく』('23): 宮島未奈の小説。大津市を舞台に、興味の赴くままに様々なチャレンジをする女子・成瀬あかりを描く。

◆『三国志演義』: 14c(元末明初期)の中国で羅貫中が書いたという歴史小説。中国四大奇書中国四大名著の1つ。漢王朝の血を引く高潔な主人公・劉備と、専横を振るう曹操の対立軸を中心に三国時代を描いた。

◆『紅楼夢』: 18cの清で曹雪芹(そうせっきん)らが書いた長編白話小説。上流階級の男女の心理を丁寧に描き、『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』と並ぶ中国四大名著の1つ。

アレクサンドル・プーシキン: ロシアの詩人、作家。ロシア文学に口語を取り入れた「ロシア近代文学の父」。1820.叙事詩『ルスランとリュドミラ』。1825-32.韻文小説『エフゲーニイ・オネーギン』。1834.小説『スペードの女王』。1836.小説『大尉の娘』。
1937.妻に執拗に言い寄る男と決闘し、重傷を負い死去。

◆『外套』(1842): ゴーゴリの短編小説。'80年以来、ロシアの有名アニメ作家ユーリ・ノルシュテインが映像化に取り組んでいるが、一向に完成しない。
主人公は、真面目で貧しい下級役人アカーキー。彼は、着古しすぎて修繕不可能となった外套に別れを告げ、生活を切り詰めて貯めたお金で新しい外套を手に入れた。
地道な持ち仕事だけが生き甲斐で、役所でも蔑まれていたアカーキーだが、新調した外套を着て出勤すると、同僚達はその話題で持ちきりとなり、なぜか祝杯をあげる騒ぎに。
ところがその祝杯の夜、帰りの夜道でアカーキーは追い剝ぎに逢い、新しい外套を盗まれてしまう。警察や有力者にもあしらわれ、失意の内に死んだ彼は幽霊となり、夜な夜な盗まれた外套を捜しに現れる。

フョードル・ドストエフスキー: トルストイと並ぶ19cのロシアの大文豪。人間の欲望や情念と、正教信仰に基づく人間愛との相克を雄弁に描いた。1866.『罪と罰』。1868.『白痴』。1871.『悪霊』。1880.『カラマーゾフの兄弟』。

◆『罪と罰』(1866): ドストエフスキーの小説。「人類にとって有益な自分は凡庸な人間を殺しても良い」と考え強盗殺人に及んでしまった主人公・ラスコーリニコフの罪の意識や、人間回復への強烈な願望を描く。ミステリの要素もある。
登場人物・ソーニャの台詞〈いますぐ、すぐに行って、十字路に立つんです、おじぎをして、まず、あなたが汚した大地に接吻なさい。それから四方を向いて、全世界におじぎをなさい〉〈いっしょに苦しみましょうよ、一緒に十字架を負いましょうよ!〉。

レフ・トルストイ: ドストエフスキーと並ぶ19cのロシアの大文豪。貴族生まれで世界的に成功を収めながら、貧民のための慈善活動にお金を注ぎ貧しい暮らしを送った。
徹底した反戦・非暴力主義者でもあり、多くの尊敬を集め、世界各国の政治・社会にも影響を与えた。1869.『戦争と平和』。1877.『アンナ・カレーニナ』。1885.『イワンの馬鹿』。1899.『復活』。

◆『静かなドン』(1926-40): ミハイル・ショーロホフ(ソ連)の大河小説。WWIやロシア革命に翻弄された黒海沿岸・ドン地方のコサックの生き方を描く。スターリンが愛読したという。

◆『巨匠とマルガリータ』(1929-40): ミハイル・ブルガーコフ(ソ連)の小説。モスクワに悪魔が現れ奇想天外な出来事が繰り広げられる。ソ連当局には体制批判と受け止められ生前の刊行が叶わず、'66年に初めて出版された。
名台詞〈原稿は決して燃えない〉。

アレクサンドル・ソルジェニーツィン: ソ連の作家。『イワン・デニーソヴィチの一日』('62)でシベリアの強制収容所(ラーゲリ)の生活を告発し、ノーベル文学賞を受賞。
ソ連国内では発禁、やがて国外追放され、西欧や米国を転々として作家活動を続けた。ソ連解体前後に名誉回復され、ロシアに帰国した。

◆『悪童日記』('86): アゴタ・クリストフ(ハンガリー)がフランス語で執筆した小説。戦時下のある国で、逞しく強かに生きる双子の少年を描いた。

◆『毛皮を着たヴィーナス』(1871): マゾッホの小説。貴婦人ワンダに奴隷として仕えるゼヴェリーンが、乱暴な扱いに快感を覚えるさまを描いた。

ライナー・マリア・リルケ: オーストリアの詩人、作家。オーギュスト・ロダンの秘書を務めた経験がある。1910.『マルテの手記』。

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ: 神聖ローマ帝国(現ドイツ)の作家、科学者、政治家。近代初期の欧州を代表する教養人。
25歳で出版した小説『若きウェルテルの悩み』(1774)は欧州中でベストセラーになり、ナポレオンの青春期の愛読書でもあった。その後、30代半ばまでヴァイマル公国で政治家としての活動に集中。宰相も務めた。
その後は古典の美に目覚め、シラーと共にドイツ文壇の古典主義時代を築いた。80代まで創作活動を続け、60年越しの大作『ファウスト』は死後出版された。シューベルトの曲で有名な「魔王」「野ばら」の作詞者でもある。
生涯を通して恋多き男で、最後の恋は70歳を過ぎてから、17歳の少女に熱烈に恋し、求婚までしている。

◆『ファウスト』(1832): ゲーテの長編詩劇。2部構成。ゲーテが60年かけて書き続けたライフワーク。ドイツで16cから語り継がれてきた伝説を翻案したもの。
世界を知り尽くしたところでどうにもならないと絶望する博士・ファウストと、悪魔・メフィストフェレス(メフィスト)が、「ファウストを満足させたらメフィストが魂をもらう」と契約し、様々な経験をする。

◆『ブッデンブローク家の人々』(1901): トーマス・マンの小説。マン自身の一族(リューベックの商家)の興亡を描く。北杜夫『楡家の人びと』('64)に大きな影響を与えた。

エーリヒ・マリア・レマルク: ドイツの作家。2度の世界大戦と全体主義に翻弄される民衆を一貫して描いた。1928.『西部戦線異状なし』。

◆『少年の日の思い出』(1931): ヘッセの短編小説。蝶の収集が題材。70年以上に渡って日本の中学校の国語教科書に載っている。登場人物・エーミールの台詞〈そうか、そうか。つまり君はそんなやつなんだな〉。

◆『随想録(エセー、エッセイ)』(1580): モンテーニュ(仏)の随筆集。西洋で随筆を「エッセイ」と呼ぶ由来となった作品。

スタンダール: フランスの作家。小説を通じて復古王政を批判した。1830.『赤と黒』。1839.『パルムの僧院』。

ジョルジュ・サンド: フランスの男装の女流作家。初期のフェミニスト。作曲家・ショパンの最後の恋人。次々とパートナーを変えたサンドにとって、ショパンは最も長い恋人だった。

ギュスターヴ・フローベール: フランスの作家。客観的で精密な文体で、写実主義文学を確立した。1857.『ボヴァリー夫人』。

◆『レ・ミゼラブル』(1862): ユゴーの小説。1本のパンを盗んだことをきっかけに、長い監獄生活・逃亡生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を描く。
1902-03.黒岩涙香が翻案小説『噫無情(ああ-)』連載。'80.フランスでミュージカル化(クロード=ミシェル・シェーンベルク作曲)。'12.ミュージカル映画化(ヒュー・ジャックマン主演)。

エミール・ゾラ: フランスの自然主義文学の作家。画家のポール・セザンヌとは幼馴染で、印象派絵画を支援する芸術論も著した。1877.『居酒屋』。1885.『ジェルミナール』。

◆『ジャン・クリストフ』(1904-12): ロマン・ロラン(フランス)の小説。ベートーヴェンをモデルにした音楽家ジャン・クリストフの生涯を描く。

◆『チボー家の人々』(1922-40): ロジェ・マルタン・デュ・ガール(フランス)の長編大河小説。裕福な家庭出身の兄弟2人と、その友人の、3人の少年を中心に物語を展開する。

アンドレ・マルロー: フランスの作家。世界各国を転々とした経験を元に作品群を残した。1933.『人間の条件』。戦後はド・ゴール政権で閣僚を務めた。

◆『人間の条件』(1933): マルローの小説。上海クーデター(1927)下における上海の共同租界を舞台に、先進国出身者の苦悩や傲慢をリアルに描き、高い評価を得た。

◆『異邦人』(1942): カミュの小説。ふとしたことで殺人を犯してしまった主人公ムルソーは、裁判で殺人の動機を〈太陽が眩しかったから〉と述べる。書き出し〈きょう、ママンが死んだ〉。

メアリー・シェリー: 英国の作家。メアリー・ウルストンクラフトの娘。1818.ゴシック小説『フランケンシュタイン』。

◆『蠅の王』('54): ウィリアム・ゴールディング(英)の小説。ヴェルヌの『十五少年漂流記』の舞台を架空の未来に移し、孤島に漂着した少年らが原始的な悪に染まってい行く姿を描いた。

◆『吸血鬼ドラキュラ』(1897): ブラム・ストーカー(アイルランド)のホラー小説。現代の吸血鬼像に強い影響を与えた。

サガサーガ): 中世アイスランド(主に12-13c)の古典で、古ノルド語で書かれた散文物語のこと。現代では、壮大で叙事詩的なファンタジー作品にこの名を冠することが多い。

◆『白鯨』(1851): メルヴィルの小説。太平洋を舞台に、数々の船を沈めた伝説のマッコウクジラ「モービー・ディック」との闘いに執念を燃やす船乗り達を描く。〈勝負に生き、勝負に死ぬのです!〉。
カフェチェーン「スターバックス」の店名は、本作に登場する航海士スターバックに由来する。

オー・ヘンリー: 米国の作家。短編の名手。1905.『最後の一葉』『賢者の贈り物』。

◆『秘密の花園』(1911): バーネットの小説。伯父の屋敷に引き取られた少女の成長を、従弟や使用人達と共に荒れた庭を再生させる過程を通して描く。

F・スコット・フィッツジェラルド: 米国の作家。妻のゼルダと共に狂騒の1920年代(ジャズ・エイジ)を代表するセレブで、NYやパリで奔放な生活を送った。
最期はアルコールに溺れて亡くなり、葬儀への参列者は少数で、ゼルダも参列しなかった。その顛末は、自身の作品で、死後、米国文学史上屈指の名作と評価されることになる『グレート・ギャツビー』の主人公と重なる。

◆『グレート・ギャツビー(華麗なるギャツビー)』(1925): F・スコット・フィッツジェラルドの小説。'06.村上春樹が翻訳。'13.レオナルド・ディカプリオ主演で映画化。
語り手が友情を築く謎めいた富豪・ギャツビーは、酒の密輸(当時の米国は禁酒法時代)で財を成し、夜な夜な豪華絢爛なパーティーを開いている。その真の目的はただ1つ、かつての恋人・デイジーの気を引くためだった。
彼の計画通り、金持ちの夫とうまくいっていないデイジーは、もっと金持ちになったギャツビーと再会し、よりを戻す。しかしある時デイジーは、ドライブ中に夫の不倫相手を車で轢き殺してしまう事件を起こす。
デイジーの夫は被害者の夫に「犯人はギャツビーだ」と吹き込む。ギャツビーは仇討ちで射殺されてしまう。
毎晩たくさんの人を集めていたギャツビーだが、葬儀への参列者はわずか数人。ギャツビーが築いた人間関係のほとんどは、お金で結び付いた人間関係だった。デイジーとの関係も例外でなく、葬儀に彼女の姿は無かった。

ゼルダ・フィッツジェラルド: 米国の作家。夫はF・スコット・フィッツジェラルド。狂騒の1920年代(ジャズ・エイジ)を生きた有名な美女で、当時の「フラッパー」の代表的な存在。
ゼルダとスコットのもつれあう嫉妬や怨嗟、冷笑に満ちた結婚生活は、双方の作品で題材となっている。

◆『武器よさらば』(1929): ヘミングウェイの小説。WWI中のイタリアを舞台に、軍人と従軍看護師の恋を描いた。

◆『風と共に去りぬ』(1936): マーガレット・ミッチェル(米)の生涯唯一の小説。タイトルは南北戦争という「風」と共に、米国南部の白人貴族社会が消え「去った」ことを意味する。主人公は南部の大農場主の娘で気性の激しいスカーレット・オハラ
作品の大部分は、1920年代のミッチェルの病気療養中に書かれた。最終章から書き出し、章は飛び飛びに書き進められた。長い間、読者は夫だけだったが、友人に「あなたが小説を書けるはずがない」と言われて腹を立て、出版社に持ち込んだという。
1939.映画化。ヴィクター・フレミング監督、ヴィヴィアン・リー主演。

◆『怒りの葡萄』(1939): スタインベックの小説。農業の機械化を進める資本家達と、オクラホマの土地を追われルート66を通ってカリフォルニアに移っていった貧困農民層との軋轢・闘争が題材。

ウィリアム・バロウズ: 米国の作家。ビート・ジェネレーションの代表格。'59.『裸のランチ』。デビュー前に妻を射殺する事件を起こしている。

アレックス・ヘイリー: 米国の作家。黒人。'65.『マルコムX自伝』(口述筆記)。'76.『ルーツ』(自らの家系の歴史を辿った作品)。

マイケル・クライトン: 米国の作家。'70.『五人のカルテ』(TVドラマ『ER緊急救命室』原案)。'90.『ジュラシック・パーク』。

ガブリエル・ガルシア=マルケス: コロンビアの作家。'67.『百年の孤独』。'82.ノーベル文学賞受賞。

ホルヘ・ルイス・ボルヘス: アルゼンチンの作家。1944.短編集『伝奇集』。'69.『幻獣辞典』では古今東西の架空の怪物を記した。

パウロ・コエーリョ: ブラジルの作家。'88.『アルケミスト - 夢を旅した少年』。'98.『ベロニカは死ぬことにした』。

倒叙: 最初に犯人が明かされ、犯人側の視点、又は犯人側と捜査側の両方の視点で進むミステリの形式。TVドラマの『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』はこの形式。

イヤミス: 後味の悪さを狙ったミステリのこと。得意とする作家に湊かなえ等。

江戸川乱歩: ミステリ作家。本格派から幻想・怪奇小説まで手掛けた。ペンネームはエドガー・アラン・ポーのもじり。実際に探偵として、探偵事務所に勤務した経歴がある。
1923.短編『二銭銅貨』でデビュー。1925.『D坂の殺人事件』『人間椅子』。1929.『押絵と旅する男』。1930.『孤島の鬼』『黄金仮面』。1936.『怪人二十面相』。

野村胡堂: 作家。1931-57.『銭形平次捕物控』シリーズ。「あらえびす」のペンネームで音楽評論家としても活躍した。

◆『黒死館殺人事件』(1934): 小栗虫太郎(むしたろう)のミステリ小説。日本三大奇書の1つ。神秘的・抽象的な犯罪と、超論理の推理と捜査を展開する衒学趣味ミステリ。

◆『虚無への供物』('64): 中井英夫のミステリ小説。日本三大奇書の1つ。

西村京太郎: ミステリ作家。十津川警部が登場する鉄道ミステリや、探偵・左文字進シリーズで知られる。速筆・多作であり、600冊以上の小説を残した。

山村美紗: 京都市出身のミステリ作家。「トリックの女王」。映像化作品多数。娘に山村紅葉がいる。

◆『御宿かわせみ(おんやど-)』シリーズ('73-'05): 平岩弓枝の人情捕物帖シリーズ。舞台は幕末の江戸。

ガリレオシリーズ('96-): 東野圭吾の連作ミステリシリーズ。主人公は「ガリレオ」の二つ名をもつ物理学者・湯川学(まなぶ)。理系出身の作者ならではの科学的トリックを使った話が多い。有名な長編に『容疑者Xの献身』。
'07.「月9」でドラマ化。'08.『容疑者Xの献身』映画化。'13.「月9」で第2シーズン放送。いずれも福山雅治主演。第1シーズンや『容疑者X』では柴咲コウ、第2シーズンでは吉高由里子が助演。

◆『白夜行』('99): 東野圭吾のミステリ小説。ある殺人事件の被害者・容疑者それぞれの子が辿る運命を描く。

◆『さよならドビュッシー』('10): 中山七里のミステリ小説。大火傷を負いながら懸命にピアニストを目指す少女が、不可解な事件に巻き込まれていく。続編に『おやすみラフマニノフ』『いつまでもショパン』等。

◆『ファーストラヴ』('18): 島本理生のミステリ小説。直木賞作品。父親を刺殺し逮捕された女子大生や、事件を取材する臨床心理士を通じ、現代社会における家族の闇を描く。

新川帆立(しんかわほたて): ミステリ作家、弁護士、元プロ雀士。女性。東大法学部卒。司法修習中に麻雀のプロテストに合格、1年間プロ雀士として活動した。'20.『元彼の遺言状』で「このミステリーがすごい!」大賞受賞。

剣持麗子: 新川帆立のミステリに登場する弁護士。敏腕で容姿端麗だがお金に貪欲。ドラマ『元彼の遺言状』('22)では綾瀬はるかが演じる。

◆『モルグ街の殺人』(1841): エドガー・アラン・ポーの短編。世界初のミステリといわれる。名探偵オーギュスト・デュパンの初登場作。

ジェームズ・モリアーティ: シャーロック・ホームズシリーズに登場する元数学教授。ホームズ最大の宿敵。

星新一: 作家。SF御三家の1人、「ショートショート(掌編小説)の神様」。星一(星薬科大学の創立者、星製薬の創業者)の子で、父の死後短期間、星製薬の社長を務めた。'58.『ボッコちゃん』『おーい でてこーい』。

◆『時をかける少女(時かけ)』('67): 筒井康隆のSF小説。ラベンダーの香りを嗅いだことでタイムリープの能力を身につけた中学3年生の少女が、能力を通じて重ねていく経験や感情を、サスペンスやロマンスを交えて描く。
大林宣彦監督の実写映画('83)、細田守監督の実写映画('06)等、頻繁に映像化されている。

ジュール・ヴェルヌ: フランスの作家。「SFの父」。1864.『地底旅行』。1865.『月世界旅行』。1869-70.『海底二万里』。1873.『八十日間世界一周』。1888.『十五少年漂流記(二年間の休暇)』。

◆『八十日間世界一周』(1873): ヴェルヌの冒険小説。ポーカーフェイスな英国貴族・フォッグは、インドに東西横断鉄道が出来たという新聞記事を読み、80日あれば船と鉄道で世界一周できると計算して、実現可能か紳士クラブの仲間達と賭けをする。
フォッグはフランス人の召使いと共に、東廻りの世界一周の旅に出る。道中、数々のトラブルに見舞われながら、機転やお金で乗り越え、目的を果たしていく。
インドでは鉄道はまだ工事中で乗ることができず、代わりに高価な象を買い、騎乗して走破。この間に葬列の一行と出くわし、宗教上の決まりで殉死させられるところだった若い未亡人を救出。共に旅することになり、物語のラストではフォッグと結婚する。
中国のアヘン窟、米国の大陸横断鉄道を襲うインディアン等、19c後半ならではの事物もたっぷり登場。主人公を銀行強盗の犯人と考え、地球一周分追いかけてくることになるトリックスターの刑事との関係性も、話の展開を面白くする。
なお、出版時はちょうど、英国の旅行会社による世界初の商業的な世界一周団体ツアーの第1回が行われ、222日かけて日本を含む世界各地を回っている最中だった。
1889年には、NYの女性新聞記者が紙上企画で、フランスのヴェルヌ邸に立ち寄りながら72日で世界一周を実現している。

レイ・ブラッドベリ: 米国のSF作家。'50.『火星年代記』。'53.『華氏451度』(451℉≒233℃≒紙の自然発火温度)では本の所持や読書が禁じられた社会を描いた。

フィリップ・K・ディック: 米国のSF作家。映画『ブレードランナー』『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』の原作小説を書いた。

◆『スローターハウス5』('69): カート・ヴォネガットの小説。ドレスデン爆撃と時間旅行を取り上げた。タイトルは「第5屠殺場」を意味する。

◆『星を継ぐもの』('77): ジェームズ・P・ホーガン(米)のSF小説。「チャーリー」と呼ばれる人物の遺体が月面で発見されるところから物語が始まる。

◆『グイン・サーガ』('79-): 栗本薫の長編ファンタジー。遺言によって栗本の死後も公式に書き継がれ、'23現在、既刊170巻を超える。

小野不由美: 作家。大分県中津市出身、京都市在住。'91-.『十二国記』。'98.『屍鬼』。夫は綾辻行人。

◆『空の境界(から-)』('98-): 奈須きのこの伝奇小説。'10-.漫画化(星海社のWebサイト「最前線」設立に伴い連載開始)。

◆『鹿の王』('14): 上橋菜穂子のファンタジー小説。謎の病を巡る物語。本屋大賞受賞作。'22.アニメ映画化。

◆『ファンタスティック・ビースト』シリーズ(ファンタビ)('16-): ハリー・ポッターシリーズのスピンオフ映画シリーズ。主人公は魔法動物学者のニュート・スキャマンダー。若き日のダンブルドアや、闇の魔法使いゲラート・グリンデルバルドも登場する。

◆「分福茶釜(ぶんぶく-)」: 日本民話。和尚が手放した茶釜(狸の化身で、頭・足・尻尾が生える)が綱渡り等の芸をし、これを見世物に屑屋が財を築き、儲けをお布施すると共に、茶釜を元の寺(群馬県館林市の茂林寺)に返還する。

◆『5分後に意外な結末』: 学研の児童文学シリーズ。各話5分程度の時間で読めるオリジナル作品、欧米の小話、都市伝説等の短編集。'13.第1巻刊行。

◆『雪渡り』(1921-22): 宮沢賢治の童話。賢治が生涯で唯一原稿料を受け取った作品だという。主人公の四郎とかん子、狐達が歌う作中歌〈堅雪かんこ、しみ雪しんこ…〉。

◆『春と修羅』(1924): 宮沢賢治の生前唯一の詩集。妹の死を描いた「永訣の朝」(〈あめゆじゅ とてちて けんじゃ〉〈Ora Orade Shitori egumo〉)が有名。「永訣」は永遠の別れのこと。

◆『グスコーブドリの伝記』(1932): 宮沢賢治の童話。イーハトーブの森に生まれた少年が、苦心の末に火山局の技師になる話。

◆『十力の金剛石(じゅうりき-)』: 宮沢賢治の生前未発表の童話。王子達が宝石を探す話。丘いっぱいに十力の金剛石が降り、あらゆるものを潤し、輝かせる様子が描かれる。

◆『ツェねずみ』: 宮沢賢治の生前未発表の童話。「ツェ」という名の何でも他人のせいにする鼠が、しまいには鼠捕りにかかってしまう話。

◆『大造じいさんとガン』(1941): 椋鳩十の童話。小学校の国語の教科書に長年採用されている。猟師の大造と、翼に真っ白な混じり毛をもつ雁の頭領「残雪」との対決を描く。

◆『バッテリー』('96-05): あさのあつこの児童小説。飛び抜けた才能と傲慢なまでの自信を持つピッチャー原田巧と、バッテリーを組むキャッチャー永倉豪の1年間の物語。少年達の真剣な対峙と美しい背景描写、キレの良い文章が魅力。

エーリッヒ・ケストナー: ドイツの作家。児童文学で有名。1929.『エーミールと探偵たち』。1933.『飛ぶ教室』。'49.『ふたりのロッテ』『動物会議』。

◆『家なき子』(1878): エクトール・アンリ・マロ(仏)の児童小説。少年レミが旅芸人のおじいさんに引き取られ、旅と多くの出会いを通して成長していく。

◆『ドリトル先生』シリーズ(1920-52): 児童文学シリーズ。オウムのポリネシアから動物語を教わった英国の博物学者・ドリトル先生が主人公。第1作『ドリトル先生アフリカゆき』。

セルマ・ラーゲルレーヴ: スウェーデンの作家。児童文学で有名。1907.『ニルスのふしぎな旅』。1909.女性初のノーベル文学賞受賞。

◆『人魚姫』(1837): アンデルセンの童話。主人公の人魚姫は、海で溺れている人間の王子を助け、その王子に恋してしまう。人間の世界に行きたい人魚姫は魔女と契約し、と引き換えにを得て、「王子に愛されなければ海の泡となってしまう」という過酷な条件も受け入れる。宮殿で王子と過ごし可愛がられる人魚姫だが、声を失ったため、溺れていたところを助けたのは自分だと主張できない。やがて王子は隣国の姫と愛し合うようになり、人魚姫は泡となってしまう。

◆『ロードス島戦記』('88-93): 水野良の小説。元ネタはTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』。10年に渡って中学・高校図書館の貸出率1位を記録する大ヒット作となり、ライトノベルの祖とされる。

◆『フォーチュン・クエスト』('89-20): 深沢美潮のライトノベル。冒険ファンタジー。

◆『スレイヤーズ』('90-): 神坂一(かんざかはじめ)のライトノベル。自称「美少女天才魔道士」のリナ=インバースを主人公とする冒険ファンタジー。

◆『魔術士オーフェン』('94-): 秋田禎信のライトノベル。冒険ファンタジー。

◆『おいしいコーヒーのいれ方』('94-'20): 村山由佳のライトノベル。ラブコメ系。

◆『ブギーポップ』シリーズ('98-): 上遠野浩平(かどのこうへい)のライトノベル。1作目は『ブギーポップは笑わない』。
ラノベの流行の中心が、「剣と魔法のファンタジー」から「学園もの現代ファンタジー」へと移るきっかけとなった、エポックメイキングな大ヒット作。

◆『フルメタル・パニック!』('98-11): 賀東招二のライトノベル。主人公は、高校に生徒として潜入した傭兵組織のエージェント。ロボット兵器が登場する。

◆『キノの旅』('00-): 時雨沢恵一のライトノベル。『銀河鉄道999』に影響を受けたという、1話完結型の寓話的ファンタジー。

◆『灼眼のシャナ』('02-12): 高橋弥七郎のライトノベル。イラストはいとうのいぢ。少年と異能力者の少女の出逢いを発端に、日常と戦いの日々を描く。

◆『半分の月がのぼる空』('03-06): 橋本紡のライトノベル。『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒットにラノベ界から続いた、不治の病に侵された少女を主人公とする恋愛小説。

◆『とある魔術の禁書目録(インデックス)』('04-): 鎌池和馬(かまちかずま)のライトノベル。超能力や兵器等オーバーテクノロジー尽くしの「科学サイド」と、聖書や魔術等オカルト尽くしの「魔術サイド」の対立を描いたバトルアクション。

◆『ゼロの使い魔』('04-): ヤマグチノボルのライトノベル。異世界召喚もの。

◆『ソードアート・オンライン』('09-): 川原礫(かわはられき)のライトノベル。現実世界とリンクしたVR MMORPGを描く。

榎宮祐(かみやゆう): ブラジル出身のイラストレーター、ラノベ作家。'12-.『ノーゲーム・ノーライフ』(作・画)。

◆『ノーゲーム・ノーライフ』('12-): 榎宮祐のライトノベル。天才ゲーマー兄妹の空と白(合わせて「  (空白)」)が、一切の争いをゲームで解決する異世界で活躍する。

◆『この素晴らしい世界に祝福を!(このすば)』('13-20): 暁なつめのライトノベル。異世界転生物。

五大文芸誌: 『新潮』(新潮社)、『文學界』(文藝春秋)、『群像』(講談社)、『すばる』(集英社)、『文藝』(河出書房新社)。いずれも純文学を中心とする。月刊誌が多いが『文藝』のみ季刊。

小説家になろう: 日本を代表する小説投稿サイト。閲覧に特化した「小説を読もう」等の関連サイトもある。'04.設立。
10sに、「小説家になろう」から書籍化される小説や、その中で特に多い異世界もののラノベを指す、「なろう系」という言葉が浸透した。

カクヨム: KADOKAWA、はてなが共同開発した小説投稿サイト。'16.設立。

芥川龍之介賞芥川賞): 文藝春秋が主催する、新進作家による短編・中編の純文学作品に与える文学賞。年2回、最大2作品が受賞する。ノミネート作のほとんどは五大文芸誌の掲載作。1935.創設。


19、演劇・映画

当て書き: 配役を決めてから、演じる人物をイメージして脚本を書くこと。三谷幸喜らが多用する。

三一致の法則: フランス古典演劇で提唱された、戯曲は24時間以内の(時の一致)、1つの場所で起こる(場の一致)、1つの行為が完結する(筋の一致)物語を扱うべきとするもの。

コメディ・リリーフ: 演劇で、深刻な場面で緊張を解くために登場する、滑稽な役回りの登場人物のこと。

デウス・エクス・マキナ: 古代ギリシア悲劇等でよく使われた戯曲の演出技法で、収拾が付かなくなった局面を、神のような絶対的な力をもつ存在の登場で収束させること。「機械仕掛けの神」を意味するラテン語。

かぶりつき: 劇場の最前列の客席のこと。

ランスルー: 演劇等において、作品を通しで行う稽古のこと。

がなりマイク: リハーサルで演出家や舞台監督が指示を出すマイクのこと。

松竹: 演劇・映画の制作・興行・配給会社。昭和以降、歌舞伎の興行を独占的に行い、歌舞伎座新橋演舞場・南座(京都)・大阪松竹座は松竹の専用劇場となっている。
映画制作ではかつてホームドラマを得意とし、小津安二郎山田洋次等の名監督を生んだ。
傘下に松竹芸能劇団新派松竹新喜劇松竹京都撮影所、松竹マルチプレックスシアターズ(シネコン「MOVIX」「ピカデリー」の経営)、BS松竹東急がある。
1902.共に京都の演劇興行主だった白井松次郎・大谷竹次郎の双子が松竹(1937年までの読みは「まつたけ」)を設立。1920.映画制作に進出。1931.日本初の本格的トーキー『マダムと女房』。'51.日本初のカラー劇映画『カルメン故郷に帰る』。

ワキ方: 能でワキ(状況の説明をしたり、主人公(シテ)と戦ったりする、能面を付けない役)を演じる能楽師の職掌。

てれこ: 歌舞伎で、2種類の異なる筋を、1幕おきに交互に展開すること。転じて、互い違いになっているさまを指す言葉。

隈取(くまどり): 歌舞伎の化粧法。赤は善人、青は悪人、茶は妖怪を表す。

人形浄瑠璃: 江戸時代の大坂で成立した伝統芸能で、人形を使った浄瑠璃。人形劇の一種。現代における唯一の興行元は大阪・文楽座で、「文楽(ぶんらく)」とも呼ぶ。
太夫(語り)、三味線弾き、人形遣いで成り立つ三位一体の技芸。1体の人形を普通、3人の人形遣いで操作する。

◆『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』(1715): 近松門左衛門の人形浄瑠璃。鄭成功の明朝復興運動が題材。
鄭をモデルとする作中の主人公は「和藤内(わとうない)」で、日本人の母、中国人の父をもつため「和(日本人)でも唐(中国人)でもない」という洒落から名付けられた。

宝塚歌劇団: 兵庫県宝塚市を拠点とするミュージカル/レヴュー劇団。宝塚音楽学校を卒業した未婚の女性だけで構成する。阪急電鉄の一部門。
団員は「タカラジェンヌ」と呼ばれ、の5組に分かれて公演を行う。組を超えて出演するベテランは専科として在籍する。
スターシステムを採用しており、各組の主演男役・娘役は「トップスター」と呼ばれ、特に主演男役の人気が高い。ファン用語で推しメンは「ご贔屓」と呼ばれる。
常時2000席以上の大劇場で公演するため、遠目からでも表情が分かるよう、メイクが非常に華やかなのも特徴。
1913.少女達を集め結成。小学校卒の少女に大卒者並の給与を払う厚遇だった。1918.東京進出。1924.初代宝塚大劇場(3000席以上)完成。

宝塚音楽学校: 宝塚市にある、宝塚歌劇団の女優養成所。予科・本科合わせた2年制。かつては「女士官学校」と呼ばれるほどの厳しさで知られた。

添い遂げ退団: 宝塚歌劇団で、同組の主演男役・娘役が同時退団すること。大地真央と黒木瞳('85)が代表例。

わらび座: 秋田県仙北市を拠点とする劇団。'48.前身の劇団が結成。'53.仙北市で現在の劇団名となる。
日本では劇団四季、宝塚歌劇団に次ぐ規模の劇団であり、有名俳優をメインキャストに招く大都市公演から学校の芸術鑑賞会まで、ストレートプレイ、ミュージカル、音楽ライブ、伝統芸能等、様々な舞台を手掛ける。
公演活動の他にも、劇場(仙北市のわらび劇場、愛媛県東温市の坊っちゃん劇場)・温泉・ホテルの経営、地ビール「田沢湖ビール」の製造・販売、各種ワークショップ等、多角的な経営を行ってきた。

文学座: 東京の劇団。1937.岸田國士、久保田万太郎らが結成。樹木希林、寺島しのぶら、多くの名優を輩出した。現在の代表は角野卓三。

劇団俳優座: 東京の劇団。1944.結成。仲代達矢、田中邦衛、原田芳雄ら、多くの名優を輩出した。

劇団青年座: 東京の劇団。'54.結成。西田敏行、竹中直人ら、多くの名優を輩出した。現在も高畑淳子らが所属する。

演劇集団 円: 東京の劇団。'75.芥川比呂志、岸田今日子、橋爪功(現代表)らが結成。

劇団☆新感線: 大阪発(現在の拠点は東京)の劇団。'80.結成。主宰者は演出家・いのうえひでのり。古田新太らが所属する。
ハードロックやヘヴィメタルを大音量で流し、派手な照明を使った、いのうえのエンタメ性の高い演出で有名。時代活劇(いのうえ歌舞伎)、ミュージカル、コメディ等、幅広いジャンルを扱う。

こまつ座: 東京の劇団。'83.結成。元主宰者は作家・劇作家の井上ひさし。井上の没後も井上作品専門の劇団として、活発に公演している。

演劇集団キャラメルボックス: 東京の劇団。'85.結成。上川隆也らを輩出した。

大人計画: 東京の劇団。'88.結成。主宰者は劇作家・演出家・俳優の松尾スズキ。宮藤官九郎、阿部サダヲ、星野源らが所属する。

劇団ひまわり: 日本の児童劇団、芸能事務所。'52.結成。全国各地に俳優・声優養成所がある(特に子役の養成所として有名)。
宮野真守、新津ちせらが所属する。水谷豊、松坂慶子、古谷徹、真田広之、高山みなみ、入野自由、加藤清史郎らを輩出した。

小山内薫: 劇作家。「新劇の父」。1924.築地小劇場(日本初の新劇の常設劇場)を土方与志と共に開設。

唐十郎(から-): 劇作家、演出家、作家。新宿を拠点に活動した劇団「状況劇場」の主宰者で、寺山修司と並ぶ60s-70sのアングラ演劇の旗手。'83.芥川賞受賞。

三谷幸喜: 劇作家、脚本家、演出家、映画監督。喜劇を得意とする。全作品を当て書きで作り、再演で役者の交替が生じれば台本を改訂する等、こだわりが強く、自身が関与できない形での上演許可は基本的に出さない。
'90.戯曲『12人の優しい日本人』。'94-.ドラマ『古畑任三郎』シリーズ脚本。映画監督としての代表作に、『ラヂオの時間』('97)(自身の戯曲の映画化)、『THE 有頂天ホテル』('06)、『ステキな金縛り』('11)、『記憶にございません!』('19)等。
歴史好きで、NHK大河ドラマの脚本家としても影響力があり、『新選組!』('04)、『真田丸』('16)、『鎌倉殿の13人』('22)を手掛けた。
なお、若手時代にアニメ『サザエさん』の脚本を数作品手掛けたが、タラちゃんが夢の中で筋肉増強剤でマッチョになり五輪に出るストーリーが(放送されたものの)プロデューサーの逆鱗に触れ、降板したという。

平田オリザ: 劇作家、演出家。自然な会話を重んじた「現代口語演劇」を提唱。'94.戯曲『東京ノート』。

福田雄一: 劇作家、脚本家、演出家、映画監督。「コメディの奇才」。「福田組の風神・雷神」と称されるムロツヨシ・佐藤二朗をほとんどの作品で起用している。'11-.ドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ。'17-.実写映画『銀魂』シリーズ。

土方与志: 演出家。1924.築地小劇場(日本初の新劇の常設劇場)を小山内薫と共に開設。1934.共産主義運動との関わりにより、華族として初めて爵位を剥奪されソ連に亡命。帰国後は治安維持法違反で戦後まで収監された。

宮本亞門: 演出家。ダンサー・振付師出身で、ストレートプレイからミュージカル、オペラ、歌舞伎まで、様々な舞台の演出を手掛ける。新橋・日比谷の劇場街で育ち、中高生時代に自殺未遂や引きこもりも経験したことを自著で綴っている。

◆『ハムレット』: シェイクスピアの四大悲劇の1つ。デンマークの王子・ハムレットは、父(先代の王)を殺したのが叔父(現在の王)だと知り復讐を誓うが、誤って恋人オフィーリアの父である宰相を殺してしまう。
オフィーリアは悲しみのあまり狂い、溺死する。王は、父と妹の仇をとろうとするオフィーリアの兄・レアティーズと結託し、毒剣と毒入りの酒を用意して、ハムレットを剣術試合に招く。
最終的に、王妃は毒入りの酒を誤って飲み、王もレアティーズもハムレットも毒剣で傷を負い、主要人物はみな死んでしまう。名台詞〈生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ〉。

◆『夏の夜の夢』(『真夏の夜の夢』): シェイクスピアの喜劇。結婚に関する男女の問題を、天真爛漫な妖精・パックが媚薬で解決してしまう。

ドン・ファン(ドン・ジョヴァンニ): 17cのスペインの戯曲に登場するプレイボーイ。17c以降、欧米の文学作品等で、プレイボーイの代名詞となった。
作中のドン・ファンは、ある女性を誘拐し、その父である貴族ドン・フェルナンドを殺した。墓場でドン・フェルナンドの石像を見つけたドン・ファンは、戯れに石像を宴に招待する。すると宴に本当に石像が現れ、パニックの中、ドン・ファンを地獄に引きずり込む。

ベルトルト・ブレヒト: ドイツの劇作家、演出家。異化効果を演劇に取り入れるなど、理論家としても後世に影響を与えた。1928.音楽劇『三文オペラ』。WWII中は各国に亡命、戦後は東ドイツで活動した。

◆『屋根の上のヴァイオリン弾き』('64): ブロードウェイ・ミュージカル作品。原作は19c末の、ウクライナのユダヤ人作家による小説。ユダヤ人の牛乳屋・テヴィエとその家族の物語。ユダヤ人迫害(ポグロム)等を題材とする。
'67-.日本版上演(東宝制作)。テヴィエ役は森繁久彌('94~西田敏行、'04~市村正親)。

◆『ファニー・ガール』('64): ブロードウェイ・ミュージカル作品。往年のブロードウェイ・スター、ファニー・ブライスの波乱万丈の人生を描く。オリジナル版の主演はバーブラ・ストライサンド。代表曲「People」。

◆『キンキー・ブーツ』('12): ブロードウェイ・ミュージカル作品。原作は映画、音楽はシンディ・ローパー。靴工場の経営難に喘ぐチャーリーとドラァグクイーンのローラが男性用ハイヒールの製作に奮闘する内容。
'16-.日本版上演。チャーリー役は小池徹平、ローラ役は三浦春馬('22~城田優)。

映画(シネマ、キネマ): 元々の定義は、長いフィルムに連続撮影した画像を映写機でスクリーンに投影し、上映する作品。
近年では撮影・上映方法に関係なく(むしろほとんどの作品がフィルムを使わず、ビデオカメラでデジタル撮影されるようになった)、映画館で上映する作品や、映画館で観るように1本ごとに集中して鑑賞されることを目的とした動画作品全般を指す。

カチンコ: 映画撮影で、録画開始時にカメラの前で打ち鳴らす道具。拍子木と小さな黒板から成る。

血糊: 映画のスプラッターシーンの演出等で使われる、血液に似せた赤い液体。

日活ロマンポルノ('71-88): 日活が手掛けたポルノ映画のレーベル。当時の日活は、TVの普及に伴う映画人口減少に対抗するため、一般映画を離れて成人映画に特化する道を選んだ。
「10分に1度の濡れ場」さえあれば自由に撮ってよいという条件で、多くの監督が自身の作風を見出すことになり、後の一般映画界を支える相米慎二や森田芳光を輩出している。

ハリウッド五大メジャー(ビッグ5): 米国大手、かつ世界大手の映画製作・配給グループであるディズニー、ユニバーサル、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズ、パラマウントの総称。
いずれもハリウッド近辺に本社機能や主要スタジオをもつ。米国の映画産業におけるシェアは8割超。

ウォルト・ディズニー・カンパニー(ディズニー): 米国のメディア&エンターテインメント・コングロマリット。LA近郊に本社を置く。
傘下にウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀スタジオ、マーベル・スタジオ、ルーカスフィルム、ピクサーABCディズニー・チャンネルESPNナショナル・ジオグラフィックDisney+Huluマーベル・コミックス
世界一有名なキャラクター群(ミッキーマウス等)の権利を抱えるだけに、テーマパークの運営や、キャラクタービジネスも基幹事業となっている。
テーマパーク群としてのディズニーリゾートは米国内に2つ(フロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート、カリフォルニア州アナハイムのディズニーランド・リゾート)、国外に4つ(東京上海香港パリ)ある。
創業者ウォルト・ディズニーの時代には、世界初の長編アニメやカラーアニメを作り、世界の文化に大きなインパクトをもたらしたが、ウォルトの死('66)後、スタジオは暫く低迷していた。
90sから再び黄金期を迎えたことで、ABCの買収を皮切りに、世界一のメディア&エンターテインメント・コングロマリットへと変貌していった。近年は過去の自社アニメを片っ端から実写映画化している。

NBCユニバーサル: 米国のメディア&エンターテインメント・コングロマリット。傘下にユニバーサル・ピクチャーズ、ドリームワークス・アニメーションNBC
最大のライバル・ディズニー同様、テーマパーク事業も大きく、主なパークがハリウッド、オーランド、大阪(USJ)、北京、シンガポールにある。
いずれも本来のコンセプトは「映画のセットを身近に観られるテーマパーク」だったが、近年、ファミリー層向けに方向転換。NBCユニバーサルグループだけでなく、他社の映画やゲーム、キャラクター等をベースにしたエリアやアトラクションも多い。
ブランド名と「地球儀マーク」を共有するユニバーサルミュージックは、現在はグループ企業ではない。

ユニバーサル・ピクチャーズ: NBCユニバーサル傘下の映画製作・配給グループ。ハリウッド五大メジャーの1つ。1912.設立。米国における現存最古の映画スタジオである。

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー: '22年にワーナーメディアとディスカバリーが合併して出来たメディア&エンターテインメント・コングロマリット。傘下にワーナー・ブラザース、CNNHBOディスカバリー・チャンネルDCコミックス
ブランド名を共有するワーナーミュージックは、現在はグループ企業ではない。

ワーナー・ブラザース: ワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下の映画製作・配給グループ。ハリウッド五大メジャーの1つ。ニュー・ライン・シネマDCフィルムズ等のサブスタジオをもつ。1923.ワーナー4兄弟が設立。

アラン・スミシー: 米国の映画業界で、監督が製作会社と関係がこじれて降板した等の理由で名前が使えない時に、監督名としてクレジットされる偽名。『ハートに火をつけて』('90)(実際の監督はデニス・ホッパー)等の監督名となっている。

ワールドプレミア: 映画界で、世界で最初に作品を披露する試写会のこと。

TOHOシネマズ: 東宝系のシネコンチェーン。国内スクリーン数はイオンシネマに次ぐ2位。「シネマイレージ」というポイントサービスを行っている。

◆『NO MORE 映画泥棒』: 独特なパントマイムの動きを見せる「カメラ男」が映画を盗撮して捕まる内容の犯罪防止啓発CM。'07年から全国の映画館で本編上映の直前に流されている。

ファスト映画: 映画の映像を無断で使い、字幕やナレーションを付けて結末までの内容を短くまとめた違法動画のこと。'21.日本で初めて投稿者が逮捕され、有罪判決が出た。

川村元気: 映画プロデューサー、映画監督、脚本家、作家。東宝のプロデューサーとして、『電車男』('05)、『告白』('10)、『悪人』('10)、『モテキ』('11)、『君の名は。』('16)、『何者』('16)等のヒットを支えた。

牧野省三: 映画監督。「日本映画の父」。300本以上の映画を撮ったが、多くは戦災で失われた。1908.『本能寺合戦』。

◆『マダムと女房』(1931): 五所平之助監督、松竹制作の映画。日本初の本格的トーキー。

丹下左膳: 時代劇で有名な、隻眼隻腕の架空の剣士。戦前・戦後に多くの映画が作られた。大河内傳次郎の当たり役。

溝口健二: 映画監督。社会や男性の犠牲となる女性の姿をリアルに描いた。1939.『残菊物語』。'52.『西鶴一代女』。'53.『雨月物語』。'54.『山椒大夫』。

◆『姿三四郎』(1943): 黒澤明の初監督映画。柔道が題材。大ヒットし、続編やリメイク、多くの類似作品が生まれた。

◆『デルス・ウザーラ』('75): 黒澤明監督の映画。日本・ソ連合作。アカデミー外国語映画賞受賞作。
原作は、ロシア帝国時代末期にハバロフスク地方や沿海地方を旅した探検家の探検記録。シベリアの雄大な自然を背景に、探検のガイドを務める先住民の猟師デルス・ウザーラとの交流を描く。

◆『』('85): 黒澤明監督の映画。仲代達矢主演。シェイクスピアの『リア王』等を元ネタに、架空の戦国大名の家督譲渡に端を発する3人の息子との確執、兄弟同士の骨肉の争いと破滅を描く。

円谷英二: 特撮技術監督、円谷プロ創業者、証明写真ボックスの発明者。'54.『ゴジラ』。'66-.特撮ドラマ『ウルトラQ』『ウルトラマン』。'67-.特撮ドラマ『ウルトラセブン』。

◆『三大怪獣 地球最大の決戦』('64): 本多猪四郎監督、円谷英二特撮技術監督の映画。地球三大怪獣(ゴジラ・モスラ・ラドン)と、本作初登場の宇宙怪獣であるキングギドラを対決させ、シリーズで初めてゴジラを善玉として描いた。
特撮ドラマ『ウルトラQ』('66)から本格的に始まる怪獣ブームを準備するヒット映画となった。

◆『青春残酷物語』('60): 大島渚監督の映画。当時の若者達にとって60年安保闘争の失敗と葛藤を象徴する映画となった。
フランスのヌーヴェルヴァーグのように、若者の視点で奔放な性愛や政治的主張を描く「日本ヌーヴェルヴァーグ」の潮流を生んだ記念碑的作品。

◆『愛のコリーダ』('76): 大島渚監督のハードコア・ポルノ映画。日本・フランス合作。阿部定事件(1936)を題材に、男女の愛欲の極限を描いた。

◆『にっぽん昆虫記』('63): 今村昌平監督の映画。母娘孫3代に渡る女性のセックスを通し、昆虫のような生命力に満ちた生き様をエネルギッシュに描いた。

◆『ニッポン無責任時代』('62): 植木等が主演したクレージーキャッツ映画の第1作。高度経済成長における「モーレツ社員」へのアンチテーゼ的なコメディ映画。主題歌は植木等「無責任一代男」。

◆『昭和残侠伝』シリーズ('65-): 高倉健主演の任侠映画シリーズ。理不尽な権力者に戦いを挑む主人公の生き様は、思想の左右を問わず当時幅広い層から人気を得た。

◆『日本のいちばん長い日』('67): 岡本喜八監督の映画。原作は日本の無条件降伏の日('45.8.15.)を描いた半藤一利のノンフィクション。
阿南惟幾陸相を三船敏郎、鈴木貫太郎首相を笠智衆、昭和天皇を8代目松本幸四郎(初代松本白鸚)が演じた。昭和天皇在位中の作品であり、天皇役は遠景や手、声のみの出演で表情は映されていない。

◆『肉弾』('68): 岡本喜八監督の映画。岡本自身の戦争体験を基に、特攻していった若者達を「悲劇のヒーロー」と見なす当時の社会通念を嘲笑うかのようにブラック・コメディに仕立てた。

◆『幸福の黄色いハンカチ(しあわせ- )』('77): 山田洋次監督の映画。第1回日本アカデミー最優秀作品賞受賞作。
北海道を舞台に、刑期を終えた男(高倉健)が妻(倍賞千恵子)に会いに行くまでの、旅仲間(武田鉄矢、桃井かおり)との道中を描く。ラストシーンの舞台は夕張市。

◆『武士の一分』('06): 山田洋次監督の時代劇映画。藤沢周平の短編を原作とする「海坂藩3部作」の3作目。興収40億円以上で、松竹配給作品の最高記録を更新した。木村拓哉主演、檀れい助演。音楽は冨田勲で、藤原道山が尺八を担当。

◆『転校生』('82): 大林宣彦監督の青春映画。原作は児童文学『おれがあいつであいつがおれで』。一緒に石段を転げ落ち、心と体が入れ替わってしまう少年と少女を描く。

◆『あの夏、いちばん静かな海。』('91): 北野武監督の恋愛映画。サーフィンに熱中する聾啞の青年が主人公。桑田佳祐監督の『稲村ジェーン』に対抗して作られたという。

樋口真嗣: 特撮技術監督、映画監督。'95-99.平成ガメラシリーズ。'06.『日本沈没』。'12.『のぼうの城』。'15.『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。'16.『シン・ゴジラ』。

◆『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』('07): SFコメディ映画。洗濯機型のタイムマシンで歴史を遡り、バブル崩壊の阻止を目指す話。阿部寛、広末涼子主演。

園子温: 映画監督。'09.『愛のむきだし』。'11.『冷たい熱帯魚』。'12.『ヒミズ』。'13.『地獄でなぜ悪い』。'22.セクハラ・性行為強要が告発される。

◆『ミッドナイトスワン』('20): トランスジェンダーやバレエを題材にした映画。草彅剛主演。

◆『燃えよドラゴン』('73): 香港のカンフー映画。ブルース・リー主演。まだ10代のジャッキー・チェンが端役で出演している。

ウォン・カーウァイ: 香港の映画監督。'94.『恋する惑星』。'00.『花様年華(かようねんか)』。

サタジット・レイ: インドの映画監督。'55.『大地のうた』。

◆『バーフバリ』シリーズ('15-17): インド映画。古代インドの架空の国を舞台に、王位を巡る壮大な争いを描く。

アンドレイ・タルコフスキー: ソ連の映画監督。「映像の詩人」。'72.『惑星ソラリス』。

◆『ファニーゲーム』('97): オーストリアの映画。あらゆる不快な要素を詰め込んだ内容で、映画祭では席を立つ観客が続出したという。

◆『ネバーエンディング・ストーリー』('84): 西ドイツ/米国のファンタジー映画。原作はミヒャエル・エンデの児童小説『はてしない物語』。3部作の1作目。主題歌はリマール(英)の「The NeverEnding Story」。

◆『グッバイ、レーニン!』('03): ドイツの映画。東西ドイツ統合('90)前後のある家族に起こった悲喜劇を描く。

◆『善き人のためのソナタ』('06): ドイツの映画。80sの東ドイツの監視社会を描く。

◆『帰ってきたヒトラー』('15): ドイツの映画。10sのドイツに蘇ったアドルフ・ヒトラーが巻き起こす騒動を描く。ヒトラーと市民との会話シーンには、実際にベルリン等の街中で一般市民とアドリブで会話し撮影したものが使われている。

フェデリコ・フェリーニ: イタリアの映画監督。「映像の魔術師」。'54.『道』。'60.『甘い生活』。'63.『8 1/2』。ほとんどの映画でニーノ・ロータが音楽を担当した。

◆『甘い生活』('60): フェリーニ監督の映画。上流階級の退廃的な生活を描いた。トレヴィの泉での水浴びのシーンが有名。

◆『8 1/2(はっか にぶんのいち)』('63): フェリーニ監督の映画。フェリーニの8 1/2作目の監督作(共作を1/2作と数えた場合)。「映画が撮れなくなった映画監督」を主人公に、フェリーニ自身の内面を赤裸々に、高度なシンボル的映像表現で描く。

マカロニ・ウエスタン: 主に60s-70sにイタリアで制作された西部劇のこと。

◆『大人は判ってくれない』('59): ヌーヴェルヴァーグを代表するフランスの青春映画。フランソワ・トリュフォー監督。原題の直訳は「400回の殴打」。

◆『去年マリエンバートで』('61): フランス/イタリアの映画。男Xと女Aの奇妙な語らい、難解なストーリーを描いた。黒澤明『羅生門』に触発され製作されたという。衣装はココ・シャネルが手掛けた。

◆『白い恋人たち』('68): フランス・グルノーブル冬季五輪('68)の記録映画。芸術的な作風で、全編に渡って同名のテーマ曲が流れる。北海道銘菓「白い恋人」('76.発売)や桑田佳祐「白い恋人達」('01)の名前の由来。

◆『アメリ』('01): フランスの映画。パリ・モンマルトルを舞台に、空想好きでコミュニケーションが苦手なおかっぱの主人公・アメリの不思議な日常を描いた。

◆『アーティスト』('11): フランスのサイレント映画。アカデミー賞で作品賞等5部門受賞。第1回の『つばさ』(1927)以来、サイレント映画として84年ぶりにアカデミー作品賞を受賞した。
舞台は1930年前後のハリウッド。トーキーが登場しサイレント映画の時代が終わったことで没落する男優と、躍進する女優を描く。

スタンリー・キューブリック: NY出身で英国で活動した映画監督。ハリウッド資本の予算を得て活動し、世界の映画史の中でも特筆すべき人気や評価を得たものの、米国映画界との距離からアカデミー賞には恵まれなかった。
'62.『ロリータ』。'64.『博士の異常な愛情』。'68.『2001年宇宙の旅』。'71.『時計じかけのオレンジ』。'80.『シャイニング』。'87.『フルメタル・ジャケット』。

◆『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』('64): キューブリック監督のブラックコメディ映画。白黒作品。
キューバ危機('62)等の当時の冷戦を風刺した、偶発的な核戦争から人類が滅亡してしまう物語。政府や軍の上層部全員を異常者か俗物として描いている。

HAL9000: 『2001年宇宙の旅』に登場する、宇宙船・ディスカバリー号に搭載された人工知能。

◆『シャイニング』('80): キューブリック監督のホラー映画。原作はスティーヴン・キング。主人公を演じたジャック・ニコルソンが、叩き割ったドアから狂気の表情で顔を覗かせるシーンが有名。

◆『炎のランナー』('81): 英国の映画。アカデミー賞で作品賞等4部門受賞。1920年代の実在の短距離走選手を描いた。ヴァンゲリスが手掛けたテーマ曲が有名。

◆『ガンジー』('82): 英国/インドの伝記映画。マハトマ・ガンジーの生涯を描いた。アカデミー賞で作品賞等8部門受賞。リチャード・アッテンボロー監督、ベン・キングズレー主演。

◆『ライムライト』('52): 米国のコメディドラマ映画。チャップリン監督・主演。老道化師とバレリーナの恋を描いた。チャップリンとバスター・キートンの唯一の共演作。
名台詞〈人生には3つのものだけあればいい。勇気、想像力、それとSome Money〉。「ライムライト」とは電球の普及前に一般的だった舞台照明のこと。

ハロルド・ロイド: 米国の俳優・映画監督で、世界三大喜劇王の1人。1920年代のサイレント映画黄金期に活躍した。丸ぶち眼鏡の通称「ロイド眼鏡」に名を残す。

バスター・キートン: 米国の俳優・映画監督で、世界三大喜劇王の1人。1920年代のサイレント映画黄金期に活躍した。「偉大なる無表情」。

◆『グランド・ホテル』(1932): 米国の映画。アカデミー作品賞受賞作。群像劇で描く物語を「グランドホテル方式」と呼ぶ由来となった。

ジョン・フォード: 米国の映画監督。アカデミー監督賞の最多受賞者(4度=1935,40,41,52年)。黒澤明やオーソン・ウェルズをはじめ、世界中の映画人に大きな影響を与えた。

◆『駅馬車』(1939): ジョン・フォード監督の西部劇映画。駅馬車に乗り合わせた人々の人間模様を中心としながら、終盤のクライマックスにはアクション映画史に残る名場面もある。
オーソン・ウェルズは『市民ケーン』を撮る際、この映画を40回観て徹底的に研究したという。

オーソン・ウェルズ: 米国の映画監督、俳優。1941.『市民ケーン』監督。'49.『第三の男』出演。

◆『カサブランカ』(1942): 米国の恋愛映画。ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン主演。アカデミー作品賞受賞作。名台詞(名訳)〈君の瞳に乾杯〉。

ウィリアム・ワイラー: 米国の映画監督。アカデミー監督賞3度受賞。'46.『我等の生涯の最良の年』。'53.『ローマの休日』。'59.『ベン・ハー』。

◆『シェーン』('53): 米国の西部劇映画。少年ジョーイが主人公シェーンに向かって〈Shane. Shane. Come back!〉と叫ぶラストシーンが有名。

◆『理由なき反抗』('55): 米国の青春映画。ジェームズ・ディーン主演(公開前に交通事故死)。グリフィス天文台でのナイフを使った決闘シーンや、崖に向かって車を走らせるチキンレースが有名。

ロバート・ワイズ: 米国の映画監督。『ウエスト・サイド物語』('61)、『サウンド・オブ・ミュージック』('65)で、アカデミー作品賞・監督賞を2度W受賞。

◆『卒業』('67): アメリカン・ニューシネマを代表する青春恋愛映画。サイモン&ガーファンクルの「The Sound of Silence」が挿入されている。主人公のベンジャミン(ダスティン・ホフマン)が結婚式に乗り込み、花嫁を連れ去るラストシーンが有名。

◆『カッコーの巣の上で』('75): ミロス・フォアマン監督の映画。アメリカン・ニューシネマの代表作の1つ。アカデミー賞で作品賞等5部門受賞。ジャック・ニコルソン演じる、悲惨な精神病院での収容生活で自由を求める男が主人公。

◆『アマデウス』('84): ミロス・フォアマン監督の映画。アカデミー賞で作品賞等8部門受賞。モーツァルトに嫉妬する作曲家サリエリの視点から、モーツァルトの物語を描く。

◆『ロッキー』('76): 米国のボクシング映画。脚本・主演はシルヴェスター・スタローン。アカデミー作品賞受賞作。
主人公は無名ボクサーのロッキー・バルボア。期せずして行うことになった世界チャンピオンとの試合と、親友の妹・エイドリアンとの恋を描く。
ロッキーの部屋には生涯無敗のヘビー級チャンピオン、ロッキー・マルシアノの写真が飾られているが、彼の名がマルシアノに由来しているかどうかは明らかでない。

チューバッカ: スター・ウォーズシリーズの登場人物。ハン・ソロの無二の親友。森林惑星出身のウーキー族で、年齢は約200歳。

R2-D2: スター・ウォーズシリーズの登場ロボット(ドロイド)。C-3POの親友。宇宙船や電子機器のオペレートが仕事。

BB-8: スター・ウォーズシリーズ(エピソード7-9)の登場ロボット(ドロイド)。ボディが球体で、移動する時は球体ボディそのものが転がり、頭に相当するユニットが上部を滑るように維持する。

◆『ランボー(First Blood)』('82): 米国のアクション映画。社会から孤立したベトナム帰還兵のジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)と、地方の保安官の戦いを描く。

◆『ターミネーター』('84): ジェームズ・キャメロン監督のSFアクション映画。アーノルド・シュワルツェネッガーが、45年後の世界から送り込まれたサイボーグの暗殺者「ターミネーター」を演じる。
シュワルツェネッガーの代名詞となる台詞〈I'll be back.〉が初めて使われた。

◆『アバター』('09): ジェームズ・キャメロン監督のSF映画。『アベンジャーズ/エンドゲーム』('19)に抜かれるまで、世界興行収入歴代1位の記録を保持した。3D撮影された先駆的な作品で、キャッチコピーは〈観るのではない。そこにいるのだ〉。

◆『スタンド・バイ・ミー』('86): 米国の青春映画。スティーヴン・キング原作、ロブ・ライナー監督。舞台は50sのある夏。4人の少年達が好奇心から、線路伝いに死体を探す旅に出る。
ゲーム『ポケットモンスター赤・緑』の旅立ちの演出として、主人公の家のTVでこの作品のワンシーンが流れている。

◆『トップガン』('86): 米国のアクションドラマ映画。トム・クルーズ主演。米国海軍の飛行隊が題材。

◆『トップガン マーヴェリック』('22): 『トップガン』の36年ぶり続編。トム・クルーズ主演。

◆『アンタッチャブル』('87): 米国の犯罪映画。出演はケビン・コスナー、ロバート・デ・ニーロ、ショーン・コネリーら。禁酒法時代のシカゴを舞台に、アル・カポネの逮捕を目指す財務省捜査官らのチーム「アンタッチャブル」の戦いの日々を描いた。

◆『ロボコップ』('87): 米国のバイオレンスSFアクション映画。デトロイトを舞台に、殉職した巡査の遺体から作られたサイボーグ警官の活躍を描いた。

◆『ロジャー・ラビット』('88): ロバート・ゼメキス監督のコメディ映画。'47年のハリウッドを舞台に、トゥーン(アニメのキャラクター)が実社会に存在しているという設定で、トゥーンと人間の関係を描く。
ミッキーマウス、バッグス・バニー(ルーニー・テューンズ)、ベティ・ブープ、ドルーピーをはじめ、様々な映画会社のキャラクターが出演したクロスオーバー作品。

◆『フォレスト・ガンプ/一期一会』('94): ロバート・ゼメキス監督のドラマ映画。トム・ハンクス主演。名台詞〈人生はチョコレートの箱、開けてみるまで分からない〉。

◆『フィールド・オブ・ドリームス』('89): 米国のファンタジー映画。トウモロコシ畑に野球場を作った農夫に起きる奇跡を描く。

◆『ホーム・アローン』('90): クリス・コロンバス監督のコメディ映画。クリスマスに一人で家に居ることになってしまった8歳の主人公ケビンが、家中にトラップを仕掛け、泥棒達を迎え撃つ内容。

◆『レザボア・ドッグス』('92): タランティーノの初監督映画。互いを色の名前で呼び合う強盗団が、組織内に潜んだ警察の密偵により宝石の窃盗に失敗し、お互いを疑っていくさまを描く。

◆『クール・ランニング』('93): 米国のスポーツコメディ映画。ボブスレー・ジャマイカ代表のカルガリー五輪('88)出場が題材。

◆『スーパーマリオ 魔界帝国の女神』('93): 米国の映画。任天堂のマリオシリーズ唯一の実写映画。多額の制作費を投じた大作だが、日本での知名度は低い。

◆『セブン(SE7EN)』('95): デヴィッド・フィンチャー監督のサイコ・サスペンス映画。ブラッド・ピット主演。「七つの大罪」になぞらえた連続猟奇殺人事件と、その事件を追う刑事達の姿を描く。

◆『ミッション:インポッシブル』('96): 米国のアクション映画。TVドラマ『スパイ大作戦』('66-73)に登場するスパイ組織「IMF」を描いた続編。製作・主演はトム・クルーズ。主人公のスパイ、イーサン・ハントを演じている。

◆『インデペンデンス・デイ』('96): ローランド・エメリッヒ監督のパニック映画。ウィル・スミス主演。地球侵略を目論む異星人と人類の3日間の攻防を描いた。

◆『ガタカ』('97): 米国のSF映画。人工授精と遺伝子操作で生まれた「適正者」と、自然妊娠で生まれた「不適正者」がいる未来が舞台。タイトルはDNAを作る塩基の頭文字(A・G・C・T)で構成される。
主演のイーサン・ホークと恋人役のユマ・サーマンは、この作品をきっかけに結婚した(後に離婚)。

ウォシャウスキー姉妹: 米国の映画監督。'99-.『マトリックス』シリーズ。かつては兄弟と呼ばれていたが、2人とも性別適合手術を受けた。

◆『ノッティングヒルの恋人』('99): 米国の映画。ヒュー・グラント演じる平凡な書店員と、ジュリア・ロバーツ演じる女優の恋を描く。主題歌はエルヴィス・コステロ「She」。

◆『スチュアート・リトル』('99): 米国のファミリー映画。人語を話す鼠のスチュアートら、CGの動物達が活躍する。

◆『ミート・ザ・ペアレンツ』('00): 米国のコメディ映画。ベン・スティラー演じる男性看護師と、ロバート・デ・ニーロ演じる彼の恋人の父でお堅い元CIA局員が主人公。
コメディ映画としての当時の世界興収記録を塗り替えた。'04.『ミート・ザ・ペアレンツ2』。'10.『ミート・ザ・ペアレンツ3』。

◆『ブラックホーク・ダウン』('01): リドリー・スコット監督の戦争映画。ソマリアで実際に起きた、米軍等の多国籍軍とゲリラとの壮絶な市街戦「モガディシュの戦闘」('93)を描く。

◆『オデッセイ』('15): リドリー・スコット監督のSF映画。原作はSF小説『火星の人』。火星に置き去られた宇宙飛行士の生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救い出そうとする周囲の努力を描く。マット・デイモン主演。

クリストファー・ノーラン: 英国出身の映画監督。'05-12.バットマン3部作。'10.『インセプション』。'14.『インターステラー』。'17.『ダンケルク』。
アナログ派で、フィルムでの撮影にこだわり、『ダークナイト』ではCGではない本物のビルを丸ごと爆破して撮影を行った。

アン・リー: 台湾出身で米国で活動する映画監督。アカデミー監督賞、金熊賞、金獅子賞を各2回受賞している。'24現在、金熊賞を2回受賞した監督は史上唯一。

◆『ブロークバック・マウンテン』('05): アン・リー監督の恋愛映画。60s-80sの米国を舞台に、惹かれ合う2人の男性を描く。

◆『アベンジャーズ/エンドゲーム』('19): MCUの映画で、アベンジャーズシリーズの4作目。興行収入の世界記録を塗り替えた。

デイミアン・チャゼル: 米国の映画監督。'14.『セッション』。'16.『ラ・ラ・ランド』(史上最年少でアカデミー監督賞を受賞)。

◆『ラ・ラ・ランド』('16): デイミアン・チャゼル監督のミュージカル映画。ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン主演。アカデミー賞で14部門ノミネート(『イヴの総て』『タイタニック』と並ぶ史上最多タイ)。

ベルリン国際映画祭: 毎年2月にドイツのベルリンで行う映画祭。世界三大映画祭の1つ。社会派の映画が集まる。最優秀作品賞の名称は「金熊賞」。

カンヌ国際映画祭: 毎年5月にフランスのカンヌで行う映画祭。世界三大映画祭の1つ。最優秀作品賞の名称は「パルム・ドール」。

ヴェネツィア国際映画祭: 毎年8-9月にイタリアのヴェネツィアで行う映画祭。世界三大映画祭の1つ。現代美術の国際展覧会「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の一部。最優秀作品賞の名称は「金獅子賞」。1932.初回開催(世界初の映画祭)。

ロカルノ国際映画祭: 毎年8月にスイスのロカルノで行う映画祭。最優秀作品賞の名称は「金豹賞」。

ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞): 米国の「逆」・映画賞。アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」の映画や俳優を選んで表彰する。「Razz」はラズベリーの略称であると共に、「野次」という意味をもつ。

シチュエーション・コメディ: 演出・脚本を重視し、状況(シチュエーション)が生み出す食い違いや不条理さで笑いを誘う喜劇のこと。
主要人物や舞台を固定した、1話完結型のシチュエーション・コメディ的なドラマを特に「シットコム」という。米国の『奥さまは魔女』『フルハウス』『フレンズ』が代表例。

昼ドラ: 平日12時台の帯ドラマのこと。かつて主婦層をターゲットにした通俗的なメロドラマを各局が競って制作したが、'23現在、キー局はいずれも放送していない。
米国にも同様の昼ドラ文化があり、スポンサーに石鹸会社が多かったことから「ソープオペラ」と呼ばれた。

クリフハンガー: ドラマ等で、続きが気になるような盛り上がるシーンで未解決のまま話を終わらせる手法のこと。

野島伸司: 脚本家。社会の暗部を過激に切り取ったTVドラマを多く手がけた。'91.『101回目のプロポーズ』。'92.『愛という名のもとに』。'93.『高校教師』『ひとつ屋根の下』。'95.『未成年』。'01.『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』。
主題歌への新曲タイアップを拒み、『愛という名のもとに』で浜田省吾「悲しみは雪のように」、『高校教師』で森田童子「ぼくたちの失敗」、『ひとつ屋根の下』でチューリップ「サボテンの花」、『未成年』でカーペンターズ「Top of the World」「I Need To Be in Love」、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』でABBA「Chiquitita」「SOS」と、過去の名曲を起用。各アーティストをリバイバルヒットさせた。劇伴音楽・千住明とのコンビでも知られる。

連続テレビ小説朝ドラ): NHKの朝の帯ドラマ。'61.放送開始。元々、NHKは朝のラジオで小説を朗読していた(連続ラジオ小説)が、これが朗読からラジオドラマに変わり、更にTVドラマに変わって現在の枠名となっている。
内容は女性の生涯や半生を軸に、主人公をとりまく家族や職業を描いたものが多い。男性主人公の作品は稀だが、最近は数年に1作ほどある。
放送時間は長年、月~土曜の8:15-8:30に固定されていた。'10年から放送時間が8:00-8:15、'20年から放送曜日が月~金曜となった。
当初は年に1作、'75年からは半年で1作を放送。但し、『おしん』('83-84)、『君の名は』('91-92)(※'52-54年のラジオドラマのリメイク版)、『春よ、来い』('94-95)は例外的に1年間放送した。
制作局は通常、年度上半期の作品が東京放送センター、下半期の作品が大阪放送局。

◆『おはなはん』('66-67): NHK朝ドラ。愛媛県大洲市が主な舞台。樫山文枝主演。これ以降の朝ドラの方向性を決定付けた人気作。

◆『おしん』('83-84): NHK朝ドラ。橋田壽賀子脚本、小林綾子(子役)→田中裕子→乙羽信子主演。TVドラマ史上最高の視聴率62.9%を記録した。
戦前・戦中・戦後の混乱期を逞しく生きた女一代記。主な舞台は山形県等。クレジットロールに方言指導者が明示された「本格方言ドラマ」の先駆けである。
両親(泉ピン子、伊東四朗)が口減らしのため、おしんを丁稚奉公に出す「最上川の川下りの見送りのシーン」は、窮乏と悲惨さを象徴する名シーンとして特に知られる。
橋田は後年〈昭和天皇にご覧いただきたくて…おしんの生まれを陛下と同じ明治34年にした〉と記した。実際に昭和天皇も視聴し、〈ああいう具合に国民が苦しんでいたとは、知らなかった〉と感想を述べている。
世界80ヶ国以上で放映され、特にアジアやイスラム圏で人気を博した。おしんの社会現象的人気を表す「オシンドローム」という言葉は、'84年の第1回新語・流行語大賞を「マル金/マルビ」と共に受賞した。

◆『カーネーション』('11-12): NHK朝ドラ。洋裁、ファッションデザインが題材。尾野真千子主演(モデルはコシノ3姉妹の母・小篠綾子)。主題歌は椎名林檎「カーネーション」。

◆『ごちそうさん』('13-14): NHK朝ドラ。杏主演。

◆『あさが来た』('15-16): NHK朝ドラ。波瑠主演(モデルは広岡浅子)。ディーン・フジオカ(五代友厚役)の出世作となった。主題歌はAKB48「365日の紙飛行機」。

◆『なつぞら』('19): NHK朝ドラ。日本アニメの草創期が題材。広瀬すず主演。

◆『スカーレット』('19-20): NHK朝ドラ。信楽焼が題材。戸田恵梨香主演。

◆『エール』('20): NHK朝ドラ。窪田正孝主演(モデルは古関裕而)。

◆『おちょやん』('20-21): NHK朝ドラ。杉咲花主演(モデルは浪花千栄子)。

◆『おかえりモネ』('21): NHK朝ドラ。気象予報が題材。清原果耶主演。

◆『カムカムエヴリバディ』('21-22): NHK朝ドラ。ラジオやジャズを取り上げ、大正~令和を生きる母娘孫3代を描いた。上白石萌音ら主演。

◆『ちむどんどん』('22): NHK朝ドラ。沖縄の本土復帰50年を記念し、沖縄料理とやんばるを取り上げた。黒島結菜主演。

◆『舞い上がれ!』('22-23): NHK朝ドラ。町工場や航空業界が題材。福原遥主演。

◆『らんまん』('23): NHK朝ドラ。神木隆之介主演(モデルは牧野富太郎)。

◆『ブギウギ』('23-24): NHK朝ドラ。趣里主演(モデルは笠置シヅ子)。

◆『花の生涯』('63): NHK大河ドラマ第1作。主人公は井伊直弼。

◆『どうする家康』('23): NHK大河ドラマ。松本潤主演。

◆『私は貝になりたい』('58): TVドラマ。連続ドラマではない単発作品だが大きな反響を呼び、リメイク映画が複数回作られている。フランキー堺主演。WWIIで上官の命令で捕虜を殺した主人公が、B級戦犯として処刑されるまでを描く。

◆『おれは男だ!』('71-72): TVドラマ。主人公(森田健作)は、女子校から共学化して間もない高校でマイノリティの立場にある男子高生。剣道部の仲間と共に校内のウーマン・リブを打倒しようとするが、徐々に女子生徒達との相互理解を深めていく。
原作は津雲むつみの漫画で、当時まだ19歳だった津雲も女子生徒役でカメオ出演した。主題歌は森田の「さらば涙と言おう」。

◆『太陽にほえろ!』('72-86): 刑事ドラマ。新宿を主な舞台に、石原裕次郎演じるボスら、ニックネームで呼び合う刑事達の活躍を描いた。
若手俳優が主役級で出演して人間的に成長する姿を演じ、やがて「殉職」することで番組を卒業するパターンがあった。萩原健一(マカロニ役)、松田優作(ジーパン役)、勝野洋(テキサス役)、渡辺徹(ラガー役)らが代表例。

◆『Gメン'75』('75-82): 刑事ドラマ。丹波哲郎主演。警視庁特別潜入捜査班(通称:Gメン)が国内犯罪から国際犯罪まで様々な事件を解決する。社会派かつハードボイルドな名作。

◆『桃太郎侍』('76-81): 勧善懲悪物の時代劇ドラマ。高橋英樹主演。徳川家斉の息子の1人・桃太郎侍が、双子を忌む武家の習わしで市井に暮らしているという設定。クライマックスの名乗り口上〈一つ、人の世、生き血を啜り…〉。

◆『西部警察』('79-84): 刑事ドラマ。石原プロモーションが制作に関わり、渡哲也、舘ひろしらが出演した。派手な銃撃戦やカースタント、爆破シーン等が人気を呼んだ。

◆『東京ラブストーリー』('91): フジテレビ「月9」ドラマ。原作は柴門ふみの同名漫画。月9ブーム、トレンディドラマブームの火付け役となった作品。坂元裕二脚本、鈴木保奈美(リカ)・織田裕二(カンチ)主演。
名台詞〈ねえ、セックスしよ〉。主題歌は小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」。

◆『101回目のプロポーズ』('91): フジテレビ「月9」ドラマ。野島伸司脚本、浅野温子武田鉄矢主演。名台詞〈僕は死にましぇん!〉。主題歌はCHAGE&ASKA「SAY YES」。

◆『ずっとあなたが好きだった』('92): TVドラマ。脇役だったが、佐野史郎扮するエリートサラリーマン・冬彦が、「マザコンでオタク」という強烈なキャラで社会現象となった。主題歌はサザンオールスターズ「涙のキッス」。

◆『あすなろ白書』('93): フジテレビ「月9」ドラマ。原作は柴門ふみの同名漫画。北川悦吏子脚本、石田ひかり・筒井道隆主演。男性が女性を後ろから抱きしめるポーズが「あすなろ抱き」と呼ばれるようになった。主題歌は藤井フミヤ「TRUE LOVE」。

◆『ラブジェネレーション』('97): フジテレビ「月9」ドラマ。木村拓哉松たか子主演。木村拓哉演じる主人公の口癖〈ちょ待てよ〉。主題歌は大滝詠一「幸せな結末」。

◆『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』('07): TVドラマ。原作は漫画。性別を偽って男子校に入学した女の子が主人公。堀北真希主演、小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロら出演。主題歌はORANGE RANGE「イケナイ太陽」。
'11.前田敦子主演でリメイク。

◆『プロポーズ大作戦』('07): フジテレビ「月9」ドラマ。幼馴染に思いを伝えるため、過去に戻って奮闘するラブコメディ。山下智久・長澤まさみ主演。主題歌は桑田佳祐「明日晴れるかな」。

◆『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』('09): フジテレビ「月9」ドラマ。バスケットボールを題材とする。山下智久主演。ヒロイン役に北川景子。主題歌はB'z「イチブトゼンブ」。

◆『TOKYO MER(エムイーアール)~走る緊急救命室~』('21): TVドラマ。鈴木亮平主演。SP版や劇場版('23)も公開されている。
MERはMobile Emergency Roomの略で、災害や重大事故の現場で活躍する、手術室等を搭載した緊急車両。現実には、自衛隊や少数の災害拠点病院が同様の車両をもつ。

◆『リコカツ』('21): TVドラマ。北川景子主演。自衛官(永山瑛太)とスピード結婚した主人公だが、反りが合わないことが分かり、離婚に向け活動を始める。

◆『不適切にもほどがある!』('24): TVドラマ。宮藤官九郎脚本、阿部サダヲ主演。コンプライアンスに急速に厳しくなっている令和の2024年と、昭和の1986年を行き来するタイムスリップもの。

◆『ウルトラマン』('66-67): ウルトラシリーズの特撮ドラマで、初の巨大変身ヒーロー物。円谷プロ制作。科学特捜隊のハヤタ隊員がウルトラマンに変身する力を得て、地球を守るために宇宙から来る様々な敵と戦う。

ウルトラマン(初代ウルトラマン): 『ウルトラマン』に登場するヒーロー。光の国(ウルトラの星)出身の宇宙人(ウルトラ族、ウルトラ戦士)だが、誤って死なせたハヤタ隊員に自らの命を共有して一心同体となり、地球を守るために戦う。
代名詞ともいえる必殺技は、左右の手刀を十字型に交差させて放つスペシウム光線だが、全く通用しない敵もいる。

ゼットン: ウルトラシリーズの怪獣。別名「宇宙恐竜」。初代『ウルトラマン』の最終回でウルトラマンを倒すも、無重力弾によって爆死した。

◆『ミセン』('14): 韓国ドラマ。囲碁のプロ棋士を目指すも挫折した主人公が、囲碁が全く通用しない商社の世界で新入社員として奮闘する姿を描く。

◆『ベン・ケーシー』('61-66): 米国の医療ドラマ。主人公の脳外科医が着ていたようなセパレート型の白衣は後に「ケーシー」と呼ばれ、ケーシー高峰の芸名の由来にもなっている。

◆『ツイン・ピークス』('90-91): 米国のTVドラマ。デヴィッド・リンチ監督。殺人事件の謎を中心に据えつつ、様々な物語が同時進行する群像劇。

◆『銀河ヒッチハイク・ガイド』('78): 英国のラジオドラマ。世界的には小説版が有名で、映像化もされた。脚本・小説共にダグラス・アダムズによる。
軽妙な語り口と、ほぼ意味不明の領域に達したものを含む無数の奇抜なアイディアで彩られたスラップスティックSF。
英語圏のギークに非常に深く愛されてきた作品であり、この作品に登場するネタは様々な場面で使われる。例えばGoogleには「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」と検索すると電卓が「42」とはじき出す隠し機能がある。
物語は、ヴォゴン人の宇宙船団が地球に飛来して「銀河ハイウェイ建設工事の立ち退き期限が過ぎたので、工事を開始する」と宣言し、地球を一瞬にして取り壊してしまうところから始まる。
しかし、実のところ地球はただの惑星ではなかった。超知性を備えた汎次元生命体(地球では「ハツカネズミ」と呼ばれている)が「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問」を得るために造らせた、巨大コンピュータだったのである。

大根役者: 縁起が下手な役者のこと。英語では「ハム・アクター」(下手な役者ほど『ハムレット』で主役を演じたがるから)。

◆13代目市川團十郎: 歌舞伎俳優。'77生れ。屋号は成田屋。元7代目市川新之助('85-'04)、11代目市川海老蔵('04-22)。'03.NHK大河ドラマ『武蔵』主演。'17.妻のフリーアナウンサー・小林麻央と死別。

◆2代目尾上右近(おのえ-): 歌舞伎俳優。'92生れ。屋号は音羽屋。浄瑠璃・清元節の宗家に生まれ、歌舞伎俳優と、清元節の太夫(語り)の二足のわらじを履く。

松井須磨子: 新劇女優、歌手。1913.島村抱月と芸術座を結成。1914.『復活』(トルストイ原作、抱月訳)でカチューシャ役を務め、「カチューシャの唄」のレコードがヒット。1915.新作劇中歌「ゴンドラの唄」を歌う。
1919.スペイン風邪で死去した抱月の後を追い自殺。抱月とは不倫関係にあった。ちなみに松井は整形(蝋の注入)で鼻を高くしており、日本初の整形女優とされることもある。

嵐寛寿郎(-かんじゅうろう): 俳優。戦前から時代劇スターとして活躍。'57.映画『明治天皇と日露大戦争』で、俳優として初めて天皇役を演じた。

上原謙: 俳優。戦前から活躍する二枚目スター。戦後、松竹を退社しフリー映画俳優の先駆けとなった。息子に加山雄三がいる。'51.映画『めし』主演。

森繁久彌: 俳優、コメディアン、歌手。1939.NHKアナウンサーとして満洲国に赴任。'55.映画『夫婦善哉』主演。'56-.東宝『社長シリーズ』主演。'58-.東宝『駅前シリーズ』主演。'60.「知床旅情」を作詞・作曲。
'67-.ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』主演(上演回数900回)。'76.『徹子の部屋』第1回ゲスト。'91.大衆芸能分野初の文化勲章受章。'09.死去、国民栄誉賞追贈。

丹波哲郎: 俳優、心霊研究家。'75-.ドラマ『Gメン'75』主演。著書『大霊界』シリーズはベストセラーに。

露口茂: 俳優。1932年生れ。'72-86.ドラマ『太陽にほえろ!』山さん役。'95.アニメ映画『耳をすませば』バロン役。同作を最後に引退状態となっている。

岸惠子: 女優。1932年生れ。'53.映画『君の名は』で氏家真知子を演じ、ストールの「真知子巻き」が流行。ロケ地の1つ・北海道のあまりの寒さに、私物のストールを使った岸のアドリブだった。

冨士眞奈美: 女優。1938年生れ。明るいキャラクターで知られ、吉行和子や大山のぶ代との親友関係も有名(大山とは若い頃に4年半ルームシェアをしていた)。

石坂浩二: 俳優、タレント。1941年生れ。NHK大河ドラマで3度主演('69『天と地と』、'75『元禄太平記』、'79『草燃える』)。
'71.浅丘ルリ子と結婚('00.離婚)。'76.映画『犬神家の一族』主演(金田一耕助役)。'94-.バラエティ『開運!なんでも鑑定団』出演(島田紳助らのサブMC)。'03-.ドラマ『白い巨塔』で東教授役。

北大路欣也: 俳優。1943年生れ。'68.NHK大河ドラマ『竜馬がゆく』主演。'77.映画『八甲田山』で高倉健とW主演。'07-.ソフトバンクのCMで白戸家のお父さん犬の吹き替えを務める。'13-.ドラマ『半沢直樹』頭取役。

福本清三: 俳優。「5万回斬られた男」「日本一の斬られ役」。'14.映画『太秦ライムライト』で俳優55年目にして初の主演。

佐藤蛾次郎: 俳優。'68-.『男はつらいよ』源公役。70s-80sには、なぜか時代劇にもアフロヘアーで出演し、人の良い役をコミカルに演じるのが売りだった。

松田優作: 俳優。'73-74.ドラマ『太陽にほえろ!』ジーパン役。殉職シーン等が話題になり、アクションスターとして大ブレイク。
'80.映画『野獣死すべし』主演。'83.映画『家族ゲーム』主演。'89.がんにより40歳で死去。延命治療よりも出演を優先したハリウッドデビュー作『ブラック・レイン』が遺作となった。

梅沢富美男: 俳優、歌手、タレント。'50生れ。父の代から一座を受け継いだ大衆演劇のスターで、演じる女形の美しさから「下町の玉三郎」と称された。

松坂慶子(まつざか-): 女優、歌手。'52生れ。'79.ドラマ『水中花』主演。主題歌「愛の水中花」を歌い大ヒット。バニーガール姿も話題となった。
'82.『青春の門』『男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎』で日本アカデミー最優秀主演女優賞。'83.『蒲田行進曲』『道頓堀川』で2年連続同賞。

秋吉久美子: 女優。'54生れ。'88.映画『異人たちとの夏』。

役所広司: 俳優。'56生れ。長崎県出身、元千代田区役所職員(芸名「役所」の由来)。『Shall we ダンス?』('96)・『うなぎ』('97)で、日本アカデミー賞・ブルーリボン賞・キネマ旬報ベストテン・報知映画賞の全てで2年連続主演男優賞。

大地真央: 女優。'56生れ。'82-85.宝塚歌劇団トップスター(男役)。'18-.アイフルのCMに出演。決め台詞は〈そこに愛はあるんか?〉。

大竹しのぶ: 女優、歌手、エッセイスト。'57生れ。'99.『鉄道員』で日本アカデミー最優秀主演女優賞。'11-.ミュージカル『ピアフ』主演(エディット・ピアフ役)。'16.『後妻業の女』でブルーリボン賞主演女優賞。
最初の夫を30歳で亡くし、'88.ドラマ『男女7人』シリーズで共演した明石家さんまと結婚。'92.離婚。その後、野田秀樹と同棲した時期もある。娘にIMALUがいる(さんまとの子)。

樋口可南子: 女優。'58生れ。夫は糸井重里。'91.篠山紀信撮影の写真集がヒットし、業界のヘアヌード解禁のきっかけとなる。'93.糸井重里と結婚。'07-.ソフトバンクのCMで白戸家のお母さん役を務める。

哀川翔: 俳優。'61生れ。竹内力と共に「Vシネマの帝王」と呼ばれる。'84.「一世風靡セピア」メンバーとしてデビュー。'04.映画『ゼブラーマン』主演。

南果歩: 女優。'64生れ。元夫は辻仁成、渡辺謙。

沢口靖子: 女優。'65生れ。'99-.ドラマ『科捜研の女』シリーズ主演。'01.アニメ映画『千と千尋の神隠し』千尋の母役。

若村麻由美: 女優。'67生れ。'03.新興宗教の教祖と結婚。'07.死別(教団も消滅)。

鈴木杏樹: 女優。'69生れ。英国で歌手として活動し、逆輸入の形で日本の芸能界にデビューした。'95-16.音楽番組『ミュージックフェア』MC。

萩原聖人(はぎわらまさと): 俳優、声優、プロ雀士。'71生れ。ペ・ヨンジュンの吹き替え(ドラマ『冬のソナタ』等)や、アニメ版『アカギ』『カイジ』の主演声優として知られる。'18-.Mリーグに初年度から参戦。

ケイン・コスギ: アクション俳優。'74生れ。米国育ちだが、日系人の父の勧めで日本でデビュー。類稀な身体能力をもち、『筋肉番付』『スポーツマンNo.1決定戦』『SASUKE』での活躍が有名。

後藤久美子(ゴクミ): 女優、モデル。'74生れ。80s後半に元祖「国民的美少女」として美少女ブームの発端となった(「国民的美少女コンテスト」は第2のゴクミを探せというコンセプトで始まった)。
『男はつらいよ』シリーズで史上唯一の4作連続('89-92)マドンナ役。'96.渡仏し、F1レーサーのジャン・アレジと結婚。その後は芸能活動をセーブし、女優としてはほぼ活動していない。

紅ゆずる(くれない-): 女優。'16-19.宝塚歌劇団トップスター(男役)。

中村倫也(-ともや): 俳優。'86生れ。'19.実写映画『アラジン』で主人公アラジンの吹き替えを担当。ミュージカルの主演も多数務める。妻は水卜麻美。

山崎育三郎: ミュージカル俳優。'86生れ。'21-.トーク番組『おしゃれクリップ』MC。妻は安倍なつみ。

松坂桃李(まつざかとおり): 俳優。'88生れ。'09.『侍戦隊シンケンジャー』でドラマ初出演・初主演。'19.『新聞記者』で日本アカデミー最優秀主演男優賞。妻は戸田恵梨香。

窪田正孝: 俳優。'88生れ。'20.朝ドラ『エール』主演。妻は水川あさみ。

町田啓太: 俳優。'90生れ。劇団EXILE所属。

吉谷彩子: 女優。'91生れ。'16-.ビズリーチのCMに出演。

志田未来(-みらい): 女優。'93生れ。'06.ドラマ『14才の母』主演。'10.アニメ映画『借りぐらしのアリエッティ』アリエッティ役。

山﨑賢人(やまざき-): 俳優。'94生れ。'19-.映画『キングダム』シリーズ主演。'20-.ドラマ『今際の国のアリス』主演。

清野菜名(せいのなな): 女優。'94生れ。夫は生田斗真。

志尊淳(しそんじゅん): 俳優。'95生れ。'17.ドラマ『きみはペット』主演。

葉山奨之(-しょうの): 俳優。'95生れ。妻はきゃりーぱみゅぱみゅ。

三浦透子: 女優、歌手。'96生れ。'19.映画『天気の子』主題歌2曲を歌う。'21.映画『ドライブ・マイ・カー』出演。'22.ドラマ『六本木クラス』劇中歌「点灯」を歌う。

伊藤健太郎: 俳優。'97生れ。'18.ドラマ『今日から俺は!!』。

小芝風花: 女優。'97生れ。'14.実写版『魔女の宅急便』で映画初出演・初主演。SMBCモビットの広告に竹中直人と共に出演している。

芳根京子: 女優。'97生れ。'16.NHK朝ドラ『べっぴんさん』主演。

ゆうたろう: 俳優。'98生れ。'16.美少年モデルとして芸能界デビュー。

永野芽郁: 女優。'99生れ。'16-.カルピスウォーターのCMに出演、UQ mobileのCMに出演(三姉妹の三女役)。

鈴鹿央士(すずかおうじ): 俳優。'00生れ。通っていた高校で映画のロケが行われ、エキストラ出演した際に、広瀬すずの目に留まってスカウトされたことから、芸名に「すず」を入れた。
'19.広瀬すず主演『なつぞら』でドラマデビュー、『蜜蜂と遠雷』で映画デビュー。'22.ドラマ『silent』。

前田旺志郎: 俳優。'00生れ。少年時代は実兄とのお笑いコンビ「まえだまえだ」で知られ、M-1グランプリ2007の準決勝(サンドウィッチマンが敗者復活を果たしたステージ)に史上最年少で進出。

眞栄田郷敦: 俳優。'00生れ。特技はサックスと空手。父は千葉真一、兄は新田真剣佑。真剣佑と同じ日に、千葉真一の誕生日に合わせて結婚した。ちなみに、千葉真一も新田真剣佑も眞栄田郷敦も、本名は「前田」。

板垣李光人(-りひと): 俳優。'02生れ。名前の由来は「光」を意味するドイツ語「Licht」。

南沙良: 女優。'02生れ。'18.『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』で映画初主演。

ルドルフ・ヴァレンティノ: イタリア出身の俳優。サイレント映画時代のハリウッドで活躍。エキゾチックな容姿で人気を博し、ファンの女性達は「彼がスクリーンから見つめる」からと化粧をして映画館に行ったという。
1926.31歳で病死。葬儀には10万人のファンが集まり、後追い自殺者も出た。

ゲイリー・クーパー: 米国の俳優。愛称「クープ」。40s-50sにアカデミー主演男優賞を2度受賞。

イングリッド・バーグマン: スウェーデン出身の女優。1942.映画『カサブランカ』主演。1943.映画『誰が為に鐘は鳴る』主演。1944.『ガス燈』でアカデミー主演女優賞。'56.『追想』で2度目のアカデミー主演女優賞。

マーロン・ブランド: 米国の俳優。戦後を代表する名優として名が挙がる1人。白人だが公民権運動やネイティブ・アメリカンの活動に熱心に参加した。
'54.『波止場』(アカデミー主演男優賞)。'72.『ゴッドファーザー』(2度目のアカデミー主演男優賞)。'79.『地獄の黙示録』主演。

エリザベス・テイラー: 英国出身の女優。60sにアカデミー主演女優賞を2度受賞。7人の相手と8度の結婚歴がある。

アンソニー・ホプキンス: 英国出身の俳優。1937年生れ。'91.『羊たちの沈黙』でハンニバル・レクター役(アカデミー主演男優賞)。'20.『ファーザー』で認知症の父親役(2度目のアカデミー主演男優賞)。

カトリーヌ・ドヌーヴ: フランスの女優。1943年生れ。'64.映画『シェルブールの雨傘』主演。

シャロン・テート: 米国の女優。映画『吸血鬼』('67)への出演が縁で、フランス出身の映画監督ロマン・ポランスキーと結婚。'69.自宅で友人らと共に狂信的なカルト信者らに刺され、妊娠中の子と共に死去。

アーノルド・シュワルツェネッガー: オーストリア出身で米国で活動するボディビルダー、俳優、政治家。'47生れ。日本での愛称は「シュワちゃん」。
ボディビル界最大の国際大会「ミスター・オリンピア」で7度の優勝を果たした、史上最も偉大なボディビルダーの1人。
ボディビル引退後はハリウッドのアクションスターとして知られた。'84-.『ターミネーター』シリーズ主演。'85.『コマンドー』主演。'87.『バトルランナー』『プレデター』主演。'90.『トータル・リコール』主演。
シュワルツェネッガーを象徴する名台詞〈I'll be back.〉は、元々『ターミネーター』内の台詞だが、他の出演作品の台詞でもしばしばカメオ的に使われた。
'03-11.カリフォルニア州知事。共和党に所属しながらもリベラル派として活動し、超党派的な支持を集めた。妻はケネディ家の人物で、大統領選では夫婦で別々の政党の候補を応援したこともある。
在職中、スタンリー・ウィリアムズ(元ギャングの死刑囚で、収監後の反ギャング活動でノーベル平和賞にノミネートされ、多くの減刑嘆願書が出されていた)の恩赦を拒み、死刑を執行した。
ウィリアムズの死刑執行は、死刑に批判的な人々や死刑廃止国から批判を浴び、オーストリア・グラーツのサッカー場「アーノルド・シュヴァルツェネッガー・スタジアム」からは彼の名前が削除された。

スティーヴン・セガール: 米国のアクション俳優、武道家。'52生れ。主人公が傷一つ負わずに悪人を皆殺しにする「無双」系映画で知られる。'92.『沈黙の戦艦』主演。
大阪で合気道道場の師範を務めたこともある日本通。父はモンゴル系ロシア人で、ロシアとセルビアの国籍も取得した。

ウーピー・ゴールドバーグ: 米国の女優。'55生れ。黒人。'92.映画『天使にラブ・ソングを…』主演。

ダニエル・デイ=ルイス: 英国出身の俳優。'57生れ。『マイ・レフトフット』('89)、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』('07)、『リンカーン』('12)でアカデミー主演男優賞を受賞。同賞を3回受賞した唯一の俳優である。

ジョディ・フォスター: 米国の女優。'62生れ。'76.『タクシードライバー』で12歳の娼婦を演じた。'88.『告発の行方』(アカデミー主演女優賞)。'91.『羊たちの沈黙』(2度目のアカデミー主演女優賞)。

キアヌ・リーヴス: レバノン生まれ、カナダ育ちの俳優。'64生れ。'99-.映画『マトリックス』シリーズ主演。

ニコラス・ケイジ: 米国の俳優。'64生れ。フランシス・フォード・コッポラの甥で、本名はニコラス・コッポラ。'95.『リービング・ラスベガス』(アカデミー主演男優賞)。

ジェイソン・ステイサム: 英国出身のアクション俳優。'67生れ。'19.映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』出演。

ダニエル・クレイグ: 英国の俳優。'68生れ。'06.映画『007 カジノ・ロワイヤル』で6代目ジェームズ・ボンド役に就任。'12.『007 スカイフォール』主演。

ヒュー・ジャックマン: 豪州出身のミュージカル俳優。'68生れ。'12.映画『レ・ミゼラブル』主演。'17.映画『グレイテスト・ショーマン』主演。

マット・デイモン: 米国の俳優、脚本家。'70生れ。'97.『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』脚本・出演(アカデミー脚本賞受賞)。'15.『オデッセイ』主演。

キー・ホイ・クァン: ベトナム生まれの米国の俳優。'71生れ。'85.『グーニーズ』(子役)。'22.『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(アカデミー助演男優賞)。

アンジェリーナ・ジョリー: 米国の女優。'75生れ。映画『Mr.&Mrs. スミス』('05)でW主演したブラッド・ピットと後に結婚、離婚。
UNHCRの親善大使を長く務める等、慈善活動に積極的で、これまでにベトナム人、カンボジア人、エチオピア人の養子を引き取っている。

ヒース・レジャー: 豪州出身の俳優。'08.『ダークナイト』ジョーカー役(アカデミー助演男優賞)。同作公開前に、28歳で薬物中毒により急逝した。

ライアン・ゴズリング: カナダの俳優。'80生れ。'16.映画『ラ・ラ・ランド』主演。

アン・ハサウェイ: 米国の女優。'82生れ。ウィリアム・シェイクスピアの妻と同姓同名。
'06.映画『プラダを着た悪魔』出演。'12.映画『ダークナイト ライジング』出演(キャットウーマン役)、ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』出演。'14.映画『インターステラー』出演。'15.映画『マイ・インターン』出演。

リンジー・ローハン: 米国の女優、歌手。'86生れ。'03.映画『フォーチュン・クッキー』。'04.映画『ミーン・ガールズ』。10代で莫大な富を手にし、ハリウッドきってのトラブルメーカーとして名を馳せた。


20、漫画・アニメ

いわさきちひろ: 絵本作家。ぼかしやにじみを出して描く子どもの水彩画で知られる。'68.『あめのひのおるすばん』。

やなせたかし: 漫画家、絵本作家、放送作家、詩人。'61.「手のひらを太陽に」作詞。'69-.絵本『アンパンマン』シリーズ。アニメ『それいけ!アンパンマン』に「やなせうさぎ」として登場することがある。

せなけいこ: 絵本作家。'69.『ねないこだれだ』。

林明子: 絵本作家。'76.『はじめてのおつかい』。'89.『こんとあき』。

ヨシタケシンスケ: イラストレーター、絵本作家。小さな線画を描くことに特化しており、スタッフが着色し、拡大印刷して作品にする。
'03.『しかもフタが無い』(日常の場面をコミカルに切り取ったスケッチ集の第1作)。'13.『りんごかもしれない』(「発想絵本」シリーズ第1作)。

トップハム・ハット卿: 『きかんしゃトーマス』に登場する鉄道局長。厳格な定時運行至上主義者。

◆『おさるのジョージ』: 米国の絵本シリーズ。元々のシリーズ名は『ひとまねこざる』('47-)で、90s以降にリメイク版として『おさるのジョージ』が出版されている。'06.米国でアニメ化。'08-.Eテレで放送。
黄色い帽子のおじさん」と一緒に住む猿のジョージが、持ち前の好奇心から騒動を巻き起こす日々を描く。

◆『かいじゅうたちのいるところ』('63): 米国の絵本。少年が閉じ込められた部屋に海や不思議な森が広がり、怪獣達のいるところで冒険する話。

芳文社: 漫画出版社。'56.日本初の漫画週刊誌『週刊漫画TIMES』創刊。'81.日本初の4コマ誌『まんがタイム』創刊。'02.日本初の萌え系4コマ誌『まんがタイムきらら』創刊。

コアミックス: 漫画出版社。青年誌『月刊コミックゼノン』等を刊行する。

◆『ちゃお』: 小学館の月刊少女漫画誌。主な読者層は小学生で、20万部近い発行部数は少女漫画誌で最多。誌名はイタリアの挨拶言葉から。'77.創刊。

岡本一平: 漫画家、作家。岡本太郎の父。1921-.「人の一生」。1940.流行歌「隣組」を作詞。

ヒョウタンツギ: 手塚治虫の漫画に登場するギャグ生物。豚鼻をもち、全身にツギハギがある。『ブッダ』には茸として登場し、料理に使われ、ブッダの入滅の原因となる。

◆『ジャングル大帝』('50-54): 手塚治虫の漫画。主人公は白ライオンのレオで、埼玉西武ライオンズのマスコットに採用されている。'65-67.アニメ化(日本初の連続カラーアニメ)。

◆『鉄腕アトムAstro Boy)』('52-68): 手塚治虫のSF漫画。'63-66.虫プロダクションによりアニメ化(日本初の連続TVアニメ、フジテレビで放送)。
日本では、幼少時代に『鉄腕アトム』に触れたことがロボット工学者・技術者を志すきっかけとなった者が多く、日本のロボット技術の発展に大きく貢献した。

アトム: 『鉄腕アトム』の主人公ロボット。2003年、天馬博士が交通事故死した息子・飛雄(とびお)に似せて造った。やがてサーカスに売られ、お茶の水博士に引き取られる。妹にウラン、弟(アニメでは兄)にコバルトがいる。

◆『リボンの騎士』('53-56,63-67): 手塚治虫の少女漫画。天使の悪戯で「男の子の心」と「女の子の心」の両方を持って生まれた王子(王女)・サファイヤが、仮面を付けて悪党に正義の剣を振るう。

◆『マグマ大使』('65-67): 手塚治虫の漫画。地球の創造主・アースが生んだロケット人間・マグマ大使と、宇宙の帝王・ゴアとの戦いを描く。

◆『ふしぎなメルモ』('70-72): 手塚治虫の子ども向け漫画。主人公・メルモのママは、メルモに「ミラクル・キャンデー」とメルモの弟達を託して交通事故で死んだ。メルモはキャンデーの力で赤ん坊や大人、動物等に変身し、危機を乗り越えながら成長していく。

◆『ブラック・ジャック』('73-83): 手塚治虫の医療/SF漫画。『週刊少年チャンピオン』の黄金期を支えた作品の1つ。'04-06.TVアニメ化。

ドクター・キリコ: 『ブラック・ジャック』に登場する隻眼の医師。非合法の安楽死を生業とし、「死神」と呼ばれる。

本間丈太郎: 『ブラック・ジャック』に登場する医師。不発弾で体がバラバラになった幼きブラック・ジャックを救い、ブラック・ジャックが外科医を目指すきっかけとなる。

◆『グリンゴ』('87-89): 手塚治虫の漫画。未完。80sの商社マン・日本人(ひもとひとし)を通して、異国から見た日本人像を描き「日本人とは何か」を問うた社会派サスペンス。

水木しげる: 漫画家、妖怪研究家。鳥取県境港市出身。'61-.『河童の三平』。'63-.『悪魔くん』。'67-.『ゲゲゲの鬼太郎』。'73.『総員玉砕せよ!』。'88-.『コミック昭和史』。'91-.『日本妖怪大全』。'92.『のんのんばあとオレ』。

目玉おやじ: 『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクター。鬼太郎の父親(正確には、死んだ父親の分身)。とても博識。

ねずみ男: 『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクター。善悪の中間に位置するトリックスター。自称「鬼太郎の大親友」。本名はペケペケ。人間と妖怪との間に生まれた半妖怪。
欲に目が眩んで鬼太郎の敵側に付くも、失敗して鬼太郎や猫娘に懲らしめられ、結局は改心して鬼太郎に味方するのが行動パターン。

猫娘: 『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクター。鬼太郎のガールフレンド。ねずみ男の天敵。人間と妖怪との間に生まれた半妖怪。

バカボンのパパ: 『天才バカボン』の登場人物。ハチマキと腹巻を身に付け、口元に髭を生やしている。バカ田大学出身。口癖〈これでいいのだ!〉〈コニャニャチハ〉。単発ドラマ版('16)では上田晋也が演じた。

藤子不二雄: 藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐから成る漫画家ユニット。富山県高岡市の小学校の同級生。トキワ荘出身。'64-.『オバケのQ太郎』。

フランケン: 『怪物くん』に登場する、怪物くんのお供の1人。フランケンシュタイン博士が作った人造人間。優しくて力持ち。〈フンガー(ドイツ語で「空腹」)〉としか喋らない。
青いコートの下に着ているボーダーのシャツのデザインは、『ドラえもん』のジャイアンに引き継がれている。

星飛雄馬: 『巨人の星』の主人公。左投げ投手。巨人に入団し、川上哲治が背負った永久欠番「16」を引き継ぐ。

◆『侍ジャイアンツ』('71-74): 梶原一騎原作の漫画。巨人V9時代の作品。「サムライ」と呼ばれる剛速球投手・番場蛮が、巨人に入団し、荒唐無稽な魔球の数々を駆使して活躍する。
原作の最終回で蛮は、ボールを握り潰して投げる「分身魔球」の投げすぎによる心臓発作でマウンド上で仁王立ちしたまま大往生。享年19。対してアニメ版は、メジャーリーグ覇者との試合でMVPを獲得、車がプレゼントされるハッピーエンドで終わる。

◆『いなかっぺ大将』('67-72): 川崎のぼるの漫画。猫の「ニャンコ先生」を師匠とする柔道少年が主人公。アニメ版の主題歌を、天童よしみが「吉田よしみ」名義で歌った。

◆『ゴルゴ13』('68-): さいとう・たかを(本人死後はさいとう・プロダクション)による漫画。『ビッグコミック』で連載。リイド社の単行本は200巻を超え、単一漫画シリーズの巻数の世界記録を更新中。
ゴルゴ13と称される狙撃手・殺し屋を主人公に、主に1話形式で、様々な依頼を受け、目的を完遂するさまを描く。各国の権力者や国連も登場し、現実の国際政治が多く描かれる。
70sに日本・イラン合作(高倉健主演)、日本・香港合作(千葉真一主演)でそれぞれ映画化された。

ゴルゴ13デューク東郷): 『ゴルゴ13』の主人公。強靭な肉体と精神を兼ね備えた世界的な狙撃手・殺し屋。60s時点で20代、20sには80代に達すると考えられる。
世界各地にセーフハウス(隠れ家)をもち、スイス銀行で資産を運用し莫大な財産を抱える。相手がどんな権力者でも敬語は使わず、同じような態度で接する。年に1回ほど、腕の筋肉に力が入らなくなる症状を発する。
1度の依頼で最も多い殺人数は約2000人。線路のポイントを切り替え、精鋭部隊が隠れて乗っていた貨物列車を氷点下の湖に沈めて溺死させた。
人間以外の生物を含めれば、あらゆる殺虫剤が効かないよう遺伝子操作された害虫数億匹を、アグロバクテリウムを含む弾丸を貯水塔に投入し、毒殺したことがある。

◆『ねじ式』('68): つげ義春の短編漫画。『ガロ』掲載作品。前衛的でシュールな作風で、後世に大きな影響を与えた。海でメメクラゲに腕を噛まれ静脈を切断された少年が、治療のために医者を探して彷徨い歩く内容。

谷岡ヤスジ: 漫画家。独特な勢いのある短編ギャグ漫画で、70sに〈鼻血ブー!〉〈アサー!〉等の流行語を生んだ。

叶精作: 漫画家。小池一夫(原作)とのコンビで知られる。'77-84.『実験人形ダミー・オスカー』。'90-'03.『オークション・ハウス』。

◆『はいからさんが通る』('75-77): 大和和紀の漫画。大正期を舞台に、主人公・花村紅緒と青年将校・伊集院忍の恋を描く。'87.映画化。南野陽子主演、阿部寛助演(俳優デビュー作)。

日暮熟睡男(ひぐらしねるお): 『こち亀』に登場する警察官。4年に1度しか目を覚まさない。24時間以内の未来を予知したり、念力を操ったりする。

吉田秋生(-あきみ): 漫画家。女性。'78-.『カリフォルニア物語』。'83-.『河よりも長くゆるやかに』『吉祥天女』。'85-.『BANANA FISH』。'96-.『YASHA-夜叉-』。'06-.『海街diary』。

弘兼憲史(ひろかねけんし): 漫画家。'80-.『人間交差点』。'83-.『島耕作』シリーズ。妻は柴門ふみ。

柴門ふみ(さいもん-): 漫画家。80s後半-90s前半に『ビッグコミックスピリッツ』で連載した『同・級・生』『東京ラブストーリー』『あすなろ白書』がいずれも「月9」のトレンディドラマとなり一時代を築いた。夫は弘兼憲史。

孫悟空: 『ドラゴンボール』の主人公。名前の由来は『西遊記』の孫悟空。アニメ・ゲーム共に声優は野沢雅子。惑星ベジータ生まれの戦闘民族サイヤ人で、サイヤ人としての本名は「カカロット」。
一人称は「オラ」、二人称は「おめえ」。ものまねで〈オッス! オラ悟空〉という台詞が使われるが本編では一度も言っていない。

フリーザ: 『ドラゴンボール』の登場人物。ナメック星編の悪役で、「宇宙の帝王」と恐れられる存在。主な側近にザーボン、ドドリア。名台詞〈わたしの戦闘力は530000です〉。
2chの名作コピペ〈一昨日の昼に友達二人とこういうファミレスに行ったとき混んでたから名前書いてもらって待ってたら
暫くして「三名様でお待ちの フ、フリーザ様~」って呼ばれて
小声で「こういうの書く奴必ずいるよな」って言ったら、友達がいきなり
「さぁ! 行きますよ! ザーボンさん、ドドリアさん!!」って立ち上がった〉。

トランクス: 『ドラゴンボール』の登場人物。ベジータ(サイヤ人)とブルマ(地球人)の混血の息子。人造人間編で、ブルマの作ったタイムマシンにより未来から登場。筋肉を付けすぎてスピードを失い、セルにチンチンにされてしまう。

仙豆(せんず): 『ドラゴンボール』に登場する豆。栄養価が高く、普通の人間なら1粒食べるだけで10日間は何も食べなくても平気。傷や骨折を治す効果もある。

◆『ハイスクール!奇面組』('82-87): 新沢基栄(しんざわもとえい)のギャグ漫画。『週刊少年ジャンプ』で連載。男子5人組が〈他人に笑われようとも個性を堂々とさらけ出し、世の中を味付けする調味料になろう〉をモットーに珍事を繰り広げる。

◆『富江』('87-): 伊藤潤二のホラー漫画。殺されても蘇り、切り刻まれると増殖する絶世の美少女を描く。'99-'11.シリーズ映画化。

山下和美(かずみ): 漫画家。女性。'88-.『天才柳沢教授の生活』。'01-.『不思議な少年』。

◆『はじめの一歩』('89-): 森川ジョージのボクシング漫画。『週刊少年マガジン』で連載。'23現在、既刊130巻を超える。

幕之内一歩: 『はじめの一歩』の主人公。母子家庭出身のいじめられっ子だったがボクシングを通して成長していく。主戦場はフェザー級。テクニックよりはパンチ力を武器とする、生粋のインファイターとして描かれる。
'23現在、作中では既に引退し、セコンドやトレーナーとして活躍している。

堂本五郎: 『SLAM DUNK』の山王工業高校バスケ部の監督。名言〈「負けたことがある」というのが いつか 大きな財産になる〉。

浦飯幽助: 『幽☆遊☆白書』の主人公。事故死から復活し霊能者となった不良中学生。指先から霊気を発射する必殺技「霊丸(れいがん)」をもつ。

◆『疾風伝説 特攻の拓(かぜでんせつ ぶっこみのたく)』('91-97): 佐木飛朗斗原作、所十三作画の漫画。『週刊少年マガジン』で連載。暴走族が題材。“”(クオーテーションマーク)の乱用や独特な読み仮名、超人的な不良の描き方が特徴。
名台詞〈"事故"る奴は… "不運(ハードラック)"と踊(ダンス)"っちまったんだよ…〉。

奥浩哉(-ひろや): 漫画家。'92-.『変[HEN]』。'00-.『GANTZ』。'06-.『め~てるの気持ち』。'14-.『いぬやしき』。

志々雄真実(ししおまこと): 『るろうに剣心』の悪役。全身に包帯を巻いている。実写映画版の俳優は藤原竜也。

しりあがり寿: 漫画家。'94-.『真夜中の弥次さん喜多さん』。'02-.『地球防衛家のヒトビト』。

安野モヨコ(あんの-): 漫画家。'95-.『ハッピー・マニア』。'01-.『さくらん』。'02-.『監督不行届』。'04-.『働きマン』。ペンネームの「安野」は安野光雅から。自らのペンネームと同じ苗字の読みをもつ庵野秀明と結婚した。

三田紀房: 漫画家。'96-.『クロカン』。'03-.『ドラゴン桜』。'10-.『砂の栄冠』。'13-.『インベスターZ』。'15-.『アルキメデスの大戦』。

ヴィンスモーク・サンジ: 『ONE PIECE』の登場人物。麦わらの一味のコック。「黒足のサンジ」。無類の女好きで、美女に出会うとすぐ口説いてしまう。「料理人は手が命」という信条から、戦闘では蹴り技のみで戦う。女性には絶対に攻撃しない。
キャラクター名は当初、ぐるぐる眉毛にちなんで「ナルト」になる予定だったが、『NARUTO』の連載が始まったため変更された。

悪魔の実: 『ONE PIECE』に登場する、食べると泳げなくなる変わりに特殊な能力を得られる実。「超人(パラミシア)系」「動物(ゾオン)系」「自然(ロギア)系」の3系統がある。

サウザンドサニー号: 『ONE PIECE』に登場する、麦わらの一味がゴーイングメリー号に続いて乗る海賊船。ウォーターセブンのアイスバーグ市長が命名した。

ニカ: 『ONE PIECE』に登場する「太陽の神」かつ「人を笑わせ苦悩から解放する戦士」。
初出時、明石家さんまは自身のラジオで「ニカのモデルはさんま」と予想するハガキを読み、その気になっていたが、放送中に尾田栄一郎から直接さんまに否定の連絡が入った。

島袋光年(-みつとし)(しまぶー): 漫画家。'97-.『世紀末リーダー伝たけし!』。'02-.女子高生買春で有罪となる。'08-.『トリコ』。

◆『HELLSING』('97-08): 平野耕太のアクション漫画。英国を舞台に吸血鬼との戦いを描く。「ヒラコー節」と呼ばれる厨二な台詞が満載。名台詞〈よろしい ならば戦争だ〉。

◆『同じ月を見ている』('98-00): 土田世紀の漫画。『週刊ヤングサンデー』で連載。'05.映画化。窪塚洋介主演(転落事故からの復帰作)。

◆『プラチナエンド』('15-21): 大場つぐみ原作・小畑健作画の漫画。虐待を受けて育った主人公・架橋明日(かけはしみらい)が、謎の天使に取り憑かれて助けられ「神候補」として生きる姿を描く。

矢吹健太朗: 漫画家。篠原健太とは義兄弟(妻同士が姉妹)。'00-.『BLACK CAT』。'06-.『To LOVEる -とらぶる-』。

◆『ミルモでポン!』('01-06): 篠塚ひろむの少女漫画。主人公がマグカップから現れた妖精と協力し、恋を叶えるために奮闘する姿を描いた。

◆『みなみけ』('04-): 桜場コハルの漫画。春香・夏奈・千秋の3姉妹の平凡な日常を描く。

松井優征: 漫画家。'05-.『魔人探偵脳噛ネウロ』。'12-.『暗殺教室』。'21-.『逃げ上手の若君』。

◆『逃げ上手の若君』('21-): 松井優征の歴史漫画。『週刊少年ジャンプ』で連載。戦って死ぬことこそが武士の誉れとされた時代において、敵(足利尊氏)から逃げることで英雄となった北条時行の生涯を描く。

篠原健太: 漫画家。矢吹健太朗とは義兄弟(妻同士が姉妹)。'07-.『SKET DANCE』。'16-.『彼方のアストラ』。

◆『ちはやふる』('07-22): 末次由紀の漫画。競技かるたが題材。'16-18.映画化(3部作)。主要キャストは広瀬すず(綾瀬千早)、野村周平(真島太一)、新田真剣佑(綿谷新)。主な主題歌はPerfume「FLASH」。

押切蓮介: 漫画家。「ホラーギャグ」というジャンルを開拓した。'07-.『ミスミソウ』。'10-.『ハイスコアガール』。

◆『Real Clothes』('07-11): 槇村さとるの漫画。百貨店の婦人服売場が舞台。'08.ドラマ化。香里奈主演で、香里奈の2人の姉も主要な役で出演した。
「リアル・クローズ」とはバブル崩壊後に注目されるようになった、庶民に手が届く価格帯のファッション性の高い服のこと。

◆『黒子のバスケ』('09-14): 藤巻忠俊の漫画。『週刊少年ジャンプ』で連載。高校バスケが題材。厨二心をくすぐる非現実的な技が続出する「バスケ界の『テニスの王子様』」。
'12-13.作者や作品の関係先各所が脅迫される事件が起こり、イベントの中止や関連商品の撤去が相次いだ。

黒子テツヤ: 『黒子のバスケ』の主人公。冗談や声を張ることが苦手な無表情キャラで、極端に影が薄い。「キセキの世代」と呼ばれた5人の天才と同じ中学出身で、中学時代は彼らからも一目置かれるシックスマンだった。

◆『めだかボックス』('09-13): 西尾維新原作の漫画。『週刊少年ジャンプ』で連載。時空や知能を操るような、ほぼ全知全能の超人的な能力者達が惜しげもなく多数登場する学園物。

◆『のんのんびより』('09-21): あっとの漫画。田舎の小中併設校に通う女の子達を描く。'13.アニメ化。独特な挨拶〈にゃんぱすー〉。EDの歌詞〈あ、あれってハクビシン? タヌキなのんっ アライグマでしょ イタチですよ〉。

◆『テラフォーマーズ』('11-): 貴家悠原作、橘賢一作画の漫画。火星のテラフォーミング用に放たれたことで人型に進化したゴキブリ「テラフォーマーズ」との戦いを描く。

◆『予告犯』('11-13): 筒井哲也の漫画。「シンブンシ」と名乗る男がある目的を果たすために、罪には問われていないが悪事を働いた者に制裁を加えていく。'15.生田斗真主演で映画化。

◆『小林さんちのメイドラゴン』('13-): クール教信者の漫画。OLの小林さんと、彼女にメイドとして仕えることになった異世界のドラゴンが主人公。'17.アニメ化。

◆『ゴールデンカムイ』('14-22): 野田サトルの漫画。明治末期の北海道・樺太を舞台に、金塊を巡るサバイバルバトルを描く。

アシㇼパ: 『ゴールデンカムイ』に登場する、主人公・杉本佐一と共に行動するアイヌの少女。名は「新年」や「未来」を意味するアイヌ語から。

◆『恋と嘘』('14-22): ムサヲの漫画。「超・少子化対策基本法」が施行された近未来の日本を舞台に、初恋の相手と、国が決めた結婚相手の間で揺れ動く主人公を描く。

赤坂アカ: 漫画家、漫画原作者、イラストレーター。'15-22.『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』。'20-.『【推しの子】』(原作)。

日輪刀: 『鬼滅の刃』に登場する、陽光以外で鬼を倒すことができる唯一の武器。鬼殺隊剣士の主力装備。持ち主の呼吸の適正によって色が変わり、刀としての特性が変わる。

◆『ミステリと言う勿れ』('16-): 田村由美のミステリ漫画。『月刊フラワーズ』で連載。天然パーマの多弁な学生・久能整(くのうととのう)が主人公。'22.「月9」でドラマ化。主演は菅田将暉、主題歌はKing Gnu「カメレオン」。

◆『大家さんと僕』('16-17): 矢部太郎(カラテカ)のストーリー8コマ漫画。

◆『五等分の花嫁』('17-20): 春場ねぎのラブコメ漫画。主人公が、五つ子の女の子の家庭教師を務めることになるところから物語が始まる。

◆『サマータイムレンダ』('17-21): 田中靖規の漫画。ループ物のサスペンス。

◆『私に天使が舞い降りた!(わたてん)』('17-): 椋木ななつの漫画。主人公の女子大生と、彼女が恋した女子小学生を中心に描く百合作品。

◆『呪術廻戦』('18-): 芥見下々(あくたみげげ)の漫画。『週刊少年ジャンプ』で連載。主人公・虎杖悠仁(いたどりゆうじ)ら呪術師と、人間の負の感情から生まれる化け物「呪霊」との戦いを描く。
'20.アニメ化。'21.アニメ映画『劇場版 呪術廻戦 0』公開。国内興行収入100億円を突破。

◆『よふかしのうた』('19-): コトヤマの漫画。『週刊少年サンデー』で連載。吸血鬼になりたい不登校の中学2年生が、吸血鬼に恋しようと試みる。タイトルはCreepy Nutsの曲名から。

◆『気になってる人が男じゃなかった』('22-): 新井すみこのTwitter発の漫画。イケイケギャルが恋した「おにーさん」の正体は、クラスの隣の席の目立たない女子だった。凸凹コンビの絆を描く。

◆『アステリックス』('59-): バンド・デシネのシリーズ。古代ローマ帝国のガリアを舞台に、主人公アステリックス、怪力男オベリックスらが活躍する。

◆『冷たい赤道』('92): エンキ・ビラル(フランス)のSFバンド・デシネ作品。チェス4分+ボクシング2分のセットを最大11セット続ける競技「チェスボクシング」が登場する。作品発表後、現実世界でもこの競技が行われ世界大会も開催された。

サリー・ブラウン: 『ピーナッツ』の登場人物。チャーリーの妹。ライナスに恋している。

ルーシー・ヴァン・ペルト: 『ピーナッツ』の登場人物。うるさ型のキャラクター。基本料金5セントでカウンセラーをしており、チャーリーらの悩みを独断と偏見でさらりと「解決」する。

ライナス・ヴァン・ペルト: 『ピーナッツ』の登場人物。ルーシーの弟、チャーリーの親友。冷静沈着な秀才だが、常に安心毛布が手放せない。

ヴェノム: 『スパイダーマン』シリーズの悪役。地球人の体に地球外生命体が寄生して誕生した。

ホークアイ: マーベルのヒーロー。アベンジャーズのメンバー。世界最高の弓の達人。

デッドプール: マーベルのダークヒーロー。赤いタイツに身を包み、ハンドガンとカタナを武器に、驚異的な再生能力を駆使して戦う。

バンクシステム: アニメや特撮ドラマの制作で、ヒーローの変身等のよく使われるシーンを保存し、使い回すこと。

アニプレックス: アニメ・ゲームの製作・配給会社。SMEJ傘下。『鬼滅の刃』シリーズ等、21cに入ってから数多くのヒットアニメの製作に関わっている。'15.モバイルゲーム『Fate/Grand Order』配信。

東堂いづみ: 東映アニメーションの会社としての共同ペンネーム。『プリキュア』シリーズ等の原作者名としてクレジットされている。

立川譲(たちかわゆずる): アニメ監督。'16-.TVアニメ『モブサイコ100』シリーズ。'18.『名探偵コナン ゼロの執行人』。'23.『BLUE GIANT』『名探偵コナン 黒鉄の魚影』。

虚淵玄(うろぶちげん): 作家、シナリオライター、アニメ脚本家。'06-07.小説『Fate/Zero』。'11.『魔法少女まどか☆マギカ』。'12.『PSYCHO-PASS サイコパス』。

◆『太陽の王子 ホルスの大冒険』('68): 東映動画のアニメ映画。監督は高畑勲。高畑の初監督作品で、宮崎駿が本格的に制作に携わった初めての作品。

◆『天空の城ラピュタ』('86): スタジオジブリが初めて制作したアニメ映画。監督・脚本は宮崎駿、音楽は久石譲、主題歌は井上あずみ「君をのせて」。
王道の冒険活劇。ラピュタの名は『ガリヴァー旅行記』に登場する、空飛ぶ島のラピュタ王国から。

トトロ: 『となりのトトロ』の世界の、子どもの目でしか見えない不思議な生き物。大トトロ、中トトロ、小トトロの3匹が登場する。
本当の名前は不明だが、メイに名前を聴かれた大トトロが、眠たげに〈ドゥオ、ドゥオ、ヴォロー〉と野太い声を上げたため、これを返事と認識したメイによって命名された。
棲み処にしている巨大な楠の穴の中には、縄文土器がある。宮崎駿によれば、大トトロは3000年くらい生きていて、縄文人から縄文土器の使い方を習ったという。

◆『火垂るの墓』('88): スタジオジブリのアニメ映画。『となりのトトロ』との同時上映作品。原作は野坂昭如の短編で直木賞受賞作。監督は高畑勲、主題歌は「埴生の宿」。
終戦前後の神戸市・西宮市近郊を舞台に、戦禍で親を亡くし引き取り先の叔母と険悪な仲となった14歳の兄・清太と4歳の妹・節子が、混乱の中を兄妹で独立して生き抜こうとするが、栄養失調で死に至る姿を描く。
タイトルは、蛍のように儚く消えた2つの命の悲しみと鎮魂を表現している。『金曜ロードショー』で終戦記念日前後に放送されることが多い。映画で小道具として登場したサクマ式ドロップスは再注目を浴び、復刻版が発売された。

◆『雲のむこう、約束の場所』('04): コミックス・ウェーブのアニメ映画。監督・脚本は新海誠。セカイ系の物語で、共産国家群「ユニオン」が支配する北海道に、平行宇宙に繋がる純白の塔が立っているという設定。

宮水三葉(みやみずみつは): 『君の名は。』の登場人物。飛騨地方の架空の田舎町・糸守町に住む女子高生、巫女。声優は上白石萌音。

◆『天気の子』('19): コミックス・ウェーブのアニメ映画。監督・脚本は新海誠。RADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ(ft.三浦透子)」等が主題歌・挿入歌に使われている。
異常気象で雨が降り続く東京が舞台。離島出身の家出少年・帆高(ほだか)と、「祈りで晴れを呼ぶ」力を持つ少女・陽菜(ひな)が出会い、運命に翻弄されながらも自分達の生き方を選択していく。

◆『つみきのいえ』('08): 加藤久仁生監督の短編アニメ映画。アカデミー短編アニメ賞受賞作(日本映画初)。鉛筆画の優しいタッチが印象的な作品。
主人公は、地球温暖化で海に沈み年々水位が上がり続ける地域で、積木を積み上げたような家に暮らすお爺さん。海中に落としたパイプを拾いに下の階、下の階へと潜ることで、辿ってきた人生の記憶が呼び覚まされる様子を描く。

フグ田マスオ: 『サザエさん』の登場人物。サザエの夫。大阪出身で早大卒の、海山商事に勤める商社マン。大阪弁は喋らない。周囲によく気を使う優しい性格。アニメでは28歳の設定。
磯野家とフグ田家の同居は「マイホーム購入までの一時的なもの」という設定だが、マスオに由来し、妻の家族と同居する男性を「マスオさん(状態)」と呼ぶことが一般化している。
饅頭の中身が粒餡か漉し餡か白餡か等を、透視して当てるという地味すぎる超能力をもつ。
最も長く声優を務めたのは増岡弘('78-'19)。驚いた時の〈えぇ~!?〉がよくものまねされる。'07年放送の「父さん発明の母(通称:全自動卵割り機)」における、波平に媚びを売る台詞〈びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛〉も有名。

伊佐坂難物: 『サザエさん』の登場人物。磯野家の隣に住む恋愛小説家。担当編集者はノリスケで、遅筆のためいつもノリスケを困らせている。趣味は囲碁で、よく波平と打つ。
長谷川町子の別作品『似たもの一家』にも登場するが、そちらでは執筆活動の助けにヒロポンを所持しており、隣の家の子ども達(ワカメ・タラオとほぼ同じキャラデザ)が誤飲してしまうエピソードがある。

穴子: 『サザエさん』の登場人物。アニメ版のオリジナルキャラで、マスオの会社(海山商事)の同僚。若本規夫が演じる声と老け顔が印象的だが、なんと27歳の設定。

◆『ドラえもん』('69-(漫画),'79-(テレ朝版アニメ)): 藤子・F・不二雄の漫画、及びアニメ化作品。アニメは日テレ版('73)とテレ朝('79-)があり、後者が現在も続く国民的アニメとなっている。
主人公はドラえもんのび太。通常回では一話完結型で日常生活を、映画化を前提とした「大長編」シリーズでは日常を離れた大冒険を描く。一話完結のプロットは、「ドラえもんがポケットから出す未来のひみつ道具で、のび太の身にふりかかった災難を一時的に解決するが、道具を不適切に使い続けた結果、しっぺ返しを受ける」というものがほとんどで、F・不二雄の前作『ウメ星デンカ』('68-70)とほぼ同じストーリー構造となっている。
'05.アニメをフルリニューアル。声優陣の総入れ替えや、設定・キャラデザの変更を行った。ドラえもん役の声優名から、'05年までを「大山ドラ時代」、'05以降を「水田ドラ時代」と呼ぶことがある。
放送枠は'81-'19年の長きに渡り金曜19:00-19:30だった(19:30からは『クレヨンしんちゃん』等を放送)。'19年以降は土曜17:00-17:30。

◆『ドラえもん のび太の恐竜』('80): 『ドラえもん』の大長編シリーズ第1作、劇場版アニメ第1作。'06.リメイク映画公開(「水田ドラ」劇場版第1作)。
フタバスズキリュウの卵の化石を発見し、タイムふろしきで卵に戻して孵化させたのび太と、ピー助と名付けられたフタバスズキリュウとの友情や、白亜紀へのタイムトラベルを描く。ちなみに、フタバスズキリュウは首長竜で、分類学上は恐竜ではない。

ドラえもん: 『ドラえもん』に登場するネコ型ロボット。のび太を一人前の大人にするための未来からやって来た。寝床はのび太の部屋の押入れ。
身長129.3cm(小学4年生の平均身長。但しアニメの作画では1m程度)、体重129.3kg、胸囲129.3cm、座高1m。足は反重力装置により地面から3mm宙に浮いている。誕生日は2112/9/3(連載初期の設定では2012/9/3)。
声優は大山のぶ代('79-05)→水田わさび('05-)。日テレ版では野沢雅子が声優を務めた時期がある。トヨタのCM('11-)ではジャン・レノが演じた。

ジャイ子: 『ドラえもん』の登場人物。ジャイアンの妹。本名は不明。漫画家としてのペンネームはクリスチーネ剛田
作中初期はのび太を罵倒する粗暴な少女として描かれ、第1話では「ジャイ子と結婚する未来」がのび太の悲惨な運命を象徴する出来事として描かれる。中期頃からは穏やかな性格に変化し、のび太とも親しくなっている。

さくらすみれ: 『ちびまる子ちゃん』の登場人物。まる子の母。専業主婦。髪型がポンデリングのよう。

さくらさきこ: 『ちびまる子ちゃん』の登場人物。まる子の姉。西城秀樹の大ファン。

さくらこたけ: 『ちびまる子ちゃん』の登場人物。まる子の祖母。アニメの作画ミスで、画面にドッペルゲンガーが同時に写り込んだことがある。

穂波たまえたまちゃん): 『ちびまる子ちゃん』の登場人物。まる子の無二の親友。眼鏡と三つ編みが特徴。モデルはさくらももこの同級生・穂波珠絵さん。国際結婚し米国に住んでいる。

高木渉: 『名探偵コナン』に登場するお人好しの若手刑事。アニメ版でモブキャラの頃から担当していた声優の名が、そのままキャラクター名として原作にも逆輸入された。先輩の佐藤刑事とは恋仲。

◆『マジンガーZ』('72-74): 永井豪原作のメディアミックス作品。巨大な人型ロボットに主人公が乗り込み操縦する「巨大ロボットアニメ」の元祖。アジア圏・スペイン語圏でも高い人気を誇る。主人公は兜甲児。OPは水木一郎「マジンガーZ」。

◆『アルプスの少女ハイジ』('74): 世界名作劇場の前身、カルピスまんが劇場の最後の作品。制作はズイヨー映像、演出は高幡勲、場面設定・画面構成は宮崎駿。
原作は19cのスイスの児童小説。アルム(高原放牧地)の自然を愛する少女ハイジ(アーデルハイド)の、アルムおんじやクララ・ゼーゼマンとの交流の日々を描く。

アルムおんじ: 『アルプスの少女ハイジ』に登場するハイジの祖父で、育ての親。元傭兵。大自然の中の山小屋で暮らし、セントバーナードのヨーゼフを飼っている。「アルム」は高原放牧地を指し、本名は作中に搭乗しない。

◆『母をたずねて三千里』('76): 世界名作劇場の2作目。監督は高幡勲。原作は19cのイタリアの児童小説『クオレ』。主人公の少年・マルコが、出稼ぎに行ったまま音信不通となった母を訪ね、イタリアからアルゼンチンまでの長旅に出る。

超平和バスターズ: アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』('11)で主人公の幼馴染6人組が結成したグループ。
同じ制作チームによるアニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』('15)・『空の青さを知る人よ』('19)では原作者名としてクレジットされている。

◆『凪のあすから』('13-14): P.A.WORKS制作のTVアニメ。人々が海中と陸上に分かれて住む世界を舞台に、7人の少年少女の揺れ動く心や恋愛模様を描く。

◆『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』('18): 京アニ制作のTVアニメ。同名ライトノベルが原作。「自動手記人形」と呼ばれる代筆屋の少女が「愛してる」という言葉の意味を探していく。

◆『宇宙よりも遠い場所』(そら-)('18): マッドハウス制作のTVアニメ。略称「よりもい」。女子高生達が南極観測船同行を目指す。タイトルは毛利衛の発言に由来する。

◆『やわらか戦車』('05-11): ラレコのFlashアニメ。同作のキャラクター「やわらか戦車」達は、「戦う車」ではなく「戦わない車」。攻撃性能はゼロだが、高い耐貫通能力や、輸送機から落ち地面に墜落してもそのまま跳ね上がってくるような弾力性をもつ。
更に、人間なら複雑骨折してしまうような狭い状況下でも思考回路を切る事で耐えきる等、やわらかい分、衝撃や圧力には強い。

◆『秘密結社鷹の爪』('06-): FROGMANのFlashアニメ。かつてはTV放送されていた。「人に地球に優しい世界征服」を企むベンチャー企業・鷹の爪団を描く。

ピクサー(Pixar): 長編アニメ映画で知られるCGアニメーションの制作会社。ディズニー傘下。
'86.当時アップルを退職していたスティーブ・ジョブズがルーカスフィルムのCG制作部門を買収し、「ピクサー」と名付けて独立させた。'95.世界初の長編フルCGアニメ映画『トイ・ストーリー』が大ヒット。

ドリームワークス・アニメーション(DreamWorks): 長編アニメ映画で知られるCGアニメーションの制作会社。ユニバーサル傘下。'98.第1作『アンツ』がヒット。

モーティマー・マウス: ミニーマウスの愛を巡るミッキーの恋敵。ミッキーやミニーよりかなり背が高い。ウォルトはミッキーマウスを生み出した当初、ミッキーに「モーティマー・マウス」と名付けようとしたが、妻に却下され、後に恋敵の名前となった。

チップとデール: ディズニーアニメ(主にプルートやドナルドダックの映画)に登場するシマリスの2人組。体色が明るく鼻が赤い方がデール。名前の由来は18cの英国の家具デザイナー・チッペンデール。1943.初登場。

ルーニー・テューンズ: ワーナー・ブラザース製作のアニメシリーズ。1930s-60sに多くの短編映画が作られた。

ダフィー・ダック: ルーニー・テューンズに登場するクロガモのキャラクター。名前に「ダック」と付くが、アヒルではない。

ポーキー・ピッグ: ルーニー・テューンズに登場する吃音症の豚のキャラクター。

ベティ・ブープ: パラマウントのアニメ映画に登場する少女キャラクター。赤い口紅を塗った唇、垂れ眉、ショートドレスが特徴。モデルは歌手のヘレン・ケーン。

トムとジェリー: かつてはMGM、現在はワーナー・ブラザースが製作するアニメシリーズ。1940s-60sに多くの短編映画が作られた。
猫のトムと鼠のジェリーが引き起こすドタバタを描く。第1作『上には上がある』の時点では、トムは「ジャスパー」、ジェリーは「ジンクス」という名だった。

ドルーピー: 常に眠そうな顔をした犬のキャラクター。MGMによって1940s-50sに多くの短編アニメ映画が作られた。近年はトムとジェリーシリーズのサブキャラとなっている。

クルエラ・ド・ヴィル: 『101匹わんちゃん』('61)の悪役。ダルメシアン達の毛皮でコートを作ろうとする残忍なファッションデザイナー。

ガストン: 『美女と野獣』('91)に登場するナルシストの男。原作には登場しない。ディズニー・ヴィランズの1人。

ジーニー: 『アラジン』('92)に登場するランプの精。青い姿をした魔人で、魔法のランプをこすると現れ、持ち主のどんな願いでも3つ叶えることができる力を持つ。日本語版の声優は山寺宏一。

◆『ポカホンタス』('94): ディズニーのアニメ映画。ディズニーのアニメ映画で初めて実在の人物を扱い、かつ珍しくハッピーエンドではない作品で、結婚に至らない異人種間の恋愛を描いた。
モデルは17c初頭のネイティブアメリカンの酋長の娘で、英国人開拓者の男性を処刑から救ったという逸話がある。

◆『ファインディング・ニモ』('03): ピクサーのアニメ映画。主要キャラクターはカクレクマノミの親子・マーリン&ニモと、ナンヨウハギの雌・ドリー。'16.続編『ファインディング・ドリー』公開。

◆『シュレック』('01): ドリームワークスのアニメ映画。主人公・シュレックの日本語版声優は浜田雅功。

◆『シンプソンズ』('89-): 米国のTVアニメ。シンプソン一家を通して、米国の中流家庭のライフスタイルをコメディタッチで描く。日本の長寿アニメと同じで登場人物は年を取らない。一家の父ホーマーは原発の安全検査官。

◆『パワーパフガールズ』('98-): 米国のTVアニメ。「お砂糖、スパイス、素敵なものいっぱい、ケミカルX」を混ぜて誕生した3人の幼稚園児スーパーヒロインが主人公。

サンリオ: キャラクター商品の企画・販売、テーマパーク事業等を手掛ける企業。創業地は山梨県で、山梨を音読みすると「サンリ」。
主なキャラクターに、'73.「コロちゃん」(初のオリジナルキャラクター)、'74.「ハローキティ」、'75.「マイメロディ」「リトルツインスターズ」、'79.「タキシードサム」、'84.「みんなのたあ坊」「ハンギョドン」、'85.「マロンクリーム」、'88.「けろけろけろっぴ」、'89.「ポチャッコ」「あひるのペックル」、'93.「バッドばつ丸」、'96.「ポムポムプリン」、'01.「シナモロール」、'05.「クロミ」、'08.「ジュエルペット」、'12.「SHOW BY ROCK!!」、'13.「ぐでたま」「KIRIMIちゃん」、'15.「アグレッシブ烈子」。

ハローキティ: 世界的人気をもつサンリオの看板キャラクター。ボーイフレンドはディアダニエル

すみっコぐらし: サンエックスのキャラクターシリーズ。'12年登場。寒がりで人見知りの「しろくま」、緑色の体で昔は頭に皿が乗っていたような気がしている「ぺんぎん?」、肉の部分が少なく油っぽすぎて残されてしまった「とんかつ」等のキャラクターがいる。

池田昌子: 声優。オードリー・ヘップバーンの吹き替え、アニメ『銀河鉄道999』シリーズ('78-)のメーテル役で有名。

加藤みどり: 声優。'69-.『サザエさん』フグ田サザエ役。80代半ばに差し掛かってもバリバリ現役を続けている。

貴家堂子(さすがたかこ): 声優。'69-'23.『サザエさん』フグ田タラオ役。

桂玲子: 声優。'71-.『サザエさん』波野イクラ/カオリちゃん/リカちゃん役。80代半ばに差し掛かっても、同い年の加藤みどりと共にバリバリ現役を続けている。

池田秀一: 声優。'79-.『機動戦士ガンダム』シャア・アズナブル役。'99-.『ONE PIECE』シャンクス役。'01-.『名探偵コナン』赤井秀一役。

神谷明: 声優。'83-.『キン肉マン』キン肉スグル役。'84-.『北斗の拳』ケンシロウ役。'87-.『シティーハンター』冴羽獠役。

大谷育江: 声優。'93-『フルハウス』(吹替え版)ステファニー役。'96-.『名探偵コナン』円谷光彦役。'97-.『ポケットモンスター』ピカチュウ役。'00-.『ONE PIECE』トニートニー・チョッパー役。
『ポケットモンスター』シリーズのサトシのピカチュウは当初、ロケット団のニャースのように「しゃべる」予定だったが、大谷が鳴き声のトーンだけで喜怒哀楽を完璧に演じられたため、しゃべる設定はお蔵入りとなった。

緒方恵美(-めぐみ): 声優。'95-.『新世紀エヴァンゲリオン』碇シンジ役。

林原めぐみ: 声優。'95-.『新世紀エヴァンゲリオン』綾波レイ役。'97-.『ポケットモンスター』ムサシ役。'99-.『名探偵コナン』灰原哀役。

チョー: 声優。'96-.幼児番組『いないいないばあっ!』ワンワン役(スーツアクター兼任)。'01-.映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(吹替え版)ゴラム役。'02-.『ONE PIECE』ブルック役。

杉田智和: 声優。'06-.『銀魂』坂田銀時役、『涼宮ハルヒの憂鬱』キョン役。

宮野真守: 声優、歌手。劇団ひまわり所属。'06-.『DEATH NOTE』夜神月役。'16-.映画『ファンタスティック・ビースト』(吹替え版)ニュート・スキャマンダー役。

花澤香菜: 声優。'09-.〈物語〉シリーズ・千石撫子役。

安済知佳(あんざいちか): 声優。'15-.『響け!ユーフォニアム』高坂麗奈役。'22.『リコリス・リコイル』錦木千束役。

アニメ・エキスポ: 北米最大のアニメイベント。日本アニメーション振興会主催。'92.第1回。主にカリフォルニア州で行われ、'09年以降の会場はLA。

◆『空想科学読本』('96-): 漫画やアニメ、特撮等のシーンを科学的に検証した書籍シリーズ。柳田理科雄著。

超!A&G+: 文化放送が運営するネットラジオ。多くの番組は動画も配信する。「A&G」はアニメ&ゲームの意味で、ほとんどの番組で声優がパーソナリティを務める。


21、遊び・ゲーム

遊び(遊戯): 生活上の実利を得ることよりも、楽しむことを主な目的として行う行為。

ゲーム: 一定のルールの元で行う、勝負や遊びのこと。特にビデオゲームを指す場合もある。

ハンディキャップ(ハンデ): プレーヤー間の実力差が大きい場合に、事前に埋め合わせの設定をすること。転じて、競争が不利になる条件のこと。2人のプレーヤーと審判が帽子の中にお金や品物を入れて交換するゲームが由来。

ブービー: 最下位から2番目のこと。元々は「間抜け」「ビリ」を指す英語だが、ゴルフのコンペで「ブービー賞」を最下位から2番目の人物に与える文化(最下位は狙って獲る場合があるため)から、日本では最下位から2番目の意味で定着している。

サイコロ(賽子、賽、ダイス): 乱数を発生させる道具。立方体のものが一般的だが、他の正多面体を象ったものもある。
1の目の彫りの部分が赤いのは日本オリジナル。安物のサイコロは、各面の彫りの体積を厳密に調整していないため、5の目や6の目が少しだけ出やすいことが多い。

折り紙: 紙を折って様々な物の形(紙飛行機、折り鶴、風船、手裏剣等)を作る遊び。又はそのための正方形の専用紙。
ちなみに、銀色の折り紙の表面はアルミ箔で、電気を通す。金色の折り紙の表面はアルミ箔の上に黄色っぽい塗料を塗っており、電気を通さない。

LaQ(ラキュー): 日本のブロック玩具シリーズ。'94.発売。三角形・四角形の基本パーツと、それらを繋ぐジョイントパーツを組み合わせる。

オートマタ: 中世~近代に作られた機械仕掛けの人形。主にぜんまいばねを動力とした。近世の日本では「からくり人形」と呼ばれ発展した。

さるぼぼ: 岐阜県飛騨地方の伝統人形。「猿の赤ん坊」の意味。赤い球形でのっぺらぼうの頭が特徴。

リカちゃん: タカラトミーの着せ替え人形。フルネームは香山リカ。'67.タカラから発売。広告イラストは漫画家の牧美也子が担当した。当初はタカラの自社工場ではなく、千葉県の醤油メーカーが受託生産を行った。

シュタイフ: ドイツの高級ぬいぐるみメーカー。世界初のぬいぐるみメーカー、テディベアメーカーとして知られる。

ロディ: イタリア発の、馬を象ったビニール製の乗用玩具。'84.発売。

ねんどろいど: グッドスマイルカンパニーのフィギュアシリーズ。2.5等身にデフォルメしたデザインが特徴。'06.発売。

MODEROID: グッドスマイルカンパニーのプラモデルシリーズ。'18.発売。

(カイト): 糸で牽引して揚力を起こし、空に飛揚させるもの。竹や木の骨組みに紙、布、ビニールなどを張り、形を整えて作る。凧揚げは伝統的な正月の遊び、風物詩でもある。
ひらひらの足を付けたものは烏賊や蛸に似ており、元々関東では「いか」と呼んだ。江戸時代、幕府が「いか」揚げを禁じたところ、江戸っ子達は「たこ」と呼び変えて揚げるようになり、やがてそれが全国的な名称となった。

ベーゴマ: 上面に軸が出ていない小型の投げ独楽。独楽を弾き合い最後まで回っていられるかを競って遊ぶため、重心が低ければ低いほど良い。元々はバイ貝に砂を詰めて遊んだため「バイゴマ」と呼ばれ、転じてベーゴマとなった。

灯台: けん玉の技。玉を手にもち、垂直に上げたけんの中皿を受け止め、けんを立てた状態にする。

もしかめ: けん玉の技。玉を大皿→中皿→大皿→中皿…とリズムよく交互に乗せ替える。童謡「うさぎとかめ」に合わせて行うことが多い。

ゴム跳び: 2人の人が両端を持ったり、足に掛けたりして張ったゴム紐を、飛び越えたり踏んだり、足で引っ掛けたりねじったりして楽しむ遊び。

黒ひげ危機一髪: タカラトミーの玩具。順々に短剣を樽に刺し、樽の中の黒ひげを飛び出させた人が負けというルールで遊ぶ。
'75.トミーから発売。当初は黒ひげを飛び出させた人が勝ちという設定だったが、TV番組で逆の使い方をしていたのが定着し、公式ルールもこれに従った。

ラブテスター: 任天堂の玩具。横井軍平が開発に関わっている。'69.発売。話題にはなったがそれほど売れず、僅か1年で製造中止となった。
本体から延びた2本のコードの先にセンサーが付いており、この部分を2人が1つずつ握ってからもう一方の手を互いに握り合うとメーターの針が動き、2人の「愛情度」を指し示すというもの。

なべなべそこぬけ: 子どもの遊びの1つ。向かい合って両手を繋いだ2人が、歌いながら手を離さないように同時に反り返る。〈なべなべそこぬけ そこがぬけたら かえりましょ〉。

はないちもんめ(花一匁): 子どもの遊びの1つ。手を繋いで並んだ2つのグループが向かい合い、歌を歌いながら前後に歩き、じゃんけんで勝負しながらメンバーのやりとりをする。
一般には銀一匁分の花を売買する時のやり取りとされるが、「花」は若い女性の隠語で、一匁で1人を基本とする値段で行われた人買いに起源があるともいう。
〈勝ってうれしい花いちもんめ 負けて悔しい花いちもんめ… あの子が欲しい あの子じゃわからん この子が欲しい この子じゃわからん 相談しよう そうしよう〉。

限界しりとり: QuizKnockが開発したしりとり。専用のカードやトランプを使い、文字数縛りで行うもので、長い単語や固有名詞等の語彙力が試される。モバイルゲームもある。

ワンナイト人狼: 人狼ゲームを少人数・短時間で遊べるようにアレンジしたもの。村人、人狼、占い師、怪盗の4種類の役職が登場する。

ウミガメのスープ(シチュエーションパズル、YES/NOパズル、水平思考パズル): コミュニケーションゲームの1つ。出題者があるストーリーに関連する状況を提示し、他の人は、出題者が「はい」「いいえ」「(ストーリーに)関係ありません」のいずれかで答えられる質問をしながら、ストーリー全体を推測していく。
ゲーム名は代表的な出題例から。お題は「ある男が、海の見えるレストランでウミガメのスープを注文した。スープを一口飲んだ男は、それが本物のウミガメのスープであることを確認し、勘定を済ませて帰宅した後、自殺した。一体、なぜ?」。
正解のストーリーは「男はかつて数人の仲間と海で遭難し、ある島に漂着した。仲間達は生き延びるために力尽きて死んだ者の肉を食べ始めたが、男は頑なに拒否していた。見かねた仲間が〈これはウミガメのスープだから〉と嘘をつき、男に人肉のスープを飲ませ、救助が来るまで生き延びさせた。男はレストランで飲んだ本物のウミガメのスープとかつて自分が飲んだスープの味が違うことから真相を悟り、絶望のあまり自ら命を絶った」。

たほいや: 辞書に載っているマイナーな単語の意味を当てるテーブルゲーム。ゲームの参加者からダミー選択肢を集めて選択式問題を作ることや、チップの賭け方・払い方に特徴がある。
ゲーム名は代表的な出題例で、「猪を追うための小屋」を意味する言葉。

マーダーミステリー(マダミス): パーティーゲーム。殺人等の事件のシナリオが用意され、参加者は物語の登場人物となって犯人を探し出したり、犯人役の人は逃げ切る事を目的として会話しながらゲームを進める。
それぞれの役柄のバックボーンや事件当日の行動がシナリオとして用意されており、自分自身がミステリの世界に入ったような体験ができる。各シナリオは一度体験すると全ての謎が解けてしまうので、一生に一度しかプレイできないことも特徴的。
イベント形式で開催される公演型の他、オンラインで遊べるもの、TRPGやボードゲームの形態で販売されるもの等がある。

三目並べ: 簡単なテーブルゲーム。3×3の格子内に2人が「×」「○」を交互に書き込み、自分のマークを直線状に3つ並べることを目指す。双方が共に最善手をとると、先手が初めにどの場所から始めても、双方とも目的は達せず引き分けとなる。
米国のSFサスペンス映画『ウォー・ゲーム』('83)は、核戦争を起こしかけた人工知能が、三目並べをきっかけに、核戦争にも必勝手順がないことを認識する展開を描いている。

数独数字は独身に限るナンプレナンバープレース): ペンシルパズルの1つ。日本発祥ではないが、ニコリの商標「数独(数字は独身に限る)」が世界に広まり、「Sudoku」として知られる。
ルールは、9×9の碁盤の目の中の空欄に、同じ行、同じ列、同じブロック(枠内は3×3のブロックに分けられている)の中に数字の重複が無いようにしながら、1〜9の数字を入れていくというもの。

ルービックキューブ: ルビク・エルネー(ハンガリー)が'74年に考案した立体パズル。日本での販売元はツクダ(現メガハウス)。
立方体で、各面は3×3の9マスに分割され、6色(白・黄・青・緑・赤・橙)に塗り分けられている。各列を回転させて分割されたキューブを動かし、各面を同一色に揃えていく。最初がどんな状態でも20手以内に色が揃えられると証明されている。

友札: 競技かるたで、決まり字が途中まで同じ札のこと。

大山札: 競技かるたで、決まり字が6文字目である〈朝ぼらけ…〉〈君がため…〉〈わたの原…〉の3組6枚のこと。

テキサス・ホールデム: ポーカーの一種。2枚の手札と、全プレーヤー共有の5枚のコミュニティカードの組合せで役を競う。米国等のカジノで最もポピュラーなゲームの1つ。

ノーペア(ハイカード、ブタ): ポーカーで、役が成立しない場合の手のこと。それぞれの手のうち最も強いカード1枚で勝敗を決める。

ジン・ラミー: 10枚の手札を交換していき「メルド」という組合せを作るトランプゲーム。ポーカー、コントラクトブリッジと並ぶ世界三大カードゲームの1つ。

花札(花がるた): 日本のゲーム用カード。一組48枚だった頃のポルトガルのトランプが伝来した名残で48枚の札がある。
12種類の植物を描いた札が4枚ずつあり、は1月、は2月、は3月、は4月、杜若は5月、牡丹は6月、は7月、は8月、は9月、紅葉は10月、は11月、は12月を表す。

11月札: 柳が描かれた花札。20点札(小野道風と蛙)、10点札(燕)、5点札(短冊)、1点札(雷と鬼の手)の全てが揃う唯一の月。

こいこい: 花札の代表的な2人用ゲーム。運の要素が強いが、戦略的な面白さもある。昭和期に広まった。一般的なルールは次の通り。
① 何ゲーム制で勝負するか決める。慣れたプレーヤー同士なら、1ゲームは平均5分掛からない。ゲームを繰り返すのがこいこいの醍醐味。
② 各8枚の手札を配り、他に「場」に8枚表向きに札を置き、残りは山札として伏せる。手札は互いに見せない。
③ 手番(A→B)を先攻、後攻の順に繰り返しながら、互いの手元に役を作っていく。
A.手札1枚を場に出す。出した札と同じ月の札が場にあれば、出した札と、同じ月の札1枚の計2枚を場からもらい、自分の手元に表向きに置く。
B.山札を1枚めくって場に出す。出した札と同じ月の札が場にあれば、出した札と、同じ月の札1枚の計2枚を場からもらい、自分の手元に表向きに置く。
④ 手番中に新たな役が出来たプレーヤーは、手番終了時に、ゲーム終了か「こいこい」(ゲーム継続)のどちらかを宣言する。ゲーム終了を宣言すれば勝ち。
勝者は出来役の合計点をそのゲームの得点とし、敗者は無得点とする。但し、出来役の合計点が7点以上の場合と、相手が「こいこい」を宣言していた場合は、得点を倍にする。
2人とも役が出来ずに8枚の手札が無くなった場合は、ノーゲームとする。
⑤ ゲームが終わったら全ての札をよく混ぜ、次のゲームを②から再開する。こいこいは先攻有利のため、先攻・後攻は毎回入れ替えるか、前のゲームの結果で決める。
⑥ 各ゲームの得点を合計し、最終的な勝敗を決める。

棋譜: 将棋や碁の対局記録。棋譜を盤上に再現しながら、指し手の意図を理解する「棋譜並べ」は、将棋や碁の研究の基本。

詰めろ: 将棋の局面で、正しい受け方をしない限り、次の相手の手番から自玉が詰まされてしまう状態。

打ち歩詰め: 将棋の反則で、持ち駒の歩を打って相手の王を詰ませてしまうこと。

居玉(いぎょく): 将棋で、玉将が初期配置のままである状態。格言で〈避けよ〉という。

雀刺し: 将棋の戦法で、端に飛・香・角等を集中させ一点突破を狙うこと。

二上達也(ふたかみ-): プロ棋士。'89-03.日本将棋連盟会長。端正な容姿から「北海の美剣士」の異名をもった。羽生善治の師匠。

羽生世代: 将棋の黄金世代。一般に、'69-'71年度生まれのプロ棋士を指す。若手時代に島朗が主宰する研究会「島研」で腕を磨いた羽生善治佐藤康光森内俊之が代表格。
タイトル通算99期の羽生、13期の佐藤、12期の森内に、郷田真隆・藤井猛・丸山忠久・屋敷伸之・深浦康市を加え、タイトル獲得期は通算142期。更に村山聖・先崎学を含め10人がA級在位を経験した。

佐藤康光: プロ棋士。羽生世代を代表する1人。タイトル通算13期。先崎学が付けたあだ名「モテミツ君」から、ファンの間では「モテ」と呼ばれる。

里見香奈: 女流棋士。「出雲のイナズマ」。'13.史上初の女流五冠達成。'19.史上初の女流六冠達成。'22.公式棋戦で女性初の本戦進出。

囲碁): 中国発祥(少なくとも春秋時代までに成立した)のボードゲーム(二人零和有限確定完全情報ゲーム)。交互に盤上に石を置き、自分の色の石で囲んだ領域の広さを競う。
日本には平安時代から親しまれ、現代でも中国、韓国に次いで盛んな国となっている。
「碁(ゴ)」は本来、「棋(キ)」の異体字で、中国では「囲棋」と書く。音読みが違うのは呉音と漢音の違い。碁石の黒白をカラスとサギに喩えた「烏鷺(ウロ)の争い」という異称もある。

ニギリ: 囲碁で先手・後手を決める方法の1つ。一方が白石を幾つか掴み、もう一方がそれが奇数か偶数かを当てる。

シマリ: 囲碁で、隅にある自石の近くにもう一手打ち、隅の陣地を確保しようとすること。

仲邑菫: 日本棋院所属の囲碁棋士。'19.当時最年少(10歳)でプロの囲碁棋士となる。

藤田怜央: 関西棋院所属の囲碁棋士。'22.世界史上最年少(9歳)でプロの囲碁棋士となる。

五目並べ: 碁石と碁盤を使ったシンプルなゲーム。盤上に交互に石を置き、先に自分の色の石を直線状に5つ並べることを目指す。明治期に黒岩涙香が必勝法を発見しており、必勝法を知る者同士では先手必勝となる。
先手に幾つかの制約を設け、競技化した五目並べは「連珠」といい、団体や段級制度、世界大会がある。

オセロリバーシ): ボードゲーム(二人零和有限確定完全情報ゲーム)。8×8の正方形の盤と、表裏を黒と白に塗り分けた円盤状の石を使う。
黒と白を担当する2人のプレイヤーが交互に石を置き、相手の石を自分の石で縦・横・斜めに挟んで、裏返し自分の石にしていく。最終的に盤上の石が多い方が勝ち。
同様のゲームはリバーシとして元々知られていたが、日本のボードゲーム研究家・長谷川五郎が「オセロ」として定式化し、'73年に発売。「オセロ」はツクダ(現メガハウス)の商標だが、他社も「リバーシ」の名で同じルールのゲームを売っている。
「オセロ」の名はシェイクスピアの戯曲『オセロ』から。ゲームの内容を、黒人の将軍・オセロと白人の妻・デズデモーナを中心に敵味方がめまぐるしく寝返るストーリーになぞらえたもの。

福地啓介: オセロプレーヤー。'18.史上最年少の11歳で世界選手権優勝。世界選手権からの帰国便の機長は、ANAの配慮によりかつての最年少記録保持者・谷田邦彦が務め、機内放送で祝辞を送った。

麻雀: 中国発祥のボードゲーム。「(はい/ぱい)」を使い、4人で戦う。ルールが異様に多く、プレー時間も長いが、それが際立った魅力でもある。
多くのルール体系があるが、日本では50sの日本で生まれた「立直麻雀(リーチマージャン)」が支配的で、普通、麻雀といえばこれを指す。立直麻雀には136枚(34種類×4枚)の牌を使う。
各プレーヤーは13枚の牌を手牌(てはい)として対戦相手に見えないように置き、手牌を1枚増やして1枚捨てる手番を反時計回りに繰り返し、より早くアガリ(和了)を目指す。
誰かがアガるまでの一連のゲームを「」という。比較的短い「東風戦」でも最低4局を繰り返す。局ごとに持ち点をやり取りし、最終的な持ち点で順位を決める。

東風戦(トンプーせん): 麻雀で、親を反時計回りに交代していき、1巡するまで行う試合。連荘が1回もなければ4局で終了する。所要時間は一般に30分程度。ネット麻雀では半荘戦と並んで主流。

半荘戦(ハンチャンせん): 麻雀で、親番を2巡するまで行う試合。所要時間は一般に1時間程度。日本では最も一般的なルールで、プロの試合も基本的に半荘戦で行う。1巡目を「東場(トンば)」、2巡目を「南場(ナンば)」という。

一荘戦(イーチャンせん): 麻雀で、親番を4巡するまで行う試合。所要時間は一般に2時間程度。1巡目を「東場」、2巡目を「南場」、3巡目を「西場(シャーば)」、4巡目を「北場(ペーば)」という。

東家(トンチャ)): 麻雀で、その局の最初に手番を行うプレーヤー。親以外の3人はという。
原則、局を重ねるごとに反時計回りに交代するが、親がアガった場合は「連荘(レンチャン)」として交代せず次の局を行う。麻雀の試合は親を2巡(又は1巡、4巡)するまで行うと決まっているため、連荘が多いと試合時間が延びる。
親は、点数計算で非常に優遇される。そのため、アガりそうなプレーヤーが親か親でないかによって、試合の駆け引きの内容が異なってくることがある。
親は東家、子は親から見て反時計回りに南家(ナンチャ)、西家(シャーチャ)、北家(ペーチャ)とも呼ぶ。この「方角」で各プレーヤーの自風牌(じかぜはい)が決まるため、プレーヤーは常に自分の「方角」を認識しておかなければならない。
ちなみに、反時計回りに東南西北(トンナンシャーペー)と並ぶ位置関係は、実際の方角とは逆で、これは麻雀において最も基本的かつ最大の謎である。
その理由は、「空を見上げた時の方角を卓上に置き換えたから」とも、「4つの方角を意味する『東南西北』という言葉と、『左遷』を嫌って手番や親番を右隣に回すルールを組み合わせた結果、たまたまそうなったのだ」とも説明される。

数牌(かずはい/シューパイ): 麻雀牌の種類で、1桁の数字に紐付けられた27種類の牌の総称。「萬子」「筒子」「索子」に分けられ、それぞれ、1~9牌の9種類がある。

萬子(マンズ/ワンズ): 数牌の種類。1~9牌それぞれ、一萬(イーワン)、二萬(リャンワン)、三萬(サンワン)、四萬(スーワン)、伍萬(ウーワン)、六萬(ローワン)、七萬(チーワン)、八萬(パーワン)、九萬(キューワン/チューワン)と漢字のみが書かれている。

筒子(ピンズ): 数牌の種類。銭貨の形がモチーフ。1~9牌それぞれ、一筒(イーピン)、二筒(リャンピン)…と読む。

索子(ソーズ): 数牌の種類。1牌は鳥(孔雀が多い)の絵を描いたもので、2~9牌は縄あるいは竹串の形がモチーフ。1~9牌それぞれ、一索(イーソー)、二索(リャンソー)…と読む。

字牌(じはい/ツーパイ): 麻雀牌の種類で、数字と関係ない7種類の牌の総称。「風牌」「三元牌」に分けられる。順子に使えないという意味では数牌より使いにくいが、役牌等の役に絡みやすく、多く集められれば大きな点数が得られる。

風牌(かぜはい/フォンパイ): 字牌の種類。4種類あり、(トン)、(ナン)、西(シャー)、(ペー)の各一字が書かれている。
場風と同じ牌(東場なら東、南場なら南、西場なら西、北場なら北)は「場風牌(ばかぜはい)」、自風と同じ牌(親は東、南家は南、西家は西、北家は北)は「自風牌(じかぜはい)」といい、役牌等に使える。
場風牌・自風牌以外は「オタ風牌」と呼ばれ、使い勝手が悪いため序盤で真っ先に捨てられやすい。

三元牌(サンゲンパイ): 字牌の種類。何も書かれていない「白(ハク)」、緑色の字の「發(ハツ)」、赤色の字の「中(チュン)」の3種類がある。役牌等に使える。

面子(メンツ): 麻雀の手牌の組合せで、順子・刻子・槓子の総称。原則3枚の牌から成る(槓子は特殊例)。又は、対戦相手3人(自分を含めれば4人)の顔ぶれのこと。

順子(シュンツ): 麻雀の面子で、同種の数牌で数字が連続した3枚の組合せ。

刻子(コーツ): 麻雀の面子で、全く同じ牌の3枚組。ツモのみで出来た刻子を「暗刻(アンコー)」、ポン・ロンで出来た刻子を「明刻(ミンコー)」という。

槓子(カンツ): 麻雀の面子で、全く同じ牌を4枚全て集め、かつ対戦相手に見えるよう晒したもの。槓子1つにつき、手牌の数を1枚増やしてプレーする。ツモのみで出来た槓子は「暗槓子(アンカンツ)」といい、晒しても門前が継続する。
4枚組を槓子として扱う場合は必ず晒さなければいけないため、他のプレーヤーにかなりの程度、手の内を明かしてしまうことになる。

対子(トイツ): 麻雀の手牌の組合せで、全く同じ牌の2枚組。

和了形(アガリけい): 麻雀で、アガリが可能な14枚(槓子がある場合は15枚以上)の手牌の組合せ。基本条件は「4面子+1対子の形になっており、かつ何らかの(立直のみでもOK)が成立していること」。例外は七対子国士無双
この基本条件における対子は「雀頭(ジャントウ)」又は「アタマ」とも呼び、「4面子1雀頭」といった言い回しをする。

断么九(タンヤオチュー、タンヤオ): 麻雀の役。1翻役。2〜8牌だけで作った4面子1雀頭。
鳴いて作るタンヤオを「喰いタン」といい、役として認めるルール(喰いタン有り)と認めないルール(喰いタン無し)がある。

清老頭(チンロウトウ): 麻雀の役。役満。1・9牌(老頭牌)だけで作った4面子1雀頭。鳴いても成立する。

九連宝燈(チューレンポートー): 麻雀の役。役満。1種類の数牌のみで、1牌を3枚、2~8牌を1枚ずつ、9牌を3枚の計13枚に、1~9牌のいずれかを1枚加えた形。門前役。
とても複雑だが、1・4・7牌が1枚多い場合は9牌を雀頭、2・5・8牌が1枚多い場合は多い牌を雀頭、3・6・9牌が1枚多い場合は1牌を雀頭と考えれば、どの場合も4面子1雀頭が成立している。
あまりの珍しさに、これでアガると死ぬ「死の役」と呼ばれる。『麻雀放浪記』に、重要な登場人物が九蓮宝燈でアガった直後に死ぬ有名なシーンがある。

メンタンピン: 麻雀で「立直(≒門前)」「タンヤオ」「平和」が全て成立すること。手役作りの王道とされる。3役で3翻だが「ツモ」や「ドラ」と合わせ満貫になる場合も多い。

振り込み放銃(ほうじゅう)): 麻雀で、自分の打牌で他家がロンし、アガられてしまうこと。

ダマテン(黙聴): 麻雀で、門前でテンパイしているが立直をかけていない状態。

フリテン(振聴): 麻雀で、テンパイしているがアガリ牌を既に捨てているために、ロンが出来ない状態。

リンシャン牌(嶺上牌): 王牌のうち、ドラ表示牌の左隣の4枚。カンをした人が手牌の補充のためにツモる。

後付け: 麻雀で、最初の鳴きが役に絡まないアガり方のこと。2回目以降の鳴きで役牌を成立させ、役牌のみでアガる例が代表的。認めるルール(後付け有り)と禁止するルール(後付け無し)がある。

アリアリ: 麻雀のルールで「喰いタン有り・後付け有り」のこと。アリアリ、ナシナシ、アリナシ、ナシアリの4パターンがあるが、近年はアリアリが最も一般的で、Mリーグもアリアリを採用している。

モウパイ(盲牌): 麻雀のテクニックで、指先の感覚で何の牌かを認識すること。

◆『麻雀格闘倶楽部(マージャンファイトクラブ)』: コナミのアーケード用麻雀ゲーム。Mリーグでコナミが運営するチームの名前でもある。

佐々木寿人(-ひさと): プロ雀士。二つ名は「魔王」。Mリーグ・KONAMI麻雀格闘俱楽部のエース。雀風は超攻撃型。アマチュア時代が長く「フリーで1000万貯めた男」として漫画の主人公のモデルにもなった。

ナンジャモンジャ: ロシア発のカードゲーム。1枚ずつカードをめくり、描かれた「頭と手足だけの謎生物」に名前を付けていき、再び同じカードがめくられた時にその名を叫ぶ。

スコットランドヤード: ドイツ発のボードゲーム。ロンドンの街をイメージした盤上で、24ターン以内にミスターXを捕まえる内容。ゲーム名はロンドン警視庁本部の俗称。

モノポリー: 米国発のボードゲーム。不動産取引等を通して資産を増やしていく双六系ゲーム。英語で「独占」を意味する。

スクラブル: 米国発のボードゲーム。盤上に文字が書かれたコマを並べ、単語を作って得点を競う。英語版で一番多く用意されているコマは「E」。

クアルト: '91年発売の2人用ボードゲーム。五目並べ系のシンプルなゲーム性をもつ。タイトルは「4」を意味するラテン語・イタリア語。
4×4マスの盤上に、「色」「形」「高さ」「穴の有無」の4要素で区別した16種類の駒を交互に置き、ある要素が同じ駒を1列に4つ並べることを目指す。

テーブルトークRPGTRPG): 紙や鉛筆、サイコロ等を用いて、ルールブックに書かれたルールに従って進める対話型RPG。

◆『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』('74): 米国で発売された世界初のTRPG。エルフやドワーフが存在する剣と魔法の世界は『指輪物語』等を下敷きとしている。
D&Dが日本のサブカルに与えた影響は絶大で、JRPGやライトノベルの直接の祖となった。

フレーバーテキスト: TCGのカードに書かれた、ゲームの進行やルールとは関係ない、世界観や背景設定を記した文章。

放置ゲーム: ビデオゲーム(特にモバイルゲーム)のジャンルの1つ。複雑なアクションやシュミレーションを必要とせず、ゲーム画面を眺めることに重きを置き、ある程度の変化があったら操作を行うもの。
『おさわり探偵 なめこ栽培キット』『ねこあつめ』『放置少女~百花繚乱の萌姫たち~』等。

NPC: Non-Player Character。プレーヤーが操作していないキャラクターの総称。コンピュータの意味から「COM」「CPU」ともいう。

ナーフ: 「弱体化」を意味するゲーム用語。アップデートやパッチ等で、バランス調整のために武器やキャラクターのスキルが下方修正されることを意味する。対義語は「ビーフアップ」。スポンジ製の弾を発射するトイガンの商品名から。

シンボルエンカウント: RPG等のゲームのエンカウント方式で、フィールド上に見えている敵の姿に触れることで戦闘が始まるもの。

ランダムエンカウント: RPG等のゲームのエンカウント方式で、フィールドの移動中には敵の姿が表示されないものの、一定の確率で敵と遭遇し戦闘が始まるもの。

レイド: オンラインゲーム等で、多数のプレーヤーが協力して強敵を攻略すること。「強襲」を意味する英語から。

MOD: Modification。PCゲームの改造データのこと。『Minecraft』等では作成・配布が公認されている。

CERO: ゲームソフトの表現倫理やレーティングを定める日本のNPO。レーティングには「A(全年齢対象)」から「Z(18歳以上対象)」までの5区分ある。

任天堂: 京都市のゲーム企業。ゲーム機・ゲームソフト世界大手。1889.花札屋として創業。1902.日本初のトランプ販売。'75.競馬のメダルゲーム機(アーケード用)でビデオゲームに進出。
'77.「カラーテレビゲーム15」発売。'80.「ゲーム&ウオッチ」発売。'83.「ファミリーコンピュータ」発売。'85.『スーパーマリオブラザーズ』発売。
その後、据置ゲーム機として「スーパーファミリーコンピュータ」('90)、「NINTENDO64」('96)、「ゲームキューブ」('01)、「Wii」('06)、「Wii U」('12)を発売。
携帯ゲーム機として「ゲームボーイ」('89)、「ゲームボーイアドバンス」('01)、「ニンテンドーDS」('04)、「ニンテンドー3DS」('11)を発売。'17.据置機と携帯機の機能を統合し「Nintendo Switch」発売。
ゲーム機の世界シェアを後発のソニー(PlayStationシリーズ)、マイクロソフト(Xboxシリーズ)と争うが、ファミリー向けの間口の広さや、自社ソフトの人気において現在も両社を凌いでいる。

HAL研究所(ハル-): ゲーム制作会社。星のカービィシリーズの開発元。出身クリエイターに岩田聡、桜井政博がいる。
'80.西武池袋本店のPCコーナーの店員が、常連客だったPCマニアの学生6人(その中に東工大の岩田聡がいた)をバイトとして雇い、PC周辺機器とソフトウェアのメーカーとして創業。
社名は当時世界最大のコンピュータ企業だった「IBM」のアルファベットを1文字ずつ前にずらし、IBMの一歩先を行くという意味を込めたもの。

ゲームフリーク: 田尻智主宰の同人サークルを母体とするゲーム制作会社。ポケットモンスターシリーズの開発元。販売会社の(株)ポケモンは任天堂等との合弁企業。

ハドソン: かつて存在したゲーム制作会社。ボンバーマンシリーズ、桃太郎伝説・桃太郎電鉄シリーズ等を生んだ。'12.コナミにより吸収合併。

レベルファイブ: 福岡市のゲーム制作会社。『レイトン教授』『イナズマイレブン』『二ノ国』『妖怪ウォッチ』等のシリーズで知られる。

UBISOFT(ユービーアイソフト): フランスのゲーム制作会社。アサシン クリードシリーズ等で知られる。

ナイアンティック(Niantic): 米国の位置情報ゲーム制作会社。グーグルの社内スタートアップから独立。'13.『Ingress』。'16.『Pokémon GO』。'21.『Pikmin Bloom』。

さくまあきら: ゲームデザイナー。'87-.『桃太郎伝説』シリーズ。'88-『桃太郎電鉄』シリーズ。

奈須きのこ: シナリオライター、作家。性別非公開。TYPE-MOONの立ち上げ時からの中心メンバー。'98-.小説『空の境界(から-)』。'04.『Fate/stay night』(シナリオ担当)。

クレーンゲーム: クレーンを操作し、景品の獲得を目的とするアーケードゲーム。近年、ゲーセンの売上の半分以上を占める。歴史は古く、セガやタイトーは60sから販売している。セガの商標「UFOキャッチャー」の名でも知られる。

バーチャルボーイ('95): 任天堂のゲーム機。スタンドに据え付けたゴーグル型のディスプレイを覗き込んで使う。

PlayStationPS)('94): ソニーのゲーム機。CDをメディアとして採用した。
ソニー初の家庭用ゲーム機ながら、技術的優位によってドラクエ・FF等の人気ソフトを任天堂ハードから引き抜くことに成功し、第5世代ゲーム機の世界販売競争でNINTENDO64やセガサターンを下してトップシェアとなった。
元々はスーファミの拡張機器「スーパーファミコンCD-ROM」として開発されたが、ハードの乗っ取りを恐れた任天堂がソニーとの契約を解除したため、単独のゲーム機として発売された。

PlayStation 2PS2)('00): ソニーのゲーム機。DVDをメディアとして採用した。世界史上最も売れたゲーム専用機(1.5億台超)。
使用部品の性能の高さと価格の安さから軍事転用の可能性があり、ゲーム機として初めて「通常兵器関連汎用品」に指定された。当初は輸出が規制され、日本発売から海外での発売まで半年以上のブランクがあった。

テトリス('84-): ソ連の科学者アレクセイ・パジトノフが教育用に開発した、落ち物パズルの元祖。4つの正方形から成る「テトリミノ」を積み上げる。セガのアーケード版('88)、任天堂のゲームボーイ版('89)でメジャー化。

ぷよぷよ('91-): 日本発の落ち物パズル。現在はセガのIP。同じ色の「ぷよ」を4個以上繋げて消すと得点が入る。

バルログ: 『ストリートファイター』シリーズのキャラクター。白い仮面と長い鉤爪を身に着ける。
ちなみに、ライブの観覧等で4本のサイリウムを片手の指と指の間に挟んで持つことを、バルログの鉤爪に似た見た目から「バルログ持ち」という。

◆『ミスタードリラー』('99): ナムコのアクションパズルゲーム。ディグダグシリーズの続編のアーケードゲームとして発表。主人公のホリ・ススムを操り、カラフルなブロックを掘り進む。

プリティーシリーズ('10-): タカラトミーの女児向けTCGアーケードゲームシリーズ。過去に『プリティーリズム』『プリパラ』等のタイトルがリリースされ、タイアップアニメも10年以上放送された。

アイカツ!シリーズ('12-): バンダイの女児向けTCGアーケードゲームシリーズ。メディアミックスのTVアニメが'23現在も断続的に放送中。

スーパーマリオシリーズ('85-): 任天堂のアクションゲームシリーズ。マリオを操作してゴールまで導くゲーム。初期作品では2D表示の横スクロールが基本だったが、『スーパーマリオ64』('96)以降、3Dのゲームも増えている。
第1作「スーパーマリオブラザーズ」('85)と「スーパーマリオブラザーズ2」('86)には、「ステージに登場するブロックは、キノコ王国の住民達がクッパの魔法にかかって変身した姿」というヤバい設定が存在した。

マリオ: 任天堂のゲームキャラクター。陽気な配管工。'23現在、関連ゲームの累計売上が世界一多いキャラクター。'81.アーケードゲーム『ドンキーコング』で初登場。
名前の由来は、任天堂米国法人の社員であるイタリア系米国人のマリオさんに似ていたこと。「スーパーマリオブラザーズ」('85)や「スーパーマリオブラザーズ2」('86)では、今と逆で青い服に赤いオーバーオールだった。

パックンフラワー: スーパーマリオシリーズの敵キャラ。牙のある人食い植物。

ワンワン: スーパーマリオシリーズのキャラ。黒い鉄球の姿をした狂犬。

ちくわブロック: スーパーマリオシリーズに登場するブロック。一定時間乗っていると落下してしまう。

魔界村シリーズ('85-): カプコンのアクションゲームシリーズ。敵キャラを主人公とした外伝・レッドアリーマーシリーズもある。

ドラゴンクエストシリーズ(ドラクエ、DQ)('86-): エニックス(現スクウェア・エニックス)のコンピュータRPGシリーズ。中世欧州風のファンタジー世界が舞台。日本のRPG人気を決定づけ、現在もジャンルを代表するシリーズ。
ゲームデザインとシナリオは堀井雄二、キャラクターデザインは鳥山明、音楽はすぎやまこういちが担当してきた。

パルプンテ: ドラクエシリーズの呪文。何が起こるか分からないギャンブル性の強い攻撃呪文で、時には敵だけではなく自分や味方にもダメージを与える。一般名詞化している。

メガンテ: ドラクエシリーズの呪文。自らの命と引き換えに相手全体に大ダメージを与える。

ホイミ: ドラクエシリーズの呪文。HPを回復させる回復呪文。「ホイッと身を助ける」が由来。

ゼルダの伝説シリーズ('86-): 任天堂のアクションアドベンチャーシリーズ。謎解きを中心とするダンジョンがある。生みの親は宮本茂。基本ストーリーは、プレーヤーの分身である英雄リンクが、ガノン等の敵からゼルダ姫を救うというもの。

◆『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』('91): ゼルダの伝説シリーズの本編作品。スーパーファミコン向け。石ノ森章太郎のコミック『ゼルダの伝説』はこの作品の漫画化。米国のゲーム誌で連載したため、横書きのコミックとなっている。

ファイナルファンタジーシリーズ(FF)('87-): スクウェア(現スクウェア・エニックス)のコンピュータRPGシリーズ。美麗なグラフィック、映画のようなストーリー演出等が特徴。
第1作制作当時、スクウェアの業績は芳しくなく、この作品がヒットしなければ会社を畳む可能性があったため、「最後の夢」という意味を込め『ファイナルファンタジー』と名付けられたという説がある。

ファンタシースターシリーズ('87-): セガのコンピュータRPGシリーズ。'00年以降は主にオンラインRPGのシリーズ(ファンタシースターオンライン=PSO)として展開する。

どせいさん: MOTHERシリーズに登場する素性不明の種族。大きな鼻と猫のような髭、1本しかない髪の毛に付けた赤いリボンが特徴。「どせいさん語」という独特な日本語を使う。

マキシムトマト: 星のカービィシリーズの回復アイテム。「M」と書かれたトマト。プププランドの名産品で、カービィの好物。

ポケットモンスターシリーズ(ポケモン)('96-): 任天堂・(株)ポケモンのコンピュータRPGシリーズ。多種多様なモンスター(ポケモン)が登場する(これまでに登場したポケモンは1000種類以上)。生みの親は田尻智ら。
その人気は日本に留まらず、売上面でも、ファンベースの大きさでも、メディアミックス(TCG・アニメ・漫画等)の成功という面でも、世界のゲーム&ポップカルチャー史上でトップクラスのシリーズとなっている。
RPGに分類されるものの、ストーリーには重きを置かず、多種多様なポケモンの収集と育成、それらを使った対戦(プレーヤー同士の通信対戦も可能)に面白さを全振りしている。
育成や通信対戦の世界はまさに沼で、ポケモン廃人(ポケ廃)と呼ばれるほどやり込むプレーヤーも多い。
本編作品は、第1作『赤・緑』('96)から最新作『スカーレット・バイオレット』('22)まで、いずれも2ヴァージョンの販売を行っており、異なるヴァージョンのプレーヤー同士で通信しなければ全てのポケモンが手に入らないシステムをとっている。

◆『ポケットモンスター X・Y』('13): ポケモン第6世代の本編作品。ニンテンドー3DS向け。舞台はカロス地方(フランスがモデル)。本作でフェアリータイプが追加された。
御三家はハリマロン、フォッコ、ケロマツ。伝説ポケモンはゼルネアス、イベルタル、ジガルデ等。

◆『Pokémon GO』('16): ナイアンティック/(株)ポケモンのモバイルゲーム(位置情報ゲーム)。AR(拡張現実)の概念を浸透させる社会現象的・世界的大ヒット作となった。

◆『ポケモンマスターズ』('19): モバイルゲーム。歴代のポケモントレーナーが登場する、チーム形式の対戦ゲーム。

◆『Pokémon Sleep』: '23年夏配信予定のモバイルアプリ。主役ポケモンはカビゴン。よく寝ると良い寝顔のポケモンに会える睡眠計測アプリ。

ポケモン図鑑: ポケモンの図鑑。ゲーム内では、持ち主がポケモンと出会ったりポケモンを入手したりすると、自動的に項目が追加される不思議な図鑑として描かれる。各作品において、図鑑の完成はプレイの目的の1つに位置付けられる。

600族: ポケモンシリーズ恒例の、最終進化形の種族値が600を超える強力なポケモンの通称。バンギラス、メタグロス以外はドラゴンタイプ。
第1世代はカイリュー、第2世代はバンギラス、第3世代はボーマンダとメタグロス、第4世代はガブリアス、第5世代はサザンドラ、第6世代はヌメルゴン、第7世代はジャラランガ、第8世代はドラパルト、第9世代はセグレイブ。

リージョンフォーム: ポケモンで、特定の地方の環境に適応した姿のこと。第7世代で登場した要素。
幾つかのポケモンに「アローラのすがた」「ガラルのすがた」「ヒスイのすがた」「パルデアのすがた」といったリージョンフォームがあり、同じポケモンでも他の地域のものとはタイプ等が異なる場合も多い。

ふしぎなアメ: ポケモンシリーズに登場する「どうぐ」。使ったポケモンのレベルを1つ上げることができる。

シロナ: ポケモンにおけるシンオウ地方のチャンピオン。シリーズ初の女性チャンピオン。ルカリオの房に似た髪留めのようなものを付けている。使用ポケモンはガブリアス、ルカリオ等。

ピカチュウ: ねずみポケモン。タイプはでんき。進化前はピチュー、進化後はライチュウ。
アニメ版では主人公サトシのパートナーで、ポケモンを象徴する人気キャラクター。ポケモンの中では珍しくキャラクター名や鳴き声が各国共通で、ゲーム・アニメ共に声優は大谷育江
アニメ版では当初、ロケット団のニャースのように「しゃべる」予定だったが、大谷が鳴き声のトーンだけで喜怒哀楽を完璧に演じられたため、しゃべる設定はお蔵入りとなった。

ヤドン: まぬけポケモン。タイプはみず、エスパー。進化後はヤドラン、ヤドキング。
ちぎれやすい尻尾は甘く食用になり、「しっぽのくんせい」等の郷土料理が各地方にある。尻尾で釣りをする習性があり、シェルダーに噛みつかれることでヤドランに進化する。

ゲンガー: シャドーポケモン。タイプはゴースト、どく。進化前はゴースト。
フォルムがピクシーと似ていること、ゲンガーの体重がピクシーとゴーストの合計であること、一部のシリーズでフェアリー技を覚えることから、「ピクシーにゴーストが憑依したポケモン」という都市伝説がある。

メタモン: へんしんポケモン。タイプはノーマル。他の様々なポケモンに変身する特殊なポケモン。英語名は「Ditto(同じく)」。

ウパー: みずうおポケモン。第2世代で登場。タイプはみず、じめん。進化後はヌオー。ウーパールーパーがモチーフ。
「パルデアのすがた」は体色が水色ではなく茶色で、タイプはどく・じめん、進化後はドオー。

ニューラ: かぎづめポケモン。第2世代で登場。タイプはあく、こおり。進化後はマニューラ。黒猫がモチーフ。
「ヒスイのすがた」は体色が黒ではなく白で、タイプはどく・かくとう、進化後はオオニューラ。

ミズゴロウ: ぬまうおポケモン。第3世代の御三家ポケモンの1つ。タイプはみず。進化後はヌマクロー。魚のムツゴロウがモチーフ。

ラグラージ: ぬまうおポケモン。第3世代の御三家最終進化系ポケモンの1つ。タイプはみず、じめん。進化前はヌマクロー。

ポチエナ: かみつきポケモン。第3世代で登場。タイプはあく。進化後はグラエナ。

ジグザグマ: まめだぬきポケモン。第3世代で登場。タイプはノーマル。進化後はマッスグマ。
「ガラルのすがた」は体色がベージュ系ではなく黒と白で、タイプはあく、ノーマル。通常のジグザグマのモデルはニホンアナグマ、ガラルのすがたのモデルはヨーロッパアナグマと考えられる。

タチフサグマ: ていしポケモン。第8世代で登場。タイプはあく、ノーマル。進化前はマッスグマ(ガラルのすがた)。

ケムッソ: いもむしポケモン。第3世代で登場。タイプはむし。進化後はカラサリス、マユルド(どちらに進化するかは個体ごとに決まっている)。

カラサリス: さなぎポケモン。第3世代で登場。タイプはむし。進化前はケムッソ、進化後はアゲハント。
マユルドとほぼ同じフォルムをしているが、目つきや体色が少し違う。名前の由来は「殻」+「クリサリス(蛹を指す英語)」。

アゲハント: ちょうちょポケモン。第3世代で登場。タイプはむし、ひこう。進化前はカラサリス。

マユルド: さなぎポケモン。第3世代で登場。タイプはむし。進化前はケムッソ、進化後はドクケイル。

ドクケイル: どくがポケモン。第3世代で登場。タイプはむし、どく。進化前はマユルド。

ハスボー: うきくさポケモン。第3世代で登場。タイプはみず、くさ。進化後はハスブレロ。
『ルビー・サファイア』ではサファイアにのみ登場する、タネボーの対となるポケモン。

タネボー: どんぐりポケモン。第3世代で登場。タイプはくさ。進化後はコノハナ。
『ルビー・サファイア』ではルビーにのみ登場する、ハスボーの対となるポケモン。

コノハナ: いじわるポケモン。第3世代で登場。タイプはくさ、あく。進化前はタネボー、進化後はダーテング。

ダーテング: よこしまポケモン。第3世代で登場。タイプはくさ、あく。進化前はコノハナ。

プラスル: おうえんポケモン。第3世代で登場。タイプはでんき。
能力は中程度で、進化しない。マイナンの対となるポケモンで、セットでグッズ展開も行われてきた。ピカチュウライクなポケモン(電気袋組)の1つ。

クズモー: クサモドキポケモン。第6世代で登場。タイプはどく、みず。進化後はドラミドロ。海藻がモチーフ。

ドラミドロ: クサモドキポケモン。第6世代で登場。タイプはどく、ドラゴン。進化前はクズモー。名前の由来はドラゴン+ヘドロ+アオミドロと考えられる。

ブロスター: ランチャーポケモン。第6世代で登場。タイプはみず。進化前はウデッポウ。
ロブスターがモチーフ。頭ではなく、体の大半を占める大きな右腕の鋏に触覚が付いている。

ニャビー: ひねこポケモン。第7世代の御三家ポケモンの1つ。タイプはほのお。進化後はニャヒート。

ヨワシ: こざかなポケモン。第7世代で登場。タイプはみず。「たんどくのすがた」「むれたすがた」の2つのフォルムがある。
「たんどくのすがた」の種族値175は全ポケモンの中で最低。「むれたすがた」は200匹近いヨワシが『スイミー』のように集まった姿で種族値600を超える。

ネッコアラ: ゆめうつつポケモン。第7世代で登場。タイプはノーマル。
眠った状態で生まれ、眠ったまま死ぬとされ、全ての行動は、見ている夢による寝相だという。コアラがモチーフ、コアラの睡眠時間の長さから着想を得たポケモンと考えられる。

ゴリランダー: ドラマーポケモン。第8世代の御三家最終進化系ポケモンの1つ。タイプはくさ。進化前はバチンキー。

ニャオハ: くさねこポケモン。第9世代の御三家ポケモンの1つ。タイプはくさ。進化後はニャローテ。

マスカーニャ: マジシャンポケモン。第9世代の御三家最終進化系ポケモンの1つ。タイプはくさ、あく。進化前はニャローテ。
黒い仮面のようなものを付けた人型の猫の姿をしている。名前の由来は「マスカレード(仮面舞踏会)」+「ニャー」。御三家ポケモン史上最速のすばやさと、強力な専用技「トリックフラワー」をもつ。

サーフゴー: たからものポケモン。第9世代で登場。タイプははがね、ゴースト。進化前はコレクレー。
記念すべき全国図鑑No.1000のポケモン。体が1000枚のコインで出来ている。専用技「ゴールドラッシュ」。

ドードー・エアラインズ(DAL): 『あつまれ どうぶつの森』に登場する航空会社。ドードーが機長と地上スタッフを務める。

◆『クラッシュ・バンディクー』('96): 米国発の奥スクロールアクションゲーム。プレイステーション向け。シリーズ化され現在も続いている。タイトルは主人公名で、モチーフはバンディクート、好物はリンゴ。

アサシン クリードシリーズ(アサクリ)('07-): UBISOFTのステルスアクションシリーズ。プレーヤーはアサシン教団のアサシン(暗殺者)として、世界の人々をマインドコントロールしようとするテンプル騎士団の野望を食い止めるため暗殺を行う。
両教団が秘密結社として古代から現代まで存在し続けている設定で、作品ごとに世界史の様々な時代を舞台とし、現在と過去を行き来する作りになっている。

クリーパー: 『Minecraft』に登場する、プレーヤーに近づいて爆発する敵キャラクター。体色は緑。

◆『League of Legends(LoL)』('09): 米国発のPCゲーム。基本プレイ無料。5対5のチーム戦で、互いの陣地に設置された「ネクサス」の破壊を目指す。近年、世界で最も影響力のあるeスポーツタイトル。

◆『7 Days to Die』('13): インディーズのPCゲーム。オープンワールドが舞台のサバイバルゲーム/ゾンビゲーム。

◆『Apex Legends』('19): EAのFPS/バトルロイヤルゲーム。マルチプラットフォーム、基本プレイ無料。3人×20チームでバトルを行う。

◆『Fall Guys』('20): 英国発のパーティーアクションゲーム。40人のプレーヤーがキャラクターを操作し、生き残りを賭けて様々なミニゲームを行う。

◆『Stray』('22): フランス発のアドベンチャーゲーム。荒廃したサイバーシティに迷い込んだ猫が、ドローン型ロボットと共に脱出を目指す内容。タイトルは「迷子」「迷い猫(犬)」等を意味する英語。

◆『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』('13): コロプラのモバイルゲーム。様々なクイズに正解することで魔物が攻撃できる。

◆『ドラゴンポーカー』('13): 日本のモバイルゲーム。複数のプレーヤーで協力しカードバトルを行う。

◆『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミクプロセカ)』('20): セガのモバイルゲーム。初音ミク等のVOCALOIDキャラクターが登場する音楽ゲーム/アドベンチャーゲーム。

◆『ディズニー ツイステッドワンダーランド(ツイステ)』('20): アニプレックスのモバイルゲーム。リズムゲームの要素を備えた「ヴィランズ学園アドベンチャーゲーム」。

◆『Ingress(イングレス)』('13): ナイアンティックのモバイルゲーム(位置情報ゲーム)。AR(拡張現実)を利用した陣取りゲーム。

◆『アズールレーン』('17): 中国発のモバイルゲーム。『艦これ』にインスパイアされた艦船擬人化もの。

◆『Among Us』('18): 米国発のモバイルゲーム。宇宙をテーマとした「人狼」ライクなゲームで、プレーヤーが多数のクルー(乗組員)と少数のインポスター(詐欺師)に分かれ、それぞれの勝利条件達成を目指して競う。

◆『ブルーアーカイブ』('21): 韓国発のモバイルゲーム。美少女・学園・バトルもの。

高橋名人: プロゲーマー。80sのファミコン全盛期にハドソン宣伝部の「ファミコン名人」として一世を風靡した。コントローラーのボタンを1秒間に16回押す「16連射」が代名詞。

梅原大吾: プロゲーマー。「ザ・ビースト」。'04年に格闘ゲームの世界大会でストリートファイターIIIをプレーした際の「背水の逆転劇」は、奇跡のプレーとして世界的に注目された。

たぬかな: プロゲーマー、グラビアアイドル。『鉄拳』シリーズのプレーヤーとして世界大会での優勝歴がある。

つわはす: ゲーム実況者。'07-15年はニコ動で活動し、ニコ動での総再生回数はソロの実況者でトップ。

カラフルピーチ: Minecraftの実況グループ。'20.結成。

一番くじ: バンダイが展開する、ハズレ無しのキャラクターグッズくじ。最後のくじを引いた人専用の景品「ラストワン賞」が設定されている。

GameWith: ゲームの話題や攻略情報を中心とするWebメディア。'13.設立。


22、レジャー・スポーツ

左座右起(さざうき): 武道等で伝統的に教えられる、「座る時は左足から、立つ時は右足から」という正座の作法。

ナンバ歩き: 右手と右脚、左手と左脚を同時に出して歩くこと。

ナンバ走り: 右手と右脚、左手と左脚を同時に出すイメージで走ること。江戸時代の飛脚が実践したという。00sに末續慎吾が(自称?)この走法を取り入れ、好成績を残して注目された。

トレイル: 未舗装路のこと。英語で「跡」を意味し、踏み馴らされた道を意味するようになった。

バックカントリー: スキー場やキャンプ場において、コースやレジャー用に整備されたエリアを外れた山野のこと。

焚き火: 落ち葉や枝、薪等を一か所に集めて火を焚くこと。ホモ・エレクトスの時代から行われていた。かつては冬の風物詩だったが、近年は法律や条例による規制もあり、都市部ではあまり見なくなった。

グランピング: テントやBBQ道具を自前で準備・設営するのではなく、業者が準備した豪華なサービスでキャンプを楽しむこと。「グラマラス・キャンピング」の略。

ワンダーフォーゲル: 青少年の登山を中心とする野外活動、またはそれを推進する運動。ドイツ発祥で、その名はドイツ語で「渡り鳥」を意味する。

ヒュッテ: 登山者やスキーヤーの宿泊・休憩のための山小屋。

カラビナ: 登山等に使う道具で、開閉できるゲートが付いた金属リング。ザイルとハーネス等を素早く強固に繋ぐために使う。

ビバーク: 登山中、怪我人発生や天候不順等、予期せぬ事態が生じたときに行う野宿。フランス語。

高山たつ: 江戸時代後期の富士講信者。女人禁制だった富士山に男装して登り、初めて富士山の山頂に立った女性となった。
「高山たつ」はれっきとした本名であり、完璧なアプトロニムとなっている。もっとも、同行した富士講の指導者が、多くの女性信者の中から栄誉に相応しい名前の人物を恣意的に選んだ可能性は否定できない。

深田久弥(-きゅうや): 作家、登山家。'64.『日本百名山』。'71.登山中に脳卒中で急逝。

三浦雄一郎: 登山家。'13.史上最高齢(80歳)でエベレスト登頂。

ジョージ・マロリー: 英国の登山家。1920年代に3度エベレスト遠征隊に参加したが、3度目に頂上付近で行方不明となった。もはや知る術は無いが人類初のエベレスト登頂者だった可能性がある。'99.遺体が見つかる。
インタビューで〈なぜ、あなたはエベレストに登りたかったのか?〉と訊かれ〈そこにそれ(エベレスト、があるから〉と答えたことで有名。

ルアー: プラスチック、金属、木等で作った、小魚等の姿に似せた釣り用の擬餌針(ぎじばり)。

毛針/毛鈎/毛鉤(けばり)(フライ): 針に毛を付け、虫の姿に似せた釣り用の擬餌針。

デコイ: 仲間に寄って来る鳥の習性を利用した、狩猟用の鳥の模型のこと。

とりもち: 鳥や虫にくっついて動けなくさせるための粘着物質。現在は狩猟での使用が原則禁止されている、

バディ: スキューバダイビングで、安全のために組になって一緒に潜水する相手のこと。

キャニオニング: ウェットスーツやヘルメットを身に着け、身一つで滝壺に飛び込んだり、川床を滑り降りたりしながら渓流を下るアクティビティ。

ラフティング: ゴムボートで激流を下るレジャー。利根川や吉野川の上流で盛ん。

堀江謙一: 海洋冒険家。'62.日本人初(世界初とも)の小型ヨット単独無寄港太平洋横断に成功。'74.日本人初(世界で3人目)の小型ヨット単独無寄港世界一周に成功。'22.3月.83歳にしてヨットでの単独太平洋横断に出発。

アリーナ: 階段状の観客席に取り囲まれた形の室内競技場。元々は「砂」を意味するラテン語で、砂を敷き詰めた闘技場を指した。

オールウェザー(タータン、全天候型): 水捌けの良い合成ゴム舗装の通称。陸上競技のトラックに使う。

アンツーカ: 水捌けの良い赤土。野球のベースやマウンドの周りの部分、テニスのクレーコート、陸上競技のトラック等に使う。

カクテル光線: 水銀灯・白熱灯・ハロゲン灯等を組み合わせて、昼光色に近づけた光線。主に球場の夜間照明で使われてきた。

サーキットトレーニング: 複数の運動メニューを間を置かずに繰り返し、筋力や自給力の向上を図るトレーニング。

ピラティス: 胸式呼吸を使うストレッチでインナーマッスルを鍛える運動。1920年代にドイツのフィジカルトレーナー・ピラティスが開発した。

フィジーク: ボディビルのうち、全身の均整を見る部門の名称。広い肩幅と細いウエスト(Vシェイプ)が評価される。

エキスパンダー: トレーニング器具の1つ。ゴムやばねの両端に持ち手が付いており、手足を使って伸縮させ筋肉を鍛えるもの。

あやとび: 縄跳びで、前跳びと交差跳びを交互に繰り返すこと。二重あやとびは「はやぶさ」とも呼ぶ。

棒倒し: 運動会や体育祭の伝統競技の1つ。垂直に立てた丸太状の棒を使い、自軍の棒を守りながら、相手軍の棒を攻撃して倒すことを目指す。

肋木(ろくぼく): 学校の体育館に置かれる木の梯子のような設備。かつてはマットや鉄棒、跳び箱のように、体育の授業に欠かせない体操器具だった。

カーブス(Curves): 米国発の女性専用フィットネスクラブ。顧客に中高年の主婦層が多いのが特徴。国内約2000店舗と、日本最大の店舗網を誇るフィットネスクラブとなっている。

カーボローディング: 試合や大会に備えて1-2日前から大量の炭水化物を摂取し、運動エネルギーとなるグリコーゲンを体に多めに貯蔵すること。

ファンブル: 野球やバスケ、アメフト等で、一度掴んだボールをこぼしてしまうこと。「手探りする」という意味の英語。

ブレイク: テニスではレシーバー側がゲームを取ること、バレーボールではサーブ側が得点を取ること。いずれも一般的に不利な側のゲームや得点を指す。

ブザービーター: バスケやアイスホッケーで、シュートを放ってから試合終了のブザーがなり、その後にボールがゴールに入る得点のこと。

オプトアウト権: 選手が契約を途中で見直したり、破棄したりできる権利。北米のメジャースポーツでは複数年契約の条項によく盛り込まれるが、NPBではまだ馴染みが薄い。

スポーツ・ウォッシング: スポーツイベントの開催で感動や熱狂を生むことで、社会的・政治的な不都合な事実を覆い隠すこと。

近代オリンピック(五輪): IOCが開催する、世界最大の総合スポーツ大会。シンボルであるオリンピック旗のデザインから「五輪」ともいう。
現在は2年おきに夏季五輪と冬季五輪を行う。特に、西暦で4の倍数年(オリンピックイヤー)に行われる夏季五輪は規模が大きく、200以上の国と地域が参加する。
クーベルタン男爵の〈スポーツによる青少年教育の振興と世界平和実現のため、古代オリンピックを復興しよう〉という呼びかけで発足した。1896.第1回夏季五輪(アテネ五輪)。1924.第1回冬季五輪(シャモニー・モンブラン五輪(フランス))。

聖火リレー: 五輪の開会式前に行われるイベント。ギリシア神話のプロメテウスの逸話に倣い、オリンピアの神殿で凹面鏡を使い太陽から採火した「聖火」をトーチに灯し、リレーで開会式の会場まで運ぶ。1936.ベルリン五輪で初開催。
アテネ五輪('04)では過去の世界中の開催地を巡る盛大なリレーを行った。北京五輪('08)でも世界リレーを踏襲したが、チベット問題等に抗議する人々の妨害活動が頻出。ロンドン五輪('12)以降は開催国内のリレーとなっている。

メルボルンオリンピック('56): 豪州のメルボルンで行った夏季五輪。日本選手団の金メダルは4個。
聖火リレー中、ナチス由来の聖火リレーに抗議する大学生らが、椅子の足にパンツをくくり付けて燃やした偽の「聖火」を掲げて先導する悪戯を敢行。勘違いした警察が偽ランナーも警護し、偽の「聖火」到着と共に市長のスピーチが始まる珍事が起きた。

ミュンヘンオリンピック('72): ドイツのミュンヘンで行った夏季五輪。日本選手団の金メダルは13個(体操男子団体、加藤沢男×2、バレーボール男子、他)。
大会中、パレスチナの武装組織「黒い九月」が選手村を襲ってイスラエルの選手を人質に取り、イスラエルが収監するパレスチナ人の解放を要求するも叶わず、人質11人が殺される五輪史上最悪の惨劇(ミュンヘン五輪事件)が起きた。
この事件に対するイスラエルの報復空爆も、多くの死者を出すこととなった。

北京オリンピック('08): 夏季五輪。初の中国開催の五輪。当初予算に対して開催費用が雪だるま式に膨らむことが五輪の常である中、当初予算を2%しかオーバーせず開催した珍しい大会。
NHKの報道テーマソングはMr. Childrenの「GIFT」。日本選手団の金メダルは9個(北島康介×2、内柴正人、石井慧、谷本歩実、上野雅恵、吉田沙保里、伊調馨、ソフトボール女子)。

ロンドンオリンピック('12): 夏季五輪。ロンドンは1908年、'48年に続き、史上初となる3回目の開催地となった。
開会式の映像ではエリザベス2世が、ジェームズ・ボンドに扮したダニエル・クレイグと共演。当時86歳の女王がヘリから単身、パラシュートでスタジアムの貴賓席まで降りて来るサプライズ演出も行われた(実際に飛び降りたのはスタントマン)。
NHKの報道テーマソングはいきものがかりの「風が吹いている」。日本選手団の金メダルは7個(内村航平、松本薫、村田諒太、米満達弘、小原日登美、吉田沙保里、伊調馨)。

リオデジャネイロオリンピック('16): ブラジルのリオデジャネイロで行った夏季五輪。初の南米開催の五輪。初めて「難民選手団」が結成され、参加した。
NHKの報道テーマソングは安室奈美恵の「Hero」。日本選手団の金メダルは12個(萩野公介、金藤理恵、体操男子団体、内村航平、大野将平、ベイカー茉秋、田知本遥、登坂絵莉、伊調馨、川井梨紗子、土性沙羅、高橋礼華・松丸美佐紀)。

東京オリンピック('21): 夏季五輪。COVID-19流行の影響で1年遅れ・原則無観客での開催となったが、大会名やロゴの「TOKYO 2020」はそのまま使われた。エンブレムは組市松紋、公式マスコットはミライトワ(パラリンピックはソメイティ)。
スポーツクライミング、スケートボード、サーフィン、空手が初めて五輪競技となった。
直前には、組織委員会の森喜朗が性差別発言で国内外の批判を浴び会長を辞任したり、開・閉会式の演出メンバーだった小山田圭吾や小林賢太郎が、過去の作品や行為で非難を浴び降板する等の混乱が起きた。
NHKの応援ソングはFoorinの「パプリカ」、報道テーマソングは嵐の「カイト」。日本選手団の金メダルは過去最多の27個(大橋悠依×2、橋本大輝×2、堀米雄斗、西矢椛、四十住さくら、高藤直寿、阿部一二三、大野将平、永瀬貴規、ウルフ・アロン、阿部詩、新井千鶴、濱田尚里、素根輝、喜友名諒、入江聖奈、乙黒拓斗、須崎優衣、向田真優、川井梨紗子、川井友香子、フェンシング男子エペ団体、水谷隼・伊藤美誠、野球男子、ソフトボール女子)。

パリオリンピック(2024): 2024年予定の夏季五輪。パリは1900年、1924年に続き、100年ぶり3回目の開催地となる。ブレイキン(ブレイクダンス)が初めて五輪競技となる。

ロサンゼルスオリンピック(2028): 2028年予定の夏季五輪。LAは1932年、'84年に続き、44年ぶり3回目の開催地となる。クリケットが128年ぶり、ラクロスが80年ぶりに、スカッシュとフラッグフットボールが初めて五輪競技となる。

ブリスベンオリンピック(2032): 2032年予定の夏季五輪。豪州ではメルボルン、シドニーに続く開催地となる。

リレハンメルオリンピック('94): ノルウェーのリレハンメルで行った冬季五輪。夏季五輪と2年ずらして行うようになった初の冬季五輪。日本選手団の金メダルは1個(ノルディック複合男子団体)。

100メートル競走(100m走): 陸上競技・短距離走の種目。男子の世界記録保持者は「人類最速の男」と呼ばれる花形種目。
世界記録はウサイン・ボルトの9秒58('09)、日本記録は山縣亮太の9秒95('21)。ちなみに、100mを10秒で走った時の平均速度は36km/h。

ウルトラマラソン: 42.195kmより長い距離を走るマラソン。100kmマラソン24時間走が有名。'23現在、100kmマラソン(ロード)の世界記録は男女とも日本人が保持している(風見尚('18)、安部友恵('00))。

棒高跳び: 陸上競技の種目。ポールの反発力を使って高く跳ぶ能力を競う。手にもつ棒はポール、飛び越える棒はバーという。

クラウチングスタート: 短距離走で採用されている、両手の指を地面につけた状態から行うスタート。カンガルーの姿勢をヒントに考案された。

ニューイヤー駅伝: 毎年元日に群馬県で行う男子の実業団チームによる駅伝大会。歴代最多優勝は旭化成。

カール・ルイス: 米国の陸上競技選手。'84.LA五輪の100m走・200m走・400mリレー・走幅跳で金メダル。走幅跳は'96アトランタ五輪まで4連覇。空を駆けるような加速で世界を魅了した。

田中希実: 中距離走選手。女子1000/1500/3000/5000m走の日本記録保持者。'21.東京五輪の女子1500m走で入賞(女子中距離走の日本選手として人見絹枝以来93年ぶり)。

円谷幸吉: 長距離走選手、自衛隊員。'64.東京五輪のマラソンで銅メダル。'68.27歳で自殺。

大迫傑: 長距離走選手。佐久長聖高校、早大出身。3000/5000m走の日本記録保持者。

神野大地(かみの-): 長距離走選手。'15.箱根駅伝5区で区間新を更新し青学大の初優勝に貢献、「3代目山の神」と呼ばれた。

鈴木健吾: 長距離走選手。'21.びわ湖毎日マラソンでマラソン日本記録更新(2:04:56)。アフリカ出身者以外で、世界で初めて2時間5分の壁を破った。
なお、'21年のびわ湖毎日マラソンは風や日差しの少ない空前の好条件で、自己ベストを更新した上で日本のマラソン記録歴代10傑に入る日本選手が5人も出た。

ケルヴィン・キプタム: ケニアの長距離走選手。'23.マラソン世界記録更新(2:00:35)。世界で初めて2時間1分の壁を破った。'24.交通事故で死去。
マラソンデビュー以来、出走した全レースで2位に大差を付け、かつ大会記録を塗り替えており、世界初の2時間切りが大きく期待される中での悲劇だった。

有森裕子: 長距離走選手。'96.アトランタ五輪の女子マラソンで銅メダル。〈はじめて自分で自分をほめたいと思います〉が流行語大賞を受賞した。

セルゲイ・ブブカ: ウクライナの陸上競技選手。「鳥人」。世界陸上の男子棒高跳びで6連覇('83-97)。'85.棒高跳びで世界初の6m突破。同種目の世界記録を35回も更新した。

エレーナ・イシンバエワ: ロシアの陸上競技選手。'04アテネ五輪・'08北京五輪の女子棒高跳びで金メダル。'05.女子棒高跳びで世界初の5m突破。同種目の世界記録を28回も更新した。

北京国家体育場鳥の巣): 中国・北京の陸上競技場。'08北京五輪(夏季)・'22北京五輪(冬季)のメインスタジアム。

競泳: 最も一般的な水泳競技で、一定の距離を定められた泳法で泳ぎ、タイムを競うもの。日本代表の愛称は「トビウオジャパン」(往年の名選手・古橋廣之進の異名から)。

ドルフィンキック: 水泳で、両足を揃えて足の甲で水を上下に打つキック法。主にバタフライで使う。

萩野公介: 競泳選手。'16.リオ五輪400m個人メドレーで金メダル獲得。妻はシンガーソングライターのmiwa。

大橋悠依: 競泳選手。'21.東京五輪200m・400m個人メドレーで金メダル獲得。

十字懸垂: 体操のつり輪で、体を地面に垂直に保ったまま、両手を横に広げた状態で静止する技。

三宅宏実: 重量挙げ選手。'12ロンドン五輪・'16リオ五輪メダリスト。三宅義信の姪で、親族に重量挙げのトップ選手が多数いる。3つのうかんむりが並ぶ名前は、生年('85)に落合博満とランディ・バースが三冠王に輝いたことに由来する。

デッドリフト: パワーリフティングの種目の1つ。床の上のバーベルを両手で握り、膝・腰が伸び切る完全な直立姿勢になるまで引き上げる。

ベンチプレス: パワーリフティングの種目の1つ。仰向けでバーベルを真上に持ち上げる。

リード: スポーツクライミングの種目で、高さ12m以上のコースを使い、制限時間内に登れた高さを競うもの。

ボルダリング: スポーツクライミングの種目で、高さ5m以下のコースを複数使い、制限時間内に登れたコースの数を競うもの。

スピード: スポーツクライミングの種目で、予めホールドの位置が周知されたコースを使い、タイムを競うもの。

レギュラースタンス: スケートボードやスノーボード、サーフィン等で、左足が前、右足が後ろに来るスタンス。一般に右足が利き足の場合に使う。

グーフィースタンス: スケートボードやスノーボード、サーフィン等で、右足が前、左足が後ろに来るスタンス。一般に左足が利き足の場合に使う。

オーリー: スケートボードやスノーボードで、ボードのテールの反発を使って飛び上がる技術。

西矢椛(もみじ): スケートボード選手。'21.東京五輪の女子ストリートで金メダル。アジア人史上最年少(13歳)の五輪金メダリストとなった。

プロトン: 自転車ロードレースで、競技中に形成される大規模な集団のこと。ロードレースではゴール争いの危険防止のため、集団内の、前車との差が数秒以内の選手を全て同じタイムと見なす。

グランツール: 世界的な自動車ロードレースである、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャの総称。いずれも約3週間かけて3000km以上を走る過酷なレースで、同一年に全グランツールを完走する選手は少ない。

ジロ・デ・イタリア: 毎年5月に行う、「イタリア一周」を意味する自転車ロードレース。グランツールの1つ。

ツール・ド・フランス: 毎年7月に行う、「フランス一周」を意味する自転車ロードレース。グランツールの中で最も長い歴史をもち、有力選手が揃う。1903.第1回開催。

ブエルタ・ア・エスパーニャ: 毎年9月に行う、「スペイン一周」を意味する自転車ロードレース。グランツールの1つ。

パドリング: サーフィンで、サーフボードに腹ばいになり、両手で水を掻いて進むこと。

オフショア: サーフィン用語で、岸から海に向かって吹く理想的な風向きのこと。

スウィープ艇: 大きいオールを1人1本持ち、左右に分かれて漕ぐタイプのボート。漕手の人数により、エイト、フォア、ペアの各種目がある。

エイト: ボート競技の種目。スウィープ艇で、8人の漕手と1人の舵手が乗る。ボート競技で最も人数が多く、高速の勝負が行われる花形種目。

スカル艇: 小さいオールを1人2本持って漕ぐタイプのボート。漕手の人数により、クォドルプル(4人)、ダブルスカル、シングルスカルの各種目がある。

ドラゴンボート(龍舟、龍船): 中国由来の細長いボート。長崎ではペーロン(白竜)、沖縄ではハーリー/ハーレー(爬竜)と呼ぶ。

レーザー級: セーリングの種目で、全長4.23mの1人用ヨットを使うもの。セーリングで最も競技人口が多い。

フィン級: セーリングの種目で、全長4.5mの1人用重量級ヨットを使うもの。「フィン」はフィンランドの意。長く五輪種目だったが、パリ五輪('24)から廃止。

ウィンドサーフィン: 帆を張ったボードを使う、セーリングとサーフィンを融合したようなウォータースポーツ。

SUP(サップ): Stand Up Paddleboard。水上ボードの上に立ち、パドルで漕ぎ進むウォータースポーツ。

スケート: 氷を張った面(スケートリンク)の上を、刃のついた靴(スケート靴)で滑るスポーツ。

スピードスケート: 1周400mのスケートリンクを周回し、ゴールタイムを競う競技。個人種目(500m-10000m)、マススタート、チームパシュートが五輪種目となっている。

チームパシュート団体追い抜き): スピードスケートの中距離団体種目。3人1組のチームで滑走する。滑走中に隊列の並びを入れ替えることができ、大きな空気抵抗を受ける先頭を適宜交代して体力を温存する戦略がとられる。

ショートトラックスピードスケート: アイスホッケーやフィギュアスケートと同じ室内スケートリンク(1周約111m)で速さを競う競技。マススタートで行い、タイムではなく着順を競う。

高木美帆: スピードスケート選手。高木菜那の妹。'18.平昌五輪でチームパシュートの「金」含むメダル3個を獲得。'22.北京五輪で1000mの「金」含むメダル4個を獲得。

キス・アンド・クライ: フィギュアスケートのリンク脇にある、競技終了後に採点結果の発表を待つためのスペース。選手やコーチが喜んだり悲しんだりする場所であることから。

ルッツ: フィギュアのジャンプで「助走時に体にかかる回転の力の方向」と「空中での回転方向」が逆になるもの。6種類のジャンプの中で、アクセルに次いで基礎点が高い。

宇野昌磨: フィギュアスケーター。'16.公式競技会で世界初の4回転フリップに成功。'18.平昌五輪の男子シングルで銀メダル。'22-23.世界選手権連覇。

鍵山優真: フィギュアスケーター。'22.北京五輪の男子シングルで銀メダル。'22-.中京大に進学。

木原龍一: フィギュアスケーター。ペアを主戦場とする。'19-.三浦璃来とペア(りくりゅうペア)結成。'22.GPファイナル優勝(日本のペアとして初)。

ゾンメルスキー: 残雪の時期や夏のスキーで使う、通常より短いスキー板。「夏」を意味するドイツ語から。

ビンディング: スキーやスノーボードにブーツを固定する器具。

バッケンレコード: スキーの各ジャンプ台における最長不倒飛行記録のこと。バッケンは「丘」や「ジャンプ台」を指すノルウェー語。

モーグル: フリースタイルスキーの競技の1つ。コブだらけの急斜面を滑り、「ターン技術」「エア演技」「スピード」の3要素を競う。

村瀬心椛(-ここも): スノーボーダー。'22.北京五輪のビッグエアで銅メダル。

残心: 弓道等の武道で、矢や技を放った直後に行う、身体の緊張を解きつつも注意を怠らないための所作。

相撲/角力(すもう): 土俵の上で組み合って戦う、日本古来の神事、武芸、格闘技。秋の季語。

土俵: 相撲の試合場。土を盛り、土を詰めた俵を埋めて輪を作り、その中で闘う。大相撲では、対戦する力士は東西に立ち、中継のメインカメラがある北側を「正面」、行司が立つ南側を「向正面」という。

徳俵(とくだわら): 大相撲の土俵の東西南北にある、外側にずらされている俵のこと。

力士: 大相撲の選手のこと。太り型の力士を鮟鱇に喩えて「アンコ型」、痩せ型の力士を鶏ガラに喩えて「ソップ型」という。

関取: 幕内・十両の力士のこと。

幕内(まくうち): 大相撲のトップリーグにあたる枠組み。現在の定員は42人。上位から順に横綱大関関脇小結前頭の階級がある。

序ノ口: 大相撲の番付で一番下の位。物事の始めを意味する慣用句となっている。

けんか四つ: 相撲で、取組を行う2人の力士の得意な指し手が異なること。

うっちゃり: 相撲の決まり手で、土俵際に追い詰められた力士が相手を持ち上げて体をひねり背後に投げるもの。土壇場での形勢逆転の喩えとしても使われる。

勇み足: 相撲の決まり手で、相手を土俵際まで追い詰めながら自分の足が先に出て負けてしまうこと。

差し違え: 行司が判定を間違い、負けた力士に軍配を上げること。「刺し違え」ではない。

大銀杏(おおいちょう): 関取の髪型。髷の先を銀杏の葉のように大きく広くしたもの。

床山(とこやま): 力士の髷を結う人のこと。

化粧廻し: 土俵入りを行う関取や、弓取式を行う力士が締める、儀式用の大型の廻し。主に後援会や協賛企業から贈呈され、デザインの自由度が高く注目される。

明荷(あけに): 関取の身の回り品を入れる箱。

かまぼこ: 相撲の稽古をサボること。土俵に入らず、稽古場の壁に張り付いているさまを喩えた言葉。

幕内最高優勝: 大相撲本場所の幕内の優勝のこと。巨大な優勝杯が授与され、所属部屋では巨大な鯛等を仕入れて祝う。通算優勝回数上位は白鵬、大鵬、千代の富士、朝青龍、北の湖、貴乃花、輪島。

三賞: 大相撲本場所で、優勝以外に設けられた3つの賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)。選考対象は関脇・小結・前頭の力士。
殊勲賞は横綱や優勝力士から白星を挙げた力士等に、敢闘賞は実績に比べて好成績を残した力士等に、技能賞は技能が秀でた力士に与える。

中入(なかいり): 大相撲本場所で、十両と幕内の取組の間の休憩時間。

弓取式: 大相撲本場所で、結びの一番の勝者に代わり作法を心得た力士が土俵上で弓を受け、勝者の舞を演じる儀式。

跳ね太鼓: 大相撲本場所で、一日の興行の終わりを告げる太鼓。「明日もお越しください」という意味があり、千秋楽では打たない。

三河島事件(1923): 力士達が退職金増額の要求を行い、関取の大半が東京・三河島の工場に立てこもって本場所をボイコットした事件。この結果、退職金は増額された。

佐渡ヶ嶽部屋: 大相撲の部屋。力士の四股名に「琴」の字を付ける。'55.設立。'05-11.琴欧洲、琴光喜、琴奨菊が相次いで大関に昇進。黄金期を築く。

双葉山: 力士。1932.新入幕。1936-39.本場所69連勝(歴代1位)。

千代の富士: 北海道出身の力士。異名は「ウルフ」「昭和最後の大横綱」。幕内優勝回数31回は白鵬、大鵬に次ぐ歴代3位。小兵ながら速攻と上手投げを得意にして一時代を築いた。逞しい肉体美でも人気を集めた。
史上初の5文字四股名の関取。'75.新入幕。'91.〈体力の限界…、気力もなくなり引退することになりました〉。

照ノ富士: モンゴル出身の力士。'23現在、一人横綱。かつて膝の負傷や糖尿病による体調不良で負け越し・休場が続き、大関から序二段まで陥落したが、後に大関復帰・横綱昇進を果たした。
'14.新入幕。'15.初優勝、大関昇進(共に平成生れ初)。'18.幕下陥落(優勝経験者として初)。'20.コロナ禍で初めて開催された場所で幕内復帰、いきなり優勝。'21.優勝を重ね横綱昇進。

若隆景(わかたかかげ): 力士。'19.新入幕。'22.春場所優勝。

アントン・ヘーシンク: オランダの柔道家、プロレスラー。'64.東京五輪の男子無差別級で金メダル。

喜友名諒(きゆな-): 空手家。'21.東京五輪の男子・形で金メダル。沖縄県出身者初の五輪金メダリストとなり、これによって全都道府県からの五輪金メダリスト輩出が達成された。

清水希容(-きよう): 空手家。'21.東京五輪の女子・形で「チャタンヤラ・クーサンクー」を披露し、銀メダル。

宗道臣(そうどうしん): 武道家。'47.香川県多度津町で少林寺拳法を創始。

リング: ボクシングやレスリングの試合場。元々は人が手を繋いで輪(リング)を作り、その中で闘った。
後に、ボクシングやプロレスは興行面から高い場所で闘うようになり、安全のためにロープを張れるよう、試合場が四角くなったが、「リング」という名称は残っている。

セコンド: 格闘技の試合における選手の介添人。インターバル時に選手に作戦を授けたり、汗を拭いたり、傷の手当てをしたりする。選手の状態が危険な場合は、リングに白いタオルを投げ入れて棄権させる権限がある。

テクニカルノックアウト(TKO): 格闘技で、レフェリーストップやドクターストップ、セコンドの棄権意思表示によって敗退となること。

ラバーマッチ: 格闘技で、同じ対戦カードで過去戦績が1勝1敗の状態で行われる3試合目のこと。

ラウンド: ボクシングの試合を構成する単位。1ラウンドは3分で、ラウンド間に1分の休憩がある。アマチュアの試合は3ラウンド制が一般的。プロの試合はランクによってラウンド数が異なり、男子の世界タイトルマッチは12ラウンド制で行う。

インファイト: ボクシングの戦術で、アッパーやフック等の近距離攻撃に主眼を置く、打撃力重視の戦法。対義語はアウトボクシング。

ダッキング: ボクシングで、上体を前かがみにして相手のパンチをかわす戦法。水面に潜るアヒルに喩えて。

海老原博幸(えびはら-): ボクサー。左ストレートは「カミソリパンチ」と呼ばれ、ファイティング原田、青木勝利と「フライ級三羽烏」と並び称された。ポケモン・エビワラーの名前の由来。'63.日本人3人目のプロボクシング世界王者に。

モハメド・アリ: 米国のボクサー。〈蝶のように舞い、蜂のように刺す〉と評された。ネーション・オブ・イスラムの信者で、リングネームはムハンマドとアリーに由来する。
'60.ローマ五輪で金メダル獲得。'64.WBA・WBC統一世界ヘビー級王者となる。ベトナム戦争への徴兵を拒否し、無敗のまま王者を剥奪された期間があった。公民権運動にも関わった。
'76.日本武道館でプロレスラーのアントニオ猪木と「格闘技世界一決定戦」を行い、引き分ける。アリのテーマソング「炎のファイター(アリ・ボンバイエ)」が猪木に寄贈され「イノキ・ボンバイエ」となった。
'96.アトランタ五輪で聖火リレーの最終ランナーを務めた。ボクサー時代の後遺症でパーキンソン病を患っており、震える手を抑えながら聖火台に点灯。この時、かつて「川に投げ捨てた」というローマ五輪の金メダルが再授与された。

オスカー・デ・ラ・ホーヤ: 米国のボクサー。'04.史上初の6階級制覇を達成。

サウル・アルバレスカネロ): メキシコのボクサー。4階級で世界制覇。'21-.スーパーミドル級世界4団体統一王者。

入江聖奈(-せな): 女子ボクサー。'21.東京五輪の女子フェザー級で金メダル。'22.大学卒業と共に引退し、蛙の研究のため大学院進学。

沢村忠(-ただし): キックボクサー。黎明期キックボクシング界の大スターで、梶原一騎原作の漫画『キックの鬼』('69-71)で半生が描かれた。ポケモン・サワムラーの名前の由来。

シルム(韓国相撲): 朝鮮半島の格闘技。組み合った状態から互いに投げを打ち合う。

ヤールギュレシ(トルコ相撲、オイルレスリング): トルコの格闘技。黒い革ズボンを履き、全身にオリーブオイルを浴びて組み合う。

サンボ: ロシアの国技とされる格闘技、軍隊格闘術。レスリングと柔道を元に、1920年代のソ連で創始された。

システマ: ロシアの軍隊格闘術、護身術。徹底した脱力と柔らかな動作が特徴。

カポエイラ: 格闘術とダンス、音楽が融合したブラジルの文化。奴隷がダンスにカモフラージュして練習した格闘術が源流。

グレイシー一族: ブラジルの柔術家一族。前田光世から柔道を学び、ブラジリアン柔術の技術体系を作り上げた兄弟に始まる。90sにホイス・グレイシー、ヒクソン・グレイシーらが総合格闘技界を席巻した。

総合格闘技MMA): Mixed Martial Arts。ルールによる攻撃手段の制約を減らし、各種格闘技・武術における打撃技(パンチ、キック)、組み技(投げ技、絞め技、関節技、抑え技)等の技術を駆使する、総合的な格闘技。
打撃技を得意とする格闘家をストライカー、組み技を得意とする格闘家をグラップラーという。

桜庭和志: 総合格闘家、プロレスラー。'17.UFCで日本人初の殿堂入り。'18-.寝技主体の格闘技イベント「QUINTET」を主宰。

ミルコ・クロコップ: クロアチアの総合格闘家。総合格闘技の技術体系を打撃型へシフトさせたゲームチェンジャーと評される。'06.PRIDE無差別級グランプリ王者。'12.K-1 WORLD GP王者。'16.RIZIN無差別級グランプリ王者。

グレート東郷: 日系米国人(詳しい出自は不明)のプロレスラー。太平洋戦争後の米国で、反日感情を逆手に取ったヒールとして活躍。流血試合でも薄ら笑いで不気味な東洋人を演じ「血笑鬼」と称された。

アントニオ猪木: プロレスラー、政治家。本名は猪木完至(かんじ)、キャッチフレーズは「燃える闘魂」。トレードマークは長い顎と赤いストール。決め台詞は〈1、2、3、ダー!!〉〈元気ですか!! 元気があれば何でもできる〉。
横浜市出身だが、13歳から17歳までは家族と共に移住したブラジルに住み、農作業等に従事していた。
'60.興行でブラジルを訪れた力道山により、190cmの巨体と背中の筋肉を一目見てスカウトされた。同年、日本プロレスに入団し、ジャイアント馬場と同日にデビュー。
'69.馬場を破り、日本プロレスのエースとなる。'71.日本プロレス上層部との確執により除名される。'72.新日本プロレスを設立。同年、倍賞美津子と結婚('87.離婚)。
'76.日本武道館でモハメド・アリと「格闘技世界一決定戦」を行い、引き分ける。アリのテーマソング「炎のファイター(アリ・ボンバイエ)」が猪木に寄贈され「イノキ・ボンバイエ」となった。
'82.梶原一騎による「猪木監禁事件」。新日本プロレスがタイガーマスクのキャラクター使用料を梶原に払わなくなっていたため、梶原が暴力団関係者を使い猪木を監禁・脅迫したというが、「プロレス的な誇張話」とも考えられ詳細は不明。
'89.「スポーツ平和党」を結成、参議院議員に当選。
'90.湾岸戦争で日本人41人がイラクで人質となった際、外務省から難色を示されながら人質家族46人と共に航空機をチャーターしてイラクに行き「平和の祭典」を開催。イベント後に全人質が解放された。
'94.北朝鮮に初渡航。独自のパイプで30回以上訪朝し、日朝友好を唱えた稀有な政治家でもあった。

天龍源一郎: 元力士、プロレスラー。力士としての四股名は「天龍」、最高位は前頭筆頭。
全日本プロレスに所属した80sには、ジャンボ鶴田との対決(鶴龍(かくりゅう)対決)がドル箱カードとして知られた。ジャイアント馬場とアントニオ猪木の両方にピンフォール勝ちを収めた唯一の日本人。

パンクラチオン: 古代ギリシアの格闘技。禁止事項は目潰しと噛み付きだけだったという。

ダーツボード: ダーツの的。高得点ゾーンとして、中心のブルと、同心円を成す2つの帯(内側のトリプルリング、外側のダブルリング)がある。
ブルの外側は放射状の線で20等分され、ブルの真上が最も点数が高い20点ゾーン、真下が3点ゾーン。1投での最高点は、20点ゾーンのトリプルリング部分の60点となる。

いちご病: ダーツで、20点エリアを狙おうとして、両隣の1点と5点のエリアばかりに入ってしまう状態。

01(ゼロワン): ダーツのゲーム形式の1つ。特定の持ち点からヒットさせたエリアの得点を引いていき、ちょうど0点にすることを目指すもの。持ち点に使う数字の下2桁が「01」であることから。

プールバー: ビリヤードが出来るバーのこと。ビリヤードの別名「シューティングプール」から。

ストライク: ボウリングで、1投目で10本のピン全てを倒すこと。点数は10点に加え、次の2投分で倒したピンの本数の合計を加算する(第9フレームまでは最大30点となる)。

ボウリング場: ボウリングを行う施設。現代では普通、投げたボールの返送やスコア計算を自動で行う機械を備える。手ぶらで訪れることを前提にボールや靴の貸し出しも行っている。1861.長崎の外国人居留地に日本初のボウリング場が開場。

ヨーロピアン方式: ボウリングで、全てのフレームを同じレーンで投げる方式。ボウリング場で遊ぶ人の多くはこの方式を使う。

アメリカン方式: ボウリングで、1フレームごとに2つのレーンを交互に使って投げる方式。レーンごとのコンディションの特徴を少しでも出にくくするため、多くの競技会や試合はアメリカン方式で行われる。

中山律子: プロボウラー。'70.日本女子プロ初の公認パーフェクトゲームをTV中継で達成、社会現象に。

ペタンク: フランス発祥の球技。コート上の目標球に金属のボールを投げ合い、相手より近づけることで得点を競う。

ラウンド: ゴルフで、1コース(18ホール)全てを回ること。平均プレー時間は約4時間。
ホール数が18の理由として、1ホール終えるごとにウイスキーをワンショット飲むと、1瓶飲み終わるのに18ホールという話が有名。そもそも、ウイスキーの1杯を「ワンショット」というのもゴルフ由来という説がある。

フェアウェイ: ティーグラウンドからグリーンまでの間の、芝が短く刈り込まれた領域。安全な航路を意味する航海用語から。

ティー: ゴルフボールの台座。各ホールの1打目にのみ使える。

パター: グリーンで使う、ボールを軽く打って転がすためのゴルフクラブ。

暫定球: ゴルフで、打ったボールにOBやロストの可能性がある場合、ボールを探しに行く前にもう一度その場から打つ仮のボールのこと。

バーディー: ゴルフで、そのホールの基準打数より1打少ない打数でカップインすること。「小鳥」を表す英語から。

イーグル: ゴルフで、そのホールの基準打数より2打少ない打数でカップインすること。「鷲」を表す英語から。

アルバトロス: ゴルフで、そのホールの基準打数より3打少ない打数でカップインすること。「アホウドリ」を表す英語から。

ボギー: ゴルフで、そのホールの基準打数より1打多い打数でカップインすること。

ダブルボギー(ダボ): ゴルフで、そのホールの基準打数より2打多い打数でカップインすること。プロ競技においては不名誉で、「ダボを叩く」といった表現をする。

オナー: ゴルフで、前のホールで最も打数が少なく、最初にティーショットを打つ権利を与えられた人のこと。「名誉」を意味する英語。

チーピン: ゴルフで、打球が大きく左に反れるミスショット。麻雀牌「七筒(チーピン)」の図柄に喩えて。

尾崎将司(まさし)(ジャンボ尾崎): 元プロゴルファー。尾崎3兄弟の長男。通算優勝回数113回は世界プロツアー最多記録、賞金王12回、メジャー大会20勝は日本史上最多記録。
'65-67.プロ野球選手として西鉄に所属。「野球では池永正明に勝てないが、違う世界で勝つ」と自主引退してゴルフに転向した。

須藤弥勒(すとうみろく): 女子ゴルフ選手。'22.ジュニア4大メジャーのグランドスラムを世界で初めて達成。

テニス庭球): 欧米発祥の、2組のプレーヤーがネット越しにラケットでボールを打ち合う球技。1対1のシングルス、2対2のダブルスがある。

ラブ: テニスで0点(0ポイント)の状態を表す言葉。ゲーム開始時の0-0の状況は「ラブオール」といい、卓球やバドミントンでも審判のゲーム開始の宣言代わりに使われている。

ゲーム: テニスの試合の最小単位。2得点(2ポイント)差をつけて4得点(4ポイント)以上取ると1ゲームを得る。
得点のカウント方法は特殊で、0点(ラブ)の状態から、1点取ると15(フィフティーン)、2点取ると30(サーティ)、3点取ると40(フォーティ)。カウントが40-30の時、40の選手が次の点を取るとゲームを得るが、40-40になるとデュースと呼ぶ。
デュースの後、どちらかが1点取った状態をアドバンテージと呼ぶ。アドバンテージを得た選手がもう1点取るとゲームを得るが、アドバンテージを得ていない選手が次の点を取ると再びデュースに戻る。
この特殊な得点のカウント方法の由来ははっきりしていない。一般には、6ゲーム1セットを得る過程を360度の円に見立てたと考えられている。すると、4得点1ゲームを得る過程は60度となり、1得点は15、2得点は30、3得点は45となる。
但し、英語で45(フォーティファイブ)とコールすると長いので、40(フォーティ)になったのだという。

セット: テニスの試合を構成する単位。2ゲーム差をつけて6ゲーム以上を得ると1セットを得る。プロテニスでは、長いセットは1時間前後の攻防となる。
多くの試合は2セット先取で行われるが、四大大会の男子シングルス部門は3セット先取。5セット目までもつれる熱戦は、約5時間に及ぶことがある。

タイブレーク: スポーツの試合終盤で、同点の状況に決着をつけるためのルール。特にテニスで、ゲームカウントが6-6等のセットで行う延長戦として広く採用されている。

テニスコート: テニスの試合場。グラスコート(天然芝)、クレーコート(土)、ハードコート、オムニコート(砂入り人工芝)等の種類がある。
グラスコートでは摩擦でボールのバウンドの軌道が低くなるため、バウンドした球をショットするまでの猶予が短く(球足(たまあし)が速く)、クレーコートでは逆に球足が遅くなる。

ダブルフォールト: テニスで、サーブを2回失敗して相手に点が入ること。

バコラー: テニスで、強いボールを積極的にバコバコ打つタイプの選手。鋭いショットを相手に拾われにくい、球足の速いコート(グラスコート)を得意とする選手が多い。

シコラー: テニスで、しつこく粘り相手のミスを待つタイプの選手。

全豪オープン: テニス四大大会の1つ。サーフェスはハードコート。例年1月にメルボルンで開催する。

デビスカップ: 1900年から毎年行われている男子テニスの国別対抗戦。最多優勝国は米国。

ピート・サンプラス: 米国のテニス選手。年間最終世界ランキング6年連続1位('93-98)、四大大会14回制覇の記録をもつ。攻撃型の選手でグラスコートを得意とした一方、全仏オープンでは優勝できなかった。

マルチナ・ナブラチロワ: チェコスロバキア出身で米国に亡命した女子テニス選手。ウィンブルドン選手権のシングルス通算9回優勝は、男女通じて歴代最多。キャリア・ボックス・セット達成者の1人(現時点で最後の達成者)。
最初の四大大会優勝は'74年の全仏(混合ダブルス、当時17歳)、最後の優勝は'06年の全米(混合ダブルス、当時49歳)と、30年以上もの間、トップ選手として君臨した。

チキータ: 卓球で、バックハンドで横回転をかけて返球する技。球の軌道がチキータバナナのように曲がることから。

王子サーブ: 卓球のサーブの1種。ボールを高く上げ、しゃがみ込みながらラケットの裏面でカットするもの。かつて大阪にあった王子卓球センターの主宰者が考案し、そこで学んだ福原愛がよく使っていた。

バドミントン(バド、羽球(うきゅう)): 英国で発展した球技。現在はアジアで特に盛ん。打球の初速は500km/h近く出ることがあり、世界最速のスポーツとしてギネス認定されている。試合は2ゲーム先取、1ゲームは21点先取で行う。

ママさんバレー: 高度成長期に(当時は主に主婦層の)趣味として普及した、9人制の女子バレーボール。

バボちゃん: フジテレビのバレーボール中継のマスコットキャラクター。

古賀紗理那: 女子バレー選手。'22-.日本代表主将。

ハンドボール: デンマーク発祥のチーム球技。1チーム7人でプレーする。日本代表の愛称は男子が「彗星JAPAN」、女子が「おりひめジャパン」。

ウェイン・グレツキー: 80s-90sに活躍したカナダのアイスホッケー選手。史上最も優れたホッケー選手とされ、背番号「99」はNHL唯一の全チーム共通の永久欠番となった。

インディアカ: チーム球技。バレーボールに似たルールで、羽の付いたボールを手で打ち合う。

バスケットボール(バスケ、籠球(ろうきゅう)): 19c末の米国で発祥したチーム球技。1チーム5人でプレーする。コートの両端に設置された高さ305cm(≒10フィート)のバスケットにボールを上から通して得点を競う。ドリブルやパス、シュートは手で行う。
試合時間は4ピリオド各10分。第2・3ピリオド間の休憩(ハーフタイム)は10~20分、第1・2ピリオド間、第3・4ピリオド間の休憩は2分が一般的。20cまでは前後半各20分で戦われた。
日本代表の愛称は男女とも「AKATSUKI JAPAN」。

ハック・ア・シャック: バスケで、フリースローが苦手な選手に意図的にファウルを仕掛ける戦術。シャキール・オニールに多用されたことから。

NBA: National Basketball Association。北米の男子バスケットボールのプロリーグ。'46.設立。MLBと同じく、米国29チーム・カナダ1チームの全30チームから成る。

トロント・ラプターズ: カナダ唯一のNBAチーム。'19.初優勝。

ビル・ラッセル: 米国のバスケ選手。50s-60sに活躍したディフェンダーで、ボストン・セルティックスを11度の全米一に導き(選手個人の優勝歴としてNBA史上最多)、5度のシーズンMVPを獲得。
現役時代から公民権運動にも積極的に関わった。'66.米国のメジャースポーツ界で初の黒人ヘッドコーチに就任。背番号「6」はNBA唯一の全チーム共通の永久欠番となった。

ラリー・バード: 米国のバスケ選手。80sに活躍したSFで、ボストン・セルティックスを3度の全米一に導き、3度のシーズンMVPを獲得。'12年までTwitterのアイコンとして使われていた鳥の名前として、彼の名が採られていた。

八村塁: 日本のバスケ選手。ロサンゼルス・レイカーズのフォワード。父はベナン人。'19.NBAドラフトで1巡目指名(日本人初)、ワシントン・ウィザーズ入団。

馬場雄大(-ゆうだい): 日本のバスケ選手。SG/SF。'19年からNBAを目指し、NBAの2軍リーグや豪州のリーグでプレーする。

Wリーグ: 日本の女子バスケットボールの実業団トップリーグ。

ポートボール: バスケットボールに似た日本発祥のスポーツ。台の上に乗った「ゴールマン」にボールを渡すことで点数が入る。

サッカーアソシエーション式フットボール蹴球): イングランド発祥のチーム球技。1チーム11人でプレーする。試合時間は前後半各45分、ハーフタイムは最大15分。
土地とボール1個があれば大人数でプレーできるため、世界で最も人気があるスポーツで、200以上の国と地域に協会がある。
サッカー(soccer)はassociationを略した「soc」に接尾辞「-er」を付けた名称で、「協会式のフットボール」であることを明示する。但しほとんどの国では単にフットボールと呼び、サッカーと呼ぶのは日本、米国、豪州等ごく少数の国。
イングランドではルール統一の遥か前からフットボールが人気で、殺人を除くあらゆる手段で戦われ、その熱狂は死者を出すことすらあった。14-19cにかけて、記録に残っているだけで42回もの禁止令が出された。
1863.フットボール協会(The FA)設立。手の使用を全面的に禁じたケンブリッジ大学のルールを元に公式ルールを定め、サッカーの歴史が始まった。

少年サッカー: U-12世代(12歳以下)のサッカー。日本では'11年以来、各種大会を8人制で行う。ボールやゴールのサイズは11人制より小さく、コートサイズは半分、試合時間は半分以下。交代の自由度も高い。

ゴールキーパーGK): サッカーのポジション。自陣のゴール前でゴールを守るのが主な役割で、11人の中で1人だけ、ペナルティエリア内ならば手でボールを扱える(保持時間は6秒以内)。

リベロ: 攻めにも積極的に関わるCBのこと。「自由」を意味するイタリア語。

ボランチ: 日本やブラジルでDMFを指す言葉。

ピボーテ: DMF・CMFのこと。「軸」を意味するスペイン語。

オフサイド・ディレイ: サッカーで、オフサイドかどうかはっきりしない場面で一旦プレーを続けさせること。判定ミスでゴール機会が失われないようにするためで、VAR導入以降に一般化した。

ストライキング: サッカーの反則で、相手選手を殴ったり、殴ろうとする素振りを見せたりすること。

バイタルエリア: サッカーのフィールドで、得点機が起きやすい、ペナルティアーク周辺の相手DFラインとMFの間のスペースのこと。

クロスセンタリング): サッカーで、サイドから相手ゴール前を狙って出すパスのこと。

オーバーラップ: サッカーの動きで、守備側の選手がボールを持った選手を外側から追い越して攻撃に参加すること。

ゲーゲンプレス(カウンタープレス): サッカーで、相手にボールを奪われた瞬間に、激しくボールを奪い返しにいく守備戦術。相手にビルドアップの余裕を与えず、ボールを奪い返せばショートカウンターを仕掛ける。
この戦術をとる場合、一般にハイプレス、ハイラインを用いる時間帯が長くなる。チーム全体に高い運動量と連携が必要。
'08-15年にドルトムントの監督を務めたユルゲン・クロップが広め、現代サッカーの潮流の1つとなっている。日向坂46・影山優佳のキャッチフレーズは「あなたのハートにゲーゲンプレス」。

エラシコ: サッカーで、アウトサイドキックの後すぐにインサイドキックに切り返す、フェイントのテクニック。

クラシコ: サッカーの「伝統の一戦」を意味するスペイン語。エル・クラシコ(レアル・マドリード×FCバルセロナ)、多摩川クラシコ(川崎フロンターレ×FC東京)等が有名。

サッカーナイジェリア代表: 五輪で3度メダルを獲得したアフリカ屈指の強豪。ユニフォームカラーは国旗と同じ緑と白。'96.アトランタ五輪でU23代表が金メダル(アフリカのチームで初)。

サッカーカメルーン代表: 「不屈のライオン」。W杯出場8回はCAF最多。ユニフォームカラーは国旗と同じ緑・赤・黄の組合せ。'00.シドニー五輪でエムボマ(OA)やエトーを擁するU23代表が金メダル。

マイアミの奇跡: '96アトランタ五輪で、サッカー日本代表がブラジル代表を1-0で下した試合。

2010 FIFAワールドカップ アジア5次予選: バーレーン代表とサウジアラビア代表が、オセアニア予選勝者との大陸間プレーオフへの出場権を争った予選。2009/9/9の第二試合は、後半アディショナルタイムにサウジが得点→更にバーレーンが得点という劇アツ展開で、バーレーンが出場権獲得を決めた。サウジ側からは「リヤドの悲劇」と呼ばれる。
この試合は、最後の得点~試合終了後の約4分間に渡って興奮冷めやらなかった現地のアラビア語実況が、日本語の「空耳」となりニコ動で人気を博したことでも伝説化した。史上最も有名な長尺の空耳である。本家は削除されたが、YouTubeに動画が残る。
〈歯ブラシ! ゴシゴシ! ハンマー!〉〈一点入りよる! 一点入りよるカラス!〉〈マグロ切り身にして半値!〉〈すげえですねぇ!〉〈むっちゃ風邪ひいて~ん! 冷房ボタン勝手に押さないで~!〉〈もっと勝手に自分を愛したい~! もっと完璧にしたい~!〉〈みんなガチホモね~! アーッ!〉〈あんま早まんな あんままだ早まんな いやー見ないその報道は わずかな報酬は終わった後でな?〉〈何を言ってんだ! 何を言ってんだ!〉〈村から外れてるよ? あの人?〉〈蟹 油 勝利〉〈あn あn あn… 姉のサトリアーニ〉〈ブロッコリーまだかな?〉〈恐怖の三話! 恐怖のヘルプ? 恐怖の和田! 恐怖の遠足!〉〈よく見てよ? 目録よく見てよ? むっちゃひでえな(笑) あ~残念!〉〈イラレカ。〉。
なお、バーレーン代表はその後、大陸間プレーオフでニュージーランドに敗れ、惜しくも本大会出場を逃す。〈あんま早まんな〉はその未来を暗示していたのかもしれない。

サンフレッチェ広島: J1のクラブ。オリジナル10の一角で、前身はマツダのサッカー部。クラブカラーは紫、本拠地はエディオンスタジアム広島。
クラブ名は広島の戦国大名・毛利家の「三本の矢」に由来し、日本語の「3」と、矢を意味するイタリア語「フレッチェ」を組み合わせた。

大宮アルディージャ: J3のクラブ。前身はNTTのサッカー部。クラブカラーはオレンジと紺、本拠地はNACK5スタジアム大宮。クラブ名はリスを意味するスペイン語で、マスコットはリスがモチーフ。

UEFAチャンピオンズリーグ(UCL、CL): UEFAが毎シーズン行う、クラブチームによる選手権大会。欧州各国リーグから、前年度の上位クラブやカップ戦優勝クラブが出場する。世界一レベルの高いサッカー大会と見なされ、世界中に視聴者がいる。
優勝カップは通称「ビッグイヤー」(取っ手が耳のような形をしているため)。'55/56.初回開催。最多優勝クラブはレアル・マドリード(14回)。

ボルシア・ドルトムント(ドルトムント): ドイツ・ドルトムントのサッカークラブ。クラブカラーは黄と黒。シャルケとの試合はルールダービーと呼ばれる。「ボルシア」は「プロイセンの」を意味する。
クロップ監督期の'10/11、'11/12年にブンデスリーガで連続優勝。当時の主力にレヴァンドフスキ、香川真司ら。

レアル・ソシエダ(ラ・レアル): スペイン・バスク州東部(フランスとの国境近く)のサッカークラブ。'22/23年から久保建英が加入し、リーガ1部で上位を争っている。

マンチェスター・ユナイテッドFC(マンU): イングランドのサッカークラブ。クラブカラーは赤・白・黒、本拠地はオールド・トラッフォード
プレミアリーグ優勝回数13回は歴代最多('23現在)。その全てが、ファーガソンの長期政権期間中('85-'13)のもの。

アーセナルFC: イングランド・ロンドンのサッカークラブ。愛称はガナーズ、ファンの愛称はグーナー、クラブカラーは赤と白、本拠地はエミレーツ・スタジアム。
トッテナムとの試合はノースロンドンダービー、チェルシーとの試合はビッグロンドンダービーと呼ばれる。ヴェンゲル監督期の90s後半~00sに黄金期を築き、'03/04年には歴史的な無敗優勝を果たした。当時の主力にアンリ、コロ・トゥーレら。

149-0: '02年に行われた、マダガスカル・サッカーリーグの消化試合のスコア。前の試合の終盤で疑惑のPK判定により優勝を逃したチームの監督が、この試合を主審への抗議の機会と捉え、ひたすらオウンゴールを繰り返すよう自軍に命じた。
結局、いかなる理由でもこのような非紳士的な振る舞いは許されないと判断され、監督は3年間の活動禁止処分となった。

サントスFC: ブラジル・サンパウロ近郊のサッカークラブ。パルメイラス、コリンチャンス、サンパウロFCと共に「サンパウロBIG4」と呼ばれる。ペレ、三浦知良、ネイマールらが在籍した。

三浦知良: ポルトガル2部リーグ所属のFW。「キング・カズ」。サントスFC、読売クラブ/ヴェルディ川崎、横浜FC等に所属した。54歳でJ1出場、56歳でポルトガル2部出場等の記録をもつ。ゴールパフォーマンス「カズダンス」が有名。
日本の「サッカーどころ」と呼ばれた静岡市出身。'82.高校を1年で中退し、ブラジルに単身渡航。'86.サントスFCでプロデビュー。'90.日本に帰国し、読売クラブに入団。'93.Jリーグ初代MVP/アジア年間最優秀選手。
'97.日本代表マカオ戦で6得点(日本代表の1試合の個人得点で最多タイ)。'98.日本初のW杯メンバーから落選(〈外れるのはカズ、三浦カズ〉)。'12.フットサルW杯で日本代表入り(当時45歳)し、1得点。
兄に同じくJリーガーの三浦泰年(ヤス)。妻はモデルの三浦りさ子。ブラジル時代にグラビア雑誌で一目惚れし、友人伝手で電話番号を入手、何度も国際電話をかけ猛アタックして帰国時に会う約束を取り付け、一緒に写真を撮ったのが馴れ初め。

中山雅史ゴン): ジュビロ磐田等に所属したFW。熱血プレーや陽気なキャラクターで親しまれる。
'98.W杯フランス大会で日本代表史上初のW杯本大会での得点を記録(ジャマイカ戦。この大会唯一の日本の得点)。磐田でシーズン36得点を記録(現在もJ1記録)。
'00.日本代表ブルネイ戦で開始3分15秒でハットトリックを記録(現在も国際試合における最短ハットトリックの世界記録。試合は9-0で日本勝利)。

名波浩: ジュビロ磐田、ACヴェネツィア等に所属したMF。'98.W杯フランス大会で日本代表の10番を背負った。'14-19.ジュビロ磐田監督。'21-22.松本山雅FC監督。'23-.日本代表コーチ。

フランツ・ベッケンバウアー: 西ドイツのCB。「皇帝」。バイエルン・ミュンヘン等に所属した。'74.西ドイツ主将としてW杯優勝。名言〈強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ〉。

アーセン・ヴェンゲル: フランスのサッカー選手・指導者。'95-96.名古屋グランパスエイト監督。'96-'18.アーセナルFC監督。
Jリーグでは元々弱小だった名古屋を天皇杯優勝に導いた。アーセナルでは90s後半~00sに黄金期を築き、プレミアリーグ初の外国人の優勝監督となった他、'03/04年には歴史的な無敗優勝を果たした。

カルロ・アンチェロッティ: イタリアのサッカー選手・指導者。'21-22.レアル・マドリードを率いラ・リーガ優勝。史上初めて五大リーグ全てを制した監督となった。

ディエゴ・マラドーナ: アルゼンチンのFW/MF。SSCナポリ等に所属した。'86.W杯メキシコ大会MVP。同大会の準々決勝・イングランド戦の「神の手」ゴールと「5人抜き」ドリブルは、マラドーナを象徴するプレーとして語り継がれる。

ゲーリー・リネカー: イングランドのFW。'86.W杯メキシコ大会得点王。'92-94.Jリーグ創成期の名古屋グランパスでプレー。

朴智星(パク・チソン): 韓国のMF。京都パープルサンガ、マンチェスター・ユナイテッド等に所属した。ビッグゲームに強く、W杯等で多くの得点を決めた。'07-08.マンUのCL優勝に貢献し、アジア人として初めてCLのトロフィーを獲得。

カリム・ベンゼマ: フランスのFW。アル・イテハド所属。'09-23.レアル・マドリードに所属(通算得点はC・ロナウドに次ぎクラブ史上2位)。'21-22.ラ・リーガとCLの得点王に(共に優勝)。

ヤゴ・ピカチュウ: ブラジル出身のDF(超攻撃的SB)。清水エスパルス所属。身体が小さくすばしっこい動きから、ポケモンの名前がニックネームとなった。

WEリーグ: 日本の女子プロサッカーリーグ。'21.設立。秋春制。「WE」は「Women Empowerment」の略。

丸山桂里奈: 元なでしこジャパンFW。引退後はタレントとして活動する。夫は本並健治。

ゴレイロ: フットサルのゴールキーパーのこと。ポルトガル語。

ラグビー: 楕円形のラグビーボールを使うチーム球技。19c.イングランド中部の私立学校・ラグビー校で発祥。フットボールの派生の1つであり「ラグビー校式フットボール」を意味する。
正確にはラグビーユニオンとラグビーリーグの2競技の総称だが、日本では普通、ラグビーといえばラグビーユニオンを指す。各カテゴリでメインシーズンは冬の場合が多く、俳句でも冬の季語。

ラグビーユニオン闘球): ラグビーの1種(日本では普通、ラグビーといえばラグビーユニオン)。1チーム15人でプレーする。7人制の変種(セブンズ)もある。試合時間は前後半各40分。
世界ランキング上位国は南アフリカ、ニュージーランド、豪州、フランス、イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、アルゼンチン等。日本、フィジー、サモア、トンガ等が続く。

ラグビーリーグ: ラグビーの1種。1チーム13人でプレーする。ラックやモール等の密集状態を排除し、ゲームを流動的にさせている。豪州やパプアニューギニアで人気がある。

ドロップゴール: ラグビーで、プレーの継続中に地面にバウンドさせたボールをキックし、クロスバーの上かつゴールポストの間を通過させること。得点は3点

スクラム: ラグビーで、軽い反則後のプレー再開時に行う、両チームのフォワードが相対してボールをその間に投げ込めるような体勢で組み合うこと。

モール: ラグビーで、ボールを持った選手の周りを両チームの選手各1名以上が密集して囲むプレー。

ノックオン: ラグビーの反則で、ボールを前方に落とすこと。

プロップ: ラグビーのポジション。最前列の左右に1人ずつ。フッカーと共に「フロントロー」を構成する。相手チームを直接押す「スクラムの職人」で、最もパワーや体格が重視される。

シックス・ネーションズ: 欧州の強豪6ヶ国(イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリア)の代表チームが争うラグビー大会。毎年2-3月に総当たりで行う。

トヨタヴェルブリッツ: LEAGUE ONEのチーム。母体はトヨタ自動車、本拠地は豊田市、名古屋市。

慶應義塾體育会蹴球部: 慶應義塾大学のラグビー部。ジャージが黒黄の縞で、愛称は「タイガー軍団」。日本人による史上初のラグビーチームで、部の歴史は1899年に遡る。

ペナルティ・フラッグ: アメフトやラクロスで、反則があった時に審判が発生場所に投げ込む黄色い旗。

罰退: アメフトで、反則をしたチームが反則内容に応じて陣地を下げられるペナルティのこと。

クリスマスボウル: 全国高校アメリカンフットボール選手権大会の決勝戦の通称。関東・関西各大会の優勝校が戦う。最多優勝校は関西学院高(兵庫)。

トム・ブレイディ: NFL・ニューイングランド・ペイトリオッツ等で活躍したQB。史上最も偉大なQBとの呼び声高い。シーズンMVP3度('07,10,17)。元妻にジゼル・ブンチェンがいる。

パトリック・マホームズ: NFL・カンザスシティ・チーフスのQB。'20.北米スポーツ史上初の5億ドル越えの契約(10年契約)を結ぶ。父はMLB選手で、90sに横浜ベイスターズにも所属した。

野球(ベースボール): 19c半ばのNYで誕生した、ボール、バット、グローブ、ベース等を使うチーム球技。1チーム9人でプレーする。
北中米と南米北部(主な強豪国に米国、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、キューバ、カナダ、メキシコ、パナマ)、日本、韓国、台湾等で最も人気があるスポーツの1つ。

バックスクリーン: 野球場で、打者・捕手・球審が投手の投げる球を見やすいように中堅後方に設置する、観客を入れない領域。濃い緑、濃紺、黒等で塗られている。
日本の球場では、バックスクリーンの上方にスコアボードがあることが多い(エスコンフィールドHOKKAIDO等を除く)。多目的ドームの場合、バックスクリーン部分にも座席があり、野球の試合以外ではそこも利用する場合が多い(東京ドームを除く)。

硬式球(硬球): 硬式野球のボール。コルクやゴムの芯に糸を巻き付け、牛革で覆い、赤い糸で縫い合わせる。108個(煩悩の数)の縫い目がある。

マスコットバット: 素振り練習用の、試合用よりも重く作られたバット。

イニング): 野球で、両チームが攻撃ターンと守備ターンを終える間。通常、試合は9回制で行う(少年野球では7回制も一般的)。
ごく初期の野球は21点先取制で回数規定がなかったが、試合後の料理を請け負うシェフらの〈試合終了の目処が分からなければ料理を用意できない〉という意見で、9回制になった。

ラッキーセブン: 野球で、7回には得点が入りやすいという言説。又は7回の攻撃前に行われるセレモニー。MLBでは7回表と裏の間に休憩時間があり、「私を野球に連れてって」をスタジアム全体で歌う。
NPBでは、7回表と裏の間に本拠地球団のチーム応援歌を流し、ジェット風船を飛ばしたり、神宮球場なら「東京音頭」に合わせて傘を振ったりして盛り上がる。

ルーズベルトゲーム: 8-7で決着する野球の試合。フランクリン・ルーズベルトが「一番面白い野球のスコアは8-7」と言ったことから。

右翼手ライト、RF): 野球の守備位置で、本塁から見て右側の外野手。守備番号は9
ライト前ヒットによる一塁走者の三塁進塁や、ライトフライによる二塁走者のタッチアップを防ぐため、外野手の中で最も強肩な選手が務めることが多い。代表的な選手にイチローがいる。
但し、草野球や少年野球では、左打者や流し打ちで外野に飛ばせる右打者が少なく、守備機会がそもそも少ないため、最も下手な選手が就くことが多い。ライパチ(守備位置がライトで打順が8番)という、下手な選手を指す俗語もある。

フォースプレー: 野球で、走者が進塁しようとしているベースを、守備の選手が先に球を持ったまま踏んだり触れたりすることで、アウトを取るプレー。進塁義務が発生した走者に対してのみ成立する。

タッチプレー: 野球で、ベースから足が離れている走者に、守備の選手が球を持っている手でタッチしてアウトを取るプレー。進塁義務がない走者のアウトを取るには、守備の選手はタッチプレーを行わなければいけない。
例えば、走者一・三塁で打者がゴロを打った時、一塁走者は打者に押し出される形で進塁義務があるが三塁走者にはないので、一塁走者のアウトを取るには二塁に投げるだけで良い(フォースプレー)が、三塁走者のアウトを取るにはタッチプレーが必要。

タッチアップ: 野球で、打者がフライアウトになっても塁上の走者が進塁すること。塁上の走者は、守備側がフライを捕る(グローブや身体で触れる)瞬間に帰塁していれば、次の瞬間から再び走り始めてタッチアップを狙うことができる。

アピールプレー: 野球で、走者のベース踏み忘れや、フライ捕球時の帰塁義務違反に対し、守備側が指摘して審判に認めさせ、アウトを取る行為。
なお、フライ捕球時に大きく離塁していた走者が帰塁する場合、走者が帰塁しようとしているベースを、守備の選手が先に球を持ったまま踏んだり触れたりすると、アウトとなるが、これはルール上、フォースアウトではなくアピールアウトとなる(第3アウト時、この分類はタイムプレーが成立するかどうかに関係してくる)。

タイムプレー: 野球で、走者のホームインと、別の走者の第3アウトの、どちらが早かったかを審判が判定すべき状況のこと。タイムプレーにおいては、ホームインの方が早ければ得点が成立する。
ルール上、第3アウトの内容が、打者の一塁アウト(一塁到達前のアウト)である場合や、フォースアウトである場合は、第3アウト成立直前にホームインした走者がいても無得点となり、タイムプレーは生じない。
タイムプレーのシチュエーション(第3アウト成立直前のホームインが得点として認められる状況)は、打者が一塁を踏んでから一・二塁間でタッチアウトになる場合等、幾つかのパターンに限られる。

コリジョンルール: 野球で、本塁での衝突(コリジョン)を防ぐルール。捕手が球を持っていない状態で本塁を塞いだ場合は走塁妨害と見なし走者をセーフに、走者が捕手にあえて衝突しようとした場合は走者をアウトにするもの。
MLB、NPB共に10s半ばに導入。本塁付近のクロスプレーに伴う負傷が減り、小柄な捕手が活躍しやすくなった。

インフィールドフライ: 野球で、「無死又は一死」かつ「走者一・二塁又は満塁」の時にフェアゾーンに打ち上げられたフライで、内野手が普通に守備すれば容易く捕球できると審判が判断したもの。
審判がインフィールドフライを宣告すると、その時点で打者はアウトとなる。内野手がわざと落球し、一・二塁走者の進塁義務を発生させ併殺をとるプレーを防ぐルールである。

セーフティバント: 安打になることを狙って行うバント。

バスター: 野球で、バントの構えで打席に立ち、投球動作が始まってからヒッティングに切り替えること。
'21.パ・リーグCS最終戦の9回裏、オリックス(中嶋聡監督)は相手(ロッテ)のバントシフトの裏をかく形で2連続バスターに成功。「サヨナラ引き分け」で日本シリーズ進出を決めた。

バットフリップ(バット投げ): 野球で、HRを確信した打者がバットを華麗に放り投げること。MLBでは余りに派手なものは敬意を欠くとされ、報復の対象になることがある。

盗塁(スチール、SB): 野球の進塁方法で、安打、刺殺、失策、封殺、野手選択、捕逸、暴投、ボーク以外の方法で進塁すること。投手の打者に対する投球動作中にスタートするものが一般的。
プロ野球では投手がクイックで投げ、捕手が捕って盗塁を刺すために二塁に送球し、二塁手が捕るまでの流れが概ね3秒台で行われるため、この間にリードをとった状態から次塁に到達できる俊足な選手が行うことが多い。

ディレードスチール: 野球で、捕手の返球時の隙等、投手の投球動作以外のタイミングで行う盗塁のこと。

グリーンライト: 野球で、監督が走者に対し、自分の判断でいつ盗塁してもよいと認めること。信号機に喩えた表現。

ボーク: 塁上に走者がいる時の、投手の反則の総称。ボークが行われた場合、全走者に各1個の進塁が許される。ワインドアップの姿勢からセットポジションに移ったり、ストレッチ動作に移ったりすること等がある。

ウエストボール: 打者を打ち取るため、故意に投げるボール球のこと。「無駄にする」を意味する英語から。

スライダー: 変化球の1つ。リリース時にボールの外側を切るように投げることで、利き腕と反対方向に曲がる。プロ野球で最もよく投げられる変化球。カーブはリリース後、自然に曲がっていくのに対し、スライダーはある一点で急速に曲がる。

スプリット・フィンガー・ファストボールSFF): 変化球の1つ。直球と似た軌道と球速で、縦に小さく落ちる。

クロスファイヤー: 左投手が右打者の内角を鋭くえぐる投球。バドミントンでも、左利きの選手のカットスマッシュを「クロスファイア」と呼ぶ。

BABIP(インプレー打率): 野球の成績評価項目の1つ。HRを除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になる割合を示し、「(安打-HR)÷(打数-HR-三振-犠飛)」で計算する。
俊足打者はBABIPが高くなりやすい。投手の被BABIPにも傾向があるが、投手の能力以上に野手の守備力の影響を強く受ける。いずれにせよ、HR・三振を含む打率・被打率に比べると大きな実力差は出ず、偶然性の影響も強い。
そのため、ある時点の打率が低い原因が、三振の多さよりもBABIPの低さにある場合、「今はツキが無いが、いずれ良くなる」と判断できる余地がある。

ボーンヘッド: 野球で、判断を誤ったまずいプレーの総称。「間抜け」を意味する英語。

トミー・ジョン手術: 損傷した肘の腱や靱帯を切除し、他の部位の正常な腱を一部摘出し移植する手術。野球の投手が受けることが多く、通常、実戦復帰には術後1年、故障前と同レベルの投球に回復するには1年半ほど必要。
'74.整形外科医フランク・ジョーブ(『パワプロ』シリーズのダイジョーブ博士の元ネタ)が考案。初めて手術を受けた投手はトミー・ジョン。

ペナントレース: NPBのレギュラーシーズンの俗称。三角形の優勝旗をペナントと呼ぶことから。近年は3月末~10月初めの日程で、各球団が143試合を戦う。

カード: 同じ相手との連戦。NPBのペナントレースでは3連戦が多く、火~木曜で1カード、金~日曜で1カードを戦い、月曜は休みというパターンが多い。

ビールかけ: 祝勝会で選手やスタッフが互いにビールをかけ合うイベント。海外の「シャンパンファイト」に倣い、NPBでリーグ優勝や日本シリーズ優勝した球団が'59年から行っている。

読売ジャイアンツ(読売巨人軍、巨人): セ・リーグの球団。'23現在、監督は原辰徳。本拠地は東京ドーム。練習場と二軍本拠地は川崎市・よみうりランドにある。
1934.大日本東京野球倶楽部として発足(日本における現存最古のプロスポーツチーム)。'36.NPB発足に伴い東京巨人軍となる。'47.読売新聞社傘下となり東京読売巨人軍となる。'65-73.V9達成。
NPB発足から一貫して平均順位の高い「常勝球団」で、47回ものリーグ優勝、22回もの日本一を達成している('23現在)。読売傘下であるため日テレ系列のTV中継にも恵まれ、全国区の人気を誇ってきた。
チームカラーはオレンジと黒。ロゴは「Y」と「G」を組み合わせたもの。現在のエンブレムには、中央の「G」の左右に球団創設年の「1934」が配置されている。
永久欠番は1(王貞治)、3(長嶋茂雄)、4(黒沢俊夫)、14(沢村栄治)、16(川上哲治)、34(金田正一)。

東京ヤクルトスワローズ: セ・リーグの球団。'23現在、GMは小川淳司、監督は高津臣吾。練習場と二軍本拠地は埼玉県戸田市にあるが、施設拡張のため、'27年に茨城県守谷市へ移転することが決まっている。
'50.国鉄スワローズとして発足。'66.フジサンケイGへの譲渡でサンケイアトムズとなる(球団マークにフジテレビが放送していた鉄腕アトムを使った)。'70.ヤクルトアトムズとなる。'74.ヤクルトスワローズとなる。
球団創設後40年でAクラスが僅か5回という弱小球団だったが、野村克也監督時代('90-98)にリーグ優勝4回・日本一3回と黄金期を築いた。'21-22.高津監督の下、野村時代以来のリーグ連覇。

明治神宮野球場神宮球場): 新宿区・明治神宮外苑にある野球場。宗教法人明治神宮の所有。1926年の開場以来、大学野球の主要球場で、'64年から国鉄スワローズ(現・東京ヤクルトスワローズ)の本拠地としても使われる。
収容人数は約3万人。グラウンドは人工芝。両翼が短くフェンスが低いためHRが入りやすい。ヤクルト戦、東京六大学野球、東都大学野球1部リーグ、明治神宮野球大会、他にも様々な大会が開かれ、日本一試合が多い野球場である。
元々はアマチュア専用だったが、NPBのフランチャイズ制が未整備だったために全試合別の球場を利用した第1回日本シリーズ('50)は、第1戦を神宮球場で行った(毎日オリオンズが松竹ロビンスに勝利)。
老朽化と外苑全体の再開発に伴い、隣地(現・秩父宮ラグビー場)に新球場を建て、'32年に移転予定。

横浜DeNAベイスターズ: セ・リーグの球団。'23現在、オーナーは南場智子、監督は三浦大輔。練習場と二軍本拠地は神奈川県横須賀市・追浜公園にある。
'50.大洋漁業(現マルハニチロ)を母体に、大洋ホエールズとして山口県下関市を拠点に発足。'53.松竹ロビンスと合併。'55.川崎市・川崎球場に移転。
'78.横浜スタジアムに移転。'93.横浜ベイスターズに改称。'02.親会社がマルハからTBSに。'12.親会社がTBSからDeNAとなり、現球団名となる。
リーグ優勝、日本一共に過去2回しかなく、共に直近は'98年。不動の抑え・佐々木主浩を中心とする投手陣と、一度打ち始めると止まらない「マシンガン打線」がかみ合った。
TBS時代('02-11)は暗黒期で、10年で8回の最下位を記録。DeNAになってから成績が良化し、'17年に日本シリーズにも進出した。

デスターシャ: DeNAで定着したHRパフォーマンス('22-)。マリオカート仲間の佐野恵太、牧秀悟、桑原将志らが、マリオカートを実況するYouTubeチャンネル「サワヤンゲームズ」の挨拶〈サワヤンゲームズですたーっ。しゃっ!〉を拝借したもの。

北海道日本ハムファイターズ(日ハム): パ・リーグの球団。'23現在、GMは稲葉篤紀、監督は新庄剛志。'03年まで東京を拠点とし、現在も二軍本拠地は千葉県鎌ヶ谷市・ファイターズタウンに構える。
'46.セネタースとして発足。'47.東急フライヤーズとなる。'54.東映フライヤーズとなる。'74.日本ハムファイターズとなる。'04.北海道に移転し北海道日本ハムファイターズとなる。
東京時代は後楽園球場→東京ドームを本拠地として巨人と共有したが、巨人とは人気面で凄まじい格差があった。北海道に移転し地域密着に成功、パ・リーグ人気自体も上がって観客数が増加した。'04-22年の本拠地は札幌ドーム
東京時代のリーグ優勝は僅か2回だったが、北海道移転後、ヒルマン→梨田→栗山監督の下で5回の優勝('06,07,09,12,16)。'06年と、大谷翔平がエース兼主砲として最高の成績を残した'16年は、日本一に輝いた。
永久欠番は100(初代オーナー・大社義規)。準永久欠番に11(ダルビッシュ有&大谷翔平)等。

きつねダンス: 日本ハムのチアリーディングチーム「ファイターズガール」がホームゲームのイニング間に、ノルウェーの楽曲「The Fox」に合わせて踊るチアダンス。'22年に登場しブームとなった。

別当薫: 毎日オリオンズ等に所属した外野手。'50.NPB初のトリプルスリー達成(岩本義行と同時)。監督としてもNPB4球団で1200勝以上を挙げた。

別所毅彦: 南海、巨人に所属した投手。「鬼軍曹」。'47.シーズン47完投(NPB記録)で第1回沢村賞受賞。

大下弘: 東急等に所属した外野手。使用バットの色から「青バット」と呼ばれた他、ぽんぽんとHRを打ち上げたため「ぽんちゃん」とも。

杉下茂: 中日等に所属した投手。「フォークの神様」。沢村賞3回('51-52,54)(史上最多タイ、初の3度受賞者)。

吉田義男: 阪神に所属した遊撃手。守備の名手。愛称は「よっさん」「牛若丸」。ベストナイン9回(遊撃では史上最多)、盗塁王2回('54,56)。'85.監督として阪神を38年ぶりのリーグ優勝・日本一に導く。'90-95.野球フランス代表監督。

長嶋茂雄: 巨人に所属した三塁手。「ミスタープロ野球」。右打。千葉県(現・佐倉市)、立教大出身。子に長嶋一茂、長島三奈がいる。
立教大時代も六大学野球のスターだったが、ルーキーイヤー以来、長嶋の活躍でプロ野球と巨人の「国民的人気」は確立したとされる。5学年下の王貞治との並び(主に3番・王、4番・長嶋)は「ON砲」として知られた。
MVP5回は王に次ぎ、野村克也と並ぶ歴代2位。首位打者6回はセ・リーグ記録、右打者としてのNPB記録。通算HR数は444本
'58.新人にしてHR・打点の二冠王に輝く。'59.「天覧試合」で同点の9回裏に阪神・村山実からサヨナラHRを放つ。'65-73.V9達成。'74.引退試合で〈我が巨人軍は永久に不滅です〉とスピーチ。
'75-80.巨人監督。'93-01.再び巨人監督。'04.アテネ五輪日本代表監督だったが、開催前に脳梗塞で入院。現地では中畑清が代行を務めた。

ジーン・バッキー: 阪神等に所属した投手。'64.外国人初の沢村賞受賞。

王貞治: 巨人に所属した一塁手。左打。墨田区、早稲田実業高出身。中華民国籍(父が中国出身)。通算HR数(868本)の世界記録保持者。
HRに加え、得点・打点・四球・出塁率・長打率・OPSの通算記録でNPB歴代1位(通算OPSは1.080)。MVP9回も歴代1位。5学年上の長嶋茂雄との並び(主に3番・王、4番・長嶋)は「ON砲」として知られた。背番号「1」は巨人の永久欠番。
'45.4歳で東京大空襲を経験。'57.春の甲子園で優勝投手に。夏の甲子園でノーヒットノーランを記録(延長戦でのノーノーは'24現在も史上唯一の記録)。
'62.プロ4年目にして荒川博コーチと「一本足打法(フラミンゴ打法)」を完成させ、初のHR王・打点王を獲得。この年から引退年まで19年連続30HRを記録している。
'64.HR55本を記録('13年にバレンティンが破るまで長くNPB記録だった)。'65-73.V9達成。'74.四球158、OPS1.293等のキャリアハイ達成(いずれもNPB記録)、2年連続三冠王獲得。
'77.通算HR数の世界記録を更新、国民栄誉賞の第1号受賞者となる。外国籍の王を讃えるために作られた賞だが、なぜか現在に至るまで唯一の外国籍受賞者となっている。
'84-88.巨人監督。'94-08.ダイエー/ソフトバンク監督。'06.第1回WBCで日本代表監督として世界一達成。現・ソフトバンク球団会長、終身GM。

八木沢荘六(-そうろく): ロッテに所属した投手。'73.完全試合達成。

外木場義郎(そとこばよしろう): 広島に所属した投手。2リーグ制のNPBでノーヒットノーランを3回(うち1回は完全試合)達成した唯一の投手。'75.エースとして球団初のリーグ優勝に貢献。

鈴木啓示(-けいし): 近鉄に所属した投手。左投。通算78無四球試合はNPB記録。'67-72.6年連続最多奪三振(パ・リーグ記録。セ・リーグ記録は全く同じ期間に6年連続を達成した江夏豊)。

平松政次(-まさじ): 大洋に所属した投手。「カミソリシュート」を武器に200勝を達成した。'70-71.2年連続最多勝。

中畑清: 巨人に所属した一塁手。口癖は「絶好調!」。'85-89.労組日本プロ野球選手会初代会長。'04.アテネ五輪日本代表監督代行。'12-15.DeNA初代監督。

篠塚和典(篠塚利夫): 巨人に所属した二塁手。首位打者2回('84,'87)。'74.銚子商業高の4番打者として夏の甲子園優勝。プロを意識して金属バットを使わず、木のバットで2HRを記録。

岡田彰布(-あきのぶ): 阪神、オリックスに所属した内野手。大阪市、早大出身。味の素「どんでん」(うどんおでんだし)のCMの印象から、ネットでは「どんでん」と呼ばれる。
'85.バース・掛布に続きバックスクリーン3連発の締めを打つ等、阪神初の日本一に貢献。'04-08.阪神監督。落合中日・原巨人との3強時代を創出した。'10-12.オリックス監督。

山本和範カズ山本): 南海/ダイエー等に所属した外野手。初めて戦力外通告から億プレーヤーに上り詰めた選手。

津田恒実: 広島に所属した投手。「炎のストッパー」。速球を武器に通算90S。現役中に脳腫瘍で入院し、復帰することなく死去。

槙原寛己(-ひろみ): 巨人に所属した投手。「ミスターパーフェクト」。斎藤雅樹、桑田真澄と共に90sの巨人の先発3本柱の1人。
高校時代は同期の工藤公康らと共に愛知三羽烏と呼ばれた。'85.阪神のクリーンナップ(バース・掛布・岡田)に3者連続バックスクリーンHRを打たれる。'94.平成唯一の完全試合達成。

八木裕(-ひろし): 阪神に所属した内野手。「代打の神様」。'92.八木の打球がサヨナラHRかエンタイトル二塁打かで抗議合戦が行われたヤクルトとの首位攻防戦が、延長15回引き分け、6時間半のロングゲームとなる(NPB史上最長の試合)。担当した塁審は自らがその年限りで責任を取って審判を辞めることと引き換えに試合再開を要請し、本当に審判を辞めてしまった。

五十嵐章人(-あきひと): ロッテ等に所属したユーティリティプレーヤー。全ポジション出場、全打順HR(規定打席到達が一度も無く、通算HR数も26と決して多くない中で達成)の両方を達成したNPB史上唯一の選手。
'00年に投手として登板したが、これは投手登録されたことがない完全な野手がパ・リーグの公式試合で登板した最後の例となっている。

新庄剛志: 阪神、ニューヨーク・メッツ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、日本ハムに所属した外野手。日本ハム監督としての愛称は「BIGBOSS」。福岡市出身。
強肩を生かした守備、意外性溢れる打撃の他、数々のパフォーマンス、言動、ファッションセンスで人気を集めたスター選手。
'01.イチローと共に日本人野手初のMLB移籍。'02.日本人初のワールドシリーズ出場。'04.日本ハム移籍。'06.球団44年ぶりの日本一を達成し余力を残して引退。'22-.日本ハム監督
NPB再編問題で揺れた'04年には、球宴史上初の単独本盗を決め、自らの予告通り球宴MVPを獲得。この時にヒーローインタビューで宣言した〈これからは、パ・リーグです〉は、再編問題以降のパ・リーグ人気上昇と共に度々振り返られる。

北川博敏: 近鉄等に所属した捕手、一塁手。'01.オリックス守護神・大久保勝信からNPB史上唯一の「代打逆転サヨナラ満塁優勝決定HR」を放ち、近鉄の優勝を決める。

イチロー: オリックス、シアトル・マリナーズ等に所属した外野手。左打。愛知県豊山町出身。本名は鈴木一朗(2人兄弟の次男だが、祖父・銀一の「一」を取った。銀一氏の孫には全員「一」が付く)。妻はアナウンサーの福島弓子。
プロ通算出場試合数3604、安打数4367は共に世界記録。NPBで首位打者7回(張本勲と並ぶ最多タイ、'94-'00年の7年連続)。MLBでは打率3割・200安打・ゴールドグラブ賞をいずれも'01-10年の10年連続で達成した。
強肩の右翼手で、日米で盗塁王に輝くほどの脚力もあり、打順は1番が多かった。背番号はヤンキース時代を除き51(ヤンキースでは31)。NPBでは振り子打法のパイオニアとして知られた(MLBでは速球に対応するため封印)。
愛工大名電高時代は投手も務めた。'92.ドラ4でオリックスに入団。'94.仰木彬新監督のもと、登録名を本名から「イチロー」に変更し大ブレイク。NPB初のシーズン200安打を達成、パ・リーグMVP獲得。
'95.阪神淡路大震災後のシーズンで、オリックスが本拠地を置いていた神戸のシンボル的存在として優勝に貢献。打点王・盗塁王の同時獲得は現在もNPB史上唯一となっている。
'01.新庄剛志と共に日本人野手初のMLB移籍。シアトル・マリナーズで首位打者・盗塁王・新人王・リーグMVPに輝き、現在もMLBタイ記録となっているシーズン116勝に貢献した。
'04.262安打を記録し、MLBのシーズン安打記録を84年ぶりに更新(現在もMLB記録)。'06.第1回WBCで日本代表として優勝。
'09.第2回WBCで日本代表として優勝。大会を通じて不調だったが、決勝・韓国戦では6打数4安打と爆発。延長10回に林昌勇からセンター前に決勝の2点適時打を放って連覇の立役者となり、インタビューで〈ほぼイキかけました〉と答えた。
'12.ニューヨーク・ヤンキースに移籍。'15.マイアミ・マーリンズに移籍。'18.マリナーズに復帰。'19.東京ドームで開催されたMLB日本開幕シリーズで引退。菊池雄星のMLBデビュー戦が引退試合となった。
引退後はマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター。オフシーズンには学生野球の指導を行っている他、友人らと立ち上げた草野球チーム「KOBE CHIBEN」で投手としてプレーする。
怪我や故障がほとんど無かった選手である。ルーティンを重視し、食生活等も毎日同じにすることで、日々の体の変化に対して敏感だったという。自らCMに出演するユンケル黄帝液を愛飲した。好物は牛タンで、神戸の牛タン専門店の常連。
名言〈小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道〉。

金村曉(かねむらさとる): 日本ハム、阪神に所属した投手。日本ハムの北海道移転('04-)前後のエース。'02-05.連続2桁勝利。
'06.あと一歩で5年連続2桁勝利が消滅した最終登板戦での降板の仕方に納得がいかず、ヒルマン監督に〈絶対に許さない。顔も見たくない〉と発言し、「絶許」というネットスラングの由来となった。

福原忍: 阪神に所属した投手。キャリア前半は先発を務め、2桁勝利3回。'14-15.2年連続で最優秀中継ぎ投手に輝く。

渡辺俊介: ロッテに所属した投手。世界一低い(地上約3cm)のリリースポイントが特徴の「ミスターサブマリン」。息子に東大野球部所属で同じくアンダースローの投手がいる。
'05.15勝でロッテを日本一に導き、里崎智也と共に最優秀バッテリー賞。'06.WBCで2先発、世界一に貢献。'20-.古巣の日本製鉄かずさマジックで監督。

福盛和男: 横浜、楽天等に所属した投手。楽天創設期の抑え投手。1年だけ海外挑戦し、MLBで4登板。

横山竜士: 広島に所属した投手。約20年間ブルペンを支えた。全盛期は30代に入った'07-10年頃で中継ぎエースとして君臨した。

篠原貴行: ダイエー/ソフトバンク、横浜に所属した投手。左投。'99.中継ぎで14勝を挙げ最高勝率のタイトルを獲得し、ダイエーの日本一に貢献。

土肥義弘(どい-): 西武、横浜に所属した投手。左投。西武では中継ぎで活躍。横浜では先発を務め、巨人キラーと呼ばれた。

川井貴志: ロッテ、楽天に所属した投手。左投。'02.小林宏之と並ぶロッテの左右のセットアッパーとして活躍。

マイケル中村: 日本ハム等に所属した投手。変則サイドスロー。MLB経験後、日本国籍をもつためドラフトでNPB入り。'06.抑え投手となり、武田久・岡島秀樹との「勝利の方程式」で日ハムの日本一に貢献。

大松尚逸(-しょういつ): ロッテ等に所属した外野手。'09.ロッテが1イニング15得点(NPB記録)を記録した広島戦で、1イニングで3打席に立ったNPB初の打者となった(うち2打席で凡打。その回の凡打は大松の2つのみ)。
翌月の日ハム戦では、9回2死からの安打で多田野数人のノーヒットノーランを阻止。相手が多田野ということもあって、なんJで「大松」は「空気を読まないキャラ」の代名詞となり、〈大松「○○○○○」〉というネット定型文が生まれた。

辻内崇伸: 巨人に所属した投手。左投。大阪桐蔭高ではエースとして、同期の平田良介と共に甲子園を沸かせた。'06.ドラ1で巨人に入団。制球難と故障に悩まされ、一軍未出場で引退。

松井雅人: 中日等に所属した捕手。10s半ばに谷繁元信、杉山翔大、大野奨太らと正捕手を争った。

武藤祐太: 中日等に所属した投手。中継ぎで活躍した。

藤岡貴裕: ロッテ等に所属した投手。左投。東洋大時代は野村祐輔、菅野智之と共に「大学BIG3」として注目された。'12.ドラ1でロッテに入団(3球団競合)。

田原誠次: 巨人に所属した投手。中継ぎで活躍した。

吉田一将: オリックスに所属した投手。'14.ドラ1で入団。主に中継ぎで活躍した。

東明大貴(とうめいだいき): オリックスに所属した投手。'14.ドラ2で入団。'15.10勝。

浦野博司: 日本ハムに所属した投手。通算18勝7S。

高木勇人(-はやと): 巨人等に所属した投手。'15.新人ながら3-4月の月間MVP受賞。

弦本悠希: 広島に所属した投手。'11.独立リーグから広島に入団。入団年のプレシーズンに綴っていたブログの内容が悪質で、球団から注意を受け閉鎖。
ブログに記した一言〈広島おもんねーわ〉は、同期入団の福井優也の発言〈もうないじゃん〉と共にネットで注目を浴びた。引退後「おもんねーわ弦本」を名乗って動画配信もしている。

大嶋匠: 日本ハムに所属した捕手。硬式野球未経験でドラフトにかかった異色の選手。中学から大学までソフトボール選手で、早大時代に公式戦で13試合連続HRを放った。

中井大介: 巨人等に所属した内野手。'09(高卒2年目).NPBにおける平成生まれ初のHRを放った。'17.巨人の球団通算1万号HRを放った(NPB初の球団通算1万号)。

藤村大介: 巨人に所属した内野手。'11(高卒4年目).盗塁王。平成生まれ初のNPBタイトルホルダー。

高濱卓也: ロッテ等に所属した内野手。横浜高で1年時からレギュラー。佐藤由規・唐川侑己・中田翔と並べ「高校四天王」と紹介するメディアもあった。'08.ドラ1(高校生ドラフト)で阪神に入団。
小林宏之のFA移籍の人的補償でロッテに移ってからは、ユーティリティプレーヤーとして起用された。弟は高濱祐仁。

チアゴ・ビエイラ: 巨人に所属した投手。ブラジル出身。'21.球速166km/hを記録(NPB史上最速)。

東克樹(あずまかつき): DeNAの投手。左投。'18.立命館大からドラ1で入団。'23.最多勝・最高勝率。

ダヤン・ビシエド: 中日の一塁手。右打。キューバから亡命した米国人。'18.平成生まれ初の首位打者に。

村上頌樹(-しょうき): 阪神の投手。'21-22.2年連続でウエスタン・リーグ最優秀防御率&最高勝率。'23.セ・リーグMVP、最優秀防御率。

加藤貴之: 日本ハムの投手。左投。千葉県南房総市、新日鐵住金かずさマジック出身。'22.NPBのシーズン最少与四球記録を72年ぶりに更新(11個)。

西川愛也(-まなや): 西武の外野手。左打。花咲徳栄高出身。'17.高3時の夏の甲子園で埼玉県勢初の優勝に貢献(決勝で3安打4打点の活躍)。高校同期に清水達也、長谷川威展がいる。

中川圭太: オリックスの外野手、一塁手、三塁手。右打。PL学園高、東洋大出身。

松本裕樹(-ゆうき): ソフトバンクの投手。'15.盛岡大附属高からドラ1で入団。

二出川延明(にでがわのぶあき): 巨人の前身・大日本東京野球倶楽部の初代背番号1で、プロ野球発足当初から60sまで審判を務めた人物。〈俺がルールブックだ〉〈気持ちが入っていないからボールだ〉〈写真が間違っている〉等の発言で知られる。

豊中球場: 現在の大阪府豊中市にあった球場。1915-.全国中等学校優勝野球大会(現在の「夏の甲子園」)の初代会場となる。跡地に「高校野球発祥の地」碑が立つ。

都市対抗野球大会: 毎年夏に東京ドームで行う社会人野球のトーナメント。1927.第1回開催。
日本にプロ野球が無い頃からMLBのフランチャイズ制に倣い、都市を代表するチームの大会として始まったため、出場チームはユニフォームの右袖に本拠地の市章を貼る等のルールが残る。
優勝旗は黒獅子旗、準優勝旗は白獅子旗。3位の2チームには黄獅子旗が贈られる。MVPは橋戸賞、敢闘賞は久慈賞。

補強選手制度: 都市対抗野球大会を特徴付けるルール。地区予選を勝ち上がった出場チームが、同地区の敗退チームから最大3人の選手をレンタルできるというもの。

旧制第一高等学校ベースボール部: 日本野球の草創期を主導したチーム。1871.東京開成学校予科(後の一高)の英語教師ホーレス・ウィルソンが学生に「ベースボール」を教えたことで、日本に野球が伝来。
1880s.野球用語の訳語を多数考案した正岡子規が捕手として所属。1894.卒業生の中馬庚(ちゅうまかのえ)が部誌でベースボールそのものの訳語「野球」を提唱。1896.エース・青井鉞男(えつお)を擁し、横浜外人クラブや米軍選抜に大勝。

山口智久: アマチュア野球・国際野球の審判。東京六大学や甲子園で審判を務め、大声量で選手を鼓舞する姿が話題となる。

サイレント・トリートメント: MLBで初HRを打った選手等に対し、チームメイトがわざと無関心を装い、サプライズとして後から祝福する文化。

フェンウェイ・パーク: ボストン・レッドソックスの本拠地球場。フィールドの形がかなり独特。特に左中間は浅く直線的なため、グリーン・モンスターと呼ばれる巨大なフェンスを設置している。
それでも他球場ならフライアウトになる打球がグリーンモンスターに当たってヒットになるため、右打者にはやや有利な球場である。1912.開場(現役のMLB球団本拠地で最古)。

タンパベイ・レイズ(TB): ア・リーグ東地区の球団。本拠地トロピカーナ・フィールドは、MLBで現在唯一の密閉型ドーム球場。

デトロイト・タイガース(DET): ア・リーグ中地区の球団。20c初期にはタイ・カッブを擁した古豪で、阪神タイガースのチーム名もDETに由来している(工業都市繋がり)。

ミニッツメイド・パーク: ヒューストン・アストロズの本拠地球場。ホームチームの選手がHRを打つと、スタンドの機関車が汽笛を鳴らして走る。

シアトル・マリナーズ(SEA): ア・リーグ西地区の球団。MLB30球団で唯一、一度もワールドシリーズに進出していない。一方で、'01年のシーズン116勝は、MLB史上最多勝利タイ記録(当時のリーグMVPは加入初年度のイチロー)。
かつて任天堂が筆頭オーナーを務め、イチローをはじめ多くの日本人が所属した、日本との関わりが深い球団。

ニューヨーク・メッツ(NYM): ナ・リーグ東地区の球団。ニューヨーク・ヤンキースとの試合は「サブウェイ・シリーズ」と呼ぶ。

リグレー・フィールド: シカゴ・カブスの本拠地球場。蔦に覆われた外野フェンスが特徴。

クアーズ・フィールド: コロラド・ロッキーズの本拠地球場。高地にあるためボールがよく飛ぶ「打者天国」。'96.野茂英雄が1度目のノーヒットノーランを達成。'24現在も同球場で唯一のノーヒットノーランとなっている。

ブラックソックス事件(1919): シカゴ・ホワイトソックスの選手達がワールドシリーズで行った八百長敗退事件。球団がケチで年俸が低かったことが背景にある。MLBは事件を厳しく罰した判事をトップに迎え、この時コミッショナー制度が生まれた。

サイ・ヤング: 19c末-20c初頭のMLBで通算511勝316敗(共にMLB史上最多)を挙げた投手。ニックネームの「サイ」はサイクロンの略。サイヤング賞に名を残す。

タイ・カッブ: デトロイト・タイガース等に所属した外野手。通算打率.367、首位打者12回(1907-15,17-19)はMLB記録。
プロ意識が高く、選手の権利を最初に訴えた選手である一方、敵も多く作り、「最高の技術と最低の人格の持ち主」と評されたり、メディアではベーブ・ルース(ヒーロー)に対するヒールとして描かれることが多かった。

ジョー・ディマジオ: ニューヨーク・ヤンキースに所属した外野手。戦前・戦後に渡りシーズンMVPを3回受賞。元妻にマリリン・モンロー。

ピート・グレイ: マイナーリーグで活躍し、'45年にMLBでもプレーした隻腕(右腕が無い)の外野手。「片腕の奇跡」。

ジャッキー・ロビンソン: ブルックリン・ドジャース(現LAD)に所属した二塁手。黒人を排除していたMLBで20c初の黒人選手となった。'47.4.15.MLBデビュー。'49.ナ・リーグMVP。
引退後、公民権運動に積極的に参加。背番号「42」はMLB唯一の全チーム共通の永久欠番となっており、ジャッキー・ロビンソン・デー(4/15)には全選手が42番を付けてプレーする。

ドン・ニューカム(ニューク): ブルックリン・ドジャース(現LAD)等に所属した投手、外野手。'56.第1回サイヤング賞を受賞。'62.中日で外野手「ニューク」としてプレー。

ウィリー・メイズ: サンフランシスコ・ジャイアンツ等に所属した外野手。MVP2回、HR王4回、盗塁王4回。「全てを兼ね備えた選手」「史上最高の中堅手」等と評価される。
'54.初のリーグMVP獲得。同年のワールドシリーズで「ザ・キャッチ」として語り継がれる伝説的ファインプレーを残した。

リッキー・ヘンダーソン: オークランド・アスレチックス等に所属した外野手。'79-'03年にかけて、MLB史上断トツの通算1406盗塁を記録(100盗塁以上3回、50盗塁以上13回、30盗塁以上21回)。

カル・リプケン: ボルティモア・オリオールズに所属した遊撃手。'82-'98年まで2632試合連続出場(衣笠祥雄の記録を更新し、プロ野球選手としての世界記録)。

マーカス・ストローマン: ニューヨーク・ヤンキースの投手。'17.WBC米国代表としてプエルトリコとの決勝戦で先発、勝利投手となり大会MVPに。'23.WBCにプエルトリコ代表で出場。

フアン・ソト: ニューヨーク・ヤンキースの外野手。ドミニカ出身。'20-21.2年連続でナ・リーグ最高出塁率。

クレイグ・キンブレル: ボルティモア・オリオールズの投手。'11-14.アトランタ・ブレーブスに所属し4年連続最多セーブ。

ジャスティン・バーランダー: ヒューストン・アストロズの投手。サイヤング賞3回('11,19,22)。妻はモデルのケイト・アプトン。

エドウィン・ディアス: ニューヨーク・メッツの投手。'22.救援投手として史上初めて総額1億ドル超の契約を結ぶ。
'23.WBCにプエルトリコ代表で出場。決勝トーナメント進出を賭けたドミニカ戦で完璧なセーブを記録するが、直後の歓喜の輪の中心で脚を負傷。'23シーズンは全休の見込みとなっている。

ピート・アロンソ: ニューヨーク・メッツの一塁手。'19.MLB史上新人最多HR(53本)。

ロナルド・アクーニャJr.: アトランタ・ブレーブスの外野手。ベネズエラ出身。'18.ナ・リーグ新人王。

アロルディス・チャップマン: ピッツバーグ・パイレーツの投手。キューバから亡命した米国人。'10.球速169km/hを記録(史上最速)。

イ・ジョンフ(李政厚): サンフランシスコ・ジャイアンツの外野手。名古屋市生まれ(父が中日に所属した選手)、韓国出身。'22.KBOリーグMVP。

大谷翔平: ロサンゼルス・ドジャースの投手/指名打者。右投左打。投打で活躍する「二刀流」選手として知られる。岩手県奥州市、花巻東高校出身。
'13.ドラ1で日本ハムに入団。'14.NPB初の「2桁勝利・2桁HR」(11勝・10本)。'16.パ・リーグMVP、球速165km/hを記録(日本人史上最速)。
'18.ロサンゼルス・エンゼルスに移籍、ア・リーグ新人王。'21.ア・リーグMVP(9勝・46本)。'22.MLBでベーブ・ルース以来の「2桁勝利・2桁HR」(15勝・34本)。
'23.第5回WBCで日本代表として優勝、MVP獲得。決勝・米国戦ではDHでフル出場しながら9回のマウンドに上がり、2アウトでエンゼルスのチームメイトであるマイク・トラウトを迎え、フルカウントからスライダーで空振り三振に打ち取った。
同年シーズンでは初のHR王と2度目のア・リーグMVP(10勝・44本)。'24.北米スポーツ史上最高の7億ドルの契約(10年契約)を結びドジャース移籍。元女子バスケ選手・田中真美子と結婚。

フレディ・フリーマン: ロサンゼルス・ドジャースの一塁手。カナダ代表。

フェルナンド・タティスJr.: サンディエゴ・パドレスの外野手。ドミニカ出身。'21.パドレスと14年契約(MLB史上最長)を結ぶ。

スコット・ボラス: MLBで多くの巨額契約を締結してきた弁護士、スポーツエージェント(代理人)。元マイナーリーガー。
アレックス・ロドリゲスの契約('00)、ブライス・ハーパーの契約('19)で北米プロスポーツ史上最高の契約総額を更新した。選手が望む以上に相場を吊り上げるため批判も多い。

ライズボール: ソフトボール特有の変化球の1つ。打者の手元で浮き上がるように変化する。

後藤希友(-みう): 女子ソフトボール・トヨタレッドテリアーズの投手。'21東京五輪金メダリスト。'21-22.2年連続で所属リーグMVP。

ベースボール5(-ファイブ): 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が野球、ソフトボールに次ぐ第3の競技として普及に取り組むスポーツ。男女混合の1チーム5人制で、バットもグローブも使わない。打者は自らトスしたゴムボールを手で打つ。

ポールポジション: モータースポーツで、決勝レースのスタート位置の最前列内側のこと。予選で最も良い記録を出した車に与えられる。

スリックタイヤ: モータースポーツで使う、排水用の溝が無くすべすべしたタイヤ。路面との摩擦熱でタイヤ表面を溶かし、ガムテープのようなグリップ力を得ることで、超高速のままコーナーを曲がることができる。

アウト・イン・アウト: モータースポーツの走法で、コーナーの入口では外側から入り、コーナーの頂点で内側をかすめ、再び外側へ抜けること。

インディアナポリス500インディ500): 毎年5月に米国・インディアナポリスで行う自動車レース。1911.第1回開催。現在はインディカー・シリーズの目玉レース。
最高速度は380km/hに達し、インディカー・シリーズやF1の他のレースを上回り、世界最速の周回レースとされる。日本人では佐藤琢磨が'17年・'20年に優勝した。優勝者は牛乳を飲む伝統がある。

SUPER GT: 日本を中心に行われるグランツーリスモ(市販車・改造車)のレースシリーズ。前身は全日本GT選手権。異なる2つのクラス(馬力)の車両が同じコースを混走する。

ダカール・ラリー: ラリーレイドの世界的な大会。'78.第1回開催。元々はフランス・パリからセネガル・ダカールまでを走る「パリ・ダカール・ラリー」として始まった。開催地は度々変わり、中南アフリカや南米を経て、'20年からはサウジアラビアで開かれている。

ドラッグレース: 通常1対1で行う、停止状態から急加速し、一直線のコース上でタイムを競うモータースポーツ。

ギャロップ(襲歩): 馬の走り方で、一歩ごとに足4本全てを地面から離すもの。全速力で走る時に使う。

モンキー乗り: 競馬で使われる、鞍から尻を離して鐙の上に立ち、背中を丸めて前傾姿勢で騎乗する方法。

パドック: 競馬で、競走前の馬がゆっくりと周回し、観客が馬の状態を確認できる場所。

ハロン棒: 競馬場のゴールまでの距離を示す標識。一般に200mおきに置かれ、「10」なら残り1000m、「2」なら残り200mを表す。

新潟競馬場: 新潟市にあるJRAの競馬場。日本唯一の直線1000mの芝コースがある。

クラシック三冠: JRAの、3歳馬のみが参加できる3つのG1レース。皐月賞(中山競馬場)、東京優駿日本ダービー)(東京競馬場)、菊花賞(京都競馬場)。又はその全てを制すること。1941.セントライトが初達成。
ちなみに、皐月賞はその名に反し、毎年4月に行われる。

勝馬投票券馬券): 競馬で、着順結果によって配当を行う投票券。購入できるのは20歳から。

: 1934年にデビューした競走馬。由来は「矢」。日本の競馬史上で唯一の1文字馬名(現在は馬名は2-9文字と決められている)。

ハイセイコー: 牡の競走馬。日本競馬界の元祖アイドルホース。'73.地方競馬からJRAに移籍。社会現象的な人気を得て、第1次競馬ブームの象徴となった。

ステイゴールド: 牡の競走馬。父はサンデーサイレンス。その名に反して「稀代のシルバー&ブロンズコレクター」と呼ばれながら、引退レースの香港ヴァーズ('01)で武豊を乗せ、日本生産馬初の国外G1優勝を飾った。
種牡馬としてオルフェーヴルやゴールドシップを輩出した。

テイエムオペラオー: 牡の競走馬。「世紀末覇王」。'00.年間無敗で前人未到の古馬G1グランドスラムを達成。騎手は和田竜二。通算獲得賞金は18億円超で、達成当時、世界歴代1位だった。

ハルウララ: 高知競馬に所属した牝の競走馬。生涯戦績113戦0勝。連敗ぶりがかえって人気を呼び、00s前半にブームを巻き起こした。

ディープインパクト: 牡の競走馬。父はサンデーサイレンス。'05.クラシック三冠(シンボリルドルフ以来2例目の無敗達成)。騎手は武豊。デビュー戦から引退戦まで全レースで1番人気、14戦12勝。競馬ファンの枠を超える人気を誇った。
'12-22.種牡馬として11年連続リーディングサイアーを達成。産駒の国内クラシック24勝は歴代最多。

ダイワスカーレット: 牝の競走馬。同世代の牝馬・ウオッカとのライバル関係で知られた。'08.牝馬として37年ぶりに有馬記念を制覇。

キタサンブラック: 牡の競走馬。馬主は北島三郎。通算獲得賞金は18億円超で、アーモンドアイに次ぐ歴代2位('23現在)。'15.菊花賞勝利。'16.JRA賞年度代表馬。'17.有馬記念勝利、JRA賞年度代表馬。4歳以降の騎手は武豊。

オジュウチョウサン: 牡の競走馬。父はステイゴールド。'16-20.中山グランドジャンプを5連覇。史上初の同一重賞5連覇を達成した。

アーモンドアイ: 牝の競走馬。通算獲得賞金は19億円超(歴代1位)。'18.牝馬三冠、JRA賞年度代表馬。'20.JRA賞年度代表馬。主な騎手はルメール。

武豊: JRAの騎手。リーディングジョッキー(最多勝利騎手)獲得回数、通算GI勝利数等で歴代1位。
'90.オグリキャップの騎手として史上最年少で有馬記念制覇、第2次競馬ブームの象徴となる。'05.ディープインパクトの騎手としてクラシック三冠達成。
有馬記念はオグリキャップ、ディープインパクト('06)、キタサンブラック('17)、ドウデュース('23)と4回制し、最年少勝利記録と最年長勝利記録を両方もつ。
父も元騎手・調教師。物心つく前から栗東トレセンで馬と共に育ち、厩舎にいる馬に人参を与えてから出かけるのが幼い頃の日課だった。嫌いな食べ物は人参(馬の食べ物という感覚があるため)。

和田竜二: JRAの騎手。'00.テイエムオペラオーの騎手として、前人未到の古馬G1グランドスラムを達成。

競艇ボートレース): 日本の公営競技の1つ。ボートレース場で、6艇の小型モーターボートによる競走を行う。投票権は勝舟投票券舟券(ふなけん))と呼ばれる。

スポーツスタッキング: 12個のプラスチックカップを決まった形に積み上げたり、崩したりする速さを競う競技。女優・森川葵(ワイルドスピード森川)がバラエティ番組の企画をきっかけに特技とし、日本代表として活躍。

鳩レース: 複数の愛鳩家が訓練したレース鳩(伝書鳩)を持ち寄って、それぞれの巣まで数百km以上離れた同一地点から同時に放鳩し、帰巣時間を競う競技。

騎射三物(きしゃみつもの): 日本の伝統武芸で、馬に騎乗したまま弓矢を射る3種目の総称。
3ヶ所にコースから5mほど離れた的を置き、連射する種目を流鏑馬(やぶさめ)、1ヶ所に20-30m離れた的を置く種目を笠懸(かさがけ)、馬場に沢山の犬を放ち、時間内に多くの犬に矢を当てる種目を犬追物(いぬおうもの)という。

ブズカシ: アフガニスタンの国技。2組の騎馬隊がヤギや仔牛の亡骸を奪い合う。スポーツを禁じたタリバン政権下で衰退してしまった。

エクストリーム・アイロニング: 極限状態の場所で平然とアイロン台を出し、涼しい顔でアイロンがけを行うエクストリーム・スポーツ。

デュアスロン: トライアスロンからスイムを除いた、ランとバイクで競う複合スポーツ。

近代五種競技: 五輪等で行われる競技。クーベルタン男爵が古代ギリシアの「古代五種競技」を元に提唱し、競技化した。軍人のスポーツという側面がある。
従来、フェンシング、水泳、馬術、レーザーラン(射撃とランニングを交互に繰り返す種目)が行われてきたが、'28LA五輪からは馬術に代えて障害物レース(『SASUKE』のような種目)を行う予定。

デフリンピック: 4年に1度、世界規模で行われる聴覚障害者のための総合スポーツ競技大会。

成田真由美: パラ競泳選手。「水の女王」。'96アトランタ・'00シドニー・'04アテネのパラ五輪で金メダル15個(うち13個は世界新)を獲得した。

国枝慎吾: 車いすテニス選手。グランドスラム車いす部門で、'06-'22年に男子世界歴代最多となる計50回(シングルス28回、ダブルス22回)の優勝を達成。'23.世界ランキング1位のまま引退。

サウンドテーブルテニス: 卓球を模したパラスポーツ。音の出る球を台の上で転がして行う。

山田勝己(-かつみ): SASUKEに第1回から出場する「ミスターサスケ」。現在はチーム「黒虎」を結成し後進の育成にもあたっている。

アシックス(asics): 神戸市のスポーツ用品メーカー。海外売上比率7割以上の国際的なスポーツブランド。'49年設立の鬼塚を起源とする。ナイキ(米)の源流企業でもある。
創業以来、シューズに強みをもつ。シューズに描かれる「#」のような形のライン(アシックスストライプ/タイガーストライプ)が有名。

オニツカタイガー: アシックスのシューズブランド。70sまでは鬼塚/オニツカのメインブランド名であり、アシックスへの改組後はサブブランドとなっている。
現在、シューズのシルエットやデザインは、アシックスの方がスポーティー寄り、オニツカタイガーの方がカジュアルファッション寄りと、住み分けがされている。

ミズノ: 大阪市のスポーツ用品メーカー。ブランドマーク「ランバードライン」が有名。NPBの統一球を手掛ける等、特に野球用品では大きなシェアをもつ。

デサント(DESCENTE): 大阪市のスポーツ用品メーカー。社名は「滑降」を意味するフランス語で、ブランドマークは「3本の下向きの矢」。

ヨネックス(YONEX): 日本のスポーツ用品メーカー。バドミントンやテニスのラケットで有名。

ゼット(ZETT): 大阪市のスポーツ用品メーカー。野球用品で有名。

SSK: 大阪市のスポーツ用品メーカー。野球用品で有名。

ホカ オネオネ(HOKA ONE ONE): フランス発のランニングシューズのブランド。00sのフランスで、トレイルラン用のシューズとして生まれた。

ニューエラ・キャップ・カンパニー(New Era): MLB全球団のキャップを独占的に製造するメーカー。

スノーピーク(snow peak): 新潟県三条市のアウトドア用品メーカー。

モンベル(mont-bell): 大阪市のアウトドア用品メーカー。

コールマン(Coleman): 米国のアウトドア用品メーカー。

ローレウス世界スポーツ賞: ダイムラーとリシュモンが'00年に創設したスポーツ賞。「スポーツ界のアカデミー賞」と呼ばれる。

レキップ: フランスのスポーツ新聞。サッカー、ラグビー、モータースポーツ、自転車競技の報道で知られる。1903年からツール・ド・フランスを主催する。

◆『Tarzan(ターザン)』: マガジンハウスの男性向け健康・フィットネス雑誌。

◆『Sports Graphic Number』: 文藝春秋のスポーツ雑誌。隔週刊。'80.創刊。

◆『スポーツ・イラストレイテッド』: 米国のスポーツ雑誌。現在は月刊。毎年恒例の水着特集号が特に有名。'54.創刊。

◆『週刊ベースボール(週ベ)』: ベースボール・マガジン社が発行する野球専門週刊誌。'58.創刊。

Full-Count: 日本の野球専門Webメディア。

GAORA: CSのスポーツ専門チャンネル。一部、お笑い番組の放送もある。北海道日本ハムファイターズの全主催試合やキャンプの実況を行っている。


23、デザイン・美術

キネティック・アート: 動く芸術作品のこと。「動き」を意味するギリシア語から。

パブリック・アート: 公共空間に組み込まれた芸術作品のこと。

インスタレーション: オブジェ等を用い、空間全体を作品として体験させる現代美術のジャンル。英語で「設置」を意味する(installの名詞形)。

エピゴーネン: 先人のスタイルを模倣するばかりで、オリジナル性に欠けた制作者のこと。「後に生まれた者」を意味するドイツ語。

デザイン・フェスタ(デザフェス): 東京ビッグサイトで年2回開かれる、オリジナル作品・表現であれば審査無しで誰でも出展できる国際的なアートイベント。展示内容は絵画、工芸、雑貨、ファッション、写真、音楽、パフォーマンス等多岐に渡る。

カーキ: 軍服等に使われる色調の色。本来は淡い茶色を指すが、緑色に近いものまでかなりの幅をもって使う色名。英語で「土埃」を意味する。

アッシュ: くすみがかった灰色。黒髪に「アッシュ」のヘアカラー剤を使うと、赤みを抑えたブラウンになる。

新橋色: 緑がかった明るい青色。明治期に欧米から輸入した化学染料でこの色が作られ、当時最もハイカラな場所であった新橋の芸者の間で流行したことから。

ウルトラマリン: 青色の顔料の1つ。フェルメールの絵画にも使われている。名称は、原料のラピスラズリが海路で運ばれてきたことから。

シェーレグリーン: 18c後半に誕生した緑色の合成顔料。ヒ素性で毒性が高かった。ナポレオンが好んだことでも知られ、ナポレオンの病没の一因は部屋の壁紙に使った染料によるヒ素中毒だという説がある。

マミーブラウン(エジプシャンブラウン): 茶色の顔料の1つ。色は濃いが透明度が高く、19c半ばのラファエル前派の画家が好んで使った。当時はエジプト産の人や猫のミイラが原料に入っていた。「マミー」はミイラを意味する英語。

パーソナルカラー: その人の生まれ持った身体の色と調和する色のこと。大きくは「スプリング」「サマー」「オータム」「ウィンター」の4種類あるという。

蛇の目(じゃのめ): 円の中心を同心円で白抜きした図形。お猪口の底に蛇の目が描かれるのは利き酒のため(白い部分で酒の色合いや濃淡を見て、青い部分で透明度や輝きを見る)。

青海波(せいがいは): 日本の伝統文様。半円を波のように反復させて並べたもの。

杉綾ヘリンボーン): V字型を縦横に連続させて作る模様。英語名は「鰊の骨」を意味する。

ピンストライプ: ワイシャツやスーツによく使う、非常に細いストライプ。細さをピン(針)に喩えた呼び名。

アーガイルチェック: セーターや靴下によく使う、菱形と斜めのラインから成る格子模様。スコットランドの地名から。

ペイズリー: 勾玉のようなモチーフと草花を元にしたパターンを繰り返すデザイン。19cにスコットランドのペイズリー市でこの柄の織物が量産されるようになった。

斧琴菊(よきこときく): 斧、琴、菊をあしらった和柄。「良き事聞く」というめでたい意味を込めた判じ絵。横溝正史『犬神家の一族』('51)で題材となった。

田中一光(-いっこう): デザイナー。旧セゾングループでの仕事が多く、無印良品でブランド立ち上げ時('80)からアートディレクターを務めた他、LOFTのロゴ、西武百貨店の紙袋等をデザインした。

ウィリアム・モリス: 19cの英国のデザイナー、工芸家、作家。生活と芸術を統一する「アーツ・アンド・クラフツ運動」を主導した。架空の中世的世界を舞台にロマンスを創作し、トールキンらに影響を与えた「ファンタジーの父」の1人でもある。

フォント: 活字用、又はデジタルデータの表示・印刷用の書体のこと。

修悦体: 警備会社勤務の警備員・佐藤修悦が考案した、ガムテープとカッターナイフで作る書体。'04年頃に新宿駅で案内表示のために作られ、話題を呼び展覧会が開かれるまでになった。

臨書: 書道で、技術習得や書風の理解のために、手本を見ながら書くこと。

相田みつを: 栃木県足利市出身の書家、詩人。平易な詩を独特の書体で書いた作品群が、晩年ベストセラーとなり、人々に大きな影響を与えた。'84.詩集『にんげんだもの』。
没後、銀座に相田みつを美術館が開館し、東京国際フォーラムの地下に移転した現在も多くの人々を集める。
代表的な詩〈つまづいたって いいじゃないか にんげんだもの〉〈うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる〉〈どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ〉。

池坊(いけのぼう): 華道の最大流派。京都の頂法寺(六角堂)の住職が代々家元を務める。

イラストレーション(イラスト、挿絵): 情報や物語を伝えるための絵画。明確な線引きは無いが、作家の内的世界を深く表現することに主眼を置いた芸術絵画とは通常区別する。

カリカチュア: 似顔絵の一種。人物の性格や特徴を際立たせるため、(しばしばグロテスクな)誇張や歪曲を施した、立体感のある画風のもの。

アナモルフォーシス: 見る角度を変えたり円筒に投影したりすることで正しく見えるよう、わざと歪ませて絵を描く技法のこと。「再構成」を意味するギリシア語。

フレスコ: 壁画の技法で、壁に漆喰を塗り、漆喰がまだフレスコ(新鮮)な状態、つまり生乾きの状態の間に絵を描くこと。一旦乾くと水に浸けても滲まないため保存性が高い。

ステンシル: 型紙(ステンシル・テンプレート)を使う孔版画の技法、又はそれによって描いた文字や図形。型紙が千切れないよう、完全に閉じた部分がないのが特徴で、文字は独特な書体(ステンシル・フォント)になる。

シルクスクリーン: インクを通す部分にメッシュを使う孔版画の技法。元々は版に絹を使った。印刷技術として見た場合には「スクリーン印刷」と呼ぶ。

リトグラフ(石版画): クレヨン等を使って石板やアルミ板に描く、水と油の反発作用を使った版画。19cに広まった技法で、ミュシャやロートレックのポスターが有名。

東洲斎写楽: 18c末の浮世絵師。大首の役者絵で知られる。1年足らずの短期間に少なくとも145点の絵を蔦屋重三郎の店から版行したのち、忽然と画業を絶った謎の人物。

三大役物: 『富嶽三十六景』の中で特によく知られる、「神奈川沖浪裏」「凱風快晴(赤富士)」「山下白雨(さんかはくう)(黒富士)」の総称。「凱風快晴」「山下白雨」はどの場所・方向から描いた富士山か分かっていない。

◆「神奈川沖浪裏」: 『富岳三十六景』の1枚で、三大役物の1つ。世界一有名な日本画。ドビュッシーの交響詩『海』(1905)のスコアの表紙に使われた。2024年発行予定の新千円札の裏面に採用される。
凶暴なまでに高く激しく渦巻く波濤、波に揉まれる3艘の舟、波間から見える彼方の富士山を描いた。対数螺旋を描く曲線が幾重にも使われ、直線は登場しない。

河鍋暁斎: 幕末・明治期の浮世絵師。「画鬼」。歌川国芳の弟子。多くの戯画・風刺画を残し、存命中から国際的人気を得た。明治政府の役人を風刺して捕えられたこともある反骨精神の持ち主。

高橋由一(-ゆいち): 洋画家。日本初の本格的な洋画家又は油絵画家とされる。1872.『花魁』。1877頃.『』。

原田直次郎: 洋画家。森鴎外『うたかたの記』の主人公のモデル。1890.『騎龍観音』。

横山大観: 日本画家。線描を抑えた「朦朧体」を確立した。1889.東京美術学校に第1期生として入学。1897.『無我』。1898.岡倉天心を慕って日本美術院設立に参加。1923.『生々流転』。1937.第1回文化勲章受章。

竹内栖鳳(-せいほう): 日本画家。京都画壇の筆頭で、「東の大観、西の栖鳳」と横山大観に並び称された。1902.『大獅子図』。1924.『班猫』。1937.第1回文化勲章受章。

東山魁夷(-かいい): 日本画家。'50.『道』。'72.『緑響く』。

池田満寿夫: 画家、版画家、作家。'65.MoMAで日本人初の個展開催。'77.小説『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞受賞。

岡本太郎: 芸術家。父は人気漫画家・岡本一平、母は小説家・岡本かの子。名言〈芸術は爆発だ!〉。

◆『明日の神話』('68-69): 岡本太郎の巨大壁画。長さ30m。第五福竜丸が被爆した際の水爆の炸裂の瞬間がモチーフ。渋谷駅の連絡通路に設置されている。長年行方不明になっていたが'03年にメキシコで発見された。

太陽の塔: 岡本太郎が設計した高さ70mの塔。大阪万博('70)のテーマ館の一部であり、万博後も万博記念公園に象徴的に残されている。
正面中央・上部・背面に付いた3つの顔と左右の腕が特徴。塔の内部には展示物「生命の樹」があり、高さ約40mの樹に様々な生物の模型を貼り付け、生物の進化を示している。

山田かまち: 群馬県高崎市の画家・詩人。氷室京介・松井恒松とは幼馴染。'77.エレキギターの練習中に感電し、県立高崎高生だった17歳の時に死去。
'92.『悩みはイバラのようにふりそそぐ : 山田かまち詩画集』が刊行され、死去から15年経って全国的なブームとなる。

横尾忠則: 美術家。'67.寺山修司主宰の劇団「天井桟敷」結成に参加。ポスター制作や舞台美術を手掛ける。'00年以降は、故郷・兵庫県西脇市のY字路をモチーフに多くの絵画を描いている。

日比野克彦: 現代美術家。東京藝大デザイン科卒。段ボールを使った作品で知られる。'22-.東京藝大学長。

大岩オスカール: 日系ブラジル人の画家、現代美術家。都市生活等をテーマにダイナミックな絵を描く。

ヒグチユウコ: 画家。動植物や少女を細密に描く画風で、猫をモチーフとすることが多い。

チームラボ: デジタルアート制作会社。'01.猪子寿之代表ら東大・東工大の院生5名が設立。国内外各地に展示施設をもつ。東京では'18年に「チームラボボーダレス」(お台場)と「チームラボプラネッツ」(豊洲)が開業した。
「ボーダレス」は単一アート集団の美術館における年間来館者数のギネス記録を更新。'24.「ボーダレス」が麻布台ヒルズ地下に移転。

ゆるかわふう: 美術家。発泡断熱材を使った「光彫り」を考案。

ラスコー洞窟: フランスの洞窟で、約2万年前にクロマニヨン人が描いた壁画群で知られる。家畜動物となる以前の牛(オーロックス)や馬(ノウマ)、夏の大三角等の星の並びも描かれている。石灰が保存性を高めた、天然のフレスコ画。

アルタミラ洞窟: スペインの洞窟で、約1.5万年前にクロマニヨン人が描いた壁画群で知られる。イノシシの絵が有名。石灰が保存性を高めた、天然のフレスコ画。

サンドロ・ボッティチェリ: ルネサンス盛期のフィレンツェ共和国の画家。1477頃.『プリマヴェーラ)』。1485頃.『ヴィーナスの誕生』。

◆『ダビデ像』(1504): ミケランジェロの彫刻作品。大理石製、高さ5m強。ダビデが巨人ゴリアテとの戦いに臨み、石を投げつけようと狙いを定めている旧約聖書の場面を象った。
ルネサンス的表現として、瞳をハート型に彫っている(目に光が宿っているように見せる表現)ことや、イスラエルの民の証である割礼の痕が無いことが挙げられる。

◆『ネーデルラントの諺』(1559): ブリューゲルの絵画。ある村の騒ぎを通して、100以上の諺を図示した。

エル・グレコ: クレタ島出身でスペインで活躍した画家。受胎告知をテーマにした連作はよく知られ、1590年の作は大原美術館が所蔵する。「エル・グレコ」は「ギリシャ人」を意味するニックネーム。

バロック様式: 17-18cに欧州で流行した美術・建築様式。真珠や宝石のいびつな形を意味するポルトガル語に由来する。
装飾性・流動性が特徴で、ルネサンス様式の「円」に代わり「楕円」が構成の中心となった。建築物・彫刻・絵画・家具等が総合芸術として製作され、絶対王政や教会の権威を高めた。ルイ14世が造らせたヴェルサイユ宮殿が代表例。

ディエゴ・ベラスケス: バロック期のスペインの画家。1635.『ブレダの開城』。1656.『ラス・メニーナス』。

ヨハネス・フェルメール: バロック期のオランダ・デルフトの風俗画家。同郷の科学者・レーウェンフックとは生年月日が1週違いで深い親交があった。1650s-60s.『牛乳を注ぐ女』『真珠の耳飾りの少女』。

カナレット: 18cのヴェネツィア共和国の画家。リアルな都市景観画を得意とした。

ギュスターヴ・クールベ: フランスの写実主義の画家。世界初の個展を開催したとされる。1849-50.『オルナンの埋葬』。1866.『世界の起源』。

バルビゾン派: 19c半ばのフランスの絵画の一派。パリ郊外のバルビゾン村周辺に居住・滞在し、自然主義的な風景画や農民画を写実的に描いた。代表格はジャン=フランソワ・ミレー。

◆『落穂拾い』(1857): ジャン=フランソワ・ミレーの絵画。貧しい女性達が麦の落穂を拾う光景を描いた。当時のフランスでは旧約聖書の教えに従い、落穂は貧民が命を繋ぐためのものとされ、畑の持ち主が残さず回収することは戒められた。

◆『オフィーリア』(1852): ジョン・エヴァレット・ミレーの絵画。『ハムレット』に登場するハムレットの恋人・オフィーリアが川に溺れてしまう前、歌を口ずさむ姿を描いている。

エドゥアール・マネ: フランスの画家。印象派展には参加しなかったが「印象派の父」とも呼ばれる存在。1863.『オランピア』『草上の昼食』。

クロード・モネ: フランスの印象派の画家。1869.『ラ・グルヌイエール』。1874.第1回印象派展に『印象・日の出』を出品、印象派の名前の由来となる。1875.『散歩、日傘をさす女性』。1876.『ラ・ジャポネーズ』。1895-1926.『睡蓮』(連作)。

ピエール=オーギュスト・ルノワール: フランスの印象派の画家。1877.『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』。1880.『可愛いイレーヌ』。1882.『舟遊びをする人々の昼食』。

フィンセント・ファン・ゴッホ: オランダのポスト印象派の画家。渦を巻く独特のタッチ、黄色への偏愛、ひまわり・糸杉・自画像をモチーフとして繰り返したことで知られる。日本の浮世絵を愛した画家の1人。
代表作のほとんどは晩年のもの。存命中はほとんど絵が売れず、画商の弟テオドールが後援者として支えた。テオドールらとの書簡集は死後出版された。オランダ語の実際の発音は「ホッホ」に近い。
1888.南仏のアルルに居を定め、『ひまわり』(連作)、『夜のカフェテラス』等を描く。画家の協同組合を築こうとゴーギャンと共同生活を始めるが、自ら左耳を切り落とす事件を起こし、共同生活が破綻。
1889.精神病院での療養生活中『星月夜』を描く。1890.銃死(定説では自殺)。享年37歳。

◆『タンギー爺さん』(1887): ゴッホの絵画。同様の構図のものが2作品ある。背景に浮世絵が描かれ、ジャポニスムが最も良く表れた作品。
モデルのタンギーは、パリ・コミューン(1871)に参加した経歴をもつパリの画材屋兼画商で、セザンヌやゴッホら、現在「ポスト印象派」と呼ばれる売れない画家達に画材を提供して支えた。

◆『ひまわり』(1888-90): ゴッホの連作絵画。7作中、6作が現存し、うち1作は'87年から日本のSOMPO美術館が所蔵する。唯一失われた作品は『芦屋のひまわり』と呼ばれ、太平洋戦争の空襲で焼失した。

◆『赤い葡萄畑』(1888): ゴッホの絵画。ゴッホの作品で唯一生前に売れたという。

ポール・ゴーギャン: フランスのポスト印象派の画家。ゴッホとの共同生活や、タヒチで晩年を過ごしたことがよく知られる。1891.『タヒチの女』。1898.『われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか』。

ナビ派: 19c末のパリで活躍した前衛芸術家グループ。ゴーギャンを師と仰いだ。〈絵画とは小さな嘘を幾つも重ねて大きな真実を作ること〉というピエール・ボナールの言葉が知られる。「ナビ」は「預言者」を意味するヘブライ語。

オディロン・ルドン: 19c後半~20c初頭のフランスの画家。幻想の世界を描き続けた孤高の画家で、水木しげるらに大きな影響を与えた。

アンリ・ルソー: フランスの素朴派の画家。キュビスムやシュルレアリスムを先取りしたともいえる独創的な絵画を創造した。1897.『眠るジプシー女』。

フォーヴィスム(野獣派): 20c初頭のフランスで興った美術の潮流。激しいタッチや強烈な色彩が特徴。代表格はマティス。

アンリ・マティス: フランスの画家。「色彩の魔術師」。フォーヴィスムの代表格。1910.『ダンスII』。赤い部屋を描いた作品群も有名。キャリア後期は切り絵に傾倒した。

ジョルジュ・ルオー: フランスのフォーヴィスムの画家。独特の骨太の輪郭線で知られる。

キュビスム(立体派): 20c初頭のフランスで興った美術の潮流。アフリカ彫刻等に影響を受けている。様々な角度から見た物の形を一つの画面に収める等、実験的な試みを行った。代表格はピカソ、ジョルジュ・ブラック

パブロ・ピカソ: スペイン出身でフランスで活動した画家。版画や挿絵、素描を含めて約15万点の作品を残し、最も多作な美術家としてギネス認定された。キュビスムの創始者の1人。フランス共産党員。
1901-04.青の時代。1907.『アヴィニョンの娘たち』(キュビスムの発端)。1937.『ゲルニカ』『泣く女』。

青の時代(1901-04): ピカソの青年期の一時代。孤独や絶望を主題に、青や青緑の色合いのモノクローム調の絵画群を残した。当時のピカソは友人画家の拳銃自殺を知り、深刻な鬱病に陥っていたという。

薔薇色の時代(1904-06): ピカソの青年期の一時代。青の時代に比べ、色彩が豊かになったことから。サーカスを描いた作品が多い。

バウハウス: ドイツ・ヴァイマールに存在した、近現代の建築・デザインに大きな影響を与えた造形芸術学校。1919.開校。1933.ナチスにより閉校。

ワシリー・カンディンスキー: ロシア出身の画家。抽象絵画の創始者とされる。バウハウスを代表する教員の1人。

ラウル・デュフィ: フランスの画家、デザイナー。「色彩の魔術師」。リズム感のある線描と透明感のある色彩が魅力。

◆『L.H.O.O.Q』(1919): デュシャンの作品で、『モナ・リザ』に髭を書き加えただけのもの。『モナ・リザ』をモノクロコピーしただけの『ひげを剃ったL.H.O.O.Q』という作品もある。

マルク・シャガール: ロシア帝国(現ベラルーシ)出身のユダヤ人で、フランスで活動した画家。エコール・ド・パリの代表格。妻への一途な愛をテーマに多くの作品を残した「愛の画家」。

アメデオ・モディリアーニ: イタリア出身の画家。エコール・ド・パリの代表格。長い首や縦長の頭が特徴的な人物画を多く残した。

マリー・ローランサン: フランスの画家。エコール・ド・パリの代表格。柔らかで可愛らしい、幻想的な美人画で知られる。1923.『ココ・シャネル嬢の肖像』。

ルネ・マグリット: ベルギーのシュールレアリスムの画家。山高帽の紳士、空模様の鳥等をモチーフとして繰り返し描いた。1929.『イメージの裏切り』。'49-『光の帝国』(連作)。'59.『ピレネーの城』。

ジャクソン・ポロック: 米国の抽象表現主義の画家。NYで活動し、1940年代から、キャンバスを床に広げ、塗料を滴らせて線を描く技法を始めた。

マウリッツ・エッシャー: オランダの画家。騙し絵で有名。'60.『上昇と下降』。'61.『滝』。

アンディ・ウォーホル: 米国のポップアーティスト。シルクスクリーンを使った作品群や、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのプロデュースで知られる。
'61.『キャンベルのスープ缶』。'62.『マリリン・モンロー』。'67.「バナナ」(ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの1stアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ』ジャケット画)。

ロイ・リキテンスタイン: 米国のポップアーティスト。漫画のコマをスクリーントーンのドットが見えるほど拡大し、ステンシルを使って油絵に転写した作品で知られる。'65.『ヘアリボンの少女』。

ヒプノシス: 英国のアート集団。70sを中心に、ピンク・フロイド、レッド・ツェッペリンら数々のアーティストのアルバムのカバーアートを担当した。名称は「催眠」を意味する英語。

グラフィティ(ストリートアート、エアロゾルアート): スプレーやフェルトペンで壁等に描く図像。現在知られるようなモダングラフィティは、70sにヒップホップ文化の1つとして、NYのダウンタウンで始まった。
80s前半にはメジャー化し(ヒップホップ文化で最初にメジャー化したのはグラフィティともいわれる)、ジャン=ミシェル・バスキアキース・へリングの作品は個展も開かれるようになった。
なお、バスキアはヘロインのオーバードーズで、へリングはAIDSで夭折し、90sの世の中を見ることなく世を去っている。

バンクシー: 英国を拠点とする素性不明の芸術家。ブリストルのアングラシーン出身で、ステンシルを使ったグラフィティが創作の中心。
'92年頃に活動開始。路上のグラフィティにこだわり、'04年以降は企業やミュージシャンによる作品依頼を全て断っている。大英美術館やメトロポリタン美術館に無許可で作品を陳列したことがある。
ネズミをモチーフとすることが多く、〈もし君が、誰からも愛されず、汚くてとるに足らない人間だとしたら、ネズミは究極のお手本だ〉という言葉を残している。反権力・反資本主義・反戦のメッセージを込めることも多い。
'10.ドキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』を監督。

水森亜土(-あど): イラストレーター、歌手。60sに透明なアクリル板に歌いながら両手で同時にイラストを描くパフォーマンスでブレイク。'81.アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』の主題歌「ワイワイワールド」発表。

佐伯俊男: イラストレーター。ホラーやエロスを織り交ぜた作風で知られた。『呪怨』シリーズの主要キャラ・佐伯俊雄の名前の由来と考えられる。

みうらじゅん: イラストレーター、漫画家、作家、タレント。京都市出身、武蔵野美大卒。仏像ブーム、ゆるキャラブーム等の「マイブーム」を世間に紹介する活動で知られる。
80sからメディア露出が増加。'97.みうらの造語「マイブーム」が新語・流行語大賞でトップ10入り。'08.みうらの造語「ゆるキャラ」が新語・流行語大賞にノミネート。
'94年から毎年末に様々なジャンルの人物や企業、モノ、作品等に独断で贈呈する「みうらじゅん賞」を開催。当初は雑誌の企画だったが、近年はYoutubeで発表している。

中村佑介: イラストレーター。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのジャケットアルバムや、森見登美彦の小説のブックカバーで有名。

ギュスターヴ・ドレ: 19cのフランスのイラストレーター。

ターシャ・テューダー: 米国のイラストレーター、絵本作家、園芸家。「米国人の心を表現する絵」を描くといわれ、クリスマスや感謝祭のカードにイラストが使われてきた。
50代からニューイングランドの田舎で自給自足の一人暮らしを始め、広大な庭で季節の花々を育てるライフスタイルは、日本でも注目を浴びた。

円空: 江戸時代初期の修験僧、仏師。一刀彫による独特の作風から成る仏像を生涯で12万体も残したという。

◆『眠り猫』: 日光東照宮の回廊にある彫刻作品。江戸時代初期の名工・左甚五郎(ひだりじんごろう)の作と伝わる。猫の脇には牡丹が、裏側には雀が彫られている。

◆『老猿』(1893): 高村光雲の彫刻。大鷲と格闘した直後の猿を描いた。

はしもとみお: 彫刻家。「生」をテーマにした動物の肖像彫刻で知られる。

ドナテロ(ドナテッロ): ルネサンス初期のフィレンツェ共和国の金細工師、彫刻家。レオナルド、ミケランジェロ、ラファエロと共にアニメ『ミュータント・タートルズ』の主要キャラの名前となっている。

尾形乾山(-けんざん): 江戸時代中期の陶工。尾形光琳の弟。60sに栃木県佐野市の旧家で見つかった約200点の作品は、真贋を巡って国会に取り上げられるほどの論争を起こし、今も決着していない。

エミール・ガレ: 19c末のフランスのガラス工芸家、陶器・家具のデザイナー。アール・ヌーヴォーを代表する存在。

ファサード: 建築用語で、建物の正面や、外観を重んじた面のこと。フランス語。

アトリウム: ガラス屋根等で日光が差し込むようにした吹き抜け空間。ホテルや商業施設にしばしば設けられる。

数寄屋造(すきやづくり): 安土桃山時代に生まれた「数寄屋(茶室)」を取り入れた建築の様式。従来の書院造が重んじる格式・様式を排した、自由で洗練された意匠をもつ。現代の料亭や住宅でもこれに倣ったものが造られる。
聚楽に代表される土壁、丸太や竹の利用、内部空間に陰翳と静謐をもたらす深い庇等が特徴。

なまこ壁: 土蔵等で使われる壁塗り様式の1つ。壁に平瓦を並べて打ち付け、瓦の継ぎ目に漆喰を蒲鉾型(ナマコ型)に盛り付けて塗るもの。

鴬張り(うぐいす-): 人が歩くと床板がきしんで音が鳴る廊下のつくり。日本の城や寺社の建築で、侵入者が分かるようあえて施されることがあった。

日暮の門(ひぐらし-): 寺社等の門で、一日中見ていても飽きないほど立派な門のこと。

虎口(こぐち): 日本の城郭において、門が築かれる出入口のこと。

エンタシス: 柱を下から上にかけて徐々に細くしたり、中程に膨らみをもたせたりする、古代ギリシア発の建築技法。

ジョサイア・コンドル: 英国人建築家。明治期に工部大学校の教員として来日した「お雇い外国人」で、丸の内に煉瓦街を出現させ、辰野金吾ら多くの人材を育てた。
日本人と結婚して日本に永住し、様々なジャンルの日本文化に造詣を深め、都々逸についての本を英語で出版する等の活動も行った。

伊東忠太: 建築家。「造家」と呼ばれていた概念を「建築」と呼び改めた。1920.明治神宮。1934.築地本願寺

谷口吉生(-よしお): 建築家。美術館のシークエンス設計を得意とする。'99.東京国立博物館 法隆寺宝物館(台東区)。'17.GINZA SIX(中央区)。

安藤忠雄: 大阪市出身の建築家。コンクリートの打ちっ放し建築が有名。
'89.光の教会(大阪府茨木市)。'92.ベネッセアートサイト直島(香川県直島町等)。'06.表参道ヒルズ(渋谷区)。'07.21_21 DESIGN SIGHT(港区・東京ミッドタウン内)。'08.東京メトロ副都心線・東急東横線渋谷駅(渋谷区)。

伊東豊雄: 建築家。'00.せんだいメディアテーク(仙台市)。'07.多摩美術大学図書館(東京都八王子市)。'08.座・高円寺(杉並区)。

隈研吾: 横浜市出身の建築家。自然素材を活かした建築で知られる「和の大家」。
'07.サントリー美術館(港区・東京ミッドタウン内)。'09.根津美術館(港区)。'12.浅草文化観光センター(台東区)。'13.歌舞伎座(中央区)。'19.国立競技場(新宿区)。'20.角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)、高輪ゲートウェイ駅(港区)。

ブルーノ・タウト: ドイツの建築家。ナチス政権から亡命し日本に3年半滞在したが、余り仕事に恵まれなかった。桂離宮の美しさを激賞し世界に広めた。

ザハ・ハディド: イラク出身で英国を拠点に活動した建築家。「曲線の女王」。'04.女性初のプリツカー賞受賞。

シュヴァルの理想宮: 南フランスにある石造建築。郵便配達夫のフェルディナン・シュヴァルがある日つまづいた石にインスピレーションを得て、19-20cに渡って33年間かけ、独力で石を積み上げて造った。
シュヴァルは石工や建築の教育を受けておらず、アウトサイダー・アートと見なされている。建造中から多くの見物客を集め、現在もフランス政府が重要建造物に指定し、修復を行っている。

土門拳: 戦後の日本を代表する写真家。リアリズムにこだわった報道写真、著名人や庶民のポートレートやスナップ、独自の視点で切り取った寺院・仏像の写真等で知られる。

◆『自然の鉛筆』(1844-46): 英国の写真家・タルボットが撮影した世界最古の写真集。

回顧展: 特定のアーティストにスポットを当て、生涯に制作した作品群の全容を概観する展覧会。

500m美術館: 札幌市営地下鉄の大通-バスセンター駅間を結ぶ地下通路に設けられた、長さ約500mのギャラリー。

小樽芸術村: 北海道小樽市の「北のウォール街」にある私立美術館。事業主体はニトリ。ステンドグラス美術館等、複数の施設から成る。

アーティゾン美術館: 東京都中央区京橋の私立美術館。西洋と日本の近代絵画を中心に幅広い作品を所蔵。'19.ブリヂストン美術館から改称。新名称はartとhorizonを合わせた造語。

ワタリウム美術館: 渋谷区・外苑前の私立美術館。現代美術を展示する。創設者(和多利志津子)の苗字から名付けられた。

MOA美術館(エムオーエー-): 静岡県熱海市の私立美術館。尾形光琳の『紅白梅図屏風』等、日本美術・東洋美術作品を所蔵。

足立美術館: 島根県安来市の私立美術館。横山大観のコレクションをはじめとする近代日本画と、広大な日本庭園で知られる。

大原美術館: 岡山県倉敷市の私立美術館。エル・グレコの『受胎告知』(1590)等を所蔵する。1930.日本初の私立西洋美術館として開館。

大塚国際美術館: 徳島県鳴門市の美術館。事業主体は大塚製薬グループ。'98.開業。『モナ・リザ』『最後の審判』『ゲルニカ』等、1000点以上の西洋名画を陶板で再現した、世界初の「陶板名画美術館」。
入場料は3000円以上で、日本一入場料が高い美術館ともされる。単品の絵画に加え、古代遺跡や礼拝堂の壁画・天井画等を空間ごと再現した施設も備える。
システィーナ礼拝堂を再現した「システィーナ・ホール」では、歌舞伎の公演も行われ、'18年には米津玄師(徳島出身)がNHK紅白歌合戦に初出演(中継出演)する際の舞台にもなった。

ニューヨーク近代美術館MoMA): NYの美術館。現代美術の分野では世界一影響力のある美術館で、シンプルな白い壁面への作品展示等、現代の美術館像を作り上げた。1929.開館。

◆『國華(こっか)』: 日本・東洋古美術の研究誌。1889.岡倉天心らが創刊。現在も刊行が続く美術雑誌として世界最古のものの1つ。

◆『デザインあ』('11-): Eテレのデザイン関連番組。身の回りの物を分解してパーツを並べるさまを描く「解散!」等、様々なコーナーを放送してきた。旧テーマ曲はコーネリアスの「『あ』のテーマ」('21年の小山田圭吾騒動以降は使われていない)。

◆『びじゅチューン!』('13-): Eテレの美術関連番組。世界の美術作品を、井上涼が制作するユニークすぎる楽曲とアニメーションで紹介する。


24、音楽

音楽: 音による芸術。リズム、メロディ、ハーモニー(以上がいわゆる「音楽の3要素」)、音色等を主な構成要素とする。

リズム: 強い拍や弱い拍を組み合わせ、規則的に繰り返すことで生まれる調子。

ビート): 脈拍や歩行のように等間隔で現れる、衝動を感じるポイント。

楽曲(曲、チューン、ナンバー): ひとまとまりに演奏される音楽作品。

: メロディや歌詞等を人の声で奏でる(歌う)こと、又はそうした楽曲のこと。クラシック音楽では「声楽」「声楽曲」、ポピュラー音楽では「ヴォーカル」「歌もの」と呼ぶことも多い。

器楽曲(インストゥルメンタル、インスト): 声を使わず、楽器だけで演奏する楽曲のこと。

モチーフ動機): 曲を形作る最小単位で、2小節程度の音符・休符の特徴的な連なり。1つのモチーフが、大規模な作品全体を構成する根本要素となることもある(ベートーヴェンの「運命」等)。

イヤーワーム: 特定の楽曲等が頭の中で反復し、離れなくなってしまう現象。

サウンドスケープ: 知覚される音環境の総体。デザインの分野でよく使われる言葉。

リトミック: 音楽に合わせて体を動かし、表現力や感性を育む教育法。

楽典: 楽譜を読むために必要な知識。

ソルフェージュ: 楽譜を読むことを中心とした基礎訓練。視唱(楽譜を読んで正しい音程やリズムで歌う)、聴音(メロディやハーモニーを正確に聴きとる)等。

音楽記号: 楽譜に使う記号(線、音部記号、拍子記号、音符、休符、変化記号、演奏記号)の総称。

ナチュラル、本位記号): 変化記号の1つで、シャープやフラットの機能を小節の終わりまで解除する臨時記号。

スラー: 連続する音を滑らかに繋げたレガート奏法を指示する演奏記号。弧線で表す。

ウン・ポコ(un poco): 「少しだけ」を意味する演奏記号の修飾語。

ピウ・モッソ(più mosso): 「それまでより速く」を意味する演奏記号。対義語はメノ・モッソ(meno mosso)。

テンポ・ルバート: 「あるフレーズ内のテンポを自由に加減して演奏する」という意味の演奏記号。直訳は「盗まれた時間」。

エスプレッシーヴォ(espr.): 「表情豊かに」を意味する演奏記号。

コン・フォーコ(con fuoko): 「情熱的に」を意味する演奏記号。直訳は「火と共に」。

マルカート(marc.): 「一音一音はっきりと」を意味する演奏記号。

Dorico: ヤマハ系列の楽譜作成ソフト。'16.発売。

タブラチュア譜タブ譜): 楽器固有の運指や操作の仕方を数字や記号で示す楽譜。

ネウマ: 五線譜が成立する前の中世欧州で、グレゴリオ聖歌等の記譜に用いた記号。旋律の上下を点や曲線で示した。

スウィング(シャッフル、バウンス、ブギ): ポピュラー音楽のリズムで、楽譜上では同じ長さの2つの連続した音符のうち、前(表)の音符を長めに、後ろ(裏)の音符を短めに(普通は2:1の比率で)演奏すること。跳ねるようなリズムとなる。
用語の使い分けに決まったものはないが、8ビートの場合はシャッフル、16ビートの場合はバウンス、レイドバック感のあるジャズのリズムはスウィングと呼ぶことが多い。

ペンタトニック・スケール: 5音で構成される音階のこと。日本のヨナ抜き音階、琉球のニロ抜き音階等。

ダイアトニック・コード: その調性の音階の音のみで構成されるコード。長調におけるI△7、I6等。

ガラ・コンサート: 記念日や年末年始等、何かを記念して行われるコンサート。「ガラ」は祝祭を意味するフランス語。

レイヴ: ダンス音楽を一晩中流す大規模な音楽イベントやパーティーのこと。毎週決まった場所で行われるクラブイベントとは異なり、屋外や特設会場で行う、単発や年1回のイベントで、規模も大きいものを指す。
80s後半の英国で始まり、アシッド・ハウスやテクノといった最新の音楽や、エクスタシー等の多幸系ドラッグの流行と相俟って新しい流行となった。

同期音源: ライブでの演奏と組み合わせて流す、事前録音しておいた音源。

Hi-Fi(ハイファイ): High Fidelity(高再現性)。高音質でノイズやひずみが少ないこと。但し、かつてHi-Fiと呼ばれた水準はデジタル時代の現代では当たり前すぎるため、より再現性の高い音響を表す言葉は「ハイレゾ」等に置き換わっている。

ハイレゾ: High Resolution(高解像度)。元々は映像分野の言葉だが、音源やオーディオの音質を表すのにも使われる。

モノラル: 音声の記録・再生方式で、1つの録音装置や再生装置だけを使うこと。

ステレオ: 音声の記録・再生方式で、2つのチャンネルで記録し、左右2つのスピーカーで音声を再生すること。左右の耳に入る音の音量差・位相差を利用して音に立体感・臨場感を出すことができる。60sに一般化した。

サラウンド: 音声の記録・再生方式で、モノラル(1.0ch)やステレオ(2.0ch)より多い3つ以上のチャンネルをもつもの。英語で「囲む」という意味があり、聞き手の周囲をスピーカーが囲んだ状態を表す。
臨場感のある音響を実現するため、映画館では古くから導入している(ディズニーの『ファンタジア』(1940)等)。

ドルビーアトモス: ドルビーラボラトリーズ(米)が開発したサラウンド記録再生方式。各スピーカーの出力を音声の位置情報を元にリアルタイム演算で求める方式をとっており、自由なスピーカー配置が可能。
近年、映画館や音楽配信サービス(Apple Musicの「空間オーディオ」等)で採用が広がっている。

コンデンサマイク: 音によって2つの電極の片方が振動し、それを電圧の変化に置き換える仕組みのマイク。集音のために電源供給が必要だが、集音できる周波数が広く感度が高い。

コンポーネント: 構成要素、部品のこと。特にオーディオの分野で、アンプ、チューナー、スピーカー、プレーヤー等の単独の機器。コンポ。

スピーカー: 音響を表す電気信号を、実際の音(空気の振動)に変える装置。

フルレンジ: スピーカーの方式で、1つのユニットで全ての音域を再生すること。

マルチウェイ: スピーカーの方式で、複数のユニットで再生する音域を分担すること。
3ウェイの場合、高音域用の小口径のユニットを「ツイーター」(英語で鳥のさえずりを表す)、中音域用を「スコーカー」(騒がしい鳴き声を表す)、低音部用の大口径のユニットを「ウーファー」(動物の唸り声を表す)という。

イヤフォン(イヤホン): 耳に装着するタイプの小型スピーカー。形状は、小型耳栓のように深く差し込む「カナル型」、耳穴の入口に引っ掛ける「インナーイヤー型」が一般的。
他に、ヘッドフォンに分類されることもあるが、耳輪(じりん)に引っ掛ける「耳かけ式」や、こめかみを挟むように装着し、鼓膜ではなく骨に振動を伝える「骨伝導式(こつでんどう-)」もある。

ヘッドフォン(ヘッドホン): ヘッドバンドで装着する、左右の耳を覆うタイプの小型スピーカー。

ノイズキャンセラー: イヤフォンやヘッドフォンの機能で、周囲のノイズと逆位相の信号を出力し、耳に侵入する環境音を軽減するもの。特に低音の雑音を消すのに長けている。

ドルフィンアタック: 人間の可聴域を超えた周波数の音を使い、スマートスピーカーの音声認識を操作する技術のこと。スマートスピーカーの不正ハッキングが問題となっている。

ライブリスニング: iPhoneやiPadをマイク代わりにして、その周囲の音をBluetoothイヤホンで聴く機能。補聴器代わりにしたり、壁等を隔てた場所にiPhoneを置いて盗聴器代わりにしたりできる。

JVCケンウッド(JVC Kenwood): 電機メーカー。前身は日本ビクターとケンウッド。音響機器やカーナビに強い。傘下にJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

オーディオテクニカ(Audio-Technica): 東京都の電機メーカー。ヘッドフォン等の音響機器に強い。

ゼンハイザー(Sennheiser): ドイツの老舗音響機器メーカー。

ボーズ(Bose): 米国の音響機器メーカー。フルレンジスピーカー、ノイズキャンセラー付きイヤフォン等を得意とする。

ビーツ(Beats): アップルのオーディオブランド。'08.音楽プロデューサーのDr.ドレーらが創業。'14.アップルが買収。

EarPods: アップルの有線イヤフォンのシリーズ。'12.発売。

AirPods: アップルのワイヤレスイヤフォンのシリーズ。'16.発売。初期の製品は真っ白で長い円筒形部分が目立ち、〈耳からうどん〉と揶揄されながらも、圧倒的な売上げでワイヤレスイヤフォンを身近な存在にした。

アンカー・サウンドコア(Anker Soundcore): アンカーのオーディオブランド。「d」の字を音符風にしたロゴは、明らかにビーツに寄せたもの。

MIDI: 電子楽器の演奏データ、舞台照明の変転のデータ等を扱うファイル形式等の規格。ファイル拡張子は「.mid」。
演奏された音楽全体を記録する一般の音楽データ(オーディオファイル)と違い、音色の種類や楽譜的な情報を保存するだけなので、データサイズが圧倒的に小さい。複数の電子楽器を連動させる共通言語として80sに生まれ、DTMの時代を開いた。

ヒス音: アナログの磁気テープ特有の、「サー」「シャー」といった高音の持続的な雑音。

レコード: 音の波形を表す「音溝」を精密に彫って、音声を記録する媒体。プレーヤーの針が溝をなぞることで振動し、その振動を電気信号に変換したりアンプで増幅したりして、音声を再生する。
エジソンの発明時(1877)は円筒状の蝋管だったが、やがて円盤状のものが規格化した。材質は様々なものがあるが、戦後はビニール(ヴァイナル)盤が一般的になっている。
レコード音源は、音声の正体である、曲線的な音の波形をデジタル処理せずに作る。そのため、出来が良くまだ摩耗していないレコードの場合は、どんなハイレゾ音源よりもリアルな音が再生できる。
80s後半にCDが普及すると、音楽メディアの売上の大半はCDが占めるようになり、レコードは一部のレコードマニアだけが聴くものになってしまった。
しかし、近年はCDと同じ音が配信やサブスクでも手に入るようになったため、物理メディアを欲する音楽ファンの関心はレコードに移り、'20年頃から再び「レコード市場>CD市場」の時代となっている。

ソノシート: 極めて薄く、容易に曲げられるほど柔らかいレコード。雑誌の付録等によく使われた。'58.フランスのメーカーが開発。

シングル: 大衆音楽における曲の販売単位で、1-4曲程度を収録した媒体。対義語はアルバム。一般に、メインの曲名(A面曲)がそのままタイトルとなる。
シングル・レコードは、60s以降、7インチ(17cm)盤で45回転/分のものが主流。各面に1曲ずつ収録し、表・裏面の曲を「A面曲」「B面曲」と呼び、A面曲のヒットを狙うものが多い。「両A面」と称し2曲のヒットを狙うこともある。
CDシングルは、8cm盤のものと、12cm盤のもの(マキシシングル)がある。CDはレコードと違い片面ディスクだが、メインの曲とカップリング曲を組み合わせる文化は強固に残った。
デジタルシングル(配信シングル、ダウンロード・シングル)の時代になると、カップリング曲が付くことは徐々に減り、最近は1曲のみのシングルが主流となっている。

カップリング曲(B面曲): 音楽のシングルにおける、メインの曲以外の曲。円盤の表・裏面に1曲ずつ収録できるレコードの特性から生まれた文化。しばしば、「(A面曲) c/w B面曲」と表記するが、この「c/w」はcoupled withの略。

リイシュー盤: 過去に発売された作品の再発盤。

海賊盤ブートレグ): 著作権者に無断で、非正規に販売されるレコードやCD。「ブートレグ」という英語は、米国で禁酒法時代に密造酒を靴の中に隠したことに由来する。

モータウン: デトロイト発祥のレーベル。60sにモータウン・サウンドとも呼ばれるソウルミュージックを生み出し、R&Bチャートを席巻した。
マーヴィン・ゲイ、スプリームス、スティーヴィー・ワンダー、ジャクソン5等が所属した。レーベル名は自動車産業で知られるデトロイトの通称「motor town」から。

ソニー・ミュージックエンタテインメントSMEJ): ソニーグループの日本における音楽事業の統括会社。日本最大手のレコード会社。
日本国外の音楽事業を統括するSMEとは兄弟会社の位置付け。傘下にアニプレックス、Zeppホールネットワーク(ライブハウス「Zepp」を経営)。
'68.「CBS・ソニーレコード」として設立。主なレーベルにSony Records、Sony Music Associated Records、SME Records、Epic RecordsKi/oon(キューン)、Ariola Japan(旧BMGファンハウス)。

ユニバーサルミュージック・ジャパン: ユニバーサルミュージック傘下のレコード会社。1927.欧州資本の日本法人「日本ポリドール」として設立。'12.親会社のEMI買収に伴い、EMIの日本法人を吸収。
ポリドール系列でスピッツ('91-)、EMI系列で松任谷由実('72-)、椎名林檎('98-)、RADWIMPS('05-)、他に、藤井風('19-)らがデビュー時から所属する。日本のクラシック界・ジャズ界でも圧倒的な存在感を誇る。

ワーナーミュージック・ジャパン: ワーナーミュージック傘下のレコード会社。山下達郎('82-)、あいみょん('16-)らが所属する。

日本コロムビア: 日本最古のレコード会社。1910.日本蓄音器商会として設立。1927.コロムビア・レコード(米)と提携開始。昭和期には、藤山一郎、美空ひばり、島倉千代子、都はるみ、石川さゆりらの大御所が所属し、現在も比較的、演歌に強い。

ポニーキャニオン: フジサンケイグループのレコード会社、映像ソフト会社。初期はカセットテープの販売がメインだったが、「およげ!たいやきくん」('75)のメガヒット、80sのアイドル歌謡ブームにより、レコード大手に成長した。
aiko('98-)、Official髭男dism('18-)らが所属する。

エイベックス(avex): 日本のレコード会社、音楽プロダクション(芸能事務所)。音楽プロデューサーでもある松浦勝人が創業し、'23現在も会長を務める。レコード会社としての始動は平成に入ってからだが、90sの小室ブームで急成長した。
Every Little Thing('96-)、浜崎あゆみ('98-)らが所属する。

トイズファクトリー: 日本のレコード会社。Mr.Children('92-)、BUMP OF CHICKEN('00-)らが所属する。

VEVO(ヴィーヴォ): 世界最大のMV(ミュージックビデオ)供給会社。ユニバーサルやソニーが出資する。'09.設立。

Deezer: フランス発の音楽配信サービス。「Deezer Hi-Fi」でCDと同等のロスレス音質(FLAC形式)を提供する。

日本音楽著作権協会JASRAC): 音楽著作権の集中管理事業を行う法人。
作詞者・作曲者・音楽出版者から著作権の信託を受け、楽曲利用者との利用許諾契約、利用料徴収と権利者への分配、著作権侵害の監視、著作権侵害者に対する法的責任の追及等を行う。

J-WID: JASRACの作品検索データベース。楽曲のカバーや配信が可能かどうか等を調べられる。

バンド: 音楽の演奏グループのこと。ブラスバンドやマーチングバンド、ビッグバンド、ボーイバンド等、様々なタイプがあるが、日本で単に「バンド」というとロックバンドを指すことが多い。
固定メンバーは3-5人程度で、必要に応じサポートメンバーを加える場合が多い。主な楽器はヴォーカル(Vo)、ギター(G)、ベース(B)、ドラム(Ds)、キーボード(Key)等。

マンドリンオーケストラ: マンドリン属の楽器(マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ)、ギター、コントラバスによる合奏団。
日本では大学や高校のマンドリン部の合奏形態となっており、20c初頭までイタリアで隆盛を極めたマンドリン音楽のようなトレモロ主体のアンサンブルが特徴。しかし70sをピークに、マンドリン人口は減ってきている。

マエストロ: 名人や巨匠を意味するイタリア語で、日本では専ら「名指揮者」を指す言葉。

しゃくり: 歌唱で、音の入りを低めから当てにいく時等に、滑らかに音程を上げること。

フォール: 歌唱で、次の音やフレーズに向けてグルーヴを出す時等に、滑らかに音程を下げること。

アカペラ: 楽器伴奏無しで重唱・合唱を行うこと。簡素な教会音楽を意味するイタリア語のa cappella(礼拝堂風)に由来する。
主な形態として、合唱音楽におけるアカペラ、ポピュラー音楽におけるアカペラがある。前者はルネサンス期の教会音楽を源流とする。後者はマイクを使い、ヴォイス・パーカッションやヴォーカル・ベース等の表現手法も使う。
後者の源流としては、1930年代以降のバーバーショップ音楽のリバイバル、50sのドゥーワップ・ブームが挙げられるが、70s頃からはロックをはじめ、あらゆるポピュラー音楽のジャンルをアカペラで演じるグループが現れるようになった。
日本では21c初頭から、フジテレビの番組「ハモネプリーグ」や、早大のアカペラサークル出身のゴスペラーズが人気を博し、ポピュラー音楽としてのアカペラが一般に知れ渡るようになった。

ボー(インワードリップベース): HBBで、唇の端で息を吸い、唇の振動で重低音を出す技。

井上大佑: 世界で初めてカラオケのビジネス化に成功した発明家。'71.カラオケ1号機「エイトジューク」開発。'04.イグノーベル平和賞受賞。

エクシング: 名古屋市の企業。ブラザー工業傘下。通信カラオケの業界2位「JOYSOUND」、業界3位「UGA(ウガ)」を運営する。

VOCALOID(ボーカロイド)(ボカロ): ヤマハが開発した音声合成技術、及びその応用ソフト。旋律と歌詞を入力することで、サンプリングされた人の声を元にした歌声を合成する。

クリプトン・フューチャー・メディア: VOCALOIDソフトで知られる札幌市の企業。'04.史上初の日本語VOCALOIDソフト「MEIKO」発売。'07.「初音ミク」「鏡音リン・レン」発売。'09.「巡音ルカ」発売。

電気楽器(エレクトリック・インストゥルメント): 楽器が作る音を電気信号として取り出し、スピーカーで出力する楽器。エレキギター、エレクトリックピアノ、ハモンドオルガン、メロトロン、クラビネット等。

電子楽器(エレクトロニック・インストゥルメント): 電子回路によるパルス波の発生で音を作る楽器。テルミン、オンド・マルトノ、電子ピアノ、エレクトーン、シンセサイザー等。

ピアノピアノフォルテ、Pf): 鍵盤楽器。鍵盤に連動するハンマーが弦を叩くことで発音する。独奏楽器としても伴奏楽器としても汎用性が高く、保育士試験や小学校教員採用試験では最低限扱えることが必須となっている。
現代のピアノは「A0」から「C8」まで7オクターヴ以上に渡る88鍵があり、その音域はオーケストラの全音域よりも広い。
楽器名の由来は、既存の鍵盤楽器と異なり、ピアノからフォルテまで自在に表現できること。1700年頃にトスカーナ大公国のバルトロメオ・クリストフォリが発明した。

ヤンコ鍵盤: 白鍵と黒鍵の形を統一し、横隣の鍵を全音の関係、縦隣(斜め隣)の鍵を半音の関係に揃え、6段にわたって配置したピアノ用鍵盤。19c末に、ハンガリーのヤンコがアコーディオンのボタン式鍵盤を模して考案した。
移調しても全く同じ手の形で演奏ができるほか、手の大きさ等によって運指を選ぶことができ、通常の鍵盤よりもかなり広い音階域に手が届く、とても合理的な鍵盤である。
しかし、従来型の鍵盤の演奏や製造に局所最適化されていた音楽家や業界人には不評で、ほとんど普及しなかった。

ウナ・コルダ(u.c.): ピアノのソフトペダルを踏むことを指示する演奏記号。

ベーゼンドルファー: ウィーンのピアノメーカー。88鍵のピアノに加え、低音部を拡張した92鍵・97鍵のピアノを製造する。現在はヤマハ傘下。

ハモンドオルガン: 1934年にハモンド(米)が発明した電気オルガン。空気感に富む明朗な音色が特徴。パイプオルガンを置けない米国の中小教会で代用品として広まり、ゴスペルと共に発展し、後にジャズやロックでも使われるようになった。

オンド・マルトノ: 世界初のよく知られる電子鍵盤楽器。メシアンらがこの楽器を使った作品を多数残した。1928.マルトノ(フランス)が発明。

アナログ・シンセサイザー: アナログ回路で音声を合成するシンセサイザー。モーグシリーズ('64-)、プロフェット5('78)等の名機があり、安価で多機能なデジタルシンセの普及後も、アナログ独特の音質や機能でファンが多い。

バンドネオン: タンゴ等で使う蛇腹楽器。アコーディオンよりもシャープな音色をもち、両手で蛇腹を操作するのが特徴。主な奏者にアストル・ピアソラ、小松亮太。

セーハ(バレー): ギターやウクレレで、同じフレット上の複数の弦を一本の指でまとめて押さえること。

オルタネイト・ピッキング: ギターの奏法で、ダウンピッキングとアップピッキングを交互に繰り返すこと。

ストローク: ギターの奏法で、ピックを使い低音弦側から高音弦側に向け垂直にかき鳴らすこと。ダウンストロークとも(逆に高音弦側から弾く場合は「アップストローク」)。和製英語であり、英語では「ストラミン」という。

ギブソン: 米国のギターメーカー。エレキの代表モデルにレスポールがある。

フェンダー: 米国のギターメーカー。50s-60sにエレクトリックギター産業の先駆者として多くの名器を発表した。エレキの代表モデルにストラトキャスターがある。

スラップ奏法: ベースの奏法で、打楽器のようにパーカッシブな効果を得るもの。エレキベースの場合、親指で弦を叩くようにはじく「サムピング」と、人差し指や中指で弦を引っ張り指板に打ちつける「プリング」を組み合わせる。

スティングレイ: ミュージックマンが'76年に発売したエレキベース。スラップ奏法を得意とする奏者に好まれる。

BOSS: ローランドのエフェクターブランド。オーバードライブ等のコンパクトエフェクターがよく知られる。

マーシャル: 英国のギター用アンプブランド。椎名林檎「丸ノ内サディスティック」('99)のサビの歌詞に登場する(〈マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ…〉)。

リュート: 撥弦楽器。東アジアの琵琶と近縁。中世~バロック期の欧州の世俗音楽では最も重要な楽器だった。「木」を意味するアラビア語に由来する。

コル・レーニョ: ヴァイオリン等で、弓の木の部分で弦を叩く奏法。ベルリオーズの「幻想交響曲」第5楽章等で使う。「木で」を意味するイタリア語。

ボーカル: ファゴットやコーラングレにダブルリードを繋ぐ細長い管。英語表記はbocal。

サクソフォン(サックス): 木管楽器の1種。ジャズや吹奏楽のメイン楽器の1つ。真鍮製で、シングルリードのマウスピースを使って吹く。19c半ばにベルギーのアドルフ・サックスが発明した。
様々な音域のものがあるが、一般的に使われるのはソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4つ。

メロフォン: 金管楽器の一種。マーチングバンド等でフレンチホルンの代わりに使われることがある。

ドラムロール: スネアドラムを細かく叩き続ける奏法。結果発表の効果音として使う。

フィルイン: メロディラインや定型フレーズの空白部分・繋ぎの部分に、主にドラムが演奏する即興的なフレーズのこと。「埋める」を意味する英語から。

ギロ: 擦ったり叩いたりして奏でる打楽器。瓢箪の中身をくり抜き、刻み目を付けて作る。ラテン音楽で使うことが多い。

一五一会: BEGINとヤイリギターが共同制作した楽器。ギターと三味線を合体させたような特徴をもつ。

胡弓: 和楽器で唯一の擦弦楽器。元々、三味線、箏と共に三曲合奏の構成楽器だが、明治以降は尺八にその座を譲ることが増えた。一般的に弦は3本で、三味線を小型にしたような形。

龍笛: 雅楽の管楽器。篠竹製の横笛で、篠笛や能管の原型と考えられている。

: 雅楽の管楽器。17本の細い竹管を円形に束ね、竹管の下部に付けた金属製のリードを振るわせて音を出す。和音はピタゴラス音律(雅楽調律)に基づく。
ハーモニカ等と異なり、吹いても吸っても音程が変わらないため、息継ぎせずに同じ音をずっと鳴らし続けることができる。主な奏者に宮田まゆみ。

尺八: 日本の竹製の縦笛。習得が難しく〈首振り3年、コロ8年〉という言葉がある。

馬頭琴(モリンホール): モンゴルの擦弦楽器。2本の弦をもつ。民話『スーホの白い馬』は馬頭琴の由来にまつわる話。

バラライカ: ロシアの撥弦楽器。三角形の共鳴胴、3本の弦をもつ。

オカリナ: 中米発祥の笛。陶器製のものが多い。「小さなガチョウ」を意味するイタリア語。

ケーナ: 南米(ペルー、ボリビア等)発祥の縦笛。透き通った音をもち、フォルクローレで主に旋律を担う。

テルミン: 世界初のよく知られる電子楽器。アンテナに手をかざすことで音高と音量を調節する作音楽器。1919.テルミン(ソ連)が発明。

オタマトーン: 明和電機が開発した電子楽器。作音楽器。オタマジャクシや音符のような見た目で、「シッポスイッチ」を押さえ口をパクパクさせることで歌声のような音を出す。

島村楽器: 国内最大手の楽器店、音楽教室。元々はヤマハ音楽教室から独立した、東京の城東地域や千葉県を中心とするチェーン店。平成期に、イオンモールを中心としたショッピングセンターの開業ブームに乗って全国展開した。

イシバシ楽器: 御茶ノ水に本店をもつ大手楽器店。中古楽器の買取・販売も行う。ギターの品揃えに定評がある。

タケモトピアノ: ピアノ買取業者。中古ピアノを世界各国で販売する。財津一郎のギャグを使った本人出演CM(〈みんなまあるく(0120-37-0009)〉〈電話してちょーだい〉〈そのとーり〉〉で知られる。

サントリーホール: 東京・アークヒルズにあるコンサートホール。ヴィンヤード型、約2000席。ほぼ全ての在京プロオケが定演を行う重要なホール。'86.東京初のクラシック音楽専用設計ホールとして開館。

NHKホール: 東京・渋谷のNHK放送センターにある多目的ホール。アリーナ型、約3600席。NHK交響楽団の本拠地。オペラやバレエも公演される。'73.開館。
NHK紅白歌合戦、『うたコン』、NHKニューイヤーオペラコンサート、おかあさんといっしょファミリーコンサート、NHK全国学校音楽コンクール、NHK杯全国高校放送コンテスト等の、公開生放送・公開収録の会場となっている。

オーチャードホール: 東京・渋谷のBunkamuraにあるコンサートホール。シューボックス型、約2000席。東京フィルハーモニー交響楽団の本拠地。「オーチャード」は果樹園を意味する英語で、「豊穣」をイメージさせる赤を基調とした内装。'89.開館。
東急ジルベスターコンサートでは、公開生放送の会場となっている。

新宿文化センター: 東京・新宿にある区立複合施設。大ホールは約1800席。多目的ホールながらパイプオルガンを備え、オペラやバレエも公演される。

東京文化会館: 東京・上野公園にあるコンサートホール。アリーナ型、約2300席。東京都交響楽団の本拠地。オペラやバレエも公演される。'61.開館。

すみだトリフォニーホール: 東京・錦糸町にあるコンサートホール。シューボックス型、約1800席。新日本フィルハーモニー交響楽団の本拠地。名称は「人と音楽とホール」のトリフォニー(三位一体)から。'97.開館。

人見記念講堂: 東京・三軒茶屋の昭和女子大学構内にある多目的ホール。アリーナ型、約2000席。スクールカラーの青を基調とした内装が美しい。'80.開館。

童謡: 子どもが覚えやすく、歌いやすいことを意識して作ったシンプルな歌。

今様(いまよう): 日本の民謡・流行歌の形式で、「七・五・七・五・七・五・七・五」で1コーラスを構成するもの。現代でも有名な曲に「越天楽今様」や「黒田節(筑前今様)」がある。
「荒城の月」「我は海の子」「蛍の光」「リパブリック讃歌」等も今様の一種といえる。

◆『梁塵秘抄(りょうじんひしょう)』: 平安時代末期に後白河法皇が編纂した今様集。〈遊びをせんとや生まれけむ〉の一節が有名。

甚句: 日本民謡の形式で、主に「七・七・七・五」で1コーラスを構成するもの。大相撲の巡業で歌声自慢の力士が披露する「相撲甚句」等が有名。

◆「君が代」: 日本の国歌。詞は『古今和歌集』の詠み人知らずの和歌をマイナーチェンジしたもの(〈君が代は千代に八千代にさざれ石の 巌となりて苔の生すまで〉)。
世界の歌詞がある国歌の中で、「最も歌詞が短い」「最も古く作詞された」という。一説に、歌詞となる和歌を提案したのは、明治期の英学者・乙骨太郎乙(おつこつ・たろうおつ)だという。
曲は1880年に宮内省雅楽課が付けたもの。明治半ば頃から国の儀式に使われ、戦前に国歌として定着した。

◆「ラ・マルセイエーズ(マルセイユの歌)」: フランスの国歌。元々はフランス革命の革命歌で、マルセイユの義勇兵が隊歌として広めた。
チャイコフスキーの序曲「1812年」における侵略者フランスの象徴としての引用、ビートルズ「All You Need Is Love(愛こそはすべて)」のイントロでの引用も有名。

◆「会津磐梯山」: 福島県の民謡。歌詞〈小原(おはら)庄助さん 何で身上潰した 朝寝 朝酒 朝湯が大好きで それで身上潰した ハァ モットモダ モットモダ…〉。

◆「八木節」: 群馬県・栃木県に跨る両毛地域の民謡。

◆「安来節」: 島根県安来市の民謡。「どじょうすくい」のユーモラスな踊りで知られ、大正期を中心に総合芸能として全国的人気を得た。

◆「鹿児島おはら節」: 鹿児島県の民謡。盆踊り曲。歌い出し〈花は霧島 煙草は国分…〉。

◆「てぃんさぐぬ花」: 沖縄本島の民謡。「てぃんさぐ」はホウセンカのこと。

◆「しののめ節」(「ストライキ節」): 19c末の流行歌。娼妓の自由廃業を歌った。歌詞の〈さりとはつらいね、てなことおっしゃいましたかね〉は流行語になった。

◆「」(1900): 滝廉太郎作曲の歌曲。1番〈春のうららの隅田川 のぼりくだりの船人が 櫂のしずくも花と散る ながめを何にたとうべき〉。

◆「冬景色」(1913): 唱歌。歌い出し〈さ霧消ゆる湊江の 舟に白し 朝の霜…〉。

◆「朧月夜」(1914): 岡野貞一作曲の唱歌。歌い出し〈菜の花畠に 入日薄れ 見わたす山の端 霞ふかし…〉

◆「カチューシャの唄」(1914): 中山晋平作曲の流行歌。日本初の大ヒット流行歌とされる。芸術座の『復活』の劇中歌として松井須磨子が歌った。歌い出し〈カチューシャかわいや わかれのつらさ…〉。

◆「ゴンドラの唄」(1915): 中山晋平作曲の流行歌。芸術座の新作劇中歌として松井須磨子が歌った。「ゴンドラ」はヴェネツィア名物の手漕ぎ船のこと。歌い出し〈いのち短し 恋せよ乙女…〉。

◆「あめふり」(1925): 北原白秋作詞、中山晋平作曲の童謡。1番〈あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン〉。

◆「証城寺の狸囃子」(1925): 野口雨情作詞、中山晋平作曲の童謡。1番〈証 証 証城寺 証城寺の庭は つ つ 月夜だ みんな出て来い来い来い おいらの友だちゃ ぽんぽこ ぽんの ぽん〉。

◆「七つの子」(1921): 野口雨情作詞、本居長世作曲の童謡。歌い出し〈烏 なぜ啼くの 烏は山に 可愛七つの 子があるからよ…〉。
ちなみに、七つが「7歳」を指すのか「7羽」を指すのかは永遠の論争となっている。7年も生きたカラスは「子」と呼べないし、カラスは一度に7羽の雛を育てることもない。
80sにはTV番組『8時だョ!全員集合』で、志村けんが歌った替え歌(〈カラス なぜ鳴くの カラスの勝手でしょ…〉)が流行した。

◆「あわて床屋」(1923): 北原白秋作詞、山田耕筰作曲の童謡。サビ〈チョッキン チョッキン チョッキンナ…〉。

◆「中国地方の子守唄: 岡山の民謡を元に山田耕筰が編曲した子守唄。歌い出し〈ねんねこ しゃっしゃりませ…〉。

◆「ちゃっきり節」(1927): 北原白秋作詞の静岡の新民謡。歌詞が30番まである。

◆「たきび」(1941): 童謡。1番〈かきねのかきねのまがりかど たきびだたきびだおちばたき あたろうか あたろうよ きたかぜぴいぷうふいている〉。

◆「夏の思い出」('49): 中田喜直作曲の歌曲。NHK『ラジオ歌謡』で放送した。1番〈夏がくれば思い出す はるかな尾瀬 遠い空…〉〈水芭蕉の花が 咲いている…〉。

◆「かわいいかくれんぼ」('51): サトウハチロー作詞、中田喜直作曲の童謡。1番〈ひよこがね お庭でぴょこぴょこかくれんぼ どんなにじょうずにかくれても 黄色いあんよが見えてるよ だんだんだあれがめっかった〉。

◆「お化けなんてないさ」('66): NHK『みんなのうた』で放送した童謡。歌い出し〈お化けなんてないさ お化けなんてうそさ ねぼけた人が 見まちがえたのさ だけど ちょっと だけど ちょっと ぼくだって こわいな…〉

◆「南の島のハメハメハ大王」('76): NHK『みんなのうた』で放送した童謡。全島民が「ハメハメハ」という名をもつ不思議な島について歌う。

◆「アルプス一万尺」: 子どもの手遊び歌。米国民謡「ヤンキードゥードゥル」の替え歌。歌詞〈アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを さあ踊りましょう…〉。
「アルプス」は日本アルプス、「小槍」は槍ヶ岳のことで、「一万尺」はその標高である約3000mのこと。「子ヤギ」ではないし、「一万弱」でもない。

◆「蛍の光」: スコットランド民謡を原曲とする日本の唱歌。公共施設・商業施設の閉館時のBGMとして一般的。NHK紅白歌合戦ではエンディングに大合唱が行われる。
1943.日本で英米音楽1000曲が敵性音楽として演奏禁止された時、「庭の千草」「埴生の宿」と共に除外された。1番〈螢の光 窓の雪 書(ふみ)讀む月日 重ねつゝ 何時(いつ)しか年も すぎの戸を 開けてぞ今朝は 別れ行く〉。

◆「静かな湖畔」: 西洋の民謡を原曲とする日本の童謡。輪唱で歌うことが多い。1番では朝を告げる鳥としてカッコウ、2番では夜を告げる鳥としてフクロウの鳴き声を歌う。

マザーグース: 英国や米国で古くから口承されてきた童謡の総称。少なくとも600以上あり、聖書やシェイクスピアと並ぶ英米人の教養の基礎でもある。

スピリチュアル(霊歌、プランテーション・ソング): 主に19cの、米国の農園で働く黒人奴隷の間で歌い継がれた歌。アフリカの音楽と西洋音楽が影響し合った。

◆「Humpty Dumpty(ハンプティ・ダンプティ)」: マザーグース。卵を擬人化したキャラクター「ハンプティ・ダンプティ」について歌う。

◆「メリーさんの羊」: 米国の童謡。1877.蓄音機を発明したエジソンが、この曲で世界初のレコード録音を行った(但しそのレコードは壊れて再生できない)。

スティーヴン・フォスター: 19c半ばの米国の作曲家。「米国音楽の父」。スピリチュアル風の作風で多くの歌曲を書いた。「おおスザンナ」(1848)で米国初のプロのソングライターになったという。

◆「おおスザンナ」(1848): フォスターの歌曲。バンジョーを抱えてアラバマからルイジアナを目指す男の姿を歌った。

◆「故郷の人々スワニー河)」(1851): フォスターの歌曲。フロリダ州歌。

◆「ケンタッキーの我が家」(1852): フォスターの歌曲。ケンタッキー州歌。

◆「Beautiful Dreamer(夢見る人)」(1862): フォスターの歌曲。フォスターの「白鳥の歌」とされる。

◆「Baby Shark」: 英語の童謡。YouTubeの動画の再生回数は120億回を超え、'23現在、史上最も多く再生されたYouTubeの動画である。

◆「コロブチカ」: ロシア民謡。テトリスのBGMやフォークダンスの曲としても有名。

ジェンカ: フィンランドのフォークダンス。日本で「ジェンカ」として知られる曲は「レットキス」という流行歌で、坂本九の日本語版が有名。
「右、右、左、左、前、後、前、前、前」のステップを繰り返しながら、出会った人とジャンケンして、大きな隊列を作っていく遊びが一般的。

◆「White Christmas」(1942): 米国のクリスマスソング。ビング・クロスビー歌唱。物憂げな雰囲気と、心地よい家庭の雰囲気が混ざり合い大ヒットした。世界一売れたシングル・レコード。歌い出し〈I'm dreaming of a white Christmas…〉。

◆「若き血」(1927): 慶応義塾大学の応援歌。

◆「紺碧の空」(1931): 早稲田大学の応援歌。古関裕而作曲。

◆「ただ一つ」('47): 東京大学の代表的な応援歌。東大には学園歌・応援歌は多いものの歌われる機会は分散しており、結局ただ1つも歌えない東大出身者が多い。

◆「栄冠は君に輝く」('48): 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)大会歌。古関裕而作曲。オリジナル歌手は伊藤久男。歌い出し〈雲は湧き光あふれて…〉。

◆「燃えよドラゴンズ!」('74): 中日ドラゴンズの応援歌。曲名は映画「燃えよドラゴン」からの着想。歌詞〈一番○○塁に出て 二番○○ヒットエンドラン 三番○○タイムリー 四番○○ホームラン いいぞがんばれドラゴンズ 燃えよドラゴンズ…〉。

◆「ふり向くな君は美しい」('76): 全国高校サッカー選手権大会歌。次々と大会を去っていくチームの健闘を讃える「敗者の讃歌」として長年愛される。阿久悠作詞、三木たかし作曲。歌い出し〈うつ向くなよふり向くなよ…〉。

◆「すみれの花咲く頃」: 宝塚歌劇団のテーマソングとして戦前から歌われている、日本語詞をつけたシャンソン。歌劇団だけでなく、阪急百貨店の開店の音楽としても使われる等、阪急グループ全体を象徴する歌。

◆「I Dreamed a Dream(夢やぶれて)」: ミュージカル『レ・ミゼラブル』('80)の序盤でコゼットの母が歌う歌。'09年にスーザン・ボイルが『Britain's Got Talent』で披露し、デビューのきっかけになった。

信長貴富(のぶながたかとみ): 作曲家、編曲家。合唱曲で知られる。'13.「群青」(編曲)。

クラシック音楽: 欧州の古典的な作曲技法や演奏法による音楽。18c-20c前半の作品群が特によく知られ、オーケストラ、室内楽、ピアノ、声楽等で演奏することが多い。

古典派音楽: 18c後半やその前後のクラシック音楽。ウィーンを中心に活動したハイドンモーツァルトが有名。19c初期のベートーヴェンも含めることがある。
当時の欧州は近代への移行期で、市民向けのコンサート興行、楽譜商、音楽メディア(新聞)が登場した。教会と宮廷のための音楽(バロック音楽)から市井の音楽ファンのための音楽(ロマン派)への過渡期であり、パトロンさえ満足させれば良い時代が終わり芸術主義と商業主義の葛藤が始まった。
ピアノ、クラリネットが楽壇の表舞台に登場し、ヴァイオリンは現代と変わらないものになった。ソナタ形式を様々な楽曲の第1楽章に置くことが一般化した。
音楽的には楽曲の均斉感が重視された。ロマン派のようにテンポを大きく揺らす演奏や、突如として眉間に皺を寄せたり拳を振り上げたりしながらダイナミックな感情表現をする演奏は似合わないことが多い。

対位法: 西洋音楽で和声法(コード進行)に対比される言葉で、複数の旋律をそれぞれの独立性を保ったまま調和させて重ねる技法。

ポリフォニー: 対位法で書かれた多声音楽。

カノン: ポリフォニーの典型的な形式の1つ。複数の声部が同じモチーフを異なる時点からそれぞれ開始し、重ねるもの。「輪唱」が全く同じ旋律を追唱するのに対し、カノンでは音程やリズムが変わったりする。
パッヘルベルの「カノン」が有名。なお、コード進行の用語である「カノン進行」はパッヘルベルの「カノン」にのみ由来するもので、楽曲形式のカノンとは全く関係ない。

ソナタ形式: 「(主題の)提示部→展開部→再現部」の流れをもつ楽曲構成。古典派以降、交響曲、協奏曲、弦楽四重奏曲、ピアノソナタ等の第1楽章に置かれることが多い。

標題音楽: クラシック音楽の用語で、何らかの情景や気分、ストーリー等を描写しようとした器楽曲のこと。

絶対音楽: 標題音楽に対する言葉で、音楽以外の何かではなく、音楽によって音楽そのものを表現するために作られた器楽曲のこと。作曲家自身が副題を付けていない曲(単に「交響曲○番」と呼ばれるもの等)が多い。

交響曲シンフォニー): クラシック音楽で、複数楽章から成る大規模なオーケストラ曲。第1楽章にソナタ形式を使った4楽章構成のものが多い。「交響曲」は森鴎外が考案した訳語。

協奏曲コンチェルト): クラシック音楽で、独奏楽器とオーケストラの対比・調和を構成原理とする楽曲。独奏者には高い演奏技術が求められる。急-緩-急の3楽章構成のものが多い。

練習曲エチュード): 演奏技術を修得するための曲。エチュードはフランス語で「勉強」の意味。

ミサ曲: カトリック教会のミサで使用する声楽曲。歌詞はラテン語の決まった典礼文。通常「キリエ」「グローリア」「クレド」「サンクトゥス/ベネディクトゥス」「アニュス・デイ」の5曲から成る。
全曲を1人の音楽家が書いたミサ曲は、14cのギヨーム・ド・マショーによる『ノートルダム・ミサ曲』が現存最古のもの。
ルネサンス期のブルゴーニュ楽派・フランドル楽派は、世俗曲やグレゴリオ聖歌を定旋律にポリフォニーのミサ曲を書き、ミサ曲の黄金時代を築いた。バロック期以降のミサ曲は、器楽も加えられ大規模化した。

レクイエム: 死者の安息を願うミサや、そこで歌う聖歌のこと。「安息を」という意味のラテン語から。

奇想曲カプリース、カプリッチョ): 「気まぐれ」を意味する、形式にとらわれない曲。

リート: 古典派・ロマン派の時代に発展したドイツ歌曲のこと。シューベルトやシューマンの作品がよく知られる。

バガテル: 主にピアノ曲で、軽やかな内容の小品のこと。ベートーヴェンの「エリーゼのために」や『6つのバガテル』、リストの「無調のバガテル」が有名。

オペラ・セリア: 神話や古代の英雄を題材とする、正統派とされてきたオペラのこと。18cの欧州で支配的だった。

オペラ・ブッファ: 庶民を題材とする、しばしば喜劇的なオペラのこと。18c~19c前半のイタリアを中心に、オペラ・セリアに対するオルタナティヴとして隆盛した。

レチタティーヴォ(叙唱): 言葉を語るような歌唱。オペラやオラトリオの会話や叙述の部分で使われる。

作品番号Op.(オーパス)): 作曲家が楽譜の出版時に付ける通し番号。
なお、作曲家自身による作品番号が無いか欠落が多い場合、後世の研究者が番号を付けるが、こうしたものにはOp.ではなく、それぞれの作曲家に独自の番号名を使う。
バッハはBWV、ハイドンはHob.(ホーボーケン)、モーツァルトはK.(ケッヘル)、シューベルトはD(ドイッチュ)等。

ジルベスターコンサート: 大晦日のクラシック音楽のコンサート。「ジルベスター」は大晦日を指すドイツ語。
日本では'95年から、年越しのカウントダウンに合わせて曲を演奏する東急ジルベスターコンサート(主催:テレビ東京、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、会場:オーチャードホール)が生中継されている。
第1回のカウントダウン曲、及びカウントダウン曲になった回数が最も多い曲はラヴェルの『ボレロ』。

ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル: ドイツ東部(神聖ローマ帝国)出身の作曲家。1685年生れ(バッハと同い年)。イタリアや英国(ロンドン)で活躍し、英国に帰化した。

◆「オンブラ・マイ・フ」(1738): ヘンデルのオペラ『セルセ』のアリア。「ヘンデルのラルゴ」とも。ヘンデルのオリジナルではなく、キャリア途中でロンドンを去ったライバル作曲家・ボノンチーニの楽曲の改作。
1906年のラジオ実験放送で流され、「世界で初めて電波に乗せて放送された曲」となった。

◆『ユダス・マカベウス』(1747): ヘンデルのオラトリオ。第58曲「見よ勇者は帰る得賞歌)」は表彰式のBGMとしてあまりにも有名だが、実は初演時にはなく、ヘンデルの別のオラトリオから借用し追加したもの。

◆「おもちゃの交響曲」: オーストリア・チロル地方の神父エトムント・アンゲラーが1770年頃に作曲した、子ども向けの小さな交響曲。かつて、ハイドンの作品やレオポルト・モーツァルトの作品として知られていた。
バイエルン地方の有名な木製玩具店に寄せた曲で、水笛、カッコウ笛、おもちゃのラッパ等、様々な「おもちゃ楽器」を使う。

ケッヘル番号(K番号): モーツァルトの作品番号。626番まであり、25で割って10を足すと、作曲時のモーツァルトの年齢に近い数になる。

◆『エグモント』(1810): ゲーテの戯曲、及びベートーヴェンの劇音楽。「序曲」が有名。この曲の冒頭のように地の底から響くようなオーケストレーションは、当時としては画期的だったと思われる。
同時代から評価が高く、ゲーテはこの曲を評してベートーヴェンを「明らかな天才」と述べた。

◆『アテネの廃墟』(1812): ベートーヴェンの劇音楽。劇中曲「トルコ行進曲」のピアノ編曲版が小品として有名(モーツァルトの「トルコ行進曲」とは別物)。

◆「コリオラン」(1807): ベートーヴェンの演奏会用序曲。

◆「ピアノ協奏曲第5番『皇帝』」(1810): ベートーヴェンのピアノ協奏曲。副題は特定の皇帝を指すわけではなく、威風堂々とした風格から出版者が名付けたもの。フランツ・リストはこの曲を好んで演奏した。

◆「ピアノソナタ第14番『月光』」(1801): ベートーヴェンのピアノソナタ。静寂の第1楽章から無窮動に近い第3楽章まで、段々とテンポが速くなる序破急の展開をもつ。

◆「エリーゼのために」(1810): ベートーヴェンのピアノ曲。主題にごく短い2つのエピソードを挟んだ、演奏時間3分程度の小品(バガテル)。
本当は「エリーゼ」ではなく「テレーゼ」という女性のために書いた曲だが、ベートーヴェンが悪筆だったために間違って伝わったという。ちなみに当時、ベートーヴェンは40歳、テレーゼは18歳。ベートーヴェンは求婚したが叶わず、生涯独身を貫いた。

◆『セビリアの理髪師』(1816): ロッシーニのオペラ。原作はボーマルシェ(フランス)の喜劇で、『フィガロの結婚』の前の話に当たる。主人公は理髪師で何でも屋のフィガロ(バリトン)。登場時に歌う「私は町の何でも屋」等が有名。

エクトル・ベルリオーズ: フランスの作曲家。1830.「幻想交響曲」。1844.演奏会用序曲「ローマの謝肉祭」。

◆「別れの曲」(1832): ショパンのピアノ曲(練習曲)。甘美な主題が有名だが、劇的な中間部をもつ難曲。

◆「幻想即興曲」: ショパンのピアノ曲で、最も有名な曲の1つ。遺作だが、ショパンが20代中盤の時の曲だという。

ロベルト・アレクサンダー・シューマン: ドイツの作曲家。音楽雑誌を創刊しショパンやブラームスを紹介する等、音楽評論家としても活躍した。妻はクララ・シューマン。

◆『子供の情景』(1838): シューマンのピアノ組曲。全13曲。第7曲「トロイメライ(夢)」はクラシック音楽を代表する名旋律として知られる。第1曲「見知らぬ国と人々について」も有名。

◆『マンフレッド』(1852): バイロンの詩劇、及びシューマンの劇音楽。序曲が有名。

無限旋律: ワーグナーが確立したオペラの構成上の手法。序曲、アリア、重唱、合唱、間奏曲等を断片的な楽曲とせず、途切れなく繋げたことをいう。
この手法は、不協和音の持続やライトモチーフ(特定の登場人物や状況と結びついた旋律)の使用と相俟って、ワーグナーが目指した音楽の総合芸術化において重要な役割を果たした。

ジュゼッペ・ヴェルディ: イタリアの作曲家。イタリアのオペラ王と呼ばれる。ドイツのオペラ王・ワーグナーと同い年。華やかなオペラは国民的人気を誇り、「ヴェルディ(VERDI)」はたまたまイタリア王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の愛称にもなった。
ヴェルディ自身も首相の推薦で選挙に出馬し、イタリア王国の初代国会議員の1人となったが、程なく政治からは身を引いている。

ジャック・オッフェンバック: ドイツ生まれでフランスに帰化した作曲家。音楽と喜劇を融合した「オペレッタの父」。1858.オペレッタ『地獄のオルフェ(天国と地獄)』。

ヨハン・シュトラウス2世: オーストリアの作曲家。「ワルツ王」。ヨハン・シュトラウス1世の息子。

◆『カルメン』(1875): ビゼーのオペラ。題名は煙草工場で働くヒロインの名前。

◆「序奏とロンド・カプリチオーソ」(1863): サン=サーンスのヴァイオリンと管弦楽のための曲。スペインのヴァイオリニスト・サラサーテのために書かれ、スペイン風の要素が取り入れられている。

◆『サムソンとデリラ』(1874): サン=サーンスのオペラ。旧約聖書が題材。パリのグランドオペラらしくバレエを挟む。バレエで流れる東洋的な「バッカナール」が有名。

◆「ハバネラ」(1887): サン=サーンスのヴァイオリンと管弦楽のための曲。

◆『展覧会の絵』(1874): ムソルグスキーのピアノ組曲。ラヴェル編曲のオケ版がよく知られる。友人の画家ヴィクトル・ハルトマンの遺作展を訪れた様子を描いた曲で、拍子や速度の変化は、絵を見るムソルグスキー自身の歩調を表すという。
前奏曲・間奏曲として繰り返し使われる「プロムナード」(ムソルグスキーの足取りの表現)、荘厳な終曲「キエフの大門」等が有名。

◆「ヴァイオリン協奏曲」(1878): チャイコフスキーのVn協奏曲。四大ヴァイオリン協奏曲の1つ。ラロの『スペイン交響曲』を研究して作曲された。

◆「1812年(祝典序曲)」(1880): チャイコフスキーの演奏会用序曲。ナポレオンのロシア遠征がモチーフ。楽器として大砲の使用が指定されている。
ロシア側から見た侵略者フランスの象徴として、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を強烈に引用している。

◆「交響曲第5番」(1888): チャイコフスキーの交響曲。第1楽章冒頭で提示される主題が全楽章に登場する。

◆『ペール・ギュント』(1875): イプセンの戯曲、及びグリーグの劇音楽。組曲で演奏されることが多い。第1組曲は「」「オーセの死」「アニトラの踊り」「山の魔王の宮殿にて」。第2組曲の最終曲は「ソルヴェイグの歌」。

アントニン・ドヴォルジャーク(ドヴォルザーク): チェコの作曲家。欧州だけでなく米国でも活動し、ネイティブ・アメリカンの音楽や黒人霊歌を吸収し、作品に反映させた。
鉄道オタクであり、作曲に行き詰まると汽車や船を眺めに出かけたばかりか、時刻表や列車のシリーズ番号、運転士の名前まで暗記していたという。

アレクサンドル・ボロディン: ロシアの作曲家。「ロシア5人組」の1人。1880.交響詩『中央アジアの草原にて』。遺作にオペラ『イーゴリ公』。

◆『2つのアラベスク』(1888): ドビュッシーのピアノ曲。第1番は最も有名なピアノ曲の1つ。右手と左手のポリリズムで川の流れを表現する。

エンゲルベルト・フンパーディンク: ドイツの作曲家。ワーグナーの助手をしていた時期もある。1892.オペラ『ヘンゼルとグレーテル』。

アントン・ブルックナー: オーストリアの作曲家。ブラームスに対抗した「ワーグナー派」の交響曲作曲家で、マーラーの師匠。金管が目立つ重厚長大な交響曲を書いた。

◆「交響曲第2番『復活』」(1894): マーラーの交響曲。第4・5楽章は合唱入り。

セルゲイ・ラフマニノフ: ロシアの作曲家、ピアニスト、指揮者。身長2mの巨体に加えて指の関節が異常に柔軟で、片手でピアノの12度の音程を押さえられたという。

アレクサンドル・グラズノフ: ロシアの作曲家。1898.バレエ音楽『ライモンダ』。

◆『タイス』(1894): ジュール・マスネ(フランス)のオペラ。間奏曲「瞑想曲」がVnの独奏曲として有名。

◆「亡き王女のためのパヴァーヌ」(1899): ラヴェルのピアノ曲。自ら編曲したオケ版も有名。「パヴァーヌ」は近世のスペイン等の宮廷で踊られた舞曲。

◆『夜のガスパール』(1908): ラヴェルのピアノ組曲。

フリッツ・クライスラー: オーストリア出身のヴァイオリニスト、作曲家。7歳で特例でウィーン高等音楽院に入学し、10歳で主席卒業した神童。1905.「愛の悲しみ」「愛の喜び」「前奏曲とアレグロ」。1910.「中国の太鼓」。

グスターヴ・ホルスト: 英国の作曲家。1909.『吹奏楽のための第一組曲』。1901.『吹奏楽のための第二組曲』。1913.『セントポール組曲』。1916.組曲『惑星』。

◆『火の鳥』(1910): ストラヴィンスキーのバレエ音楽。ロシア民話を元に、王子の冒険と恋を描いた。野性的なリズムを際立たせ、不協和音を多用した、ストラヴィンスキーの出世作。振付はミハイル・フォーキン、初演はバレエ・リュス。

◆『ルーマニア民俗舞曲』(1915): バルトークのピアノ組曲。管弦楽版やヴァイオリン版等、様々な編曲がある。当時ハンガリー王国に属したトランシルヴァニア地方の民謡が題材。

カール・ニールセン: デンマークの作曲家。1916.交響曲第4番「不滅」。

◆「ラプソディ・イン・ブルー」(1924): ガーシュウィンのピアノ独奏と管弦楽のための音楽作品。ジャズとクラシックを融合した、米国の芸術音楽の代表格。

◆『ミシシッピ組曲』(1926): グローフェの管弦楽組曲。終曲「マルディ・グラ」は、TV番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』に使われていた。

◆「ピーターと狼」(1936): プロコフィエフが自ら童話と共に作った、小編成オーケストラによる子ども向け作品。ファミリー向け演奏会で、語りを付けて演奏されることが多い。
主人公のピーターを弦楽器、小鳥をフルート、アヒルをオーボエ、猫をクラリネット、お爺さんをファゴット、狼を3本のホルンで表現する。

◆『道化師』(1939): カバレフスキーの管弦楽組曲。「ギャロップ」は運動会のBGM等によく使われる。

◆『ガイーヌ』(1942): ハチャトゥリアンのバレエ音楽。初演前日に再終幕に追加された戦いの場面のために、一晩で書き上げられた曲「剣の舞」が有名。

ジェルメーヌ・タイユフェール: フランスの作曲家。「フランス6人組」唯一の女性。サティ等の影響を受けた快活で爽やかな作風で、「耳のマリー・ローランサン」と呼ばれた。

ニーノ・ロータ: イタリアの作曲家。50s以来、フェデリコ・フェリーニの映画のほとんどで音楽を担当。'72-.映画『ゴッドファーザー』シリーズ音楽担当。

◆「4分33秒」('52): ジョン・ケージの前衛音楽。3つの楽章の演奏時間だけが指定され、音符は無い。聴衆は椅子の軋みや咳払い等、意図せずに聞こえる音だけを聴く。

ウィリアム・ギロック: 米国の音楽教育家、作曲家。ピアノ学習者のための美しい小品集で有名。

カールハインツ・シュトックハウゼン: ドイツの現代音楽の作曲家。20c後半を通して、電子音楽のパイオニアとして活躍した。

尾高尚忠(おたかひさただ): 作曲家。新交響楽団→日本交響楽団(後のNHK交響楽団)の常任指揮者の1人。'48.「フルート協奏曲」。

團伊玖磨: 作曲家。童謡の代表作に「ぞうさん」。'52.オペラ『夕鶴』。

黛敏郎: 作曲家。'64-97.クラシック音楽番組『題名のない音楽会』MC。'65.映画『東京オリンピック』音楽担当。保守派文化人としても知られ、日本会議の前身団体の議長を務めた。

◆「ノヴェンバー・ステップス」('67): 武満徹の尺八、琵琶と管弦楽のための音楽作品。バーンスタインの依頼でニューヨーク・フィルのために書かれた。ちなみに、尺八と琵琶という組合せは武満以前の邦楽の歴史の中ではほとんど無かった。

加古隆: 作曲家。'95.「パリは燃えているか」(NHKスペシャル『映像の世紀』テーマ曲)。'00.「黄昏のワルツ」(NHK『にんげんドキュメント』テーマ曲)。'03.ドラマ『白い巨塔』音楽担当。

鷺巣詩郎(さぎす-): 作曲家、音楽プロデューサー。『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ等、庵野秀明の作品のほとんどで音楽を担当。80sアイドルやクラシカル・クロスオーバーの音楽プロデューサーとしても名高い。

小栗克裕: 作曲家。'03.ピアノのための組曲「水の彩る風景」。

澤野弘之: 作曲家。'06-.ドラマ『医龍』シリーズ音楽担当。'13-.アニメ『進撃の巨人』シリーズ音楽担当。

東京フィルハーモニー交響楽団: 日本のプロオケ。元は名古屋の百貨店の楽団で、現存する日本最古のオケ。楽団員数が多く、日本で最も頻繁に新国立劇場等でオペラの伴奏を担当する。本拠地は渋谷のBunkamuraオーチャードホール。

フィルハーモニア管弦楽団: ロンドンのプロオケ。本拠地はロイヤル・フェスティバル・ホール。

ハンス・フォン・ビューロー: ドイツの指揮者。指揮を音楽的に重要な地位へと高めた職業指揮者の先駆け。ベルリン・フィル第2代常任指揮者(1887-92)。
2派の対立があった19c後半のドイツ楽壇において、ワーグナー派からブラームス派へと途中で鞍替えした。バッハ、ベートーヴェン、ブラームスを「ドイツ3B」と名付けたのはビューローである。
ビューローの妻はリストの娘だったが、彼女はワーグナーと不倫して子を設け、後にビューローと離婚しワーグナーと再婚した。このことがワーグナーとの確執となった可能性もある。
ビューローには聴衆を啓発するという使命感があり、しばしば演奏前に聴衆に向かって講義した。ベートーヴェンの第9を演奏した際には、全曲をもう一度繰り返し、聴衆が途中で逃げ出せないよう、会場の扉に鍵を掛けさせたという。
ブラームスはこのことを「ベートーヴェンの第18」と揶揄し、ビューローの影響で指揮者となったワルターも「疑問に思った」と書き残している。

斎藤秀雄: 指揮者、チェリスト。『指揮法教程』の執筆や、小澤征爾ら多くの弟子を育てたことで知られる。

小林研一郎: 指揮者。「炎のコバケン」。チェコ・フィル等との仕事で知られる。

ヴィルヘルム・バックハウス: ドイツ出身のピアニスト。「鍵盤の獅子王」。ベートーヴェン、ツェルニー、リストの直系の弟子。1909.世界初の協奏曲録音でソリストを務めた(グリーグのPf協奏曲の一部)。

エフゲニー・キーシン: ロシア出身のピアニスト。ユダヤ人。

角野隼斗かてぃん): ピアニスト。YouTuber、Penthouseのメンバーとしても活動。クラシックの他にジャズ理論も学び、自作の変奏曲はYouTubeで人気を博す。'21.ショパン国際ピアノコンクールで三次予選進出。

ギドン・クレーメル: ラトビア出身のヴァイオリニスト。'69年のパガニーニ国際コンクール、'70年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝。

アンネ=ゾフィー・ムター: ドイツ出身のヴァイオリニスト。モーツァルトの弾き振りも得意とする。

五嶋みどり: ヴァイオリニスト。枚方市出身。小学生の時に渡米しジュリアード音楽院で学んだ。その後も米国に拠点を置き、演奏活動の傍ら社会事業にも取り組む。
まだ3/4サイズの楽器を使用していた14歳の時に、本番演奏中に2度もE線が切れるアクシデントに動じず、オケの団員と楽器を交換して弾き切ったことは語り草で、米国の小学校の教科書にも載った。

廣津留すみれ(ひろつる-): ヴァイオリニスト。大分市、ハーバード大、ジュリアード音楽院出身。

服部百音(-もね): ヴァイオリニスト。服部良一の曽孫、服部克久の孫、服部隆之の娘。'09.10歳でリピンスキ・ヴィエニヤフスキ国際コンクール優勝(史上最年少)。

ショパン国際ピアノコンクール: ポーランドのワルシャワで、5年に1度秋に行われるピアノ演奏コンクール。ショパン作品のみで争う特殊なコンクールだが、日本ではもっとも有名なクラシック音楽のコンクールとなっている。

チャイコフスキー国際コンクール: ロシアのモスクワで、4年に1度行われるクラシック音楽のコンクール。

エリザベート王妃国際音楽コンクール: ベルギーのブリュッセルで毎年行われるクラシック音楽のコンクール。毎年、ヴァイオリン、ピアノ、声楽、チェロから1部門だけ選考する。

ブザンソン国際コンクール: フランス東部の避暑地・ブザンソンで行われるクラシック音楽のコンクール。指揮者部門が有名。小澤征爾、佐渡裕、下野竜也等、日本人の優勝者が多い。

ロン・ティボー国際コンクール: パリで行われるクラシック音楽のコンクール。ピアニストのマルグリット・ロン、ヴァイオリニストのジャック・ティボーが共同で創設した。

音楽之友社: クラシック音楽系の出版社。1941.『音楽の友』創刊。'52.『レコード芸術』創刊。

全音楽譜出版社: クラシック音楽系の出版社。現在は河合楽器製作所の子会社。

◆「星条旗よ永遠なれ」(1896): スーザの行進曲。米国の公式行進曲に定められている。

◆「ボギー大佐」(1914): ケネス・ジョゼフ・アルフォード(英)の行進曲。ボギーは人名でなくゴルフのボギーのこと。
編曲版が映画『戦場にかける橋』のテーマ曲「クワイ河マーチ」として世界的に知られるが、元々英国では国民的な行進曲だった。日本では詠み人知らずの替え歌「サル・ゴリラ・チンパンジー」としても広まっている。

◆「エル・クンバンチェロ」(1943): エルナンデス(プエルトリコ)の曲。吹奏楽の定番曲で、高校野球の応援等で使われる。曲名は「太鼓を叩く人」を意味するスペイン語。

◆「アルハンブラの思い出」(1896): フランシスコ・タレガのギター曲。トレモロ奏法を駆使する。

ニニ・ロッソ: イタリアのトランペット奏者。「トランペットの詩人」。'64.「夜空のトランペット」。

◆「バロック・ホウダウン」('67): ペリー&キングスレイの電子音楽。70sから編曲されたものが各地のディズニーパークで使われるようになり、一般的には「エレクトリカルパレードの曲」として知られる。

◆『image(イマージュ)』: ヒーリング・ミュージック系のコンピレーションアルバムのシリーズ。
第1作('00)は葉加瀬太郎「エトピリカ」「情熱大陸」、加古隆「パリは燃えているか」、シャルロット・チャーチ「ピエ・イエズ」、大島ミチル「風笛」等を収録し、ミリオンセラーを記録した。

ホーギー・カーマイケル: 米国のジャズ・ピアニスト。1927.「スターダスト」。1930.「我が心のジョージア」。

◆「What a Wonderful World(この素晴らしい世界)」('67): ルイ・アームストロングの曲。ベトナム戦争を嘆き、平和な世界を夢見て書かれた曲。'87.映画『グッドモーニング,ベトナム』主題歌としてリバイバル・ヒット。
歌い出し〈I see trees of green, red roses too…〉。

ベニー・グッドマン: 米国のクラリネット奏者。「スウィングの王様」。1938.カーネギーホールで初めてジャズコンサートを行う。この時取り上げた「Sing, Sing, Sing (With a Swing)」が代表曲として知られる。

◆「Route 66」('46): ジャズのスタンダード曲。曲名はかつてシカゴとLAを結んだ国道の名で、観光案内的で軽快な歌詞を歌う。ナット・キング・コール、マンハッタン・トランスファーらの歌唱が有名。

チャーリー・パーカーバード): 米国のアルトサックス奏者。「モード・ジャズ(ビバップ)の父」。愛称はバード。NYのジャズクラブ「バードランド」、英国のロックバンド「ヤードバーズ」は彼の名に由来する。

ハンク・ジョーンズ: 米国のジャズピアニスト。弟のサド(トランぺット)、エルヴィン(ドラムス)も世界的なジャズ奏者。

◆「Fly Me To The Moon」('54): ジャズ/ボサノヴァのスタンダード曲。原曲は3拍子。'62.現在知られる4拍子の編曲が誕生。'64.フランク・シナトラがカバーし大ヒット。
シナトラ版のテープはアポロ10号・11号に積み込まれ、人類が月に持ち込んだ最初の曲となった。

サラ・ヴォーン: 米国のジャズ歌手。非常に広い声域をもった。'55.「Lullaby of Birdland(バードランドの子守唄)」。'66.「A Lover's Concerto」。

ニーナ・シモン: 米国のジャズ歌手。'58.「My Baby Just Cares for Me」。'64.「Don't Let Me Be Misunderstood(悲しき願い)」。

チャールズ・ミンガス: 米国のジャズ・ベーシスト。'56.アルバム『直立猿人』。

◆「Moon River」('61): 映画『ティファニーで朝食を』劇中歌。アカデミー歌曲賞受賞曲。オードリー・ヘップバーン歌唱、ヘンリー・マンシーニ作曲。1オクターブと1音しかないオードリーの声域に合わせて書かれた。'62.アンディ・ウィリアムスがカバー。

◆「Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)」('62): 同名映画主題歌。アカデミー歌曲賞受賞曲。ヘンリー・マンシーニ作曲。原曲はコーラスによる。
通称「酒バラ」としてジャズのスタンダードナンバーになっている。'63.アンディ・ウィリアムスがカバー。'64.オスカー・ピーターソン・トリオがカバー。

ノラ・ジョーンズ: 米国のジャズ歌手。ピアノ弾き語りのスタイルをとる。父はインドで最も高名なシタール奏者。

◆『ノラ・ジョーンズ(原題:Come away with me)』: ノラ・ジョーンズのデビューアルバム。世界で約2000万枚を売り上げ、社会現象となった。主な曲に「Don't Know Why」。

大野雄二: 作曲家、ジャズピアニスト。'77-.アニメ『ルパン三世』シリーズ音楽担当。

地唄/地歌(じうた): 江戸時代の上方で始まった三味線音楽。長唄と共に「歌い物」の代表。地唄舞の伴奏音楽としても知られる。

長唄/長歌: 江戸の三味線音楽。地唄と共に「歌い物」の代表。歌舞伎舞踊の伴奏音楽としても知られる。

マリアッチ: メキシコ音楽の楽団形式。ビウエラ(ギターより小型の撥弦楽器)、ギター、ギタロン(ギターより大型の撥弦楽器)、ヴァイオリン、トランペット等を使う。

ルンバ: キューバ発祥の音楽、リズム、ダンスの形式。キューバの黒人コミュニティにおけるソン(=Song)が、1930年代に米国経由で世界に紹介されたもの。世界的なルンバ・ブームを経て、社交ダンスやムード音楽に発展した。
キューバのルーツ・ミュージックとしてのルンバは、パーカッションと、ヴォーカルとコーラスのコール・アンド・レスポンスが主体。

セリア・クルス: キューバ出身のサルサ歌手。'74.「Quimbara」。'98.「La Vida Es Un Carnaval(人生はカーニヴァル)」。

カリプソ: トリニダード・トバゴ発祥の音楽。軽快な2拍子で即興的な歌を繰り返す。カリブ海地域ではレコードやラジオの登場前から広まった。主な歌手にハリー・ベラフォンテ。

ハリー・ベラフォンテ: 米国の歌手。代表曲「Banana Boat (Day-O)」やアルバム『カリプソ』で50sにスターとなった。公民権運動やベトナム反戦運動に積極的に関わった。チャリティープロジェクト「USA for Africa」('85)の提唱者。

パゴージ: サンバの演奏形式を小規模(数人編成)にしたもの。サンバのリズムによるポップス。

ハードロック: 60s末に生まれ、70s前半~中盤に全盛を迎えた、ヴォーカルやギターを主役にした大音量でアグレッシブなロック。代表格はレッド・ツェッペリン、ブラック・サバス、ディープ・パープル、クイーン、エアロスミス、キッス。

パンク: 70s半ばのNYで登場し(MC5、ザ・ストゥージズ等)、ロンドンで全盛期を迎えた(セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ等)反体制的なロックのスタイル。元は英語で「不良(チンピラ、役立たず)」を指す。
高度な演奏技術を要するようになっていたハードロックやプログレへの反発から、簡素なロックンロールへの回帰、スリーコード中心のアップテンポかつ攻撃的な音楽を志向した。ブルース色/ブラックミュージック色は少ないのが特徴。
やがて音楽に留まらず、ファッション、アート、文学等においても、反体制的なアナーキー志向の「パンク」カルチャーが出現した。

グランジ: シアトル発の、ダメージジーンズ、スニーカー、ヨレヨレのシャツで演奏する、飾らない(悪く言えば薄汚い)ロックの潮流。パンクの思想と、暗く重いギターサウンドを併せもつ。
90s前半に一大ムーブメントとなり、グランジを含むジャンルであるオルタナティヴ・ロックの時代を到来させた。代表格はニルヴァーナ、パール・ジャム、サウンドガーデン。

モッシュ: ロック、特にヘヴィメタルのライブでよく見られた、密集状態の観客が無秩序に体をぶつけあう状態。

ボーイバンド: 英語圏のR&Bやポップスで、複数の若い男性歌手から成るヴォーカルグループを指す表現。J-POPやK-POPの男性アイドルグループもこの派生形といえる。

ヒップホップ: 70sに黒人ら有色人種が集うNYのクラブで始まった、音楽、ダンス、美術、ファッション等に跨る文化。DJ及びサンプリングラップブレイクダンスグラフィティが四大要素とされる。
米国のストリート文化の中で発展し、銃や暴力の代わりにブレイクダンスやラップの「フリースタイル・バトル」で対決する文化は世界に広まった。

レア・グルーヴ: 80s頃からDJらによってサンプリングされるようになった、「非凡なグルーヴ」とされる音源、曲の総称。

サイファー: 複数人が輪になり、即興でラップをすること。

◆Buddy Holly(バディ・ホリー): 米国のロックンロール・シンガーソングライター。バディ・ホリー&ザ・クリケッツを率いた。4ピースギターバンドの確立、ダブルトラックの導入等、ロック/ポップス史に大きな足跡を残した。黒縁眼鏡のルックスが印象的。
'57.「That'll Be the Day」「Peggy Sue」。'59.小型飛行機の墜落事故で22歳で夭折(「音楽が死んだ日」)。

◆Jerry Lee Lewis(ジェリー・リー・ルイス): 米国のロックンロール・シンガーソングライター、ピアニスト。'57.「Great Balls of Fire(火の玉ロック)」。'58.13歳の少女との結婚が発覚。メディアから干され人気を失った。

◆Ritchie Valens(リッチー・ヴァレンス): 米国のロックンロール歌手、ギタリスト。'58.メキシコ民謡をロックンロール調にした「ラ・バンバ」がヒット。'59.バディ・ホリーと同乗した飛行機事故で17歳で夭折。

◆Patsy Cline(パッツィー・クライン): 米国のカントリー歌手。'61.「Crazy」。'63.プライベート航空機の事故で30歳で夭折。

◆Nancy Sinatra(ナンシー・シナトラ): 米国の歌手。父はフランク・シナトラ。'67.「You Only Live Twice」(映画『007は二度死ぬ』主題歌)。

◆『A Hard Day's Night』('64): ビートルズの3rdアルバム。同名の、グループとしての初主演映画のサウンドトラック。アルバム・映画共に旧邦題は『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』。
ビートルズ初の、全曲オリジナル曲によるオリジナルアルバムであり、唯一の「全曲がレノン=マッカートニーによる作曲」のオリジナルアルバム。

◆「Imagine」('71): ジョン・レノンの曲。同名アルバムに収録。ポップミュージックの歴史上、最も偉大な曲に挙げられることも多い名曲。
宗教や国の違い、所有欲等で起こる対立や憎悪を無意味なものとし、皆でユートピア的世界を想像しようと訴えかける歌詞は強烈なパワーをもつ。
作詞・作曲は主にジョンによるが、詞の一部はオノ・ヨーコが書いた。プロデュースにはフィル・スペクターも関わった。
歌い出し〈Imagine there's no heaven…〉や、3番の冒頭〈Imagine no possesions…〉は、宗教右派や反共主義が力をもつ米国で物議を醸してきた部分でもある。
米国同時多発テロ('01.9.11)の2週間後、ヨーコがニューヨーク・タイムズに歌詞の一節〈Imagine all the people livin' life in peace〉を一面広告で掲載。報復戦争を遂行するブッシュJr.政権は、放送局に「Imagine」のオンエア自粛を求めたという。

◆Bob Dylan(ボブ・ディラン): 米国のシンガーソングライター。フォーク、ロック界に大きな足跡を残した。'16.歌手として初めてノーベル文学賞受賞。
公民権運動が高まった60s前半にはプロテストソングの旗手の1人と見なされたが、やがて運動からは距離をとり、自らの関心は「平凡な家庭」「子どもの少年野球と誕生日パーティー」にあると述べている。
名言〈あのころ自分はずいぶん年をとっていた。今はもっと若い〉。

◆「Blowin' in the Wind(風に吹かれて)」('63): ボブ・ディランの曲。『The Freewheelin' Bob Dylan』収録。米国公民権運動の代表的な賛歌の1つ。同年発売のピーター・ポール&マリーのカバー盤から人気に火が付いた。
歌詞〈How many ears must one man have before he can hear people cry?(一体幾つの耳があれば、人々の悲しみが聞こえるのだろう?)
How many deathes will it take 'till he knows that too many people have died?(一体どれくらい人が死ねば、あまりに多くの人が死んだことに気づくのだろう?)
The answer, my friend, is blowing in the wind(友よ、答えは風に吹かれている)…〉。

◆「Scarborough Fair」('66): サイモン&ガーファンクルの曲。詞はイングランド民謡。コーラスごとに繰り返される歌詞〈Parsley, sage, rosemary and thyme…〉。

◆『Blow by Blow』('75): ジェフ・ベックのアルバム。主な曲に「Cause We've Ended as Lovers(哀しみの恋人達)」「Freeway Jam」。

◆Pete Townshend(ピート・タウンゼント): ザ・フーのギタリスト。バンドのほとんどの曲を書いた。激しいステージアクションやギター破壊のパフォーマンスで知られる。

◆「Mercedes Benz(ベンツが欲しい)」('71): ジャニス・ジョプリンの短い無伴奏曲。ジャニスの死の3日前に一発録りで録音され、死後発表のアルバム『パール』に収められた。消費主義への皮肉もこもった曲だが、メルセデス・ベンツのCMにも使われる。
歌詞に登場しないBMWも、かつてこの曲をCMで使った(曲を流しながら走るドライバーが歌詞にメルセデス・ベンツが出てきたところで不機嫌になり、ポルシェが出てきたところで遂にカセットテープを車外に投げ捨てる、という内容)。

◆Deep Purple(ディープ・パープル): 英国のハードロックバンド。ハモンドオルガンをロックに導入したジョン・ロード(Key)、圧倒的な速弾きで知られたリッチー・ブラックモア(G)らが在籍した。

◆Led Zeppelin(レッド・ツェッペリン): '68-80年に活動した英国のハードロックバンド。メンバーはロバート・プラント(Vo)、ジミー・ペイジ(G)、ジョン・ポール・ジョーンズ(B)、ジョン・ボーナム(Ds)。

◆『レッド・ツェッペリン I』('69): レッド・ツェッペリンの1stアルバム。ジャケットのアートワークは、ヒンデンブルク号爆発事故の写真の点描。
主な曲に「Good Times Bad Times」「Dazed and Confused(幻惑されて)」「Communication Breakdown」。

◆『レッド・ツェッペリン II』('69): レッド・ツェッペリンの2ndアルバム。ビートルズの『アビイ・ロード』を蹴落とし、7週連続で全米1位獲得。主な曲に「Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を)」「Ramble on」。

◆「Ramble on」('69): レッド・ツェッペリンの曲。『レッド・ツェッペリン II』収録。詞はトールキン『指輪物語』にインスパイアされている。「ramble on」はあてもなく歩くことを意味する。

◆Free(フリー): 英国のブルース志向のハードロックバンド。Vo.はポール・ロジャーズ。'70.「All Right Now」。'73.解散し、ポールら元メンバーを中心にBad Company(バッド・カンパニー)を結成。

◆Ozzy Osbourne(オジー・オズボーン): 米国のHR/HM歌手。ブラック・サバスのVo.。客前で鳩やコウモリの頭を食いちぎったことがある。'80.「Crazy Train」。

◆「Without You」('70): 英語の楽曲。ニルソンのカバー('71)、マライア・キャリーのカバー('94)が有名。

◆America(アメリカ): 英国在住の米国人(3人全員が在ロンドン米軍人の息子)によるバンド。爽やかなコーラスとノスタルジックな旋律を生かした素朴なサウンドが特徴。'71.「A Horse with No Name(名前のない馬)」。'72.「Venture Highway」。

◆Steely Dan(スティーリー・ダン): 米国のバンド。主にドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーによるデュオ体制で、ジャズ、ソウル、ロックを融合させた幅広い音楽性で活動した。

◆『Aja(エイジャ)(彩)』('77): スティーリー・ダンの代表作となっているアルバム。ジャケットの写真は山口小夜子。主な曲に「Aja」「Deacon Blues」「Peg」。

◆『The Nightfly』('82): ドナルド・フェイゲンの1stソロアルバム。フルデジタル録音の黎明期を象徴する名盤。主な曲に「I.G.Y.」。

◆「I Don't Want to Miss a Thing(ミス・ア・シング)」('98): エアロスミスの曲。スティーヴンの娘リヴ・タイラーが出演する映画『アルマゲドン』主題歌。元々はセリーヌ・ディオンが歌うことを想定して書かれた曲だった。

◆Barry Manilow(バリー・マニロウ): NYのシンガーソングライター、音楽プロデューサー。

◆「Copacabana」('78): バリー・マニロウの曲。NYのナイトクラブ「コパカバーナ」を舞台にしたディスコ・ソング。

◆Fleetwood Mac(フリートウッド・マック): 英国出身のバンド。'74年に米国出身で恋人同士だったリンジー・バッキンガム(Vo/G)とスティーヴィー・ニックス(Vo)を迎え、ソフトロック路線で大ヒットした。'77.アルバム『』。

◆The Nolans(ノーランズ): アイルランドの姉妹によるポップ・グループ。'79.「I'm in the Mood for Dancing(ダンシング・シスター)」は日本でも大ヒット。

◆Bobby Caldwell(ボビー・コールドウェル): 米国のAOR系シンガーソングライター。'78.「What You Won't Do for Love(風のシルエット)」。

◆Culture Club(カルチャー・クラブ): 英国のバンド。ボーイ・ジョージ(Vo)の女装でも注目を浴びた。'83.「Karma Chameleon(カーマは気まぐれ)」。

◆「Like a Prayer」('89): マドンナの曲。ゴスペルを取り入れている。

◆「Hung Up」('05): マドンナの曲。ABBA「Gimme! Gimme! Gimme!」をサンプリングしたダンスチューン。チャート1位獲得国数の世界記録を更新した。

◆The Style Council(スタイル・カウンシル): 英国のバンド。Vo.はポール・ウェラー

◆『Café Bleu(カフェ・ブリュ)』('84): スタイル・カウンシルの1stアルバム。ジャズの影響が強い。

◆「Shout to the Top!」('84): スタイル・カウンシルのシングル曲。「たとえどん底にいても無力じゃない、顔を上げよう」というメッセージのこもったプロテストソング。

◆Guns N' Roses(ガンズ・アンド・ローゼズ): LA出身のロックバンド。バンド名は結成時の中心メンバーの姓から。Vo.はアクセル・ローズ、G.はスラッシュ。'91.「November Rain」。

◆My Bloody Valentine(マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン): アイルランドのシューゲイザー・バンド。'91.アルバム『ラブレス』。

◆Nirvana(ニルヴァーナ): ワシントン州出身のグランジ・バンド。'89.1stアルバム『ブリーチ』。'91.2ndアルバム『ネヴァーマインド』。'93.3rdアルバム『イン・ユーテロ』。'94.カート・コバーンの自殺で解散。

◆Kurt Cobain(カート・コバーン): ニルヴァーナのメンバー(Vo/G/ソングライティング)。ヘロイン中毒に悩まされ、27歳で自殺した。妻は歌手・女優のコートニー・ラヴ。椎名林檎「ギブス」の歌詞にコートニーと共に登場する。

◆Jellyfish(ジェリーフィッシュ): 米国のパワーポップ・バンド。'93.2ndアルバム『Spilt Milk(こぼれたミルクに泣かないで)』。'94.解散。
Vo.がPUFFYの名付け親となり、アルバムのプロデュースも手掛ける等、日本のミュージシャンとも縁が深い。

◆The Chicks(チックス): 米国の女性カントリー・バンド。旧名「ディクシー・チックス」。'98.アルバム『ワイド・オープン・スペーシズ』。

◆Sean Lennon(ショーン・レノン、小野太郎): NY出身のシンガーソングライター。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの息子。'06.「Parachute」。

◆Marilyn Manson(マリリン・マンソン): 米国のヘヴィメタル歌手、又は彼自身の名を冠したバンド。反キリスト教で知られ、聖書を燃やすパフォーマンスは日常茶飯事。客前で放尿や自慰行為に及び逮捕されたことも。

◆Slipknot(スリップノット): 米国のヘヴィメタルバンド。メンバー全員が個性的で不気味なマスクを被る。'08.「Psychosocial」。

◆The Strokes(ストロークス): NY出身のロックバンド。ホワイト・ストライプスと並ぶガレージロック・リバイバルの代表格。'01.1stアルバム『Is This It』。

◆Miley Cyrus(マイリー・サイラス): シンガーソングライター。'06.主演ドラマ『ハンナ・モンタナ』が社会現象的ヒット(当時13歳)。'09.「Party in the U.S.A.」。'23.「Flowers」。

◆Lady Gaga(レディー・ガガ): NY出身のシンガーソングライター。独特のファッションやパフォーマンス、積極的な社会貢献活動で知られる。'08.1stアルバム『The Fame』。'11.2ndアルバム『Born This Way』。

◆Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド): NY出身のインディー・ロックバンド。アフロポップに影響を受けたサウンドが特徴。'08.1stアルバム『Vampire Weekend』。

◆Harry Styles(ハリー・スタイルズ): イングランドの歌手、俳優。ワン・ダイレクションの最年少メンバー。'19.2ndアルバム『Fine Line』。'22.3ndアルバム『Harry's House』。
ワン・ダイレクション時代の10代の頃に、5歳年上のテイラー・スウィフトと交際していたことも有名(テイラーの曲に、ハリーとの関係を歌ったものがある)。

◆Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ): LA出身のシンガーソングライター。内省的でダークな世界観が特徴。楽曲は兄と共同制作している。'15.13歳で「Ocean Eyes」発表。'19.「Bad Guy」。'20.グラミー賞主要4部門独占受賞。

◆Camila Cabello(カミラ・カベロ): キューバ生まれ、マイアミ出身のシンガーソングライター。'17.「Havana」。'19.「Señorita」(ショーン・メンデスとのデュエット)。

◆Måneskin(マネスキン/モーネスキン): イタリアのバンド。80sグラムロック風のヴィジュアルで、ラップ調のヴォーカルを含んだハードロックを演奏する。'17.「Beggin'」(フォー・シーズンズのカバー)。

◆Tina Turner(ティナ・ターナー): 米国の歌手。キャリア初期は元夫とのデュエット「アイク&ティナ・ターナー」で活躍。ソロ転向後はロックに軸足を置いた。'71.「Proud Mary」(アイク&ティナ・ターナー名義)。'89.「The Best」。

◆Phil Spector(フィル・スペクター): 米国の音楽プロデューサー。多重録音や大量の楽器の同時録音によって音圧を上げたサウンドは「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれ、多くのミュージシャンに影響を与えた。
'63年にプロデュースしたクリスマスアルバム(参加アーティストはザ・クリスタルズ、ザ・ロネッツ等)は定番として知られる。'70.ビートルズ最後のオリジナルアルバム『レット・イット・ビー』をプロデュース。

◆「Someday at Christmas(想い出のクリスマス)」('67): スティーヴィー・ワンダーのクリスマスソング。

◆「Scream」('95): マイケル&ジャネット・ジャクソンのデュエット曲。『AKIRA』等の日本のアニメの映像も断片的に使われたMVは、史上最も制作費がかかったMVの1つだという(10億円以上)。

◆Roberta Flack(ロバータ・フラック): 米国の歌手。'69.「The First Time Ever I Saw Your Face」。'73.「Killing Me Softly with His Song」。

◆Donny Hathaway(ダニー・ハサウェイ): 米国の歌手。シャウトをしない洗練されたヴォーカルは当時のR&B/ソウル界では珍しく、多大な影響を与えた。ロバータ・フラックと親交が深くデュエットアルバムも残した。
'70.「This Christmas」。'79.33歳で死去。

◆Al Green(アル・グリーン): 米国の歌手。'71.「Let's Stay Together」。

◆Kool & the Gang(クール&ザ・ギャング): 米国のファンク・バンド。'69.インストゥルメンタル・バンドとしてデビュー。「Chocolate Buttermilk」。70s末にVo.が加入。'80.「Celebration」が大ヒット。'81.「Get Down on It」。

Pファンク: ジョージ・クリントンが率い70sに活躍した2つのバンド・Parliament(パーラメント)とFunkadelic(ファンカデリック)の総称、又は音楽ジャンル。
サイケの影響を受けたファンクで、80s末以降にヒップホップ界で盛んにサンプリングされたことで後年注目を集めた。

◆「I Will Survive」('78): グロリア・ゲイナー(米)の曲。失恋の苦しみを乗り越えて生き抜く強さを歌う。

◆Village People(ヴィレッジ・ピープル): 米国の音楽グループ。ゲイ・マーケットを主なターゲットに売り出し、多くのディスコ・ソングを大ヒットさせた。'78.「Macho Man」「Y.M.C.A.」。'79.「Go West」。

◆『Purple Rain』('84): プリンスのアルバム。自身が主演した、同名ミュージカル映画(自伝的映画)のサウンドトラック。プリンスの作品の中では最もポップでありつつ、革新的・実験的な要素も多く盛り込まれている。

◆「Ai No Corrida(愛のコリーダ)」('81): クインシー・ジョーンズの曲(カバー曲で自身の作曲ではない)。特に日本で大ヒットした。曲名は映画『愛のコリーダ』から。

◆The Brand New Heavies(ブラン・ニュー・ヘヴィーズ): 英国のアシッドジャズ/ファンクグループ。'92.『Heavy Rhyme Experience, Vol. 1』で様々なラッパーと共演した。'97.「You Are the Universe」。

◆「Jump N' Move」('92): ブラン・ニュー・ヘヴィーズの曲。Vo.はラッパーのJamalski。AからZまでのアルファベットを高速でキックするくだりがある。

◆「You Are the Universe」('97): ブラン・ニュー・ヘヴィーズの曲。Vo.はサイーダ・ギャレット。

◆Mary J. Blige(メアリー・J・ブライジ): 米国のR&B歌手。「ヒップホップ・ソウルの女王」。'92.「Real Love」。

◆D'Angelo(ディアンジェロ): 米国のR&B系シンガーソングライター。ソウルとヒップホップ世代の感性が融合したネオ・ソウル・ムーブメントの代表的存在。'95.「Brown Sugar」。

◆Destiny's Child(デスティニーズ・チャイルド): 米国の女声R&Bグループ。ビヨンセが所属した。'99.「Say My Name」。

◆Beyoncé(ビヨンセ): テキサス州ヒューストン出身のシンガーソングライター。夫はジェイ・Z。'03.「Crazy in Love」。'06.「Irreplaceable」、映画『ドリームガールズ』主演。。

◆98°(ナインティエイト・ディグリーズ): 米国のボーイバンド。'00.「My Everything」。

◆Christina Aguilera(クリスティーナ・アギレラ): 米国のシンガーソングライター。'99.「Genie in a Bottle」。

◆Jennifer Hudson(ジェニファー・ハドソン): 米国の歌手、女優。'06.ミュージカル映画『ドリームガールズ』で、主演のビヨンセを食う熱演で話題になる。

◆Che'Nelle(シェネル): 豪州出身のR&B歌手。'12.日本語楽曲「Believe」が映画『BRAVE HEARTS 海猿』の主題歌に。

◆『19』('08): アデルの1stアルバム。主な曲に「Make You Feel My Love」(ボブ・ディランの90sの曲のカバー)。

◆『21』('11): アデルの2ndアルバム。主な曲に「Rolling in the Deep」「Someone Like You」。

◆「Skyfall」('12): アデルの曲。映画『007 スカイフォール』主題歌。アカデミー歌曲賞受賞曲。

◆The Weeknd(ザ・ウィークエンド): カナダ出身のシンガーソングライター。オルタナティヴR&Bの確立者の1人。'19.「Blinding Lights」。

Joji: 米国で活動する日本人アーティスト。神戸市のインターナショナルスクール出身。ビルボードのR&B/ヒップホップチャートで1位を獲得した初のアジア人。'19.「Sanctuary」。

Fred Again..: 英国の音楽プロデューサー、DJ、マルチ楽器奏者、シンガーソングライター。アンビエント系のエレクトロ・ソウルを得意とする。ブライアン・イーノ、エド・シーランら、多くのアーティストとの仕事で知られる。

◆「Rapper's Delight」('79): 米国のヒップホップグループ・The Sugarhill Gang(シュガーヒル・ギャング)の曲。初めて全米でヒットしたラップの曲として知られる。14分以上ある長い曲。

◆Public Enemy(パブリック・エネミー): NYのヒップホップグループ。

◆「Fight the Power」('89): パブリック・エネミーの曲。タイトルの意味は「権力と闘え」。白人中心社会への強烈な抗議を正面から歌う。映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』主題歌。

◆OutKast(アウトキャスト): 米国のヒップホップデュオ。'03.「Hey Ya!」。

◆「Get Ur Freak On」('01): ミッシー・エリオットの曲。日本的な要素をヒップホップビートに組み込み、世界的にヒットした。日本語詞〈これからみんなでめちゃくちゃ踊って騒ごう騒ごう…〉〈いち、にぃ、さん、しぃ…〉。

◆Drake(ドレイク): カナダ出身のラッパー。黒人と白人のミックス。'15.「Hotline Bling」。

ドラムンベース: 90sの英国で生まれた電子音楽のジャンル。非常に速く変則的なドラムビートに、うねる様なベースを重ねる。

◆Robyn(ロビン): スウェーデン出身のエレクトロ・ポップ歌手。'10.「Dancing on My Own」。

◆「Barbie Girl」('97): デンマークのバンド・Aqua(アクア)の曲。MVでメンバーがバービー&ケン人形に扮する。
人形の製造元・マテルは当初「バービーを『脳みその足りない尻軽金髪女』として描いている」としてレコード会社を訴えたが棄却された。なお後に、歌詞の一部を変えてCMに利用している。

◆Avicii(アヴィーチー): スウェーデン出身の音楽プロデューサー、トラックメーカー、DJ。'18.28歳で夭折。

◆The Drifters(ドリフターズ): 米国の黒人ドゥーワップ・グループ。'60年頃に1つの全盛期を迎え、リードヴォーカル担当でベン・E・キングが所属した。'60.「Save the Last Dance for Me(ラストダンスは私に)」。

ラムシュタイン: ドイツのヘヴィメタルバンド。露悪的な詞やパフォーマンスが物議を醸すことがあり、大量の火薬や火炎放射器(観客に向けたことも)を使ったライブ演出は有名。'97.「Du hast」。

エディット・ピアフ: フランスのシャンソン歌手。小柄だったことから、雀を意味するフランス語「ピアフ」を芸名とした。'50.「愛の讃歌」。

フリオ・イグレシアス: スペインの歌手。少年時代にレアル・マドリードのユースチームでGKを務めた。'81.「Begin the Beguine」(カバー曲)。'82.「Nathalie(黒い瞳のナタリー)」。

ファド: ギターを伴奏に歌うポルトガルの大衆歌謡。主な歌手にアマリア・ロドリゲス。

SEVENTEEN: 韓国のボーイズグループ。グループ名に反して13人組。

モモ: TWICEのメンバー。'23.Instagramのフォロワーが1000万人を突破(日本人初)。

BLACKPINK: 韓国の4人組ガールズグループ。YGエンターテインメント所属。'16.「Boombayah」。'20.「How You Like That」。

赤頬思春期(ポルパルガンサチュンギ)(Bolbbalgan4): 韓国の音楽グループ('23現在はソロユニット)。'19.「Some」。

IVE(アイヴ): 韓国のガールズグループ。'22.「LOVE DIVE」。

LE SSERAFIM(ル・セラフィム): 韓国のガールズグループ。日本人も2人所属する。

FIFTY FIFTY: 韓国のガールズグループ。'22.「Higher」。

◆Daft Punk(ダフト・パンク): フランスの電子音楽デュオ。ロボットのようなヘルメットと手袋を装着したパフォーマンススタイルで知られる。
'01.「One More Time」「Harder, Better, Faster, Stronger(仕事は終わらない)」。'14.「Get Lucky」。'21.解散。

◆The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ): マンチェスターのテクノデュオ。'97.「Block Rockin' Beats」。

◆「Because We Can」('01): 英国のクラブDJ・Fatboy Slim(ファットボーイ・スリム)の曲。M-1グランプリの決勝・1stラウンドの出囃子として有名。〈Yes we can, can, can, can…〉。

yuma yamaguchi: ハウスを得意とする作曲家。多くのCM曲やサントラを手掛ける。'08.アルバム『SOUND MULTIPLY』。

吉田正(-ただし): 茨城県日立市出身の作曲家。都会的で哀愁漂う旋律が特徴。WWII従軍中に作曲した「異国の丘」がシベリア抑留兵の仲間内で広まり、抑留から帰還後、同曲のヒットをきっかけにプロの作曲家となった。
他の代表曲にフランク永井「有楽町で逢いましょう」('57)、橋幸夫&吉永小百合「いつでも夢を」('62)等。国民栄誉賞を受賞した作曲家の1人。

遠藤実(-みのる): 作曲家。代表曲に島倉千代子「からたち日記」('58)、舟木一夫「高校三年生」('63)、千昌夫「北国の春」('77)等。国民栄誉賞を受賞した作曲家の1人(古賀政男、服部良一、吉田正に次いで4人目)。

筒美京平: 作曲家。作曲家別レコード総売上は日本史上1位。代表曲にいしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」('68)、宇野ゆう子「サザエさん」('69)、尾崎紀世彦「また逢う日まで」('71)、太田裕美「木綿のハンカチーフ」('75)、ジュディ・オング「魅せられて」('79)、斉藤由貴「卒業」('85)、NOKKO「人魚」('94)、TOKIO「AMBITIOUS JAPAN!」('03)等。

三木たかし: 作曲家。代表曲に石川さゆり「津軽海峡・冬景色」('76)、テレサ・テン「時の流れに身をまかせ」('86)、ドリーミング「アンパンマンのマーチ」('88)等。

なかにし礼: 作詞家、作家。代表曲に島倉千代子「愛のさざなみ」('68)、アン・ルイス「グッド・バイ・マイ・ラブ」('74)、細川たかし「北酒場」('82)、TOKIO「AMBITIOUS JAPAN!」('03)等。'99.小説『長崎ぶらぶら節』(直木賞受賞作)。

淡谷のり子: 歌手。「ブルースの女王」。1937.「別れのブルース」。80s-90sには、ものまね番組の名物審査員として知られた。

◆「ラジオ体操のうた」('56): 藤山一郎の曲。作曲は藤山一郎自身。NHKラジオ『ラジオ体操』主題歌。歌い出し〈新しい朝が来た 希望の朝だ…〉。

笠置シヅ子: 歌手。「ブギの女王」。派手なアクションと大阪仕込みのサービス精神も相まったパフォーマンスで一世を風靡した。'48.「東京ブギウギ」。'49.「ホームラン・ブギ」。'50.「買物ブギー」。

菅原都々子: 歌手。'51.第1回NHK紅白歌合戦で紅組トップバッターを務め、同番組の最初の歌唱者となる。'55.「月がとっても青いから」。

◆「おひまなら来てね」('61): 五月みどりの曲。歌い出し〈おひまなら来てよネ 私淋しいの…〉。

◆「一週間に十日来い」('62): 五月みどりのお座敷ソング。'63年のNHK紅白歌合戦で歌唱した際の瞬間最高視聴率85.3%は、ビデオリサーチ社発足後のTV番組の視聴率として史上最高。

◆「上を向いて歩こう」('61): 坂本九の曲。永六輔作詞、中村八大作曲の、六・八・九トリオによる曲。NHKのバラエティ番組『夢であいましょう』の「今月のうた」。
国内のみならず、「SUKIYAKI」の曲名で世界中でヒットし、過去に全米ビルボード1位を記録した唯一の邦楽曲となっている。
夜空を見上げ一人で歩く情景だけを歌う普遍的な歌詞で、涙の理由は語られず、聴いたり歌ったりする時の感情次第で様々に解釈できる。60年安保闘争に敗れて流した涙の歌、という解釈もある。
「春の日」「夏の日」「秋の日」が登場するのに冬の日が歌われないのは、永六輔が冬が好きではなかったからだという。坂本の達人級の口笛も聞ける名曲。
歌詞〈上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 思い出す 春の日 一人ぼっちの夜…〉〈幸せは 雲の上に 幸せは 空の上に…〉。

◆「見上げてごらん夜の星を」('60): 夜間高校生達の青春をテーマにした同名ミュージカルの主題歌。永六輔作詞、いずみたく作曲。'63年の坂本九盤が大ヒット。
歌詞〈見上げてごらん 夜の星を 小さな星の 小さな光が ささやかな幸せを うたってる…〉。

◆「明日があるさ」('63): 坂本九の曲。青島幸男作詞、中村八大作曲。'00-01年にコカ・コーラ「GEORGIA」のCMで使われ、ウルフルズとRe:Japan(吉本興業の芸人によるユニット)のカバーが大ヒットした。
意中の女性に恋心を打ち明けられないものの、前向きに日々を過ごす男子学生の思いをコミカルに描く。ラストサビ〈明日があるさ 明日がある 若い僕には夢がある いつかきっと いつかきっと わかってくれるだろ…〉。

◆「心の瞳」('85): 坂本九の生前最後のシングル曲。荒木とよひさ作詞、三木たかし作曲。現在では合唱曲として愛される。歌い出し〈心の瞳で 君を見つめれば 愛すること それが どんなことだかわかりかけてきた…〉。

西郷輝彦: 歌手、俳優。橋幸夫、舟木一夫と並ぶ「御三家」の1人として人気を博した。'66.「星のフラメンコ」。

尾藤イサオ: ロカビリー歌手。'64-65.内田裕也とのコラボアルバムを相次いで発表(演奏はブルージーンズ、ブルー・コメッツ)。'70.「あしたのジョー」(アニメ主題歌)。

森進一: 歌手。独特なハスキーボイスで知られる。元妻に森昌子、息子にTaka(ONE OK ROCK)。'69.「港町ブルース」。'71.「おふくろさん」。'74.「襟裳岬」。

青江三奈: 歌手。クラブ出身で、デビュー前は銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」等で活躍。独特なハスキーボイスは同期デビューの森進一と並んで「ため息路線」と呼ばれた。'68.「伊勢佐木町ブルース」。'69.「池袋の夜」。

◆「伊勢佐木町ブルース」('68): 青江三奈の曲。冒頭の色っぽい吐息が有名。横浜の伊勢佐木町にはグランドピアノを象った歌碑が立っている。サビ〈恋と情けの ドゥドゥビ ジュビドゥビ ジュビドゥヴァ 灯がともる…〉。

佐良直美(さがら-): 歌手、タレント。'67.「世界は二人のために」。'69.「いいじゃないの幸せならば」。

由紀さおり: 歌手、コメディエンヌ。児童合唱団出身で幼い頃から童謡歌手として活動。明朗な歌声は「酔い覚ましの清涼剤」と評された。
'69.「由紀さおり」としてデビュー。『ドリフ大爆笑』('77-98)歴代最多出演ゲスト。90sにはほぼ毎年、姉のソプラノ歌手・安田祥子(さちこ)と共に童謡・唱歌を歌うデュエットとしてNHK紅白歌合戦に出場した。

◆「夜明けのスキャット」('69): 由紀さおりの曲。山上路夫作詞、いずみたく作曲。1番〈ルー ルールルルー…(スキャットのみ)〉。2番〈愛し合うその時に この世はとまるの…〉。
アニメ「サザエさん」('69-)の制作陣は、主題歌「サザエさん」(宇野ゆう子)の歌唱を元々、由紀にオファーする予定だったが、この曲のリリース、ヒットと重なって断念した。

◆『1969』('11): 由紀さおりとピンク・マルティーニ(米国のジャズ楽団)のコラボアルバム。北米でもヒットした。
由紀自身の楽曲「夜明けのスキャット」をはじめ、「ブルー・ライト・ヨコハマ」、「マシュ・ケ・ナダ」の日本語版等、'69年に日本でヒットしていた曲を中心にカバー。

前川清: 長崎県佐世保市出身の歌手、タレント、歌謡グループ・内山田洋とクール・ファイブのVo.。'69.内山田洋とクール・ファイブとして「長崎は今日も雨だった」でデビュー、大ヒット。グループとソロでNHK紅白歌合戦に通算29回出場。元妻は藤圭子。

藤圭子: 歌手。両親は流しの浪曲師で、北海道・旭川市を拠点に極貧の少女時代を送った。'69.デビュー。離婚歴7回(1回目は前川清、2-7回目は音楽プロデューサーの宇多田照實(てるざね))。娘は宇多田ヒカル
ヒカルの才能を見抜き、90sには世界で通用する歌手に育てるために米国と日本の二拠点生活を送った。新しい音楽への感度が高く、90s前半からヒップホップに熱中していたという。'13.自殺。

◆「女のブルース」('70): 藤圭子の曲。歌い出し〈女ですもの 恋をする…〉。

◆「圭子の夢は夜ひらく」('70): 藤圭子の曲。練馬の東京少年鑑別所で歌われていた俗曲を採譜したものが原曲。前作「女のブルース」と合わせた18週連続1位は、オリコンチャートにおける複数曲での連続1位獲得記録。
歌い出し〈赤く咲くのは けしの花 白く咲くのは 百合の花 どう咲きゃいいのさ この私…〉。

◆「津軽海峡・冬景色」('76): 石川さゆりの代表曲の1つ。阿久悠作詞、三木たかし作曲。近年のNHK紅白歌合戦では「天城越え」と隔年で歌われ、同一歌手による同一曲の歌唱回数の1位・2位となっている。
少女が大人の女へ成長していく1年間を12曲で描いたコンセプトアルバム『365日恋もよう』の最後の曲。東京から青森を経て北海道に帰る場面を描いた。発表当時はまだ青函トンネルがなく、青函連絡船の時代。
1番〈上野発の夜行列車おりた時から 青森駅は雪の中 北へ帰る人の群れは誰も無口で 海鳴りだけをきいている 私もひとり 連絡船に乗り こごえそうな鴎見つめ 泣いていました ああ 津軽海峡冬景色〉。
2番歌い出し〈ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと 見知らぬ人が指をさす…〉。2番サビ〈さよならあなた 私は帰ります…〉。

伍代夏子: 演歌歌手。夫は杉良太郎。'94.「ひとり酒」。

◆「捨てられて」('95): 長山洋子の曲。〈でもね〉の歌詞に合わせて手を振るポーズが話題となった。

水森かおり: 演歌歌手。「ご当地ソングの女王」。'03.「鳥取砂丘」。'04.「釧路湿原」。'03-.NHK紅白歌合戦に連続出場中。

ビリー・バンバン: 兄弟によるフォークデュオ。'69.「白いブランコ」でデビュー。'72.「さよならをするために」。'07.「また君に恋してる」。

六文銭: フォークグループ。リーダーは小室等。'70.「雨が空から降れば」。'72.解散。

小室等: フォーク・シンガーソングライター。'75.吉田拓郎・井上陽水・泉谷しげると共にフォーライフ・レコードを設立。初代社長を務めた。

山口冨士夫: 日本のロックミュージシャン(G、Vo)。グループサウンズのザ・ダイナマイツ('67-69)、村八分('69-73)の中心メンバー。その後もソロ、バンド活動で活躍。'13.路上の暴行を止めに入って突き飛ばされ、脳挫傷で死去。

◆「翼をください」('71): 赤い鳥の曲。山上路夫作詞、村井邦彦作曲。元々は「竹田の子守唄」のB面曲。やまがたすみこ他、多くのアーティストがカバー。70s後半からは音楽の教科書に載る定番の合唱曲となった。
歌詞〈今 私の願いごとが かなうならば 翼が欲しい この 背中に 鳥のように 白い翼 付けてください この大空に 翼をひろげ 飛んで行きたいよ 悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ 行きたい…〉。

◆「冬が来る前に」('77): 紙ふうせんの曲。サビ〈冬が来る前に もう一度 あの人とめぐり逢いたい…〉。

はっぴいえんど: ロックバンド。メンバーは細野晴臣(B/Vo)、大瀧詠一(Vo/G)、松本隆(Ds)、鈴木茂(G)。'70-72年に活動し、オリジナルアルバムは『はっぴいえんど』『風街ろまん』『HAPPY END』の3枚。
ほとんどの曲の歌詞を松本が手掛け、日本語ロックの礎を築いたとして評価が高い。ジャックスや宮沢賢治の影響を受けている。

◆『風街ろまん』('71): はっぴいえんどの2ndアルバム。日本語ロック論争(日本語でロックを歌うことへの批判)に終止符を打った大名盤。東京五輪('64)前後の開発で急激に失われていた「東京の古き良き姿」を、架空の街「風街」に見立てて描いた。

◆「空いろのくれよん」('71): はっぴいえんどの曲。『風街ろまん』2曲目。作曲・Vo.は大瀧詠一。ヨーデルを使った牧歌的な曲調。〈ぼくは きっと風邪をひいてるんです ソラララひィ~イロロロロほゥ~…〉。

◆「風をあつめて」('71): はっぴいえんどの曲。『風街ろまん』3曲目。作曲・Vo.は細野晴臣。サビ〈それで ぼくも 風をあつめて 風をあつめて 風をあつめて 蒼空を翔けたいんです 蒼空を…〉。

◆「花いちもんめ」('71): はっぴいえんどの曲。『風街ろまん』収録。作曲・Vo.は鈴木茂(アルバム内唯一)。シンガーソングライターとしての鈴木の実質的なデビュー曲にして、既にロックのセンスが爆発している。

Flower Travellin' Band: 内田裕也がプロデュースしたロックバンド。Vo.はジョー山中。'71.アルバム『SATORI』。

◆『SATORI』('71): Flower Travellin' Bandが北米で活動した時期のコンセプトアルバム。「パート1」~「パート5」の5曲収録。当時最先端の英国風ハードロックと、東洋神秘的な旋律やスピリットを織り交ぜた名盤。

南沙織シンシア): 沖縄出身の歌手。'71.17歳になる直前に「17才」でデビュー。天地真理、小柳ルミ子と並ぶ、アイドル歌手の先駆け「新三人娘」の1人。'79.篠山紀信と結婚。

欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー): 台湾出身の歌手。'71.「雨の御堂筋」。'79.「ラヴ・イズ・オーヴァー」。

◆「雨の御堂筋」('71): ベンチャーズのインストゥルメンタル曲。同年、欧陽菲菲がデビュー曲としてカバーし大ヒット。歌い出し〈小ぬか雨降る御堂筋…〉、サビ〈ああ降る雨に 泣きながら 肌(み)をよせて 傘もささず濡れて 夜の…〉。

◆「返事はいらない」('72): 荒井由実のデビュー曲。B面曲「空と海の輝きに向けて」も名曲。当初の正規盤は3桁しか売れず、入手は非常に困難。1stアルバム『ひこうき雲』収録(但しシングルとは全く違うアレンジ)。

◆「雨の街を」('73): 荒井由実の曲。1stアルバム『ひこうき雲』収録。本人が「一番好きな曲」。歌い出し〈夜明けの雨はミルク色…〉。

◆「BLIZZARD」('84): 松任谷由実の曲。スキーをテーマにした冬の定番曲。'87.映画『私をスキーに連れてって』劇中歌となる。

バンバン: フォークグループ。グループ名は中心人物・ばんばひろふみの愛称から来ており、同じくフォークグループであるビリーバンバンとは無関係。

ばんばひろふみ: バンバンのメンバー、フォーク歌手。元妻は平山みき。ソロのヒット曲に「SACHIKO」('79)。

◆「『いちご白書』をもう一度」('75): バンバンの代表曲。荒井由実作詞・作曲。過ぎ去った学生時代を思い出す内容。〈君も見るだろうか 『いちご白書』を 二人だけのメモリー どこかでもう一度…〉。

麻丘めぐみ: 歌手、女優。70sを代表するアイドルの1人。'73.「わたしの彼は左きき」。

◆「太陽がくれた季節」('72): フォークグループ・青い三角定規の曲。いずみたく作曲。歌い出し〈君は何を今 見つめているの…〉。

◆「聖母たちのララバイ(マドンナ-)」('82): 岩崎宏美の楽曲。『火曜サスペンス劇場』初代ED。歌い出し〈さあ眠りなさい 疲れ切った体を投げ出して…〉。

やもり: 矢野顕子と森山良子のユニット。'10.「風のブランコ」。

浜田省吾: 広島県出身のシンガーソングライター。'75.ロックバンドのドラマーとしてメジャーデビュー。'76.ソロデビュー。
父の被爆体験から、日本や戦争を歌った楽曲も多く、プロテスト色が強いアーティストである。デビュー時からサングラスがトレードマーク。メディア露出は非常に少なく、特に全盛期といえる80s-90sはTVの全国放送に1度も出演していない。

◆『Char』('76): Charの1stアルバム。主な曲に「SHININ' YOU, SHININ' DAY」「SMOKY」。

◆「気絶するほど悩ましい』('77): Charの曲。作詞に阿久悠を迎え、自作曲とはかなり毛色の違う「歌謡ロック」路線でヒットした。

ムーンライダーズ: ロックバンド。ワールド・ミュージック的要素を積極的に導入した。'76.「スカンピン」。'86.「9月の海はクラゲの海」。

◆「スカンピン」('76): ムーンライダーズ(当時の名義は「鈴木慶一とムーンライダー」)の曲。「すかんぴん(素寒貧)」とは貧しくて何も無いこと。

◆「ぼくたちの失敗」('76): 森田童子(もりたどうじ)の曲。森田の引退の10年後、ドラマ『高校教師』('93)の主題歌としてリバイバル・ヒット。歌い出し〈春のこもれ陽の中で…〉

◆「あずさ2号」('77): 狩人のデビュー曲。サビ〈8時ちょうどのあずさ2号で 私は 私は あなたから旅立ちます…〉。

◆「慕情」('92): サザンオールスターズの曲。『世に万葉の花が咲くなり』収録。歌い出し〈夢の中で交わしたキッスは 悲しみを抱いている 霧のベールにむせぶ影は 胸に残る慕情…〉。

◆「純愛ラプソディ」('94): 竹内まりやの曲。歌い出し〈明るいだけが取り柄でも…〉。

円広志(まどかひろし): シンガーソングライター。'78.「夢想花」。'83.森昌子に「越冬つばめ」を提供。関西ではテレビタレントとしても有名。

◆「夢想花(むそうばな)」('78): 円広志のデビュー曲。サビで〈とんで〉を9回連呼する。

畑中葉子: 歌手。'78.師・平尾昌晃とのデュエット曲「カナダからの手紙」でデビュー。'79.日活ロマンポルノで女優デビュー。清純派歌手からの大転換で衝撃を与えた。'80.主演ポルノ映画『後から前から』と同名主題歌がヒット。

◆「カナダからの手紙」('78): 平尾昌晃・畑中葉子のデュエット曲。カナダへの日本人旅行者が急増し、カナダ政府から表彰された。

プラスチックス: テクノポップ・バンド。70s末-80s初頭にP-MODEL、ヒカシューと並んで「テクノ御三家」と呼ばれた。
イラストレーター、グラフィックデザイナー、スタイリストで結成した素人のパーティーバンドに佐久間正英がキーボード担当で加入し、先鋭的なスタイルを確立。'80.「TOP SECRET MAN」。

◆「別れても好きな人」: ムード歌謡曲。男女デュエット形式の、ロス・インディオス&シルヴィア盤('79)が大ヒットした。

◆「カリフォルニア・コネクション」('79): 水谷豊の曲。自身主演ドラマ『熱中時代・刑事編』主題歌。歌い出し〈ジグザグ気取った…〉。

◆「夏の扉」('81): 松田聖子の曲。サビ〈フレッシュ! フレッシュ! フレッシュ!…〉。

◆「初恋」('83): 村下孝蔵の曲。歌い出し〈五月雨は緑色…〉。サビ〈好きだよと言えずに初恋は ふりこ細工の心…〉〈浅い夢だから 胸をはなれない…〉。二番歌い出し〈夕映えはあんず色…〉。

中森明菜: 歌手、女優。80sアイドル、「花の82年組」の代表格。'83、'85-87年のアーティストトータルセールス1位。
80sアイドルの2強と並び称される松田聖子とは対照的な、「翳り」のある声質で、ヒット曲の多くが短調の曲なのは非常に特徴的。音楽番組等で披露する衣装や振り付けをセルフプロデュースしていたことでも知られる。

◆「セカンド・ラブ」('82): 中森明菜の最大のヒット曲。来生えつこ作詞、来生たかお作曲。歌い出し〈恋も二度目なら…〉。サビ〈抱き上げてつれてって時間ごと どこかへ 運んでほしい…〉。

ザ・スターリン: パンクバンド。Vo.は遠藤ミチロウ。バンド名は〈世界で最も嫌われている男の名前をつけたらすぐに覚えてもらえる〉という理由で付けられた。
客席に爆竹や豚の頭・臓物を投げ込む、猪を放つ(真偽不明)、ステージ上で全裸で放尿や自慰行為に及び逮捕される、といった過激なパフォーマンスで知られる。'82.「ロマンチスト」。

◆「ボヘミアン」('83): 葛城ユキの曲(カバー曲)。飛鳥涼作詞。

COMPLEX: 吉川晃司(Vo)と布袋寅泰(G)のロックユニット。'89.「BE MY BABY」「恋をとめないで」。

TM NETWORK: 音楽ユニット。メンバーは宇都宮隆(Vo)、小室哲哉(Key)、木根尚登(G/Key)。'87.「Get Wild」「Be Together」(鈴木あみのカバーで知られる)。

菊池桃子: 歌手、女優、大学教員(専門はキャリア教育)。当初はアイドル、'88-89年にはバンド「ラ・ムー」のVo.として活動。シティ・ポップブームで再評価されている。
'85.「卒業-GRADUATION-」。'86.「夏色片想い」。'88.「少年は天使を殺す」(ラ・ムー)。

一世風靡セピア: 80sに活躍した路上パフォーマンス集団「劇男一世風靡」から派生した音楽ユニット。哀川翔、柳葉敏郎らが所属した。'84.「前略、道の上より」でデビュー。

◆「Runner」('88): 爆風スランプの曲。サビ〈走る走る俺たち…〉。

◆「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」('84): 中原めいこの曲。ラッツ&スター「め組のひと」('83)に続いた、ファンカラティーナ(ファンク+ラテン音楽)のヒット曲。

◆「夜霧のハウスマヌカン」('86): ややの曲。「ハウスマヌカン」とはDCブランドブームの当時、ブティックのショップ店員を指した言葉。

◆「リンダリンダ」('87): THE BLUE HEARTSのメジャーデビュー曲。甲本ヒロト作詞・作曲。アルバム『THE BLUE HEARTS』では最後のトラックを飾る。
生命愛に溢れるバンドの精神を一言で表す名フレーズの後に、一気呵成にエネルギーを爆発させ、最高潮のテンションで曲名のリフレインが始まる。曲名に深い意味は無いという。
歌い出し〈ドブネズミみたいに美しくなりたい 写真には写らない美しさがあるから…〉。

◆「TRAIN-TRAIN」('88): THE BLUE HEARTSの曲。真島昌利作詞・作曲。3rdアルバムのタイトル曲。シングルA面曲としては初めて真島が作曲を手掛けた。
歌い出し〈栄光に向かってる走る あの列車に乗って行こう…〉。Bメロ~サビ〈見えない自由がほしくて 見えない銃を撃ちまくる 本当の声を聞かせておくれよ TRAIN-TRAIN 走って行く TRAIN-TRAIN どこまでも…〉。
2番Aメロ〈世界中にさだめられた どんな記念日なんかより あなたが生きている今日は どんなにすばらしいだろう 世界中に建てられてる どんな記念碑なんかより あなたが生きている今日は どんなに意味があるだろう〉。

◆「青空」('88): THE BLUE HEARTSの曲。真島昌利作詞・作曲。3rdアルバム『TRAIN-TRAIN』収録。Bメロ〈生まれた所や皮膚や目の色で いったいこの僕の 何がわかるというのだろう…〉。

B'z: ロックユニット。メンバーは稲葉浩志(Vo/作詞)、松本孝弘(G/作曲)。日本のアーティストとしてのCDの総売上枚数歴代1位。'88.アルバム『B'z』とシングル「だからその手を離して」の同時発売でデビュー。
初期は打ち込みにハードなギターを合わせたサウンドだったが、徐々にバンド等を取り入れ、ハードロックをベースとした幅広い音楽性となった。

◆「HOME」('98): B'zの曲。歌い出し〈愛されるばかりが能じゃないだろう…〉、サビ〈言葉ひとつ足りないくらいで 全部こわれてしまうような かよわい絆ばかりじゃないだろう さあ見つけるんだ 僕たちのHOME…〉。

JUN SKY WALKER(S): ロックバンド。寺岡呼人(B)が所属した。'88.「すてきな夜空」。'91.「休みの日」。'95.「さらば愛しき危険たちよ」。

カーネーション: ロックバンド。'94.「EDO RIVER」。'95.「It's a Beautiful Day」。

Wink: 女性アイドルデュオ。相田翔子が所属した。声や表情の抑揚を控え、マリオネットのようにロボットダンスを踊るパフォーマンスは後のPerfumeにも影響を与えたという。
'88.「愛が止まらない~Turn it into love~」(カイリー・ミノーグのカバー)。'89.「淋しい熱帯魚」(レコード大賞受賞曲)。

◆「Tears」('93): X JAPANの曲。サビ〈流れる涙を 時代(とき)の風に重ねて…〉。

◆「ROCKET DIVE」('98): HIDEの曲。サビ〈SPEED FREAKS BABY ROCKET DIVE…〉。

◆「ピンクスパイダー」('98): HIDEの曲。サビ〈ピンクスパイダー 「行きたいなぁ」 ピンクスパイダー 「翼が欲しい…」…〉。

ピチカート・ファイヴ: マルチプレーヤーの小西康陽を中心とする音楽グループ。Vo.を野宮真貴が務めた90sに渋谷系ブームを牽引した。「ハッピー」「キャッチー」等の言葉を多用した多幸感溢れる詞も特徴。
'93.「スウィート・ソウル・レビュー」「東京は夜の七時」。'94.「ハッピー・サッド」。'96.「ベイビィ・ポータブル・ロック」。'97.「大都会交響楽」。

宇徳敬子: B.B.クィーンズのメンバー(コーラス担当)、シンガーソングライター。'93.ソロデビュー。'95.「不思議な世界」。

◆「家族になろうよ」('11): 福山雅治の曲。サビ〈いつかお父さんみたいに大きな背中で いつかお母さんみたいに静かな優しさで どんなことも越えてゆける 家族になろうよ…〉。

◆「Squall」('99): 松本英子(えいこ)の曲。福山雅治作詞・作曲。福山のセルフカバー版も有名。歌い出し〈さっきまでの通り雨が ウソみたいにキレイな空…〉。サビ〈私 恋をしている 哀しいくらい もう隠せない この切なさは…〉。

宍戸留美: アイドル歌手。'91.「地球の危機」。

◆「スカーレット」('97): スピッツの曲。『フェイクファー』収録。歌い出し〈離さない このまま 時が流れても…〉。

◆「運命の人」('97): スピッツの曲。『フェイクファー』収録。歌い出し〈バスの揺れ方で人生の意味が 解かった日曜日…〉。サビ〈走る 遥か この星の果てまで…〉。

BLANKEY JET CITY: スリーピースバンド。Vo./G.は浅井健一ベンジー)。

電気グルーヴ: テクノユニット。メンバーは石野卓球、ピエール瀧。元メンバーに砂原良徳(まりん)('91-98)。高い音楽性の一方、ジョークやパロディ、破天荒なパフォーマンスも特徴で、90sサブカルの旗手として知られた。
多くの曲では石野が作詞・作曲・サンプリング・DJ・Vo.を務め、音楽的な貢献が少ない瀧の担当パートは「瀧」としかクレジットされない場合も多い。
ライブでは石野が主に後方で演奏する一方、瀧がフロントマンとして前方で客と対峙し、様々なパフォーマンスを行う。

石野卓球: 静岡市出身のテクノミュージシャン。電気グルーヴのメンバー。篠原ともえの初期のプロデューサー。レイヴやパーティーの主宰者としても知られる。
幼少期からテクノやノイズに傾倒し、自室では好きな曲をかけるだけに飽き足らずドラム缶や電気ノコギリを鳴らしていた。石野の妹は「兄の部屋から聞こえる音がうるさい」という内容の詩を書いてコンテストで入賞した。

ピエール瀧: 静岡市出身のミュージシャン、マルチタレント。電気グルーヴのメンバー。石野とは学生時代からの盟友で、電気グルーヴの前身グループ「人生」にも参加している。
俳優・声優・TVタレントとして、又、映像制作、漫画原作、ゲームソフトや静岡おでん店のプロデュース、演歌歌手等、マルチに活躍してきた。'19.コカイン使用で有罪となる。

◆「富士山」('93): 電気グルーヴの曲。ピエール瀧作詞・作曲。ライブでは瀧が富士山の着ぐるみで登場して歌う。

◆「N.O.(エヌ・オー)」('93): 電気グルーヴの代表曲。サビ〈学校ないし 家庭もないし ヒマじゃないし カーテンもないし 花を入れる花ビンもないし 嫌じゃないし カッコつかないし〉。

◆「」('94): 電気グルーヴの曲。ドイツや英国でリミックス盤が発売され、海外進出のきっかけとなった。

◆「Shangri-La」('97): 電気グルーヴの最大のヒット曲。サビ〈夢でKISS KISS KISS KISS KISS KISS…〉。当初は歌詞を〈ケツにKISS KISS…〉としており、歌詞をそのままにするか最後まで悩んだという。

◆「聖☆おじさん(セイント-)」('05): 電気グルーヴとスチャダラパーのコラボ曲。サビ〈今夜のパーティ 盛り上がりイマイチ 誰を呼ぶ? 聖おじさん〉。

◆「モノノケダンス」('08): 電気グルーヴの曲。アニメ『墓場鬼太郎』OP。

GAO(ガオ): 歌手。女性だがかつては性別を明かしていなかった。ユニセックス的なハスキーボイスが特徴。'92.「サヨナラ」。

◆「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」('96): YEN TOWN BANDの曲。映画『スワロウテイル』主題歌。

◆「Drawing」('01): Mr.Childrenの曲。『IT'S A WONDERFUL WORLD』収録。サビ〈絵に描いたとしても 時と共に何かが色褪せてしまうでしょう…〉。

◆「それが答えだ!」('97): ウルフルズの曲。サビ〈それが答えだ! エンヤコラ明日へ大爆走 それが答えだ! 足並みは快調 エブリバディ 強引でも不安じゃねぇ…〉。

◆「笑えれば」('02): ウルフルズの曲。歌い出し〈とにかく笑えれば 最後に笑えれば 情けない帰り道 ハハハと笑えれば…〉。

◆「バカサバイバー」('04): ウルフルズの曲。歌い出し〈バカサバイバー 生き残れ バカサバイバー baby…〉。

THE YELLOW MONKEYイエモン): ロックバンド。'89.現在のメンバー4人で初のライブを行う。'92.メジャーデビュー。'01.活動停止。'16.再集結。

吉井和哉: THE YELLOW MONKEYのフロントマン(Vo/G/作詞・作曲/プロデューサー)、シンガーソングライター。妻は眞鍋かをり。デヴィッド・ボウイに強く影響を受けている。

◆「ROSIER(ロージア)」('94): LUNA SEAの曲。サビ〈ROSIER 愛したキミには ROSIER 近づけない…〉。

THE 虎舞竜(ザ・トラ・ブリュー): ロックバンド。Vo.は高橋ジョージ。'92.「ロード」。

◆「promise」('97): 広瀬香美の曲。サビ〈Get down 揺れる 廻る 振れる 切ない気持ち…〉〈ずっと eternal love…〉。印象的な〈ずっと〉の部分はビブラートではなく、半音ずつ細かく音程を変えて歌う。

SUPER MONKEY'S: '92-96年に活動した女性ダンスアイドルグループ。沖縄アクターズスクール出身。Vo.は安室奈美恵。'95.「TRY ME ~私を信じて~」。

ALI PROJECT: 音楽ユニット。Vo.は宝野アリカ。楽曲のフレーズにマイナーなクラシック曲からの引用が多い。ゴスロリを出発点として、ファッション性、音楽性、詞の世界観を時代と共に広げている。

◆「禁じられた遊び」('04): ALI PROJECTの曲。アニメ『ローゼンメイデン』OP。歌い出し〈薔薇の首輪つなげて…〉。

◆「聖少女領域」('05): ALI PROJECTの曲。アニメ『ローゼンメイデン』2期OP。歌い出し〈まだ云わないで 呪文めいたその言葉…〉。

サニーデイ・サービス: スリーピースバンド。Vo./G.は曽我部恵一(そかべ-)。'96.アルバム『東京』。

山崎まさよし: 山口県防府市出身のシンガーソングライター。'95.「セロリ」。'96.「One more time, One more chance」。'98.「僕はここにいる」。'03.「全部、君だった。」。'05.「8月のクリスマス」。

◆「One more time, One more chance」('96): 山崎まさよしの曲。自身主演映画『月とキャベツ』主題歌。'07.映画『秒速5センチメートル』主題歌となる。
サビ〈いつでも捜しているよ どっかに君の姿を 向いのホーム 路地裏の窓 こんなとこにいるはずもないのに…〉。

My Little Lover: 音楽ユニット。現在はakko(Vo.)のソロユニット。プロデューサーの小林武史がキーボード担当で所属した(脱退後もプロデュースは継続)。'95.1stアルバム『evergreen』。

akko: My Little Loverのヴォーカリスト。元夫('96-08)は小林武史。

◆「ALICE」('96): My Little Loverの曲。サビの最も盛り上がる部分が伏字になっている(〈ㇾゲレラ、ㇾゲレゲラ…〉のように聞こえる)。

◆「YES ~free flower~」('96): My Little Loverの曲。映画『スワロウテイル』劇中歌。

◆「深呼吸の必要」('04): My Little Loverの曲。沖縄のサトウキビ畑を舞台にした同名青春映画の主題歌。

相川七瀬: 大阪出身の歌手。avex系レーベルに所属しながら、織田哲郎のプロデュースでヒット。'95.「夢見る少女じゃいられない」。'96.「恋心」。'97.「Sweet Emotion」。

SOPHIA: V系バンド。Vo.は松岡充。'97.「街」。

The Birthday: ロックバンド。元THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのチバユウスケ、クハラカズユキらが結成。

◆「嵐の中で輝いて」('96): 米倉千尋の曲。OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』OP。サビ〈嵐の中で輝いて その夢をあきらめないで…〉。

◆「Startin'」('06): 浜崎あゆみの曲。サビ〈答えなんてない 誰も教えてくれない もしどこかにあるとしたら 君はもう手にしてる…〉。

◆「逢いたくていま」('09): MISIAの曲。ドラマ『JIN-仁-』主題歌。サビ〈今 逢いたい あなたに 伝えたいことが たくさんある…〉。

クレイジーケンバンド: ロックバンド。Vo.は横山剣。昭和歌謡のテイストを取り入れた楽曲が特徴的。'02.「タイガー&ドラゴン」。

◆「サウダージ」('00): ポルノグラフィティの曲。曲名は哀愁や切なさを意味するポルトガル語。歌い出し〈私は私とはぐれる訳にはいかないから いつかまた逢いましょう その日までサヨナラ恋心よ…〉。

ナンバーガール(ナンバガ): 福岡県出身のバンド。Vo.は向井秀徳。'00.「鉄風 鋭くなって」。

Do As Infinity: ロックバンド。Vo.は伴都美子。ドリカム編成のバンドの1つ。'01.「深い森」。

◆「ハピネス」('11): AIの曲。コカ・コーラのクリスマスキャンペーンのCM曲。サビ〈君が笑えば この世界中に もっと もっと 幸せが広がる…〉。

◆「愛のうた」('07): 倖田來未の曲。サビ〈愛のうた 響き渡れば…〉。

矢井田瞳: 歌手。'00.「my sweet darlin'」。

◆「琉球愛歌」('01): MONGOL800の曲。『MESSAGE』収録。Awichのリミックス版('23)も話題を呼んだ。〈忘れるな琉球の心 武力使わず 自然を愛する…〉。

◆「東京喫茶」('01): CAPSULEの曲。サビ〈東京喫茶の午後 東京喫茶に行こう…〉。

◆「music controller」('02): CAPSULEの曲。サビ〈恋の病に気づいたのなら そういう時にカプセルがある 愛と夢と音を詰め込んだ 副作用は幸せ…〉。

◆「プラスチックガール」('02): CAPSULEの曲。サビ〈インテグレイト セパレイト…〉。

◆「キャンディー キューティー」('03): CAPSULEの曲。歌い出し〈都会の人はみんな ベルトコンベアーで 歩いているんだよね?…〉。

◆「sha la la」('01): Skoop On Somebodyの曲。サビ〈ステキな恋にしよう 初めてのKissのような Sha la la… 言葉じゃなくても 透明な想いのままで…〉。

◆「」('06): スキマスイッチの曲。サビ〈恋愛の成功率はね 散々でね…〉。

加藤ミリヤ: 歌手。高校1年生でデビュー。'04.「夜空」。'07.「Eyes on you」。'08.「SAYONARAベイベー」。'09.「Aitai」。

◆「夜空」('04): 加藤ミリヤのデビュー曲。サビ〈このまま自分を夜空にかざそう…〉。

マキシマム ザ ホルモン: ロックバンド。フロントマンはマキシマムザ亮君(Vo/G/作詞/作曲)。ヘヴィメタル系の激しいラウドロックにポップなメロディ、ユーモア溢れる独特な詞、メインヴォーカルが3人いる変則的な構成等が特徴。
「体重70kg以上限定」「身長160cm以下限定」等の限定フリーライブを行ったことがある。'07.「ぶっ生き返す!!」。'13.「予襲復讐」。

伊藤由奈: 歌手。日系米国人。映画『NANA』のオーディションに合格し来日。'05.「ENDLESS STORY」(『NANA』劇中歌)でデビュー。'06.「Precious」。

◆「涙の数だけ」('05): Full Of Harmonyの曲。サビ〈涙の数だけ僕たちは優しくなる…〉。

◆「うるわしきひと」('07): いきものがかりの曲。歌い出し〈あぁ うるわしき あいのうた…〉。

◆「花は桜 君は美し」('08): いきものがかりの曲。

◆「帰りたくなったよ」('08): いきものがかりの曲。歌い出し〈心の穴を埋めたいから 優しいフリして笑った…〉。サビ〈帰りたくなったよ 君が待つ街へ 大きく手を振ってくれたら 何度でも振り返すから…〉。

◆「ブルーバード」('08): いきものがかりの曲。TVアニメ『NARUTO』OP。歌い出し〈飛翔たいたら 戻らないと言って 目指したのは 蒼い 蒼い あの空…〉。

◆「気まぐれロマンティック」('08): いきものがかりの曲。MVにドット絵を使っている。サビ〈ダーリンダーリン心の扉を壊してよ たいせつなことは瞳(め)を見て云って…〉。

◆「心の花を咲かせよう」('08): いきものがかりの曲。サビ〈心にある花を枯らさずに咲かせよう…〉。

FUNKY MONKEY BΛBY'S: 2人のMC・ファンキー加藤とモン吉から成るポップラップユニット。元メンバーにDJケミカル。'07.「ちっぽけな勇気」。'10.「あとひとつ」。
シングル・ジャケットをMVに登場する有名人のポートレート、アルバム・ジャケットをDJケミカルのポートレートで統一していた。

◆『空はまるで』('07): MONKEY MAJIKのアルバム。表題曲や、吉田兄弟とのコラボ曲「Change」を収録。

◆「」('08): Aqua Timezの曲。歌い出し〈大丈夫だよ 見上げれば もう…〉。

DOES: スリーピースバンド。「曇天」('08)をはじめ、アニメ『銀魂』のタイアップ曲が有名。

◆「A Perfect Sky」('06): BONNIE PINKの曲。歌い出し〈君の胸で泣かない 君に胸焦がさない I'm looking for a perfect sky…〉。

◆「アンマー」('06): 沖縄のインディーズバンド・かりゆし58のデビュー曲。曲名は沖縄方言で母を意味する。サビ〈アンマーよ アナタは私の 全てを許し 全てを信じ 全てを包み込んで…〉。

◆「Bi-Li-Li Emotion」('13): Superflyの曲。ドラマ『ドクターX』主題歌。

大石昌良オーイシマサヨシ): シンガーソングライター。「アニソン界のおしゃべりクソメガネ」を自称する。'14.「君じゃなきゃダメみたい」。'17.「ようこそジャパリパークへ」(作詞・作曲・編曲・コーラス)。

◆「そばにいるね」('06): 青山テルマ feat.SoulJa(ソルジャ)の曲。メロ〈Baby boy あたしはここにいるよ どこもいかずに待ってるよ…〉。

大橋トリオ: シンガーソングライター。本名の「大橋好規(-よしのり)」名義で作曲家・音楽プロデューサーとしても活動する。'10.「HONEY」。'12.「モンスター feat.秦基博」。

SUPER BEAVER: ロックバンド。Vo.は渋谷龍太。'16.「人として」。

OKAMOTO'S: ロックバンド。岡本太郎好きであることから、メンバー全員がオカモト姓を名乗る。全員が和光中学校・高等学校の同級生。
'15.「Beautiful Days」。'17.「90'S TOKYO BOYS」。'20.「Welcome My Friend」「Keep On Running」(菅田将暉との共作)。'21.「Sprite」。

amazarashi: 青森県のバンド。Vo.は秋田ひろむ。'11.「ピアノ泥棒」。'15.「季節は次々死んでいく」。

ChouCho: 歌手。'12.「DreamRiser」(アニメ『ガールズ&パンツァー』OP)。

石崎ひゅーい: シンガーソングライター。'16.「花瓶の花」。'18.菅田将暉への提供曲「さよならエレジー」がヒット。
「ひゅーい」は本名。星一徹とデヴィッド・ボウイのファンだった母が、一徹の息子「飛雄馬」とデヴィッドの息子「ゾーイ」を組み合わせて命名した。

SILENT SIREN: ガールズバンド。'17.「フジヤマディスコ」。

赤い公園: ガールズバンド。東村山市にある都立高校の軽音部出身。'17.「恋と嘘」。'21.作詞・作曲のほとんどを手掛けてきたリーダー・津野米咲の急逝を受け解散。

wacci: ポップロックバンド。Vo.は橋口洋平。'22.「恋だろ」。

◆「RIVER」('18): tofubeatsの曲。サビ〈二人の愛は流れる川のようだ…〉。

fhána(ファナ): 音楽グループ。'17.「青空のラプソディ」(アニメ『小林さんちのメイドラゴン』OP)。'21.「愛のシュプリーム!」(アニメ『小林さんちのメイドラゴンS』OP)。

あのちゃん(あの、ano): ミュージシャン、タレント。フワフワしたマイペースな喋り方や独特のワードセンスで知られる。

チャラン・ポ・ランタン: Vo.とアコーディオンから成る姉妹デュオ。サーカス風の独特な世界観、シャンソンや民俗音楽を取り入れた音楽性が特徴。'16.「時計仕掛けの人生」「進め、たまに逃げても」。

伊東歌詞太郎: シンガーソングライター。芸名は好きな新選組隊士・伊東甲子太郎のもじり。'14.「メランコリック」。

ヒトリエ: ロックバンド。ボカロPだったwowakaを中心に結成。'16.「ワンミーツハー」。'19.wowakaの急逝に伴いVo.交代。

I Don't Like Mondays.(アイドラ): ロックバンド。'18.「LEMONADE」。'20.「Sunflower」。

でか美ちゃん: 歌手、タレント。旧芸名「ぱいぱいでか美」。大森靖子のプロデュースで、自身のヌード写真をジャケットにしてデビューした。'14-21.『有吉反省会』レギュラー。

◆「VOLT-AGE(ボルテージ)」('18): Suchmosの曲。NHKの'18年のサッカー(W杯ロシア大会等)中継テーマ。サビで〈heartbeat…by your side…〉という歌詞を繰り返す。
「タマシイレボリューション」('10)や「NIPPON」('14)とのギャップからか、W杯を中継するネット民から「盛り上がりに欠ける」「ボルテージ下がりそう」「倍野菜(by your sideの空耳)」等と揶揄されてしまった。

さユり: シンガーソングライター。キャッチコピーは「酸欠少女」。'15.「ミカヅキ」でデビュー。

◆「裸の心」('20): あいみょんの曲。サビ〈この恋が実りますように…〉。

Nulbarich(ナルバリッチ): シンガーソングライター・JQを中心に編成するメンバー不定のバンド。音楽性はブラックミュージックをベースとする。'16.「NEW ERA」。

ヒグチアイ: シンガーソングライター。'22.「悪魔の子」(TVアニメ『進撃の巨人』ED)。

My Hair is Bad: スリーピースバンド。'16.「恋人ができたんだ」。

新しい学校のリーダーズ: セーラー服でパフォーマンスを行う4人組ダンス&ヴォーカルグループ。コンセプトは〈個性や自由ではみ出していく〉。メンバーはMIZYU(リーダー)、SUZUKA、KANON、RIN。
所属事務所はCAPSULEやきゃりーぱみゅぱみゅと同じ「アソビシステム」。'20.「オトナブルー」。'21.「Pineapple Kryptonite」。

フレンズ: バンド。'16.「夜にダンス」。

羊文学(ひつじぶんがく): スリーピースバンド。Vo.は塩塚モエカ。'21.「光るとき」。

ナナヲアカリ: 歌手。'17.「ダダダダ天使」。

◆「Cry Baby」('21): Official髭男dismの曲。TVアニメ『東京リベンジャーズ』OP。激しい転調が特徴。サビ〈何度も青アザだらけで涙を 流して 流して…〉〈土砂降りの夜に 誓ったリベンジ…〉。

YOASOBI: 音楽ユニット。メンバーはikura(Vo)、Ayase(作詞・作曲)。SMEJが運営する小説・イラスト投稿サイト「monogatary.com」上の小説を音楽にするプロジェクトから誕生した。
ユニット名は、ボカロPとしてのAyase、シンガーソングライターとしての幾田りら(ikura)の活動を「昼の姿」、ユニットの活動を「夜の姿」に喩え、遊び心満載なチャレンジをするために名付けられた。

ヨルシカ: 音楽ユニット。メンバーはsuis(スイ)(Vo)、n-buna(ナブナ)(作詞・作曲)。'18.「ただ君に晴れ」。'21.「春泥棒」。

君島大空(きみしまおおぞら): シンガーソングライター、ギタリスト。'19.「遠視のコントラルト」。'21.「向こう髪」。

花譜(かふ): バーチャルシンガー。'19.クラウドファンディングで4000万円以上を集め、1stライブを開催。世界初のカラオケルームでのライブビューイングを行った。

柴田聡子: P-VINE所属のシンガーソングライター。'17.「後悔」。

工藤祐次郎: 東京・阿佐ヶ谷を拠点にインディーズで活動するフォークシンガー。'19.「ゴーゴー魚釣り」。

NINA: NiziUの最年少メンバー。唯一の海外(米国)出身メンバー。

キタニタツヤ: シンガーソングライター。ヨルシカのサポート・ベーシストでもある。東大出身。'23.「青のすみか」。

ハンブレッダーズ: 大阪出身のロックバンド。'21.「BGMになるなよ」。

INI(アイエヌアイ): 11人組男性アイドルグループ。'21.「Rocketeer」。

マハラージャン: シンガーソングライター。スーツ姿にターバンを巻いたビジュアルが特徴。'21.「セーラ☆ムン太郎」。

TOMOO: シンガーソングライター。'21.「Ginger」。'22.「Cinderella」。

◆「らいおんハート」('00): SMAPの曲。草彅の主演ドラマ『フードファイト』主題歌。サビ〈君を守るため そのために生まれてきたんだ あきれるほどに そうさそばにいてあげる 眠った横顔 震えるこの胸 Lion Heart…〉。

◆「オレンジ」('00): SMAPの曲。シングル「らいおんハート」のカップリング曲。歌い出し〈小さな肩に背負込んだ僕らの未来は…〉、サビ〈「さよなら」と言えば君の 傷も少しは癒えるだろう?…〉。

◆「世界に一つだけの花」('02): SMAPの曲。槇原敬之作詞・作曲。'03年のリカットシングルは特大ヒットとなり、長い年月をかけて300万枚を売り上げた(CDシングルという媒体では日本史上唯一の記録)。
歌い出し〈No.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one…〉。サビ〈そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい…〉。

◆「Triangle」('05): SMAPの曲。銃を構える人、向けられる人、それを見る自分の三者の関係という意味を込めた反戦歌。サビ〈僕の目がキミの手が僕らの声が それぞれ異なっているように 自由でこそ生命(いのち)だから…〉。

◆「AMBITIOUS JAPAN!」('03): TOKIOの曲。JR東海のキャンペーンソング。なかにし礼作詞、筒美京平作曲。サビ〈Be ambitious! 我が友よ 冒険者よ…〉。

◆「会員番号の唄」('86): おニャン子クラブの自己紹介ソング。

◆「LOVEマシーン」('99): モーニング娘。最大のヒット曲。世紀末の暗い世相に現れた、バカバカしいほど明るいディスコ歌謡。
発売日は'99/9/9。9人体制での発売を目指し3期メンバーのオーディションを行ったが、「後藤真希1人だけレベルが違いすぎた」ために後藤しか合格せず、8人で歌うこととなった。
後藤真希の加入後初、石黒彩の卒業前最後のシングル。ジャケットに映るメンバー8人は後に、右上から順(石黒→市井→中澤→後藤→保田→安倍→飯田→矢口)に卒業した(「ラブマの法則」)。
サビ〈日本の未来は (Wow×4) 世界がうらやむ (Yeah×4) 恋をしようじゃないか! (Wow×4) Dance! Dancin' all of the night…〉。

◆「君の名は希望」('13): 乃木坂46の曲。乃木坂駅の発車メロディ。センターは生駒里奈が務めた。サビ〈こんなに誰かを恋しくなる 自分がいたなんて 想像もできなかったこと…〉。

◆「インフルエンサー」('17): 乃木坂46の曲。センターは白石麻衣と西野七瀬が務めた。歌い出し〈ブンブンブン ブンブンブン…〉。

◆「サイレントマジョリティー」('16): 欅坂46(現・櫻坂46)のデビュー曲。日本の女性アイドルソングとしては珍しい低音寄りの構成、軍隊のような衣装と統率されたダンス、メッセージ性の強い歌詞で大ヒットした。
サビ〈君は君らしく生きて行く自由があるんだ 大人たちに支配されるな 初めから そうあきらめてしまったら 僕らは何のために生まれたのか?…〉。

うなずきトリオ: 漫才ブーム時代に、ビートきよし・松本竜介・島田洋八(ツービート、紳助・竜介、B&Bのツッコミで、いずれも「じゃない方芸人」と認識されていた)を集めたユニット。大瀧詠一がプロデュースした。'82.「うなずきマーチ」。

野猿(やえん): バラエティ『とんねるずのみなさんのおかげでした』で結成された、とんねるずと番組スタッフ達による音楽グループ。'99.「Be cool!」。'00.「First impression」。

◆「WOW WAR TONIGHT ~時には起こせよムーヴメント」('95): H Jungle with t(浜田雅功(Vo)、小室哲哉(プロデューサー))の曲。マークパンサーのラップや松本人志の語りを挿入している。
ダブルミリオンを達成。ジャングル(レゲエ+テクノ)というジャンルで世界一売れた曲。

◆「あぁエキセントリック少年ボウイ」('97): バラエティ『ダウンタウンのごっつええ感じ』放送末期のED。番組内のヒーロー物パロディコント「エキセントリック少年ボウイ」に関連した哀愁漂うコミックソング。Vo.は浜田雅功。
シングル「『エキセントリック少年ボウイ』のテーマ」のカップリング曲。大サビ〈ああ明日になんかならなきゃいいのに…〉。

◆「ヨーデル食べ放題」('96): 桂雀三郎withまんぷくブラザーズ(上方落語家によるユニット)のコミックソング。巧みなヨーデルを駆使しながら焼肉屋の食べ放題について歌う。

◆「Garden」('99): Sugar Soul feat.Kenji(降谷建志)の曲。サビ〈さぁみんなここに愛の庭に…〉。

◆「トモダチ」('02): ケツメイシの曲。『ケツノポリス2』収録。歌い出し〈ずっと友だち だが時は経ち…〉。

KREVA: ラッパー、KICK THE CAN CREWのメンバー。'04.「音色」でソロデビュー。'05.「イッサイガッサイ」。'07.「アグレッシ部」「くればいいのに feat.草野マサムネ」。

◆「音色」('04): KREVAのソロデビュー曲。サビ〈Hey 愛してんぜ 音色 You're my baby…〉。

◆「イッサイガッサイ」('05): KREVAの曲。サビ〈今年は何かしたくて毎日二人はソワソワしてる この身も心も焦してる イッサイガッサイのみこんで (hey~!)…〉。

晋平太(しんぺいた): ラッパー。'17.『フリースタイルダンジョン』初の完全制覇達成。

田我流(でんがりゅう): ラッパー。'12.「やべ~勢いですげー盛り上がる」。

DJみそしるとMCごはん: 女性トラックメーカー、MC。2人組のような名前だがソロミュージシャン。'15.「あんかけ炊炒飯 feat.夢眠ねむ」。'18.「エプロンボーイ」。'20.「僕らの特製コンチャーハン」(沢城千春とのコラボ曲)。

ちゃんみな: ラッパー。「練馬のビヨンセ」。'19.「Never Grow Up」。

DJ和(-かず): クラブDJ。J-POPやアニメソングのDJとして有名。

◆「VOXers」('19): ゴスペラーズのアカペラ曲。酒井雄二作詞・作曲。ボクシングが題材。

YOKARO-MON(よかろうもん): 福岡県出身のアカペラグループ。全員が高校の同級生。'08.結成。'23年までヒューマンビートボクサーのDaichiが所属した。

JAM Project: 水木一郎が結成したアニソン歌手ユニット。HR/HM色が強い。現在のメンバーは影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹。

ヒプノシスマイク: 男性声優によるキャラクターラッププロジェクト。女性が支配する「兵器ではなく言葉で戦う世界」を舞台に、複数のチームが争う設定。

串田アキラ: 歌手。'82.「宇宙刑事ギャバン」。'83.「キン肉マン Go Fight!」。

◆「宇宙刑事ギャバン」('82): 串田アキラの曲。特撮ドラマ『宇宙刑事ギャバン』OP。サビ〈若さ 若さってなんだ ふりむかないことさ 愛ってなんだ ためらわないことさ…〉。

◆「キン肉マン Go Fight!」('83): 串田アキラの曲。アニメ『キン肉マン』初代OP。歌詞〈リングに 稲妻走り…〉〈私は (ドジで) 強い (つもり) キン肉マン…〉〈ああ 心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ…〉

◆「CHA-LA HEAD-CHA-LA」('89): 影山ヒロノブの曲。アニメ『ドラゴンボールZ』OP。歌い出し〈光る雲を突き抜け Fly Away…〉。

◆「おどるポンポコリン」('90): B.B.クィーンズのデビュー曲。アニメ『ちびまる子ちゃん』初代ED。さくらももこ作詞、織田哲郎作曲。ナンセンスな歌詞が世相とマッチし、アニメと共に社会現象的なヒットとなった。
1番〈なんでもかんでも みんな おどりをおどっているよ おなべの中から ボワッと インチキおじさん 登場 いつだって わすれない エジソンは えらい人 そんなの 常識 タッタタラリラ ピーヒャラ ピーヒャラ パッパパラパ…〉。

◆「お料理行進曲」('92): アニメ『キテレツ大百科』OP('92-96)。歌詞はそのまま料理の手順で、1番はコロッケ、2番はナポリタンの作り方を歌う。歌い出し〈いざ進めやキッチン 目指すはジャガイモ…〉。

◆「ゆずれない願い」('94): 田村直美の曲。アニメ『魔法騎士レイアース』OP。

◆「おジャ魔女カーニバル!!」('99): アニメ『おジャ魔女どれみ』OP。サビ〈大きな声でピリカピリララ…〉〈テストで3点 笑顔は満点 ドキドキワクワクは年中無休…〉。

◆「トライアングラー」('08): 坂本真綾の曲。アニメ『マクロスF』前期OP。菅野よう子作曲。歌い出し〈君は誰とキスをする わたし それともあの娘…〉。

Sound Horizon: サウンドクリエイター・Revoによるソロユニット。略称「サンホラ」。世界史等をテーマにした幻想的なコンセプトアルバムで知られる。
Linked Horizon名義で『進撃の巨人』シリーズ等のタイアップ曲も手掛ける。'13.「紅蓮の弓矢」(アニメ『進撃の巨人』初代OP)。

◆「うまぴょい伝説」('16): モバイルゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』('21-)のイメージソング、キャラクターソング。ゲーム配信の5年前からイベントで披露されていた。
作詞・作曲はCygames社員が担当。「電波ソング」をテーマに、曲は泥酔して書いたが詞は後から素面で付けた。
サビ〈きみの愛馬が! ずきゅんどきゅん 走り出しー (ふっふー) ばきゅんぶきゅん かけてーゆーくーよー こんなーレースーはー はーじめてー (3 2 1 Fight!)…〉。

れるりり: ボカロP。'12.「脳漿炸裂ガール」。'14.「神のまにまに」。

◆「命に嫌われている。」('17): ボカロ曲。まふまふのカバーが有名。サビ〈僕らは命に嫌われている…〉。

◆「KING」('20): ボカロ曲。王の処刑を匂わせる歌詞。サビ〈レフトサイド ライトサイド 歯をむき出して…〉。

◆「ヴァンパイア」('21): ボカロ曲。マスクを外して牙を覗かせる初音ミクのイラストが印象的。

まふまふ: ニコ動出身の歌い手。男性ながら圧倒的なハイトーンの音域をもち、様々な楽器も演奏する。そらるとのユニット「After the Rain」も知られる。

ぷらそにか: YouTubeにカバー曲を投稿する、多数のシンガーソングライターによるアコースティックセッションユニット。YOASOBIのikuraが幾田りら名義で所属した。

ウッドストック・フェスティバル('69): 米国・ニューヨーク州で夏に3日間開かれた、愛と平和を訴える巨大ロックフェス。

ライブ・エイド('85): アフリカ難民救済を目的とした20c最大のチャリティーライブ。英米2会場に世界的アーティストが集い、世界中で中継された。クイーンの伝説的なパフォーマンスが語り継がれている。

フジロックフェスティバル: 国内四大夏フェスの1つで、例年最初に開催される(7月末が多い)。主催はSMASH。多くの参加者がテントを張ってキャンプしながら参加する。ヘッドライナーは海外の大物アーティストが多い。
'97.山梨県で初回開催。'99-.苗場スキー場(新潟県湯沢町)で開催。

サマーソニック(サマソニ): 国内四大夏フェスの1つ。主催はクリエイティブマン。千葉市・幕張、大阪市・舞洲の2会場がある。ヘッドライナーは海外の大物アーティストが多い。'00.初回開催。

ROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロッキン): 国内四大夏フェスの1つ。主催はロッキング・オン。'00-.国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)で開催。'22.千葉市蘇我スポーツ公園で開催。

ライジング・サン・ロックフェスティバル: 国内四大夏フェスの1つ。北海道石狩市・石狩湾新港で開催するオールナイトイベント。'99.初回開催。

JAPAN JAM: ロッキング・オンとクリエイティブマンが主催するGWの音楽フェス。近年の会場は千葉市蘇我スポーツ公園。'10.初回開催。

COUNTDOWN JAPAN: ロッキング・オンと幕張メッセが主催する日本最大の年越し音楽フェス。'03.初回開催。

グラストンベリー・フェスティバル: イングランド南西部で行われる野外音楽フェス。近年は6月に開かれる。'70.初回開催。

コーチェラ・フェスティバル: カリフォルニア州南部の砂漠で行われる野外音楽フェス。近年は4月に2週連続で開かれ、世界のフェス・シーズンの先陣を飾る存在となっている。'99.初回開催。

グラミー賞: 米国の音楽賞。毎年2月の受賞式は大きな注目を集める。「グラミー」は円盤式蓄音機(グラモフォン)に由来する。'59.創設。

音楽塾ヴォイス: ポピュラー音楽の教育施設。小学生から受け入れを行っている。'97.福岡市で設立。'09.麻布十番に東京校設立。福岡校からYUIや絢香、家入レオを、東京校からVaundyらを輩出した。

Rate Your Music: 米国発のユーザー参加型音楽レビューサイト。

ロッキング・オン: ポピュラー音楽関連の出版事業、音楽フェス事業等を手掛ける会社。渋谷陽一社長。出身ライターに市川哲史、田中宗一郎、鹿野淳、宇野維正ら。Webメディアは「rockin'on.com」。
'72.当時大学生だった渋谷が洋楽雑誌『rockin'on』を創刊。'86.邦楽雑誌『ROCKIN'ON JAPAN』創刊。'00.ROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロッキン)初回開催。'03.COUNTDOWN JAPAN初回開催。'10.JAPAN JAM初回開催。
00sから10s初頭にかけては、ロッキン等のフェスで活躍し、『ROCKIN'ON JAPAN』に取り上げられるバンド(ASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDEN、フジファブリック等)を指して、「ロキノン系」という言葉が浸透した。

シンコーミュージック: ポピュラー音楽系の出版社。'87年に『rockin'on』が抜くまで洋楽誌として長年最多発行部数を誇った『ミュージック・ライフ』の版元。

◆『ミュージック・マガジン(MUSIC MAGAZINE)』: ミュージック・マガジン社発行の、ポピュラー音楽を扱う月刊誌。日本のポピュラー音楽批評界におけるクオリティマガジンとして知られる。表紙は必ずアーティストのイラスト。'69.創刊。

◆『レコード・コレクターズ』: ミュージック・マガジン社発行の、レコード(特にリイシュー盤)の話題を扱う月刊誌。'82.創刊。

◆『音楽と人』: ポピュラー邦楽のアーティストを特集する月刊誌。'93.市川哲史(てつし)が創刊。

◆『MUSICA』: ポピュラー邦楽のアーティストを特集する月刊誌。'07.鹿野淳(しかのあつし)が創刊。

◆『ローリング・ストーン』: ポピュラー音楽と社会を扱う米国発の雑誌。日本版を含め、10数ヶ国で刊行されている。日本版サイトは「Rolling Stone Japan」。
'67.創刊。誌名はマディ・ウォーターズの曲「Rollin' Stone」に由来する(ローリング・ストーンズと同じ)。「歴代最高のアルバム500」等のオールタイム・ランキング企画は有名。

NME(New Musical Express): 英国の音楽メディア。'52.週刊のタブロイド紙として創刊。'98.雑誌に移行。'18.Webに移行。

Pitchfork: 米国の音楽メディア。新譜のレビュー等で世界的な影響力をもつ。

スペースシャワーTV: CSの音楽専門チャンネル。

MTV: 米国のケーブルチャンネル。'81.ポピュラー音楽のMVを24時間流し続けるチャンネルとして開局。YouTube等でMVが見放題となった現在は、音楽以外にもジャンルを広げ、若者向けの娯楽チャンネルとなっている。
日本のCSでは日本版の音楽専門チャンネルを放送している(MTVジャパン)。

◆『MTVアンプラグド』: MTVの音楽番組。ポピュラー音楽の一流アーティストによるアコースティック演奏を放送する。'89-99.レギュラー放送。現在は特番となっている。MTVジャパンも、日本のアーティストが出演する日本版を放送している。

◆『JET STREAM』('67-): TOKYO FMの平日24時台の長寿音楽番組。スポンサーは日本航空。国際線の夜行便で海外に向かっている状況を想起させながら、イージーリスニング系の楽曲を流し、パーソナリティ(「機長」)は最小限の語りを添える。
歴代「機長」に城達也(声優)('67-94)、伊武雅刀('02-09)、大沢たかお('09-20)、福山雅治('20-)ら。


25、芸能

マチネ: 演劇やコンサートの昼間の興行のこと。「午前」を意味するフランス語から。

トリ: 公演等における最後の演者のこと。かつて寄席で、最後の演者が演者全員分のギャラをまとめて受け「取り」、分配する役を担ったことから。

アミューズ: 日本の大手芸能事務所。'77.設立。サザンオールスターズがデビュー時('78)から所属する。他の所属芸能人に三宅裕司、福山雅治、ポルノグラフィティ、Perfume、BABYMETAL、吉高由里子、吉沢亮ら。

WACK: 音楽プロダクション。BiS、BiSH、ExWHYZ、豆柴の大群らの女性アイドルグループで知られる。

鍵屋: 現存する日本最古(17c-)の花火業者。暖簾分けした「玉屋」と江戸の花火人気を二分し、「たーまーやー」「かーぎーやー」という打上花火の掛け声が生み出された。
玉屋は失火事件を起こし、幕府の処分で廃業してしまったが、鍵屋は現在も続いている。

青森ねぶた: 東北三大祭の1つ。青森市で8月上旬に行う。ねぶた(歴史上の人物、神仏、歌舞伎の場面等を題材にした極彩色の巨大な山車灯籠)が街中を運行する。元は旧暦7月に行った七夕祭の一種。

秩父夜祭(-よまつり): 12月に行う秩父神社(埼玉県秩父市)の例祭。提灯で飾り付けた豪華絢爛な山車の曳き回しや、冬の花火大会で知られる。

葵祭: 京都三大祭の1つ。5月に行う下鴨神社上賀茂神社の例祭。平安時代の貴族の間では「祭」といえば葵祭を指した。葵の花を飾った平安時代の装束での行列など、今も京都の宮廷文化の伝統を残す。

祇園祭: 京都三大祭の1つ。7月に行う八坂神社の例祭。山鉾(やまほこ/やまぼこ)行事は前祭(さきのまつり)と後祭(あとのまつり)の2つに分かれる。

時代祭: 京都三大祭の1つ。10月(平安遷都の日とされる10/22を含む期間)に行う平安神宮の例祭。8つの時代(明治維新、江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦)を再現した行列で知られる。

神戸ルミナリエ: 神戸市の電飾の祭典。'95.阪神・淡路大震災犠牲者の鎮魂と追悼、街の復興を祈念するため開始。

よさこい祭り: 8月に行う高知市の祭。鳴子を持った踊り子らが街を練り歩く。

バーニング・マン: 米国・ネバダ州で毎年、夏の終わりに1週間開かれる大規模イベント。電気も水道も通らない塩湖の上に、7万人もの人がそれぞれ自前の衣食住や燃料を持ち込んで1週間限定の「街」を作り、生活や芸術活動を自由に営む。
街では貨幣経済は禁止され、物々交換も推奨されず、見返りを求めない「贈り物経済」と「親切な心」による共同体運営が目指される。

ミスディレクション: マジック等で、観客の注意を、観客自身の意図に反した別の場所に誘導するテクニックのこと。

山上兄弟: マジシャンコンビ。'02.「世界最年少イリュージョニスト」としてギネス認定。〈てじなーにゃ〉の決め台詞で一世を風靡した。

ウエスP: 吉本興業所属の宴会芸・大道芸人。テーブルクロス引き等を得意とし、SNSや海外の番組でも注目を浴びた。

チュチュ: 薄い布を重ねたバレリーナ用のスカート。

プリンシパル: バレエ団の階級で、主役を踊るトップダンサーのこと。

ゼロ・グラヴィティ: マイケル・ジャクソンのダンスパフォーマンス。直立状態から踵を支点に体を前方へゆっくり傾け、斜め45度の角度で静止した後、また元の体勢へ戻る。
初出である「スムース・クリミナル」のMVではワイヤーを使って行ったが、後にライブで再現するため、床にフックを取り付けて支点とする方法が編み出された。

ケチャ: インドネシアのバリ島で行われる、リズミカルな男声合唱に合わせて踊る舞踏劇。

仮面舞踏会マスカレード): 仮面を付け参加者が素性を隠して行うダンスパーティ。中近世の欧州の宮廷で流行した。

バーレスク: 華やかでセクシーなショーガールらが演じるバラエティ・ショー。日本では'11年、六本木にバーレスク東京がオープン。ポールダンス等を含むダンスショーを行っている。

ゴーゴー喫茶: 60s-70s前半に流行した音楽・ダンス喫茶。エレキバンドの生演奏やレコードで大音量の音楽を流し、フロアは客がゴーゴーやモンキーダンスを踊れるようになっている。ディスコの前身。

ムーラン・ルージュ: パリのモンマルトルにあるキャバレー。1889年開業。「赤い風車」を意味する店名の通り、屋根の上に赤い風車がある。
歌やフレンチカンカン、大道芸を組み合わせたショーで有名。ロートレックが通いつめ、集う人々や踊り子達をモデルに数々の作品を描いた。

麿赤兒(まろあかじ): 舞踏家、俳優。'72.暗黒舞踏集団「大駱駝艦(だいらくだかん)」旗揚げ。現在も精力的に活動する。

WORLD ORDER: スーツでロボットダンスを踊るパフォーマンスグループ。'09.元格闘家の須藤元気を中心に結成。

レースクイーン(RQ): モータースポーツにおけるチームスポンサーのコンパニオン(キャンペーンガール)。
バブル期の日本で、水着姿のレースクイーンが登場・定着。飯島直子や岡本夏生、高島礼子(アマチュアレーサーでもあった)が芸能界でブレイクした。
バブル期以降も暫くはモデルやグラビアアイドルの登竜門として機能し、吉岡美穂、森下千里、菜々緒らを芸能界に送り出している。

滝沢眞規子(タキマキ): ファッションモデル。'78生れ。

高垣麗子: ファッションモデル。'79生れ。30代前半には、『AneCan』で同い年の蛯原友里、押切もえと並んで活躍した。

森泉: ファッションモデル。'82生れ。森英恵の孫、森星の姉。'05-21.『おしゃれイズム』MC。

矢野未希子(みっこ): ファッションモデル。'86生れ。

高田秋(たかだしゅう): ファッションモデル。'91生れ。

森星(もりひかり): ファッションモデル。'92生れ。森英恵の孫、森泉の妹。

井桁弘恵(いげた-): ファッションモデル。'97生れ。'21-.『おしゃれクリップ』MC。

古川優奈(こがわゆうな)(ゆうちゃみ): ファッションモデル、タレント。'01生れ。「令和の白ギャル」。同業の古川結菜(-ゆいな)(ゆいちゃみ)は妹で、名前が似ている。

生見愛瑠(ぬくみめる)(めるる): ファッションモデル、タレント。'02生れ。

ツイッギー: 英国のモデル。60sに「ミニの女王」と呼ばれ、世界中にミニスカートを流行させた。愛称は「小枝のような」を意味する英語。

ケイト・アプトン: 米国のモデル。夫は野球選手のジャスティン・バーランダー。10sに3度、雑誌『スポーツ・イラストレイテッド』の水着特集号の表紙に起用された。

林ゆめ: グラビアアイドル。'95生れ。

錦織一清(にしきおりかずきよ)(ニッキ): 少年隊のリーダー。しなやかで動きの一つ一つが大きいダンスは、しばしばジャニーズ史上最高の技術と評される。

相葉雅紀(-まさき): 嵐のメンバー。実家は千葉市(幕張本郷)の中華料理店。'04-20.『天才!志村どうぶつ園』出演。現在のレギュラー番組に、'13-『相葉マナブ』、'20-『嗚呼!!みんなの動物園』、'21-『VS魂』。

亀梨和也: KAT-TUNのメンバー。'05.ドラマ『ごくせん』『野ブタ。をプロデュース』で大ブレイク。『野ブタ…』で共演した山下智久とのユニット「修二と彰」で主題歌「青春アミーゴ」を歌いミリオンヒット。
子ども時代は江戸川区の野球少年で、投手として軟式野球の世界大会にも出場した。'10-.『Going!Sports&News』で野球コーナーを担当。

中島裕翔(なかじまゆうと): Hey! Say! JUMPのメンバー。山田涼介、知念侑李と並びグループ内では年少組。

知念侑李: Hey! Say! JUMPの最年少メンバー。父は五輪に出場した体操選手。'18.映画『坂道のアポロン』主演。

舞祭組(ぶさいく): Kis-My-Ft2の派生ユニット。中居正広のプロデュースで結成。

中島健人(なかじま-): Sexy Zoneのメンバー。決め台詞は〈セクシーサンキュー〉。

菊池風磨: Sexy Zone、ジャにのちゃんねるのメンバー。

道枝駿佑: なにわ男子のメンバー。'22.TVドラマ『金田一少年の事件簿』(第5シリーズ)主演。

片寄涼太(かたよせ-): GENERATIONSのヴォーカル、俳優。妻は女優の土屋太鳳。

EBiDAN: スターダストプロモーション所属の若手男性俳優・タレントから成る芸能集団。「恵比寿学園男子部」の略。主なグループに超特急、M!LK、さくらしめじ等。
'10.始動。'13.DISH//が初のメジャーデビューグループとなる。'22.DISH//が初の卒業グループとなる。

田中好子(-よしこ)(スーちゃん): キャンディーズのメンバー。'89.映画『黒い雨』主演。'01.朝ドラ『ちゅらさん』母親役。

紺野あさ美: フリーアナウンサー。元モーニング娘。メンバー('01-、5期)、元テレビ東京アナ。

仲川遥香: インドネシアで活動するタレント。元AKB48・JKT48メンバー。インドネシアでCM女王、SNS女王の地位を築いた。

村重杏奈: タレント。元HKT48メンバー。母がロシア人のミックス。

乃木坂46: 秋元康がプロデュースする女性アイドルグループ。AKB48の公式ライバルとして結成された。'12.「ぐるぐるカーテン」でデビュー。デビュー前からの代表番組『乃木坂って、どこ?』→『乃木坂工事中』(MCはバナナマン)。

高山一実: タレント、小説家。元乃木坂46メンバー。'20-.『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』MC。

生駒里奈: タレント。元乃木坂46で、初代センター。

齋藤飛鳥: タレント、女優、モデル。元乃木坂46で、1期生最年少メンバー。母はミャンマー人。

梅澤美波: 乃木坂46のメンバー。'16.3期生として加入。'23-.3代目キャプテン。

櫻坂46: 秋元康がプロデュースする女性アイドルグループ。'15.乃木坂46の姉妹グループ「欅坂46」として結成。'16.デビュー曲「サイレントマジョリティー」が大ヒット。'20.「櫻坂46」に改名。
当初から乃木坂46とはかなり路線が異なり、直線的な激しいダンスや、クールな印象を前面に押し出していた。デビュー前からの代表番組『欅って、書けない?』→『そこ曲がったら、櫻坂?』(MCは土田晃之・澤部佑)。

山﨑天(やまさきてん): 櫻坂46のメンバー。'18.2期生として加入。'21.坂道シリーズ史上最年少でファッション誌モデルに就任。

日向坂46(ひなたざか-): 秋元康がプロデュースする女性アイドルグループ。欅坂46のセカンドグループ「けやき坂46(ひらがなけやき)」として結成され、当初は欅坂46のシングルのカップリング曲という形で楽曲を発表していた。
'19.「日向坂46」として独立し、「キュン」でデビュー。デビュー前からの代表番組『ひらがな推し』→『日向坂で会いましょう』(MCはオードリー)。

小坂菜緒: 日向坂46のメンバー。初代センター。

朝日奈央: タレント。元アイドリング!!!メンバー。底抜けに明るいキャラクターで人気。特技は10円玉芸。

高城れに(-たかぎ): ももいろクローバーZのメンバー。夫は野球選手の宇佐見真吾。

ばってん少女隊: 福岡県のアイドルグループ。STARDUST PLANETの一員。'16.メジャーデビュー。

femme fatale(ファムファタール): 戦慄かなの頓知気さきな姉妹によるセルフプロデュースのアイドルグループ。グループ名は「魔性の女」を意味するフランス語。
かなのが少年院から自宅に戻り、久しぶりに妹に会った時に、その可愛さに「一緒にアイドルをやるしかない」と思い立ち結成。'22.楽曲「だいしきゅーだいしゅき」。

≠ME(ノットイコールミー): 指原莉乃がプロデュースする女性アイドルグループ。グループ名には「今までと違う自分を経験してほしい」という意味を込めている。

浪曲浪花節): 日本の三大話芸の1つで、一曲30分ほどの三味線を伴奏にした語り芸。義理人情や情緒を重んじることから、そうした言動や考え方のことも「浪花節」と呼ぶ。
いわゆる伝統演芸の中では珍しく初期から女性芸人が重要な地位を占め、現役の浪曲師は女性の方が多い。レコード、ラジオの黎明期に最も人気を得た演芸だが、夏目漱石や芥川龍之介、三島由紀夫ら多くの教養人は忌み嫌った。

与太郎: 落語で定式化された架空の人物。ぼんやりしていて何をやっても失敗する愚か者。

◆『粗忽長屋』: 古典落語の演目。滑稽噺。サゲ〈抱かれてるのは確かに俺だが、抱いてる俺は誰だろう〉。

◆『まんじゅうこわい』: 古典落語の演目。滑稽噺。怖いものなどないと自認する男が「本当に怖いものはないのか」と迫られ、「実は饅頭が怖い。饅頭の話で気分が悪くなった」と部屋に籠ってしまう。
周りの男達が嫌がらせをしようと饅頭をどっさり差し入れると、男は「怖い怖い! こんな怖いものは食べて、無くしてしまおう」などと言って平らげてしまう。周りの男達が怒って「お前が本当に怖いものは何だ!」と訊くと、〈濃いお茶が1杯怖い〉。

曽呂利新左衛門: 豊臣秀吉の御伽衆で、落語家の始祖とされる。自分の褒美に、今日は1粒、明日は2粒、明後日は4粒と、日ごとに倍の量の米を100日間貰うことを希望したという逸話がある。

◆初代三遊亭圓朝: 幕末・明治に活躍した「落語中興の祖」。特に人情噺や怪談噺を得意とし、演目も多数創作した。二葉亭四迷が『浮雲』を書く時に圓朝の落語口演筆記を参考にするなど、言文一致運動に影響を与えた。

◆5代目柳家小さん(こさん): 落語家で滑稽噺の大家。三大名人亡き後、昭和最後の名人と呼ばれた。'95.落語界初の人間国宝に認定。孫に柳家花緑。

◆初代林家三平: 落語家。TV黎明期に人気を得た「昭和の爆笑王」。

◆6代目笑福亭松鶴: 上方落語家。上方落語復興期の大スターで、豪放な語りが持ち味だった。3代目仁鶴、2代目鶴光、鶴瓶等、TVやラジオで活躍する弟子が多い。

◆3代目桂米朝: 上方落語家。端正な語りで上方最大の名人とされた。古典の研究に熱心で、埋もれ忘れ去られていた噺を多数復活させた。'96.落語界2人目の人間国宝に。

吉本総合芸能学院NSC): 吉本興業のお笑い芸人・タレント養成所。英語名はNew Star Creation。
'82.大阪本校設立、1期生にダウンタウン、ハイヒール、トミーズら。'95.東京校設立、1期生に品川庄司ら。現在は名古屋、広島、仙台、沖縄、福岡、札幌にも分校がある。

横山エンタツ・花菱アチャコ: 吉本興業に所属した漫才コンビ。1930年代に、現代のしゃべくり漫才のスタイルを確立した。

藤山寛美(-かんび): コメディアン。「あほの寛ちゃん」「松竹の喜劇王」。'48.松竹新喜劇の旗揚げに参加。看板役者として一世を風靡した。

ハナ肇: クレイジーキャッツのリーダー、ドラマー。ヒッピー姿で叫んだ〈アッと驚く為五郎〉は流行語になった。

青空球児・好児: 漫才協会所属の漫才師。「ゲロゲ~ロ」のギャグが知られる。'23現在、現役の漫才師で最も古いコンビとされる。'65.結成。'03.好児が世田谷区議会議員に初当選(無所属)。'19.5回目の当選。

ツービート: お笑いコンビ。ビートたけしが1人で攻撃的なギャグを喋りまくり、横のビートきよしがたまに〈よしなさい〉と諌める芸風。〈赤信号 みんなで渡れば怖くない〉。
'80年前後の漫才ブームを牽引したコンビの1つだが、ブームの途中から漫才は稀にしかやらなくなり、ソロでのタレント活動が中心となった。'24現在も解散はしていない。

生きてるだけで丸儲け: 明石家さんまの座右の銘。日本航空123便墜落事故('85)で、さんまが東京・大阪の収録の往復でほぼ毎週使っていた便が墜落し、スケジュールの関係でたまたま難を逃れたことがきっかけとなった。
娘・大竹いまる(IMALU)の名前の由来。さんまが制作に関わったBEGIN with アホナスターズ「笑顔のまんま」('08)の歌詞にも使われている。

ラサール石井: 芸人、脚本家、コント赤信号のツッコミ。大阪出身で高校は鹿児島のラ・サール高に進学。早大中退。かつては芸能界きってのクイズ王として、近年は左派の言論人として目立っている。
'96-.アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で主人公・両津勘吉の声を演じる。

島木譲二: 吉本新喜劇で活躍した芸人。元プロボクサーで、胸板を高速で叩き続ける「大阪名物パチパチパンチ」、頭を灰皿で叩く「ポコポコヘッド」等のギャグが知られた。

ダウンタウン: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケ・ネタ作りは松本人志、ツッコミは浜田雅功で、兵庫県尼崎市の小中学校の同級生。お笑い第3世代の代表格。
80sに高速コント漫才で、90sに『ダウンタウンのごっつええ感じ』のシュール系コントで革命を起こす等、新しい笑いのフォーマットを作り、日本のTV史における最高の売れっ子コンビであり続けてきた。
現在のレギュラー番組に、'89-『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』、'93-『ダウンタウンDX』、'14-『水曜日のダウンタウン』。
過去の代表番組に、'87-『4時ですよ~だ』(関西で爆発的な人気を獲得)、'88-『夢で逢えたら』(東京進出)、'91-『ダウンタウンのごっつええ感じ』、'94-『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』、'05-『リンカーン』、'15-『ダウンタウンなう』。

伊集院光: ホリプロ所属の芸人、ラジオパーソナリティ。元落語家、6代目三遊亭円楽(元・三遊亭楽太郎)の弟子。「中二病」という言葉の生みの親。'95-.ラジオ番組『伊集院光 深夜の馬鹿力』。'12-.『100分de名著』。

ココリコ: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケ・ネタ作りは田中直樹、ツッコミは遠藤章造で、大阪府豊中市の小中学校の同級生。'97-.『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』レギュラー。

たむらけんじ: 吉本所属の芸人。関西ローカル番組で多数のレギュラーを抱える。サングラスにふんどし姿で行うネタが多い。「炭火焼肉たむら」経営者、維新の会シンパとしても知られる。

ハリウッドザコシショウ: ソニー所属の裸芸人。圧倒的な声量を活かした「誇張しすぎたものまね」で笑わせる。'16.R-1ぐらんぷり優勝。

Hi-Hi: ケイダッシュ所属のお笑いコンビ。THE MANZAI 2011で披露したネタのフレーズ〈最近どう? みんな、パスタ巻いてる?〉でブレイク。

ゆってぃ: 人力舎所属の芸人。「スーパーアイドルゆってぃ」というキャラに扮した漫談が持ちネタ。

パイレーツ: 『ボキャブラ天国』に出演していた、グラビアアイドルによるお笑いコンビ。巨乳強調ネタでブレイク。'98.〈だっちゅーの〉が新語・流行語大賞受賞。

だいたひかる: 吉本所属の芸人。「どうでもいい歌」等のネタで知られる。'02.第1回R-1ぐらんぷりで優勝。

マキタスポーツ: ワタナベエンターテインメント所属の芸人、ミュージシャン、俳優。有名アーティストが作りそう(考えそう)な曲を批評性をもって披露する「作詞作曲モノマネ」等で知られる。

クールポコ。: ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ。餅搗きの動作をしながら行う〈な~~にぃ~~!? やっちまったな!!!!〉〈男は黙って、〉〈○○!!〉の掛け合いが知られる。

水谷千重子: お笑い芸人・友近が扮し、コンサートやCD発売も行っている演歌歌手。幼い頃は「北陸のひばり」と呼ばれ、'18年に芸能生活50周年を迎えたという架空の設定がある。

アイクぬわら: 超新塾のメンバー。俳優、声優としても活躍する。米国出身で「ヌワラ」は本名の姓。'16-.『おはスタ』サブMC。

もう中学生: 吉本所属の芸人。甲高い声が特徴。イラストを描いた段ボールを使う1人コントや漫談で知られる。'09-10年頃の『爆笑レッドカーペット』でブレイクした。

ですよ。: 吉本所属の芸人。失敗談を〈あ~い、とぅいまて~ん!〉と叫んで締める芸で知られる。

藤崎マーケット: 吉本所属のお笑いコンビ。初期の『爆笑レッドカーペット』で、リズムネタ「ラララライ体操」がブレイクした。

どぶろっく: 浅井企画所属のお笑いコンビ。歌ネタ「もしかしてだけど」等で知られる。'19.ド直球の下ネタでキングオブコント優勝。

アイデンティティ: 太田プロ所属のお笑いコンビ。ボケ・田島直弥による野沢雅子のものまねが有名。

見取り図: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケはリリー、ツッコミは盛山晋太郎。NSC大阪校の同期出身。

マヂカルラブリー: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケ・ネタ作りは野田クリスタル、ツッコミは村上(本名は鈴木)。大宮セブンの一角。全身を使って動き回る1人コントのような野田のボケに、村上がシンプルにツッコむ芸風を得意とする。
'20.M-1グランプリ優勝

ダイタク: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケは吉本大、ツッコミは吉本拓で、熊本県出身の双子。

岡野陽一: 人力舎所属の芸人。芸人界の「借金王」として有名。かつてのコンビ「巨匠」として2回、吉住との即席ユニット「最高の人間」として1回、キングオブコントの決勝に進出している。

ZAZY: 吉本所属の芸人。フリップ芸で知られる。'21-22.R-1グランプリで2年連続準優勝。芸名は「ずっと、あなたと、ずっと、吉本」の略。

コットン: 吉本所属のお笑いコンビ。ボケはきょん、ツッコミ・ネタ作りは西村真二。
'20.NSC東京校17期生を題材にしたニューヨーク Official Channelの映画『ザ・エレクトリカルパレーズ』で注目を浴びる。'21.「ラフレクラン」から改名。'22.キングオブコント準優勝。

Yes!アキト: サンミュージック所属の芸人。代名詞的なギャグは〈ダブルパチンコ〉。サツマカワRPG、どんぐりたけしと共にトリオ「怪奇!YesどんぐりRPG」としても知られる。

土佐兄弟: ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ。実の兄弟。弟が演じる「高校生あるある」動画がTikTokで大ヒットした。兄が演じる「なしなし」動画もある。

にゃんこスター: ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ。ボケはアンゴラ村長、ツッコミはスーパー3助。リズム縄跳びのネタ等が知られる。

キュウ: タイタン所属のお笑いコンビ。コンビ名は2人ともMr.Childrenのアルバム『Q』が好きなことから。'22.M-1グランプリで初の決勝進出。決勝では9番目に登場し、午後9時9分にネタが終わり、最終順位は9位だった。

ぱーてぃーちゃん: ワタナベエンターテインメント所属のお笑いトリオ。ギャル2人とチャラ男のパリピ漫才を行う。手で作るイヴ・サンローランのロゴを模したサインが決めポーズ。

ほいけんた: マルチタレント。明石家さんまのものまねが有名。

前田健: マルチタレント。松浦亜弥のものまねが有名。

大橋巨泉: タレント。ジャズコンサートの司会者出身で、ジャズ・競馬・麻雀・野球の評論家としても活躍した。
'69-.『巨泉・前武ゲバゲバ90分!』MC。'76-.『クイズダービー』MC。'83-.『世界まるごとHOWマッチ』MC。'01.参議院議員に当選するが、所属した民主党に対して左からの「造反」を繰り返し、半年で辞職。'16.死去。

毒蝮三太夫(どくまむしさんだゆう): 俳優、タレント、ラジオパーソナリティ。年配者相手の毒舌トークで人気を博した。'66.特撮ドラマ『ウルトラマン』科学特捜隊員役。'68-69.演芸番組『笑点』の2代目座布団運び役(番組内で「毒蝮三太夫」に改名)。

ウガンダ・トラ: タレント、ドラマー。芸名はウガンダの大統領と容姿が似ていたから。名言〈カレーライスは飲み物〉。

LiLiCo: タレント、映画コメンテーター。スウェーデン出身で、母が日本人のミックス。

ジェーン・スー: コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家。'16-.『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオの平日昼の帯番組)。

上地雄輔: 俳優、歌手、タレント。横浜高校野球部出身で、松坂大輔とバッテリーを組んだ時期がある。
'07.TV番組『クイズ!ヘキサゴンII』で「おバカタレント」としてブレイクし、つるの剛士・野久保直樹と音楽ユニット「羞恥心」を結成。'09.遊助としてシングル「ひまわり」でソロ歌手デビュー。

野久保直樹: 俳優、タレント。'06.当時の潜水日本記録を樹立(116m)。'07.TV番組『クイズ!ヘキサゴンII』で「おバカタレント」としてブレイクし、つるの剛士・上地雄輔と音楽ユニット「羞恥心」を結成。

岡田結実(-ゆい): タレント。岡田圭右の娘。'12.『天才てれびくん』で、「1分間に片足で左右揃えた靴下をかごに入れた数」のギネス記録を樹立。

Lazy Lie Crazy(レイクレ): 大阪府の5人組YouTuber。バラエティ動画やバスケットボール関連動画を配信する。

nanakoななこ: 岐阜県の美容系YouTuber。

佐伯ポインティ: 実業家、YouTuber。'18.会員制の「猥談バー」をオープン。東京の他、リモートで猥談できるバーチャル店舗も構える。

酒村ゆっけ、(さかむら-): 「ネオ無職」「酒飲み独身女」を自称するマルチクリエイター、作家。YouTubeやTikTokへの投稿動画は、ナレーション・編集の引き出しの多さに定評がある。

PewDiePie(ピューディパイ): スウェーデン人のYouTuber。ゲーム実況からスタートしてネット動画・画像の紹介に手を広げ、YouTubeチャンネルの登録者数は'13年頃から10年近く、企業チャンネルではない個人チャンネルとして世界一だった。
'19.チャンネル登録者数1億人突破。'22.日本に移住。

MrBeast(ミスター・ビースト): 米国のYouTuber、慈善活動家。ドラマ『イカゲーム』を再現する等、高価なセットを使ったバラエティ動画で有名。'22.チャンネル登録者数でPewDiePieを抜き、個人世界一に。'23.チャンネル登録者数2億人突破。

すとぷり(すとろべりーぷりんす): 6人組エンタメグループ。基本的には顔出しせず、YouTubeを中心に、音楽、ゲーム実況、オリジナルアニメ等で活動する。女子小中学生のファンが多い。

にじさんじ: (株)ANYCOLORが手掛ける、公式アプリを中心に活動するバーチャルライバーグループ。'18.活動開始。オーディションでメンバーを増やし、'23現在、100名以上が所属する。

ホロライブ: 女性VTuberグループ。'18.活動開始。オーディションでメンバーを増やし、'23現在、50名以上が所属する。

宝鐘マリン(ほうしょう-): ホロライブのメンバー。海賊船を買う資金を集めるために配信活動を行っているという設定で、ファンから「船長」と呼ばれる。

坊主: 僧侶、バー経営者、インフルエンサー。Xのフォロワーが100万人以上おり、日々、大量のアンケートや大喜利を投稿している。絵馬用の個人情報保護シール「神のみぞシール」の考案者。

Z李(ジェット・リー): 公営ギャンブル予想オンラインサロン「新宿租界」主宰者、慈善活動家、探偵、作家、インフルエンサー。東京・歌舞伎町で活動する。ホームレス支援の炊き出し活動や、保護猫カフェのオーナーとしての顔もある。

バラエティ番組: TVやラジオの娯楽番組のこと。バブル経済が崩壊し、高視聴率を記録する番組が少なくなった21cの日本では、作り込まれたコント等のショーやVTRの割合が減り、テロップを多用したトーク主体の番組が増えた。

◆『笑点』('66-): 日テレの長寿演芸番組。日曜17:30-。前半はゲストによる演芸、後半はレギュラー陣による大喜利を放送する。番組名は大ヒットドラマ『氷点』('66)のもじり。
歴代MCは7代目立川談志(-'69)、前田武彦('69-70)、初代三波伸介('70-82)、5代目三遊亭圓楽('83-05)、桂歌丸('05-16)、春風亭昇太('16-)。
'23現在のレギュラーは昇太の他、三遊亭小遊三春風亭一之輔林家たい平林家木久扇三遊亭好楽桂宮治山田隆夫(座布団運び役)。
OP曲「笑点のテーマ」は中村八大が作曲。前田武彦による歌詞(〈ゲラゲラ笑って見るテレビ…〉)付きで流れた時期もあったが、レギュラーメンバーらの歌が下手すぎて不評を買い、曲のみに戻ったという。

◆『おしゃれ』シリーズ('74-): 資生堂がスポンサーを務める、日テレのトーク番組のシリーズ。初代『おしゃれ』('74-87)は平日昼の帯番組だったが、その後は日曜22時台のシリーズとなった(番組名は何度か変遷)。
『おしゃれカンケイ』('94-'05)では古舘伊知郎、『おしゃれイズム』('05-21)では上田晋也・藤木直人・森泉、『おしゃれクリップ』('21-)では山崎育三郎・井桁弘恵がMCを務める。

◆『パネルクイズ アタック25』('75-): 視聴者参加型のクイズ番組。日曜午後放送。長年テレ朝系列で放送されていたが、'22年からBSJapanextで放送されている。初代MCは児玉清、現MCは谷原章介
4人の参加者が早押しクイズを競い、正解者は、5×5の25枚のパネルを1枚ずつ選んで獲得していく。オセロの要領で他の人のパネルを自分の色のパネルに変えることができるため、クイズの正解数だけでなく正解のタイミングや戦略が重要。
最初の正解者が取るパネルは、真ん中の13番と決まっている。それ以降の正解者は、自分のパネルで他の人のパネルを挟める場合はそのようなパネルを、挟めるパネルがない場合は誰かが獲得したパネルに隣接したパネルを選ぶ。

アタックチャンス: 『パネルクイズ アタック25』のルール。残りパネルが5枚になるとアタックチャンス問題を行う。正解者は通常のパネル獲得の後、誰かのパネルを1枚指定し、未獲得のパネルと同じ扱いに戻すことができる。

◆『川口浩探検隊シリーズ』('77-86): 俳優の川口浩らが出演した探検・サバイバル特番。南半球のジャングルを中心とした世界各地の秘境に、猛獣・UMA・少数民族等を求めて探検した。

◆『とんねるずのみなさんのおかげです』('88-97): フジテレビのバラエティ番組。とんねるずとゲストによるコントが中心。'89-94年の6年間、バラエティ番組の平均視聴率日本一を記録した。

◆『マジカル頭脳パワー!!』('90-99): 日テレのクイズ番組。MCは板東英二。「マジカルバナナ」等の人気コーナーがあった。

◆『ムイミダス』('90-91): 読売テレビの深夜番組。古田新太や山西惇が出演。番組内コーナーに、NHK教育テレビの学校放送番組のような雰囲気のコント「知っておこう」がある。オチをあえて作らないシュールな内容で、山西がナレーターを務めた。

◆『恋のから騒ぎ』('94-11): 日テレのバラエティ番組。一般人女性達が出演し、恋愛をテーマにMCの明石家さんまらとトークした。

◆『あの人は今!?』('95-07): 「かつて一世を風靡した有名人」を捜索・追跡した特番。番組で取り上げられた後、「かつて」を超える大ブレイクを果たした有名人に、阿部寛、有吉弘行がいる。

◆『そこまで言って委員会NP』('03-): 読売テレビの日曜日の番組。歴代MCはやしきたかじん、辛坊治郎、黒木千晶(局アナ)。多くの局にネットされるが、関東では一貫して放送されていない。
政治的な話題を扱うことが多いが、バラエティ番組という体裁を理由に、公平性を無視した特集が多い(例:「従軍慰安婦は捏造だ!」('12))。安倍晋三が首相在任中にも何度も出演した異例の番組でもある。

◆『IPPONグランプリ』('09-): フジテレビのバラエティ特番。10人のパネラー(主にお笑い芸人)が大喜利で対決を行う。チェアマンは松本人志、テーマ曲は矢沢永吉『止まらないHa~Ha』。

◆『東大王』('17-): TBSのクイズ番組。MCはヒロミ・山里亮太。現役東大生チームと芸能人チームがクイズを競う。

難問オセロ: 『東大王』の漢字クイズ。6×6のオセロ盤の各マスに配置された難読漢字の読み問題を答え、自分のチームの石を置いていく。

◆『オオカミくんには騙されない』シリーズ('17-): ABEMAの恋愛リアリティ番組。絶対に恋をしない嘘つき「オオカミくん」又は「オオカミちゃん」が1人以上潜んでいる。生見愛瑠('18.出演)や山之内すず('19.出演)の出世作。

◆『チコちゃんに叱られる!』('18-): NHKのバラエティ番組。クイズ形式で雑学を扱う。レギュラー出演者はチコちゃん(声:木村祐一)、岡村隆史。チコちゃんの決め台詞〈ボーっと生きてんじゃねーよ!〉。

キョエちゃん: 『チコちゃんに叱られる!』に登場する、視聴者のお便りを運んでくるカラス。

◆『超逆境クイズバトル!! 99人の壁』('18-21): フジテレビのクイズ番組。MCは佐藤二朗。1人のチャレンジャーが、99人のブロッカーを相手に自分の「得意ジャンル」でクイズに挑み、賞金獲得を目指す。

◆『あざとくて何が悪いの?』('20-): テレ朝のバラエティ番組。歴代MCは山里亮太、田中みな実(-'23)、弘中綾香(-'23)、鈴木愛理('23-)。
視聴者投稿をもとに、世にはびこる「あざとエピソード」を再現ドラマで紹介する。番組内で放送される連続ドラマもある。東アジア諸国でも放送され、人気がある。

◆『エド・サリヴァン・ショー』('48-71): 米国のバラエティ番組。50s-60sの米国で最も影響力をもった番組。MCはエド・サリヴァン。人種差別を嫌うエドの意向で、差別合法の時代から有色人種の芸能人も多く登場していた。
'56.エルヴィス・プレスリーが出演し視聴率40%超(占拠率80%超)を記録、ロックンロールが熱狂的なブームとなる。'64.ビートルズが3週連続で出演。視聴率70%超で、米国の歴代最高視聴率を更新した。

◆『SCHOOL OF LOCK!』('05-): TOKYO FMの平日22-23時台の番組。主な視聴者層は中高生。


26、その他

富籤(とみくじ): 籤を売り出し、当たった者に高額な当選金を支給すること。今の日本では公共目的の「宝くじ」等を除き、刑法で禁じられている。江戸時代には、寺社が普請費用を集めるために行い、大きな人気を博した。

キャリーオーバー: 宝くじで当選者がいなかった場合に、配当金を次回に繰り越すこと。

MEGA BIG: スポーツ振興くじの1つ。Jリーグが実施する試合を対象に、両チームの合計スコアをもとに当選結果を算出する。

ネットカジノ(オンラインカジノ): ネットで運営されるカジノ。日本国内の企業がネットカジノや専用の決済サービスを展開するのは違法。

三店方式: 景品交換所と景品問屋を経由させることで、パチンコ店で得た出玉を実質的に換金させる営業形態。

風俗: 生活文化のこと。又は「性風俗」「性風俗店」の略語。「性風俗店」の意味で使うことが多い。

花柳界(かりゅうかい): 遊郭(花街)を中心とする、遊女や芸者達の世界・業界のこと。主に近代に使われた表現。

女衒(ぜげん): 女性を遊廓など、売春労働に斡旋した仲介業者。

ソープランド: 浴室で女性従業員が男性客に対し性的なサービスを行う性風俗店。80sまでの呼称は「トルコ風呂」(元々はサウナがメインで、性的サービスが無い店もあった)。トルコ人らの訴えで改称された。
浴室で男女が恋人関係になってしまい、その結果本番行為に及んでしまう、という理屈によって、売春の違法仲介と見なされずに、長年本番行為が黙認されてきた唯一のメジャーな性風俗店業態。

からゆきさん: 伝統的には九州で使われてきた言葉で、東南アジアや中国、豪州等の港湾都市に娼婦として売られた日本人女性達のこと。特に幕末の開国~明治期には、各方面ごとに何万人もの日本人女性が海外に売られていった。
英領北ボルネオ(現・マレーシア)の日本人娼館を描いた山崎朋子のノンフィクション『サンダカン八番娼館』('72)のヒット以降、「からゆきさん」の歴史にスポットライトが当たり、全国的に通じる言葉となった。
からゆきさんは決して過去の存在ではない。近年、日本は再び相対的に「稼げない国」となっており、特にコロナ禍以降、SNSで出会ったスカウトやエージェントを通し、海外でセックスワーカーとして出稼ぎを行う日本人女性が激増している。

ジャパゆきさん: 80sに流行語になった、フィリピン等アジア各国から日本に水商売やセックスワークのために売られたり、出稼ぎに来たりした女性達のこと。戦前、逆に日本から東南アジアに渡っていた「からゆきさん」をもじった言葉。
80sには日本で半年稼ぐとフィリピンで家が建つといわれるような経済格差があり、このような女性が激増した。日本行きには暴力団や悪質なブローカーが介在することが多く、悲惨な状況に追い込まれた女性も少なくない。
90s以降も日本で働く外国人女性は増え続けたが、逆に珍しい存在ではなくなり、「ジャパゆきさん」は死語となっていった。

アダルトビデオ(AV): 性行為等を映した、性的欲求を満たすための映像作品。VHSが普及しビデオカメラが小型化した80s以降、それ以前のポルノ映画(ピンク映画)と異なる商業的なジャンルとして隆盛している。
和製英語であり、他国では「ポルノグラフィ」等と呼ぶ。
AV被害防止・救済法('22)は、出演契約時の虚偽説明への罰則を強めた他、契約・撮影・公表の間にそれぞれ一定期間を設ける規定、AV公表から1年間は出演者が無条件で契約解除でき、業者に原状回復を義務化する規定等を設けた。

AV女優(セクシー女優、艶系女優): AV出演を専門とする女優。

タバコ(煙草): 南米原産のナス科の植物。又はその葉を加工して作る嗜好品。噛み煙草、嗅ぎ煙草、喫煙用の煙草(刻み煙草、葉巻、紙巻き煙草、電子煙草、加熱式煙草、水煙草)がある。
強烈な匂いを放つが、豊富に含まれるニコチンには中毒性があるため、一旦喫煙が習慣になると、吸うことで「リラックスする」「美味しい」と感じるようになる。
ニコチン以外にもタール、シアン化物、一酸化炭素等の有害物質が含まれ、がんや心臓病のリスク増大作用がある。特に70s頃から煙草の有害性が叫ばれ始め、一人当たり消費量は多くの国で減っている。

キャメル: JTのタバコの銘柄。パッケージにヒトコブラクダが描かれている。

ハイライト: JTのタバコの銘柄。ラム酒を香料に使っている。パッケージは青と白を基調としている。

マネーロンダリング(資金洗浄): 口座間の出入金や投資等を利用して、犯罪で得た金の出所を分からなくする行為。

ピンポンダッシュ: 他人の家の呼び鈴を鳴らし、インターホンに応答せず立ち去る迷惑行為。空き巣やストーカーが在宅時間の調査で行うことがあるため、ピンポンダッシュされた家は防犯に気を遣う必要がある。

寸借詐欺: 「財布を落とした」等と言って他人の善意に付け込み、金銭を借りると称してそのまま騙し取る手口の詐欺。

デジタル万引き: 書籍や雑誌の内容を店頭で撮影し、買わずに立ち去る行為。

フィッシング: ネットユーザーからパスワードやクレジットカード情報を奪う詐欺。

空き巣: 留守中の家屋に不法侵入して行われる窃盗(泥棒)。日本では防犯対策の向上等から近年、減少傾向にある。行われる時間は、一般に在宅率が低いとされる午後早めの時間が多い。

ダフ屋: イベントのチケットを転売目的で入手し、法外な値段で売り捌く者のこと。諸条例や物価統制令に違反し犯罪となる。チケットを意味する「札」の倒語から。

ノミ行為(呑み行為): 実際に行われている公営競技等に乗っかって、馬券や舟券を私的に販売する違法行為。対策が今ほど進んでいない時代には、暴力団の主な資金源の1つだった。
公営競技の主催者と違い、「ノミ屋」にはレースの開催費用も国や自治体への納付も生じないため、配当額を正規の券より増やし、かつ自分達の利益も高めることができた。

セカンドレイプ(二次加害): 性犯罪の被害者に対し、事情聴取や法廷、医療現場等で、レイプや性的被害を再現する証言・陳述、被害者側の責任を問うような発言、好奇の目等によって更なるトラウマを与えること。

グルーミング: 性的虐待を行おうとする者が、わいせつ目的を隠して子どもに近づき、親しくなって信頼を得る行為。元々の意味は「毛繕い」。

旧車會: 古いオートバイを入手して一昔前の暴走族を模した改造を施し、エンジンの空ぶかし等で音を鳴らしながら集団走行を行う団体。一般の暴走族より平均年齢が高く、一般の仕事をしている人が休日の日中に集まることが多い。

天ぷらナンバー: 盗難車や違反車に付けられる、他の車から付け替えたナンバープレートや偽造したナンバープレートのこと。

工藤會(工藤会): 北九州市に本部を置く暴力団。市民を襲撃するテロを繰り返してきたことから、'23現在、唯一の特定危険指定暴力団となっている。

辻斬り: 武士が刀の切れ味を試したり武術を磨いたりするために、夜道で通行人を斬ったこと。戦乱の世からまだ間もない江戸時代初期には横行しており、幕府が禁令を出した。

天下三名槍: いずれも室町時代に作られた名槍。結城家・松平大和守家に伝わった御手杵(おてぎね)、母里友信が「呑み取り」で福島正則から譲り受けた日本号(にほんごう)、本多忠勝が愛用した蜻蛉切(とんぼきり)。

ライオット・シールド: 軍や警察が暴動を制圧する際等に使う、プラスチック製や金属製の盾。ライオットは「暴動」を指す英語。

トカレフTT-33: ソ連が1933年に採用した自動拳銃。日本にも密輸入され、暴力団の発砲事件にしばしば使われてきた。

ワルサーP38: ドイツが1938年に採用した自動拳銃。『ルパン三世』でルパンが愛用する。

武蔵: 旧日本海軍が建造した最後の戦艦。大和型戦艦の第2弾。'42.就役。'44.レイテ沖開戦で沈没。'15.深さ1000mの海底で発見される。

V-22オスプレイ): ホバリングや垂直離着陸ができる軍用航空機。愛称はミサゴを意味する英語。
度重なる事故で安全性が疑問視され、配備や訓練の度に反対する住民運動が起こっているが、'12年の普天間基地を皮切りに在日米軍基地や自衛隊基地で配備が進んでいる。

イージスシステム: 米国海軍が70sに開発した防空システム。日本でも導入されているため知名度が高く、イージスシステム以外の防空システムを搭載する艦艇も含めてイージス艦と呼ぶことがある。

イージス・アショア: イージスシステムの陸上コンポーネント。「アショア」は「陸上に」を意味する英語。日本でも日本海側に配備計画があったが、'20.計画停止。

兵站(へいたん)(ロジスティクス、ロジ): 戦場で後方に位置し、前線部隊のために、軍需品や食糧の調達・供給、後方連絡線の確保等を行う任務。

拿捕: 軍艦や軍用機が、他国の船や航空機を支配下に置き占有すること。

魚鱗の陣: 「△」の形に兵を配する陣形。必要に応じて入れ替わりながら先端部を中心に戦うことを想定した陣形で、地形が険しい日本の戦国時代における戦い等、横や後方からの奇襲の可能性が低い戦いではよく使われた。
底辺の中心に配置する大将を守りやすく、情報伝達がしやすいのもメリット。

鶴翼の陣: 「V」の形に兵を配する陣形。敵を両翼から包囲し殲滅するのが目的。兵数が多い軍には有効な陣形だが、大将の守りや情報伝達の面ではデメリットがある。

ブービートラップ: 戦闘から撤退する部隊が侵攻勢力に対して張る、一見無害に見えるものに仕掛けられた罠のこと。

クロスファイア(十字砲火): 塹壕戦等で、目標に向けた複数の射線が交差するように銃火器を配置する戦術のこと。

ドッグファイト: 戦闘機同士による激しい空中戦のこと。犬が喧嘩で尻尾を追いかけ合うように、互いに相手の機体の背後を取ろうとグルグル旋回することから。

グリーンベレー: 米国陸軍の特殊部隊。高い戦闘力や語学力をもつ精鋭から成る。戦闘部隊であるとともに、世界各地の共闘組織に対ゲリラ戦等の戦闘訓練を行う。愛称は隊員の証である緑のベレー帽から。

デルタフォース: 米国陸軍の特殊部隊。高い戦闘力や語学力をもつ精鋭から成る。グリーンベレーよりも秘匿性が高く、テロリストの拠点強襲や敵重要人物の暗殺を担う。

ネイビーシールズ: 米国海軍の特殊部隊。陸・海・空を股にかけ幅広い特殊作戦に従事する。

◆『ミリタリー・バランス』: ロンドンの国際戦略研究所が毎年発行する、世界の軍事情報を分析した報告書。

精霊(精): 様々な生き物、物、場所、現象等に宿っているとされる、超自然的な存在。「ランプの精」「泉の精」等。日本の伝承における妖怪、西欧の伝承における妖精フェアリー)もこれに含まれる。

妖怪(妖(あやかし)、物の怪): 日本の伝承で、奇怪・異常な現象の原因とされるような精霊のこと。

付喪神(九十九神(つくもがみ)): 妖怪の中でも特に、長い年月を経た道具等に神や精霊が宿ったもののこと。

(くだん): 妖怪の一種。人の頭と牛の体をもつ。必ず当たる予言を残し、すぐに死んでしまうという。

枕返し: 妖怪の一種。夜中に枕元にやって来て、枕をひっくり返したり、頭と足の向きを変えたりするという。

コロポックル: アイヌの伝承における小人。「蕗の下の人」を意味する。なお、北海道の足寄町では高さ2-4mになるラワンブキが栽培されており、コロポックル気分が味わえる散策路も整備されている。

キジムナー: 沖縄に伝わる精霊。ガジュマルの古木に住み、赤い髪をした子どものような姿だという。

吸血鬼ヴァンパイア): 人の生き血を吸う怪物。死者が蘇ったもので、血を吸われた人も吸血鬼になるという。ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』(1897)が現代の吸血鬼像に強い影響を与えている。
その特徴は、東欧で恐れられてきた狂犬病のイメージと結びついているともいい、「狼やコウモリと共に現れる(どちらも狂犬病の宿主で人を噛むことがある)」「日光やニンニクが苦手(知覚過敏)」「十字架を恐れる(先端恐怖症)」といったものがある。

ブラウニー: スコットランドの伝承で、人家に住み着き人を手助けするという茶色いボロを纏った妖精。

チュパカブラ: 鋭い牙をもち、家畜の生き血を吸って殺すというUMA。90sからプエルトリコや南米で報告がある。

狐火(きつねび): 日本の伝承で、火の気のないところに火が列をなして現れたり、ついたり消えたりするもの。正体を突き止めに行っても必ず途中で消えてしまうという。

キャトルミューティレーション: 牛等の動物の死体が内臓や血液を失った状態で見つかることを、怪現象として捉えた言葉。
オカルト本ではUFOにさらわれ処理された死体として描かれることが多い。実際には、虫や鳥が死体を柔らかい部分から食べることによって、普通に起きる現象である。

ミステリー・サークル: 畑の作物を倒して円形等の幾何学模様を描いたもの。宇宙人やUFOの仕業ではないかと騒がれることがある。

風魔小太郎: 戦国時代末期に後北条氏に仕え、乱波(らっぱ)(他国に忍び入って夜襲をかける集団)を率いたという伝説の忍者。大柄で、50町(5km余)先まで届く声量をもっていたという。

錬金術アルケミー): 卑金属等から金を「錬成」しようとする試み。古代世界や中世イスラム世界、中世欧州で盛んに研究され、その努力が近代化学を生み出した。

エリクサー: 錬金術で、飲めば不老不死になれるという万能薬。賢者の石から作られる、あるいは賢者の石そのものとされる。

ネクロマンサー: 霊魂や死者を使った魔術(死霊魔術、ネクロマンシー)を行う者。

アイアン・メイデン(鉄の処女): 鉄の人型筐体の内側に無数の棘がついた拷問器具。中世欧州が舞台の作品に出てくるが、近代になって小説家や美術家が創作したもので、実際に使われた拷問器具ではない。

暗殺教団アサシン教団): 十字軍時代に活動したイスラム教シーア派の分派・ニザール派の伝説を根幹とする、幻想的イメージに彩られた教団。セルジューク朝や十字軍の要人を狂信的に暗殺していったという。

アカシックレコード: 神智学の概念で、原始からの全ての事象・想念・感情が記録された「世界記憶」のこと。

ハイヤーセルフ: スピリチュアル系の用語で、魂の中の「高次元の自分自身」のこと。

サブリミナル効果: 映像の間に挟んだごく短い静止画等、人が意識できないような情報を潜ませて、受け手の潜在意識に影響を及ぼすという心理効果。現在、その効力はほぼ否定されている。「サブリミナル」は「潜在意識の」という意味。

ダウジング: 地下水や貴金属の鉱脈を、棒や振り子等の装置の動きによって発見できると謳う手法。

コックリさん: 降霊術又は占いの一種とされる遊び。
「はい」「いいえ」、数字、五十音等を記した紙の上に硬貨を1つ置き、複数人が硬貨に人差し指を添え、「コックリさん」を召喚して質問すると、誰も指に力を入れていないつもりでも硬貨が動いて答えを示すことがある。
科学的に言えば、潜在意識(予期意向)と不覚筋動の組合せを利用した遊びに過ぎず、参加者の誰も答えがわからないようなクイズを「コックリさん」に出しても、正解はできない。

百匹目の猿現象: ある生物学者が創作したホラ話(超常現象)。一部メディア等でデマとして広まっている。
内容は「幸島の猿の1頭が芋を洗って食べることを覚え、真似をする猿が増えていった。同じ行動をとる猿の数が100頭に達すると、全く接触の無い高崎山の猿たちも突然同じ行動をとるようになった」というもの。

きさらぎ駅: 都市伝説上の架空の駅。遠州鉄道沿線、又はそこから繋がった異界にあるという。'04.2ちゃんねるで初出。

ねこねこネットワークNNN): 都市伝説上の秘密結社。猫好きの人のもとに野良猫を派遣し、飼い猫として幸せに暮らせるよう暗躍する。何度も捨て猫を拾ってしまう人がいるのはNNNの仕業だという。

くわばらくわばら: 落雷等の災禍を避けるまじないの言葉。桑の木には雷が落ちないと信じられたからという説や、憤怒の余り雷となった菅原道真の生地(桑原町)には雷が落ちないことにあやかったという説が知られる。
ちなみに、京都市の桑原町は現在、京都御所と京都地裁の間の道路だけを範囲とする町名となっており、恐らく日本唯一の「道路だけ町名」としても知られる。

当たるも八卦当たらぬも八卦: 占いの結果など気にすべきでない、という意味の諺。「八卦(はっけ)」は占いのこと。

生命線: 親指と人差し指の間から手首にかけて伸びる掌線。手相占いで寿命や体力を表すとされる。

大アルカナ: タロットのうち、主に占いに使う寓意画が描かれた22枚のカード。0番は「愚者」、1番は「魔術師」、13番は「死神」、21番(最後のカード)は「世界」。

SCP財団: 「異常存在に対処する機関の報告書」という体裁で怪奇創作を行う、Wiki形式のコミュニティサイト。

矢追純一: TVディレクター、タレント、UFO・超常現象研究家。70-90sに多くのオカルト関連番組を手掛け、時代の寵児となった。

ゲッターズ飯田: 元芸人、占い師。風水や占い関係の本によって、(誰が買っているのか謎だが)20s初頭現在の日本における最大の売れっ子作家となっている。
スーツ姿でハンチング帽を被り、目元を覆う赤いマスクの上から眼鏡をかけるという、イカした不審者スタイルで活動する。

島田秀平: ホリプロ所属の芸人。手相診断や怪談の知識を元に活動する。

クイズ: Q&A形式のゲームの総称。18cにダブリンの劇場支配人が、新しい単語を作って一晩でそれを流行らせられるかという賭けを友人と行い、町中に落書きして実際に流行らせた言葉という説がある。

◆『みんなで早押しクイズみんはや)』: Takatoshi Kobayashiが開発した、モバイル向けの早押しクイズ対戦アプリ。'15.リリース。'22.何を血迷ったか、萌え絵を前面に押し出すリニューアルを行う。

スアール: 誰でも早押しクイズに参加できるバー。池袋本店の他、秋葉原、名古屋、大阪に店舗がある。

雑学: 多方面にわたる雑多な知の集合。体系化された学問と違い、興味深いものの些末な知識(豆知識、トリヴィア)を重んじる傾向にある。

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